図1〜図8を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図8(A)〜(C)中符号11はキャニスタ形の電気掃除機を示している。電気掃除機11は、掃除機本体12と、この本体12に吸込み空気を導く吸気風路部15と、管継手17とを備えている。管継手17は、アタッチメントとして用意され必要に応じて吸気風路部15に組合わせて使用される。
掃除機本体12の本体ケースには電気部品例えば図示しない電動送風機等が内蔵されている。この電動送風機の吸込み側に位置して集塵部が設けられている。集塵部は例えば本体ケースに対して着脱されるフィルタを有している。本体ケースには、床面等の被掃除面に沿う掃除機本体12の移動を容易にするための車輪及びキャスタが取付けられているとともに、集塵部に連通する吸込み管13が設けられている。
吸込み管13は前向きに開口している。この吸込み管13は、吸込み口をなすものであり、図示例では掃除機本体12の前部から前方に突出した管部で作られている。しかし、これに限らず、掃除機本体12の前部には開放するが掃除機本体12の内側に凹むように設けられていてもよい。掃除機本体12の前部は後述する延長管を上向きに支持する際に邪魔となることを防止するために、吸込み管13の上方には掃除機本体12の前側上部が突出しないように、例えば図示例では吸込み管13に対して掃除機本体12の前側上部は後退した形状に円弧状に作られている。
なお、掃除機本体12の前側上部に、後述のように最大に起こされて上向きに支持された延長管の下部を補助的に支持するホルダー部(図示しない)を設けることは妨げない。ホルダー部としては、前方から延長管の下部が出し入れ可能で、入り込んだ前記延長管の下部をその径方向から例えば弾性的に挟持する弾性挟持片を有したホルダー部等を例示できる。
吸込み管13にはその外側好ましくは上方から操作可能なロック部材13aが取付けられている。このロック部材13aは吸込み管13内に突没可能な係止端部(図示しない)を有していて、この係止端部が吸込み管13内に突出する方向に図示しないばねで付勢されている。このばねに抗してロック部材13aが押圧操作されたときに、係止端部は吸込み管13の内空部外に移動されるようになっている。
吸気風路部15は、互いに着脱可能に接続される複数の吸気管21〜24と、主に床面の掃除に適合する吸込み口体25と、吸気ホース26とを備えている。吸気管21〜24はいずれも硬質材料例えば硬質合成樹脂製である。
吸気ホース26は、可撓性を有して容易に変形可能であり、その先端となる長手方向一端に前記吸気管24を有している。この吸気管24は、互いに接続された各吸気管21〜24の内で最も下流側に位置される管である。この吸気管24は、吸気風路部15を操作するための握り管として機能するものであり、そのために本実施形態では吸気管24がハンドル部24aを有している。ハンドル部24aは吸込み空気を導く吸気風路から独立しかつ外れて設けられている。ハンドル部24aは電動送風機に対する運転指令を与える操作部(図示しない)を有している。なお、ハンドル部24aを省略して吸気管24を直接握るようにしてもよい。
吸気ホース26はその長手方向他端に硬質合成樹脂製の接続管27を有している。この接続管27は吸込み管13に取外し可能に嵌入して接続されている。接続管27の吸込み管13への固定とその解除は前記ロック部材13aを用いて行われる。
吸気管24より上流側に配設される吸気管21〜23の内で、吸気管22、23は2本継ぎ形の延長管として用いられる。下流側吸気管23の下流側端部は吸気管24に着脱可能に接続できる。下流側吸気管23の上流側端部と上流側吸気管22の下流側端部とは着脱可能に嵌合して接続できる。上流側吸気管22の下流側端部は吸気管24に着脱可能に嵌合して接続できる。又、下流側吸気管23の上流側端部及び上流側吸気管22の上流側端部は、吸気ホース26の接続管27を着脱可能に嵌合して接続できる。
吸込み口体25は床面等の被掃除面の塵を吸込むための吸込み開口(図示しない)を有している。この吸込み口体25が有する吸気管21は、延長管等への接続管として使用されるものであって、吸込み口体25の後部に幅方向中央部に位置して上下方向に起倒できるように回転可能に取付けられている。吸気管21は、互いに接続された各吸気管21〜24の内で最も上流側に位置される管である。この吸気管21の下流側端部は、吸気管24に着脱可能に嵌合して接続できるとともに、上流側吸気管22の上流側端部又は下流側吸気管23の上流側端部にも着脱可能に嵌合して接続できる。
図8(C)中符号28は他の吸込み口体を示している。吸込み口体28は、前記床用の吸込み口体25とは異なる種類のもので、例えば部屋の隅や隙間等を掃除するのに好適なノズル状をなしている。この吸込み口体28は吸込み口体25と交換して使用され、吸気管24、上流側吸気管22の上流側端部、下流側吸気管23の上流側端部のいずれかに着脱可能に嵌合して接続できる。
管継手17を使用しない場合には、各吸気管21〜24を接続することによって直線状に組立てられる吸気風路部15を介して吸込み口体25と吸気ホース26とを連通させて、電気掃除機11を使用できる。なお、吸込み口体25に、吸込風によって回転される回転清掃体を内蔵したり、モータ及びこの動力で回転される回転清掃体を内蔵することは妨げない。
管継手17は、各吸気管21〜24の内で相対的に上流側と下流側に配置される吸気管同士、及び吸込み管13と接続管27同士を連通状態に接続するために使用される。すなわち、管継手17によって、吸込み管13と接続管27とを接続したり、吸気管22、23同士を接続したり、吸気管23、24同士を接続したり、吸気管21、22同士を接続でき、この接続は掃除場所に応じて使用者によって選択される。
図8(A)(B)の場合、管継手17を基準に上流側の管は吸気管22であり、下流側の管は吸気管23である。図8(C)の場合、管継手17を基準に上流側の管は接続管27であり、下流側の管は吸込み管13である。なお、本明細書において、吸込み気流を基準に相対的に上流側と下流側に隣接して配置される管の内で、上流側の管を第1の管と称し、下流側の管を第2の管と称し、或いは、吸気風路部15において吸込み気流を基準に相対的に上流側と下流側に隣接する部位の内で、上流側に位置される部位を上流側部位と称し、下流側に位置される部位を下流側部位と称する。
図1〜図7を参照して管継手17について説明する。この管継手17は、第1継手部材31と、第2継手部材41と、継手ホース50と、付勢体として機能するトーションばね51と、ロック装置55と、ホース保護手段として機能する床面接触部37、64とを備えている。第1、第2の継手部材31、41は吸込み気流を基準に相対的に上流側と下流側に隣接して配置されるものであって、本明細書では、上流側継手部材を第1継手部材31と称し、下流側継手部材を第2継手部材41と称する。
硬質合成樹脂製の第1継手部材31は、第1接続管部(上流側接続管部)32と、一対の第1連結アーム33、34とを有している。第1接続管部32は直管状であり、その軸方向一端部は第1の管に着脱可能に嵌合して接続される。なお、符号31aは第1の吸気管との電気的接続のための図示しない端子金具等を被う第1継手部材31のカバーを示しており、その通孔31bには第1の管との接続の固定と解除をするための図示しないロック部材の押圧部が通される。
第1接続管部32の軸方向他端部に第1連結アーム33、34が夫々第1接続管部32の軸方向に延びて一体に突設されている。これら第1連結アーム33、34は、平板状であって、第1接続管部32の軸方向他端部を径方向両側から挟んで配置されるように互いに平行に設けられている。両第1連結アーム33、34の外側面には、夫々極く短い円柱状をなす枢軸部35、36(図3及び図4参照)が、互いに離れる方向に突出して一体に設けられている。
一方の第1連結アーム33の外面には、たとえば円板状をなす床面接触部37が、枢軸部35に一体に又は連結して設けられている。床面接触部37は、家具の下方空間に臨む床面を掃除する際に、床面と接触して継手ホース50と床面との接触を防止するホース保護手段として機能するものであって、そのために、円弧状の下縁37a(図3参照)が管継手17の中で最も下方に突出する大きさに床面接触部37が作られている。
他方の第1連結アーム34の外面には、床面接触部37より一回り小径の円板状をなす固定クラッチ板38が、枢軸部36に一体に又は連結して設けられている。図3等に示すように固定クラッチ板38は、その中央部に例えば凹状のばね受け部38aを有しているとともに、このばね受け部38aの周囲に放射状に配置された多数の歯38bを有している。
硬質合成樹脂製の第2継手部材41は、第2接続管部(下流側接続端部)42と、この第2接続管部42の軸方向一端部に第2接続管部42の軸方向に延びて突設された一対の第2連結アーム43、44とを有している。第2接続管部42は直管状であり、その軸方向他端部は第2の管に着脱可能に嵌合して接続される。なお、符号41aは第2の管と接続の固定と解除をするために第2の管に設けられたロック部材の係止端部が着脱自在に係合される係合溝を示している。この係合溝41aには、第2接続管部42を前記吸込み管13に嵌入した時に前記ロック部材13aが係合され、それによって掃除機本体12に対して第2接続管部42が位置決めされる。この位置決め状態では、 第2接続管部42の吸込み管13からの外れ止めと、この吸込み管13に対する第2接続管部42の軸回りの回り止めがなされる。
図3及び図4に示すように第2接続管部42の軸方向一端部には、一対のアーム下半部43a、44aが夫々一体に突設されている。更に、第2接続管部42の軸方向一端部には、両側にアーム上半部43b、44bを有したコ字状部材45が取付けられている。アーム下半部43aとコ字状部材45のアーム上半部43bとは上下方向に連続して一方の第2連結アーム43をなし、同様に、アーム下半部44aとコ字状部材45のアーム上半部44bとは上下方向に連続して他方の第2連結アーム44をなしている。
これら第2連結アーム43、44は、夫々平板状であって、第2接続管部42の軸方向他端部を径方向両側から挟んで配置されるように互いに平行に設けられている。アーム下半部43a、44aの先端部には上方に開放した半円状の軸受溝が設けられ、アーム上半部43b、44bの先端部にも下方に開放した半円状の軸受溝が設けられている。上下の軸受溝は互いに合わさって円径の軸受孔を形成するものであって、これらの軸受孔が夫々対応する枢軸部35又は36に回転可能に嵌合されている。これにより、一方の第1連結アーム33とこれに対応する位置の一方の第2連結アーム43とが枢軸部35を中心に回転可能に連結され、同様に、他方の第1連結アーム34とこれに対応する位置の他方の第2連結アーム43とが枢軸部36を中心に回転可能に連結されている。
以上のように回転可能に連結された第1、第2の継手部材31、41は、ロック装置55による後述の固定が解除された状態で、第1、第2の継手部材31、41が互いの延長線上に配置されるように捩りばね51(図7参照)で付勢されている。捩りばね51は、渦巻状であって、第1継手部材31に連結された床面接触部37の内側に配置されていて、その外周側一端部が床面接触部37に固定され、内周側他端部が一方の第2連結アーム43に固定されている。この捩りばね51は、図8(A)に示すように第1、第2の継手部材31、41が互いの延長線上に配置された状態から図8(B)に示すように第1、第2の継手部材31、41が折れ角βを作った場合に、巻締められてばね力を蓄える。
継手ホース50は、可撓性を有するものであって、好適な例として軟質塩化ビニルやエラストマ等の材料で蛇腹状をなして自在に湾曲可能に形成されたホースが用いられている。継手ホース50は、その軸方向一端部を第1接続管部32に接着剤等を介して接続し、軸方向他端部を第2接続管部42に接着剤等を介して接続することによって、第1、第2の継手部材31、41を連通しこれらにわたって取付けられている。
継手ホース50を用いて第1、第2の継手部材31、41を連通する構成は、その構成が簡単でエアー漏れの恐れがないとともに、第1、第2の接続管部32、42の風路断面積と連通経路(継手ホース50)の風路断面積を略同一に保持できるので、管継手17での圧力損失が抑制され電気掃除機11の吸気性能を低下させ難く、管継手17でのごみ詰まりを抑制できる点で好ましい。この継手ホース50は、互いに回転可能に連結された一方の第1、第2の連結アーム33、43と、同じく互いに回転可能に連結された他方の第1、第2の連結アーム34、44との間に配設されている。この継手ホース50の直径は前記床面接触部37の直径より小さく、それにより、継手ホース50がいかなる状態でも、床面接触部37の円弧状をなす下縁37aの下方に突出しないようになっている。
図7で代表して示すように互いに連結された第1、第2の継手部材31、41にわたって複数本の電線47が配線されている。詳しくは、互いに連結された他方の第1、第2の連結アーム34、44にはその好ましくは上端面に開放する溝34d、44dが夫々形成されていて、これらの溝34d、44dにわたって接続管部32、42から外れた電線47の中間部分が収容されている。この中間部分の一部は溝34d、44dから外れて第1、第2の連結アーム34、44間にわたっている。このわたっている電線部分は、他方の第1、第2の連結アーム34、44の回動に伴って挟み込まれることがないように、前記他方の第1、第2の連結アーム34、44の端面から余裕を持って離れるように設けられている。
このように継手ホース50を迂回して第1、第2の継手部材31、41にわたって配線された電線47の一端は、第1継手部材31に引き込まれて、この第1継手部材31に内蔵の前記端子金具に接続されている。又、電線47の他端は、第2継手部材41に設けた端子ピン48に夫々接続されている。これら端子ピン48には第2継手部材41に配線された他の電線49が接続されている。電線47、49は、吸込み口体25に取付けられた電気部品に対する給電線又は信号線或いはこれらの双方を兼ねて使用される。
図3〜図7に示すようにロック装置55は、噛合いクラッチ56と、押し釦60を有した連動機構61とを備えていて、回転可能に連結された第1、第2の継手部材31、41相互間に作られる角度が所望の状態でこれら第1、第2の継手部材31、41を固定することが可能であって、手動操作により前記固定及びこの固定の解除が選択されるように構成されている。
言いかえれば、ロック装置55は、噛合いクラッチ56の噛合い状態で第1、第2の継手部材31、41を所望の状態に固定するとともに、前記噛合いが外された状態で第1、第2の継手部材31、41の回転を許すものであって、押し釦60の押込み操作の繰返しに連動する連動機構61によって交互に噛合いクラッチ56の噛合い状態とこの噛合いが外された状態、つまり、前記固定とその解除とを得ることができる。
噛合いクラッチ56は、前記固定クラッチ板38と、これに接離する可動クラッチ板57と、この可動クラッチ板57を固定クラッチ板38から離れる方向に付勢するばね58とを有している。円板形状の可動クラッチ板57は、その周部に放射状に配置されて前記歯38bと噛合う多数の歯57bを有している。ばね58は、固定クラッチ板38のばね受け部38aと可動クラッチ板57の中央部との間に挟設されている。
噛合いクラッチ56を連動する連動機構61は、押し釦60と、回転駒62と、ばね63と、ホース保護手段として機能する床面接触部64とを備えている。
押し釦60は、一端が閉じるとともに他端が開放された円筒状をなし、その中心部に軸60aを有している。この軸60aは押し釦60の開放された他端の開口から突出している。押し釦60の外周面には軸方向に延びるリブ60bが周方向に沿って間隔的に突設されている。押し釦60の開放された他端の開口縁はV字状をなす溝部と凸部とが交互に連続した凹凸開口縁60cをなしている。軸60aには、凹凸開口縁60cから所定距離離れて前記可動クラッチ板57が固定されている。したがって、可動クラッチ板57は押し釦60と共に軸方向に移動できる。
回転駒62及びばね63は、凹凸開口縁60cと可動クラッチ板57との間に配設されていて、ばね63によって回転駒62は凹凸開口縁60cに向けて付勢されている。回転駒62は軸60aに対して軸方向に移動可能でかつ軸回りに回転可能に嵌合されている。図3及び図4に示すように回転駒62は、V字状をなす溝部と凸部とが交互に連続した凹凸環状部62aと、周方向に沿って所定間隔ごとに位置する複数の従動凸部62bとを有している。凹凸環状部62aは凹凸開口縁60cにかみ合うように係脱することができる。各従動凸部62bは凹凸環状部62aに対して回転駒62の外周側に設けられている。これらの従動凸部62bは、内側の凹凸環状部62aが有した凸部の内で所定間隔ごとに位置する複数の凸部に対して回転駒62の半径方向に連続している。
床面接触部64は、一対の半円筒状部材64a、64bを、互いの合い面を接合し接着止めして円筒状に形成されている。床面接触部64の直径は前記床面接触部37と同じである。この床面接触部64は、前記噛合いクラッチ56を収容して前記他方の第2連結アーム44に接着剤を介して固定されている。
床面接触部64が有した端壁64cの中央部には押し釦60が配置される孔が設けられていて、この孔の縁部に沿って床面接触部64の内側には環状のカム壁65(図3及び図4参照)が一体に設けられている。図4に示すようにカム壁65は、斜状のカム面65aを有したカム凸部65bと、係止溝65cと、ガイド溝65dとを有している。各係止溝65cはカム面65aの前記端壁64cに近付いた一端側に、このカム面65aと連続して設けられている。この係止溝65cとカム凸部65bとは交互に設けられているので、カム壁65の係止溝65cと反対側に位置する側面65fは、隣接している係止溝65cに連続している。側面65fは端壁64cに対して起立している。各ガイド溝65dはカム壁65の側面65fに寄せて設けられている。このガイド溝65dは、浅い溝部分と深い溝部分とを連続させてなり、これらの溝部分の境をなす段部65eを有している。ガイド溝65dの深い溝部分はカム面65aに開放している。
床面接触部64の端壁64cに挿入された押し釦60は、その各リブ60bを各ガイド溝65dの浅い溝部分に嵌合して、回り止めされるとともに軸方向に沿って移動可能に支持され、かつ、この浅い溝部分の前記端壁64c側の端に引っ掛って抜け止めされている。押し釦60は、これと床面接触部37とを、使用者の親指と他の指で掴むようにして親指で押し込み操作される。
押し釦60が押し込み操作された状態は図5に示されており、この状態では噛合いクラッチ56の噛合いが保持されたロック状態となっているので、第1、第2の継手部材31、41が所望の角度状態に固定される。又、押し釦60が次に押し込み操作された状態は図6に示されており、この状態では噛合いクラッチ56の噛合いが解除された状態(ロック解除状態)に保持されるので、第1、第2の継手部材31、41の前記固定が解除されて、これらを所望の角度とするように回動可能なフリー状態となる。
ロック状態では、噛合いクラッチ56の固定クラッチ板38に対してこれに正対した配置の可動クラッチ板57が、押し釦60の押し込み操作に伴って噛合わされる。この場合、押し釦60の凹凸開口縁60cが回転駒62の凹凸環状部62aに接触しているので、押し釦60とともに回転駒62が、その従動凸部62bをカム壁65の側面65fに沿わせつつ軸方向移動される。凹凸開口縁60cと凹凸環状部62aとの噛合うような係合は周方向にずれるように設定されているから、ばね63の付勢力によって回転駒62にはそのV字状部分の傾斜に応じて回転方向に分力が与えられている。
このため、既述の移動で、側面65fから回転駒62が外れると同時に、回転駒62が回転をはじめて、その従動凸部62bがカム壁65のカム面65aに乗り移って、このカム面65aの傾斜にしたがい係止溝65c側に移動するように回転駒62の回転が継続する。これにより、従動凸部62bは、直ちに側面65fの近傍位置のガイド溝65dの深い溝部分にばね63の力で入り込んで、段部65eに係合する。すなわち、この係合による位置決めで押し釦60及び可動クラッチ板57が押し込み位置に保持されて、ロック装置55がロック状態となる。
ロック解除状態は、ロック状態から押し釦60を押し込むことにより得られる。このロック解除状態では、噛合いクラッチ56の固定クラッチ板38から可動クラッチ板57がばね58の力で離されて、前記噛合いが外された状態となる。すなわち、ロック状態で押し釦60が押し込まれることにより、押し釦60の凹凸開口縁60cと回転駒62との接触を介して回転駒62が押し込まれるので、従動凸部62bがカム面65a上に達するようにガイド溝65dの深い溝部分から押出される。これにより、回転方向の分力を受けている回転駒62は回転を妨げられなくなるので、従動凸部62bが係止溝65cに寄る方向にこの従動凸部62bをカム面65aに摺動させながら回転駒62が回転される。これに伴い、ばね58の力で可動クラッチ板57が押し戻されて、固定クラッチ板38から離間した直後に、従動凸部62bが係止溝65cに落ち込むように入り込んで係合し、これらが係合する。すなわち、この係合による位置決めで押し釦60及び可動クラッチ板57が押し込み解除位置に保持されて、ロック装置55が第1、第2の継手部材31、41の固定を解除した状態となる。
そして、この状態から押し釦60を押し込むと前記ロック状態となるので、以上のロック状態とロック解除状態とは、押し釦60を繰返し押すごとに交互に繰返えし実現される。前記構成のロック装置55は、回転駒62の軸方向に移動するに伴って節度感を得られるので、ロック状態とロック解除状態とを確認し易い。
以上説明した管継手17を、延長管として使用される吸気管22、23間に取付けるには、例えば、第1接続管部32を吸気管22の下流側端部に嵌合させて接続するとともに、第2接続管部42を吸気管23の上流側端部に嵌合させて接続することによって、第1、第2の管を管継手17によって連通状態に接続できる。
通常の掃除において管継手17は、ロック装置55をロック状態として第1、第2の継手部材31、41が図1及び図2に示す直線状となる標準状態にして使用される。この状態で管継手17を介して吸気管22、23が接続された状態が図8(A)に示されており、吸気管22、23は、互いの延長線上に配置されて一直線になっている。このため、吸気管22、23を直接接続して吸気風路部15を組立てて掃除をする場合と同様な形態で床面等を掃除することができる。
ところで、図8(B)のようにソファAなどのような脚付きの家具の下を掃除する場合には、管継手17で接続された上、下流側の吸気管22、23を、管継手17を中心に折り曲げて使用すればよい。この折り曲げ状態を得るには、まず、押し釦60を押し込んでロック装置55の噛合いクラッチ56の噛合いを外して、ロック装置55による第1、第2の継手部材31、41の固定を解除する。これにより、第1、第2の継手部材31、41は、相対的回動を妨げられないフリー状態となって、これらは互いに相手に拘束されることなく所定角度範囲にわたって自由に回動可能となる。
次に、第1、第2の継手部材31、41を所望角度回動させた状態で、再び押し釦60を押し込むことにより、ロック装置55の噛合いクラッチ56を噛合わせてロック状態として、継手部材31、41が相対的に回動できないように拘束する。このため、継手部材31、41の接続管部32、42に嵌合して接続されている吸気管22、23は、互いの延長線上から外れて位置されて、図8(B)に示すように折れ曲がった角度(折れ角β)を保持する。この場合、継手部材31、41がなす折れ角βは任意に設定できる。すなわち、ソファAの幅や脚の長さ、或いは使用者の背丈や手の長さによるハンドル部24aの高さ位置に対して、使用者が掃除上適当と考える折れ角βを選択できる。
このように互いに隣接する上、下流側の吸気管22、23を所望の折れ角βにしてソファAの下を掃除できる。このため、吸気風路部15を横たえる必要がないとともに、使用者が腰をかがめるとしてもそれが軽度で済むので、使用者の疲労を軽減できる。これにより、無理なくソファAの下を隅々まで容易に掃除できる。
この掃除において吸気管22、23の折り曲げ中心となる管継手17が有している床面接触部37、64が、被掃除面(床面)に接するので、管継手17より上流側に配置されて床面に沿う吸気管22が、床を擦ることがないとともに、管継手17の継手ホース50が床面に接して床を擦って、この継手ホース50が摩耗することを抑制できる。
しかも、図8(B)に示す使用状態では、折れ角βに従って捩じりばね51にばね力が蓄えられる。このため、ロック装置55による第1、第2の継手部材31、41の固定を解除した状態として掃除をする場合には、第1の継手部材31とともにこれに接続された上流側の吸気管22を床面方向に押し付けて、吸込み口体25の吸込み開口が床面から離れないようにしながら掃除を行うことができ、吸塵性能がよい。
又、既に説明したように吸込み管13、吸気管21〜24、及び接続管27は、互いに着脱可能に嵌合して接続できるので、付属品である前記管継手17を付け替えて図8(C)に示すように掃除機本体12に延長管をなす吸気管22、23を支持することができる。
すなわち、管継手17が備える第2継手部材41の第2接続管部42を吸込み管13に嵌入させて、掃除機本体12に管継手17が取付けられる。こうして取付けられた管継手17は、ロック部材13aにより所定の姿勢を保持するように位置決めされる。そして、この状態で、管継手17が備える第1継手部材31を上向きとなるように起こすとともに固定し、この第1継手部材31の第1接続管部32に延長管の下流側吸気管23を嵌合して接続する。若しくはこの手順に代えて、予め延長管の下流側吸気管23を第1接続管部32に嵌合し接続してから、第1継手部材31と一緒に延長管が上向きとなるように起こすとともに固定する。以上の場合、押し釦60を押圧操作して噛合いクラッチ56の噛合いとその解除を選択することで、第1継手部材31を上向きに起こす回転と、上向き位置での固定とがなされる。
第1継手部材31が上向きに起こされることにより、管継手17は側面視略L字状をなして掃除機本体12の前側に取付けられ、この管継手17を介して延長管をなす吸気管22、23が上向きの姿勢で掃除機本体12に支持される。この場合、延長管を任意の上向き角度となる位置で固定することができ、図8(C)の場合は略鉛直状態となるように起こされた状態を示している。
延長管が起こされた状態で、吸気ホース26の接続管27を、延長管の上流側吸気管22の先端に嵌合して接続するとともに、吸気ホース26の吸気管24に吸込み口体28又は25を嵌合して接続してから、電気掃除機11を運転する。これにより、掃除機本体12を床面上に置いたままで、かつ、高所を掃除するための高さ位置を延長管により吸気ホース26に与えて、高所を掃除できる。この掃除では、延長管を支える必要がないので、高所の掃除を手軽に行うことができ、使い勝手がよい。
図9は本発明の他の実施形態を示している。この実施形態は、基本的には一実施形態と同じであるので、同一部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
図9の実施形態の電気掃除機11がアタッチメントとして備える管継手17は、前向きの吸込み管13と延長管とを接続する専用部品として備えられている。管継手17の第2継手部材41の接続管部は吸込み管13の径に合わせて、この吸込み管13に嵌入して接続される太さに形成され、管継手17の第1継手部材31の接続管部は、延長管の下流側吸気管23の下流側端部に嵌合して接続される太さに形成されている。この第1継手部材31の接続管部は第2継手部材41の接続管部より細い。これにより、延長管をなす吸気管22、23の太さを、これより大径な吸込み管13の径に合わせて大きくする必要がなくなるので、延長管の軽量化及びコストダウンが可能である。
更に、電気掃除機11は、高所を掃除する際に管継手17とともに使用される他のアタッチメントとしての管継手18を備えている。管継手18は、直管状をなし、その上流側端部に吸込み管13から取外された吸気ホース26の接続管27が嵌入して着脱可能に接続され、下流側端部に接続管27より小径な延長管の上流側吸気管22の上流側端部が嵌入して着脱可能に接続される。したがって、この管継手18を介して異径の接続管27と吸気管22とを接続できる。
図9の実施形態において、高所を掃除する場合には、吸気ホース26が取外された掃除機本体12の吸込み管13に、管継手17の第2継手部材41の接続管部を接続するとともに、この管継手17の第1継手部材31の接続管部に延長管の吸気管23を接続する。更に、延長管の吸気管21に他の管継手18を介して吸気ホース26の接続管27を接続するとともに、この吸気ホース26の吸気管24に吸込み口体28等を接続する。そして、管継手17が側面視略L字状(図9参照)となるように延長管とともに第1継手部材31を上向きに回転させて所望の回転位置で固定した後に、電気掃除機11を運転すればよい。
これにより、掃除機本体12を床面上に置いたままで、かつ、高所を掃除するための高さ位置を延長管により吸気ホース26に与えて、高所を掃除できる。この掃除では、延長管を支える必要がないので、高所の掃除を手軽に行うことができ、使い勝手がよい。
図10は本発明の更に他の実施形態を示している。この実施形態は、基本的には図9に示した他の実施形態と同じであるので、同一部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
この図10の実施形態では、管継手17の第1、第2の継手部材31、41の内のいずれか一方例えば第1の継手部材31が、他方の第2の継手部材41より長く、例えば、2本継ぎの延長管の一方の延長管を兼ねる程度に長く形成されている。そして、この第1の継手部材31を上向きにした時に、これに接続される延長管23は、図10の実施形態では例えば単一の管からなるものを用いたが、これは2本継のものであってもよい。なお、以上説明した点以外の構成は、図9に示した他の実施形態と同じである。
したがって、この図10の実施形態においても、掃除機本体12を床面上に置いたままで、かつ、高所を掃除するための高さ位置を、管継手17の第1、第2の継手部材31、41及び延長管23により、吸気ホース26に与えて、高所を掃除できる。この掃除では、延長管23を支える必要がないので、高所の掃除を手軽に行うことができ、使い勝手がよく、本発明の課題を解決できる。
本発明は前記各実施形態には制約されない。例えば、管継手17は、その上流側接続管部と下流側接続管部とが一体につながっていて、相対的に両接続管部が回動することがないように構成されたエルボ状の構成であってもよい。
更に、本発明は、電動送風機が内蔵されるとともに前向きに開口する吸込み管を有した掃除機本体と、塵を吸込む吸込み開口及び吸気管を有した吸込み口体と、吸気風路部と、管継手と、を具備する電気掃除機としてもよい。この場合、前記吸込み口体と前記掃除機本体とを連通する吸気風路部は、前記吸込み管に着脱可能に接続される吸気管を一端に有するとともに他端に前記吸込み口体の吸気管が着脱可能に接続される他の吸気管を有した吸気ホース、一端が前記他の吸気管に着脱可能に接続されるととに他端が前記吸込み口体の吸気管に着脱可能に接続される延長管を備えた構成とする。又、高所掃除において側面視略L字状をなして使用可能な管継手は、前記延長管が着脱可能に接続されるとともに前記各吸気管の内の少なくとも1つが着脱可能に接続される上流側継手部材、及びこの上流側継手部材と連通し、前記吸込み管に嵌合してこの吸込み管に着脱可能に接続できるとともに、前記吸込み管に接続された状態で前記上流側継手部材が上向きとなるように位置決めされる下流側継手部材を有した構成とする。これにより、管継手は掃除機本体に取付けて使用されるが、この管継手の上流側継手部材(第1の継手部材)に、延長管又はその他の吸気風路部材を選択的に取付けて掃除ができるので、多様な掃除形態を得ることが可能である。
更に、前記各実施形態では、管継手はもっぱら高所の掃除に使用するものとして説明したが、管継手の上流側継手部材は下向きにも回転させて位置決めできるので、この状態で吸気風路部材の少なくとも一つを選択的に接続して掃除を行うことも可能である。
11…電気掃除機、12…掃除機本体、13…吸込み管、13a…ロック部材、15…吸気風路部、17…管継手、18…管継手、21…吸気管、22…吸気管(延長管)、23…吸気管(延長管)、24…吸気管、25…吸込み口体、26…吸気ホース、27…接続管、28…吸込み口体、31…第1継手部材、32…第1接続管部、33、34…第1連結アーム、41…第2継手部材、42…第2継手管部、43、44…第2連結アーム、50…継手ホース、55…ロック装置、56…噛合いクラッチ、60…押し釦、61…連動機構。