JP2005147038A - 排気浄化装置 - Google Patents

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浩 平林
So Ohara
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Abstract

【課題】必要最小限の燃料の添加により効率良くNOx吸蔵還元触媒を再生し得るようにした排気浄化装置を提供する。
【解決手段】排気ガス8中のNOxを酸化して硝酸塩の状態で一時的に吸蔵し且つ排気ガス8中の酸素濃度の低下時に還元剤の介在によりNOxを分解放出するNOx吸蔵還元触媒10を排気管9の途中に装備すると共に、該排気管9のNOx吸蔵還元触媒10より上流に排気ガス8中に燃料を添加するインジェクタ11を配設した排気浄化装置に関し、炭化水素の吸着機能を有し且つ酸化を促す触媒機能を持たないHC吸着材13の層を前記NOx吸蔵還元触媒10の表面に被覆する。
【選択図】図1

Description

本発明は、排気管の途中にNOx吸蔵還元触媒を装備した排気浄化装置に関するものである。
従来より、排気管の途中に装備した排気浄化用触媒により排気浄化を図ることが行われており、この種の排気浄化用触媒としては、排気空燃比がリーンの時に排気ガス中のNOxを酸化して硝酸塩の状態で一時的に吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下した時に未燃HCやCO等の介在によりNOxを分解放出して還元浄化する性質を備えたNOx吸蔵還元触媒が知られている。
この種のNOx吸蔵還元触媒としては、白金・バリウム・アルミナ触媒や、白金・バリウム・ロジウム・アルミナ触媒、イリジウム・白金・バリウム・アルミナ触媒等が前述した如き性質を有するものとして既に知られており、これらのうちで担体部分を成すアルミナは、適宜にシリカ、ジルコニア、酸化チタン等に置換することが可能である。
そして、NOx吸蔵還元触媒においては、NOxの吸蔵量が増大して飽和量に達してしまうと、それ以上のNOxを吸蔵できなくなるため、定期的にNOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの酸素濃度を低下させてNOxを分解放出させる必要がある。
例えば、ガソリン機関に使用した場合であれば、機関の運転空燃比を低下(機関をリッチ空燃比で運転)することにより、排気ガス中の酸素濃度を低下し且つ排気ガス中の未燃HCやCO等の還元成分を増加してNOxの分解放出を促すことができるが、NOx吸蔵還元触媒をディーゼル機関の排気浄化装置として使用した場合には、機関をリッチ空燃比で運転することが困難であるため、NOx吸蔵還元触媒の上流側で排気ガス中に燃料を添加することにより、その添加した燃料を高温の排気ガス中で蒸発させて多量の炭化水素を生成し、この炭化水素を還元剤として酸素と反応させることで排気ガス中の酸素濃度を低下させる必要がある。
尚、排気管途中に装備したNOx吸蔵還元触媒等の後処理装置の上流側に燃料を添加するという考え自体は従来より提案されているものであり、例えば、下記の特許文献1には、シリンダヘッドの排気ポートに燃料添加用インジェクタを装備して、該インジェクタによる排気ポート噴射で排気ガス中に燃料を添加し、その添加燃料をタービンで撹拌した上で後処理装置に供給するようにした手段が提案されている。
ただし、ディーゼルエンジンを搭載した大型車両等においては、EGR装置やターボチャージャの信頼性を確保する観点から、排気管途中の後処理装置の入側にインジェクタを装備して燃料添加を行うことが望まれており、既に下記の特許文献2等に排気管の途中にインジェクタで燃料添加を行う手段が提案されている。
特開2001−280125号公報 特開2000−240429号公報
しかしながら、このように排気管の途中にインジェクタで燃料添加を行う方式では、その添加燃料が蒸発して生じた炭化水素の一部がNOx吸蔵還元触媒の表面上で排気ガス中の酸素と反応(燃焼)して消費されてしまうため、燃料の添加量が多く必要となって燃費の悪化が顕著になり、しかも、NOx吸蔵還元触媒の再生が効率良く進まないことで触媒の容積中に占めるNOx吸蔵サイトの回復割合が小さくなって吸蔵能力が落ちるという問題があった。
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、必要最小限の燃料の添加により効率良くNOx吸蔵還元触媒を再生し得るようにした排気浄化装置を提供することを目的としている。
本発明は、排気ガス中のNOxを酸化して硝酸塩の状態で一時的に吸蔵し且つ排気ガス中の酸素濃度の低下時に還元剤の介在によりNOxを分解放出するNOx吸蔵還元触媒を排気管の途中に装備すると共に、該排気管のNOx吸蔵還元触媒より上流に排気ガス中に燃料を添加するインジェクタを配設した排気浄化装置において、炭化水素の吸着機能を有し且つ酸化を促す触媒機能を持たないHC吸着材の層を前記NOx吸蔵還元触媒の表面に被覆したことを特徴とするものである。
而して、このようにすれば、インジェクタから噴射された燃料が高温の排気ガス中で蒸発して多量の炭化水素を生成し、この炭化水素がHC吸着材に吸着して保持されるので、NOx吸蔵還元触媒の表面にリッチ雰囲気(酸素濃度が低く且つ還元成分が多い雰囲気)が効率良く形成されて長く持続されることになる。
この結果、排気ガス中の酸素により無駄に消費される炭化水素が少なくなって燃料の添加量が必要最小限で済み、しかも、NOx吸蔵還元触媒におけるNOxの分解放出反応及び還元浄化反応が著しく促進されて該NOx吸蔵還元触媒の再生効率が大幅に向上されることになる。
更に、本発明においては、NOx吸蔵還元触媒の表面を荒らして凹凸を形成した上でHC吸着材を被覆することが好ましく、このようにすれば、HC吸着材自体の表面積が増えることで排気ガス中からの炭化水素の吸着性が向上されると共に、HC吸着材とNOx吸蔵還元触媒との接触表面積が増えることで炭化水素をNOx吸蔵還元触媒側へ供給し易くなって再生効率の更なる向上を図ることが可能となる。
また、本発明をより具体的に実施するに際しては、例えば、NOx吸蔵還元触媒の表面に被覆するべきHC吸着材を、少なくともゼオライト、アルミナを含む複合酸化物により構成することが可能である。
上記した本発明の排気浄化装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
(I)必要最小限の燃料の添加によりNOx吸蔵還元触媒の表面に効率良くリッチ雰囲気を形成して長く持続させることができるので、燃費の悪化を極力回避しつつNOx吸蔵還元触媒の再生効率を大幅に向上することができ、延いては、触媒の容積中に占めるNOx吸蔵サイトの回復割合を大きくして吸蔵能力を高めることができ、NOx吸蔵還元触媒のNOx低減性能を従来より大幅に向上することができる。
(II)NOx吸蔵還元触媒の表面を荒らして凹凸を形成した上でHC吸着材を被覆した構成を採用すれば、HC吸着材自体の表面積を増やして排気ガス中からの炭化水素の吸着性を向上することができると共に、HC吸着材とNOx吸蔵還元触媒との接触表面積を増やして炭化水素をNOx吸蔵還元触媒側へ供給し易くすることで再生効率の更なる向上を図ることもできる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1〜図5は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図1中における符号の1はターボチャージャ2を搭載したディーゼルエンジンを示しており、エアクリーナ3から導いた吸気4を吸気管5を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへ導いて加圧し、その加圧された吸気4をインタークーラ6を介しディーゼルエンジン1の各気筒に分配して導入するようにしてある。
また、このディーゼルエンジン1の各気筒から排気マニホールド7を介し排出された排気ガス8を排気管9を通して前記ターボチャージャ2のタービン2bへ送り、該タービン2bを駆動した排気ガス8をNOx吸蔵還元触媒10を通してNOxを低減化した上で車外へ排出するようにしてある。
更に、排気管9の途中における適宜位置、即ち、ここに図示している例でL字状に曲がっている排気管9の屈曲部に対し、燃料噴射方向が排気ガス8の流れ方向に沿うようにインジェクタ11が貫通装着されている。
ここで、このインジェクタ11は、ディーゼルエンジン1の気筒内噴射に用いられるインジェクタのように高圧雰囲気に燃料噴射を行うものではないので、大気圧に近い排気圧力に抗して燃料を噴射できる程度のインジェクタであれば良く、例えば、ガソリンエンジンの気筒内噴射に用いられているインジェクタをそのまま流用することも可能である。
そして、本形態例においては、前記NOx吸蔵還元触媒10を構成するにあたり、図2に示す如く、フロースルー型のハニカム構造としたアルミナ等から成る担体12にバリウム、白金、ロジウムを混ぜた触媒成分を担持せしめており、しかも、その格子状の各流路内におけるNOx吸蔵還元触媒10の表面には、炭化水素の吸着機能を有し且つ酸化を促す触媒機能を持たないHC吸着材13の層を被覆させてある。
ここで、NOx吸蔵還元触媒10の表面に被覆するべき具体的なHC吸着材13としては、ゼオライト、アルミナ、シリカ等の複合酸化物があげられるが、炭化水素の吸着機能を有し且つ酸化を促す触媒機能を持たないものであればこれ以外のものであっても良い。
尚、図1に示している例においては、NOx吸蔵還元触媒10の後段に、酸化触媒を担持させた触媒再生型のパティキュレートフィルタ14を装備した場合を例示しており、このパティキュレートフィルタ14は、排気ガス8中のパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)を捕集し得るようコージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造として構成されている。
而して、このように排気浄化装置を構成すれば、インジェクタ11から噴射された燃料が高温の排気ガス8中で蒸発して多量の炭化水素を生成し、図3に示す如く、この炭化水素がHC吸着材13に吸着して保持されるので、NOx吸蔵還元触媒10の表面にリッチ雰囲気(酸素濃度が低く且つ還元成分が多い雰囲気)が効率良く形成されて長く持続されることになる。
この結果、排気ガス8中の酸素により無駄に消費される炭化水素が少なくなって燃料の添加量が必要最小限で済み、しかも、NOx吸蔵還元触媒10におけるNOxの分解放出反応及び還元浄化反応が著しく促進されて該NOx吸蔵還元触媒10の再生効率が大幅に向上されることになる。
即ち、図4にNOx吸蔵還元触媒10の表面にHC吸着材13を被覆しない場合を比較例として示すと、このようにした場合には、炭化水素の一部がNOx吸蔵還元触媒10の表面上で排気ガス8中の酸素と反応(燃焼)して消費されてしまうので、炭化水素が無駄に消費されることで燃料の添加量が多く必要となる上、NOx吸蔵還元触媒10の再生が効率良く進まないという結果になる。
従って、上記形態例によれば、必要最小限の燃料の添加によりNOx吸蔵還元触媒10の表面に効率良くリッチ雰囲気を形成して長く持続させることができるので、燃費の悪化を極力回避しつつNOx吸蔵還元触媒10の再生効率を大幅に向上することができ、延いては、触媒の容積中に占めるNOx吸蔵サイトの回復割合を大きくして吸蔵能力を高めることができ、NOx吸蔵還元触媒10のNOx低減性能を従来より大幅に向上することができる。
事実、本発明者らによる検証実験によれば、図5にグラフで示す通り、図4の比較例の場合で約53%のNOx低減率であったものが、本形態例の場合では約65%のNOx低減率に性能を高められることが確認された。
図6は本発明の別の形態例を示すもので、本形態例においては、NOx吸蔵還元触媒10の表面を荒らして凹凸を形成した上でHC吸着材13を被覆した構成を採用している。
このようにすれば、HC吸着材13自体の表面積を増やして排気ガス8中からの炭化水素の吸着性を向上することができると共に、HC吸着材13とNOx吸蔵還元触媒10との接触表面積を増やして炭化水素をNOx吸蔵還元触媒10側へ供給し易くすることで再生効率の更なる向上を図ることができる。
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、インジェクタは必ずしも排気管の屈曲部に配設しなくても良いこと、また、インジェクタにより添加される燃料には、一般的なディーゼルエンジン用燃料である軽油を用いる以外に、灯油等の異種燃料を用いても良いこと、更に、図示例ではパティキュレートフィルタを別途設置しているが、この種のパティキュレートフィルタに担持させたNOx吸蔵還元触媒の表面にHC吸着材を被覆するようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明を実施する形態の一例を概略的に示す全体図である。 図1のNOx吸蔵還元触媒の要部の詳細を示す断面図である。 図2のHC吸着材による吸着作用についての説明図である。 HC吸着材を被覆していない比較例の場合の説明図である。 本形態例と図4の比較例とのNOx低減率に関するグラフである。 本発明の別の形態例を示す要部の断面図である。
符号の説明
8 排気ガス
9 排気管
10 NOx吸蔵還元触媒
11 インジェクタ
13 HC吸着材

Claims (3)

  1. 排気ガス中のNOxを酸化して硝酸塩の状態で一時的に吸蔵し且つ排気ガス中の酸素濃度の低下時に還元剤の介在によりNOxを分解放出するNOx吸蔵還元触媒を排気管の途中に装備すると共に、該排気管のNOx吸蔵還元触媒より上流に排気ガス中に燃料を添加するインジェクタを配設した排気浄化装置において、炭化水素の吸着機能を有し且つ酸化を促す触媒機能を持たないHC吸着材の層を前記NOx吸蔵還元触媒の表面に被覆したことを特徴とする排気浄化装置。
  2. NOx吸蔵還元触媒の表面を荒らして凹凸を形成した上でHC吸着材を被覆したことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. 少なくともゼオライト、アルミナを含む複合酸化物によりHC吸着材を構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
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