JP2005143973A - 白血球除去装置、白血球除去用流路系および白血球除去方法 - Google Patents

白血球除去装置、白血球除去用流路系および白血球除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 抗凝固剤の機能を維持したまま、血液成分の目詰まりや凝固のリスクを低減することによって白血球除去フィルターの圧損上昇のリスクを低減し、目標とする量の血液を処理して血液中の白血球を除去するための、白血球除去装置および白血球除去方法を提供すること。
【解決手段】 血液導出口、白血球除去フィルター及び返血口がこの順に導管によって接続され、白血球除去フィルターの上流側導管には抗凝固剤を注入するための導管を備えている白血球除去装置において、白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管に、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための冷却手段が設けられている、白血球除去装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、血液中の白血球を除去する装置、白血球除去用の流路系および白血球除去方法に関する。更に詳しくは、本発明は、白血球除去フィルターを使用した白血球除去装置において、抗凝固剤により抗凝固された血液中の白血球を除去する白血球除去装置、白血球除去用流路系および白血球除去方法に関する。
近年、潰瘍性大腸炎、クローン病等の炎症性腸疾患、関節リウマチ、多発性硬化症等の自己免疫疾患、C型肝炎等のウイルス性疾患、アレルギー疾患において白血球を除去することを目的とした白血球除去療法が行われるようになってきた。
しかしながら、白血球除去療法においては、施行中にブラッドアクセスの不良等により、使用する白血球除去器内に血液の滞留時間が長くなり、抗凝固剤の効果が低下することで、白血球除去器内あるいは回路内での凝固を起こす可能性が高まるため、これらリスクを減らすための装置、回路および白血球除去方法の開発が望まれていた。
また、採血した血液の白血球除去を行なう場合においても、検体数の増加等により除去までの時間が長期化することで、抗凝固剤の機能を十分維持したまま白血球を除去することが困難となることがある。抗凝固剤の影響を減らし、安定に白血球除去できる装置、流路系および白血球除去方法の開発が望まれていた。
一方、従来、血漿成分を冷却することによる血漿成分の分離、除去を行なう方法が開発されている。特許文献1には、血漿成分から悪性物質である免疫グロブリンおよび/または免疫複合体を除去する目的で、吸着材と被浄化血液または血漿の温度を0℃以上25℃以下に保つことにより、除去対象物質の除去効率が高まり、凝固線溶系が活性化されない技術が開示されている。しかしながら、血漿中に含まれる蛋白質の除去に関しての開示であり、白血球除去の場合に発生する、細胞の活性化や目詰まりによるカラム圧上昇のリスクを低減できる白血球除去装置、流路系および白血球除去方法については一切開示されていない。また、血小板を含む血液では極端に低温化すると活性化による凝固の促進を来たすため好ましくない。
また、特許文献2には、再循環血漿を4℃〜37℃に冷却することで、クリオグロブリンが効率的に除去できる装置が開示されている。同様に特許文献3には、クリオプレシピテートを分離する目的で血漿成分を凍結し、凍結成分を2〜4℃で解凍する技術が開示されている。しかしながら、これらは何れも血漿成分を冷却することで、血漿成分から特定の液性成分を効率的に除去する方法、装置について開示しているが、白血球、血小板等の細胞成分を含む血液から白血球を直接除去する技術については一切記載がなく、前述の如く細胞成分を含む血液の、ブラッドアクセスの不良による凝固のリスクを十分回避できる装置、流路系および方法ではなかった。
また、特許文献4には、乾燥した膜型血漿分離器に接触する血液の温度を25℃以下にすることで溶血等のリスクを減少する方法について開示されている。しかしながら、乾燥した材料と赤血球の接触による血漿分離による溶血についてのみの開示であり、抗凝固剤を増量することなく、抗凝固剤の機能を維持したまま白血球を除去する装置、これに用いる流路系、及び白血球除去方法については全く開示されていない。
上記したように、白血球除去療法における白血球除去フィルターのカラム圧上昇、目詰まりを防止するための白血球除去装置、これに用いる流路系および白血球除去方法を開示あるいは示唆する技術は、これまで知られていなかった。
特開昭58−173552号公報 特開昭63−212368号公報 特開平1−230521号公報 特開平3−99672号公報
本発明は、抗凝固剤の機能を維持したまま、血液成分の目詰まりや凝固のリスクを低減することによって白血球除去フィルターの圧損上昇のリスクを低減し、目標とする量の血液を処理して血液中の白血球を除去するための、白血球除去装置および白血球除去方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、上記白血球除去装置において用いるための白血球除去用流路系を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、白血球除去フィルターのフィルター材に接触する時の血液温度がフィルターの目詰まりや血液の凝固に大きな影響を与えることを見出し、更には、血液のフィルター材への接触温度をある特定の温度範囲に制御することによりフィルターの目詰まりや血液の凝固を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の側面によれば、血液導出口、白血球除去フィルター及び返血口がこの順に導管によって接続され、白血球除去フィルターの上流側導管には抗凝固剤を注入するための導管を備えている白血球除去装置において、白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管に、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための冷却手段が設けられている、白血球除去装置が提供される。
好ましくは、白血球除去フィルターの下流側導管に、血液を30℃以上42℃以下に加温するための加温手段が設けられている。
好ましくは、白血球除去フィルターの上流側導管または下流側導管の一部に送血手段が設けられ、かつ抗凝固剤を注入するための導管の一部に送液手段が設けられている。
好ましくは、冷却手段は、導管または導管に接続された熱交換器の外側から冷却板により冷却する方式であるか、あるいは導管または導管に接続された熱交換器の外側から冷却槽により冷却する方式であるか、あるいは血液に1℃以上20℃未満の抗凝固剤または/および生理的溶液を注入する方式である。
好ましくは、加温手段は、導管または導管に接続された熱交換器の外側から加温板により加温する方式であるか、あるいは導管または導管に接続された熱交換器の外側から加温槽により加温する方式である。
好ましくは、白血球除去フィルターを外気温から断熱する手段がさらに設けられている。
好ましくは、白血球除去フィルターは、入口と出口のある容器に白血球に親和性のある白血球除去材を充填したものである。
好ましくは、本発明の白血球除去装置は、被験者より採取した血液から白血球を除去し、白血球を除去した血液を該被験者に返血する体外循環による白血球除去のために使用することができる。
本発明の第二の側面によれば、血液導出口、白血球除去フィルター入口への接続部および抗凝固剤を注入するための導管を少なくとも備える上流側導管と、白血球除去フィルターと、返血口および白血球除去フィルター出口への接続部を少なくとも備える下流側導管とをこの順に接続してなる流路系において、白血球除去フィルターまたは/および上流側導管に、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための熱交換部が設けられている、白血球除去用流路系が提供される。
好ましくは、白血球除去フィルターの下流側導管に、血液を30℃以上42℃以下に加温するための熱交換部が設けられている。
好ましくは、白血球除去フィルターの上流側導管または下流側導管の一部に送血手段用回路が設けられ、かつ抗凝固剤を注入するための導管の一部に送液手段用回路が設けられている。
本発明の白血球除去用流路系は、好ましくは、上記した本発明の白血球除去装置に用いることができる。
本発明の第三の側面によれば、血液と抗凝固剤を混合すると同時に/または混合した後に該血液を10℃以上30℃未満に冷却し、次いで、上記血液を白血球除去フィルターに通過させることを含む、白血球が除去された血液を得る方法が提供される。
本発明の第四の側面によれば、被験者から取得した血液と抗凝固剤を混合すると同時に/または混合した後に該血液を10℃以上30℃未満に冷却し、次いで、上記血液を白血球除去フィルターに通過させることにより白血球が除去された血液を得、次いで、得られた白血球が除去された血液を被験者に返血することを含む、白血球除去方法が提供される。
好ましくは、白血球を除去された血液を30℃以上42℃以下に加温して被験者に返血する。
好ましくは、抗凝固剤の37℃での血中半減期は1分以上4時間未満である。
好ましくは、白血球を除去された血液を30℃以上42℃以下に加温することにより抗凝固剤の少なくとも一部を不活化する。
本発明の白血球除去方法においては、好ましくは、上記した本発明の白血球除去装置又は白血球除去用流路系を用いることができる。
本発明の白血球除去装置、白血球除去用流路系及び白血球除去方法を用いることにより、抗凝固剤の増量なく、また血液の個体間差なく白血球除去フィルターの圧損の上昇を抑制した状態で、1〜10Lの大量の血液からも白血球を除去することができる。
(1)本発明の白血球除去装置
本発明の白血球除去装置について詳細に説明する。
本発明の白血球除去装置の重要な特徴は、白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管に血液を10℃以上30℃未満に冷却するための冷却手段を有することである。本発明の白血球除去装置では、白血球除去フィルターの上流側導管で抗凝固された血液の温度を白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管において10℃以上30℃未満にコントロールすることができる。血液の温度が30℃以上の場合、抗凝固剤の活性が血液成分により不活化され易くなり、凝固のリスクが高まり好ましくない。一方、血液の温度が10℃未満の場合、血小板の活性化による凝固の促進や、赤血球の流動性が低下し、白血球除去フィルターのカラム圧損が上昇するリスクが増大するため好ましくない。白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管における血液の温度は、より好ましくは15℃以上28℃以下であり、最も好ましくは20℃以上25℃以下である。
本発明で用いる、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための冷却手段とは、血液との熱交換ができ、血液の温度を10℃以上30℃未満にコントロールできる手段であれば何れも有用に用いることができる。特に、導管または導管に接続された熱交換器の外側から冷却する手段が有用に用いられる。
血液を冷却する場合、白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管で冷却することが好ましい。従って冷却手段の位置は白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管の位置である必要がある。特に、冷却手段の位置が白血球除去フィルターの上流側導管である場合、白血球除去フィルターに入る前に血液を冷却できるため好ましい。冷却手段の位置としては、白血球除去フィルター直前であることが最も好ましい。
冷却手段の方式としては、冷却板と熱交換部を接触させる方式、冷却水、冷却溶液、冷気等の冷却槽により熱交換部を外側より冷却する方式等が好ましく用いられる。例示すると、ペルチェ素子等の冷却素子からなる冷却板と熱交換部を接触させる冷却手段、4℃以上30℃未満の液状の冷媒が入った冷却槽中に回路等の熱交換部を入れて接触させる冷却手段等を用いることができる。血液の過剰の冷却を防止するため、冷却板や冷媒の好ましい温度は7℃以上30℃未満、最も好ましくは、10℃以上23℃以下が好ましく用いられる。
白血球除去フィルター前の導管を外側から冷却する場合の熱交換部の形状としては、通常の血液回路、コイル状回路、ディスク状回路、バッグ状回路等種々の形状のものが良好に用いられる。何れも冷却効率を高める目的で表面積を高めることが好ましい。
一方、白血球除去フィルターを直接冷却する場合、白血球除去フィルターのハウジングを、前記冷却手段を用いて冷却し熱交換する方法が有用に用いられるが、これに限定されるものではない。
また、冷却された血液を外気から断熱する手段を設けることで、冷却後の血液の気温での温度上昇を抑制でき、環境因を最小限とできるため、有用に用いることができる。断熱手段を例示すると、白血球除去フィルターの周りを公知の発泡スチロール、断熱繊維等の断熱材で被覆する手段あるいはカバーを設ける手段等が例示できるがこれに限定されるものではない。
さらに、本発明の白血球除去装置では、冷却手段として、血液に1℃以上20℃未満の抗凝固剤または/および生理的溶液を注入する方式を用いることもができる。この場合、抗凝固剤を注入するための導管より、抗凝固剤含有生理的溶液を血液に注入する方式が特に好ましく用いられる。この場合、抗凝固剤または/および生理的溶液の好ましい温度は、注入時の血液温度に依存するが、1℃以上25℃未満が好ましい。温度が1℃未満の場合、注入液の凍結のリスクがあり好ましくない。一方25℃以上では必要注入量が多くなり血液の希釈があり好ましくない。以上の観点より、好ましい温度は1℃以上15℃未満、最も好ましくは4℃以上10℃未満である。
さらに、本発明の白血球除去装置には、白血球除去フィルターの下流側導管に血液を30℃以上42℃以下に加温するための加温手段を設けることで、より有用に用いることができる。
この場合、加温により、より体温に近い状態に血液を保つことができ、好ましい。また、血液中に注入した抗凝固剤の活性の一部を不活化することもでき、より血液の凝固性や酵素活性を得ることができるため好ましく用いられる。
本発明で用いる加温手段としては、導管または導管に接続された熱交換部の外側から加温板あるいは加温槽により加温する方式が好ましく用いられる。加温板あるいは加温槽により加温する熱交換部の形状としては、通常の血液回路、コイル状回路、ディスク状回路、バッグ状回路等種々の形状のものが良好に用いられる。何れも加温効率を高める目的で表面積を高めることが好ましい。
特に、体外循環による白血球除去療法においては、冷却された血液による被験者への負担を抑制できるため好ましく用いられる。
血液を体外で処理する場合、血液の凝固を防止する目的で抗凝固剤を注入するための導管を用い、抗凝固剤を血液中に加えることができる。本発明の白血球除去装置における抗凝固剤を注入するための導管としては、通常の血液回路や細めのヘパリン注入用回路等を用いることができる。また、抗凝固剤としては、抗凝固活性を有する化合物であれば、特に限定されないが、ヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸ガベキサート等の蛋白分解酵素阻害剤、クエン酸等が好ましい具体例として挙げられる。これらの中でも、汎用の観点から、好ましくはヘパリン、メシル酸ナファモスタット、クエン酸を用いることができる。本発明の白血球除去装置を用いることにより抗凝固剤の活性を維持できるため、本発明の白血球除去装置は、血中で不活化や活性低下をきたしやすいヘパリン、メシル酸ナファモスタットを用いる場合は特に有用である。
また、これら抗凝固剤は、生理食塩液等の生理的溶液で希釈して用いることもできる。
本発明で用いる生理的溶液は、血液及び生体に対して悪影響を与えない溶液をいう。生理的溶液の具体例としては、生理食塩液、リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、タイロード液等の生理的塩類溶液、ブドウ糖、デキストラン等の糖含有液などが挙げられる。抗凝固剤含有液は、他の生理的溶液により希釈して用いることもできる。
本発明で用いることができる送血手段とは、血液を一定或いは可変の流量で送血するための手段であり、公知のポンプ等を用いた任意の手段を用いることができる。この場合ポンプは、チューブを外部からしごいたり、押したりするローラーポンプ、フィンガーポンプ等が有用に用いられる。本発明の白血球除去装置では、血液の送血速度は20ml/min以上100ml/min以下であることが好ましい。血液の送血速度が20ml/min未満の場合白血球除去器内での血液の滞留が起こりやすくなる傾向にあるため20ml/min以上で送血することが好ましい。一方、送血速度が100ml/minより速い場合は、白血球除去効率が低下する傾向にあるため、100ml/min以下で送血することが好ましい。以上の観点より血液の送血速度のより好まし範囲は、20ml/min以上80ml/min以下、最も好ましくは血液の送血速度は20ml/min以上70ml/min以下である。
本発明においては、送血手段を必ずしも用いる必要はなく、例えば、血液を落差で流しながら処理する方法、血液を動脈から取り出して体外で処理して静脈に返血する方法、等を採用することもできる。送血手段を用いることにより、より簡便に、安全に、血液を処理することができる。
本発明で用いる送液手段とは、抗凝固剤を注入するための手段を言い、抗凝固剤溶液を血液流速の0.1%以上20%未満の流速で注入できる手段であることが好ましい。送液手段としては、例えば、ポンプを用いることができ、例えば、公知に用いられているローラーポンプ、輸液ポンプ、シリンジポンプ等の任意の手段を用いることができる。ポンプの具体例としては、ローラーポンプ、フィンガーポンプ等が挙げられる。
本発明においては、送液手段を必ずしも用いる必要はなく、例えば、落差で抗凝固剤溶液を落差で注入するような方法を採用することもできる。送液手段を採用することにより、より簡便に、より安全に、血液を処理することができる。
本発明で用いる白血球除去フィルターとしては、例えば、入口と出口のある容器に白血球に親和性のある白血球除去材を充填したものを使用することができる。白血球除去材は、白血球を除去できるものであれば特に限定はなく各種のものを用いることができ、多孔質体、平膜、不織布、織布、粒子等が例示できる。白血球除去の観点より好ましい形状は、多孔質体、不織布、織布、粒子が挙げられ、最も好ましくは不織布が良好に用いられる。
白血球除去材の形状が不織布の場合、フィラメントは、モノフィラメントでもマルチフィラメントでも構わないし、多孔質フィラメントでも異型フィラメントでも構わない。
また不織布では、平均繊維直径が0.8μm以上50μm未満の不織布が好ましい。繊維径が大きくなると基材の表面積確保が困難となり、白血球の吸着面積が減少し、白血球の除去性能が低下する傾向にあるため好ましくない。一方、繊維径が小さくなると除去材の目詰まりが発生しやすく、かつ血小板の回収が困難になる傾向にあるため好ましくない。以上の観点より、更に好ましい平均繊維直径は1.0μm以上30μm未満であり、最も好ましくは1.5μm以上25μm未満である。
更に、不織布の場合、白血球の除去率を上げる上でその嵩密度が0.10g/cm3以上0.45g/cm3未満であることが好ましい。嵩密度が0.10g/cm3未満の場合白血球の除去性能が低下する傾向にあるため好ましくない。一方嵩密度が0.45g/cm3以上の場合、目詰まりしやすくなる傾向にあるため好ましくない。更に、上記の観点より好ましくは0.12g/cm3以上0.45g/cm3未満、最も好ましくは0.13g/cm3以上0.40g/cm3未満である。
白血球除去材の形状が粒状の場合、球状、多角球状等いかなる形状であっても有用に用いられる。また表面は平滑であっても、凹凸があっても白血球を除去できる表面であれば有用に用いられる。また、粒径は、50μm以上10mm以下が好ましい。粒径は50μm未満であると粒子の流出防止が困難になる傾向にあるので好ましくない。粒径が10mmより大きい場合十分な表面積が得られなくなる傾向にあるので好ましくない。粒径は、好ましくは、80μm以上8mm未満、最も好ましくは100μm以上6mm未満である。
本発明で用いることができる白血球除去材の材質としては、血球にダメージを与えにくいものであれば特に限定はなく、各種のものを用いることができ、有機高分子、無機高分子、金属等が例示できる。その中でも有機高分子は切断などの加工性に優れるため好ましい素材である。有機高分子等の材質は、セルロース、セルロースモノアセテート、セルロースジアセテートセルローストリアセテート等のセルロース及び/またはその誘導体等の天然高分子、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル等の高分子材料を例示できる。また、これらに親水性を付与する目的で表面をコーティング、放射線グラフト等の方法により親水性高分子材料で修飾した材料も有用に用いられる。
これらの材料が表面修飾なしで白血球に対して親和性を有する場合は、そのまま用いることも可能である。また表面修飾なしでそれら機能を発揮できない場合は、機能発揮を目的としてコーティング等の表面改質をして用いることが好ましい。特に、白血球を除去させる目的で、表面にコーティング等の処理によって改質されているものが好ましく用いられる。
白血球除去フィルター材の好ましい実例を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル不織布、セルロース、セルロースモノアセテート、セルロースジアセテートセルローストリアセテート等のセルロース系ビーズあるいはこれら表面をコーティング、放射線グラフト等の方法で表面修飾した材料が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
また、本発明で用いる白血球除去フィルターは、白血球のみならず、血小板を同時に除去することができるものでもよい。
本発明で言う導管とは、血液および/または抗凝固剤等の溶液を送液できる導管であり、かつ生体にとって安全に送液できるものであればいかなる導管でも用いることができる。また、血液および/または生理的溶液等の溶液によって有害な物質が溶出しない材質であれば、任意の材質から成る導管を用いることができる。導管の材質としては、例えば、塩化ビニル、シリコン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。強度の観点から、好ましくは塩化ビニルが用いられる。
本発明の白血球除去装置において、導管には適宜、板クランプ、ローラークランプ、鉗子、機械クランプ等のクランプを用いることができる。
本発明の白血球除去装置には、ドリップチャンバー、ポンプ用チューブ、圧力測定チューブ、圧力測定装置、ポンプ等を適宜加えて、用いることができる。
本発明の白血球除去装置における血液導出口とは、血液を取り出す部分のことをいい、例示するとスパイク針、ビン針、採血針、カテーテル等が挙げられる。
本発明の白血球除去装置における返血口とは、血液を返血する部分のことをいい、血液導入部と同じ物が例示できる。
本明細書で言う血液とは、全血、顆粒球含有液、リンパ球含有液、単球含有液、又はこれらを含む白血球含有液、血小板含有液などの白血球成分を含有する血液の何れでもよく、これらの全てを包含する意味を有する。特に好ましくは、アレルギー、炎症性疾患、感染症、ウイルス性疾患等の患者における活性化した血液等を用いることができる。
本発明の白血球除去装置は、特に好ましくは、被験者より採取した血液から白血球を除去し、白血球を除去した血液を該被験者に返血する体外循環による白血球除去のために使用することができる。
(2)本発明の白血球除去用流路系
本発明の白血球除去用流路系について詳細に説明する。
本発明の白血球除去用流路系は、血液導出口、白血球除去フィルター入口への接続部および抗凝固剤を注入するための導管を少なくとも備える上流側導管と、白血球除去フィルターと、返血口および白血球除去フィルター出口への接続部を少なくとも備える下流側導管とをこの順に接続してなる流路系において、白血球除去フィルターまたは/および上流側導管に、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための熱交換部が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の白血球除去用流路系において、白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管に設けられている、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための熱交換部とは、血液を液密に流すことができ、冷却板、冷却槽等の冷却手段と接触できる構造であれば任意のものを用いることができる。
白血球除去フィルターの上流側導管で用いる熱交換部の形状を例示すると、通常の血液回路やヘパリン等の抗凝固剤に用いられる細い回路等の中空チューブ、またこれら中空チューブをコイル状に巻いたコイル状、あるいはこれら中空チューブを円板状に巻いたディスク状、入口と出口のある血液バック等のバッグ、あるいはその一部を溶着或いは接着し、入口から出口に向かって流路を確保したバッグ状等種々の形状が挙げられる。何れも冷却効率を高める目的で表面積を高めることが好ましい。
熱交換部の形状が中空チューブからなる場合、チューブの内径は1mm以上15mm未満で,肉厚が0.1mm以上3mm未満が好ましい。チューブの内径が15mm以上となると熱交換の効率が悪くなり好ましくない。一方チューブの内径が1mm未満では熱交換に要する容量が少ないため、長さが必要となり好ましくない。以上の観点より好ましいチューブの内径は0.2mm以上2.5mm未満、最も好ましくは0.3mm以上2.0mm未満である。
また、チューブの肉厚は3mm以上となると熱交換の効率が低く好ましくない。一方肉厚が0.1mm未満の場合、耐圧強度や破れ等に弱くなるため好ましくない。以上の観点より、より好ましい肉厚は0.2mm以上2mm未満、最も好ましくは0.2mm以上1.5mm未満である。
熱交換部の形状がバッグ状の場合、そのシートの厚みも重要である。本発明で用いるシートに厚みは、熱交換が可能でありかつ破れ等に対する強度を有している必要がある。好ましいシートの厚みを示すと、0.1mm以上3.0mm未満である。シートの厚みが3.0mm以上となると熱交換の効率が低く、またバッグへの成形性が悪くなり好ましくない。一方シートの厚みが0.1mm未満の場合、耐圧強度や破れ等に弱くなるため好ましくない。以上の観点より、より好ましいシートの厚みは0.2mm以上2mm未満、最も好ましくは0.2mm以上1.5mm未満である。
また、白血球除去フィルターの上流側で用いる熱交換部は、血液に大きな害を及ぼさない材質であれば何れも有用に使用できるが、熱交換性の面より厚みが少なくとも強度が高い物質が好ましい。取扱い性或いは製造性の面よりあえて例示すると、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の材質を含む材料が好ましく用いられる。中でもポリ塩化ビニルを含むものが好ましく用いられる。
また、これら熱交換部は片面あるいは両面から冷却することが可能であり、冷却効率の面から両面から冷却できる場合最も好ましく用いられる。
また、本発明の白血球除去用流路系においては、白血球除去フィルターに、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための熱交換部を設けることもできる。この場合は、白血球除去フィルター自体を熱交換部として使用することを意味する。従って、白血球除去フィルターのハウジング外周部をそのまま用いることができるし、予め白血球除去フィルター自体に熱交換部を有したものを用いることもできる。
白血球除去フィルターのハウジング外周部をそのまま用いる場合は、これを冷却する目的で冷媒をながす冷却板として、チューブ或いはバッグ等を用い外周部を冷却することでも有用に用いられる。一方、白血球除去フィルターを直接冷却板に接触、或いは冷却槽に入れることでも有用に用いられる。
本発明で言う血液導出口とは、白血球除去フィルター入口に液密に接続する導管の白血球除去フィルターとは反対側の末端部をいう。例示すると、血液の入った血液バッグ、ボトルに接続する部分、或いは被験者より、血液を採血する部分のことをいう。よって、従来用いられている血液導出口は何れも有用に用いられるが、あえて例示するとスパイク針、ビン針、採血針、カテーテル等が挙げられ、チューブに直接接続されたものが有用に用いられる。また、これらを接続できるコネクタやルアーコネクタがチューブに接続されたものも有用に用いられる。
本発明の白血球除去用流路系において、導管と白血球除去フィルターとの接続は、チューブ状の導管と予め接続されていてもよいし、あるいは、接続部が白血球除去フィルターの入口と出口に配したスリップインノズル、ルーアーノズル等と接続できる構造を有していて、使用前に接続してもよい。この場合、特に液密に接続できることが重要である。
本発明で言う返血口とは、白血球除去フィルター出口から液密に接続された導管の白血球除去フィルターとは反対側の末端に配した血液の返血部をいい、血液の導出口と同じ物を用いることができる。
さらに、本発明の白血球除去用流路系は、白血球除去前の血液の凝固抑制を目的に、白血球除去フィルター上流側の導管に抗凝固剤を注入するための導管を備えている必要がある。
本発明で用いる抗凝固剤を注入するための導管とは、末端に抗凝固剤の入ったボトル、バッグ、シリンジ等を接続できる構造を有している導管で、白血球除去フィルター上流側の導管に接続されているものをいう。
本発明で言う導管とは、血液導出口、白血球除去フィルター入口への接続部および抗凝固剤を注入するための導管を少なくとも備える上流側導管と、返血口および白血球除去フィルター出口への接続部を少なくとも備える下流側導管とを含み、これらの間に白血球除去フィルターを液密に接続するための中空チューブ等をいう。導管の形状は、中空であれば、何れの形状であっても有効に用いられる。導管の断面形状は円状、楕円状、多角状等のいずれも有用に用いられる。また導管は、血液に大きな害を及ぼさない材質であれば何れも有用に使用できるが、あえて例示すると、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の材質を含む材料が好ましく用いられる。中でもポリ塩化ビニルを含むものが好ましく用いられる。
本発明の白血球除去用流路系は、ドリップチャンバー、加温バッグ、採血ポート、圧力測定用ポート等何れの付属部品を有していても有用に用いられる。
さらに、本発明の白血球除去用流路系には、白血球除去フィルターの下流側導管に血液を30℃以上42℃以下に加温するための熱交換部を設けることもできる。加温するための熱交換部は、白血球除去フィルターの上流側導管で用いる熱交換部と同様のものが好ましく用いられる。
本発明の白血球除去用流路系は、白血球除去フィルターの上流側導管または下流側導管の一部に送血手段用導管を設け、抗凝固剤を注入するための導管の一部に送液手段用回路を設けることで更に有用に用いることができる。
本発明で用いる送血手段用回路は、白血球除去フィルターの上流側導管あるいは下流側導管のいずれかに配している場合、好ましく用いられる。
送血手段用回路の構造は、送血手段に従い適宜公知のものが使用でき、導管をそのまま用いることもできるし、導管に接続したポンプ用しごき回路等もポンプによる劣化を抑制でき強度を有しているため有用に用いることができる。例示するとローラーポンプを送液手段とした場合、ポンプに適合した導管や耐圧強度に優れる肉厚チューブ等が用いられる。
本発明で言う送液手段用回路とは、抗凝固剤を注入するため用いられ、白血球除去フィルター上流側の導管の一部に接続された導管である。
送液手段用回路は、抗凝固剤あるいは抗凝固剤を含む生理的溶液を送液し、血液と混合させ、血液凝固を抑制できるため好ましく用いられる。送液手段用回路の構造は、送液手段に従い適宜公知のものが使用でき、導管をそのまま用いることもできるし、導管に接続したポンプ用しごき回路等もポンプによる劣化を抑制でき強度を有しているため有用に用いることができる。例示するとローラーポンプを送液手段とした場合、ポンプに適合した導管や耐圧強度に優れる肉厚チューブ等が用いられる。また、シリンジポンプ等を用いた場合シリンジへの接合部を送液手段用回路という。
以上述べた白血球除去用流路系は、本発明の白血球除去装置において特に好ましく用いることができる。
(3)本発明による白血球が除去された血液を得る方法
本発明による白血球を除去された血液を得る方法とは、血液と抗凝固剤を混合すると同時に/または混合した後に該血液を10℃以上30℃未満に冷却した後、白血球除去フィルターに通過させ、その後白血球を除去された血液を得る方法をいう。
本発明の方法において、血液と抗凝固剤を混合すると同時に該血液を10℃以上30℃未満に冷却するとは、血液に抗凝固剤を加えることで血液を冷却する及び/または抗凝固剤混合部位で冷却することをいう。予め冷却した抗凝固剤あるいは抗凝固剤を含む生理的溶液を混合することで10℃以上30℃未満に血液を冷却することが可能であり、また抗凝固剤混合部位のチューブあるいはチャンバーを公知の冷媒を用いた冷却槽あるいは、冷却板を用いて熱交換し冷却することもできる。
本発明の方法において、血液と抗凝固剤を混合した後に該血液を10℃以上30℃未満に冷却する、とは、抗凝固剤を混合した後、白血球除去フィルターの上流側導管や熱交換部を冷却する及び/または白血球除去フィルターを直接冷却し、10℃以上30℃未満に血液を冷却することをいう。
本発明の方法において、白血球除去フィルターを通過させる血液の温度は10℃以上30℃未満である必要がある。血液の冷却温度が30℃以上で白血球除去フィルターに通過させた場合、抗凝固剤の活性が血液成分により不活化され易くなり、凝固のリスクが高まる。一方、10℃未満で白血球除去フィルターに通過させた場合、血小板の活性化による凝固の促進や、赤血球の流動性が低下し、白血球除去フィルターのカラム圧損が上昇するリスクが増大する。より好ましい白血球除去フィルターに通過させる血液の温度は15℃以上28℃以下、最も好ましくは20℃以上25℃以下である。
本発明による白血球を除去された血液を得る方法において用いる白血球除去フィルターは、入口と出口を有する容器に、白血球除去材を充填したものをいう。特に本発明では、凝固による白血球除去フィルターの圧力上昇を抑制できるため、また赤血球等の血液のロスが抑制できる点より、カラム容量が大きい場合に特に有用である。以上の観点よりカラムの容量は1ml以上700ml以下が好ましい。血液成分の回収率を高めるため、好ましくは1ml以上500ml以下、最も好ましくは、10ml以上400ml以下で有用に用いられる。本発明で用いる白血球除去材は、血液と接触して、白血球成分の全て、一部、或いは白血球成分を選択的に除去することができる材料であれば有用に用いられる。その形状も白血球を除去できる構造であれば有用に用いられる。
除去される白血球を例示すると、好中球、好酸球、好塩基球等の顆粒球、単球、Tリンパ球、Bリンパ球等のリンパ球、NK細胞、NKT細胞等が挙げられる。特に輸血用の血液から白血球を除去する場合、GVHD等の副作用防止目的に全ての白血球を除去することが重要であり、特にリンパ球の高率の除去が重要である。
特に、本発明の方法が輸血用の血液から白血球を除去する場合、採血直後の血液では、体温に近い温度であり本発明の方法が有用に用いられる。本発明の方法を具体的に例示すると、抗凝固剤入りのバッグに血液を採血し、血液を採血バッグに入ったまま10℃以上30℃未満に冷却した後に、白血球除去フィルターに通過させ、白血球が除去された血液を得る方法が好ましく用いられる。あるいは、採血された採血バッグに接続された上流側回路の一部に抗凝固剤を充填したバッグをチューブ状回路で接続し、クローズド状態で混合しながら、冷却した抗凝固剤液を混合することで、あるいは抗凝固剤混合後の血液が流れる公知の熱交換部を介して血液を10℃以上30℃未満に冷却した後に、白血球除去フィルターに通過させ、白血球が除去された血液を得る方法が好ましく用いられる。
本発明の方法を用いることで、凝固しやすい血液においても個体差によらず凝固を抑制しながら、白血球を除去された血液を得ることができるため、好ましく用いられる。
また、体外循環等で炎症性白血球を除去する場合、顆粒球や単球の選択除去、あるいは白血球成分の除去が重要である。また、自己免疫疾患で活性化した白血球を除去する場合においても、本方法は有用に用いられる。
(4)本発明の白血球除去方法
本発明の白血球除去方法について以下に説明する。
本発明の白血球除去方法は、被験者から取得した血液と抗凝固剤を混合すると同時に/または混合した後に該血液を10℃以上30℃未満に冷却し、次いで、上記血液を白血球除去フィルターに通過させることにより白血球が除去された血液を得、次いで、得られた白血球が除去された血液を被験者に返血することを特徴とするものである。
本発明の白血球除去方法においては、白血球を除去された血液を30℃以上42℃以下に加温して患者に返血することが好ましい。
さらに、本発明の白血球除去方法では、抗凝固剤の37℃での血中半減期が1分以上4時間未満であることが好ましい。
本発明の白血球除去方法では、被験者の血液を使用する。ここで言う被験者は特に限定されるものではないが、疾患に罹患している患者であることが好ましい。例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病等の炎症性腸疾患患者、関節リウマチ、ベーチェット病、バセドウ氏病、急速進行性糸球体腎炎等の自己免疫疾患、C型肝炎、AIDS、SIRS、敗血症等の感染症等の、白血球が関与する疾患に罹患している患者より得られる血液を使用することができる。
本発明で言う返血とは、被験者より採血バッグ等に採血した血液に抗凝固剤を混合すると同時に/または後に該血液を10℃以上、30℃未満に冷却した後白血球除去フィルターに通過させ、その後白血球を除去された血液をバッグに回収した後、被験者に輸血すること、及び体外循環により被験者より脱血した血液に抗凝固剤を混合すると同時に/または後に該血液を10℃以上30℃未満に冷却した後白血球除去フィルターに通過させ、その後、白血球を除去された血液を白血球除去フィルターの下流側導管を介して直接、被験者に戻すことをいう。
本発明の白血球除去方法は、本発明の白血球除去装置あるいは本発明の白血球除去用流路系を用いることで容易に実施できる。
この場合、前述の如く、抗凝固剤の増量なしに患者の血液因によらず、凝固による圧上昇のリスクを低減する目的で、本発明の白血球除去用流路系及び本発明の白血球除去装置が有用に用いられる。
また、本発明の白血球除去方法は、特に患者に返血する場合、白血球を除去された血液を30℃以上42℃以下に加温して患者に返血することが好ましい。30℃未満の冷却された血液が返血された場合、患者に寒気を及ぼすため好ましくない。一方42℃より高い温度の血液は細胞の異常な活性化や細胞のバイアビリティを低下させるリスクが増加するため好ましくない。以上の観点よりより好ましくは32℃以上40℃以下、最も好ましくは、34℃以上38℃以下である。
さらに、本発明は、抗凝固剤の37℃での血中半減期が1分以上4時間未満であることが好ましい。
本発明の白血球除去方法は、抗凝固剤の血液中での失活を抑制できるため血中半減期が長くない抗凝固剤を用いた場合より有用に用いられる。即ち、抗凝固剤の半減期が1分未満の場合採血直後より急速に失活が起こり、冷却するまでの時間を十分確保しにくいため凝固を招き易く好ましくない。一方、4時間以上の場合、返血された血液中の抗凝固剤が血液の凝固時間を長い間延長するため、好ましくない。以上の観点より、好ましくは2分以上3時間未満、最も好ましくは3分以上2時間未満である。
さらに、本発明の白血球除去方法は、白血球を除去された血液を30℃以上42℃以下に加温することにより抗凝固剤の少なくとも一部を不活化することができるため好ましい。
本発明で用いる抗凝固剤は、血液中で30℃以上42℃以下で不活化されるものが好ましい。好ましい抗凝固剤を例示すると、メシル酸ナファモスタット、メシル酸ガベキサート等の蛋白分解酵素阻害剤、ヘパリン等が有用に用いられる。白血球を除去された血液を30℃以上、42℃以下に加温することで抗凝固剤の一部を不活化でき、凝固能が改善された白血球が除去された血液を得ることができ好ましい。特に、患者が出血性疾患の患者の場合、凝固能が改善され、白血球が除去された血液を返血でき、好ましい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1
白血球除去フィルターとして、平均繊維直径2.7μmのポリエステル繊維よりなる不織布(目付90g/m2、厚さ0.42mm)を6.8mmの円形に切断し、その10枚を、上下をポアサイズ90μmのポリエチレンフィルタで挟み、カラムに充填したものを用いた。
白血球除去装置として、血液導出口、白血球除去フィルター、返血口がこの順に導管によって接続され、白血球除去フィルターの上流側導管には抗凝固剤を注入するための導管を備えているものを複数用意した。
導管は、塩化ビニル製の内径2.0mm、厚み0.8mmのチューブを用い、送血用導管として、タイゴン製の内径3.0mm、厚み1.2mmのチューブ15cmを用いた。抗凝固剤を送液する導管は、塩化ビニル製の内径2.0mm、厚み0.8mmのチューブを用い上流側導管の送血用導管の前にT字管を用いて接続した。
熱交換部として、塩化ビニル製チューブ状導管(内径2mm、肉厚1mm、長さ10cm)を白血球除去フィルターの入口側直前で導管に液密に接続し用いた。
37℃に加温した、抗凝固剤としてメシル酸ナファモスタットを添加したヒト新鮮血液(白血球数:4,370〜8200/μL、血小板数:100,000〜300,000/μL、ドナー10名;メシル酸ナファモスタット濃度:0.012mg/ml)6.2mLを血液ポンプを用いて0.25mL/分の一定流速で血液導出口から白血球除去装置内に流し入れ、これにメシル酸ナファモスタット(メシル酸ナファモスタット濃度:0.012mg/ml)を0.03ml/minの流速で抗凝固剤を注入するための導管より注入し、更に白血球除去フィルターの直前の熱交換部を液温が5℃、10℃、20℃、25℃の冷却水槽に入れ冷却し、白血球を除去した。
このとき白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ10℃、15℃、22℃、25℃であった。
ドナー10名の血液をそれぞれ4つの温度条件で処理したところ、白血球除去フィルターのカラム圧が13.3kPa以上となる圧上昇は無く、6.8mlの血液全量を処理することが可能であった。
白血球除去前後の白血球数を自動血球計数器により測定して次式より求めた白血球除去率は、全て95%以上であった。結果を表1に示す。
白血球除去率(%)=(1−白血球除去後の白血球数/白血球除去前の白血球数)×100
Figure 2005143973
比較例1
実施例1と同様の白血球除去フィルターおよび白血球除去装置を用い、白血球除去フィルターの直前の熱交換部を入れる水槽の液温を、32℃、37℃、40℃に設定した以外は全て、実施例1と同様に白血球除去処理を行った。
実施例1と同様に白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ32℃、34℃、37℃であった。
実施例1と同じドナー10名の血液をそれぞれ処理したところ、3名分のドナー血液でカラム圧上昇を認め、6.0〜6.4mlの血液を処理した時点で血液処理を中断した。残りの7名のドナー血液では圧上昇は無く、6.8mlの血液を処理することが可能であった。
このときの白血球除去率を実施例1と同じ方法で求めたところ、白血球除去率は、全て95%以上であった。結果を表2に示す。
Figure 2005143973
比較例2
実施例1と同様の白血球除去フィルターおよび白血球除去装置を用い、白血球除去フィルターの直前の熱交換部を入れる水槽の液温を、0℃、4℃に設定した以外は全て、実施例1と同様に白血球除去処理を行った。
実施例1と同様に白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ4℃、9℃であった。
実施例1と同じドナー10名の血液をそれぞれ処理したところ、4名分のドナー血液でカラム圧上昇を認め、6.0〜6.4mlの血液を処理した時点で血液処理を中断した。残りの6名のドナー血液では圧上昇は無く、6.8mlの血液を処理することが可能であった。
このときの白血球除去率を実施例1と同じ方法で求めたところ、白血球除去率は、全て95%以上であった。結果を表3に示す。
Figure 2005143973
実施例2
平均繊維直径2.7μmのポリエステル繊維よりなる不織布(目付90g/m2、厚さ0.42mm)を外径1mmのポリエチレンメッシュからなる中芯に5cm巻き、高さ2cmに切断し、円筒状フィルターを得た。円筒状フィルター上部をウレタンポッティングし、下部を内径15mmの容器にウレタンで接着し、出口側のノズルを接着し、入口側のノズルを容器上部に接続し、血液が円筒状フィルターの外周面から中芯側に流れる構造の白血球除去フィルターとした。
白血球除去装置として、血液導出口、白血球除去フィルター、返血口がこの順に導管によって接続され、白血球除去フィルターの上流側導管には抗凝固剤を注入するための導管を備えているものを複数用意した。
白血球除去フィルター以外は実施例1と同じ導管をそれぞれ用いた。
冷却用の熱交換部として、塩化ビニル製チューブ状導管(内径2mm、肉厚1mm、長さ10cm)を白血球除去フィルターの直前に液密に回路にて接続し用いた。
さらに、白血球除去フィルターの下流側導管には、液密に加温用の熱交換部(入口と出口を導管に溶着接続した塩化ビニル製の容量1mlのバッグ(シートの厚み0.5mm))を接続し用いた。
37℃に加温した、抗凝固剤としてメシル酸ナファモスタットを添加したヒト新鮮血液(白血球数:4,370〜8200/μL、血小板数:100,000〜300,000/μL、ドナー5名;メシル酸ナファモスタット濃度:0.012mg/ml)30mLをローラーポンプを用いて0.5mL/minの一定流速で血液導出口から白血球除去装置内に流し入れ、これに10℃のメシル酸ナファモスタット(メシル酸ナファモスタット濃度:0.012mg/ml)を3.6ml/minの流速で抗凝固剤を注入するための導管よりペリスタポンプで注入し、白血球除去フィルターの直前の熱交換部を液温が5℃、10℃、20℃、30℃の冷却水槽に入れ冷却し、白血球を除去した。
このとき白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ10℃、14℃、20℃、23℃であった。
白血球除去フィルターの下流側導管に接続したバッグ状熱交換部を外側からパネルヒーターに接触させ加温した。加温後の血液の返血口での温度は何れも34℃から38℃であった。
ドナー5名の血液をそれぞれ4つの温度条件で処理したところ、白血球除去フィルターのカラム圧の上昇は無く、6.8mlの血液全量を処理することが可能であった。
白血球除去フィルター前後の白血球数を自動血球計数器により測定して求めた白血球除去率は、全て95%以上であった。
また、処理後の血液のセライト活性化凝固時間は、抗凝固剤を全く注入しない血液が170秒から200秒であり、白血球除去フィルター直前の血液が380秒から420秒に延長し、白血球除去フィルター直後で320秒から360秒程度の減少であり十分な凝固抑制効果が認められた。これに比べて加温後の血液では、何れもセライト活性化凝固時間は190秒から230秒と10秒から30秒の凝固時間の延長のみで僅かな延長のみであった。結果を表4に示す。
Figure 2005143973
比較例3
実施例2と同様の白血球除去フィルターおよび白血球除去装置を用い、白血球除去フィルターの直前の熱交換部を入れる水槽の液温を、33℃、37℃、40℃に設定し、抗凝固剤の温度を30℃に設定した以外は全て、実施例2と同様に白血球除去処理を行った。
実施例1と同様に白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ31℃、34℃、37℃であった。
実施例2と同じドナー5名の血液をそれぞれ処理したところ、1名分のドナー血液でカラム圧上昇を認め、6.0〜6.4mlの血液を処理した時点で血液処理を中断した。残りの4名のドナー血液では圧上昇は無く、6.8mlの血液を処理することが可能であった。
このときの白血球除去率を実施例1と同じ方法で求めたところ、白血球除去率は、全て95%以上であった。結果を表5に示す
Figure 2005143973
比較例4
実施例2と同様の白血球除去フィルターおよび白血球除去装置を用い、白血球除去フィルターの直前の熱交換部を入れる水槽の液温を、0℃、4℃に設定し、抗凝固剤の温度を9℃に設定した以外は実施例2と同様の白血球除去処理を行った。
実施例2と同様に白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ4℃、9℃であった。
実施例2と同じドナー5名の血液をそれぞれ処理したところ、2名分のドナー血液でカラム圧上昇を認め、6.0〜6.4mlの血液を処理した時点で血液処理を中断した。残りの3名のドナー血液では圧上昇は無く、6.8mlの血液を処理することが可能であった。
このときの白血球除去率を実施例2と同じ方法で求めたところ、白血球除去率は、全て95%以上であった。結果を表6に示す。
Figure 2005143973
実施例3
平均繊維直径2.7μmのポリエステルの繊維よりなる不織布(90g/m2目付)を幅150mm、長さ760mmに切断し、直径3.4mmのポリエチレン製円筒状メッシュの周囲に巻いた。次いで平均繊維直径12μmのポリエステル繊維からなる不織布(30g/m2目付)を幅150mm、長さ800mmで巻いた。更に平均繊維直径33μmのポリエステル繊維からなる不織布(50g/m2目付)を幅150mm、長さ600mmで巻いた。外側にポリエチレン製のメッシュを幅150mm、長さ100mm巻いた。この円筒の両端をウレタンで閉塞し、天井部と底部にそれぞれ血液の入口と出口を有する内径41mmの円筒状ポリカーボネート容器に、円筒の外周面が容器の血液入口に、内周面が血液の出口にそれぞれ通じるように納め、白血球除去フィルターとした。
白血球除去装置として、血液導出口、白血球除去フィルター、返血口がこの順に導管によって接続され、白血球除去フィルター上流側の導管には抗凝固剤を注入するための導管を備えているものを複数用意した。
導管は、塩化ビニル製の内径4.5mm、厚み1.5mmのチューブを用い、送血用導管として、塩化ビニル製の内径8.0mm、厚み1.0mmのチューブ25cmを用いた。抗凝固剤を送液用導管は、塩化ビニル製の内径7.0mm、厚み1.0mmのチューブを用い上流側導管の送血用導管の前に接続したチャンバーを用いて接続した。
熱交換部として、塩化ビニル製チューブ状導管をコイル状に巻き(内径5mm、肉厚1mm、長さ1500mm)、白血球除去フィルターの直前に液密に回路にて接続して用いた。
加温用の熱交換部として、厚さ0.4mm1辺が130mmの塩化ビニル製のシートを2枚あわせて周辺部を溶着し、両端に導管を溶着接続し、更に導管に垂直方向に、片側ずつ交互に周辺をあけながら溶着し、血液がジグザグに流れる流路を設けたものを用いた。
白血球除去フィルターを生理食塩液1Lで流速100ml/minでプライミングした。5頭から採血した牛新鮮血(白血球数:4800〜7200個/μL)にメシル酸ナファモスタットを36mg/Lで加え、牛血液を得た。
3Lのバッグに入れた牛血液を37℃に加温した恒温水槽に入れ、血液の導出口に設けたスパイク針により3Lのバッグに接続し、ローラーポンプにて、血液流速50ml/minで血液導出口から白血球除去装置内に流し入れ、これに25℃のメシル酸ナファモスタット(メシル酸ナファモスタット濃度:0.012mg/ml)を6ml/minの流速で抗凝固剤を注入するための導管よりローラーポンプで注入し、白血球除去フィルターの直前に配した熱交換部を液温が12℃、25℃、30℃の冷却水槽に入れ冷却した後、白血球除去フィルターに流し白血球を除去した。
このとき白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ20℃、25℃、29℃であった。
白血球除去フィルターの出口側の導管に接続したバッグ状熱交換部を外側からパネルヒーターに接触させ加温した。加温後の血液の返血口での温度は何れも34℃から38℃であった。
血液をそれぞれ3つの温度条件でそれぞれ5回処理したところ、白血球除去フィルターのカラム圧が13.3kPa以上となる圧上昇は無く、3Lの血液全量を処理することが可能であった。
白血球除去前後の白血球数を自動血球計数器により測定して次式より求めた白血球除去率は、全て90%以上であった。結果を表7に示す
白血球除去率(%)=(1−白血球除去後の白血球数/白血球除去前の白血球数)×100
Figure 2005143973
比較例5
実施例3と同様の白血球除去フィルターおよび白血球除去装置を用い、白血球除去フィルターの直前の熱交換部を入れる水槽の液温を、33℃、37℃、40℃に設定した以外は全て、実施例1と同様に白血球除去処理を行った。実施例1と同様に白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ32℃、34℃、37℃であった。
実施例1と同じ5頭の牛血液をそれぞれ処理したところ、2頭名分の牛血液でカラム圧上昇を認め、1.8〜2.5Lの牛血液を処理した時点で血液処理を中断した。残りの3頭分の牛血液では圧上昇は無く、3Lの牛血液を処理することが可能であった。
このときの白血球除去率を実施例3と同じ方法で求めたところ、白血球除去率は、全て90%以上であった。結果を表8に示す
Figure 2005143973
実施例4
白血球除去フィルターとして、平均繊維直径2.7μmのポリエステル繊維よりなる不織布(目付90g/m2、厚さ0.42mm)を6.8mmの円形に切断し、その10枚を、上下をポアサイズ90μmのポリエチレンフィルタで挟み、カラムに充填したものを用いた。
白血球除去装置として、血液導出口、白血球除去フィルター、返血口がこの順に導管によって接続され、白血球除去フィルター上流側の導管には抗凝固剤を注入するための導管を備えているものを複数用意した。
導管は、塩化ビニル製の内径1.0mm、厚み0.5mmのチューブを用い、送血用導管として、タイゴン製の内径1.0mm、厚み0.5mmのチューブ10cmを用いた。抗凝固剤を送液する導管は、塩化ビニル製の内径0.7mm、厚み0.5mmのチューブを用い上流側導管の送血用導管の前にT字管を用いて接続した。
熱交換部として、塩化ビニル製チューブ状導管(内径0.7mm、肉厚0.5mm、長さ10cm)を白血球除去フィルターの直前に液密に回路にて接続し用いた。ラットの尾静脈に血液導入口に接続した注射針にて静脈に接続し、ペリスタポンプを用いて0.5mL/分の一定流速で血液導出口から白血球除去装置内に流し入れ、これにメシル酸ナファモスタット(メシル酸ナファモスタット濃度:0.012mg/ml)を0.06ml/minの流速で抗凝固剤を注入するための導管よりシリンジポンプにて注入し、更に白血球除去フィルターの直前の熱交換部を液温が25℃の冷却水槽に入れ冷却し、白血球を除去した。
このとき白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、25℃であった。
3頭のラットにて体外循環を実施したところ、白血球除去フィルターのカラム圧が13.3kPa以上となる圧上昇は無く、5mlの血液を処理することが可能であった。 白血球除去前後の白血球数を自動血球計数器により測定して次式より求めた白血球除去率は、それぞれ92%、91%、94%であった。
白血球除去率(%)=(1−白血球除去後の白血球数/白血球除去前の白血球数)×100
比較例4
実施例4と同様の白血球除去フィルターおよび白血球除去装置を用い、白血球除去フィルターの直前の冷却なしで体外循環した以外は全て、実施例1と同様に白血球除去処理を行った。
実施例1と同様に白血球除去フィルター直前の血液の温度を測定したところ、それぞれ33℃であった。
実施例1と同じ3頭のラットの体外循環を実施したところ、1頭のラットでカラム圧上昇を認め、3.2mlの血液を処理した時点で血液処理を中断した。残りの3頭では圧上昇は無く、5mlの血液を処理することが可能であった。
このときの白血球除去率を実施例1と同じ方法で求めたところ、5mLまで処理できた2頭の白血球除去率は、それぞれ91、93%であった。
本発明の白血球除去装置及び白血球除去用流路系は、血液より顆粒球、リンパ球等の白血球を除去した血液を、カラムの凝固を抑制し得るために有用に用いられる。また、本発明の白血球除去方法により、輸血用血液よりドナーの個体差なく白血球を除去した血液をロス無く得ることができる。また、本発明により体外循環にて患者より白血球を除去し、白血球を除去した血液を返血する技術を提供できる。

Claims (21)

  1. 血液導出口、白血球除去フィルター及び返血口がこの順に導管によって接続され、白血球除去フィルターの上流側導管には抗凝固剤を注入するための導管を備えている白血球除去装置において、白血球除去フィルターまたは/およびその上流側導管に、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための冷却手段が設けられている、白血球除去装置。
  2. 白血球除去フィルターの下流側導管に、血液を30℃以上42℃以下に加温するための加温手段が設けられている、請求項1記載の白血球除去装置。
  3. 白血球除去フィルターの上流側導管または下流側導管の一部に送血手段が設けられ、かつ抗凝固剤を注入するための導管の一部に送液手段が設けられている、請求項1または2記載の白血球除去装置。
  4. 冷却手段が、導管または導管に接続された熱交換器の外側から冷却板により冷却する方式である、請求項1乃至3記載の白血球除去装置。
  5. 冷却手段が、導管または導管に接続された熱交換器の外側から冷却槽により冷却する方式である、請求項1乃至3の何れかに記載の白血球除去装置。
  6. 冷却手段が、血液に1℃以上20℃未満の抗凝固剤または/および生理的溶液を注入する方式である、請求項1乃至3の何れかに記載の白血球除去装置。
  7. 加温手段が、導管または導管に接続された熱交換器の外側から加温板により加温する方式である、請求項2乃至6の何れかに記載の白血球除去装置。
  8. 加温手段が、導管または導管に接続された熱交換器の外側から加温槽により加温する方式である、請求項2乃至6の何れかに記載の白血球除去装置。
  9. 白血球除去フィルターを外気温から断熱する手段がさらに設けられている、請求項1乃至8の何れかに記載の白血球除去装置。
  10. 白血球除去フィルターが、入口と出口のある容器に白血球に親和性のある白血球除去材を充填したものである、請求項1乃至9の何れかに記載の白血球除去装置。
  11. 被験者より採取した血液から白血球を除去し、白血球を除去した血液を該被験者に返血する体外循環による白血球除去のために使用する、請求項1乃至10の何れかに記載の白血球除去装置。
  12. 血液導出口、白血球除去フィルター入口への接続部および抗凝固剤を注入するための導管を少なくとも備える上流側導管と、白血球除去フィルターと、返血口および白血球除去フィルター出口への接続部を少なくとも備える下流側導管とをこの順に接続してなる流路系において、白血球除去フィルターまたは/および上流側導管に、血液を10℃以上30℃未満に冷却するための熱交換部が設けられている、白血球除去用流路系。
  13. 白血球除去フィルターの下流側導管に、血液を30℃以上42℃以下に加温するための熱交換部が設けられている、請求項12記載の白血球除去用流路系。
  14. 白血球除去フィルターの上流側導管または下流側導管の一部に送血手段用回路が設けられ、かつ抗凝固剤を注入するための導管の一部に送液手段用回路が設けられている、請求項12または13記載の白血球除去用流路系。
  15. 請求項1乃至11の何れかに記載の白血球除去装置に用いられるための、請求項12乃至14の何れかに記載の白血球除去用流路系。
  16. 血液と抗凝固剤を混合すると同時に/または混合した後に該血液を10℃以上30℃未満に冷却し、次いで、上記血液を白血球除去フィルターに通過させることを含む、白血球が除去された血液を得る方法。
  17. 被験者から取得した血液と抗凝固剤を混合すると同時に/または混合した後に該血液を10℃以上30℃未満に冷却し、次いで、上記血液を白血球除去フィルターに通過させることにより白血球が除去された血液を得、次いで、得られた白血球が除去された血液を被験者に返血することを含む、白血球除去方法。
  18. 白血球を除去された血液を30℃以上42℃以下に加温して被験者に返血する、請求項17記載の白血球除去方法。
  19. 抗凝固剤の37℃での血中半減期が1分以上4時間未満である、請求項17又は18記載の白血球除去方法。
  20. 白血球を除去された血液を30℃以上42℃以下に加温することにより抗凝固剤の少なくとも一部を不活化する、請求項17乃至19の何れかに記載の白血球除去方法。
  21. 請求項1乃至11の何れかに記載の白血球除去装置又は請求項12乃至15の何れかに記載の白血球除去用流路系を用いる、請求項18乃至20の何れかに記載の白血球除去方法。
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JP2008136757A (ja) * 2006-12-05 2008-06-19 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 炎症性サイトカイン産生を抑制するフィルター材、装置、および方法

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