JP2005143164A - 固定子コア及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ストレートコアから固定子コア10を形成する場合に、屈曲部のスプリングバック力によりバックヨークが開かない固定子コア10で、また、継ぎ手部を廃止できる固定子コア10を提供する。
【解決手段】バックヨーク16とティース18を有する抜き板14を切り込み部20で折り曲げて円弧状に形成し、この円弧状の抜き板14を複数枚組み合わせて第1層のリング状のストレートコアを形成し、第2層から第n層までの抜き板14については、下層の抜き板14の位置とは所定角度ずらせて積層してストレートコアを形成する。
【選択図】 図3
【解決手段】バックヨーク16とティース18を有する抜き板14を切り込み部20で折り曲げて円弧状に形成し、この円弧状の抜き板14を複数枚組み合わせて第1層のリング状のストレートコアを形成し、第2層から第n層までの抜き板14については、下層の抜き板14の位置とは所定角度ずらせて積層してストレートコアを形成する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ブラシレスDCモータなどのモータの固定子コアに関するものである。
モータの固定子は、一般的なリング状の固定子コアから製造する方法と、直線状の固定子コア(これを通称ストレートコアと呼んでいる)を円弧状またはリング状に曲げて製造する方法がある。
例えば、バックヨークとティースとより構成されるストレートコアについて、隣接するティースの間にあるV字状の切り込み部を支点にしてバックヨークを折り曲げ、リング状に構成されるモータの固定子コアが提案されている(特許文献1)。
特開平10−136589号公報
上記のようにストレートコアをV字状の切り込み部で折り曲げ、固定子コアを形成する場合に、屈曲部におけるスプリングバックの力が作用し、曲げた後に内径及びピッチ精度が悪化するという問題点がある。特に、この症状は、屈曲部の数が多い固定子コアで顕著である。そして、このピッチ精度などが悪化すると、騒音及びモータ特性に悪影響を及ぼすという問題点がある。
また、円弧状のストレートコアを連結するために、ストレートコアの両端部には継ぎ手部が形成され、この継ぎ手部を互いに結合してリング状のストレートコアを形成している。しかし、このような継ぎ手部を形成すると、材料を多く取る必要があり、その製造工程が複雑になるという問題点がある。
そこで本発明は上記問題点に鑑み、ストレートコアから固定子コアを形成する場合に、屈曲部のスプリングバック力によりバックヨークが開かない固定子コアで、また、継ぎ手部を廃止できる固定子コアを提供するものである。
請求項1に係る発明は、ストレートコアから構成されるモータの固定子コアにおいて、帯状のバックヨークの一方の長辺部側から突出した複数個のティースと、前記バックヨークにおける前記隣接するティースの間にあって、かつ、前記ティースが突出している側に設けられた略V字状の切り込み部とを備えた抜き板を形成し、前記抜き板を前記各切り込み部で折り曲げて円弧状に形成し、前記円弧状の抜き板を複数枚組み合わせて第1層のリング状のストレートコアを形成し、第2層から第n層までの抜き板については、下層の抜き板の位置とは所定角度ずらせて積層してストレートコアを形成することを特徴とする固定子コアである。
請求項2に係る発明は、前記各層のストレートコアの外周部をレーザー溶接で固定することを特徴とする請求項1記載の固定子コアである。
請求項3に係る発明は、前記所定角度とは、前記固定子コアの1スロット分の角度であることを特徴とする請求項1記載の固定子コアである。
請求項4に係る発明は、前記抜き板の両端部は、直線状であることを特徴とする請求項1記載の固定子コアである。
請求項5に係る発明は、前記モータは、ブラシレスDCモータであることを特徴とする請求項1記載の固定子コアである。
請求項6に係る発明は、前記モータは、モールドモータであることを特徴とする請求項1記載の固定子コアである。
請求項7に係る発明は、ストレートコアから構成されるモータの固定子コアの製造方法において、帯状のバックヨークの一方の長辺部側から突出した複数個のティースと、前記バックヨークにおける前記隣接するティースの間にあって、かつ、前記ティースが突出している側に設けられた略V字状の切り込み部とを備えた抜き板を形成する第1工程と、前記抜き板を前記各切り込み部で折り曲げて円弧状に形成する第2工程と、前記円弧状の抜き板を複数枚組み合わせて第1層のリング状のストレートコアを形成する第3工程と、第2層から第n層までのストレートコアについては、下層の抜き板の位置とは所定角度ずらせて抜き板を積層してストレートコアを形成する第4工程と、を有することを特徴とする固定子コアの製造方法である。
請求項1に係る発明の固定子コアであると、円弧状の抜き板を複数枚組み合わせて第1層のリング状のストレートコアを形成し、第2層から第n層までの抜き板については、下層の抜き板の位置とは所定角度ずらせて積層してストレートコアを形成する。
これによって、抜き板同士の継ぎ手の構造を設けることなく積層することができるため、屈曲部におけるスプリングバック力が発生しても、内径側から外形側の方向に各スロットを均一な力で働き、外力の加わらない状態では内径及びスロットピッチの高精度化が期待できる。
請求項2に係る発明の固定子コアであると、各層のストレートコアの外周部をレーザー溶接で固定するため、各層のストレートコアを簡単に固定することができる。
請求項3に係る発明の固定子コアであると、固定子コアの1スロット分の角度ずつずらせて抜き板を積層していくことにより、所定角度抜き板をずらせて積層する構造であっても確実に所定角度ずつずらせて積層することができる。即ち、1スロットが目安となり、正確な角度でずらすことができる。
請求項4に係る発明の固定子コアであると、抜き板の両端部は直線状であって、従来のような凹凸や出っ張りがなくなるため材料取りを改善でき、また、複雑な形状を避けられるため、金型コストの抑制及び寿命の向上に繋がる。
請求項5及び請求項6に係る発明の固定子コアにおいては、ブラシレスDCモータやモールドモータに使用することにより、請求項1記載の固定子コアの性能を十分に発揮させることができる。
以下、本発明の一実施形態の固定子コア10について図1から図4に基づいて説明する。
本実施形態の固定子コア10は、図4に示すようにブラシレスDCモータの固定子を形成するものである。
(1)固定子コア10とモータの製造方法
以下、固定子コア10とモータの製造方法を説明しつつ、固定子コア10の構造を説明する。
以下、固定子コア10とモータの製造方法を説明しつつ、固定子コア10の構造を説明する。
(1−1)第1工程
第1工程においては、図1に示すように薄い帯状の鋼板(以下、フープ材という)12を打ち抜いて複数枚の抜き板14を打ち抜く。
第1工程においては、図1に示すように薄い帯状の鋼板(以下、フープ材という)12を打ち抜いて複数枚の抜き板14を打ち抜く。
抜き板14は、帯状に形成されたバックヨーク16と、このバックヨーク16の一方の長辺側から直角に延出した6個のT字状のティース18とで形成されている。
また、ティース18が突出しているバックヨーク16の長辺側であって、各ティース18,18の間の中央部には、V字状の切り込み部20が設けられている。また、このV字状の切り込み部20の相対向する辺の一方の辺には半円状の凸部22が設けられ、他の辺にはこの凸部22が係合する円弧状の凹部24が形成されている。ティース18は、前記したようにT字状に形成され、巻線が巻回されるティース本体28と、磁気を収束させるため角状に形成された収束部26とで構成されている。更に、抜き板14の両端部30,30は直線状に形成されている。
このフープ材12から抜き板14を打ち抜く場合に、図1に示すように、隣接する抜き板14同士は相対向するように配され、ティース18,18の間に隣接する抜き板14のティース18が嵌まり込む形で配されているため、フープ材12の材料取りが良くなっている。
(1−2)第2工程
第2工程においては、上記のように打ち抜かれた抜き板14が、切り込み部20の外周部の部分を支点として円弧状に折曲させる(図2参照)。この場合に、切り込み部20の凸部22と凹部24とが係合して円弧状の形状を保持する。
第2工程においては、上記のように打ち抜かれた抜き板14が、切り込み部20の外周部の部分を支点として円弧状に折曲させる(図2参照)。この場合に、切り込み部20の凸部22と凹部24とが係合して円弧状の形状を保持する。
(1−3)第3工程
第3工程においては、固定子コア10の第1層のストレートコアを形成するために、4枚の抜き板14を組み合わせてリング状のストレートコアを形成する。
第3工程においては、固定子コア10の第1層のストレートコアを形成するために、4枚の抜き板14を組み合わせてリング状のストレートコアを形成する。
なお、抜き板14はリング状の固定子コア10の4分の1の大きさ、即ち90°の範囲で形成されているため、4枚の抜き板14を組み合わせることによりリング状に形成される。
第1層目のストレートコアを形成する方法としては、1枚の抜き板14が打ち抜かれて配置されると、回転装置によってその1枚目の抜き板14をθ1(例えば、90°)回転させ、次の2枚目の抜き板14を同様に打ち抜いて曲げ工程を経て1枚目の抜き板14の横に隣接するように配置する。以下同様に3枚目の抜き板14、4枚目の抜き板14をθ1ずつ回転させながら組み合わせる。これによって、第1層のストレートコアが完成する。
(1−4)第4工程
第4工程においては、第1層のストレートコアに、2層目の抜き板14を積層する。この場合に、図3に示すように、第1層における抜き板14同士の接合部と第2層の抜き板14同士の接合部が一致しないようにするために、時計回りの方向で、接合部を上層ほど1スロット分ずらせて積層させる。
第4工程においては、第1層のストレートコアに、2層目の抜き板14を積層する。この場合に、図3に示すように、第1層における抜き板14同士の接合部と第2層の抜き板14同士の接合部が一致しないようにするために、時計回りの方向で、接合部を上層ほど1スロット分ずらせて積層させる。
第2層のストレートコアの形成方法としては、前記したように1スロット分の角度θ2だけ第1層のストレートコアをまず、回転させる。
次に、第1層のストレートコアを形成するのと同様に、1枚目の抜き板14を第1層のストレートコアに積層し、角度θ1だけ回転させる。
次に、2枚目の抜き板14を打ち抜いて曲げ工程を経て1枚目の抜き板14の横に隣接させる。そしてθ1角度をずらせる。
次に、3枚目4枚目の抜き板14も同様にして第1層のストレートコアに積層する。
以上により、θ2だけずれた状態で第1層のストレートコアに第2層のストレートコアが積層される。
(1−5)第5工程
第5工程においては、第3層のストレートコアから第n層のストレートコアまでを、第4工程と同様にθ2ずつずらせて積層していく(図3参照)。
第5工程においては、第3層のストレートコアから第n層のストレートコアまでを、第4工程と同様にθ2ずつずらせて積層していく(図3参照)。
以上のようにして、目標とするn層まで積層された固定子コア10が完成する。
(1−6)第6工程
第6工程においては、固定子コア10の外周部において積層されたストレートコアをレーザー溶接で固定する。この固定箇所は、例えば90°毎に等間隔で固定する。
第6工程においては、固定子コア10の外周部において積層されたストレートコアをレーザー溶接で固定する。この固定箇所は、例えば90°毎に等間隔で固定する。
なお、このレーザー溶接は全ての積層が終わってから行ってもよいが、一層ずつストレートコアを積層する毎にレーザー溶接で固定してもよい。
以上により、固定子コア10が図4に示すように完成する。
(1−7)モータの製造方法
このように完成した固定子コア10について、プレモールドによって絶縁層を絶縁性樹脂によって形成し、固定子巻線を巻回する。
このように完成した固定子コア10について、プレモールドによって絶縁層を絶縁性樹脂によって形成し、固定子巻線を巻回する。
次に、モータフレームを兼用するモールド樹脂によってモールド成形し固定子を完成する。
次に、回転子等を嵌め込んでブラシレスDCモータが完成する。
(2)本実施形態の効果
上記構成の固定子コア10であると、従来と同様に抜き板14を屈曲させるため、スプリングバック力による力は発生するが、継ぎ手構造を持たないため、内径側から外径側の方向に各スロットに均一な力で働き、外力が加わらない限り内径及びスロットピッチの高精度化が図れる。
上記構成の固定子コア10であると、従来と同様に抜き板14を屈曲させるため、スプリングバック力による力は発生するが、継ぎ手構造を持たないため、内径側から外径側の方向に各スロットに均一な力で働き、外力が加わらない限り内径及びスロットピッチの高精度化が図れる。
抜き板14の両端部はストレート状になっており、凹凸部及び出っ張りがなくなるため、材料取りを改善することができる。また、複雑な形状が避けられるため、金型コストの抑制及び寿命の向上になる。
本発明の固定子コアは、ブラシレスDCモータまたはモールドモータに使用するのが好適であり、このブラシレスDCモータやモールドモータはファン装置やポンプの駆動源などに使用することができる。
10 固定子コア
12 フープ材
14 抜き板
16 バックヨーク
18 ティース
20 切り込み部
22 凸部
24 凹部
30 端部
12 フープ材
14 抜き板
16 バックヨーク
18 ティース
20 切り込み部
22 凸部
24 凹部
30 端部
Claims (7)
- ストレートコアから構成されるモータの固定子コアにおいて、
帯状のバックヨークの一方の長辺部側から突出した複数個のティースと、前記バックヨークにおける前記隣接するティースの間にあって、かつ、前記ティースが突出している側に設けられた略V字状の切り込み部とを備えた抜き板を形成し、
前記抜き板を前記各切り込み部で折り曲げて円弧状に形成し、
前記円弧状の抜き板を複数枚組み合わせて第1層のリング状のストレートコアを形成し、
第2層から第n層までの抜き板については、下層の抜き板の位置とは所定角度ずらせて積層してストレートコアを形成する
ことを特徴とする固定子コア。 - 前記各層のストレートコアの外周部をレーザー溶接で固定する
ことを特徴とする請求項1記載の固定子コア。 - 前記所定角度とは、前記固定子コアの1スロット分の角度である
ことを特徴とする請求項1記載の固定子コア。 - 前記抜き板の両端部は、直線状である
ことを特徴とする請求項1記載の固定子コア。 - 前記モータは、ブラシレスDCモータである
ことを特徴とする請求項1記載の固定子コア。 - 前記モータは、モールドモータである
ことを特徴とする請求項1記載の固定子コア。 - ストレートコアから構成されるモータの固定子コアの製造方法において、
帯状のバックヨークの一方の長辺部側から突出した複数個のティースと、前記バックヨークにおける前記隣接するティースの間にあって、かつ、前記ティースが突出している側に設けられた略V字状の切り込み部とを備えた抜き板を形成する第1工程と、
前記抜き板を前記各切り込み部で折り曲げて円弧状に形成する第2工程と、
前記円弧状の抜き板を複数枚組み合わせて第1層のリング状のストレートコアを形成する第3工程と、
第2層から第n層までのストレートコアについては、下層の抜き板の位置とは所定角度ずらせて抜き板を積層してストレートコアを形成する第4工程と、
を有する
ことを特徴とする固定子コアの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003374918A JP2005143164A (ja) | 2003-11-04 | 2003-11-04 | 固定子コア及びその製造方法 |
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JP2003374918A JP2005143164A (ja) | 2003-11-04 | 2003-11-04 | 固定子コア及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005143164A true JP2005143164A (ja) | 2005-06-02 |
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ID=34686474
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005143164A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018008328A1 (ja) * | 2016-07-08 | 2018-01-11 | 日創電機株式会社 | モータの固定子、モータの固定子の製造方法およびモータ |
-
2003
- 2003-11-04 JP JP2003374918A patent/JP2005143164A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018008328A1 (ja) * | 2016-07-08 | 2018-01-11 | 日創電機株式会社 | モータの固定子、モータの固定子の製造方法およびモータ |
JPWO2018008328A1 (ja) * | 2016-07-08 | 2019-01-24 | 日創電機株式会社 | モータの固定子、モータの固定子の製造方法およびモータ |
EP3484016A4 (en) * | 2016-07-08 | 2020-03-04 | Nisso Electric Corporation | MOTOR STATOR, MOTOR STATOR MANUFACTURING METHOD AND MOTOR |
US11050309B2 (en) | 2016-07-08 | 2021-06-29 | Nisso Electric Corporation | Motor stator, method of manufacturing motor stator, and motor |
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