JP2005143093A - オーディオ信号の音質改善回路およびこれを用いるオーディオ増幅回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】
音の明瞭度を向上し、IC化が容易で特にフルレンジスピーカの駆動に適した音質改善回路およびこの回路を用いるオーディオ増幅回路を提供することにある。
【解決手段】
この発明は、少なくとも3個以上の移相回路を従属接続した回路を有し、この回路の位相特性が可聴周波数の範囲における周波数の対数的な増加に対応してオーディオ入力信号の位相を漸次遅らせて可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲において位相をシフトさせるものであるものである。
【選択図】 図1
音の明瞭度を向上し、IC化が容易で特にフルレンジスピーカの駆動に適した音質改善回路およびこの回路を用いるオーディオ増幅回路を提供することにある。
【解決手段】
この発明は、少なくとも3個以上の移相回路を従属接続した回路を有し、この回路の位相特性が可聴周波数の範囲における周波数の対数的な増加に対応してオーディオ入力信号の位相を漸次遅らせて可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲において位相をシフトさせるものであるものである。
【選択図】 図1
Description
この発明は、オーディオ信号の音質改善回路およびこれを用いたオーディオ増幅回路に関し、詳しくは、音の明瞭度を向上し、音像を上方へ移動させることが容易に実現でき、IC化が容易な、特に小型のフルレンジコーン型スピーカの駆動に適した音質改善回路に関する。
カーステレオをはじめとして、TV機器(TV受像機、TV・ビデオゲーム機等)、DVD、ミニコンポ、コンピュータオーディオなどのオーディオ機器にあっては、これが設置される音響空間は、本格的なコンポーネントステレオが設置される音響空間とは異なり、各種の機器や家具等が設置される比較的限られたものか、自動車等の室内のように比較的狭いものとなる場合が多い。しかも、使用されるスピーカは、小型のものであり、フルレンジのコーン型ダイナミックスピーカ(以下コーン型スピーカ)か、2ウエイの場合でもクロスオーバ周波数が高い、例えば、5000Hz以上で、実質的にフルレンジのコーン型スピーカ+ツィータというフルレンジスピーカを主体とする構成のスピーカシステムとなる場合が多い。
ところで、音の再現性としてスピーカに対して要求される重要な要素としては、音圧周波数特性、振幅特性、過渡特性の3つが挙げられる。このうち、最近注目されているのがスピーカの過渡特性である。スピーカの入力信号に対して、コーン型スピーカでは、周波数に応じて立上がり振動特性にずれがある。このずれは、低域(200Hz以下の周波数のオーディオ信号)で大きくなり、高域(4.0k以上の周波数のオーディオ信号)にいくほど小さくなって遅れが少なくなる。
その理由は、コーン型スピーカは、ボイスコイルモータにより駆動されてコーンが振動して音が発生するが、その低域成分は、コーン全体の振動により発生し、高域成分は、コーン中心部(ドーム部分)から放射されるので、振動するコーンの慣性の相違から高域成分の立上がりは速く、低域成分の立上がりが遅くれる。このずれは、小型スピーカほど大きくなる。
その理由は、コーン型スピーカは、ボイスコイルモータにより駆動されてコーンが振動して音が発生するが、その低域成分は、コーン全体の振動により発生し、高域成分は、コーン中心部(ドーム部分)から放射されるので、振動するコーンの慣性の相違から高域成分の立上がりは速く、低域成分の立上がりが遅くれる。このずれは、小型スピーカほど大きくなる。
一方、一般的に、イコライザやフィルターを通してオーディオ信号の電力出力信号をスピーカに加えてスピーカを駆動した場合、電力出力信号がたとえフラットな周波数特性を持っていたとしても低域に対して高域に遅れがあると、オーディオ信号の高調波成分に遅れを生じてスピーカから得られる音の明瞭度は悪化する。この明瞭度を回復するために一般的には、高域をブーストすることになるが、音がキツくなる問題が生じる。
そのため、小型スピーカでは、入力信号の位相を補正して所定の位相特性を加味し、さらに高域の増幅度を増強して音の明瞭度を向上させることが行われている。
前記のような比較的狭い空間で使用される音響機器にあっては、スピーカの過渡特性を考慮して、音像、音の明瞭度を増強するために、人に伝達される音響の頭部伝達関数(HRTF−HEAD RELATED TRANSFER FUNCTION)を考慮し、低い位置から出る音を上方へと移動させて定位させ、音に対する縦方向の人の知覚を利用して明瞭度を増加させる技術も知られている。
なお、音像を上方へ移動させて定位させる知覚に関わる周波数成分は、4kHz,8kHz付近の周波数にあることが知られている。この4kHz,8kHz付近の周波数成分を強調することで、音像が上方に変化する。同様に、人の声の明瞭度に寄与する周波数成分としては、2.5kHz付近にあることが知られている。
そのため、小型スピーカでは、入力信号の位相を補正して所定の位相特性を加味し、さらに高域の増幅度を増強して音の明瞭度を向上させることが行われている。
前記のような比較的狭い空間で使用される音響機器にあっては、スピーカの過渡特性を考慮して、音像、音の明瞭度を増強するために、人に伝達される音響の頭部伝達関数(HRTF−HEAD RELATED TRANSFER FUNCTION)を考慮し、低い位置から出る音を上方へと移動させて定位させ、音に対する縦方向の人の知覚を利用して明瞭度を増加させる技術も知られている。
なお、音像を上方へ移動させて定位させる知覚に関わる周波数成分は、4kHz,8kHz付近の周波数にあることが知られている。この4kHz,8kHz付近の周波数成分を強調することで、音像が上方に変化する。同様に、人の声の明瞭度に寄与する周波数成分としては、2.5kHz付近にあることが知られている。
音質改善の1つであるBBEプロセス技術は、基本波に対して遅れた高調波成分を基本波の前に移動させて、音の波形を自然界の音に近づけ、さらに高調波をブーストすることで明瞭度を増す補正処理をオーディオ信号に対して行う。これによる音質改善効果は、位相補正と高域ブーストの相乗効果により、イコライザを用いる場合よりもブースト量が少なくて済み、明瞭度において大きな効果を発揮する。なお、このBBEプロセス技術の一例が特開平10−75138号公報に示され、公知である(特許文献1)。また、この種の音質改善回路の発明として特許2,608,065号公報が公知である(特許文献2)。
特開平10−75138号公報
特許2,608,065号公報
特開平10−75138号公報に示されるような、BBEプロセス技術では、オーディオ信号を低域,中域、高域と帯域分割して3チャネルのプリアンプでそれぞれに信号処理をして、フィルタ処理で信号に遅延を持たせてオーディオ信号の位相を調整した後に各チャネルで処理した信号をミキシング合成する。このことでスピーカから発生する音の明瞭度を向上させるものである。この技術は、レコーディングスタジオや放送局等で利用されている。
具体的には、低域としては、150Hz以下の周波数のオーディオ信号が、中域としては、150Hz〜1.2kHzの周波数のオーディオ信号が、そして高域としては、1.2kHz以上の周波数のオーディオ信号が使用される。このBBEプロセス技術のゲイン・位相補正特性の一例を図5(a),(b)に示す。
具体的には、低域としては、150Hz以下の周波数のオーディオ信号が、中域としては、150Hz〜1.2kHzの周波数のオーディオ信号が、そして高域としては、1.2kHz以上の周波数のオーディオ信号が使用される。このBBEプロセス技術のゲイン・位相補正特性の一例を図5(a),(b)に示す。
図5(b)に、周波数に対する位相特性として示すように、低域から中域、高域と周波数の対数的な増加に応じて位相を直線的な傾きに沿って漸次遅らせ、結果として可聴周波数(20Hz〜20kHz)の範囲に亘って360度位相を遅らせる特性としている。
図5(a)に示すゲイン特性では、600Hz付近に谷を持たせ、その両側で、例えば、600Hz〜3kHzの範囲において10dB/dec程度振幅を増強するものとなっている。これにより、2.5kHz付近以降の周波数成分が強調されるような特性を得る。
しかし、このような音質改善処理は、3つの帯域に分割しなければならず、3つの帯域の信号を合成したときに、中域に弛みが生じて音抜けが発生する問題がある。
一方、頭部伝達関数を考慮して縦方向に音像定位のために音像の位置を上方へシフトさせる技術のゲイン・位相補正特性は、図6に、周波数に対する位相・ゲイン特性として示すように、位相特性としては、位相の変化は大きなものではなく、500Hz付近に山がある特性となっている。ゲイン特性としては、300Hz付近からブーストを開始して300Hz〜1kHzの範囲において9dB/dec程度で振幅を増強して低域から中域にかけてゲイン特性を改善する。これにより、2.5kHz以降の周波数成分が強調され、音の明瞭度が向上し、音像が上方へと転移する。
図5(a)に示すゲイン特性では、600Hz付近に谷を持たせ、その両側で、例えば、600Hz〜3kHzの範囲において10dB/dec程度振幅を増強するものとなっている。これにより、2.5kHz付近以降の周波数成分が強調されるような特性を得る。
しかし、このような音質改善処理は、3つの帯域に分割しなければならず、3つの帯域の信号を合成したときに、中域に弛みが生じて音抜けが発生する問題がある。
一方、頭部伝達関数を考慮して縦方向に音像定位のために音像の位置を上方へシフトさせる技術のゲイン・位相補正特性は、図6に、周波数に対する位相・ゲイン特性として示すように、位相特性としては、位相の変化は大きなものではなく、500Hz付近に山がある特性となっている。ゲイン特性としては、300Hz付近からブーストを開始して300Hz〜1kHzの範囲において9dB/dec程度で振幅を増強して低域から中域にかけてゲイン特性を改善する。これにより、2.5kHz以降の周波数成分が強調され、音の明瞭度が向上し、音像が上方へと転移する。
一方、小型のフルレンジのコーン型スピーカか、実質的に小型フルレンジスピーカ構成のシステムでは、ボイスコイルモータの径が小さくなり、能率も低下するので、BBEプロセス技術を適用しても、明瞭度が十分上がらない。しかも、ゲイン特性として、300Hz付近からブーストを開始して300Hz〜1kHzの範囲において9dB/dec程度で振幅を増強してゲイン特性を改善すると、500Hz〜1kHzの音声帯域の音質が変化してしまい、ノイズが増大する問題がある。
特に、口径1.5cm〜3cm程度の小型なスピーカを使用する携帯電話などでは、このような技術による音質の向上を期待することは難しい。
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、音の明瞭度を向上し、IC化が容易で特にフルレンジスピーカの駆動に適したオーディオ信号の音質改善回路およびこの回路を用いるオーディオ増幅回路を提供することにある。
なお、この発明および特許請求の範囲におけるフルレンジスピーカには、クロスオーバ周波数が5000Hz程度か、これ以上となる実質的にフルレンジのコーン型スピーカ+ツィータ構成のスピーカシステムも含むものである。また、小型スピーカとは、コーン部の口径が13cm程度か、これ以下のものを言う。
特に、口径1.5cm〜3cm程度の小型なスピーカを使用する携帯電話などでは、このような技術による音質の向上を期待することは難しい。
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、音の明瞭度を向上し、IC化が容易で特にフルレンジスピーカの駆動に適したオーディオ信号の音質改善回路およびこの回路を用いるオーディオ増幅回路を提供することにある。
なお、この発明および特許請求の範囲におけるフルレンジスピーカには、クロスオーバ周波数が5000Hz程度か、これ以上となる実質的にフルレンジのコーン型スピーカ+ツィータ構成のスピーカシステムも含むものである。また、小型スピーカとは、コーン部の口径が13cm程度か、これ以下のものを言う。
前記のような目的を達成するためのこの発明のオーディオ信号の音質改善回路およびこの回路を用いるオーディオ増幅回路の特徴は、スピーカから発生する音質を改善するためにオーディオ入力信号に対して位相を補正したオーディオ出力信号を発生するオーディオ信号の音質改善回路において、
少なくとも3個の移相回路を従属接続した従属接続回路を有し、この従属接続回路の位相特性が可聴周波数の範囲における周波数の対数的な増加に対応してオーディオ入力信号の位相を漸次遅らせて可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲において位相遅れを発生するものである。
少なくとも3個の移相回路を従属接続した従属接続回路を有し、この従属接続回路の位相特性が可聴周波数の範囲における周波数の対数的な増加に対応してオーディオ入力信号の位相を漸次遅らせて可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲において位相遅れを発生するものである。
カーステレオをはじめとして、TV機器、DVD、ミニコンポ、コンピュータオーディオなどのオーディオ機器にあっては、比較的小型のスピーカが使用される。そこで、この発明では、100Hz〜20kHzのオーディオ周波数成分に着目する。この範囲で低域(200Hz以下)から中域(200Hz〜4kHz)、高域(4kHz以上)と周波数の対数的な増加に応じて位相を直線的な傾きに沿って漸次遅らせてトータルとして450度か、それ以上の回転位相遅れ(位相シフト)を持たせる。そのために、この発明にあっては、前記したように、少なくとも3段の移相回路を用いて低域から中域、高域と周波数の対数的な増加に応じて位相を漸次遅らせて可聴周波数(20Hz〜20kHz)の範囲に亘って450度〜600度程度の回転位相遅れを持たせて、スピーカから発生する音のうち高域成分を遅らせて、低域成分の時間軸に合わせることで音質改善をする。
特に、10cm前後の小型のコーンスピーカに対しては、立上がり特性が中型あるいは大型コーンスピーカよりも悪いので、100Hz〜200Hzまでの間で150度か、それ以上の回転位相遅れを持たせることで、音の切れ味がよくなる。
その理由は、10cm前後の小型のスピーカでは、基本波が100Hz〜200Hzの低域に集中し、これに対して高調波成分は、8kHz〜15kHzに集中している。オーディオ信号の低域から高域まで周波数の対数増加に対応して可聴周波数の範囲で直線的に540度の位相をシフトさせた場合には、8kHz〜15kHzの範囲の位相シフトの特性は、基本波が100Hz〜200Hzの範囲の位相シフトの特性に実質的に360度の位相差をもって対応付けることができるからである。
特に、10cm前後の小型のコーンスピーカに対しては、立上がり特性が中型あるいは大型コーンスピーカよりも悪いので、100Hz〜200Hzまでの間で150度か、それ以上の回転位相遅れを持たせることで、音の切れ味がよくなる。
その理由は、10cm前後の小型のスピーカでは、基本波が100Hz〜200Hzの低域に集中し、これに対して高調波成分は、8kHz〜15kHzに集中している。オーディオ信号の低域から高域まで周波数の対数増加に対応して可聴周波数の範囲で直線的に540度の位相をシフトさせた場合には、8kHz〜15kHzの範囲の位相シフトの特性は、基本波が100Hz〜200Hzの範囲の位相シフトの特性に実質的に360度の位相差をもって対応付けることができるからである。
図4は、この発明の特徴を説明するための小型スピーカ(口径10cm程度)の立ち上がり特性の説明図である。
一般的にスピーカは、入力信号に対して音の立ち上がり時にコーンの振動波形(出力波形)が変形してそれが定常状態のコーンの振動波形(出力波形)として現れるまでに多少時間がかかる。この出力波形の変形の度合いを入力信号に対する周波数ずれとして表したのが図4である。縦軸は、周波数のずれ量、横軸は、スピーカへの信号入力開始時点からの時間である。なお、ここでの周波数のずれ量は、スペクトル分析にて測定される。
Aは、100Hzから1kHzのオーディオ信号についてこの範囲を低域の信号として音の立ち上がり時の周波数のずれれ量を平均化した特性であり、Bは、4kHzから8kHzまでを高域として同様なずれ量を平均化した特性である。
音量は、中音程度に設定してある。音量を小さくすると、低域でのずれ量はあまり減少しないからである。
この特性から分かることは、スピーカへの信号入力開始時点から20msec程度経過すると低域のずれ量が大きく低減し、高域と同様なずれ量になってくることである。
一般的にスピーカは、入力信号に対して音の立ち上がり時にコーンの振動波形(出力波形)が変形してそれが定常状態のコーンの振動波形(出力波形)として現れるまでに多少時間がかかる。この出力波形の変形の度合いを入力信号に対する周波数ずれとして表したのが図4である。縦軸は、周波数のずれ量、横軸は、スピーカへの信号入力開始時点からの時間である。なお、ここでの周波数のずれ量は、スペクトル分析にて測定される。
Aは、100Hzから1kHzのオーディオ信号についてこの範囲を低域の信号として音の立ち上がり時の周波数のずれれ量を平均化した特性であり、Bは、4kHzから8kHzまでを高域として同様なずれ量を平均化した特性である。
音量は、中音程度に設定してある。音量を小さくすると、低域でのずれ量はあまり減少しないからである。
この特性から分かることは、スピーカへの信号入力開始時点から20msec程度経過すると低域のずれ量が大きく低減し、高域と同様なずれ量になってくることである。
音質を向上させる場合には、高域と低域の立ち上がりずれ量に差がないことが必要である。一方、原音を再現するには、基本波と高調波との位相が合っていることが重要な要素になる。
高調波成分は、8kHz以上の高域周波数が主体となる。図5に示す従来技術では、可聴周波数の範囲では、360度の位相差があるが、低域周波数と高域周波数との間には実質的に280程度の位相差しかない。低域成分に対して1Hz前後の遅れで高調波成分を合わせているが、高域成分と100Hzの基本波成分との位相差が360度より小さくなって、十分な位相合わせができなず、小型スピーカでは音質が改善されない。
さらに、100Hzのオーディオ信号は、1Hzが10msecとなり、図4の特性A,Bに示すように、低域と高域との立ち上がりずれ量が大きいところになる。そのため、音質があまり改善されない。
低域と高域との立ち上がりずれ量が少ない、20msec程度に合わせて低域と高域とを重ねるには、小型スピーカの基本波を100Hzとした場合に図4の特性からみれば、低域周波数と高域周波数との間に実質的に720度以上の位相シフトを設ければ低域と高域との立ち上がりずれ量が少なくなり、音質が改善されるはずである。しかし、720度以上の位相シフトを設けると、100Hzの基本波成分に対して2Hz遅れた高調波成分を合わせることになる。その結果、高調波と基本波との位相ずれが大きくなって音質は改善されない。
高調波成分は、8kHz以上の高域周波数が主体となる。図5に示す従来技術では、可聴周波数の範囲では、360度の位相差があるが、低域周波数と高域周波数との間には実質的に280程度の位相差しかない。低域成分に対して1Hz前後の遅れで高調波成分を合わせているが、高域成分と100Hzの基本波成分との位相差が360度より小さくなって、十分な位相合わせができなず、小型スピーカでは音質が改善されない。
さらに、100Hzのオーディオ信号は、1Hzが10msecとなり、図4の特性A,Bに示すように、低域と高域との立ち上がりずれ量が大きいところになる。そのため、音質があまり改善されない。
低域と高域との立ち上がりずれ量が少ない、20msec程度に合わせて低域と高域とを重ねるには、小型スピーカの基本波を100Hzとした場合に図4の特性からみれば、低域周波数と高域周波数との間に実質的に720度以上の位相シフトを設ければ低域と高域との立ち上がりずれ量が少なくなり、音質が改善されるはずである。しかし、720度以上の位相シフトを設けると、100Hzの基本波成分に対して2Hz遅れた高調波成分を合わせることになる。その結果、高調波と基本波との位相ずれが大きくなって音質は改善されない。
そこで、小型スピーカについては、基本波成分に対して実質的に1Hz〜1.5Hz前後で高調波成分を合わせたところ低域と高域との立ち上がりずれ量が少なく、かつ、高調波と基本波と位相ずれが少なくなり、全体として音質改善がみられた。これがこの本発明である。
さらに、この発明では、前記に加えて、音像定位に関して音像の上方へ移動を行うために、周波数利得総合特性において、500Hz〜1kHzの範囲に谷があって、1kHz付近から立上がるように、ゲインのブーストを1kHz付近に設定する。このようにすれば、500Hz〜1kHzの音声帯域の音質の変化を抑制でき、その劣化を防止することができる。しかも、500Hz〜1kHzでのブーストを避けることでノイズの低減を図ることができる。これにより、口径1.5cm〜3cm程度の小型なスピーカを使用する携帯電話のスピーカに対しても音質を向上させることができる。
その結果、この発明は、音の明瞭度を向上させることができる上に、少ない移相回路で済むことからIC化が容易になる。しかも、フルレンジスピーカの駆動に適した音質改善回路およびこの回路を用いるオーディオ増幅回路を実現できるので、音響空間の狭いところに設置されるオーディオシステムの音質改善が可能になる。
さらに、この発明では、前記に加えて、音像定位に関して音像の上方へ移動を行うために、周波数利得総合特性において、500Hz〜1kHzの範囲に谷があって、1kHz付近から立上がるように、ゲインのブーストを1kHz付近に設定する。このようにすれば、500Hz〜1kHzの音声帯域の音質の変化を抑制でき、その劣化を防止することができる。しかも、500Hz〜1kHzでのブーストを避けることでノイズの低減を図ることができる。これにより、口径1.5cm〜3cm程度の小型なスピーカを使用する携帯電話のスピーカに対しても音質を向上させることができる。
その結果、この発明は、音の明瞭度を向上させることができる上に、少ない移相回路で済むことからIC化が容易になる。しかも、フルレンジスピーカの駆動に適した音質改善回路およびこの回路を用いるオーディオ増幅回路を実現できるので、音響空間の狭いところに設置されるオーディオシステムの音質改善が可能になる。
図1は、この発明のオーディオ信号の音質改善回路を適用した一実施例のプリアンプ、図2は、図1のプリアンプにおける各移相回路の周波数に対する位相・ゲイン特性の説明図、図3は、具体的な回路例における周波数に対する位相・ゲイン特性の説明図、そして図4は、小型スピーカの過渡特性の立ち上がり特性の一例の説明図である。
図1において、10は、IC化されたプリアンプに内蔵される音質改善の位相・ゲイン補正回路(音質改善回路)であって、高域通過型オールパスアクティブフィルタ(HP・APF)1、2と低域通過型オールパスアクティブフィルタ(LP・APF)3の従属接続回路で構成される。
HP・APF1、2とLP・APF3とは、それぞれオペアンプで構成された180度移相回路であって、これらの移相回路を3段従属接続することで、オーディオ入力信号に対してその周波数の対数的な増加に対応してオーディオ信号の位相を漸次遅らせる推移をさせて可聴周波数の範囲(20Hz〜20kHz)においてトータルで540度シフトさせる。これにより低域周波数に対して高域周波数に位相遅れを持たせる。
この実施例での回転位相のトータル量は、540度であるが、この発明は、これに限定されるものではなく、可聴周波数(20Hz〜20kHz)の範囲において450度〜600度程度の範囲の位相遅れを持たせるものであればよい。その理由は、図4の特性A,Bにおいて、30msec前後での周波数のずれ量が小さいなり、周波数ずれに幅があるからである。
図1において、10は、IC化されたプリアンプに内蔵される音質改善の位相・ゲイン補正回路(音質改善回路)であって、高域通過型オールパスアクティブフィルタ(HP・APF)1、2と低域通過型オールパスアクティブフィルタ(LP・APF)3の従属接続回路で構成される。
HP・APF1、2とLP・APF3とは、それぞれオペアンプで構成された180度移相回路であって、これらの移相回路を3段従属接続することで、オーディオ入力信号に対してその周波数の対数的な増加に対応してオーディオ信号の位相を漸次遅らせる推移をさせて可聴周波数の範囲(20Hz〜20kHz)においてトータルで540度シフトさせる。これにより低域周波数に対して高域周波数に位相遅れを持たせる。
この実施例での回転位相のトータル量は、540度であるが、この発明は、これに限定されるものではなく、可聴周波数(20Hz〜20kHz)の範囲において450度〜600度程度の範囲の位相遅れを持たせるものであればよい。その理由は、図4の特性A,Bにおいて、30msec前後での周波数のずれ量が小さいなり、周波数ずれに幅があるからである。
HP・APF1、2とLP・APF3とは、オーディオ信号の周波数の対数的な増加に対応してオーディオ信号の位相を漸次遅らせる推移をさせて180度回転させるオールパスアクティブフィルタの移相回路であり、さらに高域側,低域側にゲイン特性を持たせて構成した回路になっている。
HP・APF1は、図2(a)に示すように、そのゲイン特性は、200Hzからゲインが増加し20kHzにピークを持つ山形特性のフィルタである。その位相特性は、100Hzから20kHzに向かって対数の周波数増加に対して直線的に漸次遅れる180度の位相遅れの移相回路である。
HP・APF2は、図2(b)に示すように、そのゲイン特性は、10Hzからゲインが増加し200Hzにピークに達して平坦となるフィルタである。その位相特性は、10Hzから1kHzに向かって対数の周波数増加に対して直線的に漸次遅れる180度の位相遅れ回路である。
LP・APF3は、図2(c)に示すように、そのゲイン特性は、100Hzからゲインが減少して1kHzから平坦となるフィルタである。その位相特性は、10Hzから1kHzに向かって対数の周波数増加に対して直線的に漸次遅れる180度の位相遅れ回路である。
HP・APF1は、図2(a)に示すように、そのゲイン特性は、200Hzからゲインが増加し20kHzにピークを持つ山形特性のフィルタである。その位相特性は、100Hzから20kHzに向かって対数の周波数増加に対して直線的に漸次遅れる180度の位相遅れの移相回路である。
HP・APF2は、図2(b)に示すように、そのゲイン特性は、10Hzからゲインが増加し200Hzにピークに達して平坦となるフィルタである。その位相特性は、10Hzから1kHzに向かって対数の周波数増加に対して直線的に漸次遅れる180度の位相遅れ回路である。
LP・APF3は、図2(c)に示すように、そのゲイン特性は、100Hzからゲインが減少して1kHzから平坦となるフィルタである。その位相特性は、10Hzから1kHzに向かって対数の周波数増加に対して直線的に漸次遅れる180度の位相遅れ回路である。
これら周波数の増加に対する180度位相遅れの3つの移相回路を従属接続することで、音質改善回路10は、オーディオ信号の周波数の対数的な増加に対応してトータルとして、オーディオ信号の入力信号に対して可聴周波数の範囲いおいて540度の位相遅れを与えた出力信号を発生する。すなわち、音質改善回路10の入力端子Vinから入力されたオーディオ信号の20Hz〜20kHzまでの間において540度位相が回転した出力信号をその出力端子Voutに出力する。
その結果、音質改善回路10は、図2(d)に示すような位相・ゲイン特性になる。位相特性は、可聴周波数(20Hz〜20kHz)の範囲に亘って540度回転をさせる位相特性直線6の傾きに沿って漸次位相が遅れるものとなる。また、ゲイン特性7は、100Hz近傍に4dB程度のゲインの山を持たせて、1kHz近傍からブーストを行い、10kHz近傍で6〜14dbのゲインに設定されるものとなる。そのために、前記のようなゲイン特性のオールパスフィルタを用いる。
これにより、中域(200Hz〜4kHz)での弛みをなくし、4kHz,8kHzの周波数成分を強調することができる。また、低域(20Hz)に対して高域(20kHz)の位相を540度遅らせることで、前記したように100Hzの基本波成分に対して実質的に1Hz〜1.5Hz前後で高調波成分を合わせることができ、かつ、低域と高域との立ち上がりずれ量を減少させて、小型スピーカの明瞭度を向上させることができる。
その結果、音質改善回路10は、図2(d)に示すような位相・ゲイン特性になる。位相特性は、可聴周波数(20Hz〜20kHz)の範囲に亘って540度回転をさせる位相特性直線6の傾きに沿って漸次位相が遅れるものとなる。また、ゲイン特性7は、100Hz近傍に4dB程度のゲインの山を持たせて、1kHz近傍からブーストを行い、10kHz近傍で6〜14dbのゲインに設定されるものとなる。そのために、前記のようなゲイン特性のオールパスフィルタを用いる。
これにより、中域(200Hz〜4kHz)での弛みをなくし、4kHz,8kHzの周波数成分を強調することができる。また、低域(20Hz)に対して高域(20kHz)の位相を540度遅らせることで、前記したように100Hzの基本波成分に対して実質的に1Hz〜1.5Hz前後で高調波成分を合わせることができ、かつ、低域と高域との立ち上がりずれ量を減少させて、小型スピーカの明瞭度を向上させることができる。
具体的な回路定数について説明すると、移相回路のHP・APF1は、低域で非反転増幅、高域で反転増幅の動作をする差動動作のオペアンプ1aとこれの(−)入力端子に接続された基準抵抗Rs、そして(+)入力端子に接続された入力抵抗Ri、出力端子Voと(−)入力端子との間に挿入された増幅率を決定する帰還抵抗Rfと、周波数の増加に応じて180度位相を回転させるフィルタとして(+)入力端子とグランドGNDとの間に接続された抵抗R1とコンデンサC1の直列接続のフィルタ回路からなる。
基準抵抗Rsと入力抵抗Riとの残りの端子は、入力端子Vinに接続され、これの出力端子Voが次段のHP・APF2の入力端子に接続されている。入力抵抗Ri=200kΩ、基準抵抗Rs=10kΩ、帰還抵抗Rf=200kΩ、抵抗R1=200kΩであり、コンデンサC1=80pFであって、IC内部に形成されたコンデンサである。また、位相補償用のコンデンサCs=10pFが帰還抵抗Rfに並列に接続されている。なお、この場合のコンデンサC1=80pFは、ICに対して外付けされてもよい。
基準抵抗Rsと入力抵抗Riとの残りの端子は、入力端子Vinに接続され、これの出力端子Voが次段のHP・APF2の入力端子に接続されている。入力抵抗Ri=200kΩ、基準抵抗Rs=10kΩ、帰還抵抗Rf=200kΩ、抵抗R1=200kΩであり、コンデンサC1=80pFであって、IC内部に形成されたコンデンサである。また、位相補償用のコンデンサCs=10pFが帰還抵抗Rfに並列に接続されている。なお、この場合のコンデンサC1=80pFは、ICに対して外付けされてもよい。
HP・APF2は、回路定数が多少相違するだけ、回路構成は、HP・APF1と同様な移相回路である。すなわち、低域で非反転増幅、高域で反転増幅の動作をする差動動作のオペアンプ1aとこれの(−)入力端子に接続された基準抵抗Rs、そして(+)入力端子に接続された入力抵抗Ri、出力端子Voと(−)入力端子との間に挿入された増幅率を決定する帰還抵抗Rfと、周波数に応じて180度位相を回転させるフィルタとして(+)入力端子とグランドGNDとの間に接続された抵抗R1とコンデンサC1のフィルタ回路からなる。そして、基準抵抗Rsと入力抵抗Riとの残りの端子がHP・APF1の出力端子Voに接続され、これの出力端子Voが次段のLP・APF3の入力端子に接続されている。帰還抵抗Rfに並列に接続された位相補償用のコンデンサCsは削除されていて、帰還抵抗Rfは=50kΩ、入力抵抗Ri=10kΩ、抵抗R1=10kΩである。コンデンサC1は、ICの端子4を介してICに外付けされたコンデンサとなっていて、その容量は0.1μFである。
LP・APF3も回路定数が多少相違するだけ、回路構成は、HP・APF2と同様な移相回路である。すなわち、低域で非反転増幅、高域で反転増幅の動作をする差動動作のオペアンプ1aとこれの(−)入力端子に接続された基準抵抗Rs、そして(+)入力端子に接続された入力抵抗Ri、出力端子Voutと(−)入力端子との間に挿入された増幅率を決定する帰還抵抗Rfと、周波数に応じて180度位相を回転させるフィルタとして(+)入力端子とグランドGNDとの間に接続されたコンデンサC1のフィルタ回路からなる。そして、基準抵抗Rsと入力抵抗Riとの残りの端子がHP・APF2の出力端子Voに接続されている。抵抗R1と帰還抵抗Rfに並列に接続された位相補償用のコンデンサCsは削除されていて、帰還抵抗Rfは=2.5kΩ、入力抵抗Ri=10kΩ、基準抵抗RS=10kΩである。コンデンサC1は、ICの端子5を介してICに外付けされたコンデンサとなっていて、その容量は0.1μFである。
ただし、帰還抵抗Rfは、固定抵抗ではなく、可変抵抗となっていて、これによりゲイン調整ができる。この可変抵抗は、外部からデータ設定等により抵抗値が選択できるプログラマブル抵抗である。プログラマブル抵抗は、例えば、共通に一端が接続された複数の抵抗値の他端をセレクタで選択する帰還抵抗回路を帰還抵抗Rfに換えて設け、セレクタで選択する抵抗の位置をデータ設定で行うようにすればよい。
ただし、帰還抵抗Rfは、固定抵抗ではなく、可変抵抗となっていて、これによりゲイン調整ができる。この可変抵抗は、外部からデータ設定等により抵抗値が選択できるプログラマブル抵抗である。プログラマブル抵抗は、例えば、共通に一端が接続された複数の抵抗値の他端をセレクタで選択する帰還抵抗回路を帰還抵抗Rfに換えて設け、セレクタで選択する抵抗の位置をデータ設定で行うようにすればよい。
図3は、この回路による周波数に対する位相・ゲイン特性である。
なお、この図3では、位相特性については180Hz付近と20kHz付近で−180度から+180度に位相が反転しているが、これは、連続的に遅れる位相を−180度から+180度に位置をずらせて表示しているからである。
この特性に示すように、音質改善回路10は、その位相特性として、100Hz〜20kHzのオーディオ周波数成分に対してトータルとして450度以上として、オーディオ周波数成分100Hz〜8kHに関しては360度を超える回転位相遅れを持たせている。位相特性は、少なくとも200Hz以下低域のある周波数の信号から8kHz以上の高域のある周波数の信号まで対数増加に対して実質的に直線的な傾きで漸次位相を遅らせる特性となっている。
そして、低域から中域、高域と周波数の対数的な増加に応じて位相を図2(d)に示す位相特性直線6の傾斜に沿って漸次遅られて可聴周波数(20Hz〜20kHz)の範囲に亘って540度程度の位相遅れとなっている。
なお、移相特性としては、少なくとも200Hz以下低域のある周波数の信号から8kHz以上の高域のある周波数の信号まで対数増加に対して実質的に直線的な傾きで漸次位相を遅らせる位相特性であればよい。
これにより、小型スピーカの100Hzの低域に対して8kHz以上の高域の回転位相は、360度程度か、それ以上確保できる。その結果、小型スピーカについては、基本波成分(100Hz〜200Hz)に対して実質的に1Hz〜1.5Hz前後で8kHz〜15kHzの高調波成分を合わせることができ、低域と高域との立ち上がりずれ量が少なくなり、かつ、高調波と基本波と位相ずれが少なくなって、全体として音質が改善される。
なお、この図3では、位相特性については180Hz付近と20kHz付近で−180度から+180度に位相が反転しているが、これは、連続的に遅れる位相を−180度から+180度に位置をずらせて表示しているからである。
この特性に示すように、音質改善回路10は、その位相特性として、100Hz〜20kHzのオーディオ周波数成分に対してトータルとして450度以上として、オーディオ周波数成分100Hz〜8kHに関しては360度を超える回転位相遅れを持たせている。位相特性は、少なくとも200Hz以下低域のある周波数の信号から8kHz以上の高域のある周波数の信号まで対数増加に対して実質的に直線的な傾きで漸次位相を遅らせる特性となっている。
そして、低域から中域、高域と周波数の対数的な増加に応じて位相を図2(d)に示す位相特性直線6の傾斜に沿って漸次遅られて可聴周波数(20Hz〜20kHz)の範囲に亘って540度程度の位相遅れとなっている。
なお、移相特性としては、少なくとも200Hz以下低域のある周波数の信号から8kHz以上の高域のある周波数の信号まで対数増加に対して実質的に直線的な傾きで漸次位相を遅らせる位相特性であればよい。
これにより、小型スピーカの100Hzの低域に対して8kHz以上の高域の回転位相は、360度程度か、それ以上確保できる。その結果、小型スピーカについては、基本波成分(100Hz〜200Hz)に対して実質的に1Hz〜1.5Hz前後で8kHz〜15kHzの高調波成分を合わせることができ、低域と高域との立ち上がりずれ量が少なくなり、かつ、高調波と基本波と位相ずれが少なくなって、全体として音質が改善される。
さらに、800Hzから3kHzの範囲においては、10dB/dec以上で振幅を増強して中域においてゲイン特性を改善している。このゲインは、LP・APF3の可変抵抗として設けられた帰還抵抗Rf(=2.5kΩ)の抵抗値の調整により最大で14dB/decまで調整可能になっている。さらに、20kHz以上では、ゲインを緩やかに落としている。これにより高周波領域のノイズを低減している。
ゲインの調整は、HP・APF3の帰還抵抗Rfを2.5kΩの抵抗値の可変によるもので、矢印で示すように、位相も同時に変化している。
特に、10cm前後の小型のコーンスピーカに対しては、立上がり特性が中型あるいは大型コーンスピーカよりも悪いので、前記の位相とゲインの補正により音の切れ味をよくすることができる。また、さらに口径1.5cm〜3cm程度の小型なスピーカを使用する携帯電話のスピーカに対しても音質を向上させることができる。
しかも、音像定位に関して音像の上方への移動を行うゲインのブーストを1kHz付近に設定して、1kHz付近から立上げるようにしているので、500Hz〜1kHzの音声帯域の音質変化を抑制して、その劣化を防止することができ、ノイズを低減することができる。
ゲインの調整は、HP・APF3の帰還抵抗Rfを2.5kΩの抵抗値の可変によるもので、矢印で示すように、位相も同時に変化している。
特に、10cm前後の小型のコーンスピーカに対しては、立上がり特性が中型あるいは大型コーンスピーカよりも悪いので、前記の位相とゲインの補正により音の切れ味をよくすることができる。また、さらに口径1.5cm〜3cm程度の小型なスピーカを使用する携帯電話のスピーカに対しても音質を向上させることができる。
しかも、音像定位に関して音像の上方への移動を行うゲインのブーストを1kHz付近に設定して、1kHz付近から立上げるようにしているので、500Hz〜1kHzの音声帯域の音質変化を抑制して、その劣化を防止することができ、ノイズを低減することができる。
ところで、図1の実施例における接続順序は、HP・APF1、2とLP・APF3を従属接続することに限定されない。それぞれに高域、低域にゲインを持つフィルタ特性と180度の回転位相を持っているので、これらは、初段をHP・APF2として次段をHP・APF1とし、最終段をLP・APF3としても、あるいは初段をLBF3として次段をHP・APF1とし、最終段をHP・APF2としてもよい。これら移相回路の接続する順序は問わない。
なお、実施例では、HP・APF1、2とLP・APF3を1個のICの中にそれぞれ集積化して形成しているが、これら移相回路は、それぞれが1個の別個のICとして形成され、それら3個のICが従属接続されてもよいことはもちろんである。
また、これら移相回路は、ICに限定されず、個別の接続コンデンサ、オペアンプによって構成してもよいことはもちろんである。
なお、実施例では、HP・APF1、2とLP・APF3を1個のICの中にそれぞれ集積化して形成しているが、これら移相回路は、それぞれが1個の別個のICとして形成され、それら3個のICが従属接続されてもよいことはもちろんである。
また、これら移相回路は、ICに限定されず、個別の接続コンデンサ、オペアンプによって構成してもよいことはもちろんである。
以上説明してきたが、実施例では、オペアンプを用いた180度の移相回路のオールパスアクディブフィルタ3個により、オーディオ信号の周波数の対数的な増加に対応してオーディオ信号の位相を漸次遅らせ結果として可聴周波数の範囲で540度推移させる回路を構成しているが、この発明の移相回路は、3個に限定されるものではなく、さらにそれぞれの位相特性は、低域に対して高域を180度シフトさせるものである必要はない。その1つは、4個使用すれば、その1つは90度か、それ以上シフトさせるものであってもよい。
また、各移相回路は、アクディブフィルタを用いる必要もない。さらに、位相推移は、可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲にうちのある角度でなされていればよい。
また、各移相回路は、アクディブフィルタを用いる必要もない。さらに、位相推移は、可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲にうちのある角度でなされていればよい。
1,2…高域アクティブフィルタ(HPAPF)、
3…低域アクティブフィルタ(LPAPF)、
4,5…ICの端子、6…位相特性直線、7…ゲイン特性、
10…プリアンプ。
3…低域アクティブフィルタ(LPAPF)、
4,5…ICの端子、6…位相特性直線、7…ゲイン特性、
10…プリアンプ。
Claims (16)
- スピーカから発生する音質を改善するためにオーディオ入力信号に対して位相を補正したオーディオ出力信号を発生するオーディオ信号の音質改善回路において、
少なくとも3個の移相回路を従属接続した従属接続回路を有し、この従属接続回路の位相特性は、可聴周波数の範囲における周波数の対数的な増加に対応して前記オーディオ入力信号の位相を漸次遅らせて前記可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲の位相遅れを発生するものである音質改善回路。 - 前記3個の移相回路のうち2個は、ハイパス型オールパスフィルタからなるアクディブフィルタであり、他の1個は、ローパス型オールパスフィルタからなるアクディブフィルタであって、前記従属接続回路は、少なくとも200Hz以下低域のある周波数の信号から8kHz以上の高域のある周波数の信号まで対数増加に対して実質的に直線的な傾きで漸次位相を遅らせる位相特性を持つ請求項1記載の音質改善回路。
- スピーカから発生する音質を改善するためにオーディオ入力信号に対して位相を補正したオーディオ出力信号を発生するオーディオ信号の音質改善回路において
少なくとも順に従属接続された第1、第2および第3の移相回路を有し、
前記第1、第2および第3の移相回路の各位相特性は、それぞれ自己の入力信号に対して可聴周波数の範囲における周波数の対数的な増加に対応して自己の出力信号の位相を漸次遅らせ、少なくとも前記可聴周波数の範囲において90度か、それ以上位相をシフトさせるものであり、
前記第1、第2および第3の移相回路の総合位相特性は、前記第1の移相回路の前記入力信号に対して前記第3の位相回路の前記出力信号が前記可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲において位相遅れを発生するものである音質改善回路。 - 前記第1、第2および第3の移相回路のうち2個は、ハイパス型オールパスフィルタからなるアクディブフィルタであり、残りの1個は、ローパス型オールパスフィルタからなるアクディブフィルタであって、前記第1、第2および第3の移相回路からなる従属接続回路は、少なくとも200Hz以下低域のある周波数の信号から8kHz以上の高域のある周波数の信号まで対数増加に対して実質的に直線的な傾きで漸次位相を遅らせる位相特性を持つ請求項3記載の音質改善回路。
- 前記従属接続回路の位相特性は、100Hzの低域に対して8kHz以上の高域との位相差が360度か、それ以上あって、100Hz〜200Hzまでの位相シフトが実質的に150度か、それ以上であり、その周波数利得総合特性は、500Hz〜1kHzの範囲に谷があって、1kHz付近から立上がる請求項4記載の音質改善回路。
- 前記従属接続回路は、IC化された回路であり、前記周波数利得総合特性の前記1kHz付近から立上がる利得の傾きは、10dB/dec以上であり、かつ、前記利得の傾きが調整可能であり、前記オーディオ出力信号が13cm以下のコーン型のフルレンジスピーカを駆動するために使用される請求項5記載の音質改善回路。
- 前記ローパス型オールパスフィルタには、ゲイン調整用の可変抵抗が設けられ、前記可変抵抗がプログラマブル抵抗である請求項6記載の音質改善回路。
- 前記アクティブフィルタは、差動動作のオペアンプで構成され、前記ICは、プリアンプを内蔵し、前記従属接続回路は、前記プリアンプの一部として形成されている請求項7記載の音質改善回路。
- スピーカから発生する音質を改善するためにオーディオ入力信号に対して位相を補正したオーディオ出力信号を発生するオーディオ信号の音質改善回路を有するオーディオ増幅回路において、
前記音質改善回路は、少なくとも3個の移相回路を従属接続した従属接続回路を有し、この従属接続回路の位相特性は、可聴周波数の範囲における周波数の対数的な増加に対応して前記オーディオ入力信号の位相を漸次遅らせて前記可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲の位相遅れを発生するオーディオ増幅回路。 - 前記3個の移相回路のうち2個は、ハイパス型オールパスフィルタからなるアクディブフィルタであり、他の1個は、ローパス型オールパスフィルタからなるアクディブフィルタであって、前記従属接続回路は、少なくとも200Hz以下低域のある周波数の信号から4kHz以上の高域のある周波数の信号まで対数増加に対して実質的に直線的な傾きで漸次位相を遅らせる位相特性を持つ請求項9記載のオーディオ増幅回路。
- スピーカから発生する音質を改善するためにオーディオ入力信号に対して位相を補正したオーディオ出力信号を発生するオーディオ信号の音質改善回路を有するオーディオ増幅回路において
前記音質改善回路は、少なくとも順に従属接続された第1、第2および第3の移相回路を有し、
前記第1、第2および第3の移相回路の各位相特性は、それぞれ自己の入力信号に対して可聴周波数の範囲における周波数の対数的な増加に対応して自己の出力信号の位相を漸次遅らせ、少なくとも前記可聴周波数の範囲において90度か、それ以上位相をシフトさせるものであり、
前記第1、第2および第3の移相回路の総合位相特性は、前記第1の移相回路の前記入力信号に対して前記第3の位相回路の前記出力信号が前記可聴周波数の範囲においてトータルで450度〜600度の範囲において位相遅れを発生するものであるオーディオ増幅回路。 - 前記第1、第2および第3の移相回路のうち2個は、ハイパス型オールパスフィルタからなるアクディブフィルタであり、残りの1個は、ローパス型オールパスフィルタからなるアクディブフィルタであって、前記第1、第2および第3の移相回路からなる従属接続回路は、少なくとも200Hz以下低域のある周波数の信号から8kHz以上の高域のある周波数の信号まで対数増加に対して実質的に直線的な傾きで漸次位相を遅らせる位相特性を持つ請求項10記載のオーディオ増幅回路。
- 前記従属接続回路の位相特性は、100Hzの低域に対して8kHz以上の高域との位相差が360度か、それ以上あって、100Hz〜200Hzまでの位相シフトが実質的に150度か、それ以上であり、その周波数利得総合特性は、500Hz〜1kHzの範囲に谷があって、1kHz付近から立上がる請求項12記載のオーディオ増幅回路。
- 前記従属接続回路は、IC化された回路であり、前記周波数利得総合特性の前記1kHz付近から立上がる利得の傾きは、10dB/dec以上であり、かつ、前記利得の傾きが調整可能であり、前記オーディオ出力信号が13cm以下のコーン型のフルレンジスピーカを駆動するために使用される請求項13記載のオーディオ増幅回路。
- 前記ローパス型オールパスフィルタには、ゲイン調整用の可変抵抗が設けられ、前記可変抵抗がプログラマブル抵抗である請求項14記載のオーディオ増幅回路。
- 前記アクティブフィルタは、差動動作のオペアンプで構成され、前記ICは、プリアンプを内蔵し、前記従属接続回路は、前記プリアンプの一部として形成されている請求項15記載のオーディオ増幅回路。
このようにこの発明にあっては、
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