特許文献1における、光学式マウス並びに光学式ペン型マウスは、ボールの回転方向と回転量を測る手段に、実施可能な具体性がなく、またボールには、ランダムに光を反射する模様を施すと開示され、その模様がどのような模様なのか、また、どの様にしてその模様を施したか、そのボールの実施可能な具体的構造や製造方法などの開示がない。
しかし、段落0006において、ボールに描く模様は、幾何学模様では課題があるとしてあるが、単にランダム模様とするだけでは、実施可能なものとして、課題が具体的に解決されない。
すなわち、実際にランダム模様を施したボールを作れなければ、課題は具体的に解決されないとともに、そのボールの製造方法は、工業的に生産可能であり、かつ、そのボールによって構成される光学式マウスや光学式ペン型マウスは、従来のマウスやトラックボールと同等程度の価格でなければ、実用的でない。
特許文献2においては、ランダム模様を施したボールの具体的構成例が、段落0008に開示されている。
この特許文献2は、光学式トラックボールの具体例であり、これに使用されるボールの大きさは、直径5mm〜20mmで、表面にランダムに斑点が配置されている。
このボールを光学ペン型マウスに適用するために、ボールの直径を5mm以下にするについては、何の開示もなく、また光学ペン型マウスに使用しうるかどうかについては、なんの示唆もない。
この特許文献2には、ボールの具体的構造や製造方法は開示されていない。
特許文献3においては、光学ペン型のトラックボール(マウス)のボールが、段落0034および0038に開示されている。
この例においては、ボールは硬質のシリコンゴムに金属粉や酸化物粉等を混入して、微小な斑点模様を形成している。
このボールは、シリコンゴムの摩擦性により、筆記入力時の軌跡に対する良好な回転追従性が得られるとしている。
しかし、ボールの摩擦個所は、ペンの先端における筆記個所だけではなく、筆記動作中のボールは、筆記個所の反対側において、内部機構と接触して、適度の筆圧を生じつつ回転するものである。
この場合、内部機構との接触部においては、低摩擦を実現しないとボールは回回転し難くなるとともに、場合によっては回転不可能にもなる。
さらに、硬質のシリコンゴムと金属粉や酸化物粉等のように、極端に硬度の異なるものを混ぜ合わせて球体を形成した場合、球体の表面に偏った圧力を加えると、硬度の高い微小な粒子は、硬度の低い材料の表面から脱落する可能性があり、このボールは実用性に課題を残す。
さらに、上記ボールの構造を、直径の大きなトラックボールに適用した場合、トラックボールを受支する機構との間に摩擦が大きくなりすぎて、滑らかな回転が得られない課題を残す。
このことは、トラックボールの受支機構に、滑り構造を採用できなくなるため、ボールをあらゆる方向に自在に回転させるための構造が複雑になる。
特許文献4においては、光学式マウスの具体例が開示されており、この光学式マウスは、マウスケースの直下の模様、開示例では段落0027において、机または手の甲や平の表面を、光学式マウスを水平移動させることにより、その表面の反射光を検出して、マウスと表面との相対的移動方向と移動量を検出するとある。
一般に、机または手の甲や平の模様は、不規則性の模様となっており、ここに記載の光学的移動検出手段は、不規則模様とマウスケース(光学的移動検出手段)との相対的移動情報を、具体的に測るものであり、しかも段落0021に開示の如く、その光学的移動検出手段は、光学センサとして市販されているものである。
本発明は、上記光学式トラックボール、および光学式ペン型マウスのいずれにも適した、光学的不規則模様を表面に有するボールを提供するとともに、そのボールの組成構造を明らかにして、そのボールとすでに市販されている光学的移動検出手段をなす光学センサを用いることにより、新規な光学式トラックボールと、光学式ペン型マウスを、具体的に実用可能なものとして提供することにある。
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1) 1種または複数種の鉱物が光学的に不均一に混じり合ってなる自然石、もしくは、それと外観を近似させた材料を、球状に研摩して、球の表面に光学的不規則模様を際だたせてなるボールと、そのボール表面の光学的不規則模様の移動を、光学的に読取り、ボールの回転方向と回転量を検出する光学的移動検出手段とを備えることにより。
(2)前記(1)項において、鉱物が、元素鉱物、硫化鉱物、ハロゲン化鉱物、酸化鉱物、炭酸塩鉱物、硼酸塩鉱物、硫酸鉛鉱物、燐酸塩鉱物、砒酸塩鉱物、(モリブデン、タングステン、バナジン、テルル、クロム)酸塩鉱物、珪酸塩鉱物、のいずれかに分類されてなる。
(3)前記(1)または(2)項において、自然石が、水晶、青金石、蛍石、孔雀石、翡翠、瑪瑙、黄鉄鋼、雲母、方解石、のいずれか1種または複数種を鉱物とする。
(4)前記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、自然石が、天然に産出する石に、人工的に加工を加えて、色、光沢、模様、および光学特性のいずれかを、変化させた加工石である。
(5)前記(1)項において、自然石と外観を近似させた材料が、特定の自然石に対して、色、光沢、模様を近似させた人造石である。
(6)1種の材料を、表面が光学的に不均一に混じり合うように球状に加工して、球の表面に光学的不規則模様を際だたせてなるボールと、そのボール表面の不規則模様の移動を光学的に読取り、ボールの回転方向と回転量を検出する光学的移動検出手段とを備えることにより。
(7)前記(6)項において、ボールが、ガラスを1種の材料としてなるビー玉である。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか項において、ボールが、光学移動検出手段における移動模様検知面に、ボールの表面を合致させて、回転自在に保持されている。
(9)前記(8)項において、光学移動検出手段における移動模様検知面が、その移動模様検出面とボールの表面を合致させて、ボールを回転自在に保持した状態で、移動模様検知面と直交する方向に、光学移動検出手段と一緒に、移動しうるようになっている。
(10)上記(9)項において、光学移動検出手段が、ボールの表面を照明する光源を備えた電子回路基板に装着されて、ボール表面の不規則模様の移動を光学的に読取り、ボールの回転方向と回転量を検出し、ボールと一緒に、移動模様検知面と直交する方向に、移動しうるようになっている。
(11)前記(10)項において、電子回路基板が、当該電子回路基板の一端をケースに固定し、他端を揺動自在にすることにより、ボールと光学移動検出手段を一緒にして、移動模様検知面と直交する方向に、ケースに対して電子回路基板を相対的に移動しうるようにしてある。
(12)前記(10)項において、電子回路基板が、ケースに対して相対的に移動可能な揺動部材に、当該電子回路基板を固定することにより、ボールと光学移動検出手段を一緒にして、移動模様検知面と直交する方向に、ケースに対して電子回路基板を相対的に移動しうるようにしてある。
(13)前記(12)項において、揺動部材が、電子回路基板と平行して、周辺部の一端をケースに固定するとともに、その固定部の近傍に、可撓部を設けて、固定部の反対側端を揺動自在とした板材である。
(14)前記(11)〜(13)項のいずれかにおいて、ケースが、手のひら内に収まる大きさで、移動模様検知面と直交する方向に扁平な形状をなしている。
(15)前記(11)項において、揺動部材が、移動模様検知面と直交する方向に軸線をほぼ合致し、内孔に電子回路基板を固着し、かつ外周を、前記移動模様検知面と直交する方向に軸線をほぼ合致させた内孔を備えるケースにおける当該内孔に、緩く嵌合した筒体である。
(16)前記(15)項において、ケースが、移動模様検知面とほぼ直交する軸線方向に細長く、外形寸法が筆記具状を呈している。
(17)前記(10)〜(16)項のいずれかにおいて、電子回路基板が、当該電子回路基板のケースに対する移動量を検出する移動量検出手段を備えている。
(18)前記(17)項において、移動量検出手段が、ケースに対する少ない移動量を検出する第1の移動量検出手段と、その第1の移動量検出手段が検出する移動量より多い移動量を検出する第2の移動量検出手段を備えている。
(19)前記(18)項において、第2の移動量検出手段が、それの検出信号によって第1の移動量検出手段の出力信号を擬似的に保持している。
(20)上記(19)項において、擬似的に保持された第1の移動量検出手段の信号が、再度の第1の移動量検出手段の出力信号により解除される。
(21)前記(18)項において、第1と第2の移動量検出手段が、動作点を異えた2個の位置検出リミットスイッチでなる。
(22)前記(18)項において、第1と第2の移動量検出手段が、作動圧力の異なる2個の押しボタンスイッチを直列連結してなる。
(23)前記(18)項において、第1と第2の移動量検出手段が、揺動部材とケースの間に設けられた感圧素子による圧力検出信号を、揺動部材の移動量に応じた低高2個所の圧力に対応してそれぞれ出力する感圧検出手段でなる。
(24)前記(23)項において、感圧検出手段が、ケースに設けた感圧力調整ネジで動作圧力を調節しうるようになっている。
(25)前記(3)項において、ボールが、ボールの直径より若干大径の内径を有する筒体の内壁に保持されて、回転自在になっている。
(26)前記(25)項において、筒体が、板状の揺動部材と固着もしくは一体的に構成されている。
(27)前記(9)項において、光学移動検出手段における移動模様検知面が、ボール側に拡径するテーパー面を備えた座板を、光学移動検出手段とボールの間に備えて、当該移動模様検知面とボールの表面を合致させている。
(28)前記(27)項において、座板が、低摩擦材でなる。
請求項1記載の発明によると、1種または複数種の鉱物が光学的に不均一に混じり合ってなる自然石、もしくは、それと外観を近似させた材料を、球状に研摩して、球の表面に光学的不規則模様を際だたせてなるボールを、本発明のポインティングデバイスに使用できるので、1つのポインティングデバイス本体に対して、複数の自然石、もしくは、それと外観を近似させた材料による、色、光沢、模様、透明度等、外観や、審美感の異なる複数のボールが使用できる。
また、ボールのサイズも、球体を研摩する技術の範囲において、小さいのから大きいのまで、所要の光学的不規則模様が得られるように、自然石の組成を選択することにより、ボールの回転方向と回転量を検出する光学的移動検出手段における、ボール表面の光学的不規則模様の移動を光学的に読取る能力に応じた光学的不規則模様を表面に際だたせてなるボールを得ることができ、ボールの小さな光学式ペン型マウス、ボールの中くらいの手持ち式トラックボール、ボールの大きな机上載置式トラックボール等、多様なボールを使用しての多様なポインティングデバイスを提供できる。
請求項2に記載の発明によると、各種の自然石によるボールを作ることができる。
請求項3に記載の発明によると、自然石が、装飾品や嗜好品、および宝石として使用される石によるボールが作れるので、意匠的、装飾的に審美性の高いポインティングデバイスを提供できる。
請求項4に記載の発明によると、自然石に人工的に加工を加えることにより、ボール表面の光学的不規則模様を際だたせることができるので、光学的移動検出手段がボールの移動を光学的に読取る能力を増し、かつ使用できる自然石の利用の歩留まりを増して、ボールの単価を安価にし、もって、安価なボールを使用したポインティングデバイスを提供できる。
請求項5に記載の発明によると、外観が、自然石に近似し、材料が安価なボールを作成できるので、意匠的、装飾的にはほぼ同等で、安価なボールを使用したポインティングデバイスを提供できる。
請求項6および7に記載の発明によると、1種類の材料により、球の表面に光学的不規則模様を際だたせてなるボールを作るとともに、その材料をガラスとし、ボールはビー玉として作られるで、ボールが安価にでき、安価なボールを使用したポインティングデバイスを提供できる。
請求項8に記載の発明によると、ボールが、光学移動検出手段における移動模様検知面に、ボールの表面を合致させて、回転自在に保持されているので、光学移動検出手段とボールの相対関係を、常に精密に維持することができ、安定したポインターの制御を行うことができる。
請求項9に記載の発明によると、光学移動検出手段における移動模様検知面が、その移動模様検出面とボールの表面を合致させて、ボールを回転自在に保持した状態で、移動模様検知面と直交する方向に、光学移動検出手段と一緒に、移動しうるようになっているので、ボールが移動模様検知面と直交する方向に移動しても、光学移動検出手段に入力している移動模様検出面には、そのボールの移動による模様の移動を生じないので、制御するポインターには、そのボールの移動による変動を生じない。
請求項10に記載の発明によると、光学学移動検出手段が、ボールの表面を照明する光源を備えた電子回路基板に装着されて、ボール表面の不規則模様の移動を光学的に読取り、ボールの回転方向と回転量を検出し、ボールと一緒に、移動模様検知面と直交する方向に、移動しうるようになっているので、ボールが移動模様検知面と直交する方向に移動しても、光学移動検出手段に入力している移動模様検出面には、そのボールの移動による照明の変化や模様の移動を生じないので、制御するポインターには、そのボールの移動による変動を生じない。
請求項11に記載の発明によると、電子回路基板が、当該電子回路基板の一端をケースに固定し、他端を揺動自在にすることにより、ボールと光学移動検出手段を一緒にして、移動模様検知面と直交する方向に、ケースに対して電子回路基板を相対的に移動しうるようにしてあるので、ボールと光学移動検出手段を一緒にして揺動させための構造に、電子回路基板の可撓性を利用して、構成部品を少なくし、構造を簡素化することができる。
請求項12に記載の発明によると、電子回路基板が、ケースに対して相対的に移動可能な揺動部材に、当該電子回路基板を固定することにより、ボールと光学移動検出手段を一緒にして、移動模様検知面と直交する方向に、ケースに対して電子回路基板を相対的に移動しうるようにしてあるので、ボールと光学移動検出手段を一緒にして揺動させるための構造に、丈夫な揺動専用の構造部材を使用して、長期間安定した動作を行わせることができる。
請求項13に記載の発明によると、揺動部材が、電子回路基板と平行して、周辺部の一端をケースに固定するとともに、その固定部の近傍に、可撓部を設けて、固定部の反対側端を揺動自在とした板材であるので、揺動部材が、電子回路基板に対して補強材として作用し、そのため、電子回路基板に、薄型で可撓性に富んだフイルム基板を採用することができる。
請求項14に記載の発明によると、ケースが、手のひら内に収まる大きさで、移動模様検知面と直交する方向に扁平な形状をなしているので、ケースを手のひらに納めて、ボールを親指で操作するようにした、ポインティングデバイスを提供することができる。
請求項15に記載の発明によると、揺動部材が、移動模様検知面と直交する方向に軸線をほぼ合致し、内孔に電子回路基板を固着し、かつ外周を、前記移動模様検知面と直交する方向に軸線をほぼ合致させた内孔を備えるケースにおける当該内孔に、緩く嵌合した筒体であるから、ケース全体を細長くして、筆記具状にすることができる。
請求項16に記載の発明によると、ケースが、移動模様検知面とほぼ直交する軸線方向に細長く、外形寸法が筆記具状を呈していることにより、鉛筆やペンを握るようにしてポインティングデバイスを操作することができる。
請求項17に記載の発明によると、電子回路基板が、当該電子回路基板のケースに対する移動量を検出する移動量検出手段を備えていることにより、ボールが光学移動検出手段と一緒に、移動模様検知面と直交する方向へ、ケースに対して電子回路基板が相対的に移動したのを検出し、ボールを回転操作することとは別の操作を、ボールに対して行うことができる。
請求項18に記載の発明によると、移動量検出手段が、ケースに対する少ない移動量を検出する第1の移動量検出手段と、その第1の移動量検出手段が検出する移動量より多い移動量を検出する第2の移動量検出手段を備えていることにより、ボールを光学移動検出手段と一緒に、移動模様検知面と直交する方向へ、ケースに対して電子回路基板を相対的に、少なく移動したのと、少なく移動したのに続いて、大きく移動したのを検出することができる。
これにより、ボールを移動模様検知面と直交する方向へ少なく移動させた場合を左クリック状態に、少なく移動したのに続いて、大きく移動した場合を左クリックの擬似的持続状態に至らしめることができる。
請求項19に記載の発明によると、第2の移動量検出手段が、それの検出信号によって第1の移動量検出手段の出力信号を擬似的に保持していることにより、ボールを押して左クリックしたままポインターを移動するドラック操作を、左クリック状態を擬似的に持続させることにより、本来の左クリック状態を維持する操作指を、一旦ボールから離して、ポインターの移動の操作のみを行い、ポインターがドロップ位置に至ると、再度はボールを押して左クリック状態にして、その後ボールの押圧力を弱めると、ドロップ動作を完了するようにした、ポインターの操作を行うことができる。
請求項20に記載の発明によると、擬似的に保持された第1の移動量検出手段の信号が、再度第1の移動量検出手段の出力信号により、解除してなることにより、ポインターのドロップ操作を行うことができる。
請求項21に記載の発明によると、第1と第2の移動量検出手段が、動作点を異えた2個の位置検出リミットスイッチでなるので、ボールを光学移動検出手段と一緒に、移動模様検知面と直交する方向へ移動したのを、動作位置で生じるクリック感を伴って、容易に検出することができる。
請求項22に記載の発明によると、第1と第2の移動量検出手段が、作動圧力の異なる2個の押しボタンスイッチを直列連結してなるので、ボールを光学移動検出手段と一緒に、移動模様検知面と直交する方向へ移動したのを、動作位置で生じるクリック感を伴って、容易に検出することができるとともに、スイッチの動作点の調節が不要なのでスイッチの取付が簡単である。
請求項23に記載の発明によると、第1と第2の移動量検出手段が、揺動部材とケースの間に設けられた感圧素子による圧力検出信号を、揺動部材の移動量に応じた低高2個所の圧力に対応してそれぞれ出力する感圧検出手段でなるので、ボールを光学移動検出手段と一緒に、移動模様検知面と直交する方向へ移動させる距離を、極小さいものとしても検知することができる、移動量検出手段が得られる。
請求項24に記載の発明によると、感圧検出手段が、ケースに設けた感圧力調整ネジで動作圧力を調節しうるようになっているので、ボールを光学移動検出手段と一緒に、移動模様検知面と直交する方向へ移動させる距離を、調節することができる。
請求項25に記載の発明によると、ボールが、ボールの直径より若干大径の内径を有する筒体の内壁に保持されて、回転自在になっているので、ボールの回転時に、摩擦抵抗を減らすことができる。
請求項26に記載の発明によると、筒体が、板状の揺動部材と固着もしくは一体的に構成されているので、ボールの表面と移動模様検知面の整合が容易である。
請求項27に記載の発明によると、光学移動検出手段における移動模様検知面が、ボール側に拡径するテーパー面を備えた座板を、光学移動検出手段とボールの間に備えて、当該移動模様検知面とボールの表面を合致させているので、ボールを光学移動検出手段と一緒に、移動模様検知面と直交する方向へ移動させる押圧力をボールに加えたときに、ボールがテーパー面に求心的に押しつけられて、そのテーパー面の直下にある移動模様検知面において、ボールがぶれたり動いたりすることがなくなり、左クリック操作やドラック操作時に、ポインタがぶれることがなくなる。
請求項28に記載の発明によると、座板が、低摩擦材でなるので、ボールを光学移動検出手段と一緒に、移動模様検知面と直交する方向へ移動させつつ、ボールを回転させる場合においても、ボールの回転を容易にすることができる。
図1と図2は、本発明に係るポインティングデバイスの第1の実施形態を示すものである。
図1は、ポインティングデバイスたる光学式トラックボールの正面斜視図、図2は、図1の光学式トラックボールの中央縦断側面図を示す。
トラックボール(1)は、ケース(2)を、正面視の左右の幅を40〜50mm、上下の長さを50〜60mm、厚さを15〜30mm程にして、手のひら内に収まる大きさの扁平な形状にしてある。
ケース(2)の正面中央には、ケース(2)に対して回転自在にした、直径10〜16mm程のボール(3)が、ボール(3)の正面側中央部(3a)を、ケース(2)の前面(2a)より突出するように設けられている。
図2に示す如く、ケース(2)は、前ケース(4)と後ケース(5)とに、前後2つに分離しうる構造をなし、そのケース(2)内の厚み方向の中程には、板状の揺動部材(6)が、それの下端(6a)を、後ケース(5)の内側下端(5a)に、固着して設けられている。
揺動部材(6)には、固着された下端(6a)より若干上方に、板厚方向に曲がりやすくした可撓部(7)が設けられ、その可撓部(7)より上方部(6b)は、ケース(2)に対して前後方向に揺動できるようにしてある。
揺動部材(6)の中央におけるボール(3)の後には、ボール(3)の直径より極わずか内径を大とした筒体(8)が、当該揺動部材(6)と一体に設けられている。
筒体(8)における揺動部材(6)をもってなる底板(9)には、筒体(8)の内径より小径の通孔(10)が設けられている。
筒体(8)における筒壁(8a)と底板(9)の内面(9a)とがなす段部(11)には、前方のボール側に拡径するテーパ面(12)を備えた座板(13)が嵌合している。
座板(13)の後方には、テーパ面(12)を構成するテーパ孔(12a)の後端開口を拡径するための、窪み孔(14)が設けられている。
ボール(3)は、直径部を筒体(8)の筒壁(8a)に緩く嵌合し、後部を座板(13)のテーパ面(12)に接し、後方の球面(3b)を、揺動部材(6)でもある底板(9)の内面(9a)に接して、筒体(8)の中に収まっている。なお、底板(9)の内面(9a)は、揺動部材(6)の前面(6c)と同一平面をなしている。
筒体(8)の前端(8b)は、ボール(3)の直径部よりも少し前方に突出し、その前端(8b)の前方には、ボール(3)の直径より小径の内孔(15a)を有するボール押さえ座板(15)が、その内孔(15a)をボール(3)に嵌めて当接されている。
ボール押さえ座板(15)は、ケース(2)の前面(2a)をなす前ケース(4)の前板(4a)に、着脱自在に構成されたボール蓋(16)の内孔(16a)の内側段部(16b)に嵌合している。
なお、ボール蓋(16)の着脱構造は、従来のマウスにおけるボール押さえ蓋と同じ構造をなすので、説明は省略する。
また、本発明において、ボール押さえ座板(15)とボール蓋(16)を別体としたのは、後述するように、本発明に使用するボール(3)は、自然石を球状に研摩した硬質のボールであるため、ボール(3)の直径より小径をなす内孔(15a)の部分が摩耗することを考慮して、ボール押さえ座板(15)を交換部品とするのが目的であり、耐磨耗性の材料で両者を構成すれば、ボール押さえ座板(15)とボール蓋(16)は、一体に構成することができる。
ボール押さえ座板(15)の外径は、筒体(8)の外径より少し大きくしてあり、揺動部材(6)が後方に揺動したとき、筒体(8)の前端(8b)は、ボール押さえ座板(15)から離れて動けるようになっている。
揺動部材(6)の後面には、ボール(3)の後方を向く球面(3b)の模様を読みとり、ボール(3)の回転方向と回転量を検出する光学的移動検出手段(17)を備えた電子回路基板(18)が、取り付けられている。
光学的移動検出手段(17)は、集積回路素子として提供され、その素子の基板面側には、図示を省略した受光窓が設けられており、その受光窓の軸線を、ボール(3)の中心を通る前後方向の軸線A−Aと合致させて、光学的移動検出手段(17)を装着した電子回路基板(18)は、揺動部材(6)に取り付けられる。
電子回路基板(18)には、ボール(3)の後方の球面(3b)を照明する光源(19)が設けられ、その光源(19)が放射する光線は、反射体(20)を介してボール(3)の後方の球面(3b)に投射され、その反射光は、光学移動検出手段(17)に入射するようになっている。
なお、光源(18)から光学移動検出手段(17)に至る光学光路の途中の基板には、通孔(21)を設けてある。
光学的移動検出手段(17)をなす集積回路素子は、光学マウス用に設計されており、それの移動模様検出面は、光学マウスのケースの底面になるように光学距離が定められている。
揺動部材(6)の厚さは、光学マウス用のケースの底面の厚さになるように定めてあり、光学的移動検出手段(17)の移動模様検出面は、揺動部材(6)の前面(6b)、すなわ筒体(8)の底板(9)の内面(9a)に合致している。
この底板(9)の内面(9a)には、ボール(3)の後方の球面(3b)が接しており、ボール(3)の前後をなす軸線と光学軸を合致させた光学的移動検出手段(17)は、それの移動模様検出面をボール(3)の球面(3b)に合わせてある。
なお、光学マウス用の光学移動検出手段(17)は、移動模様検出面を平面として光学設計されているが、移動模様検出面には、焦点深度があり、球面においてもほぼ平面に近い移動画像の検出を行うことができる。
電子回路基板(18)の後面上端(18a)には、互いの押しボタン(22a)(23a)を直列結合した第1と第2の押しボタンスイッチ(22)(23)が設けられ、一方の第1の押しボタンスイッチ(22)の本体(22b)は、電子回路基板(18)に固着され、他方の第2の押しボタンスイッチ(23)の本体(23b)は、後ケース(5)の上端内壁(5b)に当接してある。
第1と第2の押しボタンスイッチ(22)(23)は、オンオフ動作時にクリック感の得られる機械スイッチで、かつオンオフ動作点の動作圧力を、互いに異えてある。
電子回路基板(18)は、揺動部材(6)の後面に固着されており、その電子回路基板(18)の後面と後ケース(5)の内壁(5b)に挟まれた両押しボタンスイッチ(22)(23)は、揺動部材(6)の前後の揺動に応じてオンオフする。
このオンオフする際に、動作圧力を低くして動作する押しボタンスイッチ、例えば押しボタンスイッチ(22)をそれとすれば、他方の動作圧力の高い押しボタンスイッチ(23)に対して、揺動部材(6)の後方傾動の少ない所でオンオフ動作を行い、その押しボタンスイッチ(22)の動作個所より、揺動部材(6)の後方傾動が所要に増した所で、押しボタンスイッチ(23)が動作する。
揺動部材(6)は、ボール(3)を後方に押したとき、その揺動部材(6)に支持されているボール(3)とともに、後方に傾動して、押しボタンスイッチ(22)(23)は、ボール(3)の押込み深さに応じてオンオフする。
第1と第2の押しボタンスイッチ(22)(23)は、押圧力を増したときオンし、押圧力を減じたときオフするようにしておく。
低圧力で動作する第1の押しボタンスイッチ(22)のオンオフ信号は、オペレーションシステムをウインドウズ(マイクロソフト社の登録商標である)(以下ポインタの制御状況は、ウインドウズ上のものとして説明する)とするときの右利き用マウスの左ボタンスイッチと同等の働きをするように設定する。この左ボタンスイッチ動作は、オンオフを素速く繰り返す動作をクリックと称し、スイッチを押したまま、オン状態を持続する動作をドラックと称する。
高い圧力で動作する第2の押しボタンスイッチ(23)のオン信号は、このオン信号が得られるときには必ずオン信号を出力している第1の押しボタンスイッチ(22)のオン信号を、第1の押しボタンスイッチ(22)が非動作状態になっても、第1の押しボタンスイッチ(22)のオン信号が出力しているような状態に至らしめる。
例えば第1押しボタン(22)を軽く押して、それの動作音(クリック音)を確認すると、直ぐに押圧力を緩めて、第1押しボタンスイッチ(22)をオフすると、クリック動作になる。
また、第1押しボタンスイッチ(22)をオンした状態で、ボール(3)を回転させると、ポインタがアイコンなどを保持した状態で移動するドラッグ状態になる。
ポインティングデバイスをマウスとするときは、左ボタンを押さえてドラッグしたまま、マウスをマウスパッドもしくは机上から離して、マウスを移動方向の逆方向に引き戻し、マウスの動作範囲が狭くとも、ポインターの送り動作の引継ができる。
しかし、本発明のポインティングデバイスのように、ポインターを移動させる為に使う指と、左ボタン相当のスイッチを押して、押圧動作を維持する為に使用する指が同一となる場合には、ポインターの送り動作の引継ができなく、しかも、トラックボールの場合には、ボール(3)の1度の回転範囲に制限があるとともに、その回転範囲は、ボール(3)の径に応じて非常に狭いものとなっている。
そこで、左ボタンに相当する第1の押しボタンスイッチ(22)を作動させて、それをオンした後、第2の押しボタンスイッチ(23)を動作させて、そのオン状態を擬似的に保持して、擬似的ドラッグ状態となし、これによりボール(3)を移動する指を、スイッチのオン状態を維持する作業から解放して、擬似的にドラッグ状態を維持したまま、ボール(3)を押し込まないで軽く回転させて、ポインタを所定の場所へ移動する。
ポインタが、ドラッグしたアイコンをドロップさせたい所に移動すると、その位置で、ボール(3)を押しつけて、第1の押しボタンスイッチ(22)を作動させ、本来のドラッグ状態に至らしめる。
この第1押しボタンスイッチ(22)が、再度のオン信号を出力すると、前記第2の押しボタンスイッチ(23)の出力信号による擬似的ドラッグ状態を解除する。しかしこの擬似的ドラッグ状態の解除の際には、すでに本来のドラッグ信号が出力されているので、ドラッグ状態は継続されて、第1の押しボタン信号による本来のドラッグ信号に引き継がれて、ドラッグ状態は維持される。
その後、第1押しボタンスイッチ(22)をオン状態にする押圧力でボール(3)を押しつつ、ボール(3)を回転して、ポインターを所定に位置に移動し、そこでボール(3)の押圧力を緩めると、第1の押しボタンスイッチ(22)がオフするとともに、ドラッグ信号がオフして、アイコンをその位置にドロップする。
なお、右クリック信号を出力するには、ケース(2)の前面(2a)において、ボール(3)の周辺に設けた複数の押しボタンスイッチ(24)のいずれかに割り当ててある。
上記ボール(3)を操作する指は、主として親指(1指)(25)を使用する。
トラックボール(1)は、手の平における2指〜5指の上に、ボール(3)を上向きにして乗せて、そのボール(3)の上に親指(25)を当てて使用する。
親指(25)をケース(2)の左右に動かしてボール(3)を回転すると、画面上のポインターは左右に動き、親指(25)をケース(2)の上下に動かしてボール(3)を回転すると、画面上のポインターは上下に動く。
このボール(3)を回転する親指(25)は、ボール(3)を軽く回転するときは、ボール(3)の前後方向の軸線方向に力を加えず、ボール(3)の球面の折線方向に、ボール(3)の表面を擦るようにして回転させる。
ボール(3)は、前述の如く、後方の球面(3b)をテーパ面(12)によって受支されている。
テーパー面(12)は、ボール(3)の後方軸線A−Aに沿った押圧力に対しては、ボール(3)を軸線A−Aに合致させる求心力が働いて、ボール(3)の後方の球面(3b)を、ぶれないように作用する。
ボール(3)を納めた筒体(8)は、ボール(3)の直径より若干大径の内径を有しており、ボール(3)がテーパ面(12)に押圧されているときには、直径部と筒壁(8a)の間には、極わずかの隙間ができている。
ボール(3)を軽く回転するために、正面に突出しているボール(3)の前端球面を接線方向に、擦るような力を加えると、ボール(3)は、その方向に、直径部を筒壁(8a)に当接する。
ボール(3)がテーパー面(12)に均一に接しているとき、すなわち、軸線方向に押圧されているときには、ボール(3)の直径部は筒壁(8a)と離れていることから、
ボール(3)の直径部が筒壁(8a)に接している状態では、ボール(3)とテーパー面(12)が不均一に接していることになる。
このことは、ボール(3)の球面とテーパ面(12)の円錐面とが、片当たりしていることに相当し、ボール(3)とテーパー面(12)は、点接触をしていることに他ならない。
これにより、ボール(3)の前面を擦るように回転させるときには、ボール(3)は、押された方向の筒壁(8a)の接触点と、接触点の後方におけるボール(3)の球面とテーパー面(12)の接触点の2個所においてのみ、点接触しており、摩擦が非常に少ない状態になっている。
このような作用は、ボール(3)をテーパー面(12)のみで受支するのではなく、ボール(3)をテーパー面(12)との整合位置から偏らせた位置で、ボール(3)の球面を受支できる受支部を、テーパー面(12)の軸線回りボール(3)の直径部もしくはその付近に設けたからである。
すなわち、テーパー面(12)の軸線と同軸で、ボール(3)の直径よりも少し大径をなす筒体(8)に、ボール(3)を、ボール(3)が半分以上収まるように収納したことによる。
以上のことから、筒体(8)およびテーパー面(12)を備える座板(13)は、ボール(3)を構成する材料に対して、低摩擦で耐磨耗性の材料、例えば四フッ化エチレン樹脂とするのだ好ましい。
本発明においては、上記ボール(3)が、どの様なを構成をもって、どのような材料でできているかが重要になる。
以下、ボール(3)の具体例について説明する。
ボール(3)は、1種または複数種の鉱物が光学的に不均一に混じり合ってなる自然石、もしくは、それと外観を近似させた材料を、球状に研摩して、球の表面に光学的不規則模様を際だたせてなるものである。
上記、鉱物は、元素鉱物、硫化鉱物、ハロゲン化鉱物、酸化鉱物、炭酸塩鉱物、硼酸塩鉱物、硫酸鉛鉱物、燐酸塩鉱物、砒酸塩鉱物、(モリブデン、タングステン、バナジン、テルル、クロム)酸塩鉱物、珪酸塩鉱物、のいずれかに分類されるものである。
上記自然石は、水晶、青金石、蛍石、孔雀石、翡翠、瑪瑙、黄鉄鋼、雲母、方解石のいずれか1種または複数種を鉱物とするものである。
自然石としては、天然に産出する石に、人工的に加工を加えて、色、光沢、模様、および光学特性のいずれかを、変化させた加工石を含むものである。
自然石と外観を近似させた材料としては、特定の自然石に対して、色、光沢、模様を近似させた人造石である。
上記自然石は、一般的には、宝石もしくはそれに類する石で、定性的には、透明な石、不透明な石、不透明な石と透明な石が混じり合った石、曇った石、濁った石、光る石、複数の色の石が混じり合った石、割れ目模様のある石等、いずれも断面に光学的不規則模様を呈するような石である。
単結晶を除く自然石においては、長期の時間を掛けて、特殊な環境の元に、組成が混じり合い、化学的に変化するため、組成の複雑性は非常に高いものとなっており、断面模様の不規則性は、人工物では通常得にくい不規則模様を形成している。
さらに、不規則模様の細かさも、大まかな不規則模様から、極細かな不規則模様まで、同じ材質のものにおいても、模様の細かさを適当に選別することにより、模様の密度を異えたものを容易に得ることが可能である。
例えば、自然石を球状に研摩して、その球状のボールの表面に際だたせた不規則模様を、斑点や線の数に換算して比較した場合、直径の大きなボールの表面の点や線の数と、直径の小さなボールの表面の点や線の数を、はぼ同じくするような自然石を選択することは比較的容易にできる。
このことは、大きな直径のボールを用いたトラックボールから、小さなボールを用いた、光学式ペン型のマウスのいずれのボールに対しても、同じ材質の自然石で、表面に光学的不規則模様を際だたせたボールを、作ることが出きることを示している。
また、本発明においては、光学的移動検出手段(17)を用いる為に、ボール(3)を透明体とすることは不適当を思われがちであるが、鉱石本来は透明体であっても、自然石として得られるものには、各種の不純物を含んで、色を変化させたり、局部的に透明度を変化させて濁らせたり、屈折率を変化させたり、また、高圧下において複雑に亀裂が生じていたりして、自然石の切り口には、光学的不規則模様ができるようになっている。
この自然石を球状に研摩すると、その表面には、3次的方向に、光学的不規則模様が連続して得られる。
また、不透明な石においても、各種の鉱石が混じり合って、球状に研摩すると、その表面に、光学的不規則模様が得られる。
上記自然石は、通称パワーストーンと称されて、安価な宝石に類する石として、一般に提供されているものもある。
このパワーストーンと称されて提供されるときの各種鉱物に応じた名称は以下のように称されている。
アクアマリン、アマゾナイト、アメシスト、インカローズ、オニキス、オブシディアン、オレンジアラゴナイト、カーネリアン、クリアオレンジカルサイト、グリーンアベンチュリン、グリーントルマリン、グリーンフローライト、クリソコラ、クリソプレーズ、シトリン、水晶、スターローズクオーツ、スノーフレイクオプシディアン、ズモーキークオーツ、ソーダライト、ダークアメシスト、タイガーアイ、チャコルコパライト、トゥルーターコイズ、ニュージェイド、パイライト、ピンクトルマリン、ブラックトルマリン、ブラッドストーン、ブルーレース、フローアイト、フォークアイ、ヘマタイト、マザーオブパール、マラカイト、ムーンストーン、めのう、ユカナイト、ラピスラズリ、ラブラドライト、ルチルクオーツ、ルビー、レッドジャスパー、レドタイガーアイ、ローズクオーツ、ロードナイト。
これらの自然石は、色、光沢、模様、透明感等が、審美的に美しいものが多く、古来から装飾品や嗜好品として使用されている。
本発明においては、自然石の表面にできる光学的不規則模様が、光学的移動検出手段(17)において検出しうることを、ポインティングデバイスとして機能するための必要要件としている。
しかし、ボール(3)の色、光沢、模様、透明感等が変わっても、ボール(3)の回転に伴う、回転方向や移動量の検出に、不都合を生じなければ、どの自然石によって作られたボール(3)であるかは、ポインティングデバイスとしての機能仕様に含まれないことになる。
すなわち、使用者は、自己の好みにおいて、自然石で作られたボール(3)の鉱物の種類を選択できることになる。
また、ボール(3)として、透明度の高い鉱物の石、例えば水晶やアメジスト系の石を用いた場合、ボール(3)の後方の球面(3b)を照明する光源(19)の投射光が、ボール(3)内を通過して前面側に洩れ、鉱物の色や内部散乱などにより、審美的意匠効果を醸し出す。
ボール(3)は、それの直径を規格として定め、そのボール(3)を構成する自然石の鉱物の種類などについては、特定しないで、使用者の嗜好に応じて選択自由にする。
本発明におけるポインティングデバイスたるトラックボール(1)は、ボール(3)を除くケース(2)の本体部分と、ボール(3)とは、それぞれ別々に価格設定そして別体として提供される。
使用者は、ケース(2)を含む本体部分と自己の趣向にあった、色、光沢、模様、鉱物の種類のボール(3)を選択して、それらを組み合わせて、トラックボール(1)として完成させて使用する。
また、使用者は、1つの本体に対して、複数個のボール(3)を、そのとき気分などに応じて、使い分けることもできる。
図3は、本発明に係るポインティングデバイスたる光学式ペン型マウスの一例を示す中央縦断面図である。
ペン型マウス(31)は、ケース(32)を、それぞれねじ部を介して着脱自在とし、先端にボール(33)を備えた先端キャップ(34a)と、ペン軸本体(34)と、後端キャップ(34b)とからなる。
ケース(32)は、ペン軸本体(34)の直径を12〜20mm、長さを120〜150mm、ボール(33)の直径を4〜10mm程にした、外形寸法が若干太めの筆記具状となしてある。
ボール(33)は、実施例1と同様に、1種または複数種の鉱物が光学的に不均一に混じり合ってなる自然石、もしくは、それと外観を近似させた材料を、球状に研摩して、球の表面に光学的不規則模様を際だたせてなるものである。
ボール(33)に係るその他についても同様で、実施例1のボール(3)に比べて、単に直径を小径にしたもので、通称パワーストーンと称されている装飾用の石には、直径を4〜6mmとした球形の石が、ブレスレットや電話機等のストライプ用に提供され、それらの球形の石を用いて、ボール(33)を構成することができる。
先端キャップ(34a)には、先端部の内側にボール(33)を遊嵌する、ボール(33)の直径よりわずか大径の筒壁(38)が設けられ、この筒壁(38)の先端側には、ボール(33)の脱出を係止する縮径部(34c)が設けられている。
また、筒壁(38)の後端側には、筒壁(38)にボール(33)を納めたとき、ボール(33)の最後面より少し手前から後方に延び、筒壁(38)の径より大径の円孔(39)が設けられている。
円孔(39)は、ペン軸本体(34)の軸芯に設けた円孔(40)と連通している。
先端キャップ(34a)の円孔(39)とペン軸本体(34)の円孔(39)とは、同径とするのが好ましいが、必ずしも両者が同径であることを必須要件とはしていない。
先端キャップ(34a)における筒壁(38)と円孔(39)がなす段部(41)には、先端のボール側に拡径するテーパ面(42)を備え、円孔(39)に緩く嵌合する径の座板(43)が設けられている。
座板(43)の後方には、軸線方向に摺動自在の揺動部材(36)の先端(36a)が当接している。
揺動部材(36)は、先端キャップ(34a)の円孔(39)もしくはペン軸本体(34)の円孔(39)いずれかの細い方の円孔(39)(40)に緩く嵌合している、円筒形の筒体(44)である。
筒体(44)の内孔(45)には、電子回路基板(48)を備え、該電子回路基板(48)の先端側には、光学的移動検出手段(47)と光源(49)を設けてある。
光学的移動検出手段(47)は、その光軸、すなわち、ボール(33)の後面たる移動模様検知面と直交する方向を、ペン軸本体(34)の軸線にほぼ合致させて、電子回路基板(48)に設けられ、光源(49)は、その移動模様検知面となるボール(33)の後面を照明している。
揺動部材(36)をなす筒体(44)の後端には、軸線方向に支着した栓体(50)が内孔(45)に嵌合しており、この栓体(50)の後端には、感圧素子(51)が、軸線方向の圧力を検出しうるように設けられている。
感圧素子(51)は、その受圧端子(51a)と後端キャップ(34b)の間に、感圧力調整ねじ(52)を介して、連結している。
栓体(50)と感圧素子(51)の間には、弾性材(53)を設けて、揺動部材(36)における筒体(44)の先端(44a)を、段部(41)に常に所要の圧力をもって押圧している。
この際に、筒体(44)に加わる圧力で、ボール(33)を常に押圧するようにすると、ボール(33)と座板(43)の摩擦が大きくなるため、座板(33)の磨耗を速めるとともに、ボール(33)が回転し難くなるので、ボール(33)に筆圧が加わらないときには、弾性材(53)の弾性力が加わらないようにしておく。
ボール(33)を軸線方向後方に押して、筒体(44)に筆圧を加えると、その圧力は感圧素子(51)により検出され、その圧力が第1の所定値に達すると、前述の第1押しボタンスイッチ(22)と同様に、左クリック信号と同じ信号を出力する。
さらに、筆圧力を増して、その圧力が第2の所定値に達すると、前述の第2の押しボタンスイッチ(23)と同様に、そのときすでに出力されている左クリック信号を、擬似的に保持して、ドラック状態に至らしめるとともに、その状態を筆圧が低下した後まで維持する。
そして、筆圧が、再び第1の所定値に達するとその擬似的保持所帯を解除するとともに、筆圧が第1の所定値以下になると、左クリック信号を停止して、ドロップの状態に至らしめる。
(54)は、ペン軸本体(34)の側面に設けた、スイッチ操作部で、このスイッチ操作部(54)は、上端がペン軸本体(34)の側面にきつく嵌るピン(55)を備え、下端を揺動自在として、その揺動部(56)の裏面に、電子回路基板(48)に設けた押しボタンスイッチ(57)の押しボタン(58)に到達するピン(59)を備えてなる。
押しボタンスイッチ(57)は、右クリックの信号を出力するようになっている。