JP2005139443A - 高含水率有機物のガス化システム及び潜熱回収ボイラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 高含水率有機物を乾燥手段1で乾燥してからガス化手段2で加熱してガス化ガスを生成し、生成されたガス化ガスをもとにエネルギーを生成する高含水率有機物のガス化システムにおいて、ガス化ガスの水蒸気潜熱を回収する潜熱回収手段5を備え、該潜熱回収手段5で回収した水蒸気潜熱を上記乾燥手段1での乾燥熱源として利用するようにした。
【選択図】 図1
Description
なお、「高含水率有機物」とは、具体的に以下のものを挙げることができる。
(i)下水、し尿、浄化槽汚泥、家畜糞尿、厨芥残渣等の有機性廃棄物、また、その排水処理に伴い発生する汚泥・残渣。
(ii)畜産加工業、水産加工業、酒精飲料業等に伴い発生する食品加工残渣、またその排水処理に伴い発生する汚泥・残渣。
(iii)製紙業、繊維業等の有機性工業製品の製造に伴い発生する残渣、また、その排水処理に伴い発生する汚泥・残渣。
(iv)動植物等生物系バイオマス資源。
ガス化炉2は、下水汚泥を水蒸気と酸素でガス化するガス化手段である。ガス化は、部分燃焼を起こさせながら行い、下水汚泥をCO、H2、CO2、H2O、メタン、エタン、タール、すす等に変換する。
顕熱回収ボイラ4は、いわゆる廃熱ボイラであり、改質炉3からのガス化ガス(約1000℃)の顕熱で高圧蒸気を発生させる顕熱回収手段である。
潜熱回収ボイラ5は、顕熱回収ボイラ4を経たガス化ガス中の水蒸気から潜熱を回収するための潜熱回収手段である。なお、顕熱回収ボイラ4と潜熱回収ボイラ5との間には、図示しないフィルタ又はバグフィルタを設け、ガス化ガスを精製することもできる。
発電機6は、ガス化ガスをエネルギー源として発電を行う発電手段である。例えばガスエンジンを用いたものを採用することができる。このような発電機では、コンプレッサで精製されたガス化ガスを圧縮し、圧縮されたガス化ガスと空気をガスエンジンに送り、ガスエンジンで燃焼爆発させ、その力で発電機本体を回転させる。このようなガスエンジンの排ガスを汚泥乾燥機1の乾燥熱源として利用することもできる。
顕熱回収ボイラ4の蒸気送出口は、流路を介して蒸気タービン7の蒸気受入口に接続されている。これによって、蒸気タービン7には、顕熱回収ボイラ4からの高圧蒸気が供給される。また、潜熱回収ボイラ5の蒸気送出口は、流路を介して蒸気圧縮機8の蒸気受入口に接続されている。これによって、蒸気圧縮機8には、潜熱回収ボイラ5からの低圧蒸気が供給される。
まず、処理対象である下水汚泥は、図示しない脱水手段により脱水され、含水率70〜80重量%の脱水汚泥として汚泥乾燥機1に投入される。汚泥乾燥機1には、後述するところに従って、中圧蒸気及び必要に応じて乾燥機1からの排出蒸気が供給され、下水汚泥を30〜50重量%程度となるように乾燥処理する。中圧蒸気は、1〜10ataの圧力で供給され、典型的には、約7ata、約300℃である。なお、「約」とは、その数値そのもの又は前後の値である。
汚泥乾燥機1で乾燥処理された下水汚泥は、ガス化炉2に送られる。ガス化炉2には、汚泥乾燥機1への供給源と同様の供給源から中圧蒸気が水蒸気源として供給され、さらに酸素(空気)または酸素富化空気が供給される。これによって下水汚泥を水と空気でガス化する。ガス化は、部分燃焼を起こさせながら行い、下水汚泥をCO、H2、CO2、H2O、メタン、エタン、タール、すす等に変換する。このガス化ガスは、改質炉3に送られる。
改質炉3からのガス化ガスは、顕熱回収ボイラ4に送られる。顕熱回収ボイラ4では、改質炉3からのガス化ガス(約1000℃)の顕熱で高圧蒸気を発生させる。高圧蒸気は、10〜100ataの高圧であり、典型的には、約50ata、500℃である。高圧蒸気は、蒸気タービン7に送られる。
潜熱を回収されたガス化ガスは、洗浄され、さらに精製された後、発電機6に送られる。発電機6では、ガス化ガスを用いて発電が行われ、排出ガスは、煙突11から排出される。
ここで、下水汚泥の量が変動しても、電動機10が蒸気圧縮機8の稼動状態を維持し、汚泥乾燥機1の稼動状態を安定に保つ。
この実施の形態では、発電機6を例えば、ガスエンジンとして、その排ガスから廃熱を回収するようにしている。すなわち、廃熱回収ボイラ(本明細書でWHBともいう)12を設けている。
図3の実施の形態では、発電機6(ガスエンジン、本明細書でGEともいう)でガス化ガスを燃焼させた後の排ガスを廃熱回収ボイラ12に送る。廃熱回収ボイラ12では、排ガスから廃熱を回収し、得られる蒸気を直接蒸気タービン7に送るか、一部または全部を顕熱回収ボイラ4に送り、過熱または蒸発・過熱して蒸気タービン7に送る。これによって、排ガスの持つ廃熱を有効に回収することができる。
なおまた、他の形態として、汚泥乾燥機1からの蒸気を受けるように、汚泥乾燥機1と並列に復水器を設けることもできる。
そして、凝縮水のpH制御手段20を設けて、潜熱回収ボイラ5の凝縮水のpHを制御することにより、改質ガス中の腐食性ガス(H2S、HCl等)を安定に吸収できる。さらに、腐食性ガスがさらに残存していてもスクラバ19を設置することにより、改質ガス中の腐食性ガスをガスエンジン稼動に必要な許容濃度以下に除去できる。
このために、蒸気過熱器22の熱源として、顕熱回収ボイラ4から得られた蒸気又は顕熱回収ボイラ4の出口の改質ガスを採用することができる。
一方、隔壁304とチューブ308との間には、図6に示すように間隙318が設けられている。このように間隙318が設けられることによって、上部の部屋320、下部の部屋322は連通し、水ポンプ324によって、返送管326を経て内部の流体を循環できるように構成している。
チューブ308と水膜形成のための間隙318との関係については、必要蒸発量により定められるものであるが、本発明者らが検討したところ、水膜の安定な形成のためには、間隙318をチューブ308の外径に対して1mm程度以上大きな径とすることが好適である。
さらに、潜熱回収ボイラ5は、水及びガス化ガス導入口328、蒸発水導入口330、蒸気排出口332、ガス化ガス排出口334、凝縮水排出口336を備えている。
上記シェル300、チューブ308等の流体(水)と接触する部材は、SUS304等のステンレス製とする。ガス化ガスには、HCl、H2Sが含まれることがあるからである。
また、チューブ308には、フィン構造のようなものは設けない。腐食成分の濃縮を防止するためである。チューブ308の径については、機器に要求されるガス量、許容圧力損失等により、一義的に限定されるものではないが、実用上は、JISに規定される呼び径650A程度までが好適である。
まず、水及びガス化ガス導入口328からは、微小気泡化したガス化ガスが導入される。ガス化ガスは、図示しない気泡生成装置で微小気泡化される。ガス化ガスは、典型的には、約150℃であり、露点が86℃、水蒸気分圧0.626ataである。微小気泡となったガス化ガスは、循環水中に拡散し、循環水は、部屋310、チューブ308内、部屋312から水ポンプ314、返送管316の順に循環する。循環水は、約79℃に調整する。微小気泡中で、ガス化ガス中の水蒸気が凝縮し、潜熱を循環水に与える。このように、循環水は気液の二相流れであり、ガス化ガスの微小気泡の界面で伝熱が行われる。循環水には凝縮水が加わるが、これも含めて循環するので、熱伝達率を高めることができる。増加することにより余剰となった凝縮水は、凝縮水排出口336から排出される。尚,本実施例では気泡を含む循環はチューブ内を下向きに流れる構成となっているが,上向きに流れる構成としても良い。
逆に、チューブ308内の循環水では、壁面にこのような水膜を形成させるように、水蒸気を凝縮させていない。このため、冷却面での凝縮水膜形成による熱抵抗を生じることがなく、微小気泡形成によって,気泡内水蒸気の凝縮までの拡散距離が短縮し、また気泡形成によって気液界面も増大する。したがって、これらがあいまって、冷却面に対する直接の凝縮の場合に比べ、10〜100倍の伝熱促進を図ることができる。
水膜をチューブ308の外壁面に形成するには、間隙318ではなく、図7に示すように細孔340をチューブ308の貫通する隔壁304の周囲に設けるようにしても良い。
なお、間隙318の形態についても、図13のように単純な細孔の他、図14のように細孔318の内周上部角をカット面370としたもの、図15のように円筒状のガイド380を設けたもの等とすることができる。カット面370を設けることにより、排出をスムーズにすることができる。また、ガイド380を設けた場合には、液膜の厚さの均一化に寄与することができる。
図8に示すように、図5の実施の形態のシェル300の最下部の部屋312と、ポンプ314との間の配管にフィルタ370を設けている。フィルタ370は、単一とすることもできるが、図8のように配管を複数に並列して分岐し、複数設けることもできる。フィルタ370の両端は、弁372,374で挟むことが好適である。これによって、目詰まりを生じたフィルタ370を交換することができる。
フィルタ370を複数設ければ、運転中でも配管を適宜切り替えることで、その交換を可能とすることができる。
なお、部屋312の底面376には傾斜が設けられており、ここに堆積する固形物を凝縮水排出口336から排出しやすくしている。
なお、コンベア378、スクレーパ380を設ける場合、シェル300の底面形状は、長方形であったほうが、これらの設置には有利である。
この実施の形態では、ガス化ガス導入口352から凝縮用タンク350内にガス化ガスを導入している。この実施の形態では、ガス化ガスを凝縮用タンク350の底面に配置した、気泡形成装置400で微小気泡化している。ガス化ガスは、気泡中の水蒸気を凝縮水として提供した後、ガス化ガス排出口354から排出される。シェル300及びチューブ308には、予め微小気泡を抜いた循環水が供給される。また、循環される凝縮水は、凝縮用タンク350の上方から戻されているが、位置は限定されるものではない。なお、導入されるガス化ガス及び排出されるガス化ガスの性状は、諸条件が同じであれば図5の潜熱回収ボイラ同様である。この実施の形態は、シェル・アンド・チューブ熱交換器の中の流体を単相流とすることができ、安定した熱交換性能をより広い流量範囲で得ることができるという利点を備える。
ただし、図18、図21〜図23の実施の形態では、最下部の部屋312からチューブ308を通って、最上部の部屋310に向流で流すようにして、返送管316から循環するようにしている。そして、返送した循環水は、図16と異なり、凝縮用タンク350の下部から戻しているが、位置は限定されるものではない。また、採用する水ポンプも循環水のためには、水ポンプ314のみであり、一基を省略している。さらに、図18、図21〜図23では、ガス化ガス(改質ガス)を導入するためのファン353も図示されている。
図18に示すように、シェル300から凝縮用タンク350に至る返送管316にフィルタ370を設けている。フィルタ370は、単一とすることもできるが、図18のように配管を複数に並列して分岐し、複数設けることもできる。フィルタ370の両端は、弁372,374で挟むことが好適である。これによって、目詰まりを生じたフィルタ370を交換することができる。
このフィルタ370を設けた構成は、図21〜図23の実施の形態でも共通しているが、これらの図21〜図23では省略されている。
なお、部屋312の底面376、凝縮用タンク350の底面404、406には傾斜が設けられており、ここに堆積する固形物を固形物排出口408、410、412から排出しやすくしている。固形物排出口408、410、412からは、循環水の一部も排出される。図示されてはいないが、循環水は適宜別途の手段によって補充される。このように三箇所の固形物排出口408、410、412を設ける構造は、図18、図21〜図23で共通している。これによって堆積する固形物を排出しやすくしている。
図21に示す実施の形態は、部屋312の底面376、凝縮用タンク350の底面404、406に傾斜は付されていないが、底面404にコンベア420、底面376にコンベア422を設置している。堆積した固形物は、コンベア420、422によって排出される。
図21に示す実施の形態では、部屋312の底面376、凝縮用タンク350の底面404に傾斜を付すると共に、これらの底面にコンベア420、422を設置している。堆積した固形物は、コンベア420、422によって排出され、その際固形物が排出されやすい構成となっている。
この実施の形態では、温度センサ450で、凝縮用タンク350の温度をモニターする。凝縮用タンク350内の温度が設定温度よりも上昇したことを検知すると、バイパス流路452の制御弁454が開放する。これによって、ガス化ガスが一部バイパスされる。バイパスされたガス化ガス(改質ガス)は、排出口354からのガス化ガスと合流し、発電機6に導かれる。図24では、発電機6が、ガスエンジン(GE)として例示されている。
なお、バイパス流路は、昇圧ファン352の上流でガス化ガスをバイパスしている。
なお、このような現象は、汚泥投入量が低下した場合に現れ、ガス化ガスの発生量が減少し凝縮用タンク350の温度が低下するといった形で現れる。
さらに、制御弁464の開閉によって、温水ヒータ466から温水貯め456を循環する温水の量を制御する。
この実施の形態では、シェル300を出て、循環される凝縮水(循環水)を、凝縮用タンク350の上方から戻している。すなわち、凝縮用タンク350(凝縮部)で潜熱を回収した水は、ポンプ314によって、シェル300(熱交換器)へ流され、返送管316を介して凝縮用タンク350へ戻るといった循環ループを形成する。この循環水を一部分岐管482で分岐し、スプレー噴霧480等の措置を施すことで凝縮用タンク350の上部に出来た泡を消泡する。なお、弁484、486はそのように切り替えるための弁である。
2 ガス化炉
3 改質炉
4 顕熱回収ボイラ
5 潜熱回収ボイラ
6 発電機
7 蒸気タービン
8 蒸気圧縮機
9 減速機
10 電動機
12 廃熱回収ボイラ
14 復水器
16 ボイラ
18 固形分除去フィルタ
20 凝縮水pH制御手段
22 蒸気過熱器
300 シェル
302、304、306 隔壁
318 間隙
319 突起
328 ガス化ガス導入口
330 蒸発水導入口
332 蒸気排出口
334 ガス化ガス排出口
336 凝縮水排出口
340 細孔
350 凝縮用タンク
370 フィルタ
378 コンベア
380 スクレーパ
400 気泡形成装置
420、422 コンベア
424 スクレーパ
456 温水貯め
466 温水ヒータ
480 スプレー噴霧
Claims (15)
- 高含水率有機物を乾燥手段で乾燥してからガス化手段で加熱してガス化ガスを生成し、生成されたガス化ガスをもとにエネルギーを生成する高含水率有機物のガス化システムにおいて、ガス化ガスの水蒸気潜熱を回収する潜熱回収手段を備え、該潜熱回収手段で回収した水蒸気潜熱を上記乾燥手段での乾燥熱源として利用するようにしたことを特徴とする高含水率有機物のガス化システム。
- ガス化ガスの有する顕熱を回収する顕熱回収手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 上記潜熱回収手段が潜熱回収ボイラであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 上記顕熱回収手段が顕熱回収ボイラであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 上記顕熱回収ボイラで回収した顕熱で高圧蒸気を発生させ、該高圧蒸気で回転する蒸気タービンを備え、さらに該蒸気タービンによって駆動する蒸気圧縮機を備え、該蒸気圧縮機によって上記潜熱回収ボイラからの低圧蒸気を加圧して中圧蒸気を発生させ、該中圧蒸気を上記乾燥手段での高含水率有機物の乾燥に用いるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 上記蒸気圧縮機と上記潜熱回収ボイラとの間に、蒸気過熱器を設けたことを特徴とする請求項5に記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 上記蒸気タービンと上記蒸気圧縮機との間に減速機を介在させたことを特徴とする請求項5又は6に記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 上記蒸気圧縮機に補助動力を設けたことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 上記高圧蒸気が10〜100ata、上記中圧蒸気が1〜10ata、上記低圧蒸気が0.1〜1ataであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 改質炉をさらに備え、ガス化炉またはガス化炉と該改質炉に上記中圧蒸気の一部を供給するようにしたことを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 上記改質炉に上記乾燥手段からの排出蒸気を供給し、顕熱及び潜熱回収効率を調整するようにしたことを特徴とする請求項10に記載の高含水率有機物のガス化システム。
- 流入ガスを水中に分散させ気泡化し、流入ガスの含有する水蒸気を凝縮させて凝縮水として循環水に取り込み、循環水をシェル内に配設したチューブ内に流し、該チューブの外壁面に水膜を形成し、上記凝縮水を生成することによって獲得した潜熱によって上記水膜を蒸発させて水蒸気を得ることにより潜熱を回収するようにしたことを特徴とする潜熱回収ボイラ。
- 上記シェル内に循環水を循環させながら凝縮水を生成するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の潜熱回収ボイラ。
- 予め凝縮水を得た後、該凝縮水を含む循環水をシェル内で循環するようにしたことを特徴とする請求項12に記載の潜熱回収ボイラ。
- 上記潜熱回収ボイラを請求項12〜14のいずれかに記載の潜熱回収ボイラとしたことを特徴とする請求項3〜11のいずれかに記載の高含水率有機物のガス化システム。
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