JP2005138494A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Retsu Shibata
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Abstract

【課題】 複数の記録素子からインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置において、1回の記録走査で画像が完成される記録方法においても、記録素子の吐出ばらつきに起因する画像むらやスジが低減可能なインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 複数の記録素子に対し、インクを吐出させるための駆動電力を与えるタイミングを当該記録素子に対して任意に調整可能とする。これにより、記録媒体に吸収される前の着弾順序に起因する隣接ドットの引き込み合いを利用して、ずれやすい方向と反対の方向へドットの引き込みが行われるようになる。
【選択図】 図10

Description

本発明は、着色剤を含有するインクを用いて画像記録を行うインクジェット記録方法及び記録装置に関する。特に、インクの吐出を行う複数のノズルが略一列状に集積配列されたノズル群を少なくとも一色あたり一列有する記録ヘッドを用いて、記録媒体上に記録されるドットにおいて、縦方向或いは横方向に隣接するドット間で互いに部分的に被覆されるようなインクジェット記録方法に関する。
複写装置や、ワードプロセッサ、コンピュータ等の情報処理機器、さらには通信機器の普及に伴い、それらの機器の画像記録(プリント)のための出力装置の一つとして、インクジェット方式によりデジタル画像の記録を行うインクジェット記録装置が急速に普及している。このような記録装置においては、記録速度の向上のため、多数のインク吐出記録素子(ノズル)を集積配列(ノズル列)して構成される記録ヘッドを用いている。また、カラー記録への対応として、記録ヘッドを色数に応じて複数個備えたものも提供されている。
インクジェット記録方式は、記録剤であるインクを例えば滴として記録ヘッドから飛翔させ、紙等の記録媒体に着弾させることで記録を行う。このように、非接触な方式で記録が行われるので、低騒音であるという利点を有する。また、普通紙のような特別な処理を施していない記録媒体に対しても、電子写真記録のように、現象や定着などの格別な処理を要さずに記録できるので、比較的廉価でありながら高品位な画像を提供することが可能であり、近年ではその用途も拡大されて広く普及しつつある。
特に、オンデマンド型のインクジェット記録装置は、複数の記録ヘッドを同時に搭載してカラー記録を行うことが比較的容易に実現でき、しかも装置本体の小型化、および構成の簡略化が可能なことから、将来の需要についても有望視されている。また、ノズルをより高密度に配列させることによって、更なる高解像で高速な記録を目指すことも要求されている。
ところでインクジェット記録装置は、一般に、シリアル型のものとライン型のものとに大別される。シリアル型のものは、記録ヘッドを搭載したキャリッジが記録媒体に対し移動走査する過程で、記録ヘッドからインクを吐出する記録主走査と、記録主走査とは異なる方向に記録媒体を相対的に移動させる副走査とを、交互に行うことにより画像を形成していくものである。比較的小型で廉価に提供できることから、パーソナルユースとして広く普及している。
また、ライン型の記録装置は、高密度でありながら、記録媒体の記録幅分以上にノズルを配置させた長尺な記録ヘッドを用いるものである。記録ヘッドからインクを吐出させつつ、記録ヘッドに対し記録媒体を所定の速度で一回だけ走査させることにより、記録媒体の記録領域の画像を完成させる事ができる。このようなライン型の記録ヘッドは、近年のノズルの集積配列化の技術進歩を背景に、高密度化と共により長尺なものの製作が可能にったことによって達成された技術であり、ライン型の記録装置は、より速い速度と高品位な画質を兼ね備えた記録システムとして広く提供されている。
以上説明したように、近年のインクジェット記録装置においては、シリアル型であれライン型であれ、それぞれの特徴を生かして広く提供されており、更なる技術開発も進められている。
米国特許第4,723,129号明細書 米国特許第4,740,796号明細書 米国特許第4,463,359号明細書 米国特許第4,345,262号明細書 米国特許第4,313,124号明細書 米国特許第4,558,333号明細書 米国特許第4,459,600号明細書
しかしながら、上述したようなインクジェット記録装置においては、記録速度を向上するために高周波数でインクの吐出を行うにあたり、以下のような問題が発生している。
例えば、記録媒体の1回の搬送走査で記録媒体の画像がすべて完成されるライン型の記録装置においては、高密度な画像を高周波数で記録すると、記録媒体は短時間に各ノズルから吐出されるインク滴を吸収することが望まれる。しかしながら、記録媒体によっては記録速度に対し十分なインク吸収の対応が不可能なために、記録媒体上でインクがあふれて、画像弊害を起こすことがある。
シリアル型の記録装置においては、同一の画像領域を複数回の記録走査で記録する所謂マルチパス記録方法が採用されることもあるが、高速で記録する場合にはやはり1回の記録走査で画像を形成する1パスの記録方法、あるいは少数回のマルチパス記録方法が採用され、この場合、上記ライン型の記録装置と同様の問題が発生する。
図1(a)および(b)は、シリアル型の記録装置において、1回の記録走査で画像を形成する場合の、画像劣化要因を把握するためのテストパターンとして、一般に広く用いられているパターンを示したものである。ここでは、記録ヘッド101を矢印の方向に移動させながら、記録ヘッド101の各ノズルから、それぞれ所定回数の吐出を連続して行い、各ノズルが記録した罫線が、図のように階段状に配列するように構成されている。
各ノズルの吐出が正常な量で正常な方向に行われ、理想的な位置に着弾されれば、図1(a)のように、ピッチの整った階段パターン102が得られ、全てのノズルを用いて均一なパターンを記録した場合にも、スジやムラのない一様な画像103が得られている。
しかしながら、ノズルの表面が汚れていたり、記録装置の使用中に何らかの要因により傷が付けられたりすると、インク滴は正常な方向に安定して吐出することが出来なくなることがある。この場合、図1(b)のように、階段パターン104に乱れが生じ、均一なパターンにおいても、不均一な画像105が形成されている。
図2(a)および(b)は、図1で示したパターン103および105のドット配列状態を説明するための拡大図である。図1(a)のように理想的な位置に着弾されていれば、一様な画像103においても、図2(a)のように、すべてのドットが理想的な位置に略等間隔に配列されている。一方、図2(b)のように、ドットの着弾位置や大きさに乱れが生じている場合には、図2(b)に示すように、白スジや黒スジが発生してしまっている。このような状態で、更に通常の画像の記録を行ってしまうと、画像内にスジ上のアーティファクトが発生し、出力画像は低品位なものとなってしまう。
次に、一般的に実施されている各ノズル間の吐出順序について説明する。本実施形態のようにノズル列が略一直線に配列している記録ヘッドの場合、図2(a)のようにドットを理想的なマトリックス内に配置させるためには、全てのノズルを同時に吐出させることが望まれる。しかし、一般には同時に記録ヘッドに与えられる電流量の限界はそれほど大きくない場合が多く、実際の記録時には、ノズル群をいくつかのブロックに分割し、ブロック単位で順次駆動する形態を採用する方法が既に実施されている。
図3は、上述したブロック単位で順次駆動を行った場合の記録状態を説明するための図である。ここでは、すべてのノズルを4つのブロックに分割し、ブロック間で互いにずらしたタイミングで駆動を行っている。図に示すように、まず1番目と5番目のノズルを同一のタイミングで駆動し、つづいて2番目と6番目のノズルを駆動、さらに3番目と7番目のノズルを駆動し、最後に4番目と8番目のノズルを駆動させている。そして、次のタイミングでは、再び1番目と5番目のノズルによって次の画素の記録が可能となっている。図では説明の為、やや極端にずらして示しているが、図の左側に示したようなマトリクスを埋めていく場合には、このように時間差に伴う若干のずれが生じている。
以上のように、ブロック単位の順次駆動を行うことは、画像上問題とならない程度に、駆動時間を僅かにずらすことによって、限られた電源の範囲で全画像を記録することが可能となり、記録装置の保有すべき電源容量が抑えられるようになっている。
しかしながら一方で、このような時間のずれが、画像の弊害を招く場合があることが確認された。上述のように、ノズルを一列に高密度に配置した状態で、隣接するノズルから連続して極短時間にインクが吐出されると、記録媒体に吸収しきれないインク滴同士が合体し、表面で液だまりを形成する場合がある。このような現象を、発明者らは「ひっつき現象」と称し、この「ひっつき現象」が原因で数々の画像弊害を引き起こすことも確認した。
以下に、「ひっつき現象」について簡単に説明する。
図4は、上記「ひっつき現象」を説明するための記録媒体上のドットを表した図である。同図(a)に示すように、一般に隣接する画素に着弾されるドットAおよびドットBは、記録媒体上で互いにオーバーラップするように設計されている。そして理想的には、図4(a)のように略円形に近い形で両者が均等な配置で着弾されることが望まれる。しかしながら、2つのドットが記録媒体の吸収速度に比べて十分短い時間差で着弾されると、図4(b)および(c)のように、歪んだ連結ドットが形成されてしまう場合がある。
ここで、図4(b)は、ドットBが着弾された直後にドットAが着弾された状態を示している。先に着弾したドットBが十分吸収しきらないうちにドットAが着弾するので、ドットAのインク液がドットBに引き込まれ、ドットが歪んでいる。
逆に、ドットAが着弾された直後にドットBが着弾されると、図4(c)のように、ドットBのインク液がドットAに引き込まれている。また、ドットAがドットBよりも後に着弾される場合であっても、図4(c)のようなドットが形成される場合もある。例えば、既に別のインクによって一様な記録がなされた領域に、更に2つのドットの記録を行う場合等には、上記「ひっつき現象の逆転」が起こり、この様な場合には図4(c)のようなドットが形成される。
上記「ひっつき現象」は、両者のドットが十分な量のインク滴によって形成され、且つ当初の着弾位置にズレが無い限りは、大きな弊害には及ばない。しかし、図1(b)および図2(b)で説明したような記録ヘッドのように、ノズルによって吐出量や着弾位置のばらつきが大きな場合には、上記「ひっつき現象」によって更にドットの引き込みが促進される場合もある。そして、このようなドットの歪が発生し、且つこの現象が記録走査方向に連続すると、濃度の非連続性を有するアーティファクトが発生したり、特徴的なストリーキング、すなわち視覚的には白スジあるいは黒スジが強調されたりして、画質を劣化させる原因となっていたのである。
以上のような問題に対し、記録に要するインク量を低減したり、インクの吸収を促進させるような加熱乾燥手段を具備したりといった対応も考えられる。しかし、インク量を低減すれば、濃度や記録密度の低い低画質な画像しか得られなくなり、また加熱乾燥手段を設けることは、記録装置本体が大掛りで、高価格なものとなりやすい。
今後、インクジェット記録装置に必要なことは、更なる高画質化に加え、高速化および低コスト化を同時に実現することである。そのためには上記のような対応策は適当でなく、別な方法で上記課題を解決することが望まれるのである。
発明者らは、上述の技術的背景を元に、鋭意検討を重ねた結果、隣接ノズルから吐出されるドットの着弾順序を操作し、微妙な時間間隔を制御することによって、「ひっつき現象」を効果的に利用し、記録媒体上のドットの形状をある程度調整可能であることを見出し、本発明に至った。
従って、本発明は上記種々の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の記録素子からインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置において、1回の記録走査で画像が完成される記録方法においても、記録素子の吐出ばらつきに起因する画像むらやスジが低減可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することである。
そのために本発明では、略列状に配列した複数の記録素子からインクを吐出して相対的に移動走査する記録媒体に対して画像を形成する記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置において、前記複数の記録素子に対し、インクを吐出させるための駆動電力を与える手段と、前記駆動電力を与えるタイミングを前記複数の記録素子に対して異ならせることが可能な駆動タイミング調整手段と、前記複数の記録素子の記録媒体上での隣接ドット間でのドットの形成状態に関する情報を取得する手段と、を具え、当該取得した記録状態情報に基づいて前記駆動タイミング調整手段は前記記録素子に対して前記駆動電力を与えるタイミングを調整することを特徴とする。
また、略列状に配列した複数の記録素子からインクを吐出して相対的に移動走査する記録媒体に対して画像を形成する記録ヘッドを用い、前記複数の記録素子に対し、インクを吐出させるための駆動電力を与える工程と、前記駆動電力を与えるタイミングを前記複数の記録素子に対して異ならせることが可能な駆動タイミング調整工程と、前記複数の記録素子の記録媒体上での隣接ドット間でのドットの形成状態に関する情報を取得する工程と、を具え、前記駆動タイミング調整工程は、取得した前記記録状態情報に基づいて前記記録素子に対して前記駆動電力を与えるタイミングを調整することを特徴とする。
以上の構成によれば、記録媒体に吸収される前の着弾順序に起因する隣接ドットの引き込み合いを利用して、ずれやすい方向と反対の方向へドットの引き込みが行われるように着弾順序を制御することが可能となる。よって、記録素子の吐出ばらつきに起因する画像むらやスジを低減することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図5(a)および(b)は、本発明の実施形態に適用可能なシリアル型のインクジェット記録装置として、装置本体の概略を示した正面図および記録ヘッドを吐出口方向から観察した状態の模式図である。
図5(a)において、キャリッジ20上には複数の記録ヘッド21−1乃至21−4が搭載されており、各記録ヘッド21にはインクを吐出するためのインク吐出口が複数配列されている。21−1乃至21−4は夫々、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインクを吐出するための記録ヘッドである。インクカートリッジ22−1乃至22−4は、記録ヘッド21−1乃至21−4と、これらにインクを供給するインクタンクとからそれぞれ色別に構成されている。
記録ヘッド21への制御信号などは、フレキシブルケーブル23を介して送られる。普通紙や高品位専用紙、OHPシート、光沢紙、光沢フィルム、ハガキ等の記録媒体24は、不図示の搬送ローラを経て排紙ローラ25に挟持され、搬送モータ26の駆動に伴い矢印方向(副走査方向)に送られる。キャリッジ20は、ガイドシャフト27およびリニアエンコーダ28によって案内支持されており、キャリッジモータ30の駆動により駆動ベルト29を介して主走査方向に往復運動する構成となっている。
記録ヘッド21のインク吐出口の内部(液路)には、インク吐出用の熱エネルギを発生する発熱素子(電気・熱エネルギ変換体)が設けられており、各発熱素子は、リニアエンコーダ28の読みとりタイミングに伴い、記録信号に基づいて駆動される。これにより、各ノズルからインク滴が飛翔され、これが記録媒体24に付着することによって画像が形成される。
記録領域外に設定されたキャリッジ20のホームポジションには、キャップ部31を持つ回復ユニット32が設置されている。記録を行わないときには、キャリッジ20をホームポジションに移動させて、キャップ部31の各キャップ31−1乃至31−4により、それぞれ対応する記録ヘッド21のインク吐出口面を密閉する。これにより、ノズル内のインク溶剤の蒸発に起因するインクの固着、あるいは塵埃などの異物の付着などによる目詰まりを防止することができる。また、キャップ部31は、記録頻度の低いノズルの吐出不良や目詰まりを解消するために行う空吐出時に、インク吐出口から離れた状態で吐出されたインクを受けるために利用されたり、更には、吐出不良を起こした吐出口の吐出回復を行う為に、キャップした状態で不図示のポンプを作動させ、インク吐出口からのインクを吸引する際にも利用される。
33はインク受け部である。記録ヘッド21−1乃至21−4は、記録直前にインク受け部33の上部を通過する際、インク受け部33にめがけて予備吐出を行う。また、キャップ部隣接位置に、不図示のブレードや拭き部材を配置することにより、記録ヘッド21のインク吐出口面をクリーニングすることが可能となる。
図5(b)は、上記記録ヘッド21の吐出口面から観察した状態を示した正面図である。各色の記録ヘッドには、ノズルの吐出口が図のように2列ずつ、互いに半ピッチずれた状態で配列しており、両方の列を同時に用いて記録することにより、ノズル列方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の画像が形成される構成となっている。本実施形態において各色のノズルは256ノズルずつ配備されているとする。
図6(a)および(b)は、本発明の実施形態に適用可能なライン型のインクジェット記録装置として、装置本体の概略を示した正面図と、ライン型の記録ヘッドの吐出口側から観察した場合の模式図をそれぞれ示したものである。
記録ヘッドユニット605は、複数の長尺な記録ヘッド601乃至604によって構成されており、各記録ヘッドにはインクを吐出するためのインク吐出口が複数配列されている。601、602、603、および604は、夫々ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインクを吐出するための長尺な記録ヘッドである。記録ヘッド601〜604には、不図示のインク供給チューブが接続されており、記録装置本体に固定されたインクタンクより、各色のインクがそれぞれ供給される構成となっている。さらに、記録ヘッド601〜604の駆動部には、不図示のフレキシブルケーブルなどの配線部材が配線接続されており、これを介して制御信号などが入力される。
普通紙や高品位専用紙、OHPシート、光沢紙、光沢フィルム、ハガキ等の記録媒体606は、不図示の搬送ローラや排紙ローラ等に挟持され、搬送モータの駆動に伴いY方向(主走査方向)に送られる。記録ヘッド601〜604のインク吐出口の内部(液路)にはインク吐出用の熱エネルギを発生する発熱素子(電気・熱エネルギー変換体)が設けられており、この発熱素子は、搬送モータの駆動によりタイミングを計りながら、ケーブルを介して入力された記録信号に従って駆動される。これにより、各ノズルよりインク滴が飛翔吐出され、これが記録媒体606に付着することで画像が形成される。
また、記録ヘッド601〜604が記録を行わないときには、不図示のキャッピング手段によりインク吐出口面が密閉される。これにより、ノズル内のインク溶剤の蒸発に起因するインクの固着あるいは塵埃などの異物の付着などによる目詰まりを防止することができる。
また、上記キャッピング手段は、記録頻度の低いノズルの吐出不良や目詰まりを解消するために行う空吐出時に、インク吐出口から離れた状態で吐出されたインクを受けるために利用されたり、更には、吐出不良を起こした吐出口の吐出回復を行う為に、キャップした状態で不図示のポンプを作動させ、インク吐出口からのインクを吸引する際にも利用される。
また、キャップ部の隣接位置に、不図示のブレードや拭き部材を配置することにより、記録ヘッド601〜604のインク吐出口面をクリーニングすることが可能となる。
図6(b)は、上記記録ヘッド601〜604を吐出口面から観察した状態の正面図である。各色の記録ヘッドには、ノズルの吐出口が図のように2列に互いに半ピッチずれた状態で配列しており、両方の列を用いて記録することにより、ノズル列方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の画像が形成される構成となっている。ここでは簡略化しているが、各色のノズルは記録媒体の幅以上に長尺に配列されている。
本発明の実施形態では、図5で説明したようなシリアル型のインクジェット記録装置に対しても、また図6で説明したようなライン型の記録装置に対しても、どちらにも同様に対応可能なものである。
図7は、本発明に適用可能な記録ヘッドの内部構造を部分的に説明するための模式図である。
図7において、記録ヘッド71は、インクを加熱するための複数のヒータ72が形成された基板であるヒータボード73と、ヒータボード73の上にかぶせられる天板74とから概略構成されている。天板74には、複数の吐出口75が形成されており、吐出口75の後方には、吐出口75に連通するトンネル状の液路76が形成されている。各液路76は、その後方において1つの共通なインク液室に連通されており、インクは共通液室より各液路76に供給される構成となっている。インク液室には、更にインク供給口を介して、インクタンクよりインクが供給されている。
ヒータボード73と、天板74とは、各液路76に対応した位置に各ヒータ72が配置される様に設置され、図の様な状態に組み立てられている。ここでは、4つのヒータ72および4つの液路76のみで示しているが、実際には記録ヘッドの記録幅分だけ連続して配設されている。
記録を行う際には、ヒータ72に所定の駆動パルスが供給される。これによりヒータ72の表面近傍のインクが沸騰して気泡を形成し、この気泡の体積膨張によりインクが吐出口75から押し出されて吐出する。
図8は本発明に適用可能なインクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。図において、81は画像データ入力部であり、スキャナやデジタルカメラ等の画像入力機器からの多値画像データやパーソナルコンピュータのハードディスク等に保存されている多値画像データを入力する。
82は操作部である。操作部82は、各種パラメータの設定および記録の開始や停止を指示するための各種キーを備えている。
83は各種処理を行うCPUであり、84dに記憶された制御プログラムやエラー処理プログラムに従って本記録装置の制御を行っている。本実施形態の記録装置の動作はすべて84dに格納されたプログラムによって行われている。
記憶媒体84には各種情報が記憶されており、84aには記録媒体の種類に関する情報、84bにはインクに関する情報、84cには記録時の温度や湿度などの環境に関する情報がそれぞれ格納されている。このようなプログラムや各種情報を格納する記憶媒体84としては、ROM、FD、CD−ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどを用いることができる。
85はRAMである。RAM85は、記憶媒体84中の各種プログラムのワークエリア、エラー処理時の一時待避エリア及び画像処理時のワークエリアとして用いることができる。また、RAM85は、記憶媒体84の中の各種テーブルをコピーすることもでき、更にCPU83は、RAM85にコピーしたテーブルの内容を変更して、この変更したテーブルを参照しながら、画像処理を進めることも可能である。
86は画像処理部である。画像処理部86において、入力された多値の画像データは、まず、各記録ヘッド(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)のそれぞれ対応可能な複数のプレーンに色分解される。その後、各色の多値のグレー画像を、より低レベルのN値の画像データに各画素単位で量子化する。更にまた、量子化された各画素が示す階調値“K”に対応するために、各ヒータに与える吐出パターンを作成する。
例えば、8bit(256階調)で表現される多値画像データが画像データ入力部81に入力されたとする。この場合、画像データ処理部86においては、まず出力する画像データの階調値をより低いレベル(例えば24階調+白の25値)に変換する。入力階調画像データのN値化処理には、多値誤差拡散法や、平均濃度保存法、ディザマトリックス法等、任意の中間調処理方法などを適用することが出来る。更に、各画素で得られた濃度情報Kに基づいて、それぞれのノズルの吐出/不吐出が決定された2値の駆動信号への変換処理を行う。
87は画像出力を行う画像記録部である。画像記録部87は、画像データ処理部86で作成された吐出パターンに基づいて、実際に各ノズルからインクを吐出し、記録媒体にドットを形成する。
88は各種データを転送するバス部であり、本装置内のアドレス信号、データ、制御信号などを伝送する。
89は画像読み取り部である。本実施形態の記録装置は、この画像読み取り部89を用いて、画像記録部87が記録したテストパターンの読み込み処理を行う。本実施形態においては、画像読み取り部89として高解像度のスキャナを適用する。スキャナの光学解像度は、ノズルの配列密度の2倍程度以上を有することが好ましい。
以上、図5〜図8を用いて説明したインクジェット記録装置の構成により、本実施形態は実現される。
次に、本発明の最も特徴的な部分である、記録媒体上のドットの着弾位置を制御するための、各ノズルの吐出順序の決定方法について説明する。
図9は、ノズルの吐出順序を決定するためにCPU83が行うシーケンスを示したフローチャートである。
シーケンスが開始されると、まずCPU83は、画像記録部87に対し、記憶媒体84に記憶されているテストパターンの記録を行わせる。ここで適用するテストパターンおよび記録方法は、一般的なインクジェット記録装置で適用されている手法を用いることが出来、本実施形態では既に説明した図1のパターンを各記録ヘッドに1パスで記録させるものとする(ステップS1)。
次に、CPU83は、画像読み取り部89によって、ステップS1で記録したテストパターンの読み取り処理を行う。本実施形態においては、画像読み取り部89が階段パターン104を読み取ることで、各ノズルが記録したドットのノズル配列方向へのズレ量とその方向およびドットの大きさを取得する(ステップS2)。
ステップS3では、ステップS2で得られたズレ量およびドットの大きさに基づいて、ノズル駆動順序を決定する。
図10は本実施形態におけるノズルの駆動順序の決定方法および決定後の記録状態を説明するための図である。ここでは簡単のため、8個のノズルを有するヘッドを用いて説明する。
図10(a)は、従来技術の項で説明したように、8個のノズルを4つのブロックに分割し、各ブロック単位で順番に駆動を行った場合の記録状態を示したものである。
ここでは、4番目のノズルから吐出されるインク滴は、図の上方向にずれる傾向があるものとする。この場合、ずれる方向に隣接する3番目のノズルが、この直前に記録されることにより、4番目のドットを更に引き込み、図のような連結ドットを形成してしまっている。そして、4番目のノズルと5番目のノズルとの間に、より強調された白スジが発生してしまっている。
また、6番目のノズルから吐出されたインク滴は規定の吐出量より大きく、続いて記録される7番目のノズルから吐出されたインク滴は規定よりも小さい状態であるとする。この場合においても、先行して着弾された6番目のノズルからのドットが、7番目のノズルからの小さなドットを引き込んで、7番目のノズルが記録したラインと8番目ノズル画記録したラインとの間に白スジが発生してしまっている。
尚、1番目および2番目のノズルや、その他ノズルが記録したドットの間にも、着弾順序に起因した多少の引き込みは生じている。しかし、各ドットの着弾精度が、ある程度保たれた状態である場合には、既に述べたように、引き込みによる画像劣化は起こり難いことが確認されている。よって、ここではその他のドットは単独ドットとして図示してある。
本実施形態においては、ステップS2でテストパターンを読みとることにより、各ノズルのズレ方向やズレ量、またドットの大きさなどが確認されている。よって、ステップS3においては、以下のように各ノズルの駆動順序を変更する作業を行う。
図10(b)は、変更後の駆動順序に従って、図10(a)と同一のパターンを記録した状態を示している。ここでは、図10(a)の駆動順序に対し、3番目のノズルと4番目ノズルの駆動順序を逆転させている。また、6番目のノズルと7番目のノズルの駆動順序も逆転させている。
3番目と4番目のノズルにおいては、ズレ量の大きい4番目のノズルの記録が行われる直前に、このズレと反対方向に位置する5番目のノズルの記録が行われる。よって、5番目のノズルが記録したドットが4番目のノズルが記録するドットを正常な方向に引き込む現象が発生する。また、4番目のノズルの記録が終了した直後に、ズレ方向に位置する3番目のノズルの記録が行われるので、4番目のノズルが記録したドットが、3番目のノズルが記録したドットをやはりズレとは反対方向に引き込む現象が起こり、更に白スジによる画像弊害を緩和させている。
また、6番目と7番目のノズルにおいては、より吐出量の小さい7番目のノズルが、吐出量の大きい6番目のノズルの直前に駆動されることにより、小さいドットの方へ大きいドットを引き込ませることが出来、ここでも白スジによる画像弊害を緩和させることに成功している。
このように、ステップS3においては、ステップS2で得られた各ノズルの記録位置とドットの大きさから、ドットの引き込み状況を予測し、これを補正する方向に、駆動順序を変更する。具体的には、「それぞれのノズルを、4つのブロックの内のどれに振り分けるか」を全てのノズルに対して判断することにより、そのノズル近傍の画像、ひいてはその記録ヘッドによって記録される領域全体を総じて滑らかにしようとするものである。
上述した例によれば、「着弾位置がずれているドットについては、ずれている方向に隣接するドットよりも先行して記録する。また、吐出量が小さいドットについては、隣接するドットよりも先行させる」というルールを適応するだけでも、画質の向上が期待できる。しかしながら、より詳細に状況を分析することによって、更に異なる駆動順序の決定法則を設定してもよい。
上述の「ひっつき現象」においては、先行して着弾したドットに、後続して着弾したドットが引き込まれることを前提として説明を加えてきたが、実際の「ひっつき現象」は、インクと記録媒体の組み合わせや、2つのドットの着弾時間差、また既に同色あるいは別のインクによって一様な記録がなされた上への記録のように、様々な状況によって、その動向が変わってくる。例えば、先行して記録されたドットが後続して記録されたドットに引き込まれるような、所謂「ひっつき現象の逆転」が発生する場合もある。このような場合、このドットの引き込み合いをより詳細に分析し、その分析結果によって駆動順序の最終的な決定を行うことが望ましい。
どのような判断方法によって駆動順序を決定するにせよ、画像の均一性を改善するために、より好ましい方向に連結したドットの形状を制御すべく吐出順序を変更するのであれば、本発明の内容から逸脱するものではない。
再び図9に戻る。CPU83は、ステップS3で得られた駆動順序をメモリ(例えば記憶媒体84)などに格納する(ステップS4)。
以上で、本処理を終了する。
尚、本発明および本実施形態は、上述した「ひっつき現象」のようなドット間の引き込みあいに着目して、これを利用したものであるが、このような「ひっつき現象」が実際に生じるためには、インクの打ち込み量およびインクの記録媒体への吸収速度が重要に関わっている。以下に、記録媒体への吸収速度について詳述する。
インクが記録媒体へ吸収される過程の挙動を観察し、吸収速度の係数を求める方法として、一般的に「ブリストウ法」という測定方法が当業者の間で知られている。この方法によると、インクが記録媒体の表面に接触してから、記録媒体内部へ浸透していく極短時間の浸透速度を、吸収速度係数として表すことが出来、単位容量あたりのインクが、記録媒体へ吸収される時間を求めることが出来る。
発明者らは、実際に使用するインクと記録媒体において、上記「ブリストウ法」により吸収速度を測定した上で、上述した実施形態の記録検証を行った。尚、ここでは、インクとして、BJF850(キヤノン株式会社製)で用いられているBCI5C(キヤノン株式会社製)を、また記録媒体として、プロフォトペーパー(PR101:キヤノン株式会社製)およびインクジェット電子写真両用普通紙(PBPAPER:キヤノン株式会社製)を適用した。
以下に「ブリストウ法」による測定結果を示す。
10ml/平方メートル 20ml/平方メートル
PR101 8msec 28msec
PBペーパー 1msec 4msec
尚、このようなインク吸収速度を把握しておくことは、本発明の効果を十分に発揮するために重要なことではあるが、測定方法は必ずしも上記「ブリストウ法」でなくとも構わない。吸収速度を規定する方法であれば「ブリストウ法」以外を採用してもよいし、また目視により吸収の確認を行ったり、更には、互いに隣接するノズルから吐出された2つのドットが、実際に接触して合体していく連結ドットの様子を観察することから、吸収時間を規定してもよい。いずれの方法にせよ、この測定結果とブロック間の駆動間隔から、隣接するノズルの着弾順序を制御することが、画像上有効であるか否かの判断をすることが可能となる。
また、本発明においては、上記吸収速度と同様に、更には上記吸収速度を左右する要因として、各ノズルの吐出量や記録媒体へのインクの最大記録量が重要なパラメータとなる。
たとえば、1200dpiのノズルピッチを持ち、各ノズルからのインクの吐出量が5pl程度である記録ヘッドを用いたとする。そして、1200dpiの解像度を持つ100%のベタ画像を1パスの記録走査で記録する場合、記録媒体においては、約10ml/平方メートルのインク量を略同時期に吸収することが求められる。これは単色の場合であるが、更に4色の記録ヘッドで記録する場合には、約40ml/平方メートルのインク量を画像劣化なしに吸収することが求められる。
実際のフルカラープリントでは、記録媒体の全面にシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のインクを同時に記録することはなく(全面黒になってしまう)、最高でも200%から300%程度が最大のインク記録量と言える。さらに、このような状態も画像の一部に限られていることが殆どである。
一般に、インクの最大記録量は、プリントシステムの設計値として、記録媒体のインクに対する吸収能力から求められるものである。たとえば、ある所定の温度や湿度で定義されるプリントシステムの動作環境において、記録媒体が画像の劣化無く、吸収可能なインクの最大量として定義することができる。また、別の方法として、実際に想定される最大デューティのインク量を、そのままインクの最大記録量と規定しても良い。この場合には、記録媒体がそのインク量を確実に吸収できるような記録速度で記録するとか、あるいは画像データを間引いて記録するといった処理を行って、記録媒体とインクの最大記録量との調整を行っても良い。
以上では、主にフルカラープリントを前提に説明したが、フルカラープリントの場合においても、例えば、各色の記録ヘッド間が十分離れて構成されており、各色の吐出タイミングが、充分離れている場合には、各色の最大記録量をそのまま最大記録量としても構わない。
以上説明したような、インク吸収速度およびインクの最大記録量といった要因を踏まえ、例えば、本実施形態で適用する一般的なインクジェット記録装置の、プロフォトペーパーに対する記録を考える。そして、ここでも1200dpiのノズルピッチを持ち、各ノズルからのインクの吐出量が5pl程度である記録ヘッドを1色分用いたとする。更に、インクの最大記録量を、1200dpiの解像度を持つ100%のベタ画像によって規定すると、約10ml/平方メートルがインクの最大記録量となる。インク吸収速度を示した上記表によれば、10ml/平方メートルのインクをプロフォトペーパー(PR101)が吸収する吸収時間は8msecであるので、隣接するノズルからの吐出間隔や、同一ノズルから連続して吐出する間隔が、およそ8msec以下であれば、記録媒体上に着弾するドット同士が「ひっつき現象」を起こす可能性が高くなると言えるのである。
以下に、発明者らが本実施形態の効果を検証するために行った2つの検証結果を記述する。
(検証1)
記録装置は、図5(a)に示したシリアル型のインクジェット記録装置を適用し、記録ヘッドは、図5(b)に示したものを適用した。
各ノズルから吐出されるインク滴は、5.0±0.5plとし、駆動周波数は8kHz、記録密度は、記録走査方向および紙送り方向ともに1200dpiとした。インクは市販のBJF850(キヤノン株式会社製)用のシアンインクを用い、記録ヘッドもシアン用だけを駆動させた。記録媒体はインクジェット専用フォト光沢紙(プロフォトペーパー、PR101:キヤノン株式会社製)を用意した。
インクの最大記録量は、5plのドットを100%でベタ記録する場合の記録量とし、これは約10ml/平方メートルに相当するので、「ブリストウ法」によって求めた上記表によれば、インクの吸収速度は8msecとなる。
一方、8kHzの吐出駆動周波数でベタ記録した場合、1つのノズルの吐出間隔は、0.125msとなる。ここで図3のように、全ノズルを4つのブロックに分割してブロック駆動を行うと、隣接ノズルの着弾時間差は0.125msよりも小さくなるので、隣接ノズルの着弾時間差はインクの吸収速度である8msecよりも十分小さく、図10(a)のような「ひっつき現象」が発生することを確認した。
このような状態において、上記記録ヘッドの、各ノズルのズレ量およびドット径のばらつきを、図1で示したテストパターンを読み取ることで測定した。更に、図10(a)の駆動順序を図10(b)のように変更し、変更した状態で同様の記録を行ったところ、図10(b)のように「ひっつき現象」が補正され、目視において、白スジや黒スジのような画像弊害が低減されて高画質な記録物を得ることができた。
(検証2)
記録装置は、図5(a)に示したシリアル型のインクジェット記録装置を適用し、記録ヘッドは、図5(b)に示したものを適用した。
各ノズルから吐出されるインク滴は、5.0±0.5plとし、駆動周波数は16kHz、記録密度は、記録走査方向および紙送り方向ともに1200dpiとした。インクは市販のBJF850(キヤノン株式会社製)用のシアンインクとマゼンタインクを用い、記録ヘッドもシアンおよびマゼンタ用の2つを駆動させた。記録媒体はインクジェット専用フォト光沢紙(プロフォトペーパー、PR101:キヤノン株式会社製)を用意した。尚、シアンヘッドとマゼンタヘッドの間隔は、4mmであった。
インクの最大記録量は、5plのドットを200%でベタ記録すると約20ml/平方メートルに相当するので、「ブリストウ法」によって求めた上記表によれば、インクの吸収速度は28msecとなる。
一方、シアンとマゼンタのプリントヘッドは4mm離れており、16kHzの駆動周波数では両者の着弾時間差は50msecとなるので、28msecより十分大きい。よって、シアンおよびマゼンタ間での「ひっつき現象」は発生しないことを確認した。
マゼンタの単色記録については、検証1で示したシアンの場合と同様に、隣接ドットの着弾時間差がインク吸収時間よりも小さいので、マゼンタドット同士の「ひっつき現象」は確認された。しかしながら、マゼンタインクはシアンインクが下打ちされた後の記録であったことから、「ひっつき現象の逆転」が発生していた。よって、本検証においては、吐出順序の設定を図10(b)の場合とは逆転させて行った。この状態で、同様の記録を行ったところ、図10(b)のように「ひっつき現象」が補正され、目視において、白スジや黒スジのような画像弊害が低減されて高画質な記録物を得ることができた。
以上説明したように本発明によれば、隣接するノズル間の駆動順序を制御することにより、記録媒体に着弾された直後の隣接するインク滴が、互いに引き込みあう「ひっつき現象」の調整を行うことが可能となった。そして、この調整を行うことによって、ノズルの吐出ばらつきに起因する白スジや黒スジのような画像弊害を低減することが可能となったのである。
画像のスジやムラを低減する方法としては、主走査方向に並ぶドットが、複数の異なるノズルによって記録されるように工夫されたものがある。例えば、シリアル型の記録装置によるマルチパス記録や、同色のインクを吐出する複数の記録ヘッドを記録方向に並列させて記録する方法がこれに相当する。しかしながらこのような方法は、記録画像の間引き処理を行うなどの新たな画像処理が必要となり、記録時間を多く要したり、また装置自体が大掛かりなものになり易い。
これに比べ、本発明のようにノズルの駆動順序を変更するのみで画像のムラを低減する方法は、特別な処理を必要とせず、また記録時間も増大させないので、比較的簡易で画期的な補正方法と言える。
特に、本発明は、フルマルチ型の記録装置において有効であると考えられる。フルマルチ型の記録装置は、その記録速度が速いことが長所であるために、インクの吸収を待つほどに記録速度を落とすことは出来ない。また、シリアル型のようにマルチパス記録モードを別モードとしても設定することも出来ないからである。
尚、以上の説明ではシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのインクを吐出する4つの記録ヘッドにより画像を形成する場合を説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、より階調表現を滑らかにするために、同一色でありながら濃度や吐出量の異なるインク滴を吐出するための複数の記録ヘッドを具備してもよい。
また、上述した実施形態においては、ステップS2で得られる情報を、ドットのズレ量およびドットの大きさとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。これ以外にも、ドットの有無やドットの形状等、様々なドットの情報を取得して利用することにより、更に好ましい補正が行えることが期待できる。
更に以上の説明では、複数のノズルを4つのブロックに分割して駆動する方法を例に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。2ブロック以上であれば、より少ないブロックに分割しても、更に多くのブロックに分割しても、本発明の効果は得られるものである。
以上では、本発明に適用可能なインクジェット記録ヘッドとして、図7で説明したような発熱素子(ヒータ)を使用した構成について説明してきた。しかしながら、インクジェット記録方式には様々な方式があり、例えばインク滴を連続噴射し粒子化するコンティニュアス型の場合には、荷電制御型や発散制御型等にも対応可能である。また、必要に応じてインク滴を吐出するオンデマンド型の場合には、ピエゾ振動素子の機械的振動によりオリフィスからインク滴を吐出する圧力制御方式等でも本発明は適用可能である。
但し、上記実施形態で示したように、ノズル群を比較的簡易にかつ低コストで更に高密度で実現できるインクジェット記録方式としては、やはり発熱素子(ヒータ)を使用した構成がより好ましいと言える。
以下に、本発明が適用するに好ましい発熱ヒータの構成を持つ先行技術を説明する。
代表的な構成や原理については、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一体一で対応した液体(インク)内の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、特許文献3や、特許文献4に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の特許文献5に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことが出来る。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する特許文献6や特許文献7を用いた構成も本発明に含まれるものである。
さらに、上述したように、記録装置が記録できるプリント材の最大幅に対応した長さを有するライン型の記録ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
加えて、上述したシリアル型のものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
本発明は、記録媒体として、紙や布、革、不織布、OHP用紙等、さらには金属などを用いるインクジェット方式の記録装置すべてに適用可能である。具体的には、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の家庭用・事務用機器や工業用生産機器等を挙げることができる。
(a)および(b)は、本実施形態で適用する記録装置において、画像劣化要因を把握するためのテストパターンを示したものである。 (a)および(b)は、図1で示したパターン103および105のドット配列状態を説明するための拡大図である。 ブロック単位で順次駆動を行った場合の記録状態を説明するための図である。 (a)〜(c)は、「ひっつき現象」を説明するための記録媒体上のドットを表した図である。 (a)および(b)は、本発明の実施形態に適用可能なシリアル型のインクジェット記録装置本体の概略を示した正面図および記録ヘッドの正面図である。 (a)および(b)は、本発明の実施形態に適用可能なライン型のインクジェット記録装置本体の概略を示した正面図および記録ヘッドの正面図である。 本発明に適用可能な記録ヘッドの内部構造を部分的に説明するための図である。 本発明に適用可能なインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。 本実施形態で適用する、ノズルの吐出順序を決定するために行うシーケンスを示したフローチャートである。 (a)および(b)は、本実施形態におけるノズルの駆動順序の決定方法および決定後の記録状態を説明するための図である。
符号の説明
20 キャリッジ
21 記録ヘッド
22 カートリッジ
23 フレキシブルケーブル
24 記録媒体
25 排紙ローラ
26 搬送モータ
27 ガイドシャフト
28 リニアエンコ−ダ
29 駆動ベルト
30 キャリッジモータ
31 キャップ
32 回復ユニット
33 インク受け部
71 記録ヘッド
72 ヒータ
73 ヒータボード
74 天板
75 吐出口
76 液路
81 画像データ入力部
82 操作部
83 CPU
84 記憶媒体
85 RAM
86 画像処理部
87 画像記録部
101 記録ヘッド
102、104 階段パターン
103、105 一様な画像パターン
601〜604 記録ヘッド
605 記録ヘッドユニット
606 記録媒体

Claims (9)

  1. 略列状に配列した複数の記録素子からインクを吐出して相対的に移動走査する記録媒体に対して画像を形成する記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置において、
    前記複数の記録素子に対し、インクを吐出させるための駆動電力を与える手段と、
    前記駆動電力を与えるタイミングを前記複数の記録素子に対して異ならせることが可能な駆動タイミング調整手段と、
    前記複数の記録素子の記録媒体上での隣接ドット間でのドットの形成状態に関する情報を取得する手段と、を具え、
    当該取得した記録状態情報に基づいて前記駆動タイミング調整手段は前記記録素子に対して前記駆動電力を与えるタイミングを調整することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記インクジェット記録装置は、画像読み取り手段を有し、前記記録状態情報取得手段は、前記記録ヘッドによって所定のテストパターンを記録した後に、前記画像読み取り手段を用いて前記テストパターンの読み取りを行うことによって、前記複数の記録素子それぞれの記録状態情報を取得し、前記駆動タイミング調整手段は、取得された前記複数の記録素子それぞれの記録状態情報に応じて、前記記録素子に対して前記駆動電力を与えるタイミングを調整することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記記録状態情報は、前記複数の記録素子それぞれが吐出したインク滴の前記記録媒体上での着弾位置のずれ量を少なくとも含むことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記記録状態情報は、前記複数の記録素子それぞれが吐出したインク滴が形成した前記記録媒体上でのドットの有無、前記ドットの大きさ、あるいは前記ドットの形状のうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記駆動タイミング調整手段によって異なるタイミングで駆動電力を与えられる前記複数の記録素子に対する駆動時間間隔は、前記記録媒体に対するインク吸収速度によって決まるインク吸収時間(所定着弾時間差内)よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記インク吸収時間とは、前記インクジェット記録装置の単位面積に対する最大のインク記録量を前記記録媒体が吸収する時間であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インクジェット記録ヘッドは、前記複数の記録素子内のそれぞれに電気熱変換体を具備し、前記駆動電力が前記電気熱変換体に与えられることで前記記録素子内のインクに気泡が発生し、該気泡の発泡エネルギによって前記記録素子内のインクが吐出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 略列状に配列した複数の記録素子からインクを吐出して相対的に移動走査する記録媒体に対して画像を形成する記録ヘッドを用い、
    前記複数の記録素子に対し、インクを吐出させるための駆動電力を与える工程と、
    前記駆動電力を与えるタイミングを前記複数の記録素子に対して異ならせることが可能な駆動タイミング調整工程と、
    前記複数の記録素子の記録媒体上での隣接ドット間でのドットの形成状態に関する情報を取得する工程と、を具え、
    前記駆動タイミング調整工程は、取得した前記記録状態情報に基づいて前記記録素子に対して前記駆動電力を与えるタイミングを調整することを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 前記記録状態情報を取得する工程は、前記記録ヘッドによって所定のテストパターンを記録した後に、画像読み取り工程によって前記テストパターンの読み取りを行い、前記複数の記録素子それぞれの記録状態情報を取得することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録方法。
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