以下に本発明の実施の形態を説明するが、請求項に記載の構成要件と、発明の実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする具体例が、発明の実施の形態に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、構成要件に対応するものとして、ここには記載されていない具体例があったとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、具体例が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定したりするものではない。
本発明においては、第1の周波数帯域(例えば、2.4GHz帯)の第1の信号(例えば、IEEE802.11bに基づく信号)と、前記第1の周波数帯域より高周波の帯域である第2の周波数帯域(例えば、5GHz帯)の第2の信号(例えば、IEEE802.11aに基づく信号)とを送受信する送受信装置(例えば、図2の無線通信部31)が提供される。この送受信装置は、第1の信号および第2の信号を生成するとともに、第1の信号および第2の信号の送信を制御する送信制御手段(例えば、図2の送信制御部51)と、送信制御手段により生成され、送信が制御された第1の信号または第2の信号のいずれか一方を選択して増幅する第1の増幅手段(例えば,図2のダイプレクサ回路42および広帯域パワーアンプ43)と、第1の増幅手段により第1の信号が増幅される場合、第1の増幅手段により増幅された第1の信号に含まれる第1の周波数帯域以外の周波数成分が遮断または低減されるように第1のフィルタ処理を行う第1のフィルタ手段(例えば、図2のフィルタ部44)と、第1の信号または第2の信号の受信を制御する受信制御手段(例えば、図2の受信制御部52)と、第1の信号および第2の信号を含む第3の信号を取得する取得手段(例えば、図2のアンテナ46)と、受信制御手段により受信が制御されて第2の信号を受信する場合、取得手段により取得された第3の信号の、第2の周波数帯域以外の周波数成分が遮断または低減されるように第2のフィルタ処理を行う第2のフィルタ手段(例えば、図2のフィルタ部47)と、第2のフィルタ手段により第2のフィルタ処理が行われた第3の信号を増幅する第2の増幅手段(例えば、図2の広帯域ローノイズアンプ48)と、第2の増幅手段により増幅された第3の信号を用いて第1の信号または第2の信号を抽出する抽出手段(例えば、図2の2.4GHz帯通信用受信制御部63または5GHz帯通信用受信制御部64)とを備える。
前記第1のフィルタ手段は、第1の信号の、第2の信号の妨害波となる周波数成分を遮断または低減させるように第1のフィルタ処理を行う(例えば、図9のステップS6)ようにすることができる。
前記第1のフィルタ手段は、所定の周波数以上の周波数成分を遮断または低減させるように第1のフィルタ処理を行い(例えば、図4の入出力特性)、第1の周波数帯の周波数成分は通過させ、第2の周波数帯の周波数成分を遮断または低減させるようにすることができる。
前記第1のフィルタ手段は、所定の周波数付近の周波数成分を遮断または低減させるように第1のフィルタ処理を行い(例えば、図14の入出力特性)、第1の周波数帯の周波数成分は通過させ、第2の周波数帯の周波数成分を遮断または低減させるようにすることができる。
前記第1のフィルタ手段は、所定の周波数付近の周波数成分のみを通過させるように第1のフィルタ処理を行い(例えば、バンドパスフィルタ)、第1の周波数帯の周波数成分は通過させ、第2の周波数帯の周波数成分を遮断または低減させるようにすることができる。
前記第1のフィルタ手段は、第1の増幅手段により第2の信号が増幅される場合、第1の増幅手段により増幅された第2の信号に対して第1のフィルタ処理を行わず、通過させる(例えば、図5の入出力特性)ようにすることができる。
前記第1のフィルタ手段は、送信制御手段による制御(例えば、図11のステップS32またはステップS35)に基づいて、第1の増幅手段により増幅された信号が第1の信号であるか、第2の信号であるかを判定し(例えば、図9のステップS5)、判定結果に基づいて第1のフィルタ処理を行うようにすることができる。
前記第1のフィルタ手段は、受動素子により構成されるパッシブフィルタ(例えば、図3のフィルタ部44)であるようにすることができる。
前記第2のフィルタ手段は、第3の信号に含まれる第1の信号を遮断または低減させるように第2のフィルタ処理を行う(例えば、図10のステップS15)ようにすることができる。
前記第2のフィルタ手段は、所定の周波数以下の周波数成分を遮断または低減させるように第2のフィルタ処理を行い(例えば、図7の入出力特性)、第2の周波数帯の周波数成分は通過させ、第1の周波数帯の周波数成分を遮断または低減させるようにすることができる。
前記第2のフィルタ手段は、所定の周波数付近の周波数成分を遮断または低減させるように第2のフィルタ処理を行い(例えば、図14の入出力特性)、第1の周波数帯の周波数成分は遮断または低減させ、第2の周波数帯の周波数成分を通過させるようにすることができる。
前記第2のフィルタ手段は、所定の周波数付近の周波数成分のみを通過させるように第2のフィルタ処理を行い(例えば、バンドパスフィルタ)、第1の周波数帯の周波数成分は遮断または低減させ、第2の周波数帯の周波数成分を通過させるようにすることができる。
前記第2のフィルタ手段は、抽出手段により第1の信号が抽出される場合、取得手段により取得された第3の信号に対して第2のフィルタ処理を行わず、通過させる(例えば、図8の入出力特性)ようにすることができる。
前記第2のフィルタ手段は、受信制御手段による制御に基づいて、抽出手段により抽出される信号が第1の信号であるか、第2の信号であるかを判定し(例えば、図10のステップS14)、判定結果に基づいて第2のフィルタ処理を行うようにすることができる。
前記第2のフィルタ手段は、受動素子により構成されるパッシブフィルタ(例えば、図6のフィルタ部47)であるようにすることができる。
本発明においては、第1の周波数帯域(例えば、2.4GHz帯)の第1の信号(例えば、IEEE802.11bに基づく信号)と、前記第1の周波数帯域より高周波の帯域である第2の周波数帯域(例えば、5GHz帯)の第2の信号(例えば、IEEE802.11aに基づく信号)とを送信する送信装置(例えば、図2の送信部32)が提供される。この送信装置は、第1の信号および第2の信号を生成するとともに、第1の信号および第2の信号の送信を制御する送信制御手段(例えば、図2の送信制御部51)と、送信制御手段により生成され、送信が制御された第1の信号または第2の信号のいずれか一方を選択して増幅する増幅手段(例えば、図2のダイプレクサ回路42および広帯域パワーアンプ43)と、増幅手段により第1の信号が増幅される場合、増幅手段により増幅された第1の信号に含まれる第1の周波数帯域以外の周波数成分が遮断または低減されるようにフィルタ処理を行う(例えば、図2のフィルタ部44)フィルタ手段とを備える。
前記フィルタ手段は、第1の信号の、第2の信号の妨害波となる周波数成分を遮断または低減させるようにフィルタ処理を行う(例えば、図9のステップS6)ようにすることができる。
前記フィルタ手段は、所定の周波数以上の周波数成分を遮断または低減させるようにフィルタ処理を行い(例えば、図4の入出力特性)、第1の周波数帯の周波数成分は通過させ、第2の周波数帯の周波数成分を遮断または低減させるようにすることができる。
前記フィルタ手段は、所定の周波数付近の周波数成分を遮断または低減させるようにフィルタ処理を行い(例えば、図14の入出力特性)、第1の周波数帯の周波数成分は通過させ、第2の周波数帯の周波数成分を遮断または低減させるようにすることができる。
前記フィルタ手段は、所定の周波数付近の周波数成分のみを通過させるようにフィルタ処理を行い(例えば、バンドパスフィルタ)、第1の周波数帯の周波数成分は通過させ、第2の周波数帯の周波数成分を遮断または低減させるようにすることができる。
前記フィルタ手段は、増幅手段により第2の信号が増幅される場合、増幅手段により増幅された第2の信号に対してフィルタ処理を行わず、通過させる(例えば、図5の入出力特性)ようにすることができる。
前記フィルタ手段は、送信制御手段による制御(例えば、図11のステップS32またはステップS35)に基づいて、増幅手段により増幅された信号が第1の信号であるか、第2の信号であるかを判定し(例えば、図9のステップS5)、判定結果に基づいてフィルタ処理を行うようにすることができる。
前記フィルタ手段は、受動素子により構成されるパッシブフィルタ(例えば、図3のフィルタ部44)であるようにすることができる。
本発明においては、第1の周波数帯域(例えば、2.4GHz帯)の第1の信号(例えば、IEEE802.11bに基づく信号)と、前記第1の周波数帯域より高周波の帯域である第2の周波数帯域(例えば、5GHz帯)の第2の信号(例えば、IEEE802.11aに基づく信号)とを受信する受信装置(例えば、図2の受信部33)が提供される。この受信装置は、第1の信号または第2の信号の受信を制御する受信制御手段(例えば、図2の受信制御部52)と、第1の信号および第2の信号を含む第3の信号を取得する取得手段(例えば、図2のアンテナ46)と、受信制御手段により受信が制御されて第2の信号を受信する場合、取得手段により取得された第3の信号の、第2の周波数帯域以外の周波数成分が遮断または低減されるようにフィルタ処理を行うフィルタ手段(例えば、図2のフィルタ部47)と、フィルタ手段によりフィルタ処理が行われた第3の信号を増幅する増幅手段(例えば、図2の広帯域ローノイズアンプ48)と、増幅手段により増幅された第3の信号を用いて第1の信号または第2の信号を抽出する抽出手段(例えば、図2の2.4GHz帯通信用受信制御部63または5GHz帯通信用受信制御部64)とを備える。
前記フィルタ手段は、第3の信号に含まれる第1の信号を遮断または低減させるようにフィルタ処理を行う(例えば、図10のステップS15)ようにすることができる。
前記フィルタ手段は、所定の周波数以下の周波数成分を遮断または低減させるようにフィルタ処理を行い(例えば、図7の入出力特性)、第2の周波数帯の周波数成分は通過させ、第1の周波数帯の周波数成分を遮断または低減させるようにすることができる。
前記フィルタ手段は、所定の周波数付近の周波数成分を遮断または低減させるようにフィルタ処理を行い(例えば、図14の入出力特性)、第1の周波数帯の周波数成分は遮断または低減させ、第2の周波数帯の周波数成分を通過させるようにすることができる。
前記フィルタ手段は、所定の周波数付近の周波数成分のみを通過させるようにフィルタ処理を行い(例えば、バンドパスフィルタ)、第1の周波数帯の周波数成分は遮断または低減させ、第2の周波数帯の周波数成分を通過させるようにすることができる。
前記フィルタ手段は、抽出手段により第1の信号が抽出される場合、取得手段により取得された第3の信号に対してフィルタ処理を行わず、通過させる(例えば、図8の入出力特性)ようにすることができる。
前記フィルタ手段は、受信制御手段による制御に基づいて、抽出手段により抽出される信号が第1の信号であるか、第2の信号であるかを判定し(例えば、図10のステップS14)、判定結果に基づいてフィルタ処理を行うようにすることができる。
前記フィルタ手段は、受動素子により構成されるパッシブフィルタ(例えば、図6のフィルタ部47)であるようにすることができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図2は、本発明を適用した無線通信部の構成例を表している。図2において無線通信部31は、例えば、後述するようにアクセスポイントやLANカード等の通信装置に内蔵される、デュアルバンドの無線通信部であり、送信処理を行う送信部32、および、受信処理を行う受信部33よりなる。
無線通信部31には、通信処理の制御を行う通信制御部41、通信制御部41より供給される、互いに異なる周波数帯域の2つの送信信号の内、一方を広帯域パワーアンプ43に供給するダイプレクサ回路42、ダイプレクサ回路42より供給された送信信号を増幅する広帯域パワーアンプ43、通信制御部41の送信制御部51に制御されて、広帯域パワーアンプ43の出力にフィルタ処理を施すフィルタ部44、アンテナ46を送信側の回路または受信側の回路に接続するスイッチ回路45、通信制御部41の受信制御部52に制御されて、スイッチ回路45を介して供給される受信信号に対してフィルタ処理を施すフィルタ部47、フィルタ部47の出力を増幅する広帯域ローノイズアンプ48、並びに、広帯域ローノイズアンプ48の出力信号を、その出力信号の周波数帯域に対応する通信制御部41の受信制御部に供給するダイプレクサ回路49が含まれている。
通信制御部41は、送信処理を制御する送信制御部51と、受信処理を制御する受信制御部52により構成される。送信制御部51は、2.4GHz帯を利用した無線通信による送信処理を制御する2.4GHz帯通信用送信制御部61と、5GHz帯を利用した無線通信による送信処理を制御する5GHz帯通信用送信制御部62を内蔵し、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドの送信処理を制御する処理部である。受信制御部52は、2.4GHz帯を利用した無線通信による受信処理を制御する2.4GHz帯通信用受信制御部63と、5GHz帯を利用した無線通信による受信処理を制御する5GHz帯通信用受信制御部64を内蔵し、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドの受信処理を制御する処理部である。
また、送信制御部51は、後述するように、制御バス51Aを介してフィルタ部44の動作を制御し、フィルタ部44をローパスフィルタとして動作させたり、スルー回路として動作させたりする。同様に、受信制御部52は、後述するように、制御バス52Aを介してフィルタ部47の動作を制御し、フィルタ部47をハイパスフィルタとして動作させたり、スルー回路として動作させたりする。
送信部32は、送信処理に関する処理を行う処理部であり、通信制御部41の送信制御部51、ダイプレクサ回路42、広帯域パワーアンプ43、フィルタ部44、スイッチ回路45、およびアンテナ46により構成される。
受信部33は、受信処理に関する処理を行う処理部であり、アンテナ46、スイッチ回路45、フィルタ部47、広帯域ローノイズアンプ48、ダイプレクサ回路49、および、通信制御部41の受信制御部52により構成される。
次に、フィルタ部44について説明する。図3は、図2のフィルタ部44の詳細な構成例を示す図である。
図3において、フィルタ部44は、送信信号が入力される入力端子71、入力端子71を介して入力された送信信号に対して、必要に応じてローパスフィルタ処理を行うフィルタ処理部72、フィルタ処理部72より供給された送信信号をフィルタ部44の外部に出力する出力端子73、送信制御部51より供給される制御信号を入力する入力端子74、および、入力端子74を介して入力される制御信号に基づいて、フィルタ処理部72の動作を制御する制御部75により構成される。
入力端子71は、図2の広帯域パワーアンプ43の出力端子に接続され、広帯域パワーアンプ43の出力が供給される。入力端子71を介してフィルタ部44に入力された広帯域パワーアンプ43の出力は、フィルタ処理部72のインダクタ81に供給される。
フィルタ処理部72は、インダクタ81、インダクタ82、並びにコンデンサ83よりなり、制御部75の制御に基づいて、ローパスフィルタ回路またはスルー回路として動作する。具体的には、インダクタ81の一方の端子が入力端子71に接続されており、他方の端子がインダクタ82およびコンデンサ83に接続される。インダクタ82の他方の端子は出力端子73に接続される。また、コンデンサ83の他方の端子は、制御部75のダイオード91およびインダクタ93に接続される。
出力端子73は、図2のスイッチ回路45の1つの端子(フィルタ部47が接続されている側の、フィルタ部47が接続されている端子と異なる端子)に接続され、フィルタ処理部72の出力をスイッチ回路45に供給する。
入力端子74は、図2の制御バス51Aに接続され、送信制御部51より制御信号が供給される。供給された制御信号は、入力端子74を介して制御部75の抵抗92に供給される。
制御部75は、ダイオード91、抵抗92、インダクタ93、並びにコンデンサ94よりなり、入力端子74を介して供給される制御信号に基づいて、フィルタ処理部72の動作を制御する。具体的には、ダイオード91のアノードは、フィルタ処理部72のコンデンサ83、およびインダクタ93の一方の端子に接続され、カソードは接地される。また、抵抗92の一方の端子は入力端子74に接続され、他方の端子は、インダクタ93の他方の端子(ダイオード91のアノードが接続されている端子と反対側の端子)、およびコンデンサ94の一方の端子に接続される。コンデンサ94の他方の端子は接地される。
制御信号は、その値によりダイオード91のアノード・カソード間を流れる電流を制御する。すなわち、制御信号の値が「1」である場合、抵抗92およびインダクタ93を介してダイオード91のアノードに電圧が印加され、アノード・カソード間に電流が発生する。これにより、フィルタ処理部72のコンデンサ83の一方の端子(ダイオード91が接続されている側の端子)が接地され、フィルタ処理部72が、入力端子71より入力される送信信号(広帯域パワーアンプ43の出力)に対して、ローパスフィルタとして動作する。図4は、制御信号の値が「1」である場合のフィルタ処理部72(フィルタ部44)の入出力特性の例を示すグラフである。図4に示されるように、フィルタ処理部72(フィルタ部44)は、制御信号の値が「1」である場合、2.4GHz付近の周波数帯域を通過させ、5GHz付近の周波数帯域を遮断(または低減)する。
また、制御信号の値が「0」である場合、ダイオード91のアノードに電圧が印加されないので、アノード・カソード間の電流が発生しない。これにより、フィルタ処理部72のコンデンサ83の一方の端子(ダイオード91が接続されている側の端子)がオープン状態となり、フィルタ部72が、入力端子71より入力される送信信号(広帯域パワーアンプ43の出力)に対して何も処理しない、スルー回路として動作する。図5は、制御信号の値が「0」である場合のフィルタ処理部72(フィルタ部44)の入出力特性の例を示すグラフである。図5に示されるように、フィルタ処理部72(フィルタ部44)は、制御信号の値が「0」である場合、2.4GHz付近の周波数帯域も、5GHz付近の周波数帯域も通過させる。
なお、制御部75の抵抗92は、制御信号の値が「1」である場合に、ダイオード91に流れる電流の値を設定するためのものであり、インダクタ93は、チョークコイルであり、ダイオード91のアノード側からインダクタ93の入力端子74側を眺めた時にハイインピーダンスにする為のものである。このインダクタ93によって、ローパスフィルタ72よって落ちてきた高周波成分は、インダクタ93側へは流れずに、全てダイオード91側に流れる(GNDに落ちる)ようになる。また、コンデンサ94は、バイパスコンデンサであり、制御信号に含まれるノイズ成分の除去を行うだけでなく、さらに、仮にローパスフィルタ72からの高周波成分がインダクタ93を通って漏れてきたとした場合であっても、その高周波成分を除去することができる。従って、これらの素子の一部又は全部を省略することも可能である。また、抵抗92およびコンデンサ94は、その位置の順番(接続の順番)が逆であってもよい(すなわち、抵抗92の一方の端子にインダクタ93、他方の端子にコンデンサ94が接続されるようにしてもよい)。
以上において説明したフィルタ処理部72および制御部75は、上述した以外の構成により実現するようにしてももちろんよい。例えば、フィルタ処理部72は、T型の回路により構成されるように説明したが、N段の梯子型回路により構成されるようにしてもよいし、Π型の回路により構成されるようにしてもよい。オペアンプ等の能動素子を用いたアクティブフィルタにより構成されるようにしてももちろんよい。また、制御部75は、トランジスタ等のスイッチ素子を用いるようにしてもよい。
次に、図2のフィルタ部47について説明する。図6は、図2のフィルタ部47の詳細な構成例を示す図である。
図6において、フィルタ部47は、受信信号が入力される入力端子101、入力端子101を介して入力された受信信号に対して、必要に応じてハイパスフィルタ処理を行うフィルタ処理部102、フィルタ処理部102より供給された受信信号をフィルタ部47の外部に出力する出力端子103、受信制御部52より供給される制御信号を入力する入力端子104、および、入力端子104を介して入力される制御信号に基づいて、フィルタ処理部102の動作を制御する制御部105により構成される。
入力端子101は、図2のスイッチ回路45の1つの端子(フィルタ部44が接続されている側の、フィルタ部44が接続されている端子と異なる端子)に接続され、アンテナ46において受信された受信信号が供給される。入力端子101を介してフィルタ部47に入力された受信信号は、フィルタ処理部102のコンデンサ111に供給される。
フィルタ処理部102は、コンデンサ111、インダクタ112、並びにインダクタ113よりなり、制御部105の制御に基づいて、ハイパスフィルタ回路またはスルー回路として動作する。具体的には、コンデンサ111の一方の端子が入力端子101およびインダクタ112に接続されており、他方の端子がインダクタ113および出力端子103に接続される。インダクタ112の他方の端子(コンデンサ111が接続されていない方の端子)は、インダクタ113のコンデンサ111が接続されていない方の端子、制御部105のダイオード121のアノード、およびインダクタ123に接続される。同様に、インダクタ113の他方の端子(コンデンサ111が接続されていない方の端子)は、インダクタ112のコンデンサ111が接続されていない方の端子、制御部105のダイオード121のアノード、およびインダクタ123に接続される。
出力端子103は、図2の広帯域ローノイズアンプ48の入力端子に接続され、フィルタ処理部102の出力を広帯域ローノイズアンプ48に供給する。
入力端子104は、図2の制御バス52Aに接続され、受信制御部52より制御信号が供給される。供給された制御信号は、入力端子104を介して制御部105の抵抗122に供給される。
制御部105は、ダイオード121、抵抗122、インダクタ123、並びにコンデンサ124よりなり、入力端子104を介して供給される制御信号に基づいて、フィルタ処理部102の動作を制御する。具体的には、ダイオード121のアノードは、フィルタ処理部102のインダクタ112およびインダクタ113、並びに、インダクタ123の一方の端子に接続され、カソードは接地される。また、抵抗122の一方の端子は入力端子104に接続され、他方の端子は、インダクタ123の他方の端子(ダイオード121のアノードが接続されている端子と反対側の端子)、およびコンデンサ124の一方の端子に接続される。コンデンサ124の他方の端子は接地される。
制御信号は、その値によりダイオード121のアノード・カソード間を流れる電流を制御する。すなわち、制御信号の値が「1」である場合、抵抗122およびインダクタ123を介してダイオード121のアノードに電圧が印加され、アノード・カソード間に電流が発生する。これにより、フィルタ処理部102のインダクタ112およびインダクタ113の一方の端子(ダイオード121が接続されている側の端子)が接地され、フィルタ処理部102が、入力端子101より入力される受信信号(スイッチ回路45の出力)に対して、ハイパスフィルタとして動作する。図7は、制御信号の値が「1」である場合のフィルタ処理部102(フィルタ部47)の入出力特性の例を示すグラフである。図7に示されるように、フィルタ処理部102(フィルタ部47)は、制御信号の値が「1」である場合、2.4GHz付近の周波数帯域を遮断(または低減)し、5GHz帯の周波数帯域を通過させる。
また、制御信号の値が「0」である場合、ダイオード121のアノードに電圧が印加されないので、アノード・カソード間の電流が発生しない。これにより、フィルタ処理部102のインダクタ112およびインダクタ113の一方の端子(ダイオード121が接続されている側の端子)がオープン状態となり、フィルタ部102が、入力端子101より入力される受信信号(スイッチ回路45の出力)に対して何も処理しない、スルー回路として動作する。図8は、制御信号の値が「0」である場合のフィルタ処理部102(フィルタ部47)の入出力特性の例を示すグラフである。図8に示されるように、フィルタ処理部102(フィルタ部47)は、制御信号の値が「0」である場合、2.4GHz付近の周波数帯域も、5GHz付近の周波数帯域も通過させる。
なお、制御部105の抵抗122は、制御信号の値が「1」である場合に、ダイオード121に流れる電流の値を設定するためのものであり、インダクタ123は、チョークコイルであり、ダイオード121のアノード側からインダクタ123の入力端子104側を眺めた時にハイインピーダンスにする為のものである。このインダクタ123によって、ハイパスフィルタ102よって落ちてきた高周波成分は、インダクタ123側へは流れずに、全てダイオード121側に流れる(GNDに落ちる)ようになる。また、コンデンサ124は、バイパスコンデンサであり、制御信号に含まれるノイズ成分の除去を行うだけでなく、さらに、仮にハイパスフィルタ102からの高周波成分がインダクタ123を通って漏れてきたとした場合であっても、その高周波成分を除去することができる。従って、これらの素子の一部又は全部を省略することも可能である。また、抵抗122およびコンデンサ124は、その位置の順番(接続の順番)が逆であってもよい(すなわち、抵抗122の一方の端子にインダクタ123、他方の端子にコンデンサ124が接続されるようにしてもよい)。
以上において説明したフィルタ処理部102および制御部75は、上述した以外の構成により実現するようにしてももちろんよい。例えば、フィルタ処理部102は、Π型の回路により構成されるように説明したが、N段の梯子型回路により構成されるようにしてもよいし、T型の回路により構成されるようにしてもよい。オペアンプ等の能動素子を用いたアクティブフィルタにより構成されるようにしてももちろんよい。また、制御部105は、トランジスタ等のスイッチ素子を用いるようにしてもよい。
また、図4、図5、図7、および図8を参照して説明したフィルタ回路44またはフィルタ回路47の入出力特性は、一例であり、上述した以外であってももちろんよい。また、フィルタ回路44またはフィルタ回路47をスルー回路として動作させる場合、全ての帯域において利得が0[dB]となるのが望ましいが、実際には、図5および図8に示されるように、一部の帯域において遮断(または低減)される場合もある。なお、このことを積極的に利用して、不要な周波数帯域を削除するようにしてももちろんよい。
図2に戻り、無線通信装置31の動作について説明する。
無線通信部31の外部より送信データが通信制御部41の送信制御部51に供給されると、送信制御部51は、予め指定された周波数帯の無線通信により送信するために、取得した送信データを、2.4GHz帯通信用送信制御部61または5GHz帯通信用送信制御部62に供給する。
例えば、2.4GHz帯を利用するIEEE802.11bの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合、送信制御部51は、取得した送信データを2.4GHz帯通信用送信制御部61に供給する。2.4GHz帯通信用送信制御部61は、IEEE802.11bの規格に基づいて、送信データを処理し、送信信号を生成すると、それをダイプレクサ回路42に供給する。ダイプレクサ回路42は、2.4GHz帯通信用送信制御部61の出力を広帯域パワーアンプ43に接続し、2.4GHz帯通信用送信制御部61の出力(送信信号)を広帯域パワーアンプ43に供給する。広帯域パワーアンプ43は、供給された送信信号を増幅し、増幅した送信信号をフィルタ部44に供給する。
この場合、送信制御部51は、さらに、制御バス51Aを介して、フィルタ部44に値が「1」の制御信号を供給する。フィルタ部44は、この制御信号に基づいて、上述したように動作し、広帯域パワーアンプ43より供給された送信信号(増幅された送信信号)に対してローパスフィルタ処理を行う。すなわち、フィルタ部44は、供給された送信信号から、5GHz帯の無線通信の信号と干渉しないように、不要な高周波成分(例えば送信信号の2倍成分等)を遮断(または低減)することにより除去し、本来の2.4GHz帯の信号を抽出して、それをスイッチ回路45に供給する。スイッチ回路45は、フィルタ部44をアンテナ46に接続し、フィルタ部44より供給された送信信号を、アンテナ46を介して外部に出力する。
また、例えば、5GHz帯を利用するIEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合、送信制御部51は、取得した送信データを5GHz帯通信用送信制御部62に供給する。5GHz帯通信用送信制御部62は、IEEE802.11aの規格に基づいて、送信データを処理し、送信信号を生成すると、それをダイプレクサ回路42に供給する。ダイプレクサ回路42は、5GHz帯通信用送信制御部62の出力を広帯域パワーアンプ43に接続し、5GHz帯通信用送信制御部62の出力(送信信号)を広帯域パワーアンプ43に供給する。広帯域パワーアンプ43は、供給された送信信号を増幅し、増幅した送信信号をフィルタ部44に供給する。
この場合、送信制御部51は、さらに、制御バス51Aを介して、フィルタ部44に値が「0」の制御信号を供給する。フィルタ部44は、この制御信号に基づいて、上述したように動作し、広帯域パワーアンプ43より供給された送信信号(増幅された送信信号)に対してスルー回路としての処理を行う。すなわち、フィルタ部44は、供給された送信信号の全ての周波数帯域(少なくとも5GHz帯を含む周波数帯域)を通過させ、そのままスイッチ回路45に供給する。スイッチ回路45は、フィルタ部44をアンテナ46に接続し、フィルタ部44より供給された送信信号を、アンテナ46を介して外部に出力する。
すなわち、フィルタ部44は、IEEE802.11bの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合、送信信号に対してローパスフィルタ処理を行って、通信に利用される2.4GHz帯の信号を通過させ、IEEE802.11aの規格に基づいた通信の信号と干渉する5GHz帯の信号(高調波成分)を遮断(または低減)させ、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合、送信信号に対してローパスフィルタ処理を行わずにそのままスルーさせ、通信に利用される5GHz帯の信号を通過させる。
このようにすることにより、無線通信部31の送信部32は、IEEE802.11bの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合(2.4GHz帯の信号を出力する場合)に、IEEE802.11aの規格に基づいた通信の信号である5GHz帯の信号の妨害波となり得る2.4GHz帯の高調波成分を十分に低いレベルまで減衰させることができ、5GHz帯の通信に対する妨害波の出力を抑制することができる。すなわち、送信部32は、送信性能を低下させずに、製造コストや回路規模を低減させることができる。
逆に、受信処理の場合、無線通信部31の外部より信号が送信され、アンテナ46がそれを受信すると、アンテナ46は、その受信信号をスイッチ回路45に供給する。なお、以下において、アンテナ46により受信された受信信号には、2.4GHz帯の信号および5GHz帯の信号の両方が含まれるものとする。また、5GHz帯の低周波成分は十分に小さく、2.4GHz帯の信号に影響を与えないものとする。
例えば、2.4GHz帯を利用するIEEE802.11bの規格に基づいた通信方式で通信を行っている場合(受信信号がIEEE802.11bの規格に基づく通信の信号である場合)、スイッチ回路45は、アンテナ46とフィルタ部47を接続し、取得した受信信号をフィルタ部47に供給する。
この場合、受信制御部52は、制御バス52Aを介して、フィルタ部47に値が「0」の制御信号を供給する。フィルタ部47は、この制御信号に基づいて、上述したように動作し、スイッチ回路45より供給された受信信号に対してスルー回路としての処理を行う。すなわち、フィルタ部47は、供給された送信信号の全ての周波数帯域(少なくとも2.4GHz帯を含む周波数帯域)を通過させ、そのまま広帯域ローノイズアンプ48に供給する。
広帯域ローノイズアンプ48は、供給された受信信号を増幅し、それをダイプレクサ回路49に供給する。ダイプレクサ回路49は、広帯域ローノイズアンプ48の出力を2.4GHz帯通信用受信制御部63に接続し、広帯域ローノイズアンプ48の出力(増幅された受信信号)を2.4GHz帯通信用受信制御部63に供給する。受信信号を取得した受信制御部52の2.4GHz帯通信用受信制御部63は、IEEE802.11bの規格に基づいて、受信信号より2.4GHz帯の信号を抽出し、抽出したその2.4GHz帯の信号に基づいて受信データを生成すると、その受信データを無線通信部31の外部に出力する。
この場合、受信信号には、上述したように2.4GHz帯の信号と、5GHz帯の信号との両方が含まれるが、5GHz帯の低周波成分は十分に小さく、2.4GHz帯の信号の妨害波とならないので、2.4GHz帯通信用受信制御部63は、受信信号より2.4GHz帯の信号を正常に抽出し、抽出したその2.4GHz帯の信号に基づいて受信データを生成することができる。
また、例えば、5GHz帯を利用するIEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信を行っている場合(受信信号がIEEE802.11aの規格に基づく通信の信号である場合)、スイッチ回路45は、アンテナ46とフィルタ部47を接続し、取得した受信信号をフィルタ部47に供給する。
この場合、受信制御部52は、制御バス52Aを介して、フィルタ部47に値が「1」の制御信号を供給する。フィルタ部47は、この制御信号に基づいて、上述したように動作し、スイッチ回路45より供給された受信信号に対してハイパスフィルタ処理を行う。すなわち、フィルタ部47は、後段の広帯域ローノイズアンプ48において受信信号が増幅される際に受信信号に含まれる2.4GHz帯の高調波成分が増幅されないように、受信信号から不要な低周波成分(例えば2.4GHz帯)を遮断(または低減)することにより除去し、本来の5GHz帯の信号を抽出して、広帯域ローノイズアンプ48に供給する。
広帯域ローノイズアンプ48は、供給された受信信号を増幅し、それをダイプレクサ回路49に供給する。ダイプレクサ回路49は、広帯域ローノイズアンプ48の出力を5GHz帯通信用受信制御部64に接続し、広帯域ローノイズアンプ48の出力(増幅された受信信号)を5GHz帯通信用受信制御部64に供給する。受信信号を取得した受信制御部52の5GHz帯通信用受信制御部64は、IEEE802.11aの規格に基づいて、その受信信号から5GHz帯の信号を抽出し、抽出したその信号に基づいて受信データを生成すると、その受信データを無線通信部31の外部に出力する。
すなわち、フィルタ部47は、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合、受信信号に対してハイパスフィルタ処理を行って、通信に利用される5GHz帯の信号を通過させ、高調波成分が5GHz帯の信号と干渉する恐れのある、IEEE802.11bの規格に基づいた通信の2.4GHz帯の信号を遮断(または低減)させ、IEEE802.11bの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合、受信信号に対してハイパスフィルタ処理を行わずにそのままスルーさせ、通信に利用される2.4GHz帯の信号を通過させる。
このようにすることにより、無線通信部31の受信部33は、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合(5GHz帯の信号を受信する場合)に、その高調波成分が5GHz帯の信号と干渉する恐れのあるIEEE802.11bの規格に基づいた通信の信号である2.4GHz帯の周波数成分を十分に低いレベルまで減衰させることができ、5GHz帯の通信への妨害波の発生(影響)を抑制することができる。すなわち、受信部33は、製造コストや回路規模を低減させることができる。
以上のように、無線通信部31は、上述したような送信部32および受信部33により構成されることにより、IEEE802.11bの規格に基づいた通信の信号による、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信の信号に対する干渉(妨害)を抑制させることができる。すなわち、無線通信部31は、互いに異なる周波数帯を利用する複数の無線通信を行う場合に、他の周波数帯との干渉(妨害)を低減させながら、それらの複数の無線通信において送信回路および受信回路を共用させることができる。すなわち、無線通信部31は、製造コストや回路規模を低減させることができる。
次に、図9および図10のフローチャートを参照して、図2の無線通信部31による送受信処理の流れについて説明する。
最初に、無線通信部31の通信制御部41は、ステップS1において、フィルタ設定処理を行い、無線通信の方式に合わせて、フィルタ部44およびフィルタ部47の設定処理を行う。設定処理の詳細については、図11のフローチャートを参照して後述する。
フィルタ設定処理を行った通信制御部41は、ステップS2に処理を進め、データを送信するか否かを判定する。無線通信部31の外部より送信データが供給されており、かつ、送信処理を行う状態である等して、データを送信すると判定した場合、送信制御部51(送信制御部51の2.4GHz帯通信用送信制御部61または5GHz帯通信用送信制御部62)は、送信データより送信信号を作成し、それをダイプレクサ回路42に供給する。ダイプレクサ回路42は、ステップS3において、無線通信の方式に基づいて広帯域パワーアンプ43に供給する送信信号を選択し、供給された送信信号を広帯域パワーアンプ43に供給する。
送信信号を供給された広帯域パワーアンプ43は、ステップS4において、その送信信号を増幅し、フィルタ部44に供給する。送信信号を供給されたフィルタ部44は、ステップS5において、送信信号が低周波側の信号(2.4GHz帯の信号)であるか否かを判定し、制御バス51Aを介して供給される制御信号に基づいて、送信信号が低周波側の信号(2.4GHz帯の信号)であると判定した場合、ステップS6において、送信信号の高調波成分の周波数帯域(4.8GHz付近)である高周波帯域を遮断(または低減)し、周波数制限した送信信号をスイッチ回路45に供給する。
また、ステップS5において、制御バス51Aを介して供給される制御信号に基づいて、送信信号が高周波側の信号(5GHz帯の信号)であると判定した場合、フィルタ部44は、ステップS6の処理を省略し、送信信号をそのままスイッチ回路45に供給する。
ステップS7において、スイッチ回路45は、送信パスを設定し、フィルタ部44とアンテナ46を接続し、フィルタ部44より供給される送信信号をアンテナ46に供給する。アンテナ46は、ステップS8において、スイッチ回路45より供給される送信信号を空間に放射し、出力する。ステップS8の処理を終了した無線通信部31は、処理を図10のステップS11に供給する。
また、図9のステップS2において、送信データが供給されていなかったり、送信処理の状態でなかったりして、データを送信しないと判定した場合、通信制御部41は、ステップS3乃至ステップS8の処理を省略し、図10のステップS11に処理を進める。
通信制御部41は、図10のステップS11において、データを受信するか否かを判定する。受信処理を行う状態である等して、データを受信すると判定した場合、通信制御部41は、ステップS12に処理を進める。ステップS12において、アンテナ46は空間を伝搬して供給される無線信号を受信し、その受信信号をスイッチ回路45に供給する。スイッチ回路45は、ステップS13において、受信パスを設定し、アンテナ46を介して受信された受信信号をフィルタ部47に供給する。
受信信号を供給されたフィルタ部47は、ステップS14において、受信信号が高周波側の信号(5GHz帯の信号)であるか否かを判定し、制御バス52Aを介して供給される制御信号に基づいて、受信信号が高周波側の信号(5GHz帯の信号)であると判定した場合、ステップS15において、送信信号の、低周波側の信号の周波数帯域(2.4GHz付近)である低周波帯域を遮断(または低減)し、周波数制限した受信信号を広帯域ローノイズアンプ48に供給する。
また、ステップS14において、制御バス52Aを介して供給される制御信号に基づいて、受信信号が低周波側の信号(2.4GHz帯の信号)であると判定した場合、フィルタ部47は、ステップS15の処理を省略し、受信信号をそのまま広帯域ローノイズアンプ48に供給する。
受信信号を取得した広帯域ローノイズアンプ48は、ステップS16において、その受信信号を増幅し、ダイプレクサ回路49に供給する。ダイプレクサ回路49は、ステップS17において、取得した受信信号を分配する。すなわち、ダイプレクサ回路49は、無線通信の方式に基づいて、2.4GHz帯通信用受信制御部63または5GHz帯通信用受信制御部64の内、周波数帯域が受信信号に対応する側の受信制御部に、取得した受信信号を供給する。受信信号を供給された受信制御部52(受信制御部52の2.4GHz帯通信用受信制御部63または5GHz帯通信用受信制御部64)は、その受信信号より目的の周波数帯域(2.4GHz帯または5GHz帯)の信号を抽出し、その抽出した信号を用いて受信データを作成し、それを無線通信部31の外部に出力する。
ステップS17の処理を終了した受信制御部52は、ステップS18に処理を進める。また、ステップS11において、データを受信しないと判定した場合、通信制御部41は、ステップS12乃至ステップS17の処理を省略し、ステップS18に処理を進める。
ステップS18において、通信制御部41は、送受信処理を終了するか否かを判定し、通信が終了しておらず、送受信処理を終了しないと判定した場合、図9のステップS2に処理を戻し、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS18において、通信が終了し、送受信処理を終了すると判定した場合、通信制御部41は、ステップS19に処理を進め、終了処理を行った後、送受信処理を終了する。
以上のように処理することにより、無線通信部31の送信部32が、IEEE802.11bの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合(2.4GHz帯の信号を送信する場合)に、5GHz帯の通信への妨害波の出力(影響)を抑制することができるとともに、無線通信部31の受信部33が、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合(5GHz帯の信号を受信する場合)に、2.4GHz帯の信号成分による5GHz帯の通信への妨害波の発生(影響)を抑制することができる。これにより、無線通信部31は、IEEE802.11bの規格に基づいた通信の信号による、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信の信号に対する干渉(妨害)を抑制させることができる。すなわち、無線通信部31は、互いに異なる周波数帯を利用する複数の無線通信を行う場合に、他の周波数帯との干渉(妨害)を低減させながら、それらの複数の無線通信において送信回路および受信回路を共用させることができる。すなわち、無線通信部31は、製造コストや回路規模を低減させることができる。
次に、図9のステップS1において実行されるフィルタ設定処理の詳細について、図11のフローチャートを参照して説明する。
最初に、ステップS31において、通信制御部41は、通信方式の設定に基づいて、低周波側の信号を送受信するか否かを判定する。すなわち、通信制御部41は、2.4GHz帯を利用するIEEE802.11bに基づいた無線通信を行うか否かを判定する。2.4GHz帯通信用送信制御部61および2.4GHz帯通信用受信制御部63を利用し、無線通信部31が対応するデュアルバンドの内、低周波側の信号を送受信すると判定した場合、通信制御部41は、ステップS32に処理を進める。
ステップS32において、通信制御部41は、送信側のフィルタ回路44がローパスフィルタとして動作するように制御する。すなわち、通信制御部41の送信制御部51は、ステップS32において、制御バス51Aを介して、値が「1」の制御信号をフィルタ部44に供給し、フィルタ部44をローパスフィルタとして動作させる。
ステップS32の処理が終了すると、通信制御部41は、ステップS33において、受信側のフィルタ回路47がスルー回路として動作するように制御する。すなわち、通信制御部41の受信制御部52は、ステップS33において、制御バス52Aを介して、値が「0」の制御信号をフィルタ部47に供給し、フィルタ部47をスルー回路(伝送線路)として動作させる。
ステップS33の処理を終了した通信制御部41は、ステップS34に処理を進める。また、ステップS31において、低周波側の信号を送受信しないと判定した場合、通信制御部41は、ステップS32およびステップS33の処理を省略し、ステップS34に処理を進める。
ステップS34において、通信制御部41は、通信方式の設定に基づいて、高周波側の信号を送受信するか否かを判定する。すなわち、通信制御部41は、5GHz帯を利用するIEEE802.11aに基づいた無線通信を行うか否かを判定する。5GHz帯通信用送信制御部62および5GHz帯通信用受信制御部64を利用し、無線通信部31が対応するデュアルバンドの内、高周波側の信号を送受信すると判定した場合、通信制御部41は、ステップS35に処理を進める。
ステップS35において、通信制御部41は、送信側のフィルタ回路44がスルー回路として動作するように制御する。すなわち、通信制御部41の送信制御部51は、ステップS35において、制御バス51Aを介して、値が「0」の制御信号をフィルタ部44に供給し、フィルタ部44をスルー回路(伝送線路)として動作させる。
ステップS35の処理が終了すると、通信制御部41は、ステップS36において、受信側のフィルタ回路47がハイパスフィルタとして動作するように制御する。すなわち、通信制御部41の受信制御部52は、ステップS36において、制御バス52Aを介して、値が「1」の制御信号をフィルタ部47に供給し、フィルタ部47をハイパスフィルタとして動作させる。
ステップS36の処理を終了した通信制御部41は、ステップS37に処理を進める。また、ステップS34において、低周波側の信号を送受信しないと判定した場合、通信制御部41は、ステップS35およびステップS36の処理を省略し、ステップS37に処理を進める。
ステップS37において、通信制御部41は、フィルタ部44およびフィルタ部47の設定が完了したか否かを判定し、完了していないと判定した場合、処理をステップS31に戻し、それ以降の処理を繰り返す。また、ステップS37において、フィルタ部44およびフィルタ部47の設定が完了したと判定した場合、通信制御部41は、フィルタ設定処理を終了し、図9のステップS2に処理を戻す。
以上のようにフィルタ設定処理を実行することにより、通信制御部41は、無線通信部31の送信部32が、IEEE802.11bの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合(2.4GHz帯の信号を送信する場合)に、5GHz帯の通信への妨害波の出力(影響)を抑制することができるとともに、無線通信部31の受信部33が、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信を行う場合(5GHz帯の信号を受信する場合)に、2.4GHz帯の信号成分による5GHz帯の通信への妨害波の発生(影響)を抑制することができる。すなわち、通信制御部41は、無線通信部31が、IEEE802.11bの規格に基づいた通信の信号による、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信の信号に対する干渉(妨害)を抑制させることができるように制御することができる。これにより、無線通信部31は、互いに異なる周波数帯を利用する複数の無線通信を行う場合に、他の周波数帯との干渉(妨害)を低減させながら、それらの複数の無線通信において送信回路および受信回路を共用させることができる。すなわち、無線通信部31は、製造コストや回路規模を低減させることができる。
以上に説明した無線通信部31は、無線通信モジュールとして無線通信部31のみで実現するようにしてもよいが、例えば、アクセスポイント、LANカード、パーソナルコンピュータ、またはPDA等に組み込まれるようにし、通信装置の一部として実現するようにしてももちろんよい。
図12は、本発明を適用した通信装置の構成例を示す図である。
図12において、通信装置150は、例えば、アクセスポイント、LANカード、パーソナルコンピュータ、またはPDA等のような通信機能を有するデバイスである。通信装置150のCPU151は、ROM152に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM153には、CPU151が各種の処理を実行する上において必要なデータやプログラムなどが適宜記憶される。
CPU151、ROM152、およびRAM153は、バス154を介して相互に接続されている。このバス154にはまた、入出力インタフェース160も接続されている。
入出力インタフェース160は、例えば、各種のボタン、リモートコントローラ、キーボード、またはマウス等により構成される入力部161が接続され、入力部161に入力された信号をCPU151に出力する。また、入出力インタフェース160には、GUI(Graphical User Interface)等を表示するディスプレイ、状態表示用のLED(Light Emitting Diode)、またはスピーカなどから構成される出力部162も接続されている。
さらに、入出力インタフェース160には、CPU151において実行されるプログラムやデータ等を記憶するハードディスク、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、またはフラッシュメモリなどよりなる記憶部163、および、有線によりネットワークに接続され、そのネットワークを介して他の装置とデータの通信を行う有線通信部164も接続されている。
また、入出力インタフェース160にはドライブ165が適宜接続される。ドライブ165は、CPU151に制御される等して、ドライブ165に装着された、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどの記録媒体からなるリムーバブルメディア166よりプログラムや、そのプログラムの実行に必要なデータを読み出したり、CPU151等より供給されたデータやプログラムを、そのリムーバブルメディア166に書き込んだりする。
さらに、入出力インタフェース160には、上述した無線通信部31が接続されている。無線通信部31は、上述したように、無線通信によるネットワークへの接続を実現する。
CPU151は、入力部161より入力されたユーザの指示や、実行しているプログラムに基づいて、IEEE802.11aやIEEE802.11b等の、使用する無線通信方式を選択し、無線通信部31を制御して、その選択した無線通信方式による無線通信を実行させる。無線通信部31は、そのCPU151の制御に基づいて、上述したように送受信処理を行う。
このようにすることにより、通信装置150は、IEEE802.11bの規格に基づいた通信の信号による、IEEE802.11aの規格に基づいた通信方式で通信の信号に対する干渉(妨害)を抑制させた状態で無線通信を行うことができる。このとき、無線通信部31は、上述したように無線通信処理を行うことにより、互いに異なる周波数帯を利用する複数の無線通信を行う場合に、他の周波数帯との干渉(妨害)を低減させながら、それらの複数の無線通信において送信回路および受信回路を共用させることができる。すなわち、無線通信部31および通信装置150は、製造コストや回路規模を低減させることができる。
以上において、無線通信部31は、2.4GHz帯の信号を送信する場合、フィルタ部44を用いて広帯域パワーアンプ43の出力から、2.4GHz帯の信号の高調波成分を除去するように説明したが、これ以外にも、2.4GHz帯の信号の高調波成分を除去できればどのような構成であってもよく、例えば、図2の、ローパスフィルタとして動作するフィルタ部44の代わりに、2.4GHz帯の信号の2倍成分の周波数である4.8GHz付近の周波数成分のみを除去するバンドリジェクトフィルタを用いるようにしてもよい。
図13は、バンドリジェクトフィルタの構成例を示す図である。図13において、バンドリジェクトフィルタ170の入力端子71と出力端子73は、図3を参照して説明したフィルタ部44の場合と同様に、それぞれ、広帯域パワーアンプ43の出力端子、または、スイッチ回路45のフィルタ部47が接続されている端子側の、フィルタ部47が接続されている端子とは異なる端子と接続されている。なお、この図13の場合、図3のフィルタ部44の場合と異なり、送信制御部51より制御信号が供給される制御バス51Aに接続される入力端子は存在しない。すなわち、このバンドリジェクトフィルタ170は、2.4GHz帯通信用送信制御部61より出力された2.4GHz帯の送信信号の場合であっても、5GHz帯通信用送信制御部62より出力された5GHz帯の送信信号の場合であっても、バンドリジェクトフィルタとして動作する。従って、この場合、5GHz帯通信用送信制御部62は、例えば、5GHz以上等、バンドリジェクトフィルタ170が除去する周波数帯域と異なる周波数帯域を利用して信号を送信する。
図13において、入力端子71と出力端子173の間には、並列に接続されたインダクタ171とコンデンサ181、並列に接続されたインダクタ172とコンデンサ182、並びに、並列に接続されたインダクタ173とコンデンサ183が、直列に接続されている。また、コンデンサ181とコンデンサ182との間(インダクタ181とインダクタ182との間)にはインダクタ191の一方の端子が、コンデンサ182とコンデンサ183との間(インダクタ182とインダクタ183との間)にはインダクタ193の一方の端子が、それぞれ接続されている。さらに、インダクタ191の他方の端子は、コンデンサ192を介して接地されており、インダクタ193の他方の端子は、コンデンサ194を介して接地されている。
以上のような構成のバンドリジェクトフィルタ170は、図14に示されるような入出力特性を有しており、入力された送信信号より、4.8GHz付近の周波数の信号を遮断(または低減)して除去する。なお、図14に示される入出力特性は、一例であり、上述した以外であってももちろんよい。例えば、バンドリジェクトフィルタ170が複数の周波数帯域成分を除去するようにしてもよい。この入出力特性において、バンドリジェクトフィルタ170は、除去の対象となる周波数帯域(図14の場合4.8GHz付近の周波数帯域)のみの利得が急峻に下がるのが望ましいが、実際には、図14に示されるように、一部のその他の帯域の成分も遮断(または低減)される場合もあるが、送信信号に影響を与えない程度の特性であればよい。
以上のように、バンドリジェクトフィルタ170を用いることにより、送信制御部51がフィルタ部44を制御する必要が無くなるので、送信部32は、回路構成がより単純化され、回路規模や製造コストをより低減させることができる。これにより無線通信部31は、上述したように無線通信処理を行うことにより、互いに異なる周波数帯を利用する複数の無線通信を行う場合に、他の周波数帯との干渉(妨害)を低減させることができる。すなわち、無線通信部31および通信装置150は、製造コストや回路規模をより低減させることができる。
なお、このように所定の周波数帯域成分のみを遮断(または低減)するバンドリジェクトフィルタの代わりに、所定の周波数帯域成分のみを通過させるバンドパスフィルタが用いられるようにしてももちろんよい。この場合、バンドパスフィルタは、例えば、2.4GHz帯通信用送信制御部61を用いて信号を送信する場合、2.4GHz帯の周波数成分のみを通過させるように動作させ、5GHz帯通信用送信制御部62を用いて信号を送信する場合、5GHz帯の周波数成分のみを通過させるように動作させる。このようにすることにより、広帯域パワーアンプ43の出力より、必要な周波数成分のみを抽出することができ、他の周波数成分に対する干渉を抑制することができるようになる。
以上のバンドリジェクトフィルタまたはバンドパスフィルタの遮断(または低減)または通過させる信号の周波数帯域は固定であってもよいし、可変であってもよい。また、図3のフィルタ部44のように、バンドリジェクトフィルタまたはバンドパスフィルタに制御部を設け、送信信号の周波数帯域によって、フィルタとして動作したり、スルー回路として動作したりするようにしてももちろんよい。
以上においては、無線通信部31は、IEEE802.11aおよびIEEE802.11bの無線LAN通信規格に基づく無線通信、すなわち、2.4GHz帯または5GHz帯を利用した無線通信を行うように説明したが、これに限らず、無線通信の方式はどのような方式であってもよく、また、これらの無線通信に使用される周波数帯も、互いに異なる周波数帯を利用するものであれば、どのような周波数帯であってもよい。
また、以上においては、無線通信部31は、2.4GHz帯の送受信信号に含まれる高調波成分による、5GHz帯の送受信信号に対する干渉(妨害)を抑制するように説明したが、これに限らず、例えば、5GHz帯の送受信信号に含まれる低調波成分による2.4GHz帯の送受信信号に対する干渉(妨害)を抑制する等、他の周波数帯の信号に対する干渉(妨害)を抑制するようにしていればよい。
さらに、無線通信部31は、互いに異なる規格に基づき、互いに異なる周波数帯を利用する3つ以上の規格に基づく、3種類の送信信号を出力することができるようにしてもよい。この場合、無線通信部31は、フィルタ部44の代わりに、図13に示されるようなバンドリジェクトフィルタやバンドパスフィルタ等を用いるようにしてもよいし、ローパスフィルタとハイパスフィルタを組み合わせて用いるようにしてもよい。
なお、受信部33のフィルタ部47についても同様であり、フィルタ部47の代わりにバンドリジェクトフィルタやバンドパスフィルタを用いるようにすることも可能である。
図2に示される無線通信部31においては、送信部32にフィルタ部44を設け、さらに、受信部33にフィルタ部47を設けるように説明したが、これに限らず、例えば、送信部32にのみフィルタ部44を設け、図2のフィルタ部47を省略するようにしてもよい。
図15は、本発明を適用した無線通信部の他の構成例を示すブロック図である。図15において、無線通信部201は、基本的に図2の無線通信部31と同様の構成であり、無線通信部31と同様に、2.4GHz帯の信号を送受信するとともに、5GHz帯の信号を送受信するデュアルバンドの通信部である。無線通信部201の送信部32は、図2の無線通信部31の場合と同様に、広帯域パワーアンプ43の後段にフィルタ部44が設けられているが、受信部213は、図2の受信部33の場合と異なり、フィルタ部47を有しておらず、スイッチ回路45より出力された受信信号は、広帯域ローノイズアンプ48に供給される。
すなわち、無線通信部201は、無線通信部31よりフィルタ部47を省略した構成となっている。このようにすることで、無線通信部201は、受信信号に含まれる2.4GHz帯の信号の高調波成分を除去(または低減)することはできないが、送信信号に含まれる2.4GHz帯の信号の高調波成分を除去(または低減)することができ、さらに、フィルタ部47を省略している分、無線通信部31と比較して製造コストや回路規模をより低減させることができる。すなわち、無線通信部201は、妨害波(不要な高調波成分や低調波成分)の除去能力については無線通信部31より劣るが、その分、製造コストや回路規模をより低減させることができる。従って、例えば、受信信号に含まれる妨害波の割合が少なく、受信部33において妨害波を除去(または低減)する必要が無い場合、このような無線通信部201(受信部213)を適用することにより、無線通信において十分に妨害波を除去することができるだけでなく、さらに、無線通信部の製造コストや回路規模をより低減させることができる。
逆に、受信部33にのみフィルタ部47を設け、図2のフィルタ部44を省略するようにしてももちろんよい。
図16は、本発明を適用した無線通信部の、さらに他の構成例を示すブロック図である。図16において、無線通信部221は、基本的に図2の無線通信部31と同様の構成であり、無線通信部31と同様に、2.4GHz帯の信号を送受信するとともに、5GHz帯の信号を送受信するデュアルバンドの通信部である。無線通信部221の受信部33は、図2の無線通信部31の場合と同様に、スイッチ回路45の後段にフィルタ部47が設けられているが、送信部222は、図2の送信部32の場合と異なり、フィルタ部44を有しておらず、広帯域パワーアンプ43より出力された送信信号は、スイッチ回路45に供給される。
すなわち、無線通信部221は、無線通信部31よりフィルタ部44を省略した構成となっている。このようにすることで、無線通信部221は、送信信号に含まれる2.4GHz帯の信号の高調波成分を除去(または低減)することはできないが、受信信号に含まれる2.4GHz帯の信号の高調波成分を除去(または低減)することができ、さらに、フィルタ部44を省略している分、無線通信部31と比較して製造コストや回路規模をより低減させることができる。すなわち、無線通信部221は、妨害波(不要な高調波成分や低調波成分)の除去能力については無線通信部31より劣るが、その分、製造コストや回路規模をより低減させることができる。従って、例えば、送信信号に含まれる妨害波の割合が少なく、送信部32において妨害波を除去(または低減)する必要が無い場合、このような無線通信部221を適用することにより、無線通信において十分に妨害波を除去することができるだけでなく、さらに、無線通信部の製造コストや回路規模をより低減させることができる。
また、図2において、無線通信部31は、1本のアンテナ46を用いて送信信号を出力し、受信信号を受信するように説明したが、例えば、図17に示されるように、ダイバーシチアンテナを用いるようにしてもよい。
図17において、無線通信部231は、基本的に図2の無線通信部31と同様の構成であるが、スイッチ回路45の代わりに、直列に接続された2つのSPDT(Single Pole Double Throw)スイッチ回路241とSPDTスイッチ回路242が設けられており、さらに、SPDTスイッチ回路242には、2本のアンテナ243およびアンテナ244がダイバーシチアンテナとして接続されている。
すなわち、送信時には、SPDTスイッチ回路241がフィルタ部44をSPDTスイッチ回路242に接続し、SPDTスイッチ回路242がSPDTスイッチ回路241をアンテナ243またはアンテナ244に接続することにより、フィルタ部44の出力をアンテナ243またはアンテナ244に供給させる。また、受信時には、SPDTスイッチ回路242がアンテナ243またはアンテナ244をSPDTスイッチ回路241に接続し、SPDTスイッチ回路241がSPDTスイッチ回路242をフィルタ部47に接続することにより、アンテナ243またはアンテナ244において受信された受信信号をフィルタ部47に供給させる。
従って、無線通信部231は、SPDTスイッチ回路241、SPDTスイッチ回路242、アンテナ243、並びにアンテナ244を含む送信部232と、SPDTスイッチ回路241、SPDTスイッチ回路242、アンテナ243、並びにアンテナ244を含む受信部233とにより構成される。
なお、図17において、無線通信部231は、2つのSPDTスイッチ回路241およびSPDTスイッチ回路242を含む、送信部232および受信部233により構成されるように説明したが、これに限らず、例えば、2つのSPDTスイッチ回路241およびSPDTスイッチ回路242が1つのDPDTスイッチ回路(Double Pole Double Throw)により構成されるようにしてももちろんよい。
以上においては、無線通信における処理について説明したが、互いに異なる周波数の搬送波を用いた複数の通信を行う場合であれば、通信媒体は無線であっても有線であってももちろんよい。その場合、例えば、図2の無線通信部31(その場合、有線通信部となる)において、アンテナ46の代わりに、他の装置の通信部と接続されたケーブル(伝送線路)が設けられる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、上述したようにソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体等からインストールされる。
記録媒体は、例えば、図12に示されるように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),CD-R(Compact Disc - Recordable),CD-RW(Compact Disc - ReWritable),DVD-ROM(Digital Versatile Disc - Read Only Memory),DVD-RAM(Digital Versatile Disc - Random Access Memory),DVD-R(Digital Versatile Disc - Recordable),DVD-RW(Digital Versatile Disc - ReWritable),DVD+R(Digital Versatile Disc + Recordable),DVD+RW(Digital Versatile Disc + ReWritable)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disc)(登録商標)を含む)、若しくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアを含むリムーバブルメディア346により構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記憶されているROM152や記憶部163が含まれるハードディスクなどで構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
1 無線通信装置, 31 無線通信部, 32 送信部, 33 受信部, 41 通信制御部, 42 ダイプレクサ回路, 43 広帯域パワーアンプ, 44 フィルタ部, 45 スイッチ回路, 46 アンテナ, 47 フィルタ部, 48 広帯域ローノイズアンプ, 49 ダイプレクサ回路, 51 送信制御部, 52 受信制御部, 61 2.4GHz帯通信用送信制御部, 62 5GHz帯通信用送信制御部, 63 2.4GHz帯通信用受信制御部, 64 5GHz帯通信用受信制御部, 72 フィルタ処理部, 75 制御部, 102 フィルタ部, 105 制御部, 150 通信装置, 151 CPU, 170 バンドリジェクトフィルタ, 201 無線通信部, 213 受信部, 221 無線通信部, 231 無線通信部, 233 受信部, 241 SPDTスイッチ回路, 242 SPDTスイッチ回路, 243 アンテナ, 244 アンテナ