JP2005136199A - 耐雷変圧器 - Google Patents

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基泰 丹羽
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Abstract

【課題】高い耐雷性能を保持すると共に、積層鉄心の積層面と平行な面を底面として高さを低くし横置き薄型とすることができる耐雷変圧器を提供することを目的とする。
【解決手段】積層鉄心1の環状部11を連結する連結部12に二次コイル5が巻装され、二次コイル5の外側に絶縁物を介して一次コイル4が巻装されてなる変圧器である。二次コイル5の内周側に絶縁物を介して第一導電性シールド6が巻装され、二次コイル5と一次コイル4の間に絶縁物を介して第二導電性シールド7,8が巻装される。第一導電性シールド6及び第二導電性シールド7,8がアース接続されると共に、第一導電性シールド6及び第二導電性シールド7,8の鉄心側の端部が絶縁物10で包囲される。積層鉄心1の積層面と平行な面を底面として、高さが横幅及び奥行きより低い横置き薄型形状に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、一次コイルと二次コイル間のサージ電圧の移行レベルを低く抑制した低圧級乾式の耐雷変圧器に関し、特に変圧器全体の形状を横置き型で、且つ薄型形状とした耐雷変圧器に関する。
屋外に設置される電源設備などの電気機器に使用される変圧器では、設備近傍への落雷または誘導雷などによる雷サージ電圧の一次コイルから二次コイルへの移行レベルを小さくし、雷サージ電圧を効果的に減衰させる性能が要求される場合がある。このような場合、一般に、一次コイルと二次コイルの間に導電性シールドを介装し、導電性シールドをアース接続して、二次コイルへの雷サージ電圧の移行レベルを小さくするようにしている。しかし、このような一次コイルと二次コイルの間の導電性シールドのみでは、導電性シールドの面積が少なく、二次コイルと導電性シールド間の静電容量を大きくすることができず、雷サージ電圧の移行レベルを下げることが難しいという課題があった。
そこで、3〜4層の絶縁層と導電性シールドを一次コイルと二次コイルの間及び鉄心との間に介装させ、雷サージの影響を少なくした構造の耐雷変圧器が、下記特許文献1などにより提案されている。
特開平6−77063号公報
ところで、この種の耐雷変圧器は、通常、積層鉄心の積層面を垂直にして設置し、コイルは水平面内でループを形成するように積層鉄心の中央連結部の周囲に巻装される構造である。このため、従来の耐雷変圧器は、全体的に縦長の縦型形状となって、その設置スペースには、ある程度の高さを有するスペースが必要とされる。
しかし、近年、電源設備内のスペースの縮小から、変圧器のコンパクト化が要求される傾向にあり、特に、例えば無線中継設備の電源として変圧器が使用される場合、無線中継設備の無線通信機器と同様に、変圧器を高さの低い横置き型のケースに入れて、ラック内に多段状に収納することが検討されている。
しかしながら、従来の耐雷変圧器は、上記のように、積層鉄心の積層面を垂直とし、コイルを水平面内でループを形成するように積層鉄心の中央連結部の周囲に巻装した縦長の縦型形状であるため、横長で薄型形状のケースに立てた状態で収納することはできず、また、全体の高さを抑えるために変圧器を横に寝かせた状態で設置し、つまり積層鉄心の積層面を水平に配置し、コイルを垂直面内でループを形成するように巻装したとしても、コイル部の巻装高さを低く抑えることが難しく、高さの低い薄型の耐雷変圧器とすることができず、横長薄型のケースには収納できないという課題があった。
すなわち、耐雷変圧器に要求される所定の性能を得るための必要な積層鉄心の断面形状を確保し、所定の太さで所定の巻き数のコイルを巻装した場合、積層鉄心の厚さやコイルの巻き厚はある程度必要となり、特に、変圧器全体を薄型にするために、導電性シールドと鉄心間、コイルと鉄心間の絶縁距離を小さくした場合、所望の耐雷性能を発揮できなくなる課題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、高い耐雷性能を保持すると共に、積層鉄心の積層面と平行な面を底面として高さの低い横置き薄型とすることができる耐雷変圧器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の耐雷変圧器は、積層鉄心の環状部を連結する連結部に二次コイルが巻装され、二次コイルの外側に絶縁物を介して一次コイルが巻装されてなる耐雷変圧器において、二次コイルの内周側に絶縁物を介して第一導電性シールドが巻装され、二次コイルと一次コイルの間に絶縁物を介して第二導電性シールドが巻装され、第一導電性シールド及び第二導電性シールドがアース接続されると共に、第一導電性シールド及び第二導電性シールドの鉄心側の端部が絶縁物で包囲され、積層鉄心の積層面と平行な面を底面として、高さが横幅及び奥行きより低い横置き薄型形状に形成されたことを特徴とする。
ここで、請求項2のように、第二導電性シールドは、複数枚の導電性シールドを、絶縁物を介して巻き付けるように二次コイルと一次コイルの間に装着することができる。
また、請求項3のように、上記耐雷変圧器は、高さの低い横置き型で薄型の金属ケース内に、前記積層鉄心の積層面と平行な面を底面とする姿勢で収納され、取付脚部を介して固定されるように、使用することができる。
上記構成の耐雷変圧器は、二次コイルの内周側に絶縁物を介して巻装された第一導電性シールドと、二次コイルと一次コイルの間に絶縁物を介して巻装された第二導電性シールドの鉄心側の端部が絶縁物で包囲されているため、一次コイルと第一及び第二導電性シールドとの間の絶縁距離を通常より短くすることができ、これにより、一次コイルの巻き厚を薄くすることができる。このため、変圧器のコイル部の厚さを低減してコイル部を横に寝かせて載置した場合の高さを極めて低くすることができ、少なくとも耐雷変圧器の高さが横幅及び奥行きより低く、横長で、横置き薄型の耐雷変圧器を製作することができる。
このような耐雷変圧器は、高さの低い横長薄型のケースに収納され、無線中継設備などの多段収納型のラックに、無線通信機器と同様に収納され、変圧器を含む無線中継設備全体をコンパクト化することができる。
また、第二導電性シールドは、絶縁物を介して二次コイルと一次コイルの間に巻き付けるように装着され、これによって、二次コイルとアース間の静電容量は、十分に大きくなり、落雷などによるサージ電圧が一次コイルに印加された場合の、二次コイルへの移行レベルは充分に小さく、二次側に移行する雷などによるサージ電圧を良好に減衰させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を適用した耐雷変圧器の正面図を示し、図2はその平面図を、図3,4はその断面図を示している。
1は鋼板を積層して形成した積層鉄心であり、図3に示すように、積層面にそった断面形状は、環状部11の中央に連結部12を形成した形状つまり環状部11の内側に2つの空間を設けて形成され、その2つの空間内に、環状に巻装されてなるコイル部2が挿入され、中央の連結部12に外嵌される。積層鉄心1は、各環状部11と連結部12の鋼板が分割して形成され、巻回して完成されたコイル部2の内側に分解された鋼板を組み付けて製作される。
コイル部2は、先ず、最内側にシート状または筒状の第一絶縁物21が環状に配設され、その外側に第一導電性シールド6が環状に巻装され、その第一導電性シールド6の外側に第二絶縁物22が環状に巻装され、その第二絶縁物22の外側に二次コイル5が巻装される。また、図3の断面図、図6の拡大断面図に示すように、二次コイル5の正面側と背面側の環状の空間には、例えば樹脂などからなる絶縁物13が環状に形成されて埋め込まれる。
第一導電性シールド6は、後述の第二、第三導電性シールド7,8と同様に、図5に示す如く、例えば厚さ0.1mmの銅箔9から形成され、その銅箔9の上縁部と下縁部に、シート状の絶縁物10がその表裏を包囲して取着される。さらに、アース線16が銅箔9に溶着され、銅箔本体9は環状に巻回した形状に形成されている。
図3、図6に示すように、二次コイル5の外側に、第三絶縁物23が環状に巻き付けて巻装され、その第三絶縁物23の外側に、第二導電性シールド7が環状に巻き付けて巻回される。その第二導電性シールド7の外側に、第四絶縁物24が環状に巻き付けて装着され、その第四絶縁物24の外側に、第三導電性シールド8が環状に巻き付けるように巻装される。さらに、その第三導電性シールド8の外側に、第五絶縁物25が環状に巻き付けるように巻回される。
つまり、二次コイル5の外側に、絶縁物を介して第二導電性シールド7と第三導電性シールド8からなる2層の導電性シールドが環状に巻くように巻装されている。第二、第三導電性シールド7、8は、銅箔の上縁部と下縁部に、シート状の絶縁物10がその表裏を包囲して取着されて形成されている。
また、図6に示すように、二次コイル5の外側の第二導電性シールド7と第三導電性シールド8は、第三絶縁物23、第四絶縁物24、及び第五絶縁物25によって、その両側を巻き付けるように覆われている。つまり、第三絶縁物23と第四絶縁物24の間に第二導電性シールド7が介装され、第四絶縁物24と第五絶縁物25の間に第三導電性シールド8が介装されている。
この第二、第三導電性シールド7、8は、図5に示す如く、例えば厚さ0.1mmの銅箔9から形成され、その銅箔9の上縁部と下縁部に、シート状の絶縁物10がその表裏を包囲して取着される。さらに、アース線16が銅箔9に溶着され、銅箔本体は環状に巻回した形状に形成されている。第三導電性シールド8と第五絶縁物25の外側に、一次コイル4が巻装される。
この銅箔9の上縁部と下縁部は、積層鉄心1に装着された際、一次コイル4に接近する端部であり、その部分を絶縁物10により絶縁することにより、一次コイル4の巻き幅を広く巻き厚を薄く巻装できるようにしている。つまり、導電性シールドの上縁部と下縁部に絶縁物がない場合は、一次コイル4と導電性シールド間の端部絶縁距離を長く設定して、一次コイル4の巻き幅を狭くし巻き厚を厚くする必要があるが、導電性シールドの上縁部と下縁部に絶縁物を包囲するように取着することにより、一次コイル4と導電性シールド間の端部絶縁距離を短くすることができ、一次コイル4の巻き幅を広く巻き厚を薄く巻装できる。これによって、コイル部2の高さを低く抑えることができる。
このようにして、二次コイル5の外側の第三導電性シールド8と第五絶縁物25の外側に、一次コイル4が巻装され、さらに、一次コイル4の前面側と背面側に空間には、環状で例えば樹脂製の絶縁物14がそこを埋めるように装着される。そして、一次コイル4と絶縁物14の外側には、コイル部2の最外周部を包囲するように外周絶縁物26が巻装される。上記第一絶縁物21、第二絶縁物22、及び第三絶縁物23、第四絶縁物24、第五絶縁物25、外周絶縁物26としては、絶縁紙を任意の枚数だけ重ねて巻き付けるように使用する。
上記構成のコイル部2は、上述のように、二次コイル5、一次コイル4を第一〜第五絶縁物21〜25、外周絶縁物26、及び第一導電性シールド6、第二導電性シールド7、第三導電性シールド8を順に巻き付けながら装着して製作されるが、特にコイル部2の高さ(厚さ)を抑えるために、押さえローラによりコイルなどを内側に押し付けて、コイルの巻き厚を小さくするように、コイルの巻装を行う。
また、巻装されたコイル部2は、最終的にレジン(樹脂)、ワニスなどの浸漬処理を行い、加熱乾燥させてコイル、絶縁物などを硬化させるが、この浸漬処理の際、コイル部2の外側を巻き厚方向内側に強く押えることにより、コイルの巻き厚をできるだけ薄くした状態で、硬化させるようにしている。これによって、コイルの巻き厚つまり高さをできるだけ抑えた薄型のコイル部2を製作することができる。
そして、上記のように製作されたコイル部2は、その内側に積層鉄心1の連結部12を通し、外側に積層鉄心1の環状部11を配置するように、積層鉄心1が組み付けられ、耐雷変圧器が製作される。この耐雷変圧器は、積層鉄心1の積層面を水平面と平行に配置するように、横向きに寝かせた状態で設置され使用されるが、積層鉄心1とコイル部2が高さの低い薄型に形成されているため、その高さを低くすることができる。この実施態様の例では、図1、図2のように、耐雷変圧器の高さHは、少なくとも横幅W及び奥行きLより低く形成することができ、実際の実施例では、図1のように変圧器の高さHを横幅Wの1/2(半分)より低く形成することができる。これにより、横置き型で薄型の耐雷変圧器を製作することができる。
上記耐雷変圧器には、図1、図7に示すように、その積層鉄心1の平面を下面として下部両側に、取付脚部15が固定される。そして、積層鉄心1の前面部には、図示を省略してあるが、複数の接続端子を有する一次側端子部と二次側端子部が固定され、アース端子が積層鉄心1上に固定される。さらに、上記第一導電性シールド6、第二導電性シールド7、及び第三導電性シールド8には各々アース線がロウ付けなどで接続され、それらのアース線はアース端子に接続される。
また、一次コイル4が一次側端子部の端子に接続され、二次コイル5が二次側端子部に接続される。アース端子は、取付脚部15または金属ケース30の一部に固定される。
そして、上記耐雷変圧器が、実際の設備の電源部に使用される場合、図1、図2、図7などで仮想線として示されるように、高さの低い横置き型で薄型の金属ケース30内に収納し、取付脚部15をケースに固定し、電源用変圧器として使用される。電気設備によっては、各機器がラック内に多段状に収納されるが、この耐雷変圧器も高さの低い横長の金属ケース30に入れた状態で、ラック内に多段状に収納して使用することができ、設置のためのスペースを大幅に節約することができる。
また、上記耐雷変圧器は、二次コイル5がその内周部を第一導電性シールド6により包囲され、その外周部が第二導電性シールド7、第三導電性シールド8により包囲され、各シールド6,7,8はアース接続されるから、二次コイル5とアース間つまり二次コイル5とシールド6,7,8間の静電容量は、十分に大きくなる。このため、雷サージ電圧の一次コイル4と二次コイル5間の移行レベルは、例えば−60dB以下に下げることができ、二次側に移行する雷サージ電圧を良好に減衰させることができる。
なお、上記実施形態では、二次コイル5の外側に第二導電性シールド7及び第三導電性シールド8からなる2枚の導電性シールドを挿入したが、1枚または3枚以上の導電性シールドを挿入することもできる。
以上説明したように、本発明の耐雷変圧器によれば、コイル部と導電性シールド間の距離を通常より短くすることができ、これにより、一次コイルの巻き厚を薄くすることができる。このため、変圧器のコイル部の厚さを低減してコイル部を横に寝かせて載置した場合の高さを極めて低くすることができ、少なくとも高さが横幅及び奥行きより低い、横長で、横置き薄型の耐雷変圧器を製作することができる。したがって、このような耐雷変圧器は、例えば、高さの低い横長薄型のケースに収納することができ、電気設備などの多段収納型のラックに、他の機器と同様に収納し、変圧器を含む設備全体をコンパクト化することができる。
本発明の一実施形態を示す耐雷変圧器の正面図である。 同耐雷変圧器の平面図である。 図1のIII-III断面図である。 図2のIV-IV断面図である。 (a)は導電性シールド6,7,8の展開平面図、(b)は同シールドの左側面図である。 図3の一部を拡大した拡大部分断面図である。 耐雷変圧器の斜視図である。
符号の説明
1−鉄心
2−コイル部
4−一次コイル
5−二次コイル
6−第一導電性シールド
7−第二導電性シールド
8−第三導電性シールド
10−絶縁物
21−第一絶縁物
22−第二絶縁物
23−第三絶縁物

Claims (3)

  1. 積層鉄心の環状部を連結する連結部に二次コイルが巻装され、該二次コイルの外側に絶縁物を介して一次コイルが巻装されてなる耐雷変圧器において、
    該二次コイルの内周側に絶縁物を介して第一導電性シールドが巻装され、該二次コイルと該一次コイルの間に絶縁物を介して第二導電性シールドが巻装され、該第一導電性シールド及び第二導電性シールドがアース接続されると共に、該第一導電性シールド及び第二導電性シールドの鉄心側の端部が絶縁物で包囲され、該積層鉄心の積層面と平行な面を底面として、高さが横幅及び奥行きより低い横置き薄型形状に形成されたことを特徴とする耐雷変圧器。
  2. 前記第二導電性シールドは、複数枚の導電性シールドを、絶縁物を介して巻き付けるように、前記二次コイルと該一次コイルの間に装着されたことを特徴とする請求項1記載の耐雷変圧器。
  3. 高さの低い横置き型で薄型の金属ケース内に、前記積層鉄心の積層面と平行な面を底面とする姿勢で収納され、取付脚部を介して固定されることを特徴とする請求項1記載の耐雷変圧器。
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