JP2005135811A - 直接液体供給形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エネルギー密度が向上できる直接形燃料電池を得る。
【解決手段】 プロトン導電性の高分子膜からなる電解質を介して一対の空気極と燃料極とが接合された電極−膜接合体10を、燃料極側に液体燃料を供給し、燃料極側から反応生成物を排出するための燃料流路23を有するセパレーター板20と、空気極側に空気を供給し、空気極側から反応生成物を排出するための空気流路22を有するセパレーター板20とで挟持して積層したセルスタック1を備えるとともに、液体燃料を貯蔵した燃料タンク2を備え、前記液体燃料に、酸を添加しない有機溶媒と水の混合物を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機溶媒と水を直接供給して発電を行うことができる直接液体供給形燃料電池に関するもので、さらに詳しく言えば、その構造に関するもので、携帯電話、ノートパソコン等の携帯型の電子機器に最適な小型の直接液体供給形燃料電池に関するものである。
近年、環境問題や資源問題への対策が重要になっており、その対策のひとつとして直接液体供給形燃料電池の開発が活発に行われている。特に、メタノール水溶液を液体燃料に用い、改質やガス化を行うことなく直接発電する直接メタノール形燃料電池は、構造がシンプルで小型化、軽量化が容易であり、携帯電話やコンピューター等の小型コンシューマ用電源として有望である。
直接メタノール形燃料電池では、燃料供給側に3%程度の濃度のメタノール水溶液を供給すると、電池反応によって二酸化炭素が発生し、この二酸化炭素が未反応燃料とともに燃料排出側から排出される。一方、空気供給側に酸化剤として空気を供給すると、電池反応によって水が発生し、この水が未反応の空気とともに空気排出側から排出される。
上記のような直接メタノール燃料電池を小型コンシューマー用途に適応するためには、従来、この用途に用いられてきたリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の2次電池と同等以上の特性をもち、かつ価格においてもこれらの電池と競合できる程度であることが不可欠であった。
たとえば、特性においては、エネルギー密度の向上が不可欠であり、直接メタノール形燃料電池では、セルスタック、燃料タンク、燃料ポンプ、空気ポンプをはじめ、燃料排出側から排出される二酸化炭素を分離するための気液分離装置や空気排出側から排出される水を保管するための水タンクといった多くの周辺部品を必要とし、これらを少なくしてシンプルな構造にすることが重要な課題であった。
特開昭62−229770号公報 特開昭64−17379号公報
上記特許文献1には、液体燃料電池の構造として、アノライトを循環させる液循環型とアノライトをセルに閉じ込める液静止型とがあり、前者の構造には各セル間のアノライトが非発電時においても連通していて無負荷時の高電圧によって電池部品が電解損傷を受けるという問題があり、後者の構造にはアノライトが各セル間で独立していて燃料の均一供給が困難でセル間に燃料濃度のバラツキが生じるという問題があることが開示されている。また、上記特許文献2には、燃料室3とこれにつながる燃料タンク10とを有し、燃料タンク10から燃料入口部51を通って燃料5を燃料室3に引き込み、発電によって生成した炭酸ガスとともに上部付近出口61から燃料5を燃料タンク10に移送し、移送された分に見合う量の燃料5を燃料入口部51から供給して燃料を循環させる構造が開示されている。すなわち、この構造は、アノライトを燃料として使用することを前提とした当時の液体燃料電池において、各セル間の連通を燃料入口部51および上部付近出口61付近に限定して、無負荷時の高電圧による電池部品の電解損傷を最小限にし、炭酸ガスのリフト効果による液循環の作用をさせたものである。
直接メタノール形燃料電池のような直接液体供給形燃料電池を、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の2次電池に対して遜色ないものとするためには、前述した周辺部品を少なくして、そのエネルギー密度を向上させることが課題の一つであった。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、セルスタックと、前記セルスタックが浸漬される、液体燃料を貯蔵した燃料タンクとを備え、前記セルスタックは、プロトン導電性の高分子膜からなる電解質を介して一対の空気極と燃料極とが接合された電極−膜接合体を、燃料極側に液体燃料を供給し、燃料極側で生成した反応生成物を排出するための燃料流路と、空気極側に空気を供給し、空気極側で生成した反応生成物を排出するための空気流路とを有するセパレーター板を介在させて積層し、かつ前記燃料流路は、燃料タンク内の液体燃料をセルスタック内に導入するための開口を設けたものであり、前記液体燃料に、酸を添加しない有機溶媒と水の混合物を用いることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の直接液体供給形燃料電池において、有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジメチルエーテルから選択された少なくとも一種であることを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の直接液体供給形燃料電池において、空気流路は、その一部を大気に対して開放し、セルスタック内に空気が導入されるようにしたことを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の直接液体供給形燃料電池において、空気流路に、空気ファンまたは空気ブロワを用いて空気が導入されるようにしたことを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の直接液体供給形燃料電池において、電池の副反応によって生成した酸を吸着または分解する部材を燃料タンク内に設けたことを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の直接液体供給形燃料電池において、電池の副反応によって生成した酸を吸着または分解する部材は活性炭またはゼオライトの少なくとも一方を含む部材であることを特徴とする。
また、請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の直接液体供給形燃料電池において、セルスタック中に、絶縁性を有し、少なくともその一部がセパレーター板の周縁からはみ出す部材を介在させたことを特徴とする。
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の直接液体供給形燃料電池において、前記部材は、セパレーター板と電極−膜接合体との間に設けた、面積がセパレーター板のそれより大であるパッキングであることを特徴とする。
また、請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の直接液体供給形燃料電池において、セパレーター板は、燃料流路となる凹部の壁面および底面または空気流路となる凹部の壁面および底面の、少なくとも一方の流路が樹脂によって被覆されていることを特徴とする。
請求項1記載の直接液体供給形燃料電池では、セルスタックを燃料タンク内に配置して、燃料タンクをセルスタックの収納容器を兼ねるようにして、セルスタックと燃料タンクとを一体化できるので、コンパクト化を図ることができるとともに、燃料流路の開口より液体燃料をセルスタック内に導入することができるので、燃料ポンプや燃料配管が不要にできる。また、燃料流路に導入された液体燃料は、電池反応によって生成した二酸化炭素の、重力方向に対して上方に拡散する流れによって、対流を生じるので、セルスタックへの液体燃料の導入が円滑になる。また、請求項2記載の直接液体供給形燃料電池のように、液体燃料は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジメチルエーテル等の有機溶媒と水の混合物であるから、硫酸等の酸が添加されている前記特許文献1、2のものとは異なり、セルスタックを燃料タンク内に配置しても、端子板間やセパレータ間の液絡によるエネルギー効率の低下やこれらの構成部材の電蝕、これによる構成部材中の金属の液体燃料中への溶出、およびそれに伴う電極−膜接合体の電解質との間のイオン交換による電極−膜接合体の特性低下もほとんどない(本発明に係る直接液体供給形燃料電池のうち、液体燃料にメタノール水溶液を用いたものは、長時間作動させると、副生成物として微量の蟻酸が生成するが、あらかじめ硫酸等の酸が添加されているものと比べて液絡による短絡電流や電蝕による電極−膜接合体の特性低下はきわめて小さい)。
請求項3記載の直接液体供給形燃料電池では、空気流路が大気に対して開放されているので、この開放部を通じて空気極側に空気を拡散または対流によって供給するようにすれば、空気ファンや空気ブロワを不要にできる。なお、請求項4記載の直接液体供給形燃料電池のように、空気ファンや空気ブロワを用いて空気を空気極側に導入することもでき、この場合は、電池の出力を向上させることができる。ここで、JIS(B0132)によれば、ファンは圧力比1.1未満または吐出圧力10kPa未満のものをいい、ブロワは圧力比1.1以上、2.0未満または吐出圧力10kPa以上、0.1MPa未満のものをいい、必要とする空気の圧力に応じて適宜使い分ければよい。
請求項5記載の直接液体供給形燃料電池では、液体燃料にメタノールを用いて電池を長時間運転した場合、副反応によって生成した微量の蟻酸が液体燃料を酸性化し、液体燃料のイオン伝導性が高くなるのを防止でき、請求項6記載の直接液体供給形燃料電池のように、活性炭またはゼオライトの少なくとも一方であれば、それによって、生成した蟻酸を吸着または分解することができる。
請求項7記載の直接液体供給形燃料電池では、セルスタック中に、絶縁性を有し、少なくともその一部がセパレーター板の周縁からはみ出す部材を介在させているから、液体燃料にメタノール水溶液を用いたものを長時間作動させて、微量の蟻酸が生成しても、液絡のパスが長くなってそれによる短絡電流や電蝕による電極−膜接合体の特性低下を、より低減でき、電池の長寿命化に寄与することができる。なお、請求項8記載の直接液体供給形燃料電池のように、前記部材としては、セパレーター板と電極−膜接合体との間に設けた、面積がセパレーター板のそれより大であるパッキングとするのが好ましい。ここで、パッキングとしては、EPDMゴム、シリコンゴム、ブチルゴム等のゴム材やPTFE、PP等の樹脂材が好ましい。また、請求項9記載の直接液体供給形燃料電池のように、セパレーター板の、燃料流路となる凹部の壁面および底面または空気流路となる凹部の壁面および底面の、少なくとも一方の流路を樹脂によって被覆しておくと、上記した液絡による短絡電流や電蝕による電極−膜接合体の特性低下を、さらに低減でき、電池の長寿命化に一層寄与することができる。ここで、凹部の壁面は流路の深さに相当する面を言い、底面は流路の幅に相当する面を言う。また、樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が好ましい。
以下、本発明を、その実施の形態に基づいて説明する。
図1は本発明の直接液体供給形燃料電池の一部切り欠き斜視図で、セルスタック1と、このセルスタック1が浸漬される、液体燃料を貯蔵した燃料タンク2とを備えている。前記セルスタック1は、プロトン導電性の高分子膜からなる電解質11を介して一対の空気極12(図示されていないが、燃料極13が接合された電解質11の反対側の面に接合されている)と燃料極13とが接合された電極−膜接合体(以下、MEAという)10を、燃料極13側に液体燃料を供給し、燃料極13側で生成した反応生成物を排出するための燃料流路23と、空気極12側に空気を供給し、空気極12側で生成した反応生成物を排出するための空気流路22を有した2枚のセパレーター板20で挟持したものである。なお、前記セパレーター板20は、図1に示した如く、直線状の燃料流路23と蛇行状の空気流路22とが表裏に設けられており、このセパレーター板20を前記MEA10の間に介在させて積層され、両端にエンドプレート14が設けられて、セルスタック1としているが、そのエンドプレート14に接する両端には、燃料流路のみが設けられたセパレーター板20aと空気流路のみが設けられたセパレーター板20bとを配している。この場合、前記セパレーター板20は、セパレーター板20aとセパレーター板20bとを、各々の流路が裏表になるように貼り合わせるようにしてもよく、このようにすれば、セパレーター板は2種類にできる。
前記燃料流路23は、上下方向の直線状に形成されており、液体燃料をセルスタック1のMEA10に導入するための開口23aが上下(下方の開口は図示されていない)に設けられている。また、前記空気流路22は、蛇行状に形成されており、空気をセルスタック1のMEA10に導入するためのマニホールド22aが対角線方向に設けられている。これにより、液体燃料は下方の開口23aからMEA10の燃料極13側に導入され、電池反応によって生成した二酸化炭素等の反応生成物は上方の開口23aから燃料タンク2内の液体燃料中に排出されるようにでき、空気は前記マニホールド22aと連通して設けられた供給口15からMEA10の空気極12側に導入され、電池反応によって生成した水等の反応生成物と排空気は前記マニホールド22aと連通して設けられた排出口16から排出されるようにできる。なお、空気を導入する供給口15には、空気中の不純物が混入しないようにフィルターを設けておくのが好ましい。
上記した本発明の直接液体供給形燃料電池では、図2(図1のA−A'断面図)に示した如く、電池反応によって生成した二酸化炭素が、重力方向に対して上方に拡散する流れによって対流を生じるので、ポンプ等を用いなくても、セルスタック1への液体燃料の導入が円滑にできる。なお、図2に示した如く、燃料タンク2内に、副反応によって生成した微量の蟻酸を吸着または分解する部材、好ましくは、活性炭またはゼオライトの少なくとも一方を設けておくのがよいが、設ける場所については、図示した燃料タンク2の内底面に限るものではない。また、燃料タンク2に、液体燃料を補充するための液体燃料供給口を設けておけば、液体燃料の濃度が低下した場合等に、その濃度を容易に適正値に回復させることができる。また、蟻酸を吸着または分解する部材に代えて、電池特性に影響しないアルカリによって蟻酸を中和するようにしてもよい。
次に、上記した本発明の直接液体供給形燃料電池に対し、図3のような構成の比較電池との相違について説明する。
図3の比較電池は、セルスタック1と、このセルスタック1に隣接して設置される、液体燃料を貯蔵した燃料タンク2とを備えている。前記セルスタック1は、プロトン導電性の高分子膜からなる電解質11を介して一対の空気極12と燃料極13(図示されていないが、空気極12が接合された電解質11の反対側の面に接合されている)とが接合されたMEA10を、燃料極13側に液体燃料を供給する供給口21および燃料極13側で生成した反応生成物を排出するための排出口24が設けられた燃料室25と、空気極12側に空気を供給し、空気極12側で生成した反応生成物を排出するための空気流路26を有した2枚のセパレーター板30で挟持したものである。前記セパレーター板30の燃料室25には、図3に示した如く、上下方向の直線状に形成された燃料流路27を有しており、燃料タンク2から供給口21を介して供給される液体燃料がセルスタック1のMEA10に均一に導入されるようにしている。また、空気流路26は、図3に示した如く、上下方向の直線状に形成されており、空気を自然拡散によってセルスタック1のMEA10に導入するための開口26aが上下(下方の開口は図示されていない)に設けられている。なお、前記燃料室25と空気流路26とはセパレーター板30の表裏に設けられている。また、前記空気流路26には、生成した水の漏出を防止するため、開口26aにテフロン(登録商標)などの撥水性の多孔体や吸水体を設けてもよく、水を回収するためのカセットを下方の開口側に別途設けておいて、それに回収したり、燃料タンク2に戻すようにもできる。そして、前記セパレーター板30を前記MEA10の間に介在させて積層し、両端にエンドプレート14を設けて、セルスタック1としている。
上記した比較電池では、液体燃料中に硫酸等の酸を添加するという点、すなわちアノライトを燃料とする点で本発明の直接液体供給形燃料電池と相違する。酸を添加することは、電解液を通じた液絡の可能性が高まるため、図4(図3のB−B'断面図)に示した如く、燃料タンク2中の液体燃料とセルスタック1とが供給口21および排出口24のみで接触する(前記特許文献2では燃料入口部51と上部付近出口61のみで接触する)ようにして、液絡による電流(図4において、紙面を貫く方向に流れ、そのパスは供給口21および排出口24付近に限られる)が流れにくくし、生成した二酸化炭素は燃料タンク2の上部に設けた排気口2aから外部に排気されるようにしている。このため、生成した二酸化炭素による液体燃料の対流は生じるものの、排出口24から燃料タンク2に入ると対流が弱まり、本発明の直接液体供給形燃料電池と比較すると、十分な液体燃料が供給口21からセルスタック1に供給されない。
なお、本発明の直接液体供給形燃料電池では、図3の比較電池と比べれば、液絡による電流(図2において、紙面を貫く方向に流れ、そのパスはセパレーター板の側面、すなわち、図1の開口23aが設けられていない面の全体)が流れやすい構造であるが、硫酸等の酸を添加しない液体燃料を用いることで、その電流は小さくなる。ところが、電池を長期間作動させると、微量の蟻酸が生成して液体燃料が酸性になって液絡による電流が流れやすくなることが考えられる。そのため、たとえば、図5に示した如く、セパレーター板と電極−膜接合体との間に、周縁がセパレーター板からはみ出すようなパッキング17を介在させて、液体燃料が酸性になっても、液絡による電流を抑制できる構造にすることもできる。
上記した図1、図3の電池において、MEA10は以下のように作製した。すなわち、プロトン導電性の高分子電解質膜のうち、パーフルオロスルホン酸系電解質膜として一般的な、デュポン社のナフィオン膜(商品名:ナフィオン117)を電解質11として用いた。また、PTFE溶液を含浸させて撥水処理を行ったカーボンペーパーからなるガス拡散層に、白金微粒子をアセチレンブラックからなる炭素粉末上に担持させた空気極触媒、PTFE樹脂およびナフィオン溶液(イソプロパノール溶媒)を混合して得た触媒ペーストを塗布して乾燥したものを空気極12として用いた。また、同じガス拡散層に、白金−ルテニウム微粒子をアセチレンブラックからなる炭素粉末上に担持させた燃料極触媒、PTFE樹脂およびナフィオン溶液(イソプロパノール溶媒)を混合して得た触媒ペーストを塗布して乾燥したものを燃料極13として用いた。前記空気極触媒には白金微粒子の含有量が40重量%のものを用いたが、10〜70重量%の範囲で適宜選択できる。また、前記燃料極触媒には白金−ルテニウム微粒子の含有量が40重量%、白金:ルテニウムの重量比が2:1のものを用いたが、白金−ルテニウム微粒子の含有量は10〜70重量%の範囲で適宜選択でき、白金:ルテニウムの重量比は5:1〜1:2の範囲で適宜選択できる。なお、前記空気極触媒および燃料極触媒を分散させる溶液中の、各触媒、パーフルオロスルホン酸樹脂およびPTFE樹脂の組成については任意に定めることができる。このようにして作製した空気極12と燃料極13をホットプレスによって電解質11の両面に接合してMEA10を作製した。
次に、液体燃料に硫酸等の酸を添加することを前提とした電池と、長期間作動させることで微量の蟻酸が生成することを前提とした電池とについて、液絡による電流値を比較するために以下の試験を行った。すなわち、縦長さが17mm、横長さが50mm、厚さが2mmの、フェノール樹脂を含浸させた等方性カーボンからなる、流路を形成していないセパレーター板を2枚準備し、温度が25℃で、濃度が3%で、蟻酸を添加してpHを2にしたメタノール水溶液中に、距離を1cm、2cm、3cm、5cm、7cm、8cm、10cmのように変化させて、各セパレーター板を対向させて配置し、各セパレーター板間に3Vと6Vの直流電圧を印加した場合の液絡による電流を測定し、結果を表1に示す。ここで、pHを2にしたのは、図1に示した直接液体供給形燃料電池を、約1000時間、メタノール水溶液を循環させて運転し、その後のメタノール水溶液のpHを測定した結果、生成した蟻酸によって、それが約3になることを確認したことによる。
Figure 2005135811
また、同じセパレーター板を2枚準備し、温度が25℃で、メタノール濃度が3%のメタノール水溶液に、硫酸を添加して濃度を1Mとした硫酸メタノール水溶液中に、距離を1cm、2cm、3cm、5cm、7cm、8cm、10cmのように変化させて、各セパレーター板を対向させて配置し、各セパレーター板間に3Vと6Vの直流電圧を印加した場合の液絡による電流を測定し、結果を表2に示す。ここで、硫酸濃度として1Mにしたのは、特許文献1、2等が刊行された当時の燃料電池では、硫酸を液体燃料に添加し、その濃度が1M程度であったことによる。
Figure 2005135811
表1、表2の結果に基づいて、液絡による電流を、蟻酸を添加してpHを2にしたメタノール水溶液中のものと、硫酸濃度を1Mにしたメタノール水溶液中のものとで比較し、結果を表3に示す。
Figure 2005135811
表3から、電極間距離を1cmにしても、6V印加時で、その割合は2%以下であり、3V印加時であっても、その割合は5%以下であることがわかる。このことから、本発明の直接液体供給形燃料電池では、液絡による電流が流れやすい構造であるにもかかわらず、液体燃料中に酸を添加していないことで、その電流を大きく抑制でき、長期間作動させることで生成する蟻酸によるpHより低いpH下であっても、硫酸を添加したメタノール燃料電池における液絡による電流よりはるかに小さいことがわかる。
次に、蟻酸を添加しない(pH=7)場合について、同様の試験を行い、結果を表4に示す。
Figure 2005135811
表4から、蟻酸を添加しない場合は、液絡による電流が実質的に無視できる程度であることがわかる。このことから、酸を添加しない有機溶媒を用いた本発明による直接液体供給形燃料電池は、燃料タンク内にセルスタックを浸漬しても、液絡による電流は流れず、端子板間やセパレータ間の液絡によるエネルギー効率の低下やこれらの構成部材の電蝕、これによる構成部材中の金属の液体燃料中への溶出、およびそれに伴う電極−膜接合体の電解質との間のイオン交換による電極−膜接合体の特性低下が生じないことがわかる。
上記した如く、本発明による直接液体供給形燃料電池は、多様な周辺部品の多くを必要とせずに電池を構成することが可能となり、コンパクトな電池構成に寄与することができ、コストの低減にも大きく寄与し、携帯用電子機器用電源として最適な燃料電池を得ることが可能となる。従って、産業上の利用可能性が大である。
本発明の直接液体供給形燃料電池の一部切り欠き斜視図である。 同上の液体燃料の流れを示した図(図1のA−A'断面図)である。 比較例の直接液体供給形燃料電池の一部切り欠き斜視図である。 同上の液体燃料の流れを示した図(図3のB−B'断面図)である。 本発明の他の直接液体供給形燃料電池の一部切り欠き斜視図である。
符号の説明
1 セルスタック
2 燃料タンク
10 電極−膜接合体(MEA)
20、20a、20b セパレータ板
23、27 燃料流路
22、26 空気流路

Claims (9)

  1. セルスタックと、前記セルスタックが浸漬される、液体燃料を貯蔵した燃料タンクとを備え、
    前記セルスタックは、プロトン導電性の高分子膜からなる電解質を介して一対の空気極と燃料極とが接合された電極−膜接合体を、燃料極側に液体燃料を供給し、燃料極側で生成した反応生成物を排出するための燃料流路と、空気極側に空気を供給し、空気極側で生成した反応生成物を排出するための空気流路とを有するセパレーター板を介在させて積層し、かつ前記燃料流路は、燃料タンク内の液体燃料をセルスタック内に導入するための開口を設けたものであり、
    前記液体燃料に、酸を添加しない有機溶媒と水の混合物を用いることを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
  2. 請求項1記載の直接液体供給形燃料電池において、有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジメチルエーテルから選択された少なくとも一種であることを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
  3. 請求項1記載の直接液体供給形燃料電池において、空気流路は、その一部を大気に対して開放し、セルスタック内に空気が導入されるようにしたことを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
  4. 請求項1記載の直接液体供給形燃料電池において、空気流路に、空気ファンまたは空気ブロワを用いて空気が導入されるようにしたことを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
  5. 請求項1記載の直接液体供給形燃料電池において、電池の副反応によって生成した酸を吸着または分解する部材を燃料タンク内に設けたことを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
  6. 請求項5記載の直接液体供給形燃料電池において、電池の副反応によって生成した酸を吸着または分解する部材は活性炭またはゼオライトの少なくとも一方を含む部材であることを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の直接液体供給形燃料電池において、セルスタック中に、絶縁性を有し、少なくともその一部がセパレーター板の周縁からはみ出す部材を介在させたことを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
  8. 請求項7記載の直接液体供給形燃料電池において、前記部材は、セパレーター板と電極−膜接合体との間に設けた、面積がセパレーター板のそれより大であるパッキングであることを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の直接液体供給形燃料電池において、セパレーター板は、燃料流路となる凹部の壁面および底面、または空気流路となる凹部の壁面および底面の、少なくとも一方の流路が樹脂によって被覆されていることを特徴とする直接液体供給形燃料電池。
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