しかしながら、ポンプの駆動源として電気を用いた場合、電気配線などの防水対策が不充分であると漏電する恐れがあり安全性に問題があった。また、防水対策を充分に行うことで、ポンプが高価なものとなっていた。さらに、電気が供給されていない場所や、電線などが通っていても電線から電気を取り出す手段(例えばコンセントなど)が設置されていない場所ではポンプを使用することができなかった。そこで、電池などを駆動源とすることも考えられるが、電池を用意したり交換したりしなければならず手間の係るものとなっていた。
ところで、ポンプの駆動源としては、電気の他に、圧力空気や圧力蒸気などを用いることも考えられるが、これら圧力空気や圧力蒸気などは、電気のように一般にはインフラ整備されておらず、圧力空気や圧力蒸気などを発生させるための設備が必要となり、却ってコストのかかるものとなる上、一般家庭でこれらの駆動源を用いたポンプを使用するには不向きである。
また、電気と共にインフラ整備の発達している水道の水圧をポンプの駆動源とすることが考えられる。この水道の場合、一般家庭や工場などの他に、公園など至る所に水道の蛇口が設けられており、電気(商用電源)に比べて使用範囲が広く、また、漏電の危険もないのでポンプの駆動源としては理想的である。しかしながら、水道の水圧や加圧された液体を動力源としたポンプは、未だ開発されていないのが実情であった。
そこで、本発明は上記の実状に鑑み、商用電源などの電気を使用せずに、水道水などの加圧液体により作動し、安全かつ汎用性の高い加圧液体駆動式ポンプを提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る加圧液体駆動式ポンプは、「加圧液体の流通する流路に接続される導入路上に備えられた加圧液体供給手段と、該加圧液体供給手段から供給される加圧液体により駆動される駆動ピストンと、該駆動ピストンの駆動により作動するピストン式ポンプと、前記駆動ピストンに供給された液体を用いて前記加圧液体供給手段の作動を制御する制御手段とを備える」構成とするものである。
ここで、「加圧液体」としては、社会インフラ、工場内或いは施設内インフラにおいて、整備された加圧液体を用いることができ、特に限定するものではないが、上水道、中水道、下水道などを例示することができる。また、「加圧液体供給手段」としては、開閉弁、切替弁などを例示することができる。さらに、「ピストン式ポンプ」としては、ピストンにより隔てられた作用室の一方でのみ吸込み吐出しを行うものや、両方の作用室で吸込み吐出しを行うものなどを例示することができる。
ところで、駆動ピストンに加圧液体を供給する加圧液体供給手段の制御を、駆動ピストン或いはピストン式ポンプのピストンの動きにより制御することが考えられるが、本願発明者が鋭意研究したところ、これらピストンの動きにより加圧液体供給手段を制御すると、ピストンの動き(ストローク)が徐々に小さくなり、最終的にポンプが停止してしまうことを知見した。これは、駆動ピストンが上死点あるいは下死点に達するタイミングと、加圧液体供給手段により駆動ピストンに加圧液体を供給するタイミングとにずれがあり、駆動ピストンが上死点あるいは下死点に達する前に加圧液体が供給されてしまい、これにより、やがてポンプが停止してしまうからである。
本発明によると、加圧液体によりピストン式ポンプを作動させることができるので、電気を用いておらず漏電の危険性がなく安全に使用することができる。また、加圧液体として水道を用いた場合、水道はほとんどの場所で整備されており、一般家庭や工場、公園などに設置された蛇口に導入路を接続するだけでどこでも使用することができる。そこで、本発明の加圧液体駆動式ポンプを例えば、一般家庭においては、浴槽の残り湯を屋外のタンクに貯水したり、浴槽または屋外のタンクの水を、洗濯、洗車、或いは、庭などへの散水、などをするために使用することもでき、また、家庭外においては、公園などの噴水、池や川などの循環用のポンプとして使用することもできる。
また、駆動ピストンに供給された液体を用いて加圧液体供給手段を制御するようにしているので、駆動ピストンの動きとは無関係に加圧液体の供給を制御することができ、ピストン式ポンプを継続的に作動させることができる。また、加圧液体の流量や圧力の変化にも対応することができる。
本発明に係る加圧液体駆動式ポンプは、「前記加圧液体供給手段は、開閉弁または切替弁からなる」構成とすることもできる。ここで「開閉弁」や「切替弁」としては、具体的な構成を何ら限定するものではないが、仕切弁、玉形弁、バタフライ弁、ダイヤフラム弁、スプール弁などを例示することができ、パイロット弁を備えたものでも良い。
本発明によると、加圧液体供給手段を開閉弁や切替弁で構成しているので、簡単な構成とすることができる。また、既存の開閉弁や切替弁を用いることもできるので、コストを抑えることができる。なお、開閉弁や切替弁を複数用いても良く、また、それらを組み合わせて加圧液体供給手段を構成しても良い。さらに、開閉弁や切替弁をその開閉動作の際にゆっくり動作するものを用いることで、急激な弁の開閉により発生するウォーターハンマー現象を防止することができる。
本発明に係る加圧液体駆動式ポンプは、「前記制御手段は、前記駆動ピストンに供給された液体を貯留する貯留槽と、該貯留槽を回動可能に支持する回動軸と、該回動軸の回動運動を直線運動に変換する運動変換手段と、該運動変換手段により変換された直線運動を伝達して前記加圧液体供給手段を作動させる作動伝達手段とを備える」構成とすることもできる。ここで「運動変換手段」としては、具体的な構成を何ら限定するものではないが、クランク、カム、ラックとピニオンギヤ、などを用いたもので構成することができる。
本発明によると、駆動ピストンに供給された液体を貯留槽にて貯留し、所定量貯留されると、回動軸により回動支持された貯留槽が回動し、その回動運動が運動変換手段により直線運動に変換され、作動伝達手段を介して加圧液体供給手段をオン或いはオフ、或いは切り替え作動させ、駆動ピストンに加圧液体を供給したり、供給を停止したりすることができる。また、貯留槽が回動することで、貯留された液体が放出され貯留槽が空の状態となり、貯留槽に再び液体を貯留することができるようになる。そして、この動作を繰り返すことで、駆動ピストンに供給された液体により加圧液体供給手段の作動を制御することができる。なお、貯留槽の大きさなどを調整することで、加圧液体供給手段を作動させるタイミングを調整することができる。また、貯留槽を複数備えるようにしても良い。
本発明に係る加圧液体駆動式ポンプは、「前記駆動ピストンに加圧液体が供給されていない時に、該駆動ピストンを供給される加圧液体の上流側に移動させる付勢手段をさらに備える」構成とすることもできる。ここで「付勢手段」としては、バネ、ゴムなどの弾性体を例示することができ、これらを組み合わせたものを用いても良い。
本発明によると、付勢手段により駆動ピストンを初期の位置に戻すことができるので、加圧液体の供給、非供給により駆動ピストンを往復運動させることができる。
上記のように本発明によると、商用電源などの電気を使用せずに、水道水などの加圧液体により作動し、安全かつ汎用性の高い加圧液体駆動式ポンプを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図1から図4を基に詳細に説明する。図1は、本発明の加圧液体駆動式ポンプの概略構成を示すと共に、その動作を示す説明図である。図2は、加圧液体駆動式ポンプにおける制御手段の動作を示す説明図である。図3は、加圧液体駆動式ポンプにおける駆動ピストンの構成を拡大して示す拡大図である。図4は、本発明の加圧液体駆動式ポンプと共に用いるのに好適な貯水タンクを示す概略構成図である。
本実施の形態の加圧液体駆動式ポンプ1は、加圧液体として所定の圧力で供給される水道水を用いており、図示しない水道の蛇口に接続された導入路2上に備えられた加圧液体供給手段3と、その下流側に備えられ加圧液体供給手段3から供給される水道水により駆動される駆動ピストン4と、駆動ピストン4から延びだしたピストンロッド5により連結された作動ピストン6を有するピストン式ポンプ7と、駆動ピストン4の下流側に配置され駆動ピストン4に供給された水道水を用いて加圧液体供給手段3の作動を制御する制御手段8とが備えられている。
図1に示すように、導入路2は、二手に分岐され、夫々の導入路2上には、加圧液体供給手段3としての開閉弁3A,3Bが夫々設けられている。これら開閉弁3A,3Bは、トイレの洗浄水タンクなどに使用されているボールタップに使用されている開閉弁を用いている。この開閉弁3A,3Bには、棒状のロッド9の一端が回転自在に軸支されており、このロッド9に開閉弁3A,3Bの弁体10の一端が当接しており、ロッド9を所定角度回転させることで、弁体10が動き、開閉弁3A,3B内の流路を開閉することができる。
駆動ピストン4は、図3に拡大して示すように、シリンダとしての管体11内を摺動可能に収容されると共に、駆動ピストン4の外径d1は、管体11の内径d2よりも小径とされており、駆動ピストン4の外面と管体11の内面との間には所定の隙間が形成されている。なお、本例では、駆動ピストン4の外径d1が15mm、管体11の内径d2が16mmとされている。また、この駆動ピストン4には、ピストンロッド5の一端が固定されており、ピストンロッド5の他端は、ピストン式ポンプ7の作動ピストン6に固定されている。なお、作動ピストン6の外径は60mmとされていると共に、ストロークは150〜250mmとされている。
図1に示すように、ピストン式ポンプ7を挟んで開閉弁3Aと開閉弁3Bとが略対称位置に配置されており、それら開閉弁3A,3Bに続く駆動ピストン4も夫々略対称に配置されていると共に、駆動ピストン4とピストン式ポンプ7の作動ピストン6とが略同軸状になるように配置されている。なお便宜上、開閉弁3A側の駆動ピストン4を符号4Aとすると共に、開閉弁3B側の駆動ピストン4を符号4Bとする。そして、駆動ピストン4A,4Bおよび作動ピストン6がピストンロッド5により連結されている。
このピストン式ポンプ7は、その内側に作動ピストン6が摺動するシリンダ12を備えており、シリンダ12は、作動ピストン6により2つの作用室35A,35Bに分けられている。そして、夫々の作用室35A,35Bには、吸込通路13と吐出通路14とが夫々連通されており、吸込通路13には、作用室35A,35Bからの流入を阻止する逆止弁15が、吐出通路14には、作用室35A,35Bへの流入を阻止する逆止弁16が設けられている。なお、管体11の内径は13〜16mm、ピストン式ポンプ7のシリンダ12の内径は60〜70mmとするのが望ましい。
吸込通路13は、ピストン式ポンプ7と連通する側と反対側が、ホースなどを介して例えば、浴槽17内の残り湯18内に連通している。また、吐出通路14は、ピストン式ポンプ7と連通する側と反対側が、例えば、後述する貯水タンクに連通させられており、ピストン式ポンプ7の作動ピストン6を駆動することで、例えば、吸込通路13に連通した浴槽17の残り湯18が吸い込まれ、吐出通路14を介して貯水タンクなどに吐出されるようになっている。
駆動ピストン4を収容している管体11の下流側(駆動ピストン4を挟んで加圧液体供給手段3とは反対側)には、制御手段8へと連通する導通路19が接続されており、駆動ピストン4の外面と管体11の内面との隙間を通った水道水が導通路19を介して制御手段8に導かれるようになっている。
制御手段8は、導通路19から導かれた水道水を貯留する貯留槽20と、貯留槽20を回動可能に支持する回動軸21と、回動軸21の回動運動を直線運動に変換する運動変換手段22と、運動変換手段22により変換された直線運動を伝達して加圧液体供給手段3を作動させる作動伝達手段23とを備えている。
制御手段8の貯留槽20は、図2(A)に示すように、導水路19からの水道水を貯留可能な状態では、上方が開口した形態とされており、導水路19の開口部24から吐出される水道水が開口を介して貯留槽20に貯留されるようになっている。この貯留槽20は、回動軸21を有した回転体25に備えられていると共に、回動軸21に対して偏芯した位置に備えられている。この回転体25には、図示しない重りが取り付けられており、貯留槽20が空の状態では、図2(A)の如く貯留槽20の開口が上方を向く位置に静止するようになっている。そして、貯留槽20に所定量の水道水が貯留されると、その重さで回動し図2(B)の状態となり、貯留槽20内の水道水が排出されるようになっている。
回動軸21には、回動軸21と共に回動するシャフト26の一端が固定されると共に、シャフト26は、回動軸21に対して軸直角方向外側に延びだしており、その他端が図中上下方向に延びる伝達棒27に連結されている。これにより、回動軸21が回動すると伝達棒27が上下方向に往復する直線運動する。本例では、シャフト26および伝達棒27により本発明の運動変換手段22が構成されている。
伝達棒27は、図1に示すように、その上端および下端に、夫々開閉弁3Aおよび開閉弁3Bから延びだしたロッド9の他端が連結されている。これにより、回動軸21の回動により上下方向に伝達棒27が直線運動をすると、ロッド9を介して開閉弁3A,3Bが開閉するようになっている。本例では、ロッド9および伝達棒27により作動伝達手段23が構成されている。
なお、図1中符号28は、貯留槽20から排出された水道水を受ける受皿であり、受皿28に受けられた水は、排水路29を介して加圧液体駆動式ポンプ1の外部に排出される。本例では、受皿28に受けられた水は、排水路29を介して浴槽17に排出される。
ところで、図4に示すように、吐出通路14は、屋外に設置された貯水タンク30へと導かれており、加圧液体駆動式ポンプ1で汲み上げられた水は、貯水タンク30に貯水されるようになっている。この貯水タンク30は、円筒状の細長いパイプ31を縦にして、横に並べたもので、パイプ31の下面は水密に閉鎖されていると共に、パイプ31の下端部側面において夫々のパイプ31が連通管32により連通されている。
また、貯水タンク30のパイプ31の下端部側面には、バルブ33を備えた取出管34が取り付けられており、バルブ33を開くことで、貯水タンク30に貯水された水を外部に取り出して使用することができるようになっている。この貯水タンク30は、外径が約150mmの例えば、塩ビパイプを用いており、その高さを高くすることで、貯水量を増やすことができると共に、横幅を小さくすることができるので、狭いところでも設置することができる上、設置面積も少なくてすみ、建物の軒下などに設置するのに好適である。なお、この貯水タンク30は、雨水のタンクとしても使用しても良い。
次に、本実施の形態の加圧液体駆動式ポンプ1の動作について説明する。まず、加圧液体駆動式ポンプ1から延出している導水路2を水道の蛇口などに接続する。また、吐出通路14を貯水タンク30と接続する。一方、吸込通路13と排水路29は、加圧液体駆動式ポンプ1で汲み上げたい水と連通させる。ここでは、浴槽17で説明し、吸込通路13の先端が浴槽17の底近辺に位置するようにする。
続いて、水道の蛇口を操作して、導水路2に加圧された水道水を供給する。図(A)の状態では、開閉弁3Aが開状態であり、開閉弁3Bが閉状態であるので、導水路2に供給された水道水は、開閉弁3Aを通って、駆動ピストン4Aに供給される。すると、駆動ピストン4Aは、水道水の水圧により図中下方向に押される。一方、ピストンロッド5を介して連結されたピストン式ポンプ7の作動ピストン6と駆動ピストン4Bも下方に押される。このとき、駆動ピストン4Bは、管体11の内面と隙間が形成されているので、駆動ピストン4Bと開閉弁3Bとの間に水道水が満たされていても、その隙間から下流側に排出することができるので、駆動ピストン4Bは大きな抵抗が懸ることはない。そのため、駆動ピストン4Aに水道水圧が作用すると、駆動ピストン4A,4Bおよび作動ピストン6は、下方へ移動する。
作動ピストン6が下方へ移動するのに伴って、作用室35Aの容積が大きくなると共に、作用室35Bの容積は小さくなる。そのため、作用室35A内の圧力が下がり、作用室35Aに接続された吸込通路13の逆止弁15が開くと共に、吐出通路14の逆止弁16は閉じ、吸込通路13を介して浴槽17の残り湯18が作用室35A内に吸い込まれる。
一方、作用室35B内では、その容積が減少するので圧力が上がり、作用室35Bに接続された吸込通路13の逆止弁は閉じると共に、吐出通路14の逆止弁16は開き、作用室35B内の水或いは空気が吐出通路14を介して貯水タンク30へと導かれる。
ところで、駆動ピストン4Aにおいても、管体11の内面との間に隙間があるので、開閉弁3Aを介して供給される水道水は、駆動ピストン4Aを押圧しつつ、その隙間から下流側に流出している。そして、隙間から流出した水道水は、導通路19を介して制御手段8の貯留槽20へと送られ、貯留槽20に貯留される。
この貯留槽20は、駆動ピストン4Aが管体11の下端部に達する頃に、所定量となるように容積が設定されており、貯留槽20に貯留された水道水が所定量となると、貯留槽20を備えた回転体25が、およそ90゜回動する。すると、回転体25と共に回動する回動軸21に固定されたシャフト26も回動し、シャフト26の回動により伝達棒27が下向きに移動する。そして、伝達棒27の下向きへの移動により、その両端に接続されたロッド9,9を介して、開閉弁3Aは閉じる方向に、開閉弁3Bは開く方向に、夫々作動させられる(図1(B)参照)。
そして、開閉弁3Aが閉じられることで、駆動ピストン4Aへの水道水の供給が停止し、駆動ピストン4Aの下方への移動が停止すると共に、開閉弁3Bが開き、駆動ピストン4Bに水道水が供給され、その水道水圧により駆動ピストン4Bが上向に押され、駆動ピストン4B、4Aおよび作動ピストン6が上向に移動を開始する。これにより、今度は、ピストン式ポンプ7の作用室35A内の水が吐出通路14へと吐出されると共に、浴槽17の水(残り湯18)が吸込通路13を介して作用室35Bに吸い込まれる。
一方、制御手段8では、貯水槽20内の水が回転体25の回動により外部に排出されるが、一瞬で排出される訳ではないので、回転体25は、しばらく図1(B)の状態で保持される。また、本例では、同図(B)の状態で、駆動ピストン4Bと管体11の内面との隙間を通って排出される水だけでなく、駆動ピストン4Aと管体11の内面との隙間を通って排出される水も合わせて、導通路19を介してその開口部24から回転体25へと吐出されるので、それら導通路19からの水が貯留槽20の側面に当接し、それが抵抗となってさらに、回転体25が同図(A)の元の状態に戻るタイミングを遅らせている。
なお、回転体25が図1(A)の状態から同図(B)の状態へ、または、その逆の動作をする際に、回動体25が徐々に回動するのではなく、同図(A)または(B)の状態を所定時間維持するような動作が望ましく、図示は省略するが、作動伝達手段23にバネやゴムなどの弾性体の弾性力を作用させるようにしても良いし、また、弾性体などを用いてピストンロッド5と作動伝達手段23とを連結して、作動伝達手段23の作動を補助するようにしても良い。
そして、回転体25が元の状態に戻る間に、開閉弁3Bを介して供給される水道水圧によって駆動ピストン4Bは、さらに上昇し、駆動ピストン4Bが同図(A)の状態になる頃に回転体25が元の状態に復帰し、回動軸21の回動に伴って伝達棒27が上向に移動して、開閉弁3Bが閉じられると共に、開閉弁3Aが開き、再び駆動ピストン4Aに水道水が供給されて、上記の動作を繰り返し、ピストン式ポンプ7から略連続的に水(残り湯18)が吐出される。
最後に、加圧液体駆動式ポンプ1を停止させたい時は、導入路2が接続された水道の蛇口を操作して、水道水の供給を停止することで、加圧液体駆動式ポンプ1を停止させることができる。
このように本実施の形態によると、水道水によりピストン式ポンプ7を作動させることができるので、電気を用いておらず漏電の危険性がなく安全に使用することができる。また、水道はほとんどの場所で整備されており、一般家庭や工場、公園などに設置された蛇口に導入路2を接続するだけでどこでも使用することができる。そこで、本例の加圧液体駆動式ポンプ1を例えば、一般家庭においては、浴槽17の残り湯18を屋外の貯水タンク30に貯水したりして、その水を、洗濯、洗車、或いは、庭などへの散水、などをするために使用することもでき、また、家庭外においては、公園などの噴水、池や川などの循環用のポンプとして使用することもできる。
また、駆動ピストン4に供給された水道水を用いて加圧液体供給手段3を制御するようにしているので、駆動ピストン4の動きとは無関係に水道水の供給を制御することができ、ピストン式ポンプ1を継続的に作動させることができる。また、水道水の流量や圧力の変化にも対応することができる。
さらに、加圧液体供給手段3を開閉弁3A,3Bで構成しているので、簡単な構成とすることができる。また、既存の開閉弁を用いることもできるので、コストを抑えることができる。
以上、本発明を実施するための最良の実施の形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施の形態では、加圧液体供給手段3として、開閉弁3A,3Bを用いており、また、駆動ピストン4A,4Bをピストン式ポンプ7を挟んで対称に配置したものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図5に示すような形態とすることもできる。なお、図1の実施の形態と同一の構成については同一の符号が付してある。図5の実施の形態は、加圧液体供給手段3として導入路2の流路を切替えることのできる切替弁36を用いている。この切替弁36は、弁体を回転させることで流路を切替えることができるものである。
また、駆動ピストン4A,4Bを所定間隔隔ててピストンロッド5で連結すると共に、一方の駆動ピストン4(本例では駆動ピストン4B)とピトン式ポンプ7の作動ピストン6とをピストンロッド5で連結し、さらに、駆動ピストン4A,4B間の所定位置において管体11に導通路19を接続したものである。
この実施の形態によると、加圧液体供給手段3として切替弁36を用いているので、一つの弁で構成することができ、構成を簡略化することができると共に、コストを抑制することができる。また、駆動ピストン4A,4Bを一箇所にまとめているので、加圧液体駆動式ポンプをコンパクトにすることができる。
また、本実施の形態では、制御手段8の貯留槽20から排出された水道水を排水路29を介して浴槽17に導くものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、排水路19を逆止弁などを介して吐出通路14に接続しても良いし、排水路19を例えば、洗濯機などに接続し、洗濯機に水を溜めながら浴槽17の水を抜くようにしても良い。これにより、水道水とその水圧をより有効に使用することができる。
さらに、本実施の形態では、ピストン式ポンプ7を往復運動させるのに2つの駆動ピストン4A,4Bを用いたものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、図6に示すように、一つの駆動ピストン4で駆動するようにしても良い。図6の実施の形態は、図示するように駆動ピストン4を一つとし、管体11にステー37を固定すると共に、ピストンロッド5にステー38を固定し、両ステー37,38間にバネ又はゴムからなる付勢手段39を取り付けたもので、駆動ピストン4に加圧液体が供給されている時は、その圧力により付勢手段39の付勢力に抗して作動ピストン6が押し下げられ、加圧液体が供給されていない時は、付勢手段39により元の位置に復帰するようになっている。この実施の形態によっても、上記の例と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施の形態では、駆動ピストン4やピストン式ポンプ7を上下方向に配置したものを示したが、これらの配置に限定するものではなく、例えば、横方向に配置するようにしてもよく、加圧液体駆動式ポンプの使用形態に応じてそれらの配置を適宜設定することができ、小型化することで容易に持ち運び可能とすることもできる。
また、本実施の形態では、駆動ピストン4の外面と管体11の内面との間に隙間を設けて駆動ピストン4の上流側の液体を下流側に逃がすものを示したが、これに限定するものではなく、駆動ピストンに小孔を設けて、その小孔を介して液体を逃がすものや、別途バルブを設けて、そのバルブを開閉することで、液体を逃がすようなものでも良い。
また、本実施の形態では、加圧液体駆動式ポンプ1により汲み出した水を貯水タンク30に貯水するものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、加圧液体駆動式ポンプから汲み出された水を直接、洗濯機の洗濯槽や、トイレのタンク、庭の散水や車の洗車などに使用することもできる。また、加圧液体駆動式ポンプを貯水タンク30に貯水された水を汲み出すものに使用することもできる。
さらに、本実施の形態では、制御手段8として、回転体25の回動により作動伝達手段23を介して加圧液体供給手段3の作動を制御するものを示したが、これに限定するものではなく、例えば、駆動ピストンに供給されたまたは供給される加圧液体により水車などを駆動して発電し、その発電された電気を用いて加圧液体供給手段を電気的に制御するようにしても良い。なお、発電された電気を一端蓄電池に貯えて使用しても良い。