JP2005131867A - 記録媒体及び記録方法 - Google Patents

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茂朝 辻畑
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Abstract

【課題】経時ニジミ、耐オゾン性に優れた記録媒体を提供すること。
【解決手段】支持体上に記録層を有する記録媒体において、該記録層が、pH変化に応答して自己会合する重合体を含有することを特徴とする記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、感熱記録方法、感圧記録方法、感光記録方法、転写型記録方法等に用いられる記録媒体、特にインクジェット記録方法に供給される被記媒体及び記録方法に関し、詳しくは、画像部の経時ニジミが少なく、耐オゾン性に優れた記録媒体及び記録方法に関する。
近年、情報技術産業の急速な発展に伴い、インクジェット記録方法、感熱記録方法、感圧記録方法、感光記録方法、転写型記録方法等種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および記録装置も開発され、各々実用化されている。
これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなハード(装置)の進歩に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
このインクジェット記録用の記録媒体に要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと(経時ニシ゛ミが良好な事))、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、印画部の光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
上記した諸特性の向上を目的として、近年ではインク受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用媒体が開発され実用化されている。このようなインクジェット記録用媒体は多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れ高い光沢を有するものとなる。
例えば、公報等(特許文献1、2参照)では、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を有するインク受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用媒体が提案されている。
これらの記録用シート、特に、無機顔料微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなるインク受容層を設けたインクジェット記録用媒体は、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を示すことができる。
しかしながら、これらは、多孔質被膜であるが故に酸素の透過性が大きく、インク受容層中に含まれる成分の劣化を促進することがある。さらに、シリカ表面における水分吸着に伴い、経時での画像ニジミ(以下「経時ニジミ」という)が生じることがある。
また、空気中の微量ガス、特にオゾンは、経時による記録画像の褪色の原因となる。上述の多孔質構造を有するインク受容層からなる記録材料は、多くの空隙を有することから、空気中のオゾンガスによって記録画像が褪色し易い。このため、上記多孔質構造のインク受容層を有する記録材料にとって、空気中のオゾンに対する耐性(耐オゾン性)は非常に重要な特性である。
上記の種々の特性を満たすべく、種々のインクジェット記録用媒体が種々報告されている。
たとえば、特許文献3〜5には、カチオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコールと含窒素へテロ環を有するモノマーとの共重合体等を含むインクジェット記録媒体が提案されている。
しかしながら、これらに用いる重合体は、経時ニジミを改善することはあるが、耐オゾン性を改善するものではなかった。
特開平10−119423号公報 特開平10−217601号公報 特開昭61−10483号公報 特開平6−262846号公報 特開平8−252968号公報
従って、本発明の目的は、印画後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジミを生じることなく、更に大気中のオゾンガスによる褪色防止効果に優れた記録媒体を提供することにある。
斯かる実状に鑑み、本発明の発明者は鋭意研究を行ったところ、支持体上のインク受容層に、pH変化に応答して自己会合する重合体を含有せしめた記録媒体が上記課題を解決することを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次のものを提供するものである。
<1> 支持体上に記録層を有する記録媒体において、該記録層が、pH変化に応答して自己会合する重合体を含有することを特徴とする記録媒体。
<2>自己会合が、重合体の臨界pH以上の条件において形成されることを特徴とする<1>記載の記録媒体。
<3>重合体が、水溶性単量体と含窒素へテロ環を有する単量体との共重合体である<1>又は<2>記載の記録媒体。
<4>水溶性単量体が、ビニルアルコールである<3>記載の記録媒体。
<5>含窒素へテロ環が、トリアジン環である<3>又は<4>記載の記録媒体。
<6>重合体が、ブロック又はグラフト共重合体である<1>〜<5>のいずれか1項記載の記録媒体。
<7>記録層がインク受容層であり、記録媒体がインクジェット記録媒体である<1>〜<6>のいずれか1項記載の記録媒体。
<8>自己会合が、重合体の臨界pH以上のpH値を示すインクの受容により生ずるものである<7>記載の記録媒体。
<9>インク受容層が、更に微粒子を含有するものである<7>又は<8>記載の記録媒体。
<10>インク受容層が、更に媒染剤を含有するものである<7>、<8>又は<9>記載の記録媒体。
<11>インク受容層が、重合体及び微粒子を含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7を超える塩基性溶液を前記塗布層に付与することにより得られることを特徴とする<7>〜<10>のいずれか1項記載の記録媒体。
<12> <7>〜<11>の何れか1項記載の記録媒体に、重合体の臨界pH以上のpH値を示すインクを付与することを特徴とする記録方法。
本発明の記録媒体は、印画後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジミを生じることなく、更に大気中のオゾンガスによる褪色防止効果に優れる。
本発明の記録媒体は、支持体上に記録層を有し、該記録層が、pH変化に応答して自己会合する重合体を含有することを特徴とするものであり、特に多孔質インク受容層を有するインクジェット記録媒体が好ましい。以下、インクジェット記録媒体について説明する。
本発明のインクジェット記録媒体は、該重合体のほか、更に、必要により、微粒子、媒染剤等を含有するものである。
<インク受容層(記録層)>
(重合体)
本発明の記録媒体の記録層(インク受容層)に用いる重合体は、pH変化に応答して自己会合する重合体である。
ここで、pH変化に応答して自己会合するとは、pHの変化に伴って生じる、極性変化、水素結合、や配位結合の形成、相転移により溶解状態の重合体がミセル、ベシクル、チューブ、さらにはゲル等のモルホロジー変化を引き起こすことを表す。特に、本発明においては水中での(脱)プロトネーションに伴って生じる分子間の相互作用(例えば水素結合や疎水性相互作用)により、溶解状態からのモルホロジー変化が可逆的に生じることが好ましい。
前記の水溶液中でのモルホロジー変化は、通常、濁度や粘度変化として巨視的に観察可能である。さらには透過度測定、光散乱法(動的光散乱法あるいは静的光散乱法)、蛍光プローブ法、小角X線散乱測定、小角中性子散乱測定法、誘電緩和測定法等により測定することが可能である。このモルホロジー変化が生じるpH値を臨界pHと定義することができる。
本発明は、インクの打滴によるpH変動により、該重合体が自己会合体を形成するため、物理遮蔽効果により耐オゾン性が良化するという予想外の効果を見出し完成されたものである。従って、インクのpHにより、該重合体を適宜選択することが望ましい。一般的に、インクのpHはインク受容層のpHより高いため、pHの上昇により自己会合体を形成するものが好ましい。特に、pH4〜9に臨界pHを有し、該臨界pH以上の条件下において自己会合体を形成する重合体であることが好ましい。
本発明に用いるpH変化に応答して自己会合する重合体としては、例えば、水溶性単量体と含窒素へテロ環を有する単量体との共重合体が挙げられる。このように、含窒素へテロ環を導入することで、インクの固定化能力を高め、経時ニジミを効果的に抑制することができる。
ここで、水溶性単量体としては、例えば、ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−D−グルコピラノシド、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイルオキシエチル−トリメチルアンモニウムクロリド、p−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、含窒素へテロ環を有する単量体としては、例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン 等が挙げられる。これらのうち、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジンが特に好ましい。
水溶性単量体と含窒素へテロ環を有する単量体との重合体の合成法としては、通常のラジカル重合が好ましく、その合成は熱、重合開始剤(例えば過酸化物、アゾ系開始剤、レドックス系開始剤)、光、放射線により実施可能である。また、前記単量体を用いた共重合でもよく、高分子反応による方法でグラフト重合体あるいはブロック重合体として合成してもよい。
重量平均分子量は1000〜1000000が好ましく、2000〜100000がより好ましい。1000未満では、十分な耐オゾン性、耐経時ニジミが得られず、1000000を超えるとハンドリング適性が低下する。
また、重合形態は特に限定されないが、ブロック又はグラフト共重合が好ましい。
該重合体がブロック又はグラフト共重合体である場合、含窒素へテロ環を有する単位が1〜90重量%であることが好ましく、5〜50重量%が特に好ましい。
本発明に用いるpH変化に応答して自己会合する重合体の使用量は、重合体の種類により異なるが、0.1〜10g/m2程度が好ましく、特に1〜5g/m2程度が好ましい。
以下に、本発明に用いるpH変化に応答して自己会合する重合体の具体例を示す。
Figure 2005131867
Figure 2005131867
(微粒子)
本発明のインクジェット記録用媒体のインク受容層は、微粒子を含有するものが好ましい。
インクジェット記録用媒体のインク受容層は、微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、該微粒子のインク受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用媒体が得られるので好ましい。ここで、微粒子のインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
本発明に用いる微粒子は無機微粒子が好ましいが、有機微粒子も本発明の効果を損なわない限りにおいて使用することができる。
上記有機微粒子として好ましいものとしては例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子又は擬ベーマイトが好ましい。微粒子は1次粒子のまま用いても、又は2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
更に、平均一次粒径が20nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
上記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
上記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
上記気相法シリカの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
また、シリカ微粒子は、前述の他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
本発明に用いる無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
上述の微粒子をインクジェット記録用媒体に用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
(水溶性樹脂)
本発明のインクジェット記録用媒体では、さらにインク受容層中に上記重合体以外に水溶性樹脂を本発明の効果を妨げない限りにおいて使用することが出来る。
この水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
以上の中でも、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたものなどがあげられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11-165461号公報の「0011」〜「0014」に記載の化合物なども挙げられる。
これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明の水溶性樹脂の含有量としては、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
<微粒子と水溶性樹脂との含有比>
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。ここで水溶性樹脂(y)には、pH変化に応答して自己会合する重合体も含まれる。
本発明のインク受容層は、上記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2以上であることがより好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x/y)2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
(架橋剤)
本発明のインクジェット記録用媒体のインク受容層は、微粒子および水溶性樹脂を含む塗布層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコール系樹脂の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋硬化は、微粒子、水溶性樹脂等を含有する塗布液(以下、「塗布液A」ということがある)および/または下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7を超える塩基性溶液(以下、「塗布液B」ということがある)を前記塗布層に付与することにより行うことが好ましい。上記架橋剤の付与は、ホウ素化合物を例にすると下記のように行われることが好ましい。すなわち、インク受容層が、微粒子、ポリビニルアルコールを含む水溶性樹脂を含有する塗布液(塗布液A)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7を超える塩基性溶液(塗布液B)を前記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤たるホウ素化合物は、塗布液A、または塗布液Bのいずれかに含有すれば良く、塗布液A及び塗布液Bの両方に含有させておいても良い。
架橋剤の使用量は、水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
(媒染剤)
本発明においては、更に形成画像の耐水性及び耐経時ニジミの向上を図るために、インク受容層に媒染剤を含有せしめることが好ましい。
このような媒染剤としては有機媒染剤としてカチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)、又は無機媒染剤が好ましく、該媒染剤をインク受容層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、耐水性や耐経時ニジミを向上させることができる。有機媒染剤および無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤および無機媒染剤を併用してもよい。
上記カチオン性媒染剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が一般的に用いられる。一方、本発明では、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが挙げられる。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
上記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびこれらの塩(例えば塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩など);
トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、媒染モノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4−ビニル−N−メチル−ピリジニウムクロリド、4−ビニル−N−エチル−ピリジニウムブロミド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、モノメチルジアリルアンモニウムクロリド、等も挙げられる。
これらの媒染モノマーは、1種単独でまたは共重合可能な2種以上を組み合わせて使用できる。
前記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェットインク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さいモノマーをいう。
上記非媒染モノマーとして例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、などの(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロへキシルなど]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、アラルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルなど]、置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸アリル、など]、(メタ)アクリルアミド類[例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなど]、芳香族ビニル類[スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど]、ビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
これらの非媒染モノマーも、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
さらに、前記ポリマー媒染剤として、ポリエチレンイミン(およびその誘導体)、ポリビニルアミン(およびその誘導体)、ポリアリルアミン(およびその誘導体)、ポリアミジン、カチオン性多糖類(カチオン化デンプン、キトサン)、ジシアン系カチオン樹脂(例えばジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物)、ポリアミン系カチオン樹脂(ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物)、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド−二酸化硫黄共重合物、等もあげることができる。
本発明における有機媒染剤としては、第4級アンモニウム塩基を有する重合体が好ましく、重量平均分子量が1000〜100000である第4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー、ビニルベンジルアンモニウム系ポリマー、あるいはジアリルアンモニウム系ポリマーが特に好ましい。
本発明の媒染剤としては無機媒染剤を用いることも可能で、無機媒染剤としては多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。
無機媒染剤の具体例としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドリん酸n水和物、硝酸ガリウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ストロンチウム、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタン、安息香酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸プラセオジミウム、硝酸ネオジミウム、硝酸サマリウム、硝酸ユーロピウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ジスプロシウム、硝酸エルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ハフニウム、硝酸ビスマス等が挙げられる。
本発明の無機媒染剤としては、水溶性の多価金属塩であることが好ましく、アルミニウム含有化含物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化含物がより好ましく、さらに塩基性ポリ水酸化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、乳酸チタン、酢酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、オキシ塩化ジルコニウムが特に好ましい。
本発明において、インク受容層に含まれる上記媒染剤量は、0.01g/m2〜10g/m2が好ましく、0.1g/m2〜5g/m2がより好ましい。
本発明において、インク受容層用塗布液(塗布液A)は界面活性剤を含有しているのが好ましい。該界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、就中、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、塗布液Aおよび塗布液Bにおいて使用することができる。また、上記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたもので挙げられ、具体的には、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸およびその塩が挙げられる。上記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体をへて誘導される化合物が挙げられる。
例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどがあげられる。
前記シリコン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコンオイルが好ましく、これは、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性としてアミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
本発明で界面活性剤の含有量としては、インク受容層用塗布液(塗布液A)に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、インク受容層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
本発明において、インク受容層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
<支持体>
本発明に用いる支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。またCD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用い、レーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、上記各種紙支持体、上記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、上記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度および色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
<インクジェット記録用媒体の作製>
本発明のインクジェット記録用媒体のインク受容層は、例えば、支持体表面に少なくとも微粒子と水溶性樹脂(pH変化に応答して自己会合する重合体も含む)を含む塗布液Aを塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前のいずれかにpHが7以上の塗布液Bを付与した後、該塗布液Bを付与した塗布層を架橋硬化させる方法により形成されるのが好ましい。ここで、本発明に用いる重合体は、上記塗布液Aあるいは塗布液Bの少なくとも一方に含有せしめれば良いが、インク吸収性の面から塗布液Aに含有せしめることが好ましい。
また、上記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤も、上記塗布液A又は塗布液Bのいずれかに含有せしめればよい。
この様にして架橋硬化させたインク受容層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
上記の様にすると、媒染剤がインク受容層の所定の部分に多く存在するので、インクジェットの色材が十分に媒染され、色濃度、経時ニシ゛ミ、印画部光沢、印字後の文字や画像の耐水性、耐オゾン性が向上するので好ましい。媒染剤の一部は最初に支持体に設ける層に含有させてもよく、その場合は、後から付与する媒染剤は同じものでも異なっていてもよい。
本発明において、少なくとも微粒子(例えば、気相法シリカ)と水溶性樹脂(pH変化に応答して自己会合する重合体)とを含有するインク受容層用塗布液(塗布液A)は、例えば、以下のようにして調製することができる。即ち、
気相法シリカ等の微粒子と分散剤を水中に添加して(例えば、水中のシリカ微粒子は10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル(例えば、エム・テクニック(株)製の「クレアミックス」)を用いて、例えば10000rpm(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回転の条件で例えば20分間(好ましくは10〜30分間)かけて分散させた後、pH変化に応答して自己会合する重合体の水溶液(例えば、上記気相法シリカの1/3程度の質量の該重合体となるように)を加え、上記と同じ回転条件で分散を行なうことにより調製することができる。塗布液に安定性を付与するためにアンモニア水等でpH=9.2程度に調節する事、又は分散剤を用いることが好ましい。得られた塗布液は均一なゾル状態であり、これを下記塗布方法で支持体上に塗布し乾燥させることにより、三次元網目構造を有する多孔質性のインク受容層を形成することができる。
また、上記気相法シリカと分散剤とからなる水分散物の調製は、気相法シリカ水分散液をあらかじめ調製し、該水分散液を分散剤水溶液に添加してもよいし、分散剤水溶液を気相法シリカ水分散液に添加してよいし、同時に混合してもよい。また、気相法シリカ水分散液ではなく、粉体の気相法シリカを用いて上記のように分散剤水溶液に添加してもよい。
上記の気相法シリカと分散剤とを混合した後、該混合液を分散機を用いて細粒化することで、平均粒子径50〜300nmの水分散液を得ることができる。 該水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、媒体撹拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的におこなうという点から、媒体撹拌型分散機、コロイドミル分散機または高圧分散機が好ましい。
また、各工程における溶媒として水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。この塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
また、上記塗布液の分散性を向上させるために分散剤を添加しても良い。分散剤としては前記のカオチン性樹脂が好ましく用いられる。
上記分散剤の微粒子に対する添加量は、0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%が更に好ましい。
該インク受容層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
インク受容層用塗布液(塗布液A)の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に塗布液Bが付与されるが、該塗布液Bは、塗布後の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与してもよい。即ち、インク受容層用塗布液(塗布液A)の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に塗布液Bを導入することで好適に製造される。この塗布液Bには、媒染剤を含有せしめてもよい。
ここで、前記「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥速度」の現象を示す。この「恒率乾燥速度」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
上記の通り、塗布液Aの塗布後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
上記第一の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与する方法としては、(1)塗布液Bを塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)塗布液B中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
前記方法(1)において、塗布液Bを塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第一塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
塗布液Bの付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥および硬化がおこなわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
また、上記塗布液Bを、インク受容層塗布液(塗布液A)を塗布すると同時に付与する場合、塗布液Aおよび塗布液Bを、塗布液Aが支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることによりインク受容層を形成することができる。
上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターによりおこなった場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、塗布液Aおよび塗布液Bの塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
上記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。上記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、上記媒染剤を含有させることもできる。
支持体上にインク受容層を形成した後、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
上記インク受容層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、インク受容層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
また、インク受容層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率および細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
また、インク受容層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、インク受容層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
本発明のインクジェット記録用媒体の構成層(例えば、インク受容層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
また、本発明のインクジェット記録用媒体は、特開平10−81064号、
同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を表し、「平均分子量」及び「重合度」は、「重量平均分子量」及び「重量平均重合度」を示す。
[合成例]
合成例1
末端SH基を有するポリビニルアルコール((株)クラレ製の「PVA M−205」)9.0部を脱イオン水81部に加熱溶解させ、塩酸でpH3に調整する。これに、2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン1.0部と水9部を加え、窒素気流下、50℃で加熱攪拌する。
これに、臭素酸カリウム0.060部を加え、50℃で6時間攪拌させることで、pH応答性を有する重合体1を得た。この重合体の臨界pHは4.5であった。
合成例2
合成例1の2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン1.0部を0.5部に変更した以外はすべて合成例1と同様にしてpH応答性を有する重合体2を得た。この重合体の臨界pHは4.6であった。
合成例3
合成例1の2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン1.0部をN−ビニルイミダゾール1.0部に変更した以外はすべて合成例1と同様にして、熱応答性を有する重合体3を得た。この重合体の臨界pHは6.8であった。
[臨界pHの測定]
供試する重合体を1重量%となる様に蒸留水を加え、0.1N塩酸によりpH3に調整する。この溶液20mLを50mL容のビーカーに入れ、25℃の水浴中で攪拌を行う。この溶液に0.1N水酸化ナトリウム水溶液を順次滴下し、目視にて濁りが観測されたpHを臨界pHとして測定した。
[実施例]
(支持体の作製)
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
上記原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となるように上記原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/ccに調整された基紙を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有し、MFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、支持体とした。
実施例1
(インク受容層用塗布液Aの調製)
(インク受容層用塗布液Aの調製)
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と(2)イオン交換水と(3)「シャロールDC−902P」を混合し、KD−P((株)シンマルエンタープライゼス製)を用いて、分散させた後、下記(4)ポリ塩化アルミニウム、(5)酢酸ジルコニル、(6)ホウ酸水、(7)重合体1、(8)界面活性剤、(9)イオン交換水を含む溶液を加え、インク受容層用塗布液Aを調製した。
シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比(PB比=(1)/(7))は、4.5であり、インク受容層用塗布液AのpHは、3.5で酸性を示した。
<インク受容層塗布液Aの組成>
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 10.0部
((株)トクヤマ製の「レオロシールQS-30」、平均一次粒子径7nm)
(2)イオン交換水 51.6部
(3)「シャロールDC−902P」(51%水溶液) 1.0部
(分散剤、日東紡(株)製)
(4)ポリ塩化アルミニウム(40%水溶液、基本構造式:Al2(OH)5Cl) 0.6部
(5)酢酸ジルコニル(25%水溶液) 0.3部
(6)ホウ酸水(5%水溶液、架橋剤) 8.0部
(7)重合体1(8%水溶液) 27.8部
(8)界面活性剤(オルフインPD−101、日信化学工業(株)製) 0.1部
(9)イオン交換水 24.3部
(インクジェット記録用媒体(シート)の作製)
上記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記から得たインク受容層用塗布液Aを、支持体のオモテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて200ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この期間は恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の塗布液Bに30秒間浸漬して該塗布層上にその20g/m2を付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた(乾燥工程)。これにより、乾燥膜厚32μmのインク受容層(膜面pH4.1)が設けられた本発明のインクジェット記録用シート(1)を作成した。
ここで、膜面pHは日本紙パルプ技術協会(JTAPPI)の定めた紙面pHの測定法のうちA法(塗布法)に相当する(株)共立理化学研究所製の紙面用pH測定セット(形式MPC)を使用して測定を行った。
<塗布液Bの組成>
(1)硼酸(架橋剤) 0.65部
(2)炭酸ジルコニウムアンモニウム 6.5部
(第一稀元素化学工業(株)製の「ジルコゾールAC−7」、28%水溶液)
(3)炭酸アンモニウム 6.0部
(4)イオン交換水 83.8部
(5)界面活性剤(メガファックF−1405、大日本インキ化学(株)製)0.2部
実施例2〜3
実施例1の<インク受容層塗布液Aの組成>において重合体1をそれぞれ重合体2、3に変更した以外はすべて実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録用シート(2)(膜面pH4.1)〜(3)(膜面pH4.2)を作製した。
比較例1
実施例1の〈インク受容層用塗布液Aの組成〉において重合体1をポリビニルアルコールに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較用のインクジェット記録用シート(4)(膜面pH4.2)を作製した。
比較例2
実施例1の〈インク受容層用塗布液Aの組成〉において、重合体1をカチオン変性ポリビニルアルコールに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較用のインクジェット記録用シート(5)(膜面pH4.1)を得た。
比較例3
実施例1の<インク受容層用塗布液Aの組成>を下記の<インク受容層塗布液A2の組成>に変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較用のインクジェット記録用シート(6)(pH4.1)を得た。
<インク受容層塗布液A2の組成>
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 10.0部
((株)トクヤマ製の「レオロシールQS-30」、平均一次粒子径7nm)
(2)イオン交換水 51.6部
(3)「シャロールDC−902P」(51%水溶液) 1.0部
(分散剤、日東紡(株)製)
(4)ポリ塩化アルミニウム(40%水溶液、基本構造式:Al2(OH)5Cl) 0.6部
(5)酢酸ジルコニル(25%水溶液) 0.3部
(6)ホウ酸水(5%水溶液、架橋剤) 8.0部
(7)ポリビニルアルコール(8%水溶液、水溶性樹脂) 27.8部
((株)クラレ製の「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500)
(8)界面活性剤(オルフインPD−101、日信化学工業(株)製) 0.1部
(花王(株)製「エマルゲン109P」(10%水溶液)、HLB値13.6)
(9)ポリ(2,4−ジアミノ−6−ビニル−1,3,5−トリアジン 塩酸塩)
(25%水水溶液) 1.2部
(10)イオン交換水 24.4部
(評価試験)
上記より得られた本発明のインクジェット記録用シート(1)〜(3)、並びに比較用インクジェット記録用シート(4)〜(6)の各々について、以下の評価試験を行なった。試験の結果は下記の表1に示す。ここで、インクの平均pHは8.5であった。
〈インク吸収性〉
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製の「PM−950C」を用いて、上記で得られたインクジェット記録シートにY(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)、およびR(赤)のベタ画像を印画し、その直後(約10秒後)に該画像上に紙を押圧接触して、該紙へのインクの転写を目視で観察して、下記の基準に従って評価した。紙上へのインクの転写が認められなければ、インク吸収速度が良好なことを示す。
紙上へのインクの転写は全く認められない場合をA、インクの転写が一部認められた場合をB、インクの転写がかなり認められ、実用適性が無い場合をCとして評価した。
〈経時ニジミ〉
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製の「PM−950C」を用いて、各インクジェット記録用シート上にマゼンタインクとブラックインクとを隣あわせにした格子状の線状パターン(線幅0.28nm)を印画し、Xライト310TR(Xライト社製)によってビジュアル濃度(ODfresh)を測定した。測定後、印画した各インクジェット記録用シートをクリアファイルに入れ、35℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽に3日間保管した後、再度ビジュアル濃度(ODthermo)を測定し、その濃度変化率(ODthermo/ODfresh×100)を算出した。
濃度変化率が120%未満をA、120〜140%をB、140%以上をCとして評価した。濃度変化率が小さいほど経時ニジミが少ない(良好)であることを示す。
<耐光性>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製の「PM−950C」)を用いて、各インクジェット記録用シート上にマゼンタとシアンのベタ画像を印画した後、365nm以下の波長領域の紫外線をカットするフィルターを通して、Xenon Weather−ometer Ci65A(ATLAS社製)を用いて、温度25℃相対湿度32%の環境条件下で3.8時間ランプを点灯し、その後ランプを消した状態で、温度20℃相対湿度91%の環境条件下に1時間放置するサイクルを168時間かけて行なった。この試験の前後の各色画像濃度を、反射濃度測定計(Xrite社製の「Xrite938」)にて測定し、各色濃度の残存率を算出した。
マゼンタ濃度の残存率が、90%以上の場合をA、80〜90%未満の場合をB、70〜80%未満の場合をC、70%未満の場合をDとして、評価した。
〈耐オゾン性〉
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製の「PM−950C」)を用いて、各インクジェット記録用シート上にシアンのベタ画像をそれぞれ印画し、オゾン濃度2.5ppmの環境下で24時間保管した。保管前と保管後のマゼンタおよびシアン濃度を、反射濃度測定計(Xrite社製の「Xrite938」)にて測定し、該シアン濃度の残存率を算出した。
残存率が、80%以上の場合をA、70〜80%未満の場合をB、70%未満の場合をCとして、評価した。
Figure 2005131867
上記の表1の結果から、本発明のインクジェット記録用媒体(実施例1〜3)は、経時でのニジミが抑制され、さらに高濃度のオゾン環境下で長時間保管した後も、形成された画像の濃度残存率は高く、耐オゾン性に優れた記録用シートであることが判明した。また、キセノン照射及び高湿放置のサイクル試験後も、形成された画像の濃度残存率は高く、耐光性特にマゼンタ発色の耐光性に優れた記録用シートであることが判明した。
また、本発明のインクジェット記録用シートは、光沢度、インク吸収速度、画像部濃度、耐水性のいずれにも優れていた。
一方、本発明の重合体を用いなかった比較用インクジェット記録用シートは、耐オゾン性及び耐光性と経時でのニジミの双方を満足させることが出来なかった。
本発明により、耐オゾン性に優れ、かつ高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも経時ニジミが生じない、インクジェット記録方法、感熱記録方法、感圧記録方法、感光記録方法、転写型記録方法等に用いられる記録媒体を提供することができる。

Claims (12)

  1. 支持体上に記録層を有する記録媒体において、該記録層が、pH変化に応答して自己会合する重合体を含有することを特徴とする記録媒体。
  2. 自己会合が、重合体の臨界pH以上の条件において形成されることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
  3. 重合体が、水溶性単量体と含窒素へテロ環を有する単量体との共重合体である請求項1又は2記載の記録媒体。
  4. 水溶性単量体が、ビニルアルコールである請求項3記載の記録媒体。
  5. 含窒素へテロ環が、トリアジン環である請求項3又は4記載の記録媒体。
  6. 重合体が、ブロック又はグラフト共重合体である請求項1〜5のいずれか1項記載の記録媒体。
  7. 記録層がインク受容層であり、記録媒体がインクジェット記録媒体である請求項1〜6のいずれか1項記載の記録媒体。
  8. 自己会合が、重合体の臨界pH以上のpH値を示すインクの受容により生ずるものである請求項7記載の記録媒体。
  9. インク受容層が、更に微粒子を含有するものである請求項7又は8記載の記録媒体。
  10. インク受容層が、更に媒染剤を含有するものである請求項7、8又は9記載の記録媒体。
  11. インク受容層が、重合体及び微粒子を含有する塗布液を塗布した塗布層を架橋硬化させた層であり、前記架橋硬化が、前記塗布液及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7を超える塩基性溶液を前記塗布層に付与することにより得られることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項記載の記録媒体。
  12. 請求項7〜11の何れか1項記載の記録媒体に、重合体の臨界pH以上のpH値を示すインクを付与することを特徴とする記録方法。
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