JP2005131743A - ワイヤソー - Google Patents

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Akizo Tsuruta
明三 鶴田
Masayuki Hamayasu
昌之 濱保
Takafumi Kawasaki
貴文 河嵜
Hiroichi Nishida
博一 西田
Hisafumi Tominaga
尚史 冨永
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Abstract

【課題】組成の安定したスラリをワイヤに供給することのできるワイヤソーを提供すること。
【解決手段】複数のローラ19a、19b間で走行するワイヤ14に、液体成分23と砥粒24とを含むスラリを供給しながらワーク13を切断するワイヤソーにおいて、
前記ワーク13を切断する部位の上流側に設けられ、前記液体成分23をワイヤ14に供給する液体成分供給機構21と、
前記液体成分23が供給された後のワイヤ14に前記砥粒24を供給する砥粒供給機構22と、
を有するスラリ供給機構20を備えたことを特徴とするワイヤソー。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体材料、磁性材料、セラミック等の脆性材料をワイヤにより切断するワイヤソーに関するものである。
セラミック等をワイヤによって切断するワイヤソーにおいては、溝を有する複数の回転ローラ間にワイヤが所定ピッチで螺旋状に巻き付けられ、走行するワイヤ上に砥粒を含むスラリが供給される。そして、この状態でワイヤの上方からワークが押し付けられ、ワイヤ走行と砥粒とによりワークが切断されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
このようなワイヤソーでは、スラリをワイヤに供給する際に、ワイヤの上方からカーテン状に大量のスラリが吐出されている。供給したスラリのうちワイヤに付着するのは極少量であり、スラリの大部分はワイヤの下方に脱落したり、ワークのワイヤ導入部付近で跳ね返されたりする。そして、ワーク切削部に運ばれなかったスラリは、加工室底部から引き出されたドレインを経由して、スラリ貯蔵タンクに回収されている。
特許第3187296号公報
しかしながら、従来のワイヤソーでは以下に示すような課題があった。
従来のワイヤソーでは、スラリ貯蔵タンクにおける砥粒の沈降を防止するために、スラリ貯蔵タンクを常時撹拌している。しかしながら、スラリは循環して使用されるために、加工室内にスラリが散乱したり、循環用の配管内で砥粒が堆積したり、ワークとワイヤとの摩擦熱によりスラリが蒸発したりすることによって、ワイヤに供給されるスラリの組成が徐々に変化する。このため、スラリの組成が変化しないように、一定時間毎にスラリの比重や粘度を測定して、必要な水や砥粒をスラリ貯蔵タンクに加えるための機構が必要であった。
本発明は、前記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、組成の安定したスラリをワイヤに供給することのできるワイヤソーを提供することである。
本発明は、複数のローラ間で走行するワイヤに、液体成分と砥粒とを含むスラリを供給しながらワークを切断するワイヤソーにおいて、前記ワークを切断する部位の上流側に設けられ、前記液体成分をワイヤに供給する液体成分供給機構と、前記液体成分が供給された後のワイヤに前記砥粒を供給する砥粒供給機構と、を有するスラリ供給機構を備えたことを特徴とするワイヤソーを提供するものである。
本発明によれば、スラリの液体成分と砥粒とが別々にワイヤに供給されるので、組成の安定したスラリをワイヤに供給することのできるワイヤソーが提供される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るワイヤソー10を説明するための図であり、図2は、ワイヤソー10によるシリコンインゴット13の切断工程を説明するための図であり、図3は、ワイヤソー10のスラリ供給機構20を説明するための図である。
図1乃至図3において、ワイヤソー10は、インゴット送り機構11とワイヤ送り機構12とを備えている。インゴット送り機構11には、ワークとしてのシリコンインゴット13を固定する固定機構(図示せず)と、固定されたシリコンインゴット13をワイヤ14に向けて押し下げ又は引き上げるためのインゴット移動機構(図示せず)が設けられている。ワイヤ送り機構12には、ワイヤ14を送るためのワイヤ送出機構15と、ワイヤ14を巻き取るためのワイヤ巻取機構16と、ワイヤ14の張力を一定に保つための張力制御ローラ17とが設けられている。
また、ワイヤソー10では、インゴット送り機構11の下方となる位置に、同期回転する二本の回転ローラ19a、19bが配置されており、回転ローラ19a、19bは、インゴット送り機構11と共に、加工室27の内部に配置されている。この回転ローラ19a、19bの外周壁面には、ワイヤ14を案内する溝が螺旋状に形成されている。ワイヤ送り機構12においてワイヤ14は、ワイヤ送出機構15から引き出されて、回転ローラ19a、19bの溝に案内されることによって、回転ローラ19a、19b間で螺旋状に周回すると共に、ワイヤ送出機構15とワイヤ巻取機構16との間で一定の張力を維持しつつ走行可能に掛け渡されている。ここで用いるワイヤ14としては、金属製のものや樹脂製のものが挙げられ、切断効率の観点から、金属製のものが好ましい。
ワイヤソー10は、スラリの液体成分23をワイヤ14に供給する液体成分供給機構21と、液体成分23が供給された後のワイヤ14に砥粒24を供給する砥粒供給機構22とを有するスラリ供給機構20を備えている。
液体成分供給機構21は、加工室27の内部であって、シリコンインゴット13を切断する部位の上流側に設けられた回転ローラ19aとシリコンインゴット13を切断する部位との間の上方に配置されている。液体成分供給機構21は、ワイヤ14に対して液体成分23を供給可能なものであればよく、例えばカーテン状に吐出可能な吐出装置が用いられる。また、ワイヤ14から脱落した液体成分を回収するために、液体成分供給機構21の下方に液体成分垂れ受けトレー25が配置されている。
砥粒供給機構22は、加工室27の内部であって、液体成分供給機構21とシリコンインゴット13を切断する部位との間の上方に配置されている。このため、砥粒供給機構22は、液体成分23が供給されて濡れたワイヤ14に向けて砥粒24を供給可能となっている。砥粒供給機構22は、液体成分23が供給された後のワイヤ14に対して砥粒24を供給可能なものであればよく、例えば、砥粒噴流を吹き付けることが可能な装置が用いられる。また、砥粒供給機構22は、トレー形状の砥粒散乱防止機構26を備えている。この砥粒散乱防止機構26は、加工室27の内部であって、砥粒供給機構22の下方に配置されている。このため、ワイヤに付着せずに脱落する砥粒24を回収して、砥粒24の散乱を防止することができる。
このようなワイヤソー10では、ワイヤ送出機構15とワイヤ巻取機構16とが駆動すると、張力制御ローラ17によって一定の張力が維持されながら、ワイヤ14が、一定方向に所定の速度で走行する。このとき、回転ローラ19a、19bが、ワイヤ14の走行速度に応じた回転速度で同期回転する。加工室27内では、ワイヤ14が、回転ローラ19a、19bの溝に沿って案内されているため、インゴット送り機構11の下方で、ワイヤ14の列が平行に走行しながら一定の張力で配置されることになる。
そして、ワイヤソー10によりシリコンインゴット13の切断を行うには、加工室27内において、インゴット送り機構11がシリコンインゴット13をワイヤ14に向けて押し下げることによって、シリコンインゴット13が走行するワイヤ14と接触し、ワイヤ14に押し付けられる。
このとき、まず、スラリの液体成分23が、液体成分供給機構21からワイヤ14に供給される。次いで、砥粒24が、液体成分供給機構21の下流に配置された砥粒供給機構22から液体成分の供給された後のワイヤ14に供給されると、ワイヤ14上で液体成分23と砥粒24とが一緒になってワイヤ14によりシリコンインゴット13の切削部に運ばれる。そして、スラリのラッピング作用や化学的作用によってシリコンインゴット13が削られ、切断される。
ここで、供給される砥粒と液体成分との質量比(固液比)は、1:1〜1:4に調節することが望ましい。砥粒と液体成分との質量比が大き過ぎると、スラリの粘性が大きくなり、ソーマークを発生させることがある。また、砥粒と液体成分との質量比が小さ過ぎると、切削に寄与する砥粒が少なくなるため、切削速度が低下することがある。
このような切断加工において、スラリの液体成分23と砥粒24とが別々にワイヤ14に供給されるため、スラリの組成は常に一定である。
このようなワイヤソー10において、水とポリプロピレングリコールとポリビニルアルコールゲルとを質量比1:0.5:0.05で含む液体成分23(25℃、ずり速度57.6[s−1]における粘度が約35mPa・s)と、砥粒24(平均粒径10μmの炭化チタン)とを用いて、砥粒24と液体成分23との質量比が1:1.5となるように供給しながら、シリコンインゴット13の切削加工実験を行った。液体成分貯蔵タンク内の液体成分を所定時間(0、2、4及び7時間)毎に採取し、回転粘度計(ブルックフィールド社製、プログラマブルレオメータDV−III)を用いて、ずり速度57.6[s−1]、25℃における粘度を測定した。結果を図4に示す。
また、切削加工中の切削抵抗の大きさを表わす指標として、ワイヤ14のたわみ量(シリコンインゴット13の送り方向)を測定した。これを詳細に説明すれば、切削加工時に、走行するワイヤ14とシリコンインゴット13との切削界面に切削抵抗が生じると、ワイヤ14がインゴット送り方向にたわむ。このワイヤ14のたわみは切削抵抗の大きさに比例するので、切削加工中のワイヤーたわみ量を測定することで、切削抵抗の大小を知ることができる。換言すれば、たわみが大きいということは、切削界面でのワイヤーに切断方向(z方向)の遅れがでるということであり、所望の切削速度が得られないことになる。結果を図5に示す。
図4から明らかなように、ワイヤソー10では、切削加工時間が経過してもスラリ貯蔵タンク内の液体成分の粘度がほぼ一定に保持される。これに対して、従来のワイヤソーにおいて、水とポリプロピレングリコールと砥粒24(平均粒径10μmの炭化チタン)とポリビニルアルコールゲルとを質量比1:0.5:1:0.1で含むスラリ(25℃、ずり速度57.6[s−1]における粘度が90mPa・s)を供給しながら切削加工を行うと、スラリ貯蔵タンク内のスラリの粘度が大きく上昇した。
図5から明らかなように、ワイヤソー10では、切削加工時間が経過してもワイヤわたみ量は殆ど変化しなかった。これに対して、従来のワイヤソーでは、切削加工時間が経過するにしたがって、ワイヤたわみ量が著しく増大した。
また、加工後のウエハの表面を観察したところ、ワイヤソー10ではソーマークは観察されなかったが、従来のワイヤソーでは所々にソーマークが観察された。
このように本実施の形態1によれば、スラリの液体成分23と砥粒24とを別々にワイヤ14に供給することによって、粘度の安定したスラリがワイヤ14に供給される。このため、高い切削速度を維持しつつ、高品質のウエハを得ることのできる。さらに、従来のワイヤソーのように、スラリ貯蔵タンク内のスラリ粘度を調整する必要がなくなり、スラリの粘度管理が容易になる。
なお、本実施の形態において、前記液体成分垂れ受けトレー25にフィルタを設け、砥粒24を除去してもよい。これにより、液体成分貯蔵タンクへの砥粒24混入量が多い場合に、液体成分23と砥粒24とを効率よく分離・回収することができる。また、液体成分垂れ受けトレー25に液体成分再利用機構を設けてもよい。これにより、回収された液体成分23が液体成分貯蔵タンクに戻されるので、液体成分23を容易に再利用することができる。さらに、砥粒散乱防止機構26に砥粒再利用機構を設けてもよい。砥粒散乱防止機構26で回収された砥粒24は、切削には全く使用されておらず、劣化していないので、砥粒再利用機構を設けることにより、砥粒24の利用効率を向上させることができる。砥粒散乱防止機構26で回収された砥粒24は、液体成分23で濡れていることがあるので、必要に応じて乾燥させて再利用する。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係るスラリ供給機構30を説明する図である。なお、実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
実施の形態2に係るスラリ供給機構30は、液体成分23を収容する液槽33と、シリコンインゴット13の切削部上流側に位置する回転ローラ19aとシリコンインゴット13の切削部との間に配置された液体成分転写手段としての液体成分転写ローラ39と、液体成分転写ローラ39の表面への液体成分23の供給量を調整する調整手段としてのカットローラ34とを有する液体成分供給機構31を備えている。
液体成分転写ローラ39は、ベルトやギアを介してローラ駆動用のモータ(図示せず)に接続され、自転可能となっている。液体成分転写ローラ39の自転方向(回転方向)は、ワイヤ14の走行方向に対して対向方向、即ち、回転ローラ19a、19bの回転方向と逆方向であることが好ましい。このようにすれば、ワイヤ14への液体成分23の付着がさらに確実となる。
カットローラ34は、半円柱状の形状を有し、その曲面が液体成分転写ローラ39と対向している。カットローラ34には、カットローラ34を矢印方向に移動してカットローラ34と液体成分転写ローラ39との間隔を調節する移動機構(図示せず)が連結されている。
また、液槽33の上方には、液体成分23を液槽33に供給する液体成分供給ノズル36が配置されると共に、液槽33と液体成分転写ローラ39及びワイヤ14との下方には、液体成分垂れ受けトレー35が配置されている。ワイヤ14の走行方向に対して液槽33の上流側となる液体成分転写ローラ39の周囲には、クリーニングスキージ37が配置されており、液体成分転写ローラに付着した液体成分残渣を掻き取るようになっている。このクリーニングスキージ37の下方には、液体成分残渣受けトレー38が設けられ、掻き取られた液体成分を回収可能となっている。
なお、液体成分供給ノズル36、クリーニングスキージ37及び液体成分残渣受けトレー38は、装置構成によっては他の代替手段に代え、又は設けなくてもよい。
このようなスラリ供給機構30によって、スラリをワイヤ14に供給する際には、カットローラ34を所定量移動させて液体成分転写ローラ39とカットローラ34との間を適宜開放し、スリット状の空隙部を形成させる。この状態で、液体成分転写ローラ39が回転すると、液体成分転写ローラ39の回転に応じて、液槽33から液体成分23が液体成分転写ローラ39の表面に供給される。このとき、カットローラ34と液体成分転写ローラ39との間隔を適宜調節することにより、液体成分23の供給量を制御することができる。該間隔を好適に設定すれば、液体成分転写ローラ39の表面のうちワイヤ14との非接触部にある液体成分23も、表面張力によってワイヤ14に転写されるため、液体成分転写ローラ39から必要にして十分な量の液体成分23が供給される。
回転ローラ19a、19bの間を走行するワイヤ14は、まず、液体成分転写ローラ39と接触する。そこで液体成分転写ローラ39の表面に付着していた液体成分23が、ワイヤ14に転写される。次いで、液体成分23が付着した後のワイヤ14に、砥粒供給機構22から砥粒24が供給されると、液体成分23と砥粒24とが一緒になってワイヤ14によりシリコンインゴット13の切削部に運ばれる。
本実施の形態2によれば、ワイヤ14には適量の液体成分23が転写され、液体成分23の無駄が省かれ、ウエハの製造コストを抑制することができる。また、液体成分23の回収・循環機構が不必要となり、構造が簡便になる。
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3に係るスラリ供給機構40を説明する図である。なお、実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
実施の形態3に係るスラリ供給機構40は、液体成分23を収容する液体成分収容部としての液漕43と、この液槽43内にワイヤ14を通過させるための複数のワイヤ引き回し用ローラ42a、42b、42c、42dと、を有する液体成分供給機構41を備えている。液漕43は、シリコンインゴット13の切削部の上流側に位置する回転ローラ19aとシリコンインゴット13の切削部との間に配置されている。ワイヤ引き回し用ローラ42a、42b、42c、42dは、ワイヤ14の走行方向上流側よりこの順で配置されている。また、ワイヤ引き回し用ローラ42a、42dは、液体成分23の液面より上方に配置され、ワイヤ引き回し用ローラ42b、42cは、液体成分23の液面より下方に配置されている。このため、液体成分収容部としての液槽43内にワイヤ14を案内可能となっている。
このようなスラリ供給機構40によって、スラリをワイヤ14に供給する際には、まず、回転ローラ19a、19bの間を走行するワイヤ14は、ワイヤ引き回し用ローラ42aを介して液槽43内に進入し、ワイヤ引き回し用ローラ42b、42cに案内される過程で液体成分23が付着され、ワイヤ引き回し用ローラ42dを介して液槽43外へ送出される。次いで、液体成分23が付着した後のワイヤ14に、砥粒供給機構22から砥粒24が供給されると、ワイヤ14上で液体成分23と砥粒24とが一緒になってワイヤ14によりシリコンインゴット13の切削部に運ばれる。
本実施の形態3によれば、ワイヤ14がシリコンインゴット13の切削部の上流側に配置された液槽43内を通過するように構成されているので、液槽43から送出されたワイヤ14には、適量の液体成分23が付着されるので、液体成分23の無駄が省かれ、ウエハの製造コストを抑制することができる。また、液体成分23の回収・循環機構が不必要となり、構造が簡便になる。
実施の形態4.
図8は、本発明の実施の形態4に係るスラリ供給機構50を説明する図であり、図8(a)はその断面図、図8(b)はA矢視図である。なお、実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
実施の形態4に係るスラリ供給機構50は、液体成分23を収容する液体成分収容部としての液漕53を有する液体成分供給機構51を備えている。この液漕53の構成面としての側面部のうち対向する2つの側壁部54a、54bには、液槽43内にワイヤ14を通過させるためのスリット状の孔55a、55bがそれぞれ設けられている。孔55a、55bが設けられた位置は、液漕53に液体成分23が収容されたときに、液体成分23の液面よりも下方となる位置になっている。そして、図8(b)に示されるように、回転ローラ19a、19bに掛け渡されて構成されたワイヤ14の列は、このスリット状の孔55a、55bを通過するように配置されている。また、液槽53の下部に回収用のトレー52が設けられている。このため、液体成分23の粘度によって、孔55aとワイヤ14との隙間から液体成分23が漏れ出てくる場合であっても、液体成分23を容易に回収して再利用可能とし、また、加工室27内の汚れを防止することができる。
このようなスラリ供給機構40によって、スラリをワイヤ14に供給する際には、まず、回転ローラ19a、19bの間を走行するワイヤ14は、一方の孔55aを通って液槽53内に進入し、液槽53内を通過する過程で液体成分23と接触して液体成分23が付着され、他方の孔55bを通って液槽43外へ送出される。次いで、液体成分23が付着したワイヤ14に、砥粒供給機構22から砥粒24が供給されると、ワイヤ14上で液体成分23と砥粒24とが一緒になってワイヤ14によりシリコンインゴット13の切削部に運ばれる。
本実施の形態4によれば、前記実施の形態3で示したワイヤ引き回し用ローラ42a、42b、42c、42dを必要としないため、ワイヤ14に付着した液体成分23を歩留まりよくシリコンインゴット13に送り込むことができ、さらなるコストの低減が可能となる。
また、本発明によるワイヤソーでは、砥粒供給機構22は、液体成分供給機構21とシリコンインゴット13を切断する部位との間の上方に配置したが、液体成分23が供給されて濡れたワイヤ14に向けて砥粒24を供給可能な位置であればこれに限定されない。
また、本発明に係るスラリ供給機構では、トレー形状の砥粒散乱防止機構36を用いたが、砥粒24の散乱を防止できる形状であればこれに限定されない。例えば、ワイヤ14が通過可能な孔を設けた箱状のもので砥粒供給機構22を覆ってもよい。これにより、砥粒24の散乱をより効果的に防止することができる。
本発明の実施の形態1に係るワイヤソーを説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係るワイヤソーによるインゴットの切断工程を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係るワイヤソーのスラリ供給機構を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る液体成分粘度を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係るワイヤたわみ量を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係るワイヤソーのスラリ供給機構を説明するための図である。 本発明の実施の形態3に係るワイヤソーのスラリ供給機構を説明するための図である。 本発明の実施の形態4に係るワイヤソーのスラリ供給機構を説明するための図である。
符号の説明
10 ワイヤソー、11 インゴット送り機構、12 ワイヤ送り機構、13 シリコンインゴット、14 ワイヤ、15 ワイヤ送出機構、16 ワイヤ巻取機構、17 張力制御ローラ、18 シリコンインゴット切削用スラリ、19a、19b 回転ローラ、20 スラリ供給機構、21 液体成分供給機構、22 砥粒供給機構、23 液体成分、24 砥粒、25 液体成分垂れ受けトレー、26 砥粒散乱防止機構、27 加工室、30 スラリ供給機構、31 液体成分供給機構、32 砥粒供給機構、33 液槽、34 カットローラ、35 液体成分垂れ受けトレー、36 液体成分供給ノズル、37 クリーニングスキージ、38 液体成分残渣受けトレー、39 液体成分転写ローラ、40 スラリ供給機構、41 液体成分供給機構、42a〜42d ワイヤ引き回し用ローラ、43 液槽、50スラリ供給機構、51 液体成分供給機構、52 トレー、53 液槽、54a、54b 側壁部、55a、55b 孔。

Claims (4)

  1. 複数のローラ間で走行するワイヤに、液体成分と砥粒とを含むスラリを供給しながらワークを切断するワイヤソーにおいて、
    前記ワークを切断する部位の上流側に設けられ、前記液体成分をワイヤに供給する液体成分供給機構と、
    前記液体成分が供給された後のワイヤに前記砥粒を供給する砥粒供給機構と、
    を有するスラリ供給機構を備えたことを特徴とするワイヤソー。
  2. 前記スラリ供給機構が、砥粒散乱防止機構を更に有することを特徴とする請求項1に記載のワイヤソー。
  3. 前記液体成分供給機構が、液体成分転写手段と、前記液体成分転写手段への前記液体成分の供給量を調整する調整手段とを備え、前記液体成分転写手段が前記ワイヤと接触することによって、前記液体成分を前記ワイヤに供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤソー。
  4. 前記液体成分供給機構が、前記液体成分を収容する液体成分収容部を有し、前記液体成分収容部内を前記ワイヤが通過することによって、前記液体成分を前記ワイヤに供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤソー。
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