JP2005131649A - 樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法、しごき成形用ダイス - Google Patents

樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法、しごき成形用ダイス Download PDF

Info

Publication number
JP2005131649A
JP2005131649A JP2003367148A JP2003367148A JP2005131649A JP 2005131649 A JP2005131649 A JP 2005131649A JP 2003367148 A JP2003367148 A JP 2003367148A JP 2003367148 A JP2003367148 A JP 2003367148A JP 2005131649 A JP2005131649 A JP 2005131649A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
coated metal
ironing
die
lubricant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003367148A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4418206B2 (ja
Inventor
Minoru Kanehara
稔 兼原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiwa Can Co Ltd
Original Assignee
Daiwa Can Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiwa Can Co Ltd filed Critical Daiwa Can Co Ltd
Priority to JP2003367148A priority Critical patent/JP4418206B2/ja
Publication of JP2005131649A publication Critical patent/JP2005131649A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4418206B2 publication Critical patent/JP4418206B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】 設備の大幅な改造を必要とせず、樹脂被覆金属缶体の外面の樹脂の損傷を防ぐ樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法、しごき成形用ダイスの提供。
【解決手段】 しごき成形用ダイス1が、樹脂被覆金属缶体の挿入方向に平行で軸対称なランド面3と、入り口側からランド面3に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面2とを有し、入り口面2におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に、しごき加工中の樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られた潤滑剤4を一時的に貯溜してランド面3へ流下する貯溜手段(凹部5)を形成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂被覆金属板の表面に潤滑剤が塗布された後、該樹脂被覆金属板から有底円筒状のカップを成形し、そのカップを絞りしごき成形あるいはしごき成形により有底円筒缶体を形成する成形方法、特にパンチが垂直方向に移動する縦型製缶機により加工潤滑液を供給しないドライ状態で成形するしごき成形方法、および、それに用いられるしごき成形用ダイスに関する。
本発明において対象とするしごき成形方法とは有底円筒缶体をしごき成形のみにより成形する場合の他、絞り成形としごき成形を同一の工程で行う絞りしごき成形の場合におけるしごき成形、即ち、1回のパンチの移動で絞り加工としごき加工を同時に行う場合のしごき成形にも適用できるものである。
即ち、樹脂被覆金属板から缶体を形成する一連の成形工程のなかに、少なくともしごき加工が含まれていれば適用できる。
従来、種々の飲料の容器として、スチールやアルミ等の金属板を絞り成形及びしごき成形して製造されるDI缶が使用されている。
このDI缶は、下記のような工程によって製造される。
先ず、金属板を所定形状(通常は円形)に打ち抜き、次いで、これを絞り加工によって有底円筒状のカップに成形し、さらに、しごき成形によって所定の厚さ及び外形寸法とした後、トリミングによって高さを所定の寸法に整える。
このように加工された缶体は、洗浄の後、内外面塗装、表面印刷が施されると共に、ネック部及びフランジ部が形成され、飲料メーカーなどの需要者へ送り出される。
前記しごき成形時には、大量の冷却剤を兼ねた加工潤滑液を使用し、加工した缶を脱脂・洗浄・化成処理するための装置並びにその排水処理設備が必要となる。
そこで、表面を樹脂で被覆した金属板の表面に予め、加熱により揮発する潤滑剤を塗布し、該樹脂被覆金属板を絞り加工して樹脂被覆金属缶体を形成することにより、しごき加工時に加工潤滑液を供給しないドライ状態でしごき成形する製缶方法が行われている(特許文献1参照)。
この方法では、樹脂により被覆された金属板を使用し、缶体を成形した後、缶体表面から潤滑剤が加熱により揮発して除去されるので、従来のDI缶製造における脱脂・洗浄・化成処理工程及びその排水処理設備を省略することが可能であり、これらの設備費用、燃料、電気、水などの副資材にかかる製缶コストが大幅に節約できる。
また、環境に与える負荷も小さく、環境問題が大きな社会的問題となっている現代においては、望ましい製缶方法といえる。
このような樹脂被覆金属缶体のドライ状態でのしごき成形においては、従来、図9に示すように、入り口側から徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面02と、該入り口面に連なるランド面03と、ランド面03から徐々に直径が大きくなる出口面06を有するダイス01が用いられているが、樹脂被覆金属缶体K1の外面の樹脂が削り取られて樹脂皮膜が損傷を受ける場合があり、また、ダイス01に、削り取られた樹脂が堆積すると、樹脂被覆金属缶体K1のしごき成形時の抵抗が大きくなって、樹脂被覆金属缶体K1の破断を生じる問題があり、製缶の歩留まりを悪化させ、コストを増加させる原因となっていた。このような問題に対し、種々のしごき成形方法や成形用ダイスが提案されている(特許文献2、3参照)。
また、前述したような問題に対し、しごき成形の工程数を増やして、一工程当たりの加工量を小さくし、缶体のしごき成形時の抵抗を抑制して破断を防ぐ方法が用いられるが、工程を増やす為に設備が必要となり、これもコストを増加させる要因となっていた。
このような樹脂被覆金属缶体の樹脂の損傷が発生する原因の一つは、樹脂被覆金属板に塗布した潤滑剤がしごき成形の工程を経る毎に減少して十分な潤滑効果が得られなくなり、摩擦熱によって被覆樹脂の品質が劣化するためであると考えられ、しごき成形の工程を経る毎にその劣化の度合いは増大する。その理由は以下のように考えられる。
従来のしごき成形用ダイスの入り口面の角度は一般的に数度から十数度程度の小さな値に設定されるため、図10に示すように、樹脂被覆金属缶体K1の側壁と入り口面02との間に挟まれて形成される空間の容積は小さく、結果、パンチP1によるしごき成形時に金属板表面から掻き取られて、その空間に溜まる潤滑剤以外のほとんどの潤滑剤04は入り口面からダイス01の上面に溢れてしまう。
従って、しごき成形が終了して樹脂被覆金属缶体がしごき成形用ダイスから取り去られた後に、掻き取られてしごき成形用ダイスの入り口面に残っていた潤滑剤が流れ落ちてランド面に達しても、その量はごく僅かであり、ランド面へ潤滑剤を補給する効果はほとんどなかった。
しかも、しごき成形の際、樹脂被覆金属缶体の外面の潤滑剤の大部分はしごき成形用ダイスによって掻き取られるために、しごき成形の工程を経る毎に、缶体外面における該潤滑剤の付着量が減少する。
このようなことから、しごき成形の工程を経る毎に樹脂被覆金属缶体としごき成形用ダイスの間の摩擦抵抗が大きくなって、その摩擦熱により樹脂被覆の品質が劣化・損傷すると考えられる。
また、樹脂被覆金属板から樹脂被覆金属缶体を成形する場合、しごき成形用ダイス内にパンチを挿入してしごき加工した樹脂被覆金属缶体をダイス下側に配置したストリッパ等により缶体をパンチから抜き落として次工程へ搬送する方式の他、缶体をパンチに保持したままダイスの上方へ引き上げてから缶体をパンチから抜き取って次工程へ搬送する方式が採られる場合がある。
この場合には、樹脂被覆金属缶体が引き上げられる際に、該樹脂被覆金属缶体と入り口面との間の空間に、しごき成形時に掻き取られて貯溜された潤滑剤の一部が、樹脂被覆金属缶体の外面に再度付着することになるが、従来のしごき成形用ダイスにおいては、前述と同様の理由で、工程を経る毎にその量は少なくなる。
従って、しごき成形の工程数が増える程、潤滑剤の量が減少し、樹脂被覆金属缶体としごき成形用ダイスの間の摩擦抵抗が大きくなって摩擦熱が発生し樹脂が劣化することによって、樹脂被覆金属缶体の外面が損傷した不良品の発生が増加することになる。
このような問題に対し、潤滑剤を供給し鋼板から成形された缶体のしごき成形の場合に、潤滑効果を改善したしごき成形用ダイスとして、入り口面に細かい溝を複数本成形し、該溝に潤滑剤を貯溜させて缶外面とダイスの摩擦を減少させた技術が公知となっている(特許文献4参照)。
特開2000−33430号公報 特開2003−19518号公報 特開平9−285828号公報 米国特許4040282号
しかしながら、特許文献4記載のしごき成形用ダイスを、本発明で対象とするような樹脂被覆金属缶体の成形方法に適用する場合、細かい溝が入り口面とランド面との境界まで形成されているため、逆に、樹脂被覆金属缶体の外面の樹脂皮膜が溝に食い込んで削り取られ、損傷してしまう。
また、溝に食い込んで削り取られた樹脂は、そのまま溝に詰まってしまい、潤滑効果が低下し、ランド面への潤滑剤の流下も阻害され、不良品が多発してしまう結果となり使用できなかった。
さらに、特許文献4に記載のしごき成形用ダイスは、前記溝の各々が入り口面における上端からランド面の境界に達する全面に形成されていて掻き取られた潤滑剤は入り口面から流出し易い構造となっており、該潤滑剤を貯溜する能力に乏しいという問題点があった。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、設備の大幅な改造を必要とせず、樹脂被覆金属缶体の外面の樹脂の損傷を防ぐ樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法、しごき成形用ダイスを提供することを目的とするものである。
本発明者は、樹脂被覆金属板に塗布した潤滑剤がしごき成形の際にしごき成形用ダイスによって掻き取られ、缶外面の潤滑剤の付着量がしごき成形の工程を経る毎に減少し、十分な潤滑効果が得られなくなるのを防ぐため、しごき成形用ダイスの入り口面に、しごき成形中に掻き取られる潤滑剤を一時的に貯溜し、その後、ランド面へ流下するようにした貯溜手段を設けることにより、缶外面の樹脂が損傷した不良品の発生率が大幅に減少することを見出し、本発明に至った。
すなわち、請求項1記載の発明においては、少なくとも缶外面となる面に樹脂が被覆された樹脂被覆金属板の缶外面となる樹脂被覆表面に潤滑剤が塗布された後、該樹脂被覆金属板から底部を有する筒状の樹脂被覆金属缶体を形成し、該樹脂被覆金属缶体をパンチに保持させた状態でしごき成形用ダイスに挿入させることにより、該樹脂被覆金属缶体を所定の外形にしごき加工する樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法において、前記しごき成形用ダイスが、入り口側からランド面に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面を有し、前記入り口面におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に貯溜手段を形成し、前記しごき成形用ダイスによって樹脂被覆金属缶体がしごかれて加工される際に、該樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られる潤滑剤が前記貯溜手段に一時的に貯溜するようにし、前記樹脂被覆金属缶体が少なくともしごき加工を受けた後、前記貯溜手段に貯溜された潤滑剤がランド面に流下するようにしたことを特徴とする。
請求項2記載の発明においては、少なくとも缶外面となる面に樹脂が被覆された樹脂被覆金属板の缶外面となる樹脂被覆表面に潤滑剤が塗布された後、該樹脂被覆金属板から底部を有する筒状の樹脂被覆金属缶体を形成し、該樹脂被覆金属缶体をパンチに保持させた状態でしごき成形用ダイスに挿入させることにより、該樹脂被覆金属缶体を所定の外形にしごき加工する樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法において、前記しごき成形用ダイスが、入り口側からランド面に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面を有し、前記入り口面におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に貯溜手段を形成し、前記しごき成形用ダイスによって樹脂被覆金属缶体がしごかれて加工される際に、該樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られる潤滑剤が前記貯溜手段に一時的に貯溜するようにし、前記樹脂被覆缶体がしごき加工を受けた後、逆方向にパンチを引き戻して前記しごき成形用ダイスから引き抜く際に、パンチで保持されたままの缶体表面に前記貯留手段に貯留された潤滑剤を付着させることを特徴とする。
請求項3記載の発明においては、少なくとも缶外面となる面に樹脂が被覆された樹脂被覆金属板の缶外面となる樹脂被覆表面に潤滑剤が塗布された後、該樹脂被覆金属板から底部を有する筒状の樹脂被覆金属缶体を形成し、該樹脂被覆金属缶体をパンチに保持させた状態でしごき加工する際に用いられる樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスであって、入り口側からランド面に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面を有し、前記入り口面におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に、樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られた潤滑剤をしごき加工中に一時的に貯溜してランド面へ流下させる貯溜手段を備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明においては、請求項3記載の樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスにおいて、前記貯溜手段が入り口面の一部に形成された凹部であることを特徴とする。
請求項5記載の発明においては、請求項4記載の樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスにおいて、前記凹部を入り口面の周方向に亘って連続する溝状に形成したことを特徴とする。
請求項6記載の発明においては、請求項4または5記載の樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスにおいて、前記入り口面とランド面の境界から凹部下端までの距離が0.5mm以上3.0mm以下であることを特徴とする。
請求項1および2記載の発明にあっては、しごき成形用ダイスが、樹脂被覆金属缶体の挿入方向に平行で軸対称なランド面と、入り口側からランド面に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面とを有し、しごき成形用ダイスの入り口面におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に貯溜手段が形成される。
そして、前記しごき成形用ダイスによって樹脂被覆金属缶体が加工される際に、貯溜手段は樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られた潤滑剤をその加工中に一時的に貯溜する。
そして、樹脂被覆金属缶体が少なくともしごき加工を受けた後、前記貯溜手段により貯溜されていた潤滑剤がランド面に流下する。
即ち、しごき加工中に一時的に貯留手段に貯留された潤滑剤の少なくとも一部が、次の缶体をしごき加工する前に該缶体と接触するランド面に流下して、該ランド面を覆う。
このことにより、缶体表面における潤滑剤の付着量が少ない樹脂被覆金属缶体をしごき加工する場合でも、貯溜手段からランド面に流下する潤滑剤により十分な潤滑効果が得られ、樹脂被覆金属缶体とランド面との摩擦熱による樹脂の劣化・損傷を防止できる。
また、従来の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法に比べて、貯溜手段がしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に形成されるため、該貯留手段により樹脂被覆金属缶体の樹脂が削り取られて損傷する虞がない。
請求項2記載の発明にあっては、しごき加工した樹脂被覆金属缶体をパンチで保持したまま、逆方向に引き戻してしごき成形用ダイスから引き抜き、次工程へ搬送する場合には、ランド面に潤滑剤を流下させる効果の他、貯溜手段に貯溜された潤滑剤が樹脂被覆金属缶体を引き抜く際に樹脂被覆金属缶体の表面へも付着するため、さらに潤滑効果を高められる。
その結果、樹脂被覆金属缶体とランド面との潤滑効果を高められることにより、各工程でのしごき加工率を高くすることができるため、しごき成形における工程数を減少させることも可能となり、ひいては、この種の樹脂被覆金属缶体の生産性を大幅に向上できる。
請求項3記載の発明にあっては、しごき成形用ダイスが、入り口側からランド面に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面を有し、前記入り口面におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に、樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られた潤滑剤をしごき加工中に一時的に貯溜してランド面へ流下させる貯溜手段を備えるため、潤滑剤の付着量が少ない樹脂被覆金属缶体をしごき加工する場合でも、貯溜手段からランド面に流下した潤滑剤により十分な潤滑効果が得られ、樹脂被覆金属缶体とランド面との摩擦熱による樹脂の劣化・損傷を防止できる。
請求項4記載の発明にあっては、貯溜手段が入り口面の一部に形成された凹部であるため、潤滑剤を凹部に一時的に貯溜させ、該凹部から溢れ出した潤滑剤をランド面へ流下させることができ、装置の大幅な改造をすることなく掻き取られた潤滑剤を容易に貯溜させることができる上、同一の形状をもつ凹部を入り口面に複数設置する場合には、該凹部の設置数を変更することによって、流下する潤滑剤の量を容易に変更することができる樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスを提供できる。
請求項5記載の発明にあっては、凹部を入り口面の周方向に亘って連続する溝状に形成したため、凹部に溜められた潤滑剤がランド面に周方向から万遍なく流下する上、貯溜できる潤滑剤の量を可及的に増加させることができる樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスを提供できる。
請求項6記載の発明にあっては、入り口面とランド面の境界から凹部下端までの距離が0.5mm以上3.0mm以下であるとしたため、現状のDI缶を含む樹脂被覆金属缶体のしごき成形に最適な樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスを提供できる。
以下、本発明の実施例について詳述する。
図1は本発明の実施例の樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスの詳細図、図2は本実施例の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法を説明する図、図3はしごき加工中のしごき成形用ダイスを示す図である。
図4は本実施例のしごき成形用ダイスの凹部の断面形状の一例を示す図、図5は入り口面に対して垂直な方向(図1矢印イ方向)から見た本実施例のしごき成形用ダイスの凹部の平面形状の一例を示す図、図6は本実施例のしごき成形用ダイスの凹部5の断面形状の他の例を示す図、図7は本実施例のしごき成形用ダイスの凹部5が溝状に形成された一例を示す図、図8は本発明の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法のその他のしごき加工を説明する図である。
本実施例の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法では、先ず、樹脂被覆金属板を円形状に切断(打ち抜き)して得られたブランクに絞り加工を施し筒状の樹脂被覆金属缶体を形成し、その後、絞り加工、ストレッチ加工、しごき加工等を適宜組み合わせて底部を有する筒状の樹脂被覆金属缶体(以下、缶体と略す)Kを成形する。
ここで、樹脂被覆金属板の温度は、室温すわなち工場内の雰囲気温度である。
また、缶体Kの温度は、工場内の雰囲気温度あるいは前工程での余熱により雰囲気温度より幾分高い温度である。一例として、板材から打ち抜き、絞り加工により成形された缶体Kの温度は約50℃以下である。
以下、前記樹脂被覆金属板について詳述する。
前記樹脂被覆金属板の金属板としては、各種表面処理鋼板、アルミニウム合金板等が好適に用いられる。
通常、缶容器の製造に用いられるものであれば特に限定されないが、表面処理金属鋼板としては、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の一種または複数の処理を行ったものを用いることが可能であり、アルミニウム合金としては、JIS3004系アルミ合金等が好ましい。
前記アルミニウム合金板の場合にも熱可塑性ポリエステル樹脂フィルムとの密着性を確保する目的から、表面処理を行うことが好ましく、リン酸クロム酸処理やリン酸ジルコニウム処理、特に加工度が大きい場合には、リン酸またはリン酸ジルコニウムと有機樹脂との有機無機複合型化成処理が有効である。
前記金属板を被覆する熱可塑性樹脂フィルムとしては、これも通常、缶容器の製造に用いられるものであれば特に限定されないが、好適には、特に耐熱性や耐内容物性の面から熱可塑性ポリエステル樹脂が用いられる。
そして、前述した金属板の好ましくは両面に公知の方法で樹脂フィルムを積層し樹脂被覆金属板を得る。
また、しごき加工性の面では、前記被覆された樹脂フィルムが非晶質であることが好ましい。
この非晶質樹脂被覆金属板を得る方法としては、加熱された金属板の表面に樹脂フィルムをラミネートロール間で熱圧着し積層させた後、直ちに急冷して樹脂を非晶質化する方法や、溶融した樹脂を金属板表面に押し出して積層させ急冷する方法や、一度、結晶性の樹脂を積層した金属板を樹脂の融点以上に加熱し急冷する方法などが用いられる。
また、予め公知の方法で形成した樹脂フィルムを接着剤により金属板に接着することも可能である。
接着剤としては、ポリエステル系樹脂やエポキシ系樹脂等、適宜選定出来る。
この樹脂被覆金属板の少なくとも缶外面側に相当する表面に、予め成形前に潤滑剤が塗布される。
前記潤滑剤は、しごき加工中に貯留手段により貯留された状態で液体状であれば、塗布された状態では液体状でも固体状でも良く、固体状の潤滑剤の場合、しごき加工中の加工熱によって液体状となるものが好適に用いられる。しごき加工中のダイスの温度が約40℃〜150℃であることから、融点が15℃〜80℃、好ましくは20℃〜40℃程度の脂肪酸エステルや流動パラフィン、またはそれらの混合物が用いられる。
潤滑剤の塗布方法については、スプレーによる塗布、ロールによる塗布、グラビアロールを使用した塗布など、適宜、公知の方法が用いられる。
これらの潤滑剤の場合には、片面の塗油量として30〜150mg/m程度の塗布量が実用上好ましい。
なお、30mg/m未満の塗布量では、塗布量が少なすぎ、しごき加工で掻き取られる潤滑剤の量も少なくなってしまうため実用的でない。
また、前記塗布量が150mg/mより大きくなると効果が飽和するため、経済的でない。
また、成形後、加熱により缶体表面に残った潤滑剤を揮発させる際に、塗布量が多すぎると、揮発の為に必要な熱量が多大となり、また潤滑剤が缶体表面に残ってしまう場合があり、好ましくない。
次に、本実施例の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法に用いられるしごき成形用ダイス(以下、ダイスと略す)1について詳述する。
図1に示すように、ダイス1は、入り口面側から徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面2と、該入り口側2に連なるランド面3を有する。
前記入り口面2の挿入軸となす角度αは適宜設定できるが、一般的には3°以上〜20°以下、より好適には5°以上〜15°以下の範囲に設定される。
なお、入り口面2の角度αが3°未満では、缶体Kと入り口面2の接触面積が大きくなり、摩擦力が大きくなるため軸方向の荷重が大きくなって、缶体Kの破断が発生し易くなる。また、後述する貯留手段の位置がランド面3から遠ざかるので好ましくない。
また、入り口面2の角度αが20°を超える場合も缶体Kにかかる軸方向荷重が大きくなり、缶体Kの破断が発生し易くなる。また、後述する貯留手段から潤滑剤が流下しにくくなるので、20°以下とするのが好ましい。
一般的に、前記ランド面3の長さは0.25mm以上1mm以下の範囲に設定される。
なお、ランド面3の長さが0.25mm未満では、後述するしごき加工が不安定になって缶体Kの側壁の厚みがばらついたり、偏肉が生じたりする。
また、ランド面3の長さが1mmより大きい場合には、接触長さが長すぎて缶体Kの側壁に傷が生じ易くなる。
図1において、前記ランド面3は挿入軸に対して平行な円筒面上に形成されているが、挿入軸に対して所定の角度を持ち、挿入方向に対して徐々に直径が大きくなるようなテーパ状、あるいは、逆に直径が小さくなるようなテーパ状に形成されていても良い。
また、入り口面2とランド面3との間の接続部は、断面図において、所定の曲率半径を持つように構成されていても良い。
そして、前記入り口面2には後述するしごき加工中の缶体Kと接触しない位置に凹部5(貯溜手段)が形成されている。
前記凹部5は断面形状が半円形状を成して入り口面2の周方向に亘って形成されている。
ダイス1の素材は特に限定されないが、タングステンカーバイド等を主成分とする超硬合金、アルミナやジルコニア等を主成分とするセラミックス、および該ダイス1の表面にTiNやDLC等の硬質皮膜処理を施したものが用いられる。
このように構成されたダイス1は、前記入り口面2を上に、出口面6を下にした状態で水平に配置されて用いられる。
具体的には、図2(a)〜(c)に示すように、缶体KをパンチPに保持させた状態で、該パンチPをダイス1の所定の内径のランド面3に上方の入り口側から挿入させて移動させると、ランド面3が缶体Kに接触してしごき加工し、該缶体Kの側壁が薄肉化されて所定の外形にしごき成形される。
この際、図3に示すように、しごき成形中に缶体表面から掻き取られた潤滑剤4は凹部5に一時的に貯溜され、しごき加工後に液状化した該潤滑剤4が凹部5から溢れて重力によりランド面3に流下・供給され、結果、所望の潤滑効果を得ることができる。
なお、図3において、7は缶体Kの樹脂部(本例では、樹脂被覆金属板の樹脂フィルムに相当)、8は缶体Kの金属部(樹脂被覆金属板の金属板に相当)である。
また、前記しごき加工において、下記の式で表されるしごき加工率としては10%〜80%の範囲で好適に行われる。
ここで、しごき加工率は、樹脂被覆金属板の板厚をt0、しごき加工後の缶体Kの側壁の厚みをt1としたとき、
しごき加工率(%)=(t0−t1)/t0×100
で表される。
このしごき加工率は、複数回のしごき加工を行って缶体を成形する場合には、その複数回のしごき加工を通じたトータルの加工率となる。
なお、しごき加工中に凹部5に溜められた潤滑剤4が、パンチPの前進あるいは後退によって缶体Kがダイス1の外へ出た時、すなわちランド面3を通過した後に、流れ落ちることによりランド面3へ流下することから、缶体Kの製造ラインにおける缶体Kの速度が速い場合、すなわち、しごき成形を行ってから前工程から搬送されてくる次の缶体をしごき加工するまでの間隔が短い場合、凹部5の位置は、加工中の缶体に接触しない範囲において、ランド面3に近いほうが好ましく、また、入り口面2の角度αが小さいほうが好ましい。
また、凹部5の好適な位置は、入り口面2の角度やしごき加工における缶体Kの側壁の厚みの減少量により適宜定まるが、一般的な条件においては、ランド面3の上端と凹部下端の距離が0.5mm以上3.0mm以下が好適である。
一般的な製造条件においては、前記距離が0.5mm以下の場合、凹部5がしごき成形中の缶体Kに接触して外面を損傷する虞があり、3.0mmを超える場合には、凹部5に溜められた潤滑剤が流れ落ちてランド面3に達するまでに時間がかかり、特に、潤滑剤の粘度が高い場合や、製缶スピードが速い場合には、十分な潤滑効果が得られない。
また、凹部5がランド面3に近すぎて、加工される缶体Kが凹部5に接触してしまう場合には、缶体Kの外面を損傷する原因となる。
また、図6に示すように、凹部5の下端と入り口面2との接続部13に角部が形成されると潤滑剤4が流出する際に抵抗が生じて流れ出しにくいため、図4(a)に示すように、少ない貯留量でも流下しやすいように滑らかなアールで接続されるように構成しても良く、入り口面2と凹部5の下端の接続角γが鈍角、好ましくは100°以上150°以下となるように傾斜を持つように構成しても良い(同図(b)、(c)参照)。
なお、入り口面2における凹部5の平面形状は、十分な量の潤滑剤が貯溜できるものであれば良く、例えば、図5(a)、(b)に示すように、円形状や矩形状の凹部5をダイス1の周方向に複数配置するもの等に任意に定めることができる。
この際、凹部5は周方向に等間隔となるように配置して、缶体Kが少なくともしごき加工を受けた後、ランド面3に潤滑剤ができるだけ流下するようにするのが好ましい。
さらに、凹部5の断面形状は、しごき加工中に潤滑剤を貯溜することができ、成形終了後に流出するように形成されていれば特に限定されず、例えば、前述した半円形の断面形状の他(図6(a)参照)、三角形状(同図(b)参照)、矩形状(同図(c)参照)など任意に設定することができる。
また、ダイス1の入り口面2に形成される凹部5の容積は、これも、潤滑剤の粘度や製造条件、また、缶体の側壁と入り口面2との間に挟まれて形成される空間の容積等によって適宜設定され、凹部5に貯留された潤滑剤が流下することが可能な容積であれば特に限定されないが、缶胴呼び径202(直径約53mm)〜211(直径約66mm)の場合、好ましくは30mm〜200mmが好適である。言い換えれば、凹部5の容積を上記範囲で大きく選択するか、あるいは凹部5を連続的に形成するように選択すれば、缶体の側壁と入り口面2との間に形成される空間の容積が比較的小さい場合に、効果的に潤滑剤を貯留し補給することができ、しかも、しごき成形中にダイス1によって掻き取られた潤滑剤がその空間からダイス上面に溢れ出ようとするのを止める抵抗手段としても作用することになる。
なお、前記凹部5の容積が30mm未満では、凹部5において貯溜できる潤滑剤の量が少なく、潤滑剤の界面張力により凹部5から潤滑剤が流下せず、十分な潤滑剤を補給することができない場合が生じる。
また、前記容積が200mmを超える場合は、潤滑効果が飽和する他、放電加工等でダイス1に凹部5を形成する際の加工量が多くなり、結果、ダイス1の製作費用が高くなって設備コストを増加させるため好ましくない。
さらに、図7に示すように、前記凹部5が、入り口面2の周方向に亘って連続して溝状に形成されていれば、周方向から万遍なく潤滑剤を補給することができ、缶胴径が大きい場合でも、均一な潤滑効果が期待できる。
この場合、溝状の凹部5は、前述した入り口面2の周方向に直線状に形成する他(図7(a)参照)、溝状の凹部5を入り口面2で波線状(同図(b)参照)に形成することもできる。また、複数条の形状にすることも可能である。
なお、波線状に形成した場合には、直線状に形成した場合に比べて、しごき加工中に貯溜できる潤滑剤の量を増やすことができる。
また、しごき成形後、掻き取られて凹部5に貯留された潤滑剤の大部分を流下させるため、凹部5の表面は潤滑剤をはじく性質(撥油性)を有することが望ましい。
撥油性を付与する方法としては、フッ素樹脂を塗布する方法や、フッ素系界面活性剤、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、有機クロム系カップリング剤などにより凹部5表面に撥油性の化合物層を形成する方法等が挙げられる。
以下、後述する実施例1、2及び比較例の条件下で缶体Kをしごき成形した場合の比較実験結果について詳述する。
<実施例1>
先ず、両面に公知の方法で錫メッキを施し、次いで、両面にクロム酸処理を施した板厚0.2mm、硬度T−3CAの鋼板の両面に、ガラス転移温度(Tg)が64℃、冷結晶化温度(Tc)が122℃、融点が241℃、厚み20μmのニ軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを熱圧着法で接着した後、加熱・冷却し、非晶質化ポリエステル樹脂フィルム被覆ラミネート板を形成した。
次いで、上記ポリエステル樹脂フィルムを被覆したラミネート板のフィルム面の両面に成形用潤滑剤として、融点が約20℃、25℃における比重が約0.86、30℃における粘度が約8mPa・sの脂肪酸エステル系潤滑剤をスプレーにより塗油した。
なお、塗油量は150mg/mとした。
この樹脂被覆鋼板を直径約153mmの円形に切断し、2回の絞り加工により内径約66mmの開口部にフランジF(図2参照)を有する缶体Kを形成した。
この缶体Kに対し、前述したしごき成形装置及び成形方法、しごき成形用ダイスを用いて、第1工程から第4工程まで4回のしごき成形を行うことにより缶体Kの側壁を薄肉化させて缶胴呼び径が211(直径約66mm)の所望の缶体Kを得た。
それぞれの工程では、缶体Kの側壁が、第1工程では0.19mm、第2工程では0.15mm、第3工程では0.13mm、第4工程では0.10mmとなるようにランド面3の直径を変更したダイス1を使用した。
実施例1で用いたダイス1の凹部5は、図5(b)に示したものであり、平面形状の周方向の長さが3mmの矩形を約3mmの間隔で配置し、その断面形状が図4(a)に示すような半径0.5mmの半円として形成され、入り口面2と滑らかなアールで接続し、入り口面2における凹部5の容積の総和が約40mmとなるように構成した。
また、凹部5の位置は、入り口面2とランド面3の境界から凹部5の断面における下端までの距離Lが2.4mmとなるように設定した。
また、入り口面2の角度αは5°、出口面の角度β(図1参照)は1°とした。
<実施例2>
実施例2として、凹部5を周方向に連続した溝状(図7参照)に構成したダイス1を使用した。
前記凹部5の断面形状は半径0.5mmの半円状で、凹部5の容積は約80mmであり、それ以外の製造条件は実施例1と同様の成形条件で所望の缶体Kを形成した。
<比較例>
比較例として、入り口面2に凹部5を持たないしごき成形用ダイスを使用し、その他の条件は実施例1と同様の成形条件で所望の缶体Kを形成した。
なお、補足ではあるが特許文献1の従来型のしごき成形用ダイスは、前述したように缶体の樹脂が溝によってすぐに削られて破損するため比較にならない。
実施例1、実施例2、比較例の缶体Kにおいて、各工程で成形された缶体Kの表面に付着している潤滑剤の量を測定した。
潤滑剤の測定方法は、各工程で成形された直後の缶体Kの重量を測定し、その後、その缶体Kを加熱して潤滑剤を揮発させてから、再度缶体Kの重量を測定し、両者の差から表面に付着した潤滑剤の量を求めた。
その結果を表1に示す。
Figure 2005131649
まず、実施例1、2と比較例の缶体Kの潤滑剤付着量を比較すると、実施例1、2の付着量が全ての工程において比較例を上回っている。
従って、実施例1、2のダイス1が、しごき加工中に掻き取られた潤滑剤4を缶体Kの表面に再度付着させる効果があることがわかる。
即ち、実施例1、2においては、缶体Kの表面に付着する潤滑剤の量について十分な量を確保でき、不良品の発生を低下させることができる。
また、実施例1、2と比較例のダイス1を使用し、前述の樹脂被覆鋼板を使用して約300缶の連続成形テストを行ったところ、比較例のダイスを使用した場合には約10%の樹脂フィルムの損傷が発生したが、実施例1、2の場合では、ほとんど皆無となり、本発明の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法、しごき成形用ダイスが、しごき成形による缶体Kの樹脂の損傷を抑制する効果を有することが証明された。
以上説明したように、本実施例の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法、しごき成形用ダイスによれば、しごき成形用ダイス1の入り口面2に凹部5(貯溜手段)を設け、しごき加工中に缶体Kの表面から掻き取られる潤滑剤4を凹部5に溜めておき、該潤滑剤4をしごき成形終了後にランド面3に流下することにより、缶体Kとダイス面3間の潤滑状態を改善し、缶体Kの表面の樹脂フィルムの損傷が発生することを抑制し、不良品の発生を減少させ、歩溜まりよくDI缶を含むこの種の樹脂被覆金属缶体を製造することができる。
また、従来と同一の設備を使用することができるため、大幅な設備の改造の必要がなく生産効率を上げることができ、DI缶を含むこの種の樹脂被覆金属缶体の製造コスト低減を図ることができる。
以上、本発明の実施例を説明してきたが、本発明の具体的構成は本実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。
例えば、本実施例では、フランジを形成した缶体KをパンチPにより保持し、缶体Kの側壁にしごき加工を施したまま、しごき成形用ダイス1から上方へ抜き出して、次工程へ搬送する場合について説明したが、図8(a)〜(d)に示すように、フランジFを形成しない缶体K1をダイス1に挿入させて缶体Kの側壁をしごき加工し、該ダイス1の下側に配置したストリッパSにより缶体KをパンチPから抜き落とす方式でも良い。
この場合、次の缶体をしごき加工するまでの間隔が、前述のように上方へ缶体を抜き出す場合より長く確保でき、潤滑剤の補給に有利となる。
また、本発明の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法、しごき成形用ダイスは、本実施例のように、絞り加工を行った缶体あるいは、絞り加工およびしごき加工を行った缶体にしごき加工を施す場合に適用できる他、絞りしごき加工(絞り加工としごき加工を同一の工程、即ち、1回のパンチの移動で行う加工)の場合のしごき加工に対しても適用できる。
また、本実施例では複数回の工程で缶体Kの側壁厚を減少させる場合について説明したが、ランド面の直径が異なる複数のダイスを同一軸線上に配置し、一回のパンチの移動で、すなわち、一回の工程で前述の場合の複数工程分の側壁厚の減少を行う方式の場合にも適用できる。
また、凹部5が形成される位置は、入り口面2において、缶体Kと接触しない位置に形成されていれば良く、形状、個数、列数や、連続的あるいは不連続に配置するなど、適宜設定することができる。
本発明の実施例の樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスの詳細図である。 本実施例の樹脂被覆金属缶体のしごき加工方法を説明する図である。 本実施例のしごき加工中のダイスを示す図である。 本実施例のしごき成形用ダイスの凹部の断面形状の一例を示す図である。 入り口面に対して垂直な方向(図1矢印イ方向)から見た本実施例のしごき成形用ダイスの凹部の平面形状の一例を示す図である。 本実施例のしごき成形用ダイスの凹部の断面形状の他の例を示す図である。 本実施例のしごき成形用ダイスの凹部が溝状に形成された一例を示す図である。 本発明の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法のその他のしごき加工を説明する図である。 従来の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法およびしごき成形用ダイスを説明する図である。 従来の樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法およびしごき成形用ダイスを説明する図である。
符号の説明
K (樹脂被覆金属)缶体
P パンチ
1 しごき成形用ダイス
2 入り口面
3 ランド面
4 潤滑剤
5 凹部
6 出口面
7 (樹脂被覆金属缶体の)樹脂部
8 (樹脂被覆金属缶体の)金属部
13 接続部

Claims (6)

  1. 少なくとも缶外面となる面に樹脂が被覆された樹脂被覆金属板の缶外面となる樹脂被覆表面に潤滑剤が塗布された後、該樹脂被覆金属板から底部を有する筒状の樹脂被覆金属缶体を形成し、該樹脂被覆金属缶体をパンチに保持させた状態でしごき成形用ダイスに挿入させることにより、該樹脂被覆金属缶体を所定の外形にしごき加工する樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法において、
    前記しごき成形用ダイスが、入り口側からランド面に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面を有し、
    前記入り口面におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に貯溜手段を形成し、
    前記しごき成形用ダイスによって樹脂被覆金属缶体がしごかれて加工される際に、該樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られる潤滑剤が前記貯溜手段に一時的に貯溜するようにし、
    前記樹脂被覆金属缶体が少なくともしごき加工を受けた後、前記貯溜手段に貯溜された潤滑剤がランド面に流下するようにしたことを特徴とする樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法。
  2. 少なくとも缶外面となる面に樹脂が被覆された樹脂被覆金属板の缶外面となる樹脂被覆表面に潤滑剤が塗布された後、該樹脂被覆金属板から底部を有する筒状の樹脂被覆金属缶体を形成し、該樹脂被覆金属缶体をパンチに保持させた状態でしごき成形用ダイスに挿入させることにより、該樹脂被覆金属缶体を所定の外形にしごき加工する樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法において、
    前記しごき成形用ダイスが、入り口側からランド面に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面を有し、
    前記入り口面におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に貯溜手段を形成し、
    前記しごき成形用ダイスによって樹脂被覆金属缶体がしごかれて加工される際に、該樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られる潤滑剤が前記貯溜手段に一時的に貯溜するようにし、
    前記樹脂被覆缶体がしごき加工を受けた後、逆方向にパンチを引き戻して前記しごき成形用ダイスから引き抜く際に、パンチで保持されたままの缶体表面に前記貯留手段に貯留された潤滑剤を付着させることを特徴とする樹脂被覆金属缶体のしごき成形方法。
  3. 少なくとも缶外面となる面に樹脂が被覆された樹脂被覆金属板の缶外面となる樹脂被覆表面に潤滑剤が塗布された後、該樹脂被覆金属板から底部を有する筒状の樹脂被覆金属缶体を形成し、該樹脂被覆金属缶体をパンチに保持させた状態でしごき加工する際に用いられる樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスであって、
    入り口側からランド面に向かって徐々に直径が小さくなるテーパ状の入り口面を有し、
    前記入り口面におけるしごき加工中の樹脂被覆金属缶体と接触しない位置に、樹脂被覆金属缶体の表面から掻き取られた潤滑剤をしごき加工中に一時的に貯溜してランド面へ流下させる貯溜手段を備えることを特徴とする樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス。
  4. 請求項3記載の樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスにおいて、
    前記貯溜手段が入り口面の一部に形成された凹部であることを特徴とする樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス。
  5. 請求項4記載の樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスにおいて、
    前記凹部を入り口面の周方向に亘って連続する溝状に形成したことを特徴とする樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス。
  6. 請求項4または5記載の樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイスにおいて、
    前記入り口面とランド面の境界から凹部下端までの距離が0.5mm以上3.0mm以下であることを特徴とする樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス。
JP2003367148A 2003-10-28 2003-10-28 樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス Expired - Fee Related JP4418206B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003367148A JP4418206B2 (ja) 2003-10-28 2003-10-28 樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003367148A JP4418206B2 (ja) 2003-10-28 2003-10-28 樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005131649A true JP2005131649A (ja) 2005-05-26
JP4418206B2 JP4418206B2 (ja) 2010-02-17

Family

ID=34645242

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003367148A Expired - Fee Related JP4418206B2 (ja) 2003-10-28 2003-10-28 樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4418206B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101342903B1 (ko) 2013-06-25 2013-12-23 이형민 자동차 에이비에스 유닛용 어퍼 케이스의 제조 방법
KR20180063822A (ko) * 2016-12-02 2018-06-12 아사히 세이키 고교 가부시키가이샤 프레스 하형 및 워크 성형 방법
JP2019155462A (ja) * 2018-03-16 2019-09-19 大和製罐株式会社 ツーピース缶の製造方法、缶胴及び金属板

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021154353A (ja) * 2020-03-27 2021-10-07 東洋製罐グループホールディングス株式会社 有底筒状体の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101342903B1 (ko) 2013-06-25 2013-12-23 이형민 자동차 에이비에스 유닛용 어퍼 케이스의 제조 방법
KR20180063822A (ko) * 2016-12-02 2018-06-12 아사히 세이키 고교 가부시키가이샤 프레스 하형 및 워크 성형 방법
JP2019155462A (ja) * 2018-03-16 2019-09-19 大和製罐株式会社 ツーピース缶の製造方法、缶胴及び金属板
JP7154784B2 (ja) 2018-03-16 2022-10-18 大和製罐株式会社 ツーピース缶の製造方法及び缶胴

Also Published As

Publication number Publication date
JP4418206B2 (ja) 2010-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3863874B2 (ja) 金属板材の熱間プレス成形装置及び熱間プレス成形方法
JP4616737B2 (ja) 熱間プレス成形用金型及び熱間プレス成形装置並びに熱間プレス成形方法
CN102369077B (zh) 线放电加工用电极线及其制造方法
JP4564082B2 (ja) 摺動部材
KR101762555B1 (ko) 열간 프레스용 Al 도금 강판 및 열간 프레스용 Al 도금 강판의 제조 방법
KR20210027180A (ko) 납땜 노즐, 그 제조 방법 및 어셈블리의 선택적인 납땜 방법
JP4418206B2 (ja) 樹脂被覆金属缶体のしごき成形用ダイス
Bhaduri et al. Extrusion
JP2009242837A (ja) 工具磨耗低減銅合金鋳塊及び銅合金管
CN111699057B (zh) 通过壁拉延生产罐体的方法和设备
JP4627147B2 (ja) 樹脂被覆金属シームレス缶の製造方法および製造装置
CN101537519A (zh) 放电加工机切割线的制造方法
KR101309884B1 (ko) 표면품질, 성형성 및 내식성이 우수한 마그네슘 판재의 제조방법 및 그에 의하여 제조된 마그네슘 판재
JP5237525B2 (ja) マグネシウム合金板の成形加工性向上用処理液、それを用いたマグネシウム合金板の製造方法及び温間加工方法
JP5753698B2 (ja) 熱交換器用アルミニウムフィン及び熱交換器
TWI775245B (zh) 樹脂被覆金屬板及樹脂被覆拉伸引薄罐及其製造方法
JP2013056351A (ja) 鋼管のプレス加工方法
WO2011115166A1 (ja) 金属管の引抜方法
JP2005288482A (ja) 樹脂被覆金属シームレス缶成形用パンチ
JP4884127B2 (ja) 樹脂被覆金属シームレス缶の製造方法および製造装置
EP3725518A1 (en) Laminated steel having extremely low interface bubble rate and method for manufacturing same
JP2015217580A (ja) 摺動部品およびその製造方法
JP2002178049A (ja) 樹脂被覆シームレス缶体の製造方法
CN103817245B (zh) 一种金属塑性加工中主动润滑成形的方法
JP2013103246A (ja) 樹脂被覆金属シームレス缶の製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060502

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061010

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090305

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090317

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090515

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121204

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees