JP2005131647A - 成形性とろう付性に優れたアルミニウム材およびアルミニウムろう付品の製造方法 - Google Patents
成形性とろう付性に優れたアルミニウム材およびアルミニウムろう付品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005131647A JP2005131647A JP2003367045A JP2003367045A JP2005131647A JP 2005131647 A JP2005131647 A JP 2005131647A JP 2003367045 A JP2003367045 A JP 2003367045A JP 2003367045 A JP2003367045 A JP 2003367045A JP 2005131647 A JP2005131647 A JP 2005131647A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum
- brazing
- flux
- aluminum material
- lubricating film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
【課題】 親水性の潤滑剤を適量塗布して、加工機やろう付炉の汚染がなく、良好なろう付性が得られるアルミニウム材を提供する。
【解決手段】 アルミニウム基材1の表面層に揮発性を有する親水性潤滑性皮膜5を形成し、アルミニウム材10とする。また、所望により、アルミニウム基材1と親水性潤滑性皮膜5との間にろう材層2を形成してアルミニウム材11とする。アルミニウム材10、11は、成形加工した後、フラックス組成物を塗布して該フラックス組成物の乾燥処理を行うことによりフラックス組成物層6を形成し、その後、該アルミニウム材同士または該アルミニウム材と他の部材とを組み合わせてろう付に供する。
【選択図】 図2
【解決手段】 アルミニウム基材1の表面層に揮発性を有する親水性潤滑性皮膜5を形成し、アルミニウム材10とする。また、所望により、アルミニウム基材1と親水性潤滑性皮膜5との間にろう材層2を形成してアルミニウム材11とする。アルミニウム材10、11は、成形加工した後、フラックス組成物を塗布して該フラックス組成物の乾燥処理を行うことによりフラックス組成物層6を形成し、その後、該アルミニウム材同士または該アルミニウム材と他の部材とを組み合わせてろう付に供する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、熱交換器の部材などに用いられ、成形加工を経てろう付に供される成形性とろう付性に優れたアルミニウム材および該アルミニウム材を用いた熱交換器などのアルミニウムろう付品の製造方法に関するものである。
エバポレータなどの積層型の熱交換器は、張出し加工部と絞り加工部を有する一対のプレート材により冷媒流通部となる管路を形成させ、熱交換を促進するフィンとともにろう付して製造される。また、ラジエータやヒータコアなどのヘッダープレートやタンクも張出しや絞りなどを含む所定の加工が施された後、チューブなどと組み合わされてろう付により製造される。
上記ろう付を利用した製造方法では多くの場合、熱交換器等を構成するアルミニウム材(芯材)にろう材をクラッドしたブレージングシートが用いられており、該ブレージングシートの芯材には高い耐食性と強度を有するAl−Mn系合金が用いられ、該芯材にAl−Si系合金ろう材が組み合わされている。ろう付では非腐食性フラックスなどを用いたフラックスろう付や真空ろう付などが採用されている。
上記ろう付を利用した製造方法では多くの場合、熱交換器等を構成するアルミニウム材(芯材)にろう材をクラッドしたブレージングシートが用いられており、該ブレージングシートの芯材には高い耐食性と強度を有するAl−Mn系合金が用いられ、該芯材にAl−Si系合金ろう材が組み合わされている。ろう付では非腐食性フラックスなどを用いたフラックスろう付や真空ろう付などが採用されている。
また、積層型エバポレータのプレート材やヘッダープレート材では優れた加工性が必要であることから材料の伸びを重視しており、鋳造後の芯材合金に530℃以上で1h以上の均質化処理を施した材料で、材料の伸びを重視した調質、例えば、一般的にはO材調質や、H2n調質(最終焼鈍で完全に軟化させずに再結晶の途中で止める方法)、あるいは最終焼鈍後にひずみを付加するH1n調質などが施された材料が使用される。さらに、ろう付性を考慮して最終焼鈍後に1〜3%のひずみを付加し、O材調質で問題となる、成形時に導入された低加工域部分のろう侵食を防止する製造方法もある。
このようなアルミニウム材は通常、以下の工程でろう付され、熱交換器などに加工される。
(1)アルミニウム材に潤滑性を具備した加工油を塗布し、プレス成形する。
(2)プレス成形後、この加工油を脱脂あるいは揮発させた後、材料表面にフラックスを供給塗布する(例えば水またはアルコールにフラックスを分散させた懸濁液を塗布、あるいは静電塗布)。
(3)懸濁液によるフラックス塗布の場合は乾燥を行う。
(4)他の必要な部材と組み付け、ろう付を行う。
(1)アルミニウム材に潤滑性を具備した加工油を塗布し、プレス成形する。
(2)プレス成形後、この加工油を脱脂あるいは揮発させた後、材料表面にフラックスを供給塗布する(例えば水またはアルコールにフラックスを分散させた懸濁液を塗布、あるいは静電塗布)。
(3)懸濁液によるフラックス塗布の場合は乾燥を行う。
(4)他の必要な部材と組み付け、ろう付を行う。
また、フラックスを均一に塗布することを可能にするため、成形加工前に予めフラックス層を形成しておく方法が提案されている(特許文献1)。
特開平9−29487号公報
しかし、上記した方法のうち前者の方法ででは、プレス成形時に使用される加工油は材料にスプレー塗布されるが、必要以上に塗布することが多く、加工油を無駄に消費してしまう。また、過剰な加工油はプレス成形機や金型に付着し、プレス成形金型の汚染などにつながる。さらに、過剰な加工油の塗布は脱脂や加工油の揮発が十分に行なわれない可能性があり、このような残加工油はフラックスの濡れ性を低下させるため、フラックスがアルミニウム材に均一に塗布されず、ろう付性を低下させるという問題がある。一方、加工油の使用を抑えると、部分的に加工油の塗布が不足した領域ができ、加工不良の原因になる。
一方、特許文献1における後者の方法では、予めフラックス層を形成しておくため、上記におけるフラックスの塗布の困難性は避けることができる。しかし、成形加工時に加工油を使用する場合には、上記と同様に過剰塗布や塗布不足の問題が生じる。また、成形加工に際し、フラックスが脱落しやすいという問題もある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、過剰な加工油の使用を必要とせず、またフラックスの塗布も確実且つ均一に行うことができるアルミニウム材および該アルミニウム材の製造方法ならびにろう付品の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の成形性とろう付性に優れたアルミニウム材のうち請求項1記載の発明は、アルミニウム基材の片面または両面の表面層に親水性潤滑性皮膜が形成されていることを特徴とする。
請求項2記載の成形性とろう付性に優れたアルミニウム材の発明は、請求項1記載の発明において、前記アルミニウム基材と前記親水性潤滑性皮膜との間に、ろう材層が形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の成形性とろう付性に優れたアルミニウム材の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記親水性潤滑性皮膜が揮発性のものであることを特徴とする。
請求項4記載のアルミニウムろう付品の製造方法の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム材を成形加工した後、該アルミニウム材同士または該アルミニウム材と他の部材とを組み合わせてろう付に供することを特徴とする。
請求項5記載のアルミニウムろう付品の製造方法は、請求項3記載のアルミニウム材を成形加工した後、該アルミニウム材の表面の一部または全部にフラックスを塗布して該フラックスの乾燥処理を行い、その後、該アルミニウム材同士または該アルミニウム材と他の部材とを組み合わせて該アルミニウム材をろう付に供することを特徴とする。
すなわち本発明によれば、成形加工に先立ってアルミニウム基材の表面層(片面または両面)に、親水性潤滑性皮膜を形成しておくことにより、成形加工時に該皮膜の潤滑性によって良好な成形加工が可能になる。この潤滑性皮膜は、成形加工に先立って形成しておくことにより、適量で均一な膜厚で形成することができ、したがって過剰な加工油によってプレス成形機や金型などが汚染されることがない。また、この皮膜は、親水性を有することから懸濁液などとしたフラックス組成物でも容易かつ均等に塗布することができ、均一なフラックス組成物層を形成することができる。これにより、過剰にフラックス組成物を塗布することによってろう付炉を汚染することも避けられる。
さらに、上記親水性潤滑性皮膜を揮発性のものとすれば、懸濁液などとしたフラックスを加熱乾燥させる際に該皮膜が揮発するので、該皮膜を容易に除去することができ、プレス成形後の脱脂・加工油揮発工程が省略できる。また、ろう付に際し残存する上記皮膜によってろう付性が阻害されることもない。
また、アルミニウム基材上にろう材層を形成しておけば、成形加工後にアルミニウム材にろう材を供給する際に困難性を伴うことはなく、また、均一なろう材層を形成しておくことができる。
さらに、上記親水性潤滑性皮膜を揮発性のものとすれば、懸濁液などとしたフラックスを加熱乾燥させる際に該皮膜が揮発するので、該皮膜を容易に除去することができ、プレス成形後の脱脂・加工油揮発工程が省略できる。また、ろう付に際し残存する上記皮膜によってろう付性が阻害されることもない。
また、アルミニウム基材上にろう材層を形成しておけば、成形加工後にアルミニウム材にろう材を供給する際に困難性を伴うことはなく、また、均一なろう材層を形成しておくことができる。
なお、本発明のアルミニウム材における基材は、純アルミニウム、アルミニウム合金のいずれであってもよく、アルミニウム合金にあっては適宜の組成とすることができ、本発明として特に組成が限定されるものではない。例えば、JIS 1000番台の純アルミニウムやJIS 3000番台、5000番台、7000番台等のアルミニウム合金を用いることができる。
本発明では、表面層に親水性潤滑性皮膜が形成されており、該親水性潤滑性皮膜は好適には揮発性のものとする。該親水性潤滑性皮膜を形成する材料としては、例えば、アクリル系脂脂、エポキシ系脂脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン12−ヒドロキシステアリン酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンアルキル脂肪酸モノ又はジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシエチレンペンタエリスリトールアルキル脂肪酸モノ又はジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシアルキルエーテルの群の中から選ばれる化合物にエチレンオキサイドを付加したノニオン型高分子活性剤などの潤滑剤が挙げられる。好適には固形(塗布後に固化するものも含む)の材質が望ましい。親水性潤滑性皮膜は、親水性潤滑性皮膜材料を、アルミニウム材に塗布することにより形成することができる。該塗布は、スプレー法、グラビア印刷、フローコート、ロールコート、バーコート、浸漬後ロール絞りなどの手段を利用することができる。ただし、本発明としては、塗布方法が特定の方法に限定されるものではない。なお、固形潤滑剤を塗布する際には、水などを溶媒として用いることができる。これら溶媒に揮発性を有するものを使用すれば、アルミニウム材への塗布後、容易に揮発、除去される。上記親水性潤滑性皮膜の材料は、フラックスの乾燥工程及びろう付加熱工程によって容易にろう付性に対して無害化できるものが望ましい。上記で例示した潤滑剤は、いずれも乾燥及びろう付過程でろう付性に対して無害化される。
潤滑性被膜における潤滑剤量は、0.5〜10g/m2が望ましい。潤滑剤量が0.5g/m2未満であると、潤滑性が十分ではなく、一方、10g/m2を越えると潤滑性の効果も飽和し、さらには、フラックス懸濁液に乾燥によっても確実に除去することが難しくなる。
潤滑性被膜における潤滑剤量は、0.5〜10g/m2が望ましい。潤滑剤量が0.5g/m2未満であると、潤滑性が十分ではなく、一方、10g/m2を越えると潤滑性の効果も飽和し、さらには、フラックス懸濁液に乾燥によっても確実に除去することが難しくなる。
なお、上記アルミニウム材は、いずれも潤滑性皮膜の下層であって、アルミニウム基材上にろう材層を形成したものであっても良い。該ろう材層は、アルミニウム基材とろう材とのクラッド圧延によってアルミニウム基材上に形成することができる。該ろう材層には、通常、Al−Si系ろう材が用いられるが、本発明としては、ろう材の組成が特定のものに限定されるものではない。
上記アルミニウム材では、通常、成形加工を行った後に、フラックス組成物の塗布が行われる。フラックス組成物層は、適宜の組成のフラックスを含むものである。該フラックスとしては、例えば塩化物系、フッ化物系いずれのものであっても良いが、好ましくはKAlF4、K2AlF5、K3AlF6、AlF3、K2SiF6、KZnF3のフッ化物系フラックスが用いられる。また、塩化物系フラックスとしては、NaCl、KCl、LiCl、ZnCl2等を挙げることができる。
さらに、フラックス組成物は、各種溶剤やバインダを混合したものであっても良い。溶剤としては、水、アルコール類(特に炭素数1〜8の脂肪族アルコール)などを用いることができる。また、バインダとしては、フラックス組成物層をアルミニウム基材または下層に良好に固着できるものであればよく、カルボキシル基を有する水溶性高分子化合物や、アクリル系、メタクリル系樹脂等を挙げることができる。なお、これら溶剤、バインダを用いる場合、その混合比率は適宜選定することができる。
上記したフラックス組成物の塗布では、フラックスを含む溶剤等を混合して、アルミニウム基材に塗布する。その塗布方法として、例えば、スプレー法、グラビア印刷、フローコート、ロールコート、バーコート、浸漬後ロール絞りなどの手段を利用することができるが、本発明としては、塗布方法が特定の方法に限定されるものではない。
フラックス組成物を塗布した後は、必要に応じて加熱乾燥処理がなされる。該処理では、例えば、アルミニウム材を100〜150℃、3〜10分で加熱することで乾燥処理を行うことができる。なお、フラックス組成物層の量は、フラックス量換算で4〜20g/m2が望ましい。
フラックス組成物を塗布した後は、必要に応じて加熱乾燥処理がなされる。該処理では、例えば、アルミニウム材を100〜150℃、3〜10分で加熱することで乾燥処理を行うことができる。なお、フラックス組成物層の量は、フラックス量換算で4〜20g/m2が望ましい。
上記各アルミニウム材は、上記皮膜を有するアルミニウム材同士または他の部材と組み合わせ、ろう付に供することができる。ろう材層を設けてないものでは、適宜の方法によってろう材を供給する。また、フラックス組成物層を設けてないものでは、ろう付に際し必要に応じてフラックスを供給するものであってもよい。ろう付での処理条件は、本発明は特に限定されるものではなく、適宜の雰囲気、加熱温度にてろう付を行うことができる。該ろう付に際しては上記のようにろう付炉の汚染を少なくすることができ、また、フラックスやろう材が均等に塗布されていることから良好にろう付されたろう付品を得ることができる。
以上説明したように、本発明の成形性とろう付性に優れたアルミニウム材によれば、成形加工前に予め形成されている適量の親水性潤滑性皮膜によって良好な成形加工が可能になり、成形加工機への汚染も防止される。また、その後にフラックスを懸濁液などにして塗布する場合に、容易に塗布を行うことができる。また、該親水性潤滑性皮膜を揮発性のものとすれば、フラックスを塗布したのち乾燥作業を行う際に、該皮膜の成分を揮発させて容易かつ確実に除去して無害化できる。
以下に、本発明の一実施形態を添付図に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態のアルミニウム材10を示すものであり、アルミニウム基材1の上層である表面層に揮発性を有する親水性潤滑性皮膜5が形成されたものである。図1(b)は、他の実施形態のアルミニウム材11を示すものであり、アルミニウム基材1の上層にろう材層2が形成され、その上層である表面層に揮発性を有する親水性潤滑性皮膜5が形成されたものである。
図1(a)は、本発明の一実施形態のアルミニウム材10を示すものであり、アルミニウム基材1の上層である表面層に揮発性を有する親水性潤滑性皮膜5が形成されたものである。図1(b)は、他の実施形態のアルミニウム材11を示すものであり、アルミニウム基材1の上層にろう材層2が形成され、その上層である表面層に揮発性を有する親水性潤滑性皮膜5が形成されたものである。
以下に、これらのアルミニウム材10、11を得る工程を説明する。
上記アルミニウム基材1は、純アルミニウム板または適宜組成のアルミニウム合金板からなり、常法により溶製、鋳造、圧延などを経て製造することができ、本発明としては特定の製造工程に限定されるものではない。
また、アルミニウム基材1にろう材層2を形成するものでは、アルミニウム基材とろう材とをクラッド圧延することで、アルミニウム基材1上にろう材層2を形成することができる。
上記アルミニウム基材1は、純アルミニウム板または適宜組成のアルミニウム合金板からなり、常法により溶製、鋳造、圧延などを経て製造することができ、本発明としては特定の製造工程に限定されるものではない。
また、アルミニウム基材1にろう材層2を形成するものでは、アルミニウム基材とろう材とをクラッド圧延することで、アルミニウム基材1上にろう材層2を形成することができる。
上記アルミニウム基材1は、ろう材層2を有する場合も含めて、その上層である表面に親水性潤滑性皮膜5を形成する。該親水性潤滑性皮膜5は、揮発性の親水性潤滑剤を水からなる溶媒に混合し、これをスプレー法、グラビア印刷、フローコート、ロールコート、バーコート、浸漬後ロール絞りなどの方法によって上記アルミニウム基材1またはろう材層2上に塗布する。その後、溶剤が蒸発することで固形潤滑剤からなる親水性潤滑性皮膜5が得られる。
上記により得られたアルミニウム材10またはアルミニウム材11は、フォーミングロールなどによる所定の成形加工を施して成形品15とする。この実施形態では、エバポレータ用プレート材を得るものとしている。
この成形品15には、必要に応じてフラックスの塗布を行う。フラックス組成物の塗布に際しては、例えば塩化物系、フッ化物系フラックス、好適にはKAlF4、K2AlF5、K3AlF6、AlF3等のフッ化物系フラックスと、水、アルコール類の溶媒と混合して懸濁液とする。なお、この懸濁液には、バインダを混合しても良いが、既に成形加工後であるのでバインダを混合しないで塗布するものであってもよい。この懸濁液をスプレー法、グラビア印刷、フローコート、ロールコート、バーコート、浸漬後ロール絞りなどの方法によって成形品15上に所定の厚さで塗布する。塗布量としては、例えば、フラックス換算量で4〜20g/m2とする。この懸濁液の塗布に際しては、潤滑性皮膜が親水性を有するので、容易かつ均等に塗布することができる。
上記懸濁液を塗布した後は、アルミニウム材を100〜150℃、3〜10分で加熱することで乾燥処理を行い、フラックス組成物層6を形成する。この乾燥処理に際しては、上記親水性潤滑性皮膜5が揮発して、確実に除去される。この成形品は他部材、例えばフィンなどと組み合わせ、ろう付を行うことによってエバポレータなどのろう付品20を得る。なお、ろう材層2を有しない成形品15では、適宜の方法でろう材を供給する。
なお、上各記実施形態では、ろう付品としてエバポレータを得るものとしているが、成形品やろう付品が上記に限定されるものではなく、種々の形状の成形品やろう付品を得ることができる。例えば、積層型エバポレータ用のプレート材やラジエータやヒータコアなどのヘッダープレートやタンクなど、高い成形性とろう付性を必要とするアルミニウム材に好適である。
また、上記各実施形態では、アルミニウム基材の両面に上記各層や上記皮膜を形成したが、アルミニウム基材の片面側にのみ上記各層や上記皮膜を形成するものであってもよい。その場合、他面には他の目的で犠牲材などの他種の皮膜や層を形成するものであってもよく、その上層である表面層に本発明における親水性潤滑皮膜を設けるものであってもよい。
次に、本発明の一実施例を説明する。
通常の条件で、JIS A3003組成からなる芯材用合金と、10%Si−Alからなるろう材用合金と、JIS A7072からなる犠牲材とを溶解・鋳造し、続いて面削、均質化処理を行い、熱間と冷間圧延により芯材用合金は160mm、犠牲材用合金、ろう材用合金はそれぞれ20mmとした。これらを熱間にてクラッド圧延、冷間圧延により0.4mm厚のアルミニウム圧延材を作製した。その後、該アルミニウム圧延材の両面にバーコートにより揮発性の親水性潤滑性皮膜を形成した。
なお、該親水性潤滑性皮膜はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルにエチレンオキサイドを付加したものからなり、アルミニウム圧延材に0.5g/m2の量で塗布して発明材であるアルミニウム材を得た。また比較のため、上記アルミニウム圧延材に親水性を有しない材質の潤滑性皮膜を形成して比較材とした。
通常の条件で、JIS A3003組成からなる芯材用合金と、10%Si−Alからなるろう材用合金と、JIS A7072からなる犠牲材とを溶解・鋳造し、続いて面削、均質化処理を行い、熱間と冷間圧延により芯材用合金は160mm、犠牲材用合金、ろう材用合金はそれぞれ20mmとした。これらを熱間にてクラッド圧延、冷間圧延により0.4mm厚のアルミニウム圧延材を作製した。その後、該アルミニウム圧延材の両面にバーコートにより揮発性の親水性潤滑性皮膜を形成した。
なお、該親水性潤滑性皮膜はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルにエチレンオキサイドを付加したものからなり、アルミニウム圧延材に0.5g/m2の量で塗布して発明材であるアルミニウム材を得た。また比較のため、上記アルミニウム圧延材に親水性を有しない材質の潤滑性皮膜を形成して比較材とした。
供試材である上記発明材および比較材の概略は以下の通りである。
本発明:アルミニウム圧延材に親水性を有した潤滑性皮膜を形成させたもの
比較材:アルミニウム圧延材に親水性を有しない潤滑性皮膜を形成したもの
本発明:アルミニウム圧延材に親水性を有した潤滑性皮膜を形成させたもの
比較材:アルミニウム圧延材に親水性を有しない潤滑性皮膜を形成したもの
加工性の評価
各供試材の加工性を評価するため、エリクセン試験と深絞り性試験による限界絞り比にて評価し、その結果を表1に示した。なお、各試験の条件は以下の通りである。
エリクセン試験
〔サンプルサイズ〕 :90mm長×90mm幅
〔ポンチ〕 :外径20mmφ球面
〔しわ押え力〕 :10kN
〔評価〕 :エリクセン値(破断するまでの高さ)
各供試材の加工性を評価するため、エリクセン試験と深絞り性試験による限界絞り比にて評価し、その結果を表1に示した。なお、各試験の条件は以下の通りである。
エリクセン試験
〔サンプルサイズ〕 :90mm長×90mm幅
〔ポンチ〕 :外径20mmφ球面
〔しわ押え力〕 :10kN
〔評価〕 :エリクセン値(破断するまでの高さ)
深絞り性試験(円筒深絞り試験)
〔ポンチ〕 :外径30mmφ円筒 肩R:4.5mm
〔ダイス〕 :34.0mmφ 肩R:4.5mm
〔しわ押え力〕 :3kN
〔潤滑油〕 :両面に牛脂塗布
〔評価〕 :限界絞り比(LDR)
〔ポンチ〕 :外径30mmφ円筒 肩R:4.5mm
〔ダイス〕 :34.0mmφ 肩R:4.5mm
〔しわ押え力〕 :3kN
〔潤滑油〕 :両面に牛脂塗布
〔評価〕 :限界絞り比(LDR)
次に各供試材をプレート材に成形加工を施し、発明材に関しては、KZnF3と溶媒水からなるフラックス組成物をフラックス換算量で10g/m2の量でバーコートにより塗布した後、100℃で5分加熱する乾燥処理を行った。一方、比較材では、上記成形加工後、脱脂を行い、引き続き、上記発明材と同様にフラックス組成物を塗布して乾燥処理を行った。
ろう付接合率
本発明材(プレート材成形加工後、フィンと組合せてコアを作製してフラックス塗布、ろう付)と比較材(プレート材成形加工後、脱脂、フィンと組合わせてコアを作製してフラックス塗布、ろう付を用いてコアを作製した。その際のフィンとの接合率を求め、その結果を表2に示した。
本発明材(プレート材成形加工後、フィンと組合せてコアを作製してフラックス塗布、ろう付)と比較材(プレート材成形加工後、脱脂、フィンと組合わせてコアを作製してフラックス塗布、ろう付を用いてコアを作製した。その際のフィンとの接合率を求め、その結果を表2に示した。
上記の各評価試験の結果、本発明材は、良好な加工性を有しており、また、成形加工機での加工油による汚染も見られなかった。一方、比較材では、部分的に加工が不良となる部位が発生し、また、成形加工機において余分な加工油による汚染が見られた。
また、上記供試材をろう付した際には、本発明材では良好なろう付性を有していたが、比較材は、フラックスの塗布を均等になされず、その結果、部分的にろう付が不良となる部位が認められた。上記ろう付試験において、本発明材はフラックスの濡れ性が優れ接合率が高いが、比較材においてはフラックスの濡れ性が低く、それに伴ないろう付接合率が低下する。
また、上記供試材をろう付した際には、本発明材では良好なろう付性を有していたが、比較材は、フラックスの塗布を均等になされず、その結果、部分的にろう付が不良となる部位が認められた。上記ろう付試験において、本発明材はフラックスの濡れ性が優れ接合率が高いが、比較材においてはフラックスの濡れ性が低く、それに伴ないろう付接合率が低下する。
1 アルミニウム基材
2 ろう材層
5 親水性潤滑性皮膜
6 フラックス組成物層
10、11 アルミニウム材
15 成形品
20 ろう付品
2 ろう材層
5 親水性潤滑性皮膜
6 フラックス組成物層
10、11 アルミニウム材
15 成形品
20 ろう付品
Claims (5)
- アルミニウム基材の片面または両面の表面層に親水性潤滑性皮膜が形成されていることを特徴とする成形性とろう付性に優れたアルミニウム材。
- 前記アルミニウム基材と前記親水性潤滑性皮膜との間に、ろう材層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の成形性とろう付性に優れたアルミニウム材。
- 前記親水性潤滑性皮膜が揮発性のものであることを特徴とする請求項1または2に記載の成形性とろう付性に優れたアルミニウム材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム材を成形加工した後、該アルミニウム材同士または該アルミニウム材と他の部材とを組み合わせてろう付に供することを特徴とするアルミニウムろう付品の製造方法。
- 請求項3記載のアルミニウム材を成形加工した後、該アルミニウム材の表面の一部または全部にフラックスを塗布して該フラックスの乾燥処理を行い、その後、該アルミニウム材同士または該アルミニウム材と他の部材とを組み合わせて該アルミニウム材をろう付に供することを特徴とするアルミニウムろう付品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003367045A JP2005131647A (ja) | 2003-10-28 | 2003-10-28 | 成形性とろう付性に優れたアルミニウム材およびアルミニウムろう付品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003367045A JP2005131647A (ja) | 2003-10-28 | 2003-10-28 | 成形性とろう付性に優れたアルミニウム材およびアルミニウムろう付品の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005131647A true JP2005131647A (ja) | 2005-05-26 |
Family
ID=34645160
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003367045A Pending JP2005131647A (ja) | 2003-10-28 | 2003-10-28 | 成形性とろう付性に優れたアルミニウム材およびアルミニウムろう付品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005131647A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006255755A (ja) * | 2005-03-17 | 2006-09-28 | Mitsubishi Alum Co Ltd | ろう付用アルミニウム合金材およびアルミニウム合金材のろう付方法 |
WO2021153495A1 (ja) * | 2020-01-29 | 2021-08-05 | 株式会社神戸製鋼所 | アルミニウムフィン材、熱交換器、空気調和機、および、アルミニウムフィン材の製造方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0647529A (ja) * | 1992-07-21 | 1994-02-22 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 熱交換器の製造方法 |
JPH0718458A (ja) * | 1993-07-02 | 1995-01-20 | Kobe Steel Ltd | 水落下性に優れた親水性表面処理AlまたはAl合金製フィン材およびその製造方法、並びに熱交換器のコア |
JPH0788635A (ja) * | 1993-06-22 | 1995-04-04 | Kawasaki Steel Corp | 成形性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートとこれを用いた熱交換器の製造方法 |
JPH08313191A (ja) * | 1995-03-16 | 1996-11-29 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 熱交換器用アルミニウムフィン材 |
JPH0929487A (ja) * | 1995-07-25 | 1997-02-04 | Mitsubishi Alum Co Ltd | ろう付用フラックス組成物及びこのろう付用フラックス 組成物を用いたAl材料、熱交換器並びにその製造方法 |
-
2003
- 2003-10-28 JP JP2003367045A patent/JP2005131647A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0647529A (ja) * | 1992-07-21 | 1994-02-22 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 熱交換器の製造方法 |
JPH0788635A (ja) * | 1993-06-22 | 1995-04-04 | Kawasaki Steel Corp | 成形性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートとこれを用いた熱交換器の製造方法 |
JPH0718458A (ja) * | 1993-07-02 | 1995-01-20 | Kobe Steel Ltd | 水落下性に優れた親水性表面処理AlまたはAl合金製フィン材およびその製造方法、並びに熱交換器のコア |
JPH08313191A (ja) * | 1995-03-16 | 1996-11-29 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 熱交換器用アルミニウムフィン材 |
JPH0929487A (ja) * | 1995-07-25 | 1997-02-04 | Mitsubishi Alum Co Ltd | ろう付用フラックス組成物及びこのろう付用フラックス 組成物を用いたAl材料、熱交換器並びにその製造方法 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006255755A (ja) * | 2005-03-17 | 2006-09-28 | Mitsubishi Alum Co Ltd | ろう付用アルミニウム合金材およびアルミニウム合金材のろう付方法 |
WO2021153495A1 (ja) * | 2020-01-29 | 2021-08-05 | 株式会社神戸製鋼所 | アルミニウムフィン材、熱交換器、空気調和機、および、アルミニウムフィン材の製造方法 |
JP2021116993A (ja) * | 2020-01-29 | 2021-08-10 | 株式会社神戸製鋼所 | アルミニウムフィン材、熱交換器、空気調和機、および、アルミニウムフィン材の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA2482867C (en) | Flux coated brazing sheet | |
US20030203137A1 (en) | Aluminum-extruded multi-cavity flat tube having excellent brazing characteristics for use in automotive heat exchanger and manufacturing method therefor | |
JP2006255755A (ja) | ろう付用アルミニウム合金材およびアルミニウム合金材のろう付方法 | |
JP2009106947A (ja) | アルミニウム合金チューブ | |
JP2016221578A (ja) | フラックスレスろう付け用アルミニウム複合材料 | |
JP7366022B2 (ja) | フラックスフリーのろう付け用のアルミニウム多層ブレージングシート | |
CN1990227A (zh) | 铝合金硬钎焊薄板 | |
CN1982047A (zh) | 铝合金硬钎焊薄板的制造方法 | |
CN1973056A (zh) | 生产铝合金钎焊板的方法和铝合金钎焊板 | |
JP2009058167A (ja) | 耐食性に優れたチューブを用いたアルミニウム熱交換器および耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器の製造方法 | |
JP2009058139A (ja) | 耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材 | |
CA2636345C (en) | Method of manufacturing a brazed assembly | |
JP2006348372A (ja) | 自動車熱交換器用高強度アルミニウム合金材 | |
JP2008188616A (ja) | ろう付性と耐食性に優れた熱交換器管用アルミニウム合金ブレージングシートおよび耐食性に優れた熱交換器管 | |
JP2009068083A (ja) | 耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器用部材および耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器の製造方法 | |
EP1004390A1 (en) | Method of making a braze sheet | |
EP0973629A1 (en) | Brazing filler alloy containing calcium | |
JP2005131647A (ja) | 成形性とろう付性に優れたアルミニウム材およびアルミニウムろう付品の製造方法 | |
JPH0929487A (ja) | ろう付用フラックス組成物及びこのろう付用フラックス 組成物を用いたAl材料、熱交換器並びにその製造方法 | |
JP2007327093A (ja) | ろう付け性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材 | |
EP1004386A1 (en) | Brazed assembly and method of making same | |
JP2005131648A (ja) | 成形性とろう付性に優れたアルミニウム材および該アルミニウム材の製造方法ならびにアルミニウムろう付品の製造方法 | |
US20070187462A1 (en) | Method of manufacturing a brazed assembly | |
JP2006523267A (ja) | アルミニウム合金シート物質の生産方法とアルミニウム合金シート | |
JP2006523267A5 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060929 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070619 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070626 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071106 |