JP2005130815A - ゴムノキの培養系を利用した形質転換体及びその評価方法 - Google Patents

ゴムノキの培養系を利用した形質転換体及びその評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005130815A
JP2005130815A JP2003373103A JP2003373103A JP2005130815A JP 2005130815 A JP2005130815 A JP 2005130815A JP 2003373103 A JP2003373103 A JP 2003373103A JP 2003373103 A JP2003373103 A JP 2003373103A JP 2005130815 A JP2005130815 A JP 2005130815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adventitious root
transformed
target gene
medium
root according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003373103A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4374236B2 (ja
Inventor
Kunie Watanabe
訓江 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2003373103A priority Critical patent/JP4374236B2/ja
Publication of JP2005130815A publication Critical patent/JP2005130815A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4374236B2 publication Critical patent/JP4374236B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】 本願発明は、遺伝子組み換え植物の育種において、できるだけ早い段階で組み換え植物の評価をすることにより、目的の特性を有する遺伝子改変植物の育種を短期間で行うことを課題とする。
【解決手段】 本件発明者らは、ゴムノキの葯、未熟種子又は形成層などから誘導したカルスに標的遺伝子を導入し、その後カルスから不定根を効率よく再生する条件を見出した。そこで、遺伝子改変されたゴムノキの不定根を培養することにより、導入遺伝子の植物内での機能を不定根の段階で評価検定するを可能とした。
【選択図】 なし

Description

本件発明は、ゴムノキの遺伝子組み換え育種、及びその評価技術の分野に属する。
天然ゴムは、ゴムノキの分泌するラテックスという乳液から製造される。工業用ゴム原料を目的として栽培されているゴムノキとしては、トウダイグサ科のパラゴムノキHavea brasiliensisが特に重要であるが、ラテックスを産生するゴムノキとしては、他に、セアラゴムノキ(Manihot glaziovii)、桑科植物のインドゴムノキ(Ficus elastica)等がある。
ゴムノキの苗を植えてから、ラテックスを採取できる程度に成長するまでには、5〜7年かかり、採取期間は、およそ20−30年である。
また、パラゴムノキの産出するラテックス中にはおよそ35%のゴム成分のほか、タンパク質、イノシトール、ケブラキトールなどの糖類、ビタミンEの一種であり天然の老化防止剤としても効果のあるトコトリエノールなど多くの有用物質が含まれている(非特許文献1)。
又、草本類については、遺伝子改変植物の作出の研究が進んでいるが、木本類については、細胞からの再分化が困難な上、植物体を得るまでに長期を要しすぎるために、現在までのところ、研究は極めて限られたものにすぎない。
ゴムノキについても、遺伝子組み換え育種を試みているものはあるが、胚様体への再生に3ヶ月、小植物に至るまでに更に60日掛け、その後に、植物体で遺伝子が発現しているか確認されているため、育種に相当の期間を要している。(特許文献1)
特許第3289021号 応用ゴム化学12講 金子秀夫著 52−53頁 大成社
ラテックスス、または他のゴムノキ由来の有用物質を増産するため、更にはゴムノキの環境適応性を改善するため等、ゴムノキの形質・特性を更に改良することが望まれている。
パラゴムなどのゴムノキを、遺伝子導入により形質を改良するには、葯、未熟種子又は形成層などから誘導したカルスに遺伝子を導入し、カルスを再分化させ、植物を再生させてから、遺伝子改変の効果を評価すことになる。カルスを再分化させ、植物を再生させるのは、非常に時間がかかるので、その評価が非常に遅れ、改良を繰り返し、育種するには、多大の時間が必要となる。
そこで、本願発明は、遺伝子組み換え植物の育種において、できるだけ早い段階で組み換え植物の評価をすることにより、目的の特性を有する遺伝子改変植物の育種を短期間で行うことを課題とする。
本件発明者らは、ゴムノキの葯、未熟種子又は形成層などから誘導したカルスに標的遺伝子を導入し、その後カルスから不定根を効率よく再生する条件を見出した。そして、遺伝子改変されたゴムノキの不定根を培養することにより、導入遺伝子の植物内での機能を不定根の段階で評価検定できることを見出して本件発明を完成させたものである。
本件発明により、遺伝子改変されたゴムノキの不定根を培養することにより、不定根の段階で遺伝子改変ゴムノキの評価検定が可能となるので、遺伝子改変技術によるゴムノキ植物の育種期間を大幅に削減でき、新たな、目的の特性を有する遺伝子改変ゴムノキを効率的に育種できるようになった。
特に、形質転換により、(1)ゴムの重合反応を制御させることにより、ラテックス中のゴムの分子量又は分子量分布の変更、(2)ゴムの生合成反応の促進することによりゴムのゴム重量の増加、又は(3)有用成分合成を促進することにより、当アルコール、トコトリエノール、有用タンパク質の増加を狙った場合に、その狙い通りの育種ができたか否かを、不定根の段階で、それぞれ、(1)分子量分析、(2)ゴム量の定量、(3)各成分の定量(液体クロマトグラフィー)などによりスクリーニングでき、育種効率の向上を図れるものである。
本願発明は、ゴムノキの葯、未熟種子又は形成層などから誘導したカルス又は未熟胚に遺伝子を導入し、その後カルス又は未熟胚から不定根に分化させ、遺伝子改変されたゴムノキの不定根を培養する、ゴムノキの遺伝子改変不定根を包含する。
更に本願発明は、ゴムノキの遺伝子改変された不定根を用いて、不定根の段階で導入された標的遺伝子による形質転換を評価検定する方法をも包含する。
組織培養の対象となるゴムノキとしては、特に好適には、パラゴムノキが挙げられるが、これ以外に、セアラゴムノキ、インドゴムノキ、パナマゴムノキ、グアユールゴムノキ、ゴムタンポポ、ラゴスゴムノキ、グッタペルガノキ、パラタゴムノキ、シス・チクルが挙げられる。
以下、パラゴムノキを例として説明するが、それ以外のゴムノキについても同様の方法で実施できる。
組織培養に用いる材料としては、パラゴムノキの根、茎、葉又は花等の種々の部分を適宜の大きさに切断して用いることができるが、好適には、つぼみ、未熟果実又は茎を利用し、つぼみから取り出した葯、又は未熟果実から取り出した未熟種子又は茎から取り出した形成層を材料とすることができる。
まず、パラゴムノキの材料の表面を洗浄する。材料として植物内部を利用する場合は、例えば、磨き粉で洗っても良いが、界面活性剤を約0.1%含む水で洗浄することもできる。葉などを利用する場合は、軟らかいスポンジで表面を洗う。
次に、材料を殺菌又は滅菌する。殺菌又は滅菌は、周知の殺菌剤・滅菌剤を用いて行うことができるが、エタノール、塩酸ベンザコルニウム、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が好適である。
パラゴムノキから取り出した材料からカルスを誘導し、カルスから不定根を誘導する、又は、パラゴムから採取した材料から直接無菌根を誘導することもできる。
I.カルスの誘導方法
材料として、好適には、葯、未熟種子又は形成層を用いる。カルスを誘導するには、培地にサイトカイニン系植物ホルモン及び/又はオーキシン系植物ホルモンを、低濃度で加える。培地としては、Whiteの培地、Hellerの培地、SH培地(SchenkとHildebrandtの培地)、MS培地(MurashigeとSkoogの培地)、LS培地(LinsmaierとSkoogの培地)、Gamborg、B5、MB培地等があるが、MS培地又はその組成に変更を加えた又はMS改変培地が好適である。
サイトカイニン系植物ホルモンとしては、BAP(ベンジルアミノプリン)、2iP(イソペンチニルアミノプリン)、カイネチン(6−フルフリルアミノプリン)、ゼアチン、を用いることができるが、好適には、BAP(ベンジルアミノプリン)又はKIN(カイネチン)を1〜3ppmで用いることができる。
オーキシン系植物ホルモンとしては、pCPA(クロロフェノキシ酢酸)、2,4-D(ジクロロフェノキシ酢酸)、IAA(インドール酢酸)、IBA(インドール酪酸)、NAA(ナフタレン酢酸)、NOA(ナフトキシ酢酸)を用いることができる。好適には、2,4-D(ジクロロフェノキシ酢酸)を0.3〜1.0ppm、及びIAA(インドール酢酸)を約1ppm若しくはNAA(ナフタレン酢酸)を約1ppmを組み合わせて用いることができる。
更に好適には、サイトカイニン系植物ホルモンとオーキシン系植物ホルモンとを組み合わせて用いることができ、例えば、BAP若しくはKIN、2,4−D、及びIAA若しくはNAAの3種類を組み合わせて用いることができる。
更に、カルス誘導を促進するために、スクロースを6〜7wt%の高濃度で添加し、ココナッツウォーターを加えても良い。好適には、PHを5.6〜5.8に調整し、培養温度は、26〜28℃、暗所にてカルス誘導する。カルスの支持体としてはゲルライトあるいは寒天を用いることができる。
誘導したカルスを、1〜2ヶ月間同じ組成の培地で暗所、培養温度は、26〜28℃で培養し、カルスを増殖させる。6−7週間で好適なカルスが得られる。
II.未熟胚の調製法
好ましくは、外果皮が硬化する前の段階の未熟な緑色の果実を利用する。未熟果実の表面を、周知の滅菌剤、例えば、エタノール、塩酸ベンザコルニウム、次亜塩素酸ナトリウム好適には、エタノールで滅菌する。滅菌した後、果実の内部の種子をとりだす。未熟種子の胚に成長する部分を摘出する。
摘出した未熟胚は、培地で成長させる。培地としては、Whiteの培地、Hellerの培地、SH培地、MS培地、LS培地等があるが、MS培地又はその組成に変更を加えたMS改変培地が好適である。
III.遺伝子導入法
III-1 標的遺伝子組み換えベクターの調製
ゴムノキに導入する標的遺伝子としては、例えば、ゴムの生合成機構やポリイソプレン鎖延長反応に関与し、ラテックスの産生量や分子量に対して機能する遺伝子、並びに、ラテックス中に含まれる、タンパク質、イノシトール、ケブラキトールなどの糖類、ビタミンEの一種であり天然の老化防止剤としても効果のあるトコトリエノールの生合成に関与し、その生産量に対して影響を与える遺伝子、さらには、これらのタンパク質、糖類、トコトリエノールの変異体を生ずる遺伝子などを挙がることができるが、これらに限定されず、任意の遺伝子を導入することができる。上記標的遺伝子は、ゴムノキで機能するプロモーターに連結してベクターに載せられる。ゴムノキで機能するプロモーターとしては、ゴムノキ由来のプロモーターであっても、異種以来のものであっても、ゴムノキにおいて機能する限り使用することができる、異種プロモーターとしては、例えば、CaMV35、NOS promoter等を使用することができる。
標的遺伝子は、好適には、マーカー遺伝子、場合により、レポーター遺伝子とともにベクターに組み込まれる。
選抜用マーカーとしては、カナマイシン耐性遺伝子(nptII)、ヒエグロマイシン耐性遺伝子(hptI)、ブレオマイシン耐性遺伝子等を挙げることができる。植物体での発現位置を確認するためのレポーター遺伝子としてルシフェラーゼ、GUS(βグルクロニダーゼ)遺伝子などを挙げることができる。
III-2 標的遺伝子のカルス又は未熟胚への導入方法
標的遺伝子組み換えベクターは、周知の手段、例えば、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法等により、カルス又は未熟胚に導入される。
III-2-1 パーティクルガン法を利用する場合は、次のように行う。まず、金粒子(好適には直径1−2μm)に調製された標的遺伝子組み換えベクターでコーティングし、マイクロキャリアーに接着させる。カルス又は未熟胚をプレートに並べ、パーティクルガン装置で、2回打ち込む。
III-2-2 アグロバクテリウム法では次のように行う。
上記III-1で調製した標的遺伝子組み換え中間ベクターをアグロバクテリウムツメファシエンス中のTiプラスミドと相同組み換えされるか、又は標的遺伝子バイナリーベクターを、アグロバクテリウムツメファシエンスに導入する。
形質転換されたアグロバクテリウムを、カルスに感染させることにより、標的遺伝子をカルスに導入することができる。
III-3 エレクトロポレーション法
III-1で調製したカルスより、プロトプラストを調製する。調製したプロトプラストをIII-1で調製した標的遺伝子組み換えベクターの共存下、溶液中で、高圧電場を掛け、標的遺伝子をプロトプラストに導入する。
IV.カルスから不定根を誘導する方法
遺伝子導入されたカルス又はプロトプラストは、培地中で増殖させる。
増殖させたカルスから、不定根を誘導する。不定根誘導には、好適には、MS基本培地にIBA(インドール酪酸)を3〜10ppm添加した培地を用いる。更に好適には、スクロースを6〜7wt%添加する。IAA,NAA等のオーキシン類は添加しても、添加しなくても良い。
V.未熟胚からの無菌根の誘導
遺伝子導入された未熟胚は、培地で成長させる。培地としては、Whiteの培地、Hellerの培地、SH培地、MS培地、LS培地等があるが、MS培地又はその組成に変更を加えたMS改変培地が好適である。
約30日程度培養し比較的成長した未熟胚から、MS基本培地をベースにスクロースを添加すれば、ホルモン種にあまり影響されることなしに根を誘導することができる。
VII.根の大量増殖
上記1.又は2.で誘導された不定根又は無菌根を、適宜の大きさ、好適には、2〜3cm角の小片に切り分ける。適宜の培地、例えば、Whiteの培地、Hellerの培地、SH培地、MS培地、LS培地又はMB培地を用いることができ、好適には、MS培地を用い、培地中にIBA3〜10ppmを加えて、培養することにより、根の増殖を行うことができる。培地は固体でも液体でも良い。固体培地で行う場合は、適当な大きさに根が成長すると、根の一部を切断し、更に移植して、増殖する。好適には、液体培地を用いて、振トウ培養を、ジャーファーメンター等を用いて行う。液体培養することで、いっそう効率のよい増殖が可能で、移植操作も容易となる。
VIII.根から標的遺伝子の発現の確認
大量培養して、増殖させた根培養物から、標的遺伝子産物を抽出する。
さらに、微量の抽出物は熱分解GC/MS、FT-IR、又はNMRなどの手法で分析することにより、成分を確認できる。
また、大量に増殖した根より、ラテックスを抽出し、さらにゴム成分を遠心分離などの手法によって分離後、標的遺伝子の産物である、たんぱく質、糖、トコトリエノールなどの有用物質を検出する。
[実施例1]カルスの誘導 組織培養によるラテックスの産生方法
(1)葯・未熟種子・形成層からカルスを経由して不定根を得る方法
外植体として用いる雄花の葯は蕾の状態のものをパラゴムノキから採取し、希釈した次亜鉛素酸ソーダ溶液で消毒後、蕾を開いて取り出した。未熟種子は外皮が緑色の軟らかい果実から採取した。形成層は若い枝を採取し、表面をエタノールで洗浄後、サンプリングした。
カルス誘導にはMS基本培地に、1〜3ppmのBAP若しくはKINと、0.3〜1ppmの2,4-D、さらに1ppmのNAA若しくはIAAを添加、さらに6〜7%のスクロースおよび5%程度のココナッツウォータを加えた培地を調整した。pHは5.6〜5.8に調製し、支持体としては、ゲルライトあるいは寒天粉末を使用した。
27〜28℃の暗所で1〜2ヶ月培養することにより、カルスの増殖が確認された。
増殖されたカルスはホルモン組成のみ3〜10ppmに変えた、カルス誘導と同一組成の培地に移植した。IAA、NAAなどのオーキシンは加えても加えなくてもよい。IBAを加え、16時間光照射した27〜28℃の環境で1〜数ヶ月培養することにより不定根を誘導することができた。形成した発根を図1に示す。
(2)未熟胚から無菌根を誘導する方法
比較的成長した未熟胚を種子からサンプリングし、MS基本培地に6〜7%のスクロースを加えた培地で培養することにより、ホルモン種にはあまり影響されることなしに、無菌根を誘導することができた。
(3)根の大量増殖
上記(1)、(2)の培養で得た根を2〜3cm以上の小片に切り分け、IBA 3〜10ppmを加えた培地で根を増殖させた。培地は個体でも液体でも良い結果を得た。(図2参照。)
(4)<培養根中のラテックスの確認>
増殖が進んだ根の培養物においては、移植操作時の切断により、ラテックスの浸出が黙示で確認できた。さらにその組成を分析するために、培養根を有機溶媒(クロロホルムなど)でソクスレー抽出を行い、抽出部分を熱分解GC/MS,FT-IR,NMRなどの手法で分析した。
例えば、NMRでCDC13を溶媒として測定したところ、135.24ppm、125.08ppm、32.25ppm、26.44ppm、及び23.44ppmの位置に高いピークが見られ、これ以外に、128.0ppm、120.4ppm、29.7ppm、22.7ppm及び14.1ppmの位置に低いピークが見られた。
その結果、天然ゴムの主成分である、シスポリイソプレンが多量に存在することが確認されたほか、糖類、アミノ酸、タンパク質、高級脂肪酸などの有用成分が同定された。(図3 NMRスペクトル 参照)
[実施例2] カルスへの遺伝子導入
(1)カルスへ導入するプラスミドの調製
ここではβ-glucuronidase(通称:GUS)をレポータータンパク質として用いる。GUSは、D-グルクロン酸のβ型配糖体に作用してそのグルクロニド結合を加水分解する酵素であり、ゴムノキには存在しない。そこで、GUS遺伝子と、コローニー選抜用の抗生物質抵抗性遺伝子を有するプラスミドを次のように設計した。
GUS遺伝子と、ハイグロイマイシン抵抗性遺伝子(hygr)をCaMV35Sのプロモータの下流になるようにpUC19のマルチクローニングサイトに組み込んで、pU19―GUSを調製する。
(2)プラスミドのカルスへの導入
遺伝子導入にはパーティクルガン(BIORAD PDS 1000/He)を用いる。ラプチャーディスクは1100psi(7.58Mpa)を用いる。マイクロキャリーからストッピングスクリーンまでの距離は、1.0cm、ストッピングスクリーンから打ち込み対象のカルス試料までの距離は9.5cmとする。撃ち込みには上記のpCU19−GUSプラスミドをコーティングした1.6μmの金粒子を用いる。
(3)1次選抜
カルスは遺伝子導入2日後にハイグロマイシンを含む選抜培地に移し、培養し、生長してきたカルスを1次選抜する。
(4)根の誘導
遺伝子導入されたカルス又はプロトプラストは、培地中で増殖させる。
増殖させたカルスから、不定根を誘導する。不定根誘導には、好適には、MS基本培地にIBA(インドール酪酸)を3〜10ppm添加した培地を用いる。更に好適には、スクロースを6〜7wt%添加する。
(5)根の大量培養
上記(4)で誘導された不定根を、約1cm角の小片に切り分ける。MS培地培地中にIBA3〜10ppmを加えて、ジャーファーメンターを用いて、培養することにより、根の増殖を行うことができる。
(6)GUSの発現確認
大量増殖された根の組織(0.1g)を採取し、GUS抽出バッファー(50mM リン酸ナトリウムバッファー,10mM EDTA,0.1% Triton X-100,0.1%サルコシル,10mM 2-ME)を0.5ml加えてよくホモジナイズし、全量をエッペンドルフチューブに移し、5分間遠心する。上清を新しいエッペンドルフチューブに移し、ここから、10μlを採取し、別のエッペンドフルチューブに移し、これをGUS含有サンプルとする。次に、上記GUS含有サンプルにGUS基質溶液(1mM 4-MUG(4-methyl-umbelliferyl-β-D-glucuronide、50mM リン酸ナトリウムバッファー,10mM EDTA,0.1% Triton X-100,0.1%サルコシル,10mM 2-ME)90μlを加え、37℃で1時間保温後、900μlの反応停止液(0.2% Na2CO3)を加え、反応を停止する。蛍光分光光度計(励起365nm、蛍光455nm)により蛍光強度を定量的に測定する。
これにより、遺伝子導入された、根をスクリーニングすることができる。
IBA含有培地でのカルスの発根 伸長した培養根 培養根からクロロホルム抽出した抽出物の13C-NMRスペクトル

Claims (14)

  1. ゴムノキの組織培養物に標的遺伝子を導入し、該組織培養物から不定根を再分化させ、不定根を培養することにより得ることができるゴムノキの形質転換不定根。
  2. 標的遺伝子を導入する組織培養物として、ゴムノキの葯、未熟種子又は形成層から誘導したカルスを用いる請求項1記載の形質転換不定根。
  3. 標的遺伝子を導入する組織培養物として、ゴムノキの未熟胚の組織培養物を用いる請求項1記載の形質転換不定根。
  4. 不定根の誘導にIBA(インドール酪酸)を用いる請求項1〜3いずれか1項記載の形質転換不定根。
  5. IBA(インドール酪酸)の添加濃度が3〜10ppmである請求項4項記載の形質転換不定根。
  6. 不定根の誘導にスクロースを用いる請求項1〜3いずれか1項記載の形質転換不定根。
  7. スクロースの添加濃度が、6〜7wt%である請求項6記載の形質転換不定根。
  8. ゴムノキが、パラゴムノキである請求項1〜7いずれか1項記載の形質転換不定根。
  9. 標的遺伝子が、ゴムの生合成機構又はポリイソプレン鎖延長反応に関与する遺伝子、若しくは、ラテックス中に含まれる、タンパク質、イノシトール、ケブラキトール等の糖類、又はトコトリエノールの生合成に関与しする遺伝子である請求項1〜8いずれか1項記載の形質転換不定根。
  10. 標的遺伝子が、組み換えベクターとして組織培養物に導入される請求項1〜9いずれか1項記載の形質転換不定根。
  11. 標的遺伝子が、パーティクルガン法により、組織培養物中に導入される請求項1〜10いずれか1項記載の形質転換不定根。
  12. 請求項1〜11いずれか1項に記載される形質転換不定根を培養するゴムノキの形質転換不定根を増殖する方法。
  13. 請求項1〜11いずれか1項に記載される形質転換不定根を中の標的遺伝子の発現を確認することを含む、標的遺伝子で形質転換された植物の評価方法。
  14. 標的遺伝子の不定根における発現の確認が、不定根からラテックスを分離し、ラテックス中の成分を確認することにより行われる、請求項13項記載の方法。
JP2003373103A 2003-10-31 2003-10-31 ゴムノキの培養系を利用した形質転換体及びその評価方法 Expired - Fee Related JP4374236B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003373103A JP4374236B2 (ja) 2003-10-31 2003-10-31 ゴムノキの培養系を利用した形質転換体及びその評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003373103A JP4374236B2 (ja) 2003-10-31 2003-10-31 ゴムノキの培養系を利用した形質転換体及びその評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005130815A true JP2005130815A (ja) 2005-05-26
JP4374236B2 JP4374236B2 (ja) 2009-12-02

Family

ID=34649292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003373103A Expired - Fee Related JP4374236B2 (ja) 2003-10-31 2003-10-31 ゴムノキの培養系を利用した形質転換体及びその評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4374236B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007105032A (ja) * 2005-09-16 2007-04-26 Bridgestone Corp パラゴムノキのプレニルトランスフェラーゼの遺伝子群
JP2007130010A (ja) * 2005-09-16 2007-05-31 Bridgestone Corp パラゴムノキの非メバロン酸経路でのイソペンテニル二リン酸生合成に関与する遺伝子群
WO2008117731A1 (ja) * 2007-03-27 2008-10-02 Bridgestone Corporation パラゴムノキのビタミンe生合成に関する酵素の遺伝子群
JP2009109217A (ja) * 2007-10-26 2009-05-21 Bridgestone Corp ラテックス産出植物の乳管細胞を検出する方法
CN102577961A (zh) * 2012-02-24 2012-07-18 中国热带农业科学院橡胶研究所 一种橡胶树林段树根离体诱导新生无菌根的方法
WO2012169613A1 (ja) 2011-06-10 2012-12-13 株式会社ブリヂストン パラゴムノキの倍数体作製方法
WO2014038564A1 (ja) * 2012-09-05 2014-03-13 住友ゴム工業株式会社 植物の不定胚誘導方法、植物の再生方法及び植物の増殖方法
JP2014073083A (ja) * 2012-10-02 2014-04-24 Sumitomo Rubber Ind Ltd 植物の再生方法及び植物の増殖方法
CN113455394A (zh) * 2021-07-23 2021-10-01 中国热带农业科学院橡胶研究所 一种规模化繁育橡胶树体胚苗的标准化生产方法

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007105032A (ja) * 2005-09-16 2007-04-26 Bridgestone Corp パラゴムノキのプレニルトランスフェラーゼの遺伝子群
JP2007130010A (ja) * 2005-09-16 2007-05-31 Bridgestone Corp パラゴムノキの非メバロン酸経路でのイソペンテニル二リン酸生合成に関与する遺伝子群
WO2008117731A1 (ja) * 2007-03-27 2008-10-02 Bridgestone Corporation パラゴムノキのビタミンe生合成に関する酵素の遺伝子群
JPWO2008117731A1 (ja) * 2007-03-27 2010-07-15 株式会社ブリヂストン パラゴムノキのビタミンe生合成に関する酵素の遺伝子群
US8372616B2 (en) 2007-03-27 2013-02-12 Bridgestone Corporation Homogentisic acid geranylgeranyl transerase polypeptide
JP2009109217A (ja) * 2007-10-26 2009-05-21 Bridgestone Corp ラテックス産出植物の乳管細胞を検出する方法
WO2012169613A1 (ja) 2011-06-10 2012-12-13 株式会社ブリヂストン パラゴムノキの倍数体作製方法
CN102577961A (zh) * 2012-02-24 2012-07-18 中国热带农业科学院橡胶研究所 一种橡胶树林段树根离体诱导新生无菌根的方法
CN102577961B (zh) * 2012-02-24 2013-07-17 中国热带农业科学院橡胶研究所 一种橡胶树林段树根离体诱导新生无菌根的方法
WO2014038564A1 (ja) * 2012-09-05 2014-03-13 住友ゴム工業株式会社 植物の不定胚誘導方法、植物の再生方法及び植物の増殖方法
US10172307B2 (en) 2012-09-05 2019-01-08 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Plant-adventitious-embryo induction method, plant restoration method, and plant reproduction method
JP2014073083A (ja) * 2012-10-02 2014-04-24 Sumitomo Rubber Ind Ltd 植物の再生方法及び植物の増殖方法
CN113455394A (zh) * 2021-07-23 2021-10-01 中国热带农业科学院橡胶研究所 一种规模化繁育橡胶树体胚苗的标准化生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4374236B2 (ja) 2009-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhang et al. High frequency somatic embryogenesis and plant regeneration of an elite Chinese cotton variety
JP7121442B2 (ja) Taraxacum属植物の形質転換植物の製造方法
CN105543278B (zh) 一种砀山酥梨遗传转化方法
JP4374236B2 (ja) ゴムノキの培養系を利用した形質転換体及びその評価方法
Ghosh et al. In vitro shoot grafting on rootstock: an effective tool for Agrobacterium-mediated transformation of pigeonpea (Cajanus cajan (L.) Millsp.)
Jan et al. The effect of plant growth regulators on callus induction and somatic embryogenesis of hybrid tomato
Mekala et al. Optimization of Agrobacterium-mediated genetic transformation of shoot tip explants of green gram (Vigna radiata (L.) Wilczek)
Kagami et al. Sugar beet (Beta vulgaris L.)
US8691577B2 (en) Somatic embryogenesis of Jatropha curcas from ovules
EP2001280A2 (en) Direct regeneration of plantlets in jatropha curcas
Cai et al. Regeneration of Jatropha curcas through efficient somatic embryogenesis and suspension culture
Suzuki et al. Embryogenic callus induction from leaf explants of the Liliaceous ornamental plant, Agapanthus praecox ssp. orientalis (Leighton) Leighton: Histological study and response to selective agents
Maju et al. In vitro regeneration system for multiplication and transformation in Piper nigrum L.
He et al. Haploid induction via in vitro gynogenesis in tomato (Solanum lycopersicum L.)
Bajaj et al. Optimizing plant regeneration and genetic transformation of Paulownia elongata
Husaini et al. A High-efficiency direct somatic embryogenesis system for strawberry (Fragaria x ananassa duch.) cultivar chandler
HASANI et al. Somatic embryogenesis of Ferula assa-foetida
Corredoira et al. Chestnut, European (Castanea sativa)
JP2005130813A (ja) 組織培養によるラテックスの産出方法
Yau et al. Rapid Agrobacterium-mediated transformation of tobacco cotyledons using toothpicks
Sonntag et al. Protoplast isolation and culture for somatic hybridization of Lupinus angustifolius and L. subcarnosus
JP6273123B2 (ja) Sonchus属植物の形質転換植物の作成方法
Yahya Al-Maskri et al. Enhanced Somatic Embryogenesis and Agrobacterium-Mediated Transformation of three Cultivars of Tomato by Exogenous Application of Putrescine.
Raji et al. Plant regeneration and Agrobacterium-mediated transformation of African cowpea [Vigna unguiculata (L.) Walp] genotypes using embryonic axis explants
JP6716876B2 (ja) 遺伝的に改変された植物体を作製するための形質転換植物体の製造方法、及びこの製造方法により作製された、遺伝的に改変された形質転換植物体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090310

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20090511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090609

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090901

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090907

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120911

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130911

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees