JP2005130194A - 量子暗号通信システムおよび送信者側送受信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】盗聴の有無が検出でき、かつ通信レートを高めることができる量子暗号通信システムを提供すること。
【解決手段】量子暗号通信システムは、送信者側送受信装置と受信者側送受信装置との間に、上記送信者側送受信装置から上記受信者側送受信装置へ光子の量子状態を情報に従って符号化した光パルス列を送信する光通信チャネルおよび上記送信者側送受信装置と上記受信者側送受信装置間で量子暗号通信手順に係わる事項を相互に連絡するために用いられる公開チャネルを有した量子暗号通信システムにおいて、上記送信者側送受信装置は、上記各光パルスに複数光子が含まれることが希な平均光子数の小さな単一光子光パルス列と、受信後においても光パルスに複数光子が含まれるような平均光子数の大きな複数光子光パルス列と、を含む光パルス列を送信する送信手段を有する。
【選択図】図2
【解決手段】量子暗号通信システムは、送信者側送受信装置と受信者側送受信装置との間に、上記送信者側送受信装置から上記受信者側送受信装置へ光子の量子状態を情報に従って符号化した光パルス列を送信する光通信チャネルおよび上記送信者側送受信装置と上記受信者側送受信装置間で量子暗号通信手順に係わる事項を相互に連絡するために用いられる公開チャネルを有した量子暗号通信システムにおいて、上記送信者側送受信装置は、上記各光パルスに複数光子が含まれることが希な平均光子数の小さな単一光子光パルス列と、受信後においても光パルスに複数光子が含まれるような平均光子数の大きな複数光子光パルス列と、を含む光パルス列を送信する送信手段を有する。
【選択図】図2
Description
この発明は、情報に従って光子の量子状態を符号化して送受信することにより盗聴を防ぐことのできる量子暗号通信システムおよび送信者側送受信装置に関する。
従来の量子暗号通信システムでは、レーザ光を減衰させて単一光子光パルス列を生成し、情報に従って光子の量子状態を、ここでは偏光方向を符号化し、好ましくは1光子ずつ伝送して通信を行っている。量子暗号通信手順(プロトコル)、通称BB84では、光パルス毎に2種類の符号化基底のいずれかを用いて情報に従って光子の量子状態を符号化する。例えば、水平−垂直偏光方向の基底と、45°−135°偏光方向の基底とのいずれかの基底を用い、それぞれの基底において、一方の偏光方向を「0」、もう一方を「1」と符号化している(例えば、非特許文献1参照。)。
エッチ・ジビンデン(H.Zbinden)、他3名、「クオアンタム クリプトグラフィ(Quantum cryptography)」、(米国)、Applied Physics B 67、1998年、p.743−748
このような量子暗号通信システムにおいては、光パルスが光ファイバを通過するときの損失により、光子が消失して送信情報が欠損してしまうので、光子数が減少するだけの通常の古典的光通信システムと比較して、通信レートが低くなるという欠点があった。例えば、光ファイバ損失Lf=0.2dB/km、通信距離I=50kmとしたとき、光ファイバ損失Lfによって非特許文献1に記載の(1)、(2)式から求められる動作周波数νに対する通信レートRは、I=0kmの通信レートR0に対して10分の1となる。
また、単一光子光パルス列は、通常レーザ光を減衰して生成されるが、複数光子生成の発生率が極めて低くなるように過剰に減衰している。例えば、複数光子生成の発生率が0.5%以下となるように平均光子数μ=0.1となるまで減衰した場合、通信レートRはさらに10分の1となる。
また、単一光子光パルス列は、通常レーザ光を減衰して生成されるが、複数光子生成の発生率が極めて低くなるように過剰に減衰している。例えば、複数光子生成の発生率が0.5%以下となるように平均光子数μ=0.1となるまで減衰した場合、通信レートRはさらに10分の1となる。
この発明の目的は、盗聴の有無が検出でき、かつ通信レートを高めることができる量子暗号通信システムおよび送信者側送受信装置を提供することである。
この発明に係わる量子暗号通信システムは、送信者側送受信装置と受信者側送受信装置との間で、光通信チャネルを介して上記送信者側送受信装置から上記受信者側送受信装置へ光子の量子状態を送信する情報に従って符号化した光パルス列を送信するとともに公開チャネルを介して量子暗号通信手順に従って上記光パルス列に係わる信号処理を行う量子暗号通信システムにおいて、上記送信者側送受信装置は、上記各光パルスに複数光子が含まれることが希な平均光子数の小さな上記量子暗号通信手順に従った単一光子光パルス列と、受信後においても光パルスに複数光子が含まれるような平均光子数の大きな複数光子光パルス列と、を含む光パルス列を送信する送信手段を有する。
この発明に係る量子暗号通信システムでは、単一光子よりなる光パルス列と複数光子よりなる光パルス列とを切り替えながら送信を行っている。そのため、盗聴者にはいつ単一光子光パルス列が送信されているかわからないので量子暗号通信が有する通信の安全性を確保できる。同時に、複数光子光パルス列の送信により光子消失に伴う送信情報の欠損を抑えられるので通信レートも高めることができる。
実施の形態1.
図1は、この発明に係わる量子暗号通信システムのブロック図である。この量子暗号通信システムは、従来のシステムと送信者(以下、慣例に従いAliceと称す。)側送受信装置(以下、送信装置と称す。)1の一部が異なっているだけで、受信者(以下、慣例に従いBobと称す。)側送受信装置(以下、受信装置と称す。)2は同様であるので、同様な部分の図示および説明は省略する。
図1は、この発明に係わる量子暗号通信システムのブロック図である。この量子暗号通信システムは、従来のシステムと送信者(以下、慣例に従いAliceと称す。)側送受信装置(以下、送信装置と称す。)1の一部が異なっているだけで、受信者(以下、慣例に従いBobと称す。)側送受信装置(以下、受信装置と称す。)2は同様であるので、同様な部分の図示および説明は省略する。
送信装置1は、受信装置2と接続された光通信チャネルとしての光ファイバ3と、光ファイバ3から入射された所定強度の光パルスを分割して第1の光パルスと第2の光パルスを生成する光分岐器4と、位相変調器6を通過した第2の光パルスの進路を変更し位相変調器6に再び入射させる反射鏡としてのファラデーローテータ(Faraday rotator)鏡5と、可変減衰器7を通過した第2の光パルスが入射するとともにファラデーローテータ鏡5で反射されて戻ってくる第2の光パルスが再び入射する位相変調器6と、光分岐器4で生成された第2の光パルスが入射するとともに反射されて戻ってくる第2の光パルスが再び入射する可変減衰器7とを有している。
さらに、送信装置1は、受信装置2から送られ光分岐器4で生成された第1の光パルスの強度を検出する光検出器としてのデテクタ(Detector)8を有している。
さらに、送信装置1は、デテクタ8で測定された光パルス列の強度に基づき、送信データに従いファラデーローテータ鏡5で反射された光パルス列の位相を変調するように位相変調器6を制御する位相変調手段9と、送信データに従い光パルス列を減衰する可変減衰器7を制御する減衰率制御手段10と、受信装置2と協業して送信装置1と受信装置2との間の盗聴を検出する送信側盗聴検出手段11とを有する制御器12を有している。制御器12は、CPU、RAM、ROM、インタフェース回路を有するコンピュータから構成されている。送信装置1の送信手段は、位相変調器6、可変減衰器7、位相変調手段9および減衰率制御手段10からなる。符号化手段は、位相変調器6と位相変調手段9からなる。可変減衰手段は、可変減衰器7と減衰率制御手段10からなる。
さらに、送信装置1は、受信装置2から送られ光分岐器4で生成された第1の光パルスの強度を検出する光検出器としてのデテクタ(Detector)8を有している。
さらに、送信装置1は、デテクタ8で測定された光パルス列の強度に基づき、送信データに従いファラデーローテータ鏡5で反射された光パルス列の位相を変調するように位相変調器6を制御する位相変調手段9と、送信データに従い光パルス列を減衰する可変減衰器7を制御する減衰率制御手段10と、受信装置2と協業して送信装置1と受信装置2との間の盗聴を検出する送信側盗聴検出手段11とを有する制御器12を有している。制御器12は、CPU、RAM、ROM、インタフェース回路を有するコンピュータから構成されている。送信装置1の送信手段は、位相変調器6、可変減衰器7、位相変調手段9および減衰率制御手段10からなる。符号化手段は、位相変調器6と位相変調手段9からなる。可変減衰手段は、可変減衰器7と減衰率制御手段10からなる。
位相変調器6は、チタンを拡散したリチウムナイオベート(LiNbO3)素子からなり、制御器12から加えられる電圧パルスで光パルス列の位相を変調することができる。可変減衰器7は、方向性結合器またはマッハツェンダ形干渉導波路を利用した光学可変減衰器からなり、制御器12から加えられる電圧により光パルスの減衰量を可変することができる。デテクタ8は、pinフォトダイオードと高速増幅器を有している。
送信装置1から送られる送信データは、データ通信用データと盗聴検出用データとを含んでいる。データ通信用データは、公開鍵のデータを含んでいる。
一方、受信装置2は、レーザ光を発するレーザ光源13と、レーザ光源13で発せられたレーザ光を送信装置1側に分岐し、また送信装置1から送られた光パルス列を分岐する光分岐器14と、送信装置1から送られ光分岐器14で分岐されて入射した光パルス列を受光する受光部15とを有している。
さらに、受信装置2は、光パルス列の受光に際し偏光方向のいずれかをランダムに選択し、受光した光パルス列を復号化する復号手段17と、復号化した情報を公開チャネル16を介して送信装置1の送信側盗聴検出手段11と協業して照合し、照合結果から盗聴の有無を判断する受信側盗聴検出手段18とを有する受信装置2の制御器19を有している。制御器19は、CPU、RAM、ROM、インタフェース回路を有するコンピュータから構成されている。受信装置2の受信手段は、受光部15と復号手段17とから構成されている。
さらに、受信装置2は、光パルス列の受光に際し偏光方向のいずれかをランダムに選択し、受光した光パルス列を復号化する復号手段17と、復号化した情報を公開チャネル16を介して送信装置1の送信側盗聴検出手段11と協業して照合し、照合結果から盗聴の有無を判断する受信側盗聴検出手段18とを有する受信装置2の制御器19を有している。制御器19は、CPU、RAM、ROM、インタフェース回路を有するコンピュータから構成されている。受信装置2の受信手段は、受光部15と復号手段17とから構成されている。
受光部15は、図示しない偏光方向を変更する位相変調器とアバランシェホトダイオードを有している。
また、送信装置1と受信装置2とは、無線や電話など盗聴を前提とした公開チャネル16で接続され、量子暗号通信手順を進めるために必要な事項、受信に使用した符号化基底および照合に必要な情報を相互に連絡することができる。
このような構成の送信装置1では、送信する情報を光子の量子状態に対応させて符号化する。送信する情報は、ディジタル情報であるので、「0」と「1」とから構成されている。また、光子の量子状態として偏光状態を用いている。偏光状態の基底としては、水平−垂直偏光方向の基底と、45°−135°偏光方向の基底との2つの基底のいずれかを用いることができる。偏光状態は、光パルス列の位相を変調することにより変えることができる。
データ通信用情報は、水平−垂直偏光方向の基底を用いて符号化される。水平を「0」に、垂直を「1」に対応するように、偏光状態を変える。
データ通信用情報は、水平−垂直偏光方向の基底を用いて符号化される。水平を「0」に、垂直を「1」に対応するように、偏光状態を変える。
一方、盗聴検出用情報は、量子暗号通信手順に従い単一光子光パルス列を符号化する。ここで、量子暗号通信手順(プロトコル)として、BB84を取り上げて説明する。ディジタル情報のビット列(「0」および「1」を含む)を光パルス列として符号化するにあたり、水平−垂直偏光方向と45°−135°偏光方向の2種類の基底、すなわち2種類の符号化法を用いる。例えば、水平−垂直偏光方向符号化の場合は「水平」を「0」に、「垂直」を「1」に、45°−135°偏光方向符号化の場合は「45°」を「0」に、「135°」を「1」に対応させる。このような取り決めをAliceとBobは予め公開チャンネル16で行っておく。Aliceは二進法で書かれた送信情報を用意する。量子暗号通信におけるAliceとBobのプロトコルBB84は次のようになる。
ステップ1では、Aliceはランダムに符号化法を選択し、送信情報に従って光パルス列の偏光を位相変調器6で変調する。例えば45°−135°偏光方向で符号化することとし、送信情報の最初の値が「1」ならば「45°」偏光となるように光パルスの偏光状態を変える。Bobには選択した符号化法は知らせず、光パルスだけを送る。同様にして引き続くビットに対して次々と光パルスを送る。
ステップ2では、受けた光パルスが光子を1つしか含まないので、不確定性原理により水平−垂直偏光と45°−135°偏光の両方をBobは測ることができない。従って、どちらの符号化法で測るかを決心し、受光部15を用いて測定する。Aliceが選択した符号化法と同じ符号化法または違った符号化法のどちらかを選ぶ確率はそれぞれ50%である。選んだコーティング法が同じだった場合には、送信情報の値が正しくBobに再現されるが、間違った場合はそのビットに関するAliceとBobとの間の相互情報量はゼロとなる。
ステップ3では、光パルスを1つ測定する毎に(あるいは後でまとめて交信してもよいが)Bobはどちらの符号化法を選択したか、公開チャンネル16でAliceに伝える。Aliceはそれを聞き、Bobの符号化法の選択が正しかったか否かを公開チャンネル16でBobに伝える。
ステップ4では、AliceとBobは双方が同じ符号化法を選択したビットだけを採用し、後のビットは捨てる。盗聴がなければ双方に同じ情報が保有できているはずである。
ステップ5では、BobはAliceと連絡を取りながら残ったビットのうち適当な割合で照合ビットを抽出し、それぞれの答合わせを公開チャンネル16で行い、受信エラー率を求める。受信エラー率は、照合ビットが一致しなかった割合である。十分な数の照合ビットが一致すれば、1に近い確率で盗聴されていないと結論づける。
このステップ3から5の操作は、送信装置1と受信装置2のそれぞれの送信側盗聴検出手段11、受信側盗聴検出手段18により実行される。
このようにして、単一光子光パルス列に係わる量子暗号通信手順に従った信号処理により、盗聴されていないと結論づけたとき、同時に送信され受信された複数光子光パルス列を用いて通常の光通信により受信者側が入手したデータ通信用データを正式に採用する。もし、受信エラー率が高いときは盗聴されていると結論づけて、データ通信用データを廃棄する。正式に採用されたデータ通信用データが共通鍵のときは、この共通鍵を用いて送信したい情報を暗号化し、公開チャネルを介して送受信することができる。
なお、データ通信用データは、公開鍵に限らない。
また、盗聴検出用データも送りたい情報の一部を用いてもよい。
また、この説明では量子暗号通信手順としてBB84を取り上げたが、他の量子暗号通信手順を用いてもよい。
このステップ3から5の操作は、送信装置1と受信装置2のそれぞれの送信側盗聴検出手段11、受信側盗聴検出手段18により実行される。
このようにして、単一光子光パルス列に係わる量子暗号通信手順に従った信号処理により、盗聴されていないと結論づけたとき、同時に送信され受信された複数光子光パルス列を用いて通常の光通信により受信者側が入手したデータ通信用データを正式に採用する。もし、受信エラー率が高いときは盗聴されていると結論づけて、データ通信用データを廃棄する。正式に採用されたデータ通信用データが共通鍵のときは、この共通鍵を用いて送信したい情報を暗号化し、公開チャネルを介して送受信することができる。
なお、データ通信用データは、公開鍵に限らない。
また、盗聴検出用データも送りたい情報の一部を用いてもよい。
また、この説明では量子暗号通信手順としてBB84を取り上げたが、他の量子暗号通信手順を用いてもよい。
この送信装置1では、Bob側から送られてきた光パルス列は、光分岐器4により分岐され一方の光パルス列はデテクタ8に入り光強度測定される。もう一方の光パルス列は、ファラデーローテータ鏡5により反射される途中で、制御器12で制御された位相変調器6によりデテクタ8の出力に基づいて任意タイミングで位相変調される。さらに、可変減衰器7により、その強度すなわち平均光子数が減衰される。平均光子数とは、ある光強度を有する光パルス列を所定の程度減衰したとき観測される光パルス列に含まれる複数の光パルスに含まれる光子の数の平均値である。例えば、平均光子数が0.1の光パルス列の複数の光パルスをその光子数を計測すると平均して10個の光パルスのうち1個だけ光子を計測することができる。また、平均光子数が50であれば、各光パルスに対し平均して50個の光子を計測することができる。
図2は、図1の送信装置1から出力される送信パルスの様子を示す図である。
Aliceは、送信に用いる光パルス列の強度を減衰させ、平均光子数μ1(好ましくは単一光子)の光パルス列を盗聴検出用の送信パルスとし、複数光子を有する平均光子数μ2の光パルス列をデータ通信用に送信パルスとして生成する。この送信パルスは、図2(a)に示すように、可変減衰器7の減衰率を通信間隔毎に任意に切り替えながら送信される。
さらに、平均光子数μ1の光パルス列は、上述の量子暗号通信手順に従い送信情報に基づき、光子の偏光状態を切り替えて符号化されている。それぞれの送信パルスについてその量子状態に送信データの情報を符号化しBobに送信する。ここで、図3に光パルスに含まれる光子数に対する発生頻度を平均光子数毎に示している。平均光子数μ=0.1の光パルス列では、光子が1以上含まれる光パルスの発生する頻度がゼロに近いので、平均光子数μ1を0.1にすれば1つの光パルスに単一の光子が含まれるようになる。また、平均光子数μ=10の光パルス列では、光パルスに含まれる光子が10個以上であるので、平均光子数μ2を数10以上にすれば、光ファイバを通過後においても光パルスが消失しない。
Aliceは、送信に用いる光パルス列の強度を減衰させ、平均光子数μ1(好ましくは単一光子)の光パルス列を盗聴検出用の送信パルスとし、複数光子を有する平均光子数μ2の光パルス列をデータ通信用に送信パルスとして生成する。この送信パルスは、図2(a)に示すように、可変減衰器7の減衰率を通信間隔毎に任意に切り替えながら送信される。
さらに、平均光子数μ1の光パルス列は、上述の量子暗号通信手順に従い送信情報に基づき、光子の偏光状態を切り替えて符号化されている。それぞれの送信パルスについてその量子状態に送信データの情報を符号化しBobに送信する。ここで、図3に光パルスに含まれる光子数に対する発生頻度を平均光子数毎に示している。平均光子数μ=0.1の光パルス列では、光子が1以上含まれる光パルスの発生する頻度がゼロに近いので、平均光子数μ1を0.1にすれば1つの光パルスに単一の光子が含まれるようになる。また、平均光子数μ=10の光パルス列では、光パルスに含まれる光子が10個以上であるので、平均光子数μ2を数10以上にすれば、光ファイバを通過後においても光パルスが消失しない。
このような通信システムにおいては、AliceとBobとは従来の量子暗号通信システムと同様に平均光子数μ1からなる盗聴検出用送信パルスを用いて盗聴者(以下、慣例に従ってEveと称す。)の検知を行うことができる。同時に、平均光子数μ2のデータ通信用送信パルスを用いて情報の伝達を行うことができる。
ここで、Eveは測定するまで送信パルスにふくまれる光子数を検出できないので、盗聴に際しては全ての送信パルスに対し盗聴を行わねばならない。そのため、単一光子よりなる光パルス列を盗聴し再送信した時には不確定性原理によって通信エラーが発生し、AliceとBobは盗聴を検出できる。
また、盗聴検出の精度を高めたい時には、Aliceが任意に平均光子数の少ないパルス列の送信頻度を大きくすることで実現できるという効果がある。
また、図2(b)に示すように伝送に伴う減衰率が10dBであったとしても、平均光子数μ2の光パルス列は、途中で全光子が消失する事なくBobに到達する確率が高いため、通信レートが向上するという効果がある。
ここで、Eveは測定するまで送信パルスにふくまれる光子数を検出できないので、盗聴に際しては全ての送信パルスに対し盗聴を行わねばならない。そのため、単一光子よりなる光パルス列を盗聴し再送信した時には不確定性原理によって通信エラーが発生し、AliceとBobは盗聴を検出できる。
また、盗聴検出の精度を高めたい時には、Aliceが任意に平均光子数の少ないパルス列の送信頻度を大きくすることで実現できるという効果がある。
また、図2(b)に示すように伝送に伴う減衰率が10dBであったとしても、平均光子数μ2の光パルス列は、途中で全光子が消失する事なくBobに到達する確率が高いため、通信レートが向上するという効果がある。
次に、平均光子数μ2のデータ通信用送信パルスを用いることによる通信レートの向上について説明する。
光子パルス列を送信する量子暗号通信システムにおいて、その通信レートRは、qを量子暗号通信プロトコルのシステム因子、μを平均光子数、νを動作周波数、ηtを伝送効率、ηdを光子検出効率とすれば、数1で与えられる。
光子パルス列を送信する量子暗号通信システムにおいて、その通信レートRは、qを量子暗号通信プロトコルのシステム因子、μを平均光子数、νを動作周波数、ηtを伝送効率、ηdを光子検出効率とすれば、数1で与えられる。
ここでηtは、Iを伝送距離、Lfを伝送路損失、LbをBobの内部損失として、数2で与えられる。
従来の量子暗号通信システムでは、複数光子生成の確率をできるだけ抑えるため平均光子数μを小さくして通信を行い、得られた通信データの一部を盗聴者検出に用いている。しかし本発明では、平均光子数μ1の小さい(好ましくは単一光子)光パルス列を用いて従来と同様に盗聴者検出を行う一方で、平均光子数μ2よりなる光パルス列を用いて情報通信を行っているので、通信レートは数3の割合で向上する。
ここで、図4に示すように、従来の量子暗号通信システムと同様に複数光子生成の確率を抑制し、例えばその確率が0.5%以下となるように平均光子数μ1=0.1とする。伝送路損失Lf=0.2dB/kmの光ファイバでI=50km伝送したとすると、数4となるから、情報通信レートの向上率ρは数5と近似でき、理想的にLb=0とした場合、向上率ρは数6で与えられる。
したがって、μ2=1、3、10、30とすれば、図4に示すように光パルスに含まれる光子の存在確率も高まり、通信レートは、それぞれ9.5倍、26倍、63倍、95倍と向上させることができる。さらに光子検出効率ηdも複数光子が到達した場合は高いので、さらなる通信レートの向上が可能となる。
このような量子暗号通信システムは、平均光子数の少ない光パルス列の送信により量子暗号通信が有する安全性を確保できる。同時に、平均光子数の多い光子パルス列の送信により光子消失に伴う送信情報の欠損が抑えられるので、通信レートが向上する。
また、光強度の減衰率を任意に可変制御できる減衰率制御手段10を有した制御器12が備えられたことにより、任意平均光子数のパルス列を生成し送信パルスとすることができる。
また、通信において常に単一光子発生が要求される訳ではないので、光源に対する過剰な減衰を行わなくとも良いときは、平均光子数を容易に極限に近付けられ通信レートを向上できる。
また、量子暗号原理に従った通信により盗聴の危険性から開放されて暗号用の鍵を交換することができる。
また、平均光子数が少ない程盗聴者の存在を検出しやすくなる。
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2に係わる量子暗号通信システムの送信装置から出力される送信パルスの様子を示す図である。この実施の形態2に用いられる送信装置1は、図1と同様であるので説明は省略する。実施の形態1と異なる点は、データ通信用光パルス列と盗聴検出用光パルス列とがそれぞれ平均光子数が異なる2つのパルス列からなることである。データ通信用光パルス列としては、平均光子数μ3とμ4のパルス列である。また、盗聴検出用光パルス列としては、平均光子数μ1とμ2のパルス列である。
図5はこの発明の実施の形態2に係わる量子暗号通信システムの送信装置から出力される送信パルスの様子を示す図である。この実施の形態2に用いられる送信装置1は、図1と同様であるので説明は省略する。実施の形態1と異なる点は、データ通信用光パルス列と盗聴検出用光パルス列とがそれぞれ平均光子数が異なる2つのパルス列からなることである。データ通信用光パルス列としては、平均光子数μ3とμ4のパルス列である。また、盗聴検出用光パルス列としては、平均光子数μ1とμ2のパルス列である。
このように、盗聴検出用光パルス列として2つのパルス列を用いた場合、平均光子数の小さなパルス列は盗聴検出確率が高くなり、一方平均光子数の多いパルス列は通信レートが高くなる。この2つのパルス列を組み合わせることにより、所望の通信レートと盗聴検出確率とを確保できる。
さらに、平均光子数をμ1、μ2、μ3、・・・、μk、・・・、μ(n−1)、μn(μ1<μ2<・・・<μn)のn個の光パルス列を通信パルスとして用いることもできる。この場合、盗聴検出には平均光子数μ1からμkまでの光パルス列を用い、データ通信用には平均光子数μ(k+1)からμnを用いるとする。
このような通信方法によれば、安全性を高めたい時または盗聴が疑わしい時には、平均光子数μkを小さくすることで盗聴検出の精度が高められるという効果がある。
Aliceは送信に用いるレーザ光強度を減少させるにあたり、少なくとも二種類の減衰率をもってレーザ光強度を減少させ、少なくとも二種類の平均光子数の異なるパルスを用いて送信を行う。平均光子数が異なる光パルス列による通信を比較すれば、平均光子数が少ない光パルス列ほど盗聴検出確率が高いが通信レートは低く、逆に平均光子数が多い光パルス列ほど盗聴検出確率は低いが通信レートは高くなることは明らかである。
Aliceは送信に用いるレーザ光強度を減少させるにあたり、少なくとも二種類の減衰率をもってレーザ光強度を減少させ、少なくとも二種類の平均光子数の異なるパルスを用いて送信を行う。平均光子数が異なる光パルス列による通信を比較すれば、平均光子数が少ない光パルス列ほど盗聴検出確率が高いが通信レートは低く、逆に平均光子数が多い光パルス列ほど盗聴検出確率は低いが通信レートは高くなることは明らかである。
また、Aliceが平均光子数の少ない光パルス列の出現頻度を大きくすることで盗聴検出の精度を高められるという効果がある。
なお、ここでは離散的な複数の減衰率を用いた例を示したが、もちろん連続的に減衰率を変化させた光パルス列を用いてもよい。
1 送信者側送受信装置(送信装置)、2 受信者側送受信装置(受信装置)、3 光ファイバ、4、14 光分岐器、5 ファラデーローテータ鏡、6 位相変調器、7 可変減衰器、8 デテクタ、9 位相変調手段、10 減衰率制御手段、11 送信側盗聴検出手段、12、19 制御器、13 レーザ光源、15 受光部、16 公開チャネル、17 復号手段、18 受信側盗聴検出手段。
Claims (7)
- 送信者側送受信装置と受信者側送受信装置との間で、光通信チャネルを介して上記送信者側送受信装置から上記受信者側送受信装置へ光子の量子状態を送信する情報に従って符号化した光パルス列を送信するとともに公開チャネルを介して量子暗号通信手順に従って上記光パルス列に係わる信号処理を行う量子暗号通信システムにおいて、
上記送信者側送受信装置は、
上記各光パルスに複数光子が含まれることが希な平均光子数の小さな上記量子暗号通信手順に従った単一光子光パルス列と、
受信後においても光パルスに複数光子が含まれるような平均光子数の大きな複数光子光パルス列と、
を含む光パルス列を送信する送信手段を有することを特徴とする量子暗号通信システム。 - 上記受信者側送受信装置は、
上記単一光子光パルス列を上記量子暗号通信手順に従って受信して復号化する受信手段を有することを特徴とする請求項1に記載の量子暗号通信システム。 - 上記送信者側送受信装置と上記受信者側送受信装置は、
上記公開チャネルを介して互いに協働し、上記量子暗号通信手順に従って送信され受信された上記単一光子光パルス列の受信エラー率から上記送信者側送受信装置と上記受信者側送受信装置との間の盗聴の有無を判断する送信側盗聴検出手段と受信側盗聴検出手段をそれぞれ有することを特徴とする請求項2に記載の量子暗号通信システム。 - 上記送信者側送受信装置は、
上記単一光子光パルス列および上記複数光子光パルス列の光強度の減衰率を可変に制御する可変減衰手段を有したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の量子暗号通信システム。 - 上記可変減衰手段が、上記単一光子光パルス列の平均光子数の上限を変えることを特徴とする請求項4に記載の量子暗号通信システム。
- 上記送信手段が、上記量子暗号通信手順に従って通信される平均光子数の異なる光パルス列の出現頻度を変えることを特徴とする請求項2に記載の量子暗号通信システム。
- 量子暗号通信手順に従って受信者側送受信装置との相互連絡に使用される公開チャネルと、
光通信チャネルから入射する所定強度の光パルスを分割して第1の光パルスと第2の光パルスを生成する光分岐器と、
上記光分岐器で生成された第1の光パルスの強度を検出する光検出器と、
上記光分岐器で生成された第2の光パルスが入射するとともに反射されて戻ってくる第2の光パルスが再び入射する可変減衰器と、
上記可変減衰器を通過した第2の光パルスが入射するとともに反射されて戻ってくる第2の光パルスが再び入射する位相変調器と、
上記位相変調器を通過した第2の光パルスの進路を変更し上記位相変調器に再び入射させる反射鏡と、
上記位相変調器に入射する第2の光パルスの位相を変調し通信用データを付加させるとともに、上記可変減衰器に入射する第2の光パルスの強度を上記光検出器で検出された第1の光パルスの強度に基づいて制御する制御器と、
を備え、
上記可変減衰器は上記制御器の指示に基づいて強度を制御すると、単一光子を含む光パルス列と平均光子数が1よりも大きい光パルス列を生成することを特徴とする送信者側送受信装置。
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