JP2005129406A - カーボンナノチューブの転写方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カーボンナノチューブの垂直性を維持しつつ所定の位置に確実にカーボンナノチューブのパターンニングを行うことができる方法を提供する。
【解決手段】 転写先基板上に未硬化シリコン樹脂層を形成する。同樹脂層における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみを光硬化される。未硬化部を溶剤で溶出して除く。生じた凹溝に導電性接着剤を充填する。転写先基板上の接着剤充填部と転写元基板上に成長させたカーボンナノチューブとを対向させる。転写先基板と転写元基板を加圧加熱することによりカーボンナノチューブの先端部を接着剤充填部内に差し込ませる。冷却後転写元基板から転写先基板を離すことにより、転写元基板上のカーボンナノチューブを転写先基板上に所定のパターンで転写する。

【選択図】 なし

Description

本発明は、基板上の形成されたカーボンナノチューブを該基板から別の基板に移すカーボンナノチューブの転写方法に関するものである。
カーボンナノチューブは、カーボン原子が網目状に結合してできた穴径ナノ(1ナノは10億分の1)メートルサイズの極微細な筒(チューブ)状の物質である。通常の電解液の電解質イオン直径は約0.4〜0.6nmであるので、穴径1〜2nmのカーボンナノチューブがイオンの吸脱着に好ましい。
カーボンナノチューブは、シリコンやモリブデンで作られたスピント型エミッターやダイヤモンド薄膜などの従来の電子放出素材に比べて、電流密度、駆動電圧、頑健さ、寿命などの特性において総合的に優れており、FED用電子源として現在最も有望視されている。これは、カーボンナノチューブが大きなアスペクト比(長さと直径の比)と鋭い先端とを持ち、化学的に安定で機械的にも強靱であり、しかも、高温での安定性に優れているなど、電界放出素子の材料として有利な物理化学的性質を備えているからである。
カーボンナノチューブをパターンニングする方法として、例えばFEDにおける電子放出素子に関するものでは、粘着テープを所定パターンに被着された基板を、カーボンナノチューブを分散した溶液に浸し、溶液を蒸発させることにより、基板上にカーボンナノチューブを堆積させ、その後基板から粘着テープを剥がす方法が提案されている(特許文献1参照)。また、転写法、スプレー法、印刷法などで基板上にカーボンナノチューブを形成し、同基板上にマスクを配し、基板の非マスク部におけるカーボンナノチューブを布状物質によって擦り落とす方法も提案されている(特許文献2参照)。
特開2000−203821号公報 特開2002−234000号公報
FED等の電子放出源においてカーボンナノチューブを用いる際には、従来は、スクリーン法等ペースト物質にカーボンナノチューブ等炭素物質を混ぜて塗布する塗布法等がとられていた。しかし、これらの方法では、カーボンナノチューブ先端が露出せず均一な電子放出ができないことが知られており、最近では、電子放出が均一となるように垂直に配向させたカーボンチューブを用いた電子放出源の研究が進んでいる。前記のように基板上に垂直に配向させたカーボンチューブをパターンニングすることが望まれるが、特許文献1記載の方法では、カーボンナノチューブを溶液に浸すことでその垂直性が失われ、粘着テープを剥がす際に境界部のカーボンナノチューブが失われたり絡まるなどの問題が生じる恐れがある。また、特許文献2の方法では、マスクによる押圧でカーボンナノチューブの垂直性が失われる恐れがある。
本発明は、これらの問題に鑑み、カーボンナノチューブの垂直性を維持しつつ所定の位置に確実にカーボンナノチューブのパターンニングを行うことができる方法を提供することを課題とする。
本発明による第1のものは、転写先基板上に未硬化シリコン樹脂層を形成し、同樹脂層における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみを光硬化され、未硬化部を溶剤で溶出して除き、生じた凹溝に導電性接着剤を充填し、転写先基板上の接着剤充填部と転写元基板上に成長させたカーボンナノチューブとを対向させ、転写先基板と転写元基板を加圧加熱することによりカーボンナノチューブの先端部を接着剤充填部内に差し込ませ、冷却後転写元基板から転写先基板を離すことにより、転写元基板上のカーボンナノチューブを転写先基板上に所定のパターンで転写する、カーボンナノチューブの転写方法である。
第1発明において、シリコン樹脂における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみを光硬化させるには、レーザ光を用いるのが好ましい。溶剤としては、トルエン等が好ましい。転写先基板は導電性基板、ガラス基板等であってよく、転写元基板はシリコン基板、ガラス板などであってよい。凹溝の溝幅は好ましくは1〜700μm、溝ピッチは好ましくは100〜1000μmである。
本発明による第2のものは、転写先基板上に酸化チタン膜を形成し、同膜における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみを紫外線照射により超親水性膜に変質させ、酸化チタン膜全面に疎水性接着剤を塗布して同接着剤を酸化チタン膜の非変質部に集中させ、転写先基板上の接着剤集中部と転写元基板上に成長させたカーボンナノチューブとを対向させ、転写先基板と転写元基板を加圧加熱することによりカーボンナノチューブの先端部を接着剤充填部内に差し込ませ、冷却後転写元基板から転写先基板を離すことにより、転写元基板上のカーボンナノチューブを転写先基板上に所定のパターンで転写する、カーボンナノチューブの転写方法である。
第2発明において、酸化チタン膜における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみに紫外線を照射する工程は、酸化チタン膜の上に所定パターンでマスクを配して紫外線照射を行うことが好ましい。紫外線照射は紫外線レーザにより行うことが好ましい。転写先基板は導電性基板、ガラス基板等であってよく、転写元基板はシリコン基板、ガラス板などであってよい。
転写先基板を導電性基板として第1および第2発明により得られた転写物は、FED用電子放出素子として適用することができる。
転写元基板上のカーボンナノチューブは、公知の方法で作製できる。例えば、シリコン基板の少なくとも片面上に、ニッケル、コバルト、鉄などの金属の錯体を含む溶液をスプレーや刷毛で塗布した後、加熱して形成した皮膜上に、あるいは、クラスター銃で打ち付けて形成した皮膜上に、アセチレン(C)ガスを用いて一般的な化学蒸着法(CVD法)を施すことにより、直径12〜38nmのカーボンナノチューブが多層構造で基板上に垂直にブラシ状に起毛される。
本発明により、カーボンナノチューブの垂直性を維持しつつ所定の位置に確実にカーボンナノチューブのパターンニングを行うことができる。
つぎに、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
1) 図1に示すように、導電性の転写先基板(1) 上全面にシリコン樹脂を塗布し、未硬化シリコン樹脂層(2) を形成する。
2) 次いで、図2に示すように、同樹脂層(2) における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみをレーザ光照射(3) によりを光硬化され、硬化部(4) と未硬化部(5) からなる碁盤目パターンを形成する。
3) 次いで、図3に示すように、この未硬化部(5) をトルエンで溶出して除く。こうして未硬化部(5) から溝幅5μm、溝ピッチ25μmの凹溝(6) を形成する。
4) 次いで、図4に示すように、生じた凹溝(4) に導電性接着剤をスキージし、転写先基板(1) 上に接着剤充填部(7) を形成する。
5) 次いで、図5に示すように、転写先基板(1) 上の接着剤充填部(7) と、転写元基板(8) 上にほぼ垂直に成長させたブラシ状カーボンナノチューブ(9) とを対向させる。
6) 次いで、図6に示すように、転写先基板(1) と転写元基板(8) を加圧加熱する。これによりカーボンナノチューブ(9) の先端部を、軟化した接着剤充填部(7) 内に差し込ませる。
7) 次いで、図7に示すように、加熱された転写先基板(1) と転写元基板(8) を接着剤が硬化するまで冷却する。
8) 次いで、図8に示すように、冷却後、転写元基板(8) から転写先基板(1) を離すことにより、転写元基板(8) 上のカーボンナノチューブ(9) のうち先端部が接着剤充填部(7) 内に差し込まれたもの(9a)を転写先基板(1) 上に所定のパターンで転写し、転写元基板(8) 上に残ったカーボンナノチューブ(9b)をそのまま保持する。
実施例2
1) 図9に示すように、転写先基板(11)上に酸化チタンを含む液を塗布し、転写先基板(11)を400〜500℃で加熱する。こうして転写先基板(11)上に酸化チタン膜(12)を形成する。
2) 次いで、図10に示すように、酸化チタン膜(12)上にマスクとしてクロム電極(14)を配する。クロム電極(14)は、帯幅5μm、帯ピッチ25μmの縦横帯体で構成された碁盤目パターンを有する。
3) 次いで、図11に示すように、酸化チタン膜(12)およびその上のクロム電極(14)の上から紫外線を照射する。これにより、酸化チタン膜(12)の非マスク部のみに紫外線が照射され、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみを紫外線照射により超親水性膜(15)に変質させる(図12参照)。紫外線照射は例えば紫外線レーザにより行うことが好ましい。
4) 次いで、図13に示すように、酸化チタン膜(12)およびその上のクロム電極(14)全面に疎水性接着剤(16)を塗布する。これにより、図14に示すように、同接着剤(16)を酸化チタン膜(12)の非変質部上のクロム電極(14)上に集中させ、接着剤集中部(17)を形成する。
5) 次いで、図15に示すように、転写先基板(11)上の接着剤集中部(17)を軟化させるために、同基板(11)を加熱しておき、転写先基板(11)上の接着剤集中部(17)と、転写元基板(18)上にほぼ垂直に成長させたブラシ状カーボンナノチューブ(19)とを対向させる。
6) 次いで、図16に示すように、転写先基板(11)と転写元基板(18)を加圧加熱する。これによりカーボンナノチューブ(19)の先端部を、軟化した接着剤集中部(17)内に差し込ませる。
7) 次いで、図17に示すように、転写元基板(18)から転写先基板(11)を離すことにより、転写元基板(18)上のカーボンナノチューブ(19)のうち先端部が接着剤集中部(17)内に差し込まれたもの(19a)を転写先基板(11)上に所定のパターンで転写し、転写元基板(18)上に残ったカーボンナノチューブ(19b)をそのまま保持する。
実施例1の工程1)を示す断面図である。 実施例1の工程2)を示す断面図である。 実施例1の工程3)を示す断面図である。 実施例1の工程4)を示す断面図である。 実施例1の工程5)を示す断面図である。 実施例1の工程6)を示す断面図である。 実施例1の工程7)を示す断面図である。 実施例1の工程8)を示す断面図である。 実施例2の工程1)を示す断面図である。 実施例2の工程2)を示す断面図である。 実施例2の工程3)を示す断面図である。 実施例2の工程4)を示す断面図である。 実施例2の工程4)を示す断面図である。 実施例2の工程4)を示す断面図である。 実施例2の工程5)を示す断面図である。 実施例2の工程6)を示す断面図である。 実施例2の工程7)を示す断面図である。
符号の説明
(1) (11):転写先基板
(2) :未硬化シリコン樹脂層
(3) :レーザ光照射
(4) :硬化部
(5) :未硬化部
(6) :凹溝
(7) :接着剤充填部
(8) (18):転写元基板
(9) (19):カーボンナノチューブ
(9a)(19a):接着剤充填部内に差し込まれたカーボンナノチューブ
(9b)(19b):転写元基板上に残ったカーボンナノチューブ
(12):酸化チタン膜
(14):クロム電極
(15):超親水性膜
(16):疎水性接着剤
(17):接着剤集中部
(18):転写元基板

Claims (4)

  1. 転写先基板上に未硬化シリコン樹脂層を形成し、同樹脂層における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみを光硬化され、未硬化部を溶剤で溶出して除き、生じた凹溝に導電性接着剤を充填し、転写先基板上の接着剤充填部と転写元基板上に成長させたカーボンナノチューブとを対向させ、転写先基板と転写元基板を加圧加熱することによりカーボンナノチューブの先端部を接着剤充填部内に差し込ませ、冷却後転写元基板から転写先基板を離すことにより、転写元基板上のカーボンナノチューブを転写先基板上に所定のパターンで転写する、カーボンナノチューブの転写方法。
  2. 転写先基板上に酸化チタン膜を形成し、同膜における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみを紫外線照射により超親水性膜に変質させ、酸化チタン膜全面に疎水性接着剤を塗布して同接着剤を酸化チタン膜の非変質部に集中させ、転写先基板上の接着剤集中部と転写元基板上に成長させたカーボンナノチューブとを対向させ、転写先基板と転写元基板を加圧加熱することによりカーボンナノチューブの先端部を接着剤充填部内に差し込ませ、冷却後転写元基板から転写先基板を離すことにより、転写元基板上のカーボンナノチューブを転写先基板上に所定のパターンで転写する、カーボンナノチューブの転写方法。
  3. 酸化チタン膜における、カーボンナノチューブを転写すべきでない部分のみに紫外線を照射する工程が、酸化チタン膜の上に所定パターンでマスクを配して紫外線照射を行うことからなる、請求項2記載のカーボンナノチューブの転写方法。
  4. 紫外線照射を紫外線レーザにより行う、請求項2または3記載のカーボンナノチューブの転写方法。
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