JP2005126271A - コンクリート組成物 - Google Patents

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Akihiko Yamashita
明彦 山下
Tomotaka Nishikawa
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Abstract

【課題】高減水率領域においても高い分散性と分散保持性とを発揮することができるとともに、初期分散性が高く混練性が良好で作業性に優れ、適度な空気連行性を有するコンクリート混和剤及びこれを用いたコンクリート組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる構成単位とマレイン酸系単量体由来の構成単位とを必須の構成単位として含み、かつ、これら構成単位が各々全構成単位中の1質量%以上を占める共重合体を必須成分とする混和剤、セメント、細骨材、粗骨材及び水を必須成分として含み、共重合体のセメントに対する添加量が0.01〜5質量%であることを特徴とする、コンクリート組成物。CH=CHO(RO)nR (1)(Rは水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表わし、ROは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、nは50〜300の数を表わす。)
【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性物質としてセメントを用い、これにコンクリート混和剤を添加してなるコンクリート組成物に関する。
コンクリート組成物は、強度及び耐久性に優れたコンクリートを与えることから、建築物外壁材、建築物構造体等の用途に広く用いられている。コンクリート組成物には、通常、流動性を高めるために、コンクリート混和剤が加えられているが、近年、その重要性が認識され、技術革新が盛んに行われている。
コンクリート混和剤の任務は、添加する水の量を減らしてもコンクリート組成物に対して充分な分散性を発揮してその流動性及び施工性を確保でき、減水による耐久性及び強度向上を実現すると同時に、適度の空気連行性を保持して良好なコンクリート組成物を獲得するところにある。そして昨今のコンクリート業界では、このような性能を実現するコンクリートが強く求められており、これを達成するには単位水量の低減と共に、流動性低下の防止が重要な課題となっている。
各種コンクリート混和剤のうち、特にポリカルボン酸系の高性能AE減水剤は、ナフタレン系等の他の高性能減水剤に比べて高い分散性能を発揮する点で有利であり、このようなポリカルボン酸系の高性能AE減水剤として、特定の不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体とマレイン酸系単量体との共重合体を含む高性能AE減水剤が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
しかしながら、これらのポリカルボン酸系の高性能AE減水剤も、経時による分散性能の低下を完全に解消するまでには到っておらず、さらに、高強度コンクリートに必要とされる高減水率領域においては、高性能AE減水剤の初期の分散性が不足して、必要添加量が増加したり、混練に長時間を要して生産性が低下するという問題が生じている。具体的には、コンクリート組成物は、土木、建築、コンクリート2次製品などの分野に使用するため、一度の使用量が非常に多く、製造時における混練時間が生産性に非常に大きな影響を与える。初期分散性が低くて混練に要する時間が長くかかると、一日の生産回数が少なくなるだけでなく、ミキサーにかかる負担も大きくなって1バッチあたりの練り量を少なくする必要があるために生産量が低下したり、ミキサーの磨耗が著しくなる等の不具合が生じる。
さらに、ポリカルボン酸系の高性能AE減水剤はコンクリート中に粗大な気泡を連行し易く、粗大気泡はコンクリートから抜け易いために、空気量が経時的に大きく変動し、その結果、空気量の調整が難しいという欠点を有している。又、安定した微細な気泡が入りにくいために凍結融解抵抗性が低くなるといった問題がある。
従って、高強度コンクリートに必要とされる高減水率領域においても高い分散性と分散保持性とを発揮することができるとともに、初期分散性が高く混練性が良好で作業性に優れ、適度な空気連行性を有するコンクリート混和剤について工夫の余地があった。
特開昭63−285140号公報(第1頁) 特開平9−309756号公報(第1−2頁) 特開平10−194808号公報(第1−2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高強度コンクリートに必要とされる高減水率領域においても高い分散性と分散保持性とを発揮することができるとともに、初期分散性が高く混練性が良好で作業性に優れ、適度な空気連行性を有するコンクリート混和剤及びこれを用いたコンクリート組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)又は(a2)とマレイン酸系単量体(b)とを共重合させて得られる、分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する特定の共重合体(A)又は(B)が、高減水率領域においても高い分散性と分散保持性とを発揮すると同時に、初期分散性が高く混練性が良好で作業性に優れ、適度な空気連行性を有するコンクリート混和剤として有用であることを見い出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、下記1)〜6)に示す構成からなる。
1)下記一般式(1)で表わされるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)とを必須の構成単位として含み、かつ、構成単位(I)及び構成単位(III)が各々全構成単位中の1質量%以上を占める共重合体(A)を必須成分とするコンクリート混和剤、セメント、細骨材、粗骨材及び水を必須成分として含み、共重合体(A)のセメントに対する添加量が0.01〜5質量%(固形分)であることを特徴とする、コンクリート組成物。
CH=CHO(RO)nR (1)
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表わし、ROは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり50〜300の数を表わす。)
2)下記一般式(2)で表わされるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)由来の構成単位(II)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)とを必須の構成単位として含み、かつ、構成単位(II)及び構成単位(III)が各々全構成単位中の1質量%以上を占める共重合体(B)を必須成分とするコンクリート混和剤、セメント、細骨材、粗骨材及び水を必須成分として含み、共重合体(B)のセメントに対する添加量が0.01〜5質量%(固形分)であることを特徴とする、コンクリート組成物。
CH=CHO(RO)p(RO)qH (2)
(式中、ROは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、ROは炭素原子数3〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わす。pはROの平均付加モル数であり4〜300の数を表わし、qはROの平均付加モル数であり1〜30の数を表わす。)
3)さらに、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)に対し、0.01〜100質量%のAE剤を含有することを特徴とする上記1)又は2)に記載のコンクリート組成物。
4)さらに、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)に対し、0.01〜20質量%の消泡剤を含有することを特徴とする上記1)から3)のいずれかに記載のコンクリート組成物。
5)消泡剤がオキシアルキレン系消泡剤であることを特徴とする上記4)に記載のコンクリート組成物。
6)水/セメント比が40質量%以下であることを特徴とする、上記1)から5)のいずれかに記載のコンクリート組成物。
本発明のコンクリート混和剤は、高強度コンクリートに必要とされる高減水率領域においても高い分散性と分散保持性とを発揮することができるとともに、初期分散性が高く混練性が良好で作業性に優れ、適度な空気連行性を有する。又、本発明のコンクリート混和剤を配合したコンクリート組成物によれば、凍結融解抵抗性の優れた高強度コンクリートが得られる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のコンクリート混和剤は、共重合体(A)又は共重合体(B)を必須成分とするコンクリート混和剤である。本発明において、共重合体(A)及び共重合体(B)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、さらに、3種又は4種以上を併用してもよい。又、共重合体(A)と共重合体(B)とを併用してもよい。
共重合体(A)は、上記一般式(1)で表わされるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)とを必須の構成単位として有するものである。尚、共重合体(A)は、後述の単量体(c)由来の構成単位(IV)を有していてもよい。これらの構成単位はそれぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
共重合体(A)において、構成単位(I)と構成単位(III)とが各々全構成単位中の1質量%以上を占めることが必要である。さらに、構成単位(I)の占める割合が全構成単位中の50モル%以下であることが好ましい。上記構成単位(I)の割合が1質量%未満では、共重合体(A)中に存在するポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)由来のオキシアルキレン基の割合が少なすぎ、又、上記構成単位(III)の割合が1質量%未満では、共重合体(A)中に存在するマレイン酸系単量体(b)由来のカルボキシル基の割合が少なすぎ、いずれの場合も充分な分散性を発揮し得ないこととなる。一方、構成単位(I)の占める割合は、ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)の重合性が低いことから、全構成単位中の50モル%以下であることが好ましい。尚、構成単位(I)の占める割合としては、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がとりわけ好ましく、30質量%以上が最も好ましい。又、共重合体(A)における構成単位(I)と構成単位(III)との合計の比率(質量%)としては、共重合体(A)全体の50〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。
共重合体(A)を構成する各構成単位の比率は、構成単位(I)/構成単位(III)/構成単位(IV)=1〜99/1〜50/0〜70(質量%)の範囲が適当であるが、構成単位(I)/構成単位(III)/構成単位(IV)=5〜99/1〜45/0〜50(質量%)の範囲が好ましく、構成単位(I)/構成単位(III)/構成単位(IV)=10〜99/1〜40/0〜50(質量%)の範囲がより好ましく、構成単位(I)/構成単位(III)/構成単位(IV)=20〜99/1〜40/0〜40(質量%)の範囲がさらに好ましく、構成単位(I)/構成単位(III)/構成単位(IV)=30〜99/1〜30/0〜40(質量%)の範囲がとりわけ好ましく、構成単位(I)/構成単位(III)/構成単位(IV)=50〜99/1〜20/0〜30(質量%)の範囲が最も好ましい(但し、構成単位(I)、構成単位(III)及び構成単位(IV)の合計は100質量%である。)。目的とする優れた性能のコンクリート混和剤を得るためには、各構成単位の比率を上記の範囲内とするのが好ましい。
共重合体(A)においては、共重合体(A)中のカルボキシル基を未中和型に換算した該共重合体(A)1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)が0.05〜5.0となるように、各構成単位の比率を設定することが好ましい。カルボキシル基のミリ当量数が5.0meq/gを超えると、分散保持性が低下傾向となるおそれがあり、他方、0.05meq/g未満であると初期の分散性が低下傾向となるおそれがある。カルボキシル基のミリ当量数(meq/g)としては、0.1以上がより好ましく、0.15以上がさらに好ましい。又、4.0以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましく、2.0以下が特に好ましい。カルボキシル基のミリ当量数(meq/g)の範囲としては、0.1〜4.0がより好ましく、0.1〜3.0がさらに好ましく、0.15〜2.0が特に好ましい。尚、構成単位(III)の比率の上限は、共重合体(A)中のカルボキシル基を未中和型に換算したときのカルボキシル基のミリ当量数が上記範囲となるように設定すればよい。
上記共重合体(A)においては、マレイン酸系単量体(b)由来のカルボキシル基を有する構成単位(III)以外に、その他のカルボキシル基をもつ構成単位を有していてもよいことから、共重合体(A)の上記カルボキシル基のミリ当量数は、構成単位(III)に由来するカルボキシル基に起因するとは限られない。
上記「共重合体(A)中のカルボキシル基を未中和型に換算した該共重合体(A)1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)」とは、共重合体(A)が塩を形成する場合を考慮したものであり、酸の場合と塩を形成した場合の計算方法を以下に挙げる。尚、以下の計算では、構成単位(III)由来のカルボキシル基のみを例示しているが、カルボキシル基を有するその他の構成単位を含む場合には、これもカルボキシル基のミリ当量数に含めなければならない。
(計算例1):単量体(b)としてマレイン酸を用い、共重合組成比が単量体(a1)/単量体(b)=98/2(質量%)の場合、マレイン酸の分子量は116であり、かつ、マレイン酸は1分子中に2個のカルボキシル基を有する2価の酸であるので、単量体(b)に由来するカルボキシル基を未中和型に換算した該重合体1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)=0.02/(0.98+0.02)/(116/2)×1,000=0.34となる。
(計算例2):単量体(b)としてマレイン酸ジナトリウムを用い、共重合組成比が単量体(a1)/単量体(b)=98/2(質量%)の場合、マレイン酸ジナトリウムの分子量は160、マレイン酸の分子量は116であり、かつ、マレイン酸は1分子中に2個のカルボキシル基を有する2価の酸であるので、単量体(b)に由来するカルボキシル基を未中和型に換算した該重合体1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)=(0.02×116/160)/(0.98+0.02×116/160)/(116/2)×1,000=0.25となる。尚、重合時にはマレイン酸を用い、重合後にマレイン酸に由来するカルボキシル基を水酸化ナトリウムで完全に中和した場合も、この計算例と同様となる。
上記カルボキシル基のミリ当量数(meq/g)は、上記のような単量体に基づいた計算法で算出する以外に、共重合体(A)のカルボキシル基の対イオンの種類を考慮した上で、該共重合体(A)の酸価を測定することによって算出することもできる。
上記ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)を表わす一般式(1)において、ROで表されるオキシアルキレン基、及び、上記ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)を表わす一般式(2)において、ROで表されるオキシアルキレン基の炭素原子数は、2〜18が適当であるが、2〜8が好ましく、2〜4がより好ましい。又、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物については、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。一方、上記ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)を表わす一般式(2)において、ROで表されるオキシアルキレン基の炭素原子数は、3〜18が適当であるが、4〜18が好ましく、4〜8がより好ましい。マレイン酸系単量体(b)として無水マレイン酸を用いた場合、ROで表されるオキシアルキレン基の疎水性が高い程、オキシアルキレン基末端の水酸基とのエステル化反応が起こりにくくなり好ましいが、疎水性が高すぎると、親水性と疎水性とのバランスの確保が難しくなり好ましくない。尚、親水性と疎水性とのバランス確保のため、ROで表されるオキシアルキレン基及びROで表されるオキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須成分として有することが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましい。又、オキシアルキレン基RO及びROの合計の80モル%以上はオキシエチレン基であることが好ましい。オキシアルキレン基中のオキシエチレン基の占める割合が低いほど、重合体の親水性が低下して分散性能が低下する傾向となる。
上記一般式(1)におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数nの値としては、50〜300の数が適当であるが、この値が小さくなるに従い親水性が低下して分散性能が低下し、逆にこの値が大きくなるに従い反応性が低下して収率が低下するため、55〜300の数が好ましく、60〜300の数がより好ましく、60〜200の数がさらに好ましく、65〜200の数がとりわけ好ましく、70〜200の数が最も好ましい。一方、pの値としては、4〜300の数が適当であるが、この値が小さくなるに従い親水性が低下して分散性能が低下し、逆にこの値が大きくなるに従い反応性が低下して収率が低下するため、10〜300の数が好ましく、15〜300の数がより好ましく、20〜250の数がさらに好ましく、30〜200の数がとりわけ好ましく、40〜200の数が最も好ましい。さらに、qの値としては、1〜30の数が適当であるが、この値が大きくなるに従い親水性が低下して分散性能が低下するため、1〜25の数が好ましく、1〜20の数がより好ましく、1〜15の数がさらに好ましく、1〜10の数がとりわけ好ましく、1〜5の数が最も好ましい。尚、平均付加モル数とは、単量体1モル中において付加している当該有機基のモル数の平均値を意味する。
上記ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)を表わす一般式(1)におけるRは、水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基であればよく、該炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基又は脂環族アルキル基)、炭素原子数6〜30のフェニル基、アルキルフェニル基、フェニルアルキル基、(アルキル)フェニル基で置換されたフェニル基、ナフチル基等のベンゼン環を有する芳香族基等が挙げられる。Rにおいては、炭化水素基の炭素原子数が増大するに従って疎水性が大きくなり、分散性が低下するため、Rが炭化水素基の場合の炭素原子数としては、1〜22が好ましく、1〜18がより好ましく、1〜12がさらに好ましく、1〜4が特に好ましい。
上記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)及び上記一般式(2)で表されるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)としては、具体的には、ポリエチレングリコールビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、ポリプロピレンポリエチレングリコールビニルエーテル、メトキシポリプロピレンポリエチレングリコールビニルエーテル、(ポリ)ブチレンポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
本発明に用いられるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体は公知の方法により製造できる。例えば、ポリアルキレングリコール及び/又はアルキルポリアルキレングリコールの脱水、あるいはポリアルキレングリコールモノクロライド及び/又はアルキルポリアルキレングリコールモノクロライドの脱塩酸による末端ビニル基の導入、アセチレンとのレッペ反応によるビニル基の導入等である。
共重合体(B)は、上記一般式(2)で表わされるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)由来の構成単位(II)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)とを必須の構成単位として有するものである。尚、共重合体(B)は、後述の単量体(c)由来の構成単位(IV)を有していてもよい。これらの構成単位はそれぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
共重合体(B)において、構成単位(II)と構成単位(III)とが各々全構成単位中の1質量%以上を占めることが必要である。さらに、構成単位(II)の占める割合が全構成単位中の50モル%以下であることが好ましい。上記構成単位(II)の割合が1質量%未満では、共重合体(B)中に存在するポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)由来のオキシアルキレン基の割合が少なすぎ、又、上記構成単位(III)の割合が1質量%未満では、共重合体(B)中に存在するマレイン酸系単量体(b)由来のカルボキシル基の割合が少なすぎ、いずれの場合も充分な分散性を発揮し得ないこととなる。一方、構成単位(II)の占める割合は、ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)の重合性が低いことから、全構成単位中の50モル%以下であることが好ましい。尚、構成単位(II)の占める割合としては、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がとりわけ好ましく、30質量%以上が最も好ましい。又、共重合体(B)における構成単位(II)と構成単位(III)との合計の比率(質量%)としては、共重合体(B)全体の50〜100質量%が好ましく、60〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。
共重合体(B)を構成する各構成単位の比率は、構成単位(II)/構成単位(III)/構成単位(IV)=1〜99/1〜50/0〜70(質量%)の範囲が適当であるが、構成単位(II)/構成単位(III)/構成単位(IV)=5〜99/1〜45/0〜50(質量%)の範囲が好ましく、構成単位(II)/構成単位(III)/構成単位(IV)=10〜99/1〜40/0〜50(質量%)の範囲がより好ましく、構成単位(II)/構成単位(III)/構成単位(IV)=20〜99/1〜40/0〜40(質量%)の範囲がさらに好ましく、構成単位(II)/構成単位(III)/構成単位(IV)=30〜99/1〜40/0〜30(質量%)の範囲がとりわけ好ましく、構成単位(II)/構成単位(III)/構成単位(IV)=40〜99/1〜30/0〜30(質量%)の範囲が最も好ましい(但し、構成単位(II)、構成単位(III)及び構成単位(IV)の合計は100質量%である。)。目的とする優れた性能のコンクリート混和剤を得るためには、各構成単位の比率を上記の範囲内とするのが好ましい。
共重合体(B)においては、共重合体(B)中のカルボキシル基を未中和型に換算した該共重合体(B)1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)が0.05〜5.0となるように、各構成単位の比率を設定することが好ましい。カルボキシル基のミリ当量数が5.0meq/gを超えると、分散保持性が低下傾向となるおそれがあり、他方、0.05meq/g未満であると初期の分散性が低下傾向となるおそれがある。カルボキシル基のミリ当量数(meq/g)としては、0.1以上がより好ましく、0.15以上がさらに好ましい。又、4.0以下がより好ましく、3.5以下がさらに好ましく、3.0以下が特に好ましい。カルボキシル基のミリ当量数(meq/g)の範囲としては、0.1〜4.0がより好ましく、0.1〜3.5がさらに好ましく、0.15〜3.0が特に好ましい。尚、構成単位(III)の比率の上限は、共重合体(B)中のカルボキシル基を未中和型に換算したときのカルボキシル基のミリ当量数が上記範囲となるように設定すればよい。
上記共重合体(B)においては、マレイン酸系単量体(b)由来のカルボキシル基を有する構成単位(III)以外に、その他のカルボキシル基をもつ構成単位を有していてもよいことから、共重合体(B)の上記カルボキシル基のミリ当量数は、構成単位(III)に由来するカルボキシル基に起因するとは限られない。
上記「共重合体(B)中のカルボキシル基を未中和型に換算した該共重合体(B)1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)」とは、共重合体(B)が塩を形成する場合を考慮したものであり、酸の場合と塩を形成した場合の計算方法は、上記の共重合体(A)の場合と同様である。又、共重合体(B)のカルボキシル基の対イオンの種類を考慮した上で、該共重合体(B)の酸価を測定することによって算出することもできる。
本発明で用いられる構成単位(III)を与えるマレイン酸系単量体(b)としては、下記一般式(3);
Figure 2005126271
(式中、Xは、−OM又は−Z−(RO)nRを表わし、M、Mは、それぞれ独立に、水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表わし、−Z−は、−O−又は−NH−を表わし、ROは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、Rは、水素原子、炭素原子数1〜30のアルキル基、フェニル基、アミノアルキル基、アルキルフェニル基又はヒドロキシアルキル基(アミノアルキル基、アルキルフェニル基、ヒドロキシアルキル基中のアルキル基の炭素原子数は1〜30である)を表わし、rは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜500の数を表わす。但し、Mが結合している酸素と、Xが結合している炭素とが結合して酸無水物基(−CO−O−CO−)を形成しているものを含み、この場合、M及びXは存在しない。)で表わされる単量体が好ましい。
上記マレイン酸系単量体(b)の例としては、特に限定はされないが、マレイン酸、及びその誘導体を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。マレイン酸の誘導体としては、特に限定はされないが、例えば、無水マレイン酸;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル類;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド類;マレイン酸と炭素原子数1〜30のアミノアルコールとのハーフアミドもしくはハーフエステル類;炭素原子数1〜30のアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加させた化合物(J)とマレイン酸とのハーフエステル類;該化合物(J)の片末端の水酸基をアミノ化した化合物とマレイン酸とのハーフアミド類;マレイン酸と炭素原子数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル;マレアミン酸と炭素原子数2〜18のグリコールもしくはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド;並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩等が挙げられる。尚、一価金属としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が好適であり、二価金属としては、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属が好適であり、有機アンモニウムは、プロトン化した有機アミンであり、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウムや、トリエチルアンモニウム等のアルキルアンモニウム等が好適である。中でもマレイン酸及びその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類からなる群より選ばれる1種以上の単量体を必須とするのが好ましく、無水マレイン酸又はマレイン酸を必須とするのが特に好ましい。
共重合体(A)は、構成単位(I)を与えるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)と構成単位(III)を与えるマレイン酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体成分を共重合して製造することができ、共重合体(B)は、構成単位(II)を与えるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)と構成単位(III)を与えるマレイン酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体成分を共重合して製造することができるが、単量体成分を共重合する際には、必要に応じ、上記単量体と共重合可能なその他の単量体(c)をさらに共重合させてもよい。このような単量体(c)により構成単位(IV)が形成されることになる。尚、単量体(c)由来の構成単位(IV)の占める割合は、共重合体(A)及び共重合体(B)の全構成単位中の70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
上記構成単位(IV)を与える単量体(c)は、単量体(a1)、単量体(a2)及び単量体(b)と共重合可能な単量体であり、例えば、下記のもの等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸類、及びこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩類;フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類、及びこれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩類;フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのエステル類;炭素原子数1〜30のアルコールに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルコキシ(ポリ)アルキレングリコールと(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類とのエステル類;(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)ブチレングリコールモノメタクリレート等の、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸類への炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドの1〜500モル付加物類。
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アンモニウム塩;メチル(メタ)アクリルアミドのように不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類。
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体。
本発明における共重合体(A)及び共重合体(B)を得るには、重合開始剤を用いて上記単量体成分を共重合させればよい。尚、本発明においては、共重合体(A)及び共重合体(B)を構成する単量体単位が上述したようになるように、単量体成分に含まれる単量体の種類や使用量を適宜設定することになる。
又、本発明のコンクリート混和剤においては、2種類以上の共重合体(A)及び/又は共重合体(B)を組み合わせて用いることができ、3種類以上、4種類以上の共重合体(A)及び/又は共重合体(B)の組み合わせも好適である。2種類以上の共重合体(A)及び/又は共重合体(B)の組み合わせとしては、例えば、ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)との割合(質量比又はモル比)の異なる2種類以上の共重合体(A)の組み合わせ、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a2)由来の構成単位(II)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)との割合(質量比又はモル比)の異なる2種類以上の共重合体(B)の組み合わせ等が可能である。ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)との割合(質量比又はモル比)の異なる2種類以上の共重合体(A)を組み合わせる場合、あるいは、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(a2)由来の構成単位(II)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)との割合(質量比又はモル比)の異なる2種類以上の共重合体(B)を組み合わせる場合は、各共重合体(A)及び/又は共重合体(B)中のマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)の割合が少なくとも1質量%以上相違していることが好ましく、少なくとも2質量%以上相違していることがより好ましく、少なくとも3質量%以上相違していることがさらに好ましい。又、2種類以上の共重合体(A)及び/又は共重合体(B)を組み合わせる場合に、各共重合体(A)及び/又は共重合体(B)中のカルボキシル基を未中和型に換算した該共重合体(A)及び/又は共重合体(B)1g当りのカルボキシル基のミリ当量数(meq/g)が少なくとも0.1以上相違していることが好ましく、少なくとも0.2以上相違していることがより好ましく、少なくとも0.3以上相違していることがさらに好ましい。
上記共重合体(A)及び共重合体(B)を得るには、重合開始剤を用いて上記単量体を含んでなる単量体成分を重合させればよい。重合は、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行うことができる。溶液重合は回分式でも連続式でも行うことができ、その際に使用される溶媒としては特に限定されず、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物等が挙げられる。尚、マレイン酸系単量体(b)として無水マレイン酸を用いる場合、酸無水物基の開裂を避けるため、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物等の不活性溶媒を用いるのが好ましい。一方、マレイン酸系単量体(b)としてマレイン酸(塩)等を用いる場合、水及び炭素原子数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましく、その中でも水を溶媒に用いるのが、脱溶剤工程を省略できる点でさらに好ましい。
上記水溶液重合を行う場合には、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤(還元剤)を併用することもできる。中でも、過酸化水素と有機系還元剤との組み合わせが好ましく、有機系還元剤としては、L−アスコルビン酸(塩)、L−アスコルビン酸エステル、エリソルビン酸(塩)、エリソルビン酸エステル等が好適である。これらのラジカル重合開始剤や促進剤(還元剤)はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
又、低級アルコール、芳香族もしくは脂肪族炭化水素、エステル化合物、又は、ケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合、又は、塊状重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等がラジカル重合開始剤として用いられる。この際アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤、又は、ラジカル重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。尚、重合温度は、用いる溶媒や重合開始剤により適宜定められるが、通常0〜150℃の範囲内で行われる。
各単量体の反応容器への投入方法は特に限定されず、全量を反応容器に初期に一括投入する方法、全量を反応容器に分割もしくは連続投入する方法、一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割もしくは連続投入する方法のいずれでもよい。尚、ラジカル重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、又目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
得られる共重合体(A)及び共重合体(B)の分子量調整のため、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロピルアルコール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等)の低級酸化物及びその塩;等の公知の親水性連鎖移動剤を用いることができる。さらに、疎水性連鎖移動剤を用いると、コンクリート組成物の粘性改善に有効である。疎水性連鎖移動剤としては、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等の炭素原子数3以上の炭化水素基を有するチオール系連鎖移動剤を用いることが好ましい。2種類以上の連鎖移動剤の併用も可能であり、親水性連鎖移動剤と疎水性連鎖移動剤とを組み合わせて用いてもよい。さらに、共重合体(A)及び共重合体(B)の分子量調整のためには、(メタ)アリルスルホン酸(塩)類等の連鎖移動性の高い単量体を用いることも有効である。
上記共重合において、所定の分子量の共重合体を再現性よく得るには、共重合反応を安定に進行させることが必要であることから、溶液重合する場合には、使用する溶媒の25℃における溶存酸素濃度を5ppm以下の範囲とすることが好ましい。好ましくは0.01〜4ppmの範囲、さらに好ましくは0.01〜2ppmの範囲、最も好ましくは0.01〜1ppmの範囲である。尚、溶媒に単量体を添加後、窒素置換等を行う場合には、単量体をも含んだ系の溶存酸素濃度を上記範囲内とする。
上記溶媒の溶存酸素濃度の調整は、重合反応槽で行ってもよく、予め溶存酸素量を調整したものを用いてもよく、溶媒中の酸素を追い出す方法としては、例えば、下記の(1)〜(5)の方法が挙げられる。
(1)溶媒を入れた密閉容器内に窒素等の不活性ガスを加圧充填後、密閉容器内の圧力を下げることで溶媒中の酸素の分圧を低くする。窒素気流下で、密閉容器内の圧力を下げてもよい。
(2)溶媒を入れた容器内の気相部分を窒素等の不活性ガスで置換したまま液相部分を長時間激しく攪拌する。
(3)容器内に入れた溶媒に窒素等の不活性ガスを長時間バブリングする。
(4)溶媒を一旦沸騰させた後、窒素等の不活性ガス雰囲気下で冷却する。
(5)配管の途中に静止型混合機(スタティックミキサー)を設置し、溶媒を重合反応槽に移送する配管内で窒素等の不活性ガスを混合する。
上記共重合により得られた共重合体(A)及び共重合体(B)は、そのままでも本発明のコンクリート混和剤の必須成分として用いられるが、取り扱い性の観点から、水溶液状態で弱酸性以上のpH範囲に調整しておくことが好ましく、より好ましくはpH4以上、さらに好ましくはpH5以上、とりわけ好ましくはpH6以上の範囲である。一方、水溶液中での共重合反応をpH7以上で行ってもよいが、その場合、重合率の低下が起こると同時に、共重合性が悪くなり分散性能が低下するため、酸性から中性のpH範囲で共重合反応を行うことが好ましく、より好ましくはpH6未満、さらに好ましくはpH5.5未満、とりわけ好ましくはpH5未満の範囲である。従って、低いpHで共重合反応を行った後にアルカリ性物質を添加してより高いpHに調整することが好ましく、好適な実施形態として具体的には、pH6未満で共重合反応を行った後にアルカリ性物質を添加してpH6以上に調整する方法、pH5未満で共重合反応を行った後にアルカリ性物質を添加してpH5以上に調整する方法、pH5未満で共重合反応を行った後にアルカリ性物質を添加してpH6以上に調整する方法等が挙げられる。pHの調整は、例えば、一価金属又は二価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミン;等のアルカリ性物質を用いて行うことができる。又、pHを下げる必要の有る場合、特に、重合の際にpHの調整が必要な場合は、リン酸、硫酸、硝酸、アルキルリン酸、アルキル硫酸、アルキルスルホン酸、(アルキル)ベンゼンスルホン酸等の酸性物質を用いてpHの調整を行うことができ、これら酸性物質の中では、pH緩衝作用がある点等からリン酸が好ましい。又、反応終了後、必要ならば濃度調整を行うこともできる。
上記共重合体(A)及び共重合体(B)の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」ともいう)によるポリエチレングリコール換算で3,000〜500,000が適当であるが、5,000〜300,000が好ましく、10,000〜150,000がより好ましい。このような重量平均分子量の範囲を選ぶことで、より高い分散性能を発揮するコンクリート混和剤が得られる。
本発明のコンクリート組成物において、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)に対し、0.01〜100質量%のAE剤を含有することが好ましい。より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%、とりわけ好ましくは0.1〜10質量%である。尚、本発明のコンクリート組成物が、共重合体(A)と共重合体(B)とを含む場合は、共重合体(A)と共重合体(B)との合計量に対するAE剤の含有量が上記範囲内となる様にする必要がある。AE剤の含有量が上記範囲未満の場合には、コンクリート組成物中の連行空気量が不足し、他方、上記範囲を超える場合には、コンクリート組成物中の連行空気量が過剰となり好ましくない。尚、セメントに対するAE剤の配合質量比としては、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜3質量%がより好ましい。
本発明に用いられるAE剤は、例えばJIS−A−6204に規定されるAE剤が例示され、コンクリート組成物に空気を連行できるものであれば特に限定されないが、代表的なものとして、樹脂酸石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸類、アルキル硫酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸類、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル類、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、蛋白質材料、ゼラチン等が挙げられる。これらの中では、樹脂酸石鹸、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類が特に好適で、コンクリート組成物に導入される空気は細かくなり、耐凍害性に優れたコンクリート組成物とすることができる。
本発明のコンクリート組成物において、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)の空気連行性が高すぎる場合、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)に対し、0.01〜20質量%の消泡剤を含有することが好ましい。より好ましくは0.1〜20質量%である。尚、本発明のコンクリート組成物が、共重合体(A)と共重合体(B)とを含む場合は、共重合体(A)と共重合体(B)との合計量に対する消泡剤の含有量が上記範囲内となる様にする必要がある。消泡剤の含有量が上記範囲未満の場合には、消泡効果が十分に発揮されず、コンクリート組成物中の連行空気量が過剰となり、他方、上記範囲を超えても配合量の増加に見合う消泡効果の向上は見られず、好ましくない。
本発明に用いられる消泡剤としては、特に限定されないが、代表的なものとして、例えば、燈油、流動パラフィン等の鉱油系消泡剤;動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等の油脂系消泡剤;オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等の脂肪酸系消泡剤;ジエチレングリコールモノラウレート、グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノラウレート、天然ワックス等の脂肪酸エステル系消泡剤;オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類、ポリオキシアルキレングリコール等のアルコール系消泡剤;ポリオキシアルキレンアミド、アクリレートポリアミン等のアミド系消泡剤;リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等の金属石鹸系消泡剤;シリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変成ポリシロキサン、フルオロシリコーン油等のシリコーン系消泡剤;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物等のオキシアルキレン系消泡剤;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記の消泡剤の中でも特に、オキシアルキレン系消泡剤が最も好ましい。本発明の共重合体(A)及び/又は共重合体(B)とオキシアルキレン系消泡剤とを組み合わせて用いると、消泡剤使用量が少なくて済み、さらに消泡剤と共重合体との相溶性にも優れるからである。オキシアルキレン系消泡剤としては、分子内にオキシアルキレン基を有しかつ水性液体中の気泡を減少させる作用を有する化合物であれば特に制限はないが、その中でも下記一般式(4)で表わされる特定のオキシアルキレン系消泡剤が好ましい。
{−T−(RO)t−R}s (4)
(但し、式中R、Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のアルケニル基、炭素数1〜22のアルキニル基、フェニル基又はアルキルフェニル基(アルキルフェニル基中のアルキル基の炭素数は1〜22である)を表わし、ROは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、tは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜300の数を表わし、tが0のときはR、Rが同時に水素であることはなく、Tは−O−、−CO−、−SO4−、−PO4−又はNH−の基を表わし、sは、1又は2の整数を表わし、Rが水素のときはsは1である。)
前記一般式(4)で表わされるオキシアルキレン系消泡剤の例としては、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン−2−エチルヘキシルエーテル、炭素数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のコンクリート混和剤は、共重合体(A)又は共重合体(B)を必須成分として含むものであるが、水溶液の形態でそのままコンクリート混和剤の主成分として使用してもよいし、又は、カルシウム、マグネシウム等の二価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたり、ドラム型乾燥装置、ディスク型乾燥装置又はベルト式乾燥装置を用いて支持体上に薄膜状に乾燥固化させた後に粉砕したりすることにより粉体化して使用してもよい。又、粉体化した本発明のコンクリート混和剤を予めセメント粉末やドライモルタルのような水を含まないコンクリート組成物に配合して、左官、床仕上げ、グラウト等に用いるプレミックス製品として使用してもよいし、コンクリート組成物の混練時に配合してもよい。
本発明のコンクリート混和剤は、セメントやそれ以外の水硬性材料に用いることができる。このような水硬性材料と水と本発明のコンクリート混和剤とを含有し、さらに必要に応じて細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)を含む水硬性組成物の具体例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、プラスター等が挙げられる。
本発明のコンクリート組成物は、本発明のコンクリート混和剤、セメント、細骨材、粗骨材及び水を必須成分として含んでなるが、使用されるセメントとしては、特に限定はない。例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)等が挙げられ、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加してもよい。又、骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
本発明のコンクリート組成物においては、その1m3あたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比としては、単位水量100〜185kg/m3、使用セメント量200〜800kg/m3、水/セメント比=10〜60質量%とすることが好ましく、より好ましくは、単位水量120〜175kg/m3、使用セメント量250〜800kg/m3、水/セメント比=10〜50質量%が推奨され、貧配合(単位セメント量が300kg/m3以下)〜富配合まで幅広く使用可能である。本発明のコンクリート混和剤は、水/セメント比の低い高減水率領域においても使用可能であり、高強度コンクリートを得るためには、本発明のコンクリート組成物において、水/セメント比が40質量%以下が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、10〜35質量%がさらに好ましく、10〜30質量%がとりわけ好ましく、15〜25質量%が最も好ましい。
本発明のコンクリート組成物において必須成分である共重合体(A)又は共重合体(B)の配合割合としては、固形分換算でセメント質量の0.01〜5質量%とすることが必要である。より好ましくは0.02〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜5質量%、とりわけ好ましくは0.05〜3質量%である。上記配合割合が0.01%未満では、性能的に充分とはならないおそれがあり、逆に5%を超える多量を使用しても、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。
本発明のコンクリート組成物は、高減水率領域においても高い流動性と流動保持性能を有し、ワーカビリティが良好で作業性に優れることから、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり、さらに、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるコンクリートにも有効である。
本発明のコンクリート組成物は、公知のセメント分散剤を含有することが可能であり、2種類以上の公知のセメント分散剤の併用も可能である。尚、公知のセメント分散剤を用いる場合、本発明のコンクリート混和剤と公知のセメント分散剤との配合質量比は、使用する公知のセメント分散剤の種類、配合及び試験条件等の違いにより一義的には決められないが、それぞれ固形分換算での質量割合(質量%)として、1〜99/99〜1が好ましく、5〜95/95〜5がより好ましく、10〜90/90〜10がさらに好ましい。上記併用する公知のセメント分散剤としては、例えば、以下に記載するようなセメント分散剤が挙げられる。
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変成リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系等の分子中にスルホン酸基を有する各種スルホン酸系分散剤。
特公昭59−18338号公報、特開平7−223852号公報に記載の如くポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開平10−236858号公報、特開2001−220417号公報に記載の如く炭素原子数5のアルケニル基を有する不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体、マレイン酸系単量体又は(メタ)アクリル酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開平7−53645号公報、特開平8−208769号公報、特開平8−208770号公報の如くポリエーテル化合物に不飽和カルボン酸系単量体をグラフト重合した親水性グラフト重合体等の分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する各種ポリカルボン酸系分散剤。
本発明においては、分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する重合体であるポリカルボン酸系分散剤を併用する場合、本発明のコンクリート混和剤中の共重合体(A)又は共重合体(B)とは異なる重合体を併用することにより、特に高減水率領域においても初期分散性と分散保持性とのバランスが優れたコンクリート混和剤となる。
又、上記コンクリート組成物は、以下の(1)〜(9)に例示するような他の公知のセメント添加剤(材)を含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化又はヒドロキシアルキル化誘導体の一部又は全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状の何れでもよく、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)硬化遅延剤:オキシカルボン酸もしくはその塩;糖及び糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシ基を置換基として有してもよい、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(6)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(7)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(8)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(9)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記コンクリート組成物において、セメント、細骨材、粗骨材及び水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、次の(1)〜(5)が挙げられる。
(1)<1>本発明のコンクリート混和剤、<2>炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体及びこれらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体(特公昭59−18338号公報、特開平7−223852号公報、特開平9−241056号公報等に記載)、及び、<3>オキシアルキレン系消泡剤の3成分を必須とする組み合わせ。尚、<1>のコンクリート混和剤と<2>の共重合体との配合比としては、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)と<2>の共重合体の質量比で、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がより好ましい。<3>のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)と<2>の共重合体との合計量に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
(2)<1>本発明のコンクリート混和剤と<2>分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤等が使用可能である。尚、<1>のコンクリート混和剤と<2>の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との配合比としては、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)と<2>の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との質量比で、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
(3)<1>本発明のコンクリート混和剤と<2>材料分離低減剤との2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。尚、<1>のコンクリート混和剤と<2>の材料分離低減剤との配合比としては、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)と<2>の材料分離低減剤との質量比で、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせのコンクリート組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
(4)<1>本発明のコンクリート混和剤と<2>遅延剤との2成分を必須とする組み合わせ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。尚、<1>のコンクリート混和剤と<2>の遅延剤との配合比としては、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)と<2>の遅延剤との質量比で、50/50〜99.9/0.1の範囲が好ましく、70/30〜99/1の範囲がより好ましい。
(5)<1>本発明のコンクリート混和剤と<2>促進剤との2成分を必須とする組み合わせ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。尚、<1>のコンクリート混和剤と<2>の促進剤との配合比としては、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)と<2>の促進剤との質量比で、10/90〜99.9/0.1の範囲が好ましく、20/80〜99/1の範囲がより好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、特にことわりのない限り、「%」は質量%を、「部」は質量部を表わすものとする。
各製造例において、共重合体の重量平均分子量は、下記の条件で測定した。
<共重合体の重量平均分子量測定条件>
機 種:Waters LCM1
検出器:示差屈折計(RI)検出器(Waters410)
溶離液:種類 アセトニトリル/0.05M酢酸ナトリウムイオン交換水溶液=40/60(vol%)、酢酸でpH6.0に調整
流量 0.6ml/分
カラム:種類 東ソー(株)製、「TSK−GEL G4000SWXL」+「G3000SWXL」+「G2000SWXL」+「GUARD COLUMN」各 7.8×300mm、6.0×40mm
温度 40℃
検量線:ポリエチレングリコール基準

<製造例1>
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル(1分子当たり平均70個のエチレンオキシド単位を含むもの)320部と無水マレイン酸10部とを仕込み(等モル仕込み)、トルエン448部を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃に加熱した。次に、ラウロイルパーオキサイドの1質量%トルエン溶液100mlを5分間で添加し、5時間引き続いて80℃に温度を維持した後、重合反応を終了した。その後、トルエンを留去して溶媒を水に置換し、水酸化ナトリウム水溶液を用いて反応溶液をpH7に中和し、共重合体(A1)を含む水溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量を表1に示す。
<製造例2〜4、比較製造例1〜3>
種類の異なるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体と無水マレイン酸とを仕込み(等モル仕込み)、製造例1と同様にして重合反応を行い、共重合体(A2)、(A3)、(B1)及び比較共重合体(1)〜(3)を含む水溶液を得た。使用したポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体の種類と得られた共重合体の重量平均分子量を表1に示す。
<比較製造例4>
ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体の替わりに、ポリアルキレングリコールアリルエーテルを用い、製造例1と同様にして無水マレイン酸との重合反応を行い、比較共重合体(4)を含む水溶液を得た。使用したポリアルキレングリコールアリルエーテルの種類と得られた共重合体の重量平均分子量を表1に示す。
Figure 2005126271
<その他の添加剤>
その他の添加剤として下記の添加剤を用いた。
・AE剤:ビンソールW(商品名、樹脂石鹸系、山宗化学社製)
・消泡剤−1:オキシアルキレン系消泡剤、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物(エチレンオキシド平均付加モル数9、プロピレンオキシド平均付加モル数5)
・消泡剤−2:オキシアルキレン系消泡剤、ラウリルアミンへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物(エチレンオキシド平均付加モル数4、プロピレンオキシド平均付加モル数8)

<コンクリート試験>
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として青梅産砕石、混練水として水道水を用い、下記の配合でコンクリート組成物を調製した。尚、コンクリート組成物の温度が20℃の試験温度になるように、試験に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の試験温度雰囲気下で調温し、混練及び各測定は上記の試験温度雰囲気下で行った。
まず、細骨材(大井川水系産陸砂)645.3kg/mを50L強制式パン型ミキサーにより10秒間混練した後、セメント(太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント)660kg/mを加えて10秒間混練した。その後、初期のスランプフロー値が600±20mmとなる量のコンクリート混和剤を含む水道水165kg/mを加えて90秒間混練した。但し、組成物が均一になる時間が60秒を超えた場合には、均一となった時点からさらに30秒間混練を継続した。その後、さらに、粗骨材(青梅産砕石)941.3kg/mを加えて90秒間混練して、コンクリート組成物を得た。又、コンクリート組成物中の気泡がコンクリート組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、AE剤とオキシアルキレン系消泡剤とを用いて、初期の空気量が5.0±0.5%となる様に調整した。尚、水/セメント比=25質量%、細骨材率[細骨材/(細骨材+粗骨材)](容積比)=0.403であった。セメントに対する各共重合体の使用量(セメントに対する共重合体水溶液中の固形分[不揮発分]の量)(質量%)、AE剤の使用量(質量%)、消泡剤の種類と使用量(質量%)は表2に示す。尚、共重合体水溶液中の固形分[不揮発分]は、適量の共重合体水溶液を130℃で加熱乾燥することにより揮発成分を除去して測定し、セメントと配合する際に所定量の固形分[不揮発分]が含まれるように共重合体水溶液を計量して使用した。
評価試験項目と測定方法は下記の通りである。
1)スランプフロー値の経時変化;JIS−A−1101に準じて測定した。尚、保持率として、5分後のスランプフロー値に対する120分後のスランプフロー値の比率(%)を算出した。
2)空気量;JIS−A−1128に準じて測定した。
3)混練時間;細骨材にセメントを加えた後、コンクリート混和剤を含む水道水を加えて混練を開始した時点から、コンクリート組成物全体が均一になり、見た目の流動性が変化しなくなるまでに要する時間を測定し、この時間を混練時間とした。尚、この時間の短いものほど、初期分散性が優れていることを示す。
4)凍結融解抵抗性;JIS−A−6204(付属書2)に準じて測定した。表示は300サイクル試験後の動弾性係数(%)により以下の様に表示した。尚、安定した適度な空気連行性を有する場合に、良好な凍結融解抵抗性が発現する。
○:動弾性係数(%)が90%以上
×:動弾性係数(%)が90%以下
評価結果を表2に示す。尚、表中、比較例3の「−」は、流動性のある均一なコンクリート組成物が得られなかったため、測定しなかったことを示す。
Figure 2005126271
表2から、比較共重合体(1)又は比較共重合体(2)を用いた比較例1及び2の場合は、適度な空気連行性を有して凍結融解抵抗性は良好であるが、初期分散性が低くて混練時間は長く、分散保持性が低くてスランプフロー値の経時変化が著しく大きいことがわかる。一方、比較共重合体(3)を用いた比較例3の場合は、セメントに対し共重合体を2%と大量に添加しても流動性のある均一なコンクリート組成物が得られず、分散性が不足していることがわかる。さらに、ポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体の替わりに、ポリアルキレングリコールアリルエーテルを共重合した比較共重合体(4)を用いた比較例4の場合は、初期分散性が低くて混練時間が著しく長く、経時でスランプフロー値が上昇して材料分離傾向となり、経時による空気量の変化が大きいことから凍結融解抵抗性が不足することがわかる。これに対し、共重合体(A1)、(A2)、(A3)又は(B1)を含む本発明のコンクリート混和剤を用いた実施例1〜8の場合は、水/セメント比=25質量%という高減水率領域において、初期分散性が高くて混練時間は短く、分散保持性が低くてスランプフロー値の経時変化は小さく、適度な空気連行性を有して凍結融解抵抗性が良好であることがわかる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表わされるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a1)由来の構成単位(I)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)とを必須の構成単位として含み、かつ、構成単位(I)及び構成単位(III)が各々全構成単位中の1質量%以上を占める共重合体(A)を必須成分とするコンクリート混和剤、セメント、細骨材、粗骨材及び水を必須成分として含み、共重合体(A)のセメントに対する添加量が0.01〜5質量%(固形分)であることを特徴とする、コンクリート組成物。
    CH=CHO(RO)nR (1)
    (式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜30の炭化水素基を表わし、ROは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり50〜300の数を表わす。)
  2. 下記一般式(2)で表わされるポリアルキレングリコールビニルエーテル系単量体(a2)由来の構成単位(II)とマレイン酸系単量体(b)由来の構成単位(III)とを必須の構成単位として含み、かつ、構成単位(II)及び構成単位(III)が各々全構成単位中の1質量%以上を占める共重合体(B)を必須成分とするコンクリート混和剤、セメント、細骨材、粗骨材及び水を必須成分として含み、共重合体(B)のセメントに対する添加量が0.01〜5質量%(固形分)であることを特徴とする、コンクリート組成物。
    CH=CHO(RO)p(RO)qH (2)
    (式中、ROは炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わし、ROは炭素原子数3〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物を表わす。pはROの平均付加モル数であり4〜300の数を表わし、qはROの平均付加モル数であり1〜30の数を表わす。)
  3. さらに、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)に対し、0.01〜100質量%のAE剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート組成物。
  4. さらに、共重合体(A)及び/又は共重合体(B)に対し、0.01〜20質量%の消泡剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
  5. 消泡剤がオキシアルキレン系消泡剤であることを特徴とする請求項4に記載のコンクリート組成物。
  6. 水/セメント比が40質量%以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のコンクリート組成物。
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