JP2005125564A - シートの製造装置および製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 原材料が本来有する特性を低下させることなく、高速でシートを適正に製造できるようにする。
【解決手段】 0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を溶融状態としてシート状に押し出す押出機と、この押出機から押し出された溶融シート状体を冷却する移動冷却体5と、溶融シート状体に対してストリーマコロナ放電を行うことにより移動冷却体5に溶融シート状体を静電密着させるコロナ放電部とを備え、上記コロナ放電部に複数の針状電極10を溶融シート状体の搬送方向と直交する方向に一定間隔で配列し、上記針状電極10と溶融シート状体との間隙Nを0.5mm〜5mmの範囲内に設定するとともに、各針状電極10の設置間隔Wを上記針状電極10と溶融シート状体との間隙Nの5倍未満に設定したことを特徴とするシートの製造装置および製造方法。
【選択図】 図2

Description

本発明は、押出機から熱可塑性樹脂を溶融状態としてシート状に押し出し、この溶融シート状体を移動冷却体に密着させて冷却することにより、均一な厚みを有するとともに表面欠点の少ないシートを製造するシートの製造装置および製造方法を提供するものである。
従来、押出機のTダイ等から移動冷却体上に溶融状態の熱可塑性樹脂をシート状に押し出して効率よく冷却することにより、均一な厚みおよび幅寸法を有するシートを形成するため、例えば特許文献1に示されるように、移動冷却体に沿って配設されたワイヤ状またはナイフエッジ状の電極に高電圧を印加することより、溶融シート状体に静電荷を付与して移動冷却体に密着させることが行われている。このようにワイヤ状またはナイフエッジ状の電極を用いて溶融シート状体を移動冷却体に静電密着させるように構成した場合には、溶融シート状体および移動冷却体の移動速度を25m/min程度の比較的低速に設定することにより、移動冷却体に溶融シート状体を適正に密着させて効率よく冷却することが可能である。
また、40m/min程度の比較的高速で移動する移動冷却体に溶融シート状体を適正に密着させて効率よく冷却できるようにするため、例えば特許文献2に示されるように、針状、鋸刃状、ワイヤ状またはナイフエッジ状の電極から上記溶融シート状体にストリーマコロナ放電を行って多くの電荷を付与することにより、この溶融シート状体を移動冷却体に静電密着させることが行われている。
さらに、例えば特許文献3に示されるように、ポリエステル樹脂中にアルカリ金属、アルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の少なくとも一種を含有させる等により、溶融シート状体を構成する熱可塑性樹脂の溶融比抵抗を低い値に設定した場合には、電極に高電圧を印加することにより溶融シート状体を移動冷却体に静電密着させて溶融シート状体を冷却する際における上記移動冷却体の移動速度を高速化できることが知られている。
特公昭37−6142号公報 特開昭56−105930号公報 特公昭53−40231号公報
上記特許文献1に開示されたワイヤ状またはナイフエッジ状の電極を用いた静電密着法では、溶融シート状体および移動冷却体の移動速度を25m/min以上に高速化すると、移動冷却体の表面に生じる随伴流に応じて形成された空気膜の存在により、上記移動冷却体に対する溶融シート状体の密着性が不充分となって、移動冷却体による溶融シート状体の冷却作用が損なわれることになる。この結果、溶融シート状体が充分に冷却される前に、その結晶化が進んで透明性が低下するとともに、シートの表面に気泡状または筋状の欠点が発生し易く、かつ溶融シート状体が均等に冷却されないことに起因してシートの厚みが不均一になり易いという問題があった。
また、上記特許文献2に開示されたストリーマコロナ放電方式の静電密着法において、溶融シート状体を移動冷却体に密着させて効率よく冷却させることができるのは、溶融比抵抗値が6.0×106(Ω・cm)以下のポリアミド系樹脂等に限られ、例えば0.4×108(Ω・cm)程度の溶融比抵抗値を有するポリエチレンテレフタレート等については、安定したストリーマコロナ放電を行うことができないとされていた。したがって、上記ポリエチレンテレフタレート等の溶融比抵抗値の高い樹脂材料は、ストリーマコロナ放電により移動冷却体に静電密着されるシートの原材料として使用されず、ポリアミド系樹脂等の溶融比抵抗値が小さなものだけが使用されていた。
さらに、上記特許文献3に示されるように、シートの原材料である熱可塑性樹脂中にアルカリ金属等の添加物を混入して溶融シート状体の溶融比抵抗値を低下させることにより、溶融シート状体および移動冷却体の移動速度を高速化しつつ、溶融シート状体と移動冷却体との密着力を確保することにより溶融シート状体を移動冷却体に密着させて効率よく冷却するように構成した場合には、上記溶融シート状体の溶融比抵抗値を低下させるためにその原材料が本来有する無異物性、色調または耐熱性等をある程度犠牲にしなければならないという問題があった。
また、上記特許文献2,3に開示されているように、シートの原材料として溶融比抵抗値が低い熱可塑性樹脂を使用した場合には、電極から移動冷却体に流れる電流が大きくなり過ぎて火花放電を生じ易い傾向があるため、上記移動冷却体に対する溶融シート状体の接触点よりも上流側に電極を設置する等により、上記火花放電の発生を防止する必要がある。このように移動冷却体に対する溶融シート状体の接触点よりも上流側に電極を設置した場合には、溶融シート状体が振動することにより電極に接触して傷付けられ易く、これを防止するためには、溶融シート状体と電極とをある程度離間させる必要がある。このように電極が溶融シート状体から離間した状態となると、両者の間に印加される電圧を高く設定しなければ、上記ストリーマコロナ放電を安定して発生させることができなくなるという問題がある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、原材料が本来有する特性を低下させることなく、高速でシートを適正に製造することができるシートの製造装置および製造方法を提供するものである。
請求項1に係る発明は、0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を溶融状態としてシート状に押し出す押出機と、この押出機から押し出された溶融シート状体を冷却する移動冷却体と、溶融シート状体に対してストリーマコロナ放電を行うことにより移動冷却体に溶融シート状体を静電密着させるコロナ放電部とを備えたシートの製造装置において、上記コロナ放電部に複数の針状電極を溶融シート状体の搬送方向と直交する方向に一定間隔で配列し、上記針状電極と溶融シート状体との間隙を0.5mm〜5mmの範囲内に設定するとともに、各針状電極の設置間隔を上記針状電極と溶融シート状体との間隙の5倍未満に設定したものである。
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載のシートの製造装置において、針状電極の先端部に、0.1mm未満の半径を有する球体が最先端部周面に内接する先窄まり部を設けたものである。
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載のシートの製造装置において、針状電極の先端部に設けられた先窄まり部の頂角を90°未満に設定したものである。
請求項4に係る発明は、0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を押出機から溶融状態でシート状に押し出す押出工程と、押出機から押し出された溶融シート状体を移動冷却体に密着させて冷却する冷却工程と、冷却後のシート状体を延伸する延伸工程とを備えたシートの製造方法において、複数の針状電極が溶融シート状体の搬送方向と直交する方向に一定間隔で配列され、上記針状電極と溶融シート状体との間隙が0.5mm〜5mmの範囲内に設定されるとともに、各針状電極の設置間隔が上記針状電極と溶融シート状体との間隙の5倍未満に設定されてなるコロナ放電部から、溶融シート状体に対してストリーマコロナ放電を行うことにより、上記冷却工程で溶融シート状体を移動冷却体に密着させて冷却するものである。
請求項1に係る発明によれば、各針状電極と移動冷却体との間に所定の電圧を印加して溶融シート状体に大電流を流すストリーマコロナ放電を行うことにより、0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂からなる溶融シート状体に対して多くの電荷を安定して連続的に付与できるため、上記溶融シート状体および移動冷却体の移動速度を高速に設定した場合においても、移動冷却体に溶融シート状体を適正に密着させて均等に冷却することができる。したがって、シートの原材料である熱可塑性樹脂中に所定の添加物が混入されることにより、原材料が本来有する無異物性、色調または耐熱性等の特性が低下する等の問題を生じることなく、均一な厚みを有するとともに表面欠点のないシートを高速で効率よく製造できるという利点がある。
請求項2に係る発明によれば、針状電極の先端部が鋭利な先窄まり形状に形成されて電場の集中度が高められるため、この針状電極の先端部から溶融シート状体に安定したストリーマコロナ放電を行わせることができる。したがって、上記針状電極と移動冷却体との間に印加される電圧を過度に高い値に設定することなく、溶融シート状体に多くの電荷を連続的に付与して移動冷却体に溶融シート状体を適正に密着させることにより、この溶融シート状体を適正かつ効果的に冷却できるという利点がある。
請求項3に係る発明によれば、針状電極と溶融シート状体との間隙を必要以上に小さくすることなく、針状電極の先端部における電場の集中度を効果的に高めることができ、この針状電極の先端部から溶融シート状体に安定したストリーマコロナ放電を行わせることができるという利点がある。
請求項4に係る発明によれば、押出機から押し出された溶融シート状体を移動冷却体に密着させて冷却する冷却工程で、針状電極と移動冷却体との間に所定の電圧を印加して溶融シート状体に大電流を流すストリーマコロナ放電を行うことにより、0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂からなる溶融シート状体に対して多くの電荷を安定して連続的に付与できるため、上記溶融シート状体および移動冷却体の移動速度を高速に設定しつつ、溶融シート状体を移動冷却体に適正に密着させて均等に冷却することができ、均一な厚みを有するとともに表面欠点のないシートを高速で効率よく製造できるという利点がある。
図1は、本発明に係るシートの製造装置の実施形態を示している。この製造装置は、ホッパー1から投入された熱可塑性樹脂材を加熱混練することにより溶融状態としてTダイ等からなる口金2からシート状に押し出す押出機3と、この押出機3から押し出された溶融シート状体4aを冷却する冷却ローラ等からなる移動冷却体5と、上記溶融シート状体4aにストリーマコロナ放電を行うことにより溶融シート状体4aを移動冷却体5に密着させるコロナ放電部6と、上記移動冷却体5により冷却されたシート状体4bを長手方向に延伸させる第1延伸部7と、上記シート状体4bを幅方向に延伸させる第2延伸部8と、延伸後のシート4cを巻き取る巻取部9とを有している。
上記コロナ放電部6には、図2および図3に示すように、移動冷却体5の周面に対する溶融シート状体4aの接触点Zの近傍において、溶融シート状体4aの表面に対向する複数の針状電極10が設置されている。これらの針状電極10は、溶融シート状体4aの搬送方向と直交する方向に一定間隔Wで配列されるとともに、針状電極10の軸線が溶融シート状体4aの表面に対して直交する方向に設置されている。
上記針状電極10は、直径が1mm以下、好ましくは0.5mm以下に設定された鉄、真鍮、ステンレス鋼またはタングステン等により円柱状に形成され、各針状電極10と溶融シート状体4aとの間には所定の間隙Nが設けられている。そして、直流高圧電源11から上記針状電極10と移動冷却体5との間に所定電圧が印加され、この針状電極10から移動冷却体5上の溶融シート状体4aに対してストリーマコロナ放電が行われることにより、多くの電荷が連続的に付与されて上記溶融シート状体4aが移動冷却体5に静電密着するようになっている。
上記ストリーマコロナ放電とは、例えば正電圧が印加される針状電極10と、アース体である溶融シート状体4aとが橋絡して安定したコロナ放電が行われる状態をいう。すなわち、上記針状電極10と移動冷却体5との間に印加される電圧を上昇していくと、最初に暗流状態(持続性のない放電現象)が生じた後、グローコロナ放電状態となり、次いで上記針状電極10からの放電により空気がイオン化されて安定した電流が持続的に流れるストリーマコロナ放電状態となる。この状態から、さらに電圧を上昇させると火花放電状態となる。
上記各放電現象を電圧と電流との関係で見ると、暗流領域では、オームの法則が成立する微少電流領域、つまり電圧に比例して電流が流れる領域と、電圧を上げても電流が増加しない領域とがあり、この領域からさらに電圧を上昇させると急激に電流が増加する状態となり、この領域がグローコロナ放電領域であって電極の表面を覆う紫色の発光が認められる。このグローコロナ放電領域からさらに電圧を上げると、ストリーマコロナ放電状態となり、この時には、電極とアース体とを橋絡する発光が見られる。電極に印加される電圧V(kV)と、アース体であるシート状体の幅寸法に対応した電流値I(mA/cm)との関係を具体的に見ると、I<0.025×V−0.12となる領域が暗流領域またはグローコロナ放電領域であって、I≧0.025×V−0.12となる領域がストリーマコロナ放電領域である。
上記のように押出機3から移動冷却体5上に押し出された溶融シート状体4aに対し、上記コロナ放電部6の各針状電極10からストリーマコロナ放電が行われて多量の電荷が上記溶融シート状体4aに付与されることにより、この溶融シート状体4aが移動冷却体5に静電密着した状態となり、この移動冷却体5に供給される冷却水等の冷却媒体との間で熱交換が行われて上記溶融シート状体4aが冷却されるようになっている。
上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙N、つまり針状電極10の先端面と、移動冷却体5上に位置する溶融シート状体4aの表面との距離が一定値未満になると、針状電極10の先端部が溶融シート状体4aに接触して溶融シート状体4aが傷付けられる可能性があり、上記距離が一定値以上となると、ストリーマコロナ放電を適正に行うために印加電圧を極端に高くする必要が生じて、火花放電が発生し易くなることが避けられない。このため、上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nは、0.5mm〜5mmの範囲内に設定され、その好適範囲は1mm〜4mmである。
上記溶融シート状体4aの搬送方向と直交する方向に配列された各針状電極10の設置間隔W、つまり相隣接する針状電極10の軸心間距離が一定値以上になると、各針状電極10から溶融シート状体4aへの放電間隔が広くなり過ぎてその間に筋状の密着不良部分が発生し易くなる。このような弊害を防止するために、上記設置間隔Wは、針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nの5倍未満に設定されている。また、上記各針状電極10の設置間隔Wが針状電極10の直径に等しくなると、図4に示すように、相隣接する針状電極10が互いに当接してそれ以上接近させることが不可能となるため、上記設置間隔Wの下限値は針状電極10の直径に対応した値となる。上記設置間隔Wの好適範囲は、針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nの1倍〜3倍の範囲内であり、具体的な数値で示すと、針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nが1mmである場合、上記設置間隔Wの好適範囲は、1mm〜3mmとなる。
上記針状電極10の先端部には、図5に示すように、所定の半径rを有する球体Qが最先端部周面に内接する円錐状の先窄まり部10aが形成されている。上記針状電極10の先端部における電荷の集中度を高めてストリーマコロナ放電を効率よく発生させるためには、上記先窄まり部10aの最先端部周面に内接する球体Qの半径rを0.1mm未満にすることが望まれるが、この球体Qの半径を過度に小さくすると、上記先窄まり部10aの成形が困難になるとともに、取り扱い時に針状電極10の最先端部が損傷し易くなる。したがって、上記半径rの好適範囲は、0.005mm〜0.09mmであり、さらに好適な範囲は0.01mm〜0.05mmである。なお、上記球体Qの半径rは、針状電極10の最先端部周面に内接する円を描き、その半径を計測することにより求められる。
上記移動冷却体5に対する溶融シート状体4aの密着力F[Pa]をクローン力として考察すると、下記式のように表される。下記式においてqはシート上の電荷[C]、Eはシートの電場[V/m]、Sは単位時間(1s)当たりに移動するシートの長さと幅寸法により定義されるシートの面積[cm2]、iは静電密着電極を流れる電流[A]、Vは電極に印加される電圧[V]、vは移動体冷却5の移動速度[m/s]、wは静電密着により冷却されるシートの幅[m]、kは式k=E/Vで定義される電場集中度[1/m]であり、簡単な形状の場合には解析計算により求められ、複雑な形状の場合には有限要素法を用いた数値計算により求められる。
F[Pa]=q[C]×E[V/m]/S[cm2
=i・V・k/(v・w)[Pa]
上記式から、移動冷却体5に対する溶融シート状体4aの静電密着力は、電極に対する印加電圧Vと電流iと電場集中度kとに応じて定まり、この電場集中度kを高めることにより静電密着力Fを増大させ得ることがわかる。
上記溶融シート状体4aとの間隙Nが一定値未満になるのを防止しつつ、針状電極10の先端部における電荷の集中度を、さらに効果的に高めて静電密着力を増大させるためには、上記先窄まり部10aの頂角θを極力小さくすることが望まれ、この頂角θを90°未満に設定することが好ましい。この頂角θが90°以上になると、上記先窄まり部10aの最先端部周面に内接する球体Qの半径rを0.04mm程度に設定し、かつ針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nを1.5mm以下にしないと、安定したストリーマコロナ放電を行うことができないからである。また、上記先窄まり部10aの頂角θが小さくなり過ぎると、先窄まり部10aの最先端部周面に内接する球体Qの半径rを上記好適範囲に設定することが困難となるため、上記頂角θの好適角度は30°前後である。
また、上記溶融シート状体4aの搬送方向と直交する方向に配列された各針状電極10の間に高低差が生じ、溶融シート状体4aと各針状電極10との間に形成される間隙Nにバラツキが生じると、放電班が発生して密着不良部分が形成され易くなる。これを防止するために印加電圧を上昇させると、溶融シート状体4aに部分的な白化現象が発生し易くなり、この白化現象が生じると、シートの表面荒れ等の欠陥を検査で見つけ出すことが困難となるため、上記針状電極10間の高低差、つまり各針状電極10の移動冷却体5に対する突出長さのバラツキを0.3mm未満、好ましくは0.2mm未満に設定して溶融シート状体4aと各針状電極10との間隙Nが不揃いとなるのを極力防止するように構成されている。
上記押出機3により加熱混練されて押し出される熱可塑性樹脂としては、その溶融比抵抗値Rが0.3×108(Ω・cm)以上のものであれば特に限定されないが、以下のような樹脂が想定される。なお、上記溶融比抵抗値Rは、熱可塑性樹脂を真空乾燥した後に、50mmの直径を有する試験管に入れ、窒素雰囲気下で溶融した後、285℃の窒素雰囲気下で上記熱可塑性樹脂中に一対の銅製電極を挿入し、この両電極に直流高圧発生装置から電圧を印加した状態で計測された電流値および電圧値、電極面積および電極間距離に応じ、式R=(V・S/I・L)に基づいて求められる。なお、この式において、Vは電圧値、Sは電極面積、Iは電流値、Lは電極間距離である。
上記溶融比抵抗値の高い熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートもしくはこれらの樹脂を構成するポリマー成分を主成分とした共重合体からなるポリエステル系樹脂が好適に用いられる。
上記の共重合体を用いる場合、そのジカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p′−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;およびこれらのエステル形成誘導体(2,5−ジメチルテレフタル酸等)等が挙げられる。なお、トリメリット酸およびピロメリット酸等の多官能カルボン酸等を用いてもよい。
また、上記共重合体のグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、p−キシレングリコール等や平均分子量が150〜2000のポリエチレングリコール等が用いられる。
なお、上記ポリエステル系樹脂の組成物には、例えば帯電防止剤、UV吸収剤または安定剤等からなる各種公知の添加剤を含有させてもよい。
また、溶融比抵抗値の高い上記ポリエステル系樹脂に代え、溶融比抵抗値の低い素材と、各種の添加物(例えば溶融比抵抗値の高い樹脂)とを混合することにより、その溶融比抵抗値を0.3×108(Ω・cm)以上に調整したものを用いてもよい。
上記押出機3により加熱混練される熱可塑性樹脂として、0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有するポリエチレンテレフタレートを使用するとともに、上記構成の製造装置を用いてシートを製造するシートの製造方法について以下に説明する。まず、易滑性の付与を目的とした粒子を必要に応じて配合したポリエチレンテレフタレートのペレットを充分に真空乾燥した後、これを押出機3のホッパー1に供給して加熱混練することにより、口金2から例えば約280℃の温度と、200μm程度の厚みとを有する溶融シート状体4aを押し出して移動冷却体5の周面に接触させる。
上記のようにして移動冷却体5上に押し出された溶融シート状体4aと移動冷却体5との接触点Zの近傍に沿って配設された針状電極10に正電圧を印加し、上記溶融シート状体4aにストリーマコロナ放電を発生させることにより、この溶融シート状体4aに多くの電荷を連続的に付与し、上記溶融シート状体4aを所定速度で搬送しつつ移動冷却体5の周面に静電密着させて冷却する。
すなわち、複数の針状電極10を溶融シート状体4aの搬送方向と直交する方向に一定間隔で配列し、上記各針状電極10の設置間隔Wを上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nの5倍未満となるよう設定するとともに、この針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nを0.5mm〜5mmの範囲内に設定した状態で、各針状電極10と移動冷却体5との間に直流の高電圧を印加する。この結果、上記溶融シート状体4aにストリーマコロナ放電が行われることにより、多量の電荷が溶融シート状体4に付与されてこの溶融シート状体4が帯電し、上記移動冷却体5の周面に溶融シート状体4aが静電密着した状態となって効果的に冷却されることになる。
上記移動冷却体5により冷却されたシート状体4bを第1延伸部7に供給してシート状体4bの長手方向に延伸させた後、第2延伸部8に供給してシート状体4bの幅方向に延伸させることにより、所定の幅寸法および厚みを有するシート4cを製造し、これを巻取部9においてロール状に巻き取る。
このように0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を溶融状態としてシート状に押し出す押出機3と、この押出機3から押し出された溶融シート状体4aを冷却する移動冷却体5と、溶融シート状体4aに対してストリーマコロナ放電を行うことにより移動冷却体5に溶融シート状体4aを静電密着させるコロナ放電部6とを備えたシートの製造装置において、上記コロナ放電部6に複数の針状電極10を溶融シート状体4aの搬送方向と直交する方向に一定間隔で配列し、上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nを0.5mm〜5mmの範囲内に設定するとともに、各針状電極10の設置間隔Wを上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nの5倍未満に設定したため、原材料が本来有する無異物性、色調または耐熱性等の特性が低下する等の問題を生じることなく、均一な厚みを有するとともに表面欠点のないシートを高速で効率よく製造できるという利点がある。
すなわち、上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nを0.5mm〜5mmの範囲内に設定したため、印加電圧を過度に高くすることなく溶融シート状体4aに大電流を流すストリーマコロナ放電を行うことにより、多量の電荷を溶融シート状体4aに付与してこの溶融シート状体4aを上記移動冷却体5の周面に静電密着させることができる。したがって、上記溶融シート状体4aおよび移動冷却体5の移動速度を、例えば60m/min以上の高速に設定した場合においても、移動冷却体5に溶融シート状体を適正に密着させて均等に冷却することができ、シートの表面が粗面化されて透明性が低下する等の弊害を生じることなく、シートの生産性を向上させることができる。
また、上記構成の針状電極10を使用することにより、0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を原材料としてシートを製造することが可能となり、上記原材料中にアルカリ金属等を添加して上記溶融比抵抗値を低下させる必要がないため、上記原材料が本来有する無異物性、色調または耐熱性等を損なうことなく、優れた特性を有するシートを効率よく製造できるという利点がある。
しかも、上記のように0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を原材料として使用することにより、上記移動冷却体5に溶融シート状体4aの接触点Zに近い位置に針状電極10を配設した場合においても、この針状電極10から移動冷却体5に流れる電流が大きくなり過ぎて火花放電が生じるという事態の発生を防止することができる。したがって、上記移動冷却体5に溶融シート状体4aが密着して振動しにくい状態にある上記接触点Zに近い位置に針状電極10を配設することにより、溶融シート状体4aの振動に起因して針状電極10に溶融シート状体4aが接触するという事態の発生を防止することができる。
さらに、上記のように各針状電極10の先端部を溶融シート状体4aに近づけることにより、低電圧で溶融シート状体4aに対するストリーマコロナ放電を適正に発生させて上記溶融シート状体4aを移動冷却体5に静電密着させることができるため、シートの表面が粗面化されて不透明になったり、上記溶融シート状体4aと移動冷却体5との間に空気が部分的に捕捉されてシートの表面に泡状または筋状の欠陥が形成されたりする等の弊害を生じることなく、上記溶融シート状体4aを効果的に冷却できるという利点がある。
そして、上記のように各針状電極10の設置間隔Wを上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nの5倍未満に設定することにより、相隣接する針状電極10間の間隔Wが一定値以下となるように構成したため、各針状電極10から溶融シート状体4aにストリーマ放電が行われる際における相隣接する放電間隔が大きくなるのを防止して均一なストリーマ放電を発生させることができる。このため、上記移動冷却体5に対する密着性が高い部分と低い部分とが交互に発生する現象、つまり筋状の密着不良部分が発生するのを効果的に防止し、溶融シート状体4aの全体を均一に冷却することができるという利点がある。
また、上記実施形態では、最先端部に0.1mm未満の半径を有する球体が最先端部周面に内接する先窄まり部10aを針状電極10の先端部に設けたため、上記針状電極10の先端部における電場の集中度を効果的に高めることにより、この針状電極10の先端部から溶融シート状体4aに対して安定したストリーマコロナ放電を行わせることができる。したがって、上記針状電極10と移動冷却体5との間に印加される電圧を過度に高い値に設定することなく、上記溶融シート状体4aに多くの電荷を連続的に付与して移動冷却体5に溶融シート状体4aを適正に密着させ、これによって溶融シート状体4aの全体を均一に冷却することができるという利点がある。
さらに、上記実施形態に示すように、針状電極10の先窄まり部10の頂角θを90℃未満に設定した場合には、この針状電極10の先端部における電場の集中度を、より効果的に高めることができるため、針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nを必要以上に小さくすることなく、針状電極10の先端部から溶融シート状体4aに安定したストリーマコロナ放電を行わせて溶融シート状体4aを移動冷却体5に密着させることによる冷却性能を効果的に向上させることができるという利点がある。
また、上記実施形態に示すように、各針状電極10の高低差を0.3mm未満に設定した場合には、上記高低差に応じて溶融シート状体4aの搬送方向と直交する方向における溶融シート状体4aと各針状電極10との間隙Nにバラツキが生じることによる放電班の発生を効果的に防止することができる。したがって、印加電圧をそれ程上昇させることなく、上記移動冷却体5に対する溶融シート状体4aの密着不良部分が生じるのを抑制することにより、溶融シート状体4aに部分的な白化現象が発生するのを効果的に防止しつつ、移動冷却体5に溶融シート状体4aを適正に密着させて溶融シート状体4aを効率よく冷却することができる。
さらに、上記実施形態では、移動冷却体5に対する溶融シート状体4aの接触点Zの近傍に各針状電極10を配設したため、シートの表面が粗面化されたり、シートに穴があいたりする等の弊害を生じることなく、上記溶融シート状体4aを移動冷却体5に適正に密着させることにより、溶融シート状体4aを効果的に冷却できるという利点がある。
すなわち、上記各針状電極10の設置位置が、移動冷却体5に対する溶融シート状体4aの接触点Zよりも溶融シート状体4aの搬送方向の上流側に一定値以上(例えば5mm以上)ずれるのを防止し、上記接触点Zの近傍において溶融シート状体4aに安定したストリーマコロナ放電を発生させるように構成することにより、上記印加電圧を過度に高い値に設定することなく、上記溶融シート状体4aを移動冷却体5に適正に密着させることが可能となり、溶融シート状体4aを適正に冷却してシートの表面が粗面化されるのを効果的に抑制できるとともに、火花放電が発生してシートに穴があくという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
また、上記各針状電極10の設置位置が、移動冷却体5に対する溶融シート状体4aの接触点Zよりも溶融シート状体4aの搬送方向の下流側に、一定値以上(例えば5mm以上)ずれるのを防止し、溶融シート状体4aが移動冷却体5に密着する前に冷却、固化が進行しないように構成することにより、移動冷却体5に溶融シート状体4aを適正に密着させて両者の間に空気が部分的に捕捉されるのを抑制することが可能となり、これによってシートの表面に泡状または筋状に欠陥が形成されるのを効果的に防止できるという利点がある。なお、上記弊害をより効果的に防止するためには、上記接触点Zに対する溶融シート状体4aの搬送方向の上流方向または下流方向における上記各針状電極10の設置位置のずれ量を3mm以下とすることが望ましい。
また、上記のように0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を押出機3から溶融状態でシート状に押し出す押出工程と、押出機3から押し出された溶融シート状体4aを移動冷却体5に密着させて冷却する冷却工程と、冷却後のシート状体を延伸する延伸工程とを備え、複数の針状電極10が溶融シート状体4aの搬送方向と直交する方向に一定間隔で配列され、上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nが0.5mm〜5mmの範囲内に設定されるとともに、各針状電極10の設置間隔Wが上記針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nの5倍未満に設定されてなるコロナ放電部6から、溶融シート状体4aに対してストリーマコロナ放電を行うことにより溶融シート状体4aを移動冷却体5に密着させて冷却するようにしたシートの製造方法によれば、上記溶融シート状体4aおよび移動冷却体5の移動速度を高速に設定しつつ、溶融シート状体4aを移動冷却体5に適正に密着させて均等に冷却することができ、均一な厚みを有するとともに表面欠点のないシートを高速で効率よく製造できるという利点がある。
なお、上記実施形態では、冷却後にシート状体4bを第1延伸部7および第2延伸部8によりシートの長手方向および幅方向の二方向に延伸するシートの製造装置および製造方法について説明したが、上記両方向の何れか一方にのみ延伸させるようにしてもよい。一方向延伸の場合は、その力学的剛性から10μm以上の厚みを有するシートが好適に用いられ、二方向延伸の場合には、2μm以上のシートが好適に用いられる。また、上記第1,第2延伸部の7,8の下流部に、シート状体4bをさらに長手方向および幅方向に延伸させる延伸部を設けた構造としてもよい。
また、円柱状の針状電極10の先端部に円錐状の先窄まり部10を形成してなる上記実施形態に代え、角柱状の電極の先端部に、図6に示すように、角錐状の先窄まり部10aを形成するとともに、その最先端部を所定径の球体が内接する球面状部10bを設けた構造としてもよい。
本発明の実施例1a〜1cでは、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂にCaCO3を含有させた樹脂ペレットと、CaCO3を含有させない樹脂ペレットとを混合して全体で溶融比抵抗値が1.2×108(Ω・cm)に設定した原材料を使用し、これを135℃の温度で約6時間に亘り減圧乾燥(1.3hPa)した後、押出機3に供給して280℃の温度で加熱混練し、450mmの幅寸法を有する押出機3の口金2から溶融状態のシート状体4aとして移動冷却体5上に押し出すようにした。
また、表面温度を20℃に保った金属ロールからなる移動冷却体5の周面に対向するように、複数本の真鍮製針からなる電極10を1mmの設置間隔Wで配設するとともに、針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nを1mmに設定した状態で、この針状電極10と上記移動冷却体5との間に3.0kV前後の電圧を印加して3.0mA前後の電流を流し、上記移動冷却体5の移動速度を80m/min、90m/min、100m/minの速度で移動させつつ、260mm幅寸法と140μmの厚みとを有する溶融シート状体4aを成形するとともに、上記溶融シート状体4aの移動冷却体5に対する密着状態を観測した結果、下記表1に示すようなデータが得られた。
Figure 2005125564
上記各実施例1a〜1cにおける針状電極10として、その径が1mmに設定されるとともに、その先端部に設けられた先窄まり部10aの頂角θが30°に設定され、かつ針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nが1mmに設定されることにより、図4に示すように相隣接する針状電極10が互いに当接したA型の電極を使用した。また、上記針状電極10の最先端部に内接する球体Qの半径rを0.04mmに設定するとともに、各針状電極10の先端部の高低差を0.2mm未満に設定した。
一方、比較例1a〜1cでは、上記針状電極10に代えて30μmの直径を有するタングステンワイヤからなる電極を、移動冷却体5の周面に対する溶融シート状体4aの接触点Zの近傍に設置するとともに、この電極と溶融シート状体4aとの間隙を5mmに設定し、かつ上記移動冷却体5の移動速度を30m/min〜35m/minに設定するとともに、上記電極と移動冷却体5との間に印加される電圧値と電流とを種々の値に調節した。さらに、比較例2a〜2cは、上記タングステンワイヤに代えて20μmの厚みを有するテープ電極を設置した点を除き、上記比較例1a〜1cと同様に構成した。
上記データから、移動冷却体5の移動速度を80m/minに設定した本発明の実施例1a、90m/minに設定した実施例1bおよび100m/minに設定した実施例1a〜1cの何れにおいても、針状電極10を溶融シート状体4aに対して3mm間隔でストリーマコロナ放電が発生していることが観測され、移動冷却体5に溶融シート状体4aが適正状態で密着していることが確認された。なお、表1において、SCはストリーマコロナ放電現象が見られたことを示し、○印は溶融シート状体4aの全体が完全に冷却され、シートの表面にピン状の泡が形成される等の欠点が見られない状態を示している。また、表1において、△印はシートの表面に薄いピン状の欠点が部分的に認められる状態を示し、×印はシートの全体にピン状の欠点が認められ、あるいは筋状の欠点が認められる状態を示している。
これに対してタングステンワイヤからなる電極を使用した上記比較例1a〜1cまたはテープ電極を使用した上記比較例2a〜2cでは、移動冷却体5の移動速度を30m/minよりも速くすると、移動冷却体5と溶融シート状体4aとの間に空気の泡が入ったり、筋状の斑が生じたりすることが避けられなかった。これを防止するために、上記印加電圧を上昇させると、火花放電(スパーク)が生じたり、ワイヤが切断されたり、シートに冷却班が生じたり、移動冷却体5に溶融シート状体が巻付いたりして適正にシートを製造することができなかった。
針状電極10の頂角を90°に設定するとともに、各針状電極10の間隔Wを2mmに設定した点を除いて上記実施例1a〜1cと同様に構成された本発明の実施例2aと、各針状電極10の間隔Wを2mmに設定して図3に示すように相隣接する針状電極10を互いに離間させたB型とするとともに、針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Nを2mmに設定した点を除いて上記実施例1bと同様に構成した本発明の実施例2bと、針状電極10の頂角を90°に設定し、かつ各針状電極10の設置間隔Wを3mmに設定して相隣接する針状電極10を互いに離間させ離間させたB型とするとともに、上記針状電極10の最先端部に内接する球体Qの半径rを0.03mmに設定した点を除いて上記実施例1bと同様に構成した本発明の実施例2cとにおいて、移動冷却体5に対する密着状態を観測した結果、下記表2に示すようなデータが得られた。このデータから、本発明の実施例2a〜2cでは、各針状電極10から溶融シート状体4aに対して所定間隔でストリーマコロナ放電が発生していることが観測され、移動冷却体5に溶融シート状体4aが適正状態で密着していることが確認された。
Figure 2005125564
これに対して各針状電極10の設置間隔Wを6mmに設定し、かつ針状電極10と上記移動冷却体5との間に3.5kVの電圧を印加して2.2mAの電流を流すようにした点を除いて本発明の上記実施例2aと同様に構成した比較例3aと、B型の針状電極10を使用し、かつ上記印加電圧を3.3Vに設定するとともに、電流値を3.0mmに設定した点を除いて上記比較例3aと同様に構成した比較例3bにおいて、移動冷却体5の移動速度を70m/minに設定した場合には、移動冷却体5に溶融シート状体4aを適正に密着させることができず、何れもシートの表面に薄いピン状の欠点が部分的に認められた。
また、各針状電極10の最先端部に内接する球体の半径を0.1mmに設定し、かつ針状電極10と上記移動冷却体5との間に4.9kVの電圧を印加して3.0mAの電流を流すようにした点を除いて実施例2aと同様に構成した比較例4aと、B型の針状電極10を使用するとともに、この針状電極10と溶融シート状体4aとの間隙Sを1.5mmに設定し、かつ上記印加電圧を4.7Vに設定するとともに、電流値を3.3mmに設定した点を除いて比較例4aと同様に構成した比較例4bにおいて、移動冷却体5の移動速度を70m/minに設定した場合には、移動冷却体5に溶融シート状体4aを適正に密着させることができず、いずれもシートの全体にピン状の欠点が認められ、あるいは筋状の欠点が認められた。
さらに、各針状電極10の先端部に設けられた先窄まり部10aの頂角θを120°に設定するとともに、各針状電極10の最先端部に内接する球体の半径を0.03mmに設定し、かつ針状電極10と上記移動冷却体5との間に4.9kVの電圧を印加して3.0mAの電流を流すようにした点を除いて本発明の実施例2cと同様に構成した比較例5aと、B型の針状電極10を使用し、かつ上記印加電圧を4.7Vに設定するとともに、電流値を3.3mmに設定した点を除いて比較例5aと同様に構成した比較例5bにおいて、移動冷却体5の移動速度を70m/minに設定すると、移動冷却体5に溶融シート状体4aを適正に密着させることができず、いずれもシートの全体にピン状の欠点が認められ、あるいは筋状の欠点が認められた。
本発明に係るシートの製造装置および製造方法によれば、従来では困難であった溶融比抵抗値の高い熱可塑性樹脂からなる溶融シート状体を移動冷却体に適正に静電密着させ、移動冷却体の移動速度を高くした場合においても、上記溶融シート状体を適正に冷却してシートの生産性を高めることができ、産業界に寄与するところが大である。
本発明の実施形態に係るシートの製造装置の全体構成を示す説明図である。 針状電極の設置状態を示す側面図である。 針状電極の設置状態を示す正面図である。 針状電極の設置状態の他の例を示す正面図である。 針状電極の先端部の構成を示す説明図である。 針状電極の先端部の別の例を示す説明図である。
符号の説明
3 押出機
4a 溶融シート状体
5 移動冷却体
6 コロナ放電部
7,8 延伸部
10 針状電極
10a 先窄まり部
Q 球体
r 半径
θ 頂角

Claims (4)

  1. 0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を溶融状態としてシート状に押し出す押出機と、この押出機から押し出された溶融シート状体を冷却する移動冷却体と、溶融シート状体に対してストリーマコロナ放電を行うことにより移動冷却体に溶融シート状体を静電密着させるコロナ放電部とを備えたシートの製造装置において、上記コロナ放電部に複数の針状電極を溶融シート状体の搬送方向と直交する方向に一定間隔で配列し、上記針状電極と溶融シート状体との間隙を0.5mm〜5mmの範囲内に設定するとともに、各針状電極の設置間隔を上記針状電極と溶融シート状体との間隙の5倍未満に設定したことを特徴とするシートの製造装置。
  2. 針状電極の先端部に、0.1mm未満の半径を有する球体が最先端部周面に内接する先窄まり部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のシートの製造装置。
  3. 針状電極の先端部に設けられた先窄まり部の頂角を90°未満に設定したことを特徴とする請求項2に記載のシートの製造装置。
  4. 0.3×108(Ω・cm)以上の溶融比抵抗値を有する熱可塑性樹脂を押出機から溶融状態でシート状に押し出す押出工程と、押出機から押し出された溶融シート状体を移動冷却体に密着させて冷却する冷却工程と、冷却後のシート状体を延伸する延伸工程とを備えたシートの製造方法において、複数の針状電極が溶融シート状体の搬送方向と直交する方向に一定間隔で配列され、上記針状電極と溶融シート状体との間隙が0.5mm〜5mmの範囲内に設定されるとともに、各針状電極の設置間隔が上記針状電極と溶融シート状体との間隙の5倍未満に設定されてなるコロナ放電部から、溶融シート状体に対してストリーマコロナ放電を行うことにより、上記冷却工程で溶融シート状体を移動冷却体に密着させて冷却することを特徴とするシートの製造方法。
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