JP2005123124A - 有機el装置の製造方法および有機el装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のAl蒸着カソードを用いた有機EL素子と略同等の特性を持つとともに、成膜スループットが高く、寿命の長い有機EL装置の製造方法および有機EL装置を提供する。
【解決手段】 基板2上に第1の電極111と、少なくとも有機材料からなる発光層110bを有する機能層110と、第2の電極12と、をこの順に形成する有機EL装置の製造方法であって、機能層110の上に少なくとも第2の電極12として機能する層を備えた透明導電膜12a、12bを形成し、機能層に最も近い透明導電膜12aを、酸素を遮断した環境下で行うイオンプレーティング法により形成していることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、有機EL装置の製造方法および有機EL装置に関する。
電界発光を利用したエレクトロルミネッセンス素子(以下EL素子と表記する)は、自己発光のため視認性が高く、かつ耐衝撃性に優れるなどの優れた特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
上記EL素子の中でもトップエミッション有機EL素子を用いたパネルは、基板上面より光が取り出せるため、回路の設計自由度が高く、大型、高輝度、高精細パネルを製造する基本構造として開発が進められている。
このトップエミッション有機EL素子は、透明導電膜よりなる第1の電極層と、超薄膜の電子注入金属層およびその上面に形成される透明導電膜よりなる第2の電極層と、を設けた構造が知られている。これらの透明導電膜を構成する材料としては、ITO(インジウムチンオキサイド)やSnOが知られている。しかし、有機層を介して基板に透明電極層を積層するに際して、有機層の損傷を防ぐために基板温度を室温から100℃近くに設定して蒸着するため、比抵抗値が高い透明電極となり、透明導電層の配線ラインで電圧降下が発生し、不均一な発光が生じていた。そのため、上述した不具合を生じさせないようなさまざまな技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10−162959号公報
上述した特許文献1においては、透明導電膜をスパッタリング法により形成し、スパッタリング出力を20W程度の低い電力に抑えている。スパッタリング出力を抑えることにより、スパッタリング時に発生するプラズマにより有機層が損傷を受けないようにしている。
しかしながら、スパッタリング出力を抑えたことにより、透明導電膜の積層効率が低下し、透明導電膜を形成するのに要する時間が長くなってしまうという問題があった。
また、上述のようにスパッタリング出力を抑えも有機層にはプラズマによるダメージが与えられ非発光点などの不具合が発生するという問題があった。
また、発明者らは上述した有機層に対するスパッタのダメージを回避するために、イオンプレーティング方式による透明導電膜の積層方法を見い出した。イオンプレーティング方式では、プラズマが成膜対象の基板表面に接することが少なく、成膜ダメージに起因する非発光点の発生が少なかった。
しかしながら、この方式においても有機層に対する何らかのダメージがあり、有機層の発光できる期間が短いという問題があった。さらに、有機EL素子の電圧・電流密度特性が従来のAl蒸着カソードと比べて劣るという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、従来のAl蒸着カソードを用いた有機EL素子と略同等の特性を持つとともに、成膜スループットが高く、寿命の長い有機EL装置の製造方法および有機EL装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の有機EL装置の製造方法は、基板上に第1の電極と、少なくとも有機材料からなる発光層を有する機能層と、第2の電極と、をこの順に形成する有機EL装置の製造方法であって、機能層の上に少なくとも第2の電極として機能する層を備えた透明導電膜を形成し、機能層に最も近い透明導電膜を、酸素を遮断した環境下で行うイオンプレーティング法により形成していることを特徴とする。
すなわち、本発明の有機EL装置の製造方法は、機能層に最も近い透明導電膜を、酸素を遮断した環境下で行うイオンプレーティング法により形成しているため、機能層上に透明膜を堆積させる際に、下地となる機能層が酸化されることを極力防止することができる。これにより、機能層の発光効率の低下、寿命の低下を防止して明るい表示を実現することができる。
また、上述した方法で形成された透明導電膜は、以後の工程において機能層が酸化などのダメージを受けることを防止できる。そのため、例えば、以後の工程は外部から酸素を導入した雰囲気中で行うことができ、成膜速度を速めることができる。
なお、機能層は、例えば、発光層と、この発光層に電子や正孔を輸送/注入するための電子輸送/注入層や、正孔輸送/注入層等との積層体として構成される。また、発光層単体で機能層を構成してもよい。
また、酸素を遮断した環境とは、外部からの酸素の侵入を遮断した雰囲気をことであり、イオンプレーティング法で透明電極膜の形成に用いる蒸着材料から放出される酸素は遮断する対象に含まれていない。
上記の構成を実現するために、より具体的には、機能層に最も近い透明導電膜が0.5nmから20nmの膜厚範囲で形成されていることが望ましい。
この構成によれば、例えば、機能層に最も近い透明導電膜の膜厚が、0.5nmよりも薄い状態で酸素の供給を開始すると、下地の機能層に酸素が侵入、酸化されて十分な発光効率、寿命を得られない。一方、機能層に最も近い透明導電膜の膜厚が、20nmよりも厚く成膜すると、機能層に最も近い透明導電膜は酸素を遮断した雰囲気下で成膜されているため電気抵抗が高く、機能層への電子の供給効率が低下し機能層の発光効率が低下してしまう。
上記の構成を実現するために、より具体的には、酸素を遮断した環境が、不活性ガスを満たした不活性ガス雰囲気であることが望ましい。
この構成によれば、不活性ガスを満たすことにより酸素を遮断した環境を作り出すことで、上記機能層に最も近い透明導電膜を形成する際に、機能層に与えられるダメージをより確実に防止することができる。
上記の構成を実現するために、より具体的には、不活性ガスがアルゴンガスであることが望ましい。
この構成によれば、不活性ガスにアルゴンを用いることにより、イオンプレーティング法により上記機能層に最も近い透明導電膜を形成する際に用いるプラズマを安定して発生させることができる。
上記の構成を実現するために、より具体的には、機能層に最も近い透明導電膜を、酸素を遮断した環境下で行うイオンプレーティング法により形成した後、酸素を含む不活性ガス雰囲気下でイオンプレーティング法により、さらに透明導電膜を形成することが望ましい。
この構成によれば、機能層に最も近い透明導電膜を、酸素を遮断した環境下で形成した後、酸素を含む不活性ガス雰囲気下で透明導電膜を形成しているため、機能層にダメージを与えることなく低抵抗で高透過率の透明導電膜を形成することができる。
つまり、機能層に最も近い透明導電膜が、次の透明導電膜形成の際における機能層に対する酸素などによるダメージを防止する保護層の役割を果たすことができる。また、酸素を含む不活性ガス雰囲気下で形成される透明導電膜は、低抵抗で高透過率なため明るい表示を実現することができる。さらに成膜速度が速いため、成膜スループットを向上させることができる。
上記の構成を実現するために、より具体的には、酸素を含む不活性ガス雰囲気下で形成した透明導電膜を形成するイオンプレーティング法の装置が、機能層に最も近い透明導電膜を形成するイオンプレーティング法の装置と同一の装置であることが望ましい。
この構成によれば、機能層に最も近い透明導電膜と、酸素を含む不活性ガス雰囲気下で形成する透明導電膜と、を同一のイオンプレーティング法の装置で形成している。そのため、上記2つの透明導電膜を形成する工程を連続して行うことができ、両工程の間に行われる基板の搬送などの工程を削減することができる。その結果、両透明導電膜の成膜スループットを向上させることができる。
上記の構成を実現するために、より具体的には、酸素を遮断した環境下で行うイオンプレーティング法により形成する透明導電層が、インジウム亜鉛酸化膜、インジウムセリウム酸化膜、ガリウム亜鉛酸化膜の少なくとも1つから形成されていることが望ましい。
この構成によれば、酸素を遮断した環境下で形成される透明導電膜が、外部から酸素を導入しなくても透明導電膜を形成できる蒸着材料である、インジウム亜鉛酸化膜(IZO)、インジウムセリウム酸化膜(ICO)、ガリウム亜鉛酸化膜(GZO)の少なくとも1つから形成されているため、より確実に酸素を遮断した環境下で透明導電膜を形成することができる。そのため、機能層に対する酸素などによるダメージを防止することができる。
ことができる。
本発明の有機EL装置は、上記本発明に記載の有機EL装置の製造方法により製造されたことを特徴とする有機EL装置。
すなわち、本発明の有機EL装置は、上記本発明の有機EL装置の製造方法により製造されているので、従来のAl蒸着カソードを用いた有機EL素子と略同等の特性を持つとともに、長寿命を実現することができる。
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明における第1の実施の形態について図1から図14を参照して説明する。なお、図1から図14において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材の縮尺は実際のものと異なるように表している。
図1は本実施形態のエレクトロルミネッセンス表示装置の一例である有機EL表示装置の配線構造を示す平面模式図である。
図1に示すように、本実施形態のエレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL装置)1には、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線されている。そして、走査線101と信号線102とにより区画された領域が画素領域として構成されている。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
各画素領域には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極111と、この画素電極111と陰極12との間に挟み込まれる機能層110とが設けられている。画素電極111と陰極12と機能層110により発光部Aが構成され、表示装置1は、この発光部Aをマトリクス状に複数備えて構成されている。
係る構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ123のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、さらに機能層110を介して陰極12に電流が流れる。機能層110は、これを流れる電流量に応じて発光する。
図2は本表示装置の平面模式図である。図3に、本表示装置における表示領域2aの断面構造を拡大した図を示す。
図3に示すように、本実施形態の表示装置1は、基板2上に回路素子部14と表示素子部10が順に積層され、この積層体の形成された基板面が封止部によって封止された構造を有する。表示素子部10は、発光層110bを含む発光素子部11と、発光素子部11上に形成された陰極(第2の電極)12とからなる。この陰極12及び封止部は透光性を有しており、本表示装置1は、発光層から発した表示光が封止部側から出射される、所謂トップエミッション型の表示装置として構成されている。
基板2には、透明基板(又は半透明基板)又は不透明基板のいずれを用いることもできる。透明又は半透明な基板としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特に、安価なソーダガラス基板が好適に用いられる。不透明な基板としては、例えばアルミナ等のセラミックやステンレススチール等の金属シートに表面酸化等の絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
また、基板2は、図2に示すように、中央に位置する表示領域2aと、基板2の周縁に位置して表示領域2aを囲む非表示領域2bとに区画されている。
表示領域2aは、マトリックス状に配置された発光部Aによって形成される領域であり、表示領域の外側に非表示領域2bが形成されている。そして、非表示領域2bには、表示領域2aに隣接するダミー表示領域2dが形成されている。
回路素子部14には、図2および図3に示すように、前述の走査線、信号線、保持容量、スイッチング用の薄膜トランジスタ、駆動用の薄膜トランジスタ123等が備えられており、表示領域2aに配置された各発光部Aを駆動するようになっている。
陰極12は、その一端が発光素子部11上から基板2上に形成された陰極用配線120に接続しており、この配線の一端部がフレキシブル基板5上の配線5aに接続されている。また、配線5aは、フレキシブル基板5上に備えられた駆動IC6(駆動回路)に接続されている。
また、回路素子部14の非表示領域2bには、前述の電源線103(103R、103G、103B)が配線されている。
また、表示領域2aの図2中両側には、前述の走査側駆動回路105、105が配置されている。この走査側駆動回路105、105はダミー領域2dの下側の回路素子部14内に設けられている。さらに回路素子部14内には、走査側駆動回路105、105に接続される駆動回路用制御信号配線105aと駆動回路用電源配線105bとが設けられている。さらに表示領域2aの図2中上側には検査回路106が配置されている。
封止部は、基板2に塗布された封止樹脂と、封止缶(封止部材)とから構成されている。
封止樹脂は、基板2と封止缶を接着する接着剤であり、例えばマイクロディスペンサ等により基板2の周囲に環状に塗布されている。この封止樹脂は、熱硬化樹脂あるいは紫外線硬化樹脂等からなり、特に、熱硬化樹脂の1種であるエポキシ樹脂よりなることが好ましい。また、この封止樹脂には酸素や水分を通しにくい材料が用いられており、基板2と封止缶の間から封止缶内部への水又は酸素の侵入を防いで、陰極12または発光素子部11内に形成された発光層110bの酸化を防止するようになっている。
ガラスや樹脂等の透光性部材からなる封止缶は、その内側に表示素子10を収納する凹部が設けられており、封止樹脂を介して基板2に接合されている。なお、封止缶の内面側には、必要に応じて、非表示領域2bに対応する領域に、酸素や水分を吸収又は除去するゲッター材を設けることができる。このゲッター材としては、例えば、Li、Na、Rb、Cs等のアルカリ金属、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等を好適に用いることができる。
この表示装置1は、基板2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14と、画素電極(第1の電極)111と、発光層110bを含む機能層110が形成された発光素子部11と、陰極12とが順次積層されて構成されている。
回路素子部14には、基板2上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜2cが形成され、この下地保護膜2c上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜141が形成されている。なお、半導体膜141には、ソース領域141a及びドレイン領域141bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。また、Pが導入されなかった部分がチャネル領域141cとなっている。
また、回路素子部14には、下地保護膜2c及び半導体膜141を覆うゲート絶縁膜142が形成されている。そして、このゲート絶縁膜142上には、半導体膜141のチャネル領域141cに対応する位置に、Al、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極143(走査線101)が形成されている。そして、半導体膜141、ゲート絶縁膜142、ゲート電極143により薄膜トランジスタ123が構成されている。
また、ゲート電極143及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁膜144aと第2層間絶縁膜144bが形成されており、この第1、第2層間絶縁膜144a、144bには、絶縁膜144a、144bを貫通して半導体膜141のソース、ドレイン領域141a、141bにそれぞれ接続されるコンタクトホール145、146が形成されている。コンタクトホール145は画素電極に接続されており、このコンタクトホール145を介して画素電極111と半導体のソース領域141aが電気的に接続されている。また、コンタクトホール146は電源線103に接続されており、このコンタクトホール146を介して、電源線103から画素信号が供給されるようになっている。
以上により駆動用の回路が構成されている。なお、回路素子部14には、前述した保持容量cap及びスイッチング用の薄膜トランジスタ142も形成されているが、図3ではこれらの図示を省略している。
画素電極111は、第2層間絶縁膜144b上に平面視略矩形にパターニングされて形成されており、表示領域2a内にマトリクス状に複数配置されている。
この画素電極111には、例えばアルミニウム(Al)膜や銀(Ag)膜等の高反射率の金属膜が用いられており、基板2側に発した光を封止部3側に効率的に出射させるようになっている。
なお、画素電極111は、例えばAl膜の層厚が100nmから500nmの範囲となるように形成され、Al膜の上にITOを層厚が50nmから200nmの範囲となるように積層して形成してもよい。
発光素子部11は、複数の画素電極111上の各々に積層された機能層110と、各画素電極111及び機能層110の間に備えられて各機能層110を仕切るバンク層112とを主体として構成されている。機能層110上には陰極12が配置されており、これら画素電極111、機能層110及び陰極12によって発光部Aが構成されている。
なお、バンク層112と第2層間絶縁膜144bとの間に、隣り合う画素電極111を絶縁するとともに、これを保護するために、絶縁保護膜を配置してもよい。絶縁保護膜としては、例えばCVD法やスパッタリング法によりシリコン酸化膜を1μmの厚さに形成することができる。
バンク層112は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストからなり、画素電極111の形成位置に対応して開口部112dが形成されている。
なお、バンク層112に仕切られた各領域において、画素電極111の電極面111aは酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液処理されており、親液性を示す。一方、開口部112dの壁面及びバンク層112の上面112fは、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液処理)されており、撥液性を示す。
なお、蒸着法により正孔注入/輸送層110aおよび発光層110bを形成する場合にはバンク層112の形成を省略してもよい。バンク層112は、インクジェット法により正孔注入/輸送層110aおよび発光層110bを形成する場合に必要なものであるので、蒸着法でこれらの層を形成する場合には必要とならない。
機能層110は、画素電極111上に積層された正孔注入/輸送層110aと、正孔注入/輸送層110a上に隣接して形成された発光層110bと、この発光層110b上に隣接して形成された電子注入層110cとから構成されている。
正孔注入/輸送層110aは例えば5nmから50nmの層厚に形成され、正孔を発光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を有する。この正孔注入/輸送層形成材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。
また、電子注入層110cは例えば5nmから20nmの層厚に形成され、電子を発光層110bに注入する機能を有するとともに、電子を電子注入層110c内部において輸送する機能を有する。層厚が5nmよりも小さくなると電子注入効率を向上させる効果がなくなり、層厚が20nmよりも厚くなると内部抵抗が高くなり発光電圧が高くなってしまう。この電子注入層110cとしては、例えばバソクプロイン(BCP)とセシウムの共蒸着膜やMgとAgとの共蒸着、LiF/Ca/Alなどを好適に用いることができる。
このような正孔注入/輸送層110a、電子注入層110cを、それぞれ画素電極111と発光層110bの間、及び、陰極12と発光層110bとの間に設けることにより、発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。なお、正孔注入/輸送材料は、各色の発光層110b毎に異ならせてもよく、又、特定の色の発光層110bに対して正孔注入/輸送層110aを設けない構成とすることも可能である。
発光層110bは、赤色(R)に発光する赤色発光層110b1、緑色(G)に発光する緑色発光層110b2、及び青色(B)に発光する青色発光層110b3、の3種類を有し、各発光層110b1から110b3がストライプ配置されている。この発光層110bの材料としては、赤色発光層110b1としてシアノピリフェニレンビニレン、緑色発光層110b2およびとして青色発光層110b3ポリフェニレンビニレンなどを用いることができる。なお、上述した有機化合物以外の有機化合物を発光層110bの材料として用いることができる。
機能層110の電子注入層110cの上には陰極12が形成されている。陰極12は、電子注入層110cの上に形成された下層陰極(透明導電膜)12aと、下層陰極12aの上に形成された上層陰極(透明導電膜)12bとから構成されている。陰極12は画素電極111と対になって機能層110に電流を流す役割を果たしている。
下層陰極12aおよび上層陰極12bには、ITOからなる透光性材料が用いられており、下層陰極12aおよび上層陰極12bは発光素子11の全面に形成されている。下層陰極12aは外部から酸素の導入を遮断した雰囲気下で形成されていて、機能層110への酸素の侵入、つまり機能層110の酸化を防止する役割を果たしている。
上層陰極12aは外部から十分な酸素を導入した雰囲気下で形成されているため、低抵抗、高透過率の透明導電膜として形成されている。
この下層陰極12aの膜厚は、0.5nmから20nmの範囲内で形成されている。下層陰極12aの膜厚が0.5nmよりも薄いと、例えば上層陰極12bの成膜工程において用いられる酸素が下層陰極12aを透過して機能層110が酸化されて十分な発光効率、寿命を得ることができない。一方、下層陰極12aの膜厚が20nmよりも厚いと、下層陰極12aは酸素を遮断した雰囲気下で成膜されているため電気抵抗が高く、機能層110への電子の供給効率が低下し機能層110の発光効率が低下してしまう。
この構成によれば、下層陰極12aを、外部から酸素を導入しないで形成したITOからなる透明導電膜であるので、そのため、機能層110上に下層陰極12aを堆積させる際に、成膜雰囲気中の酸素分圧を従来よりも低く設定することができる。その結果、成膜中に下地となる機能層110が酸化されることを極力防止することができ、機能層110の発光効率の低下、寿命の低下を防止することができる。
さらに、上層陰極12bを、酸素を導入した雰囲気中で堆積させても、下層陰極12aにより機能層110が酸化されることを防止することができる。そのため、上層陰極12bの成膜時に十分な酸素を導入することができので、低抵抗の上層陰極12bを成膜することができ、機能層110の発光効率の低下、寿命の低下を防止して明るい表示を実現することができる。
次に、本実施形態の表示装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
本実施形態の表示装置1の製造方法は、例えば、(1)バンク部形成工程、(2)プラズマ処理工程(3)正孔注入/輸送層形成工程(第1液滴吐出工程を含む)、(4)発光層形成工程(第2液滴吐出工程を含む)、(5)電子注入層形成工程、(6)陰極形成工程、及び(7)封止工程とを具備して構成されている。なお、製造方法はこれに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
バンク層形成工程は、基板2の所定の位置に開口部112dを有するバンク層112を形成する工程である。以下に形成方法について説明する。
まず、図4に示すように、基板2上に走査線、信号線、薄膜トランジスタ123等の回路素子部14を有し、層間絶縁膜144a、144bの上に複数の画素電極111が形成された素子基板を準備する。
そして、この基板2上にアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィ技術により、画素電極111の配置された領域に開口部112dを形成する(図5参照)。
(2)プラズマ処理工程
プラズマ処理工程は、画素電極111の表面を活性化すること、さらにバンク層112の表面を表面処理する事を目的として行われる。特に活性化工程では、画素電極111上の洗浄、さらに仕事関数の調整を主な目的として行っている。さらに、画素電極111の表面の親液化処理、バンク層112表面の撥液化処理を行う。
(3)正孔注入/輸送層形成工程
発光素子形成工程では、画素電極111上に正孔注入/輸送層を形成する。
正孔注入/輸送層形成工程では、液滴吐出として、例えばインクジェット装置を用いて、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を電極面111a上に吐出する(第1液滴吐出工程)。そして、その後、乾燥処理及び熱処理を行い、画素電極111上に正孔注入/輸送層110aを形成する。
この正孔注入/輸送層形成工程を含めこれ以降の工程は、水、酸素の無い雰囲気とする事が好ましい。例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
インクジェットによる製造方法は以下の通りである。
図6に示すように、インクジェットヘッドH1に形成された複数のノズルから正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物110dを吐出する。ここではインクジェットヘッドを走査することにより各開口部112d内に組成物110dを充填しているが、基板2を走査することによっても可能である。さらに、インクジェットヘッドH1と基板2とを相対的に移動させることによっても組成物110dを充填させることができる。なお、これ以降のインクジェットヘッドH1を用いて行う工程では上記の点は同様である。
ここで用いる第1組成物110dとしては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用いることができる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
なお、正孔注入/輸送層形成材料は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各発光層110b1から110b3に対して同じ材料を用いても良く、発光層毎に変えても良い。
次に、図7に示すような乾燥工程を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させて正孔注入/輸送層形成材料を析出させる。この乾燥処理は、例えば窒素雰囲気中、室温で圧力を例えば133.3Pa(1Torr)程度にして行う。圧力が低すぎると第1組成物滴110dが突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上にすると、極性溶媒の蒸発速度が高まり、平坦な膜を形成する事ができない。
乾燥処理後は、窒素中、好ましくは真空中で200℃で10分程度加熱する熱処理を行うことで、正孔注入/輸送層110a内に残存する極性溶媒や水を除去することが好ましい。
このように形成された正孔注入/輸送層110aの大部分は、後の工程で塗布する発光層110bに溶け込むが、一部が正孔注入/輸送層110aと発光層110bの間に薄膜状に残存する。これにより、正孔注入/輸送層110aと発光層110bとの間のエネルギー障壁を下げて正孔の移動を容易にし、発光効率を向上させることができる。
(4)発光層形成工程
発光層形成工程は、表面改質工程、発光層形成材料吐出工程(第2液滴吐出工程)および乾燥工程、とからなる。
表面改質工程は、正孔注入/輸送層110aと発光層110bとの密着性や、成膜の均一性を高めるために行っている。つまり、発光層形成工程では、正孔注入/輸送層110aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層110aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。しかしその一方で、正孔注入/輸送層110aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層110a上に吐出しても、正孔注入/輸送層110aと発光層110bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層110bを均一に塗布できないおそれがある。
このため、非極性溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層110aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面改質工程を行うことが好ましい。
表面改質工程は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法またはディップ法により正孔注入/輸送層110a上に塗布した後に乾燥することにより行う。表面改質材としては、第2組成物の非極性溶媒と同一なものとして例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を例示でき、第2組成物の非極性溶媒に類するものとして例えば、トルエン、キシレン等を例示できる。
図8に、インクジェットによる吐出方法を示す。
次に、発光層形成工程として、インクジェット法(液滴吐出法)により、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層110a上に吐出し、その後乾燥処理して、正孔注入/輸送層110a上に発光層110bを形成する。
図8に示すように、インクジェットヘッドH5と基板2とを相対的に移動し、インクジェットヘッドH5に形成された吐出ノズルH6から各色(例えばここでは青色(B))発光層形成材料を含有する第2組成物110eを吐出する。
吐出の際には、開口部112d内に位置する正孔注入/輸送層110aに吐出ノズルを対向させ、インクジェットヘッドH5と基板2とを相対移動させながら、正孔注入/輸送層110a上に第2組成物を吐出する。吐出ノズルH6から吐出される液量は1滴当たりの液量が制御されている。
発光層形成材料としては、赤色発光層110b1としてシアノピリフェニレンビニレン、緑色発光層110b2およびとして青色発光層110b3ポリフェニレンビニレンなどを用いることができる。なお、上述した有機化合物以外の有機化合物を発光層110bの材料として用いることができる。
非極性溶媒としては、正孔注入/輸送層110aに対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。
このような非極性溶媒を発光層110bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層110aを再溶解させることなく第2組成物を塗布できる。
次に、第2の組成物を所定の位置に吐出し終わったら、吐出後の第2組成物滴110eを乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させる。これにより、発光層形成材料が析出し、図9に示すような青色(B)発光層110b3が形成される。なお、図9においては青に発光する発光層が1つのみ図示されているが、図2やその他の図より明らかなように本来は発光素子がマトリックス状に形成されたものであり、図示しない多数の発光層(青色に対応)が形成されている。
続けて、図10に示すように、前述した青色(B)発光層110b3の場合と同様の工程を用い、赤色(R)発光層110b1を形成し、最後に緑色(G)発光層110b2を形成する。
なお、発光層110bの形成順序は、前述の順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。
また、発光層の第2組成物の乾燥条件は、青色110b3の場合、例えば、窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度として5から10分行う条件とする。圧力が低すぎると第2組成物110eが突沸してしまうので好ましくない。また、温度を室温以上にすると、非極性溶媒の蒸発速度が高まり、発光層形成材料が上部開口部112d壁面に多く付着してしまうので好ましくない。
その他の乾燥の手段としては、遠赤外線照射法、高温窒素ガス吹付法等を例示できる。
このようにして、画素電極111上に正孔注入/輸送層110a及び発光層110bが形成される。
(5)電子注入層形成工程
電子注入層形成工程では、図11に示すように、発光層110b及びバンク層112の全面に、バソクプロイン(BCP)とセシウムの共蒸着膜からなる電子注入層110cを形成する。
電子注入層110cには、他にも例えばMgとAgとの共蒸着や、LiF/Ca/Alなどを用いることができ、蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱による発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。
(6)陰極形成工程
図12は、本実施の形態に係るイオンプレーティング法を用いた成膜装置の概略図である。
陰極形成工程では、成膜装置200を用いたイオンプレーティング法により、電子注入層110cの全面に、ITOからなる透明導電膜の下層陰極12aおよび上層陰極12bを連続して成膜する。
成膜装置200は、図12に示すように、アルゴンプラズマを発生させるプラズマ生成部210と、成膜を行う成膜部220と、電子注入層110cまで積層された基板2を搬送する基板搬送部230と、成膜部220内の気体を排気する排気部(図示せず)とから概略形成されている。
そして成膜部220には、機能層保護膜12aまたは陰極12の材料である蒸着材料223(ITO)を載置する台部221が配置され、台部221と対向する位置に電子注入層110cまで積層された基板2が搬送され、配置されている。プラズマ生成部210で生成されたアルゴンプラズマを台部221のITOに導入して、ITOを蒸発させて電子注入層110c上の全面に堆積させている。
なお、機能層保護膜12aを積層させる時には、蒸着材料223と基板2との間にはバイアスをかけていないため、蒸発した蒸着材料223は加速されること無く堆積し、積層される。蒸着材料223は加速されないため、蒸着材料223が堆積した膜、およびその下地となる電子注入層110cなどに対して与えるダメージを抑えることができる。
まず、図13に示すように、電子注入層110c上の全面にITOからなる下層陰極12aを成膜する場合には、台部221上に蒸着材料223としてITOを載置し、酸素を含まないアルゴンガス雰囲気下でITOを電子注入層110cの全面に堆積させて下層電極12aを成膜する。
成膜部220の内部は、排気部(図示せず)により吸引することで上述した圧力に減圧されている。
アルゴンガスはプラズマ生成部210に導入され、直流電源211によりアルゴンプラズマとされて、磁場発生コイル212および放電陽極213により台部221の蒸着材料223(ITO)へ導入される。ITOはアルゴンプラズマに加熱されて蒸発する。蒸発したITOはアルゴンガス雰囲気の中、電子注入層110c上に堆積し下層陰極12aを形成する。
下層陰極12aの成膜が終了すると、引き続き成膜部220に酸素を導入して下層陰極12a上に上層陰極12bを成膜する(図14参照)。
アルゴンガスはプラズマ生成部210に導入され、プラズマ生成部210においてアルゴンプラズマとなり、台部221の蒸着材料223(ITO)に導入される。ITOはアルゴンプラズマに加熱されて蒸発する。
酸素ガスは成膜部220のガス供給部222から内部に導入され、台部221から基板2の間を酸素を含んだアルゴンガス雰囲気を作り出す。蒸発したITOは酸素ガスと結びつき、O(酸素)を多く含んだ低抵抗、高透過率の上層陰極12bを下層陰極12aの上に形成する。
なお、下層陰極12aの膜厚は、0.5nm以上、20nm以下の範囲であることが好ましい。例えば、成膜量が0.5nmよりも薄い状態で、陰極12を成膜するために酸素の供給を開始した場合には、下地の機能層(本実施形態では電子注入層110c)が酸化され、十分な発光効率が得られない。一方、下層陰極12aを20nmよりも厚く成膜した場合には、下層陰極12aは酸素を遮断した雰囲気下で成膜されているため電気抵抗が高く、電子注入層110c(機能層110)への電子の供給効率が低下し機能層110の発光効率が低下してしまう。
なお、上述の実施の形態においては、同一の成膜装置200を用いてITOからなる下層陰極12aの成膜および上層陰極12bの成膜を連続して行う例に適応して説明したが、同一の成膜装置200を用いる例に限られることなく、下層陰極12aの成膜と上層陰極12bの成膜とを別々の成膜装置によって成膜することもできる。
(7)封止工程
封止工程は、発光素子が形成された基板2の前面に封止缶を配置し、基板2と封止缶の周縁部を封止樹脂により封止する工程である。この工程により基板2上に封止部を形成する。
封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好ましくない。また、封止缶の内面側には、酸素や水分を吸収又は除去するゲッター材を設けることが好ましい。このゲッター材は、例えば非表示領域2bに配置し、表示に影響を及ぼさないようにすることが望ましい。
さらに、図2、図3に例示した基板2の配線5aに陰極12を接続するとともに、駆動IC6に回路素子部14の配線を接続することにより、本実施形態の表示装置1が得られる。
したがって、本実施形態のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法によれば、下層陰極12aを、酸素を遮断した雰囲気下で行うイオンプレーティング法を用いてITOにより形成している。このため、下層陰極12aを積層させるときに、活性な酸素により機能層110が酸化されることを防止することができる。
また、下層陰極12aは、上層陰極12bを形成する時に導入される酸素が機能層110に侵入するのを防止することができる。そのため、機能層110が酸化されることを防止することができ、機能層110の発光効率の低下、寿命の低下を防止して明るい表示を実現することができる。
上層陰極12bを、酸素を成膜部220内に導入したイオンプレーティング法を用いてITOにより形成しているため、従来のAl蒸着カソードなどと比較しても遜色のない低抵抗、高透過率な透明導電膜として成膜することができる。また、成膜速度も従来のスパッタリング法によるITOの堆積などと比較しても遅くなく、成膜スループットの低下を防止することができる。
ITOからなる下層陰極12aの成膜工程および上層陰極12bの成膜工程を同一の成膜装置200を用いて連続して行うことができる。そのため、下層陰極12aおよび上層陰極12bの成膜工程の間にはさまれる基板の搬送などの工程を削減することができ、下層陰極12aおよび上層陰極12bの成膜スループットを向上させることができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明における第2の実施形態について図15から図16を参照して説明する。
本実施の形態におけるエレクトロルミネッセンス表示装置の基本構成は、第1の実施の形態と同様であるが、第1の実施の形態とは、陰極の構成が異なっている。よって、本実施の形態においては、図15および図16を用いて陰極周辺のみを説明し、薄膜トランジスタ等の説明を省略する。
図15に、本表示装置における表示領域2aの断面構造を拡大した図を示す。
機能層110の電子注入層110cの上には陰極12が形成されている。陰極12は画素電極111と対になって機能層110に電流を流す役割を果たしている。
陰極12には、IZO(インジウムジンクオキサイド)からなる透光性導電材料が用いられており、陰極12は発光素子11の全面に形成されている。下層陰極12aは外部から酸素の導入を遮断した雰囲気下で形成されていて、機能層110への酸素の侵入、つまり機能層110の酸化を防止する役割を果たしている。
なお、陰極12の形成に用いられる透明性導電材料は、IZOでもよいが、ICO(インジウムセリウムオキサイド)やGZO(ガリウムジンクオキサイド)でもよい。ICO、GZOもIZOと同様に外部から酸素の導入を遮断した雰囲気下で透明導電幕を形成することができる材料である。
この構成によれば、外部から酸素を導入しないで形成できるIZOからなる透明導電膜で陰極12aを形成しているので、機能層110上に陰極12を堆積させる際に、成膜雰囲気中の酸素分圧を従来よりも低く設定することができる。その結果、成膜中に下地となる機能層110が酸化されることを極力防止することができ、機能層110の発光効率の低下、寿命の低下を防止することができる。
次に、本実施形態の表示装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
本実施形態の表示装置1の製造方法は、例えば、(1)バンク部形成工程、(2)プラズマ処理工程(3)正孔注入/輸送層形成工程(第1液滴吐出工程を含む)、(4)発光層形成工程(第2液滴吐出工程を含む)、(5)電子注入層形成工程、(6)陰極形成工程、及び(7)封止工程とを具備して構成されている。この中で(6)陰極形成工程以外の工程は第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略し、(6)陰極形成工程についてのみ説明を行う。
(6)陰極形成工程
陰極形成工程では、図12に示す成膜装置200を用いたイオンプレーティング法により、電子注入層110cの全面に、IZOからなる透明導電膜の陰極12を成膜する。
成膜装置200の成膜部220には、陰極12の材料である蒸着材料223(IZO)を載置する台部221が配置され、台部221と対向する位置に電子注入層110cまで積層された基板2が搬送され、配置されている。プラズマ生成部210で生成されたアルゴンプラズマを台部221のIZOに導入して、IZOを蒸発させて電子注入層110c上の全面に堆積させている。
なお、陰極12を積層させる時には、蒸着材料223と基板2との間にはバイアスをかけていないため、蒸発した蒸着材料223は加速されること無く堆積し、積層される。蒸着材料223は加速されないため、蒸着材料223が堆積した膜、およびその下地となる電子注入層110cなどに対して与えるダメージを抑えることができる。
まず、図16に示すように、電子注入層110c上の全面にIZOからなる陰極12を成膜する場合には、台部221上に蒸着材料223としてIZOを載置し、酸素を含まないアルゴンガス雰囲気下でIZOを電子注入層110cの全面に堆積させて陰極12を成膜する。
成膜部220の内部は、排気部(図示せず)により吸引することで上述した圧力に減圧されている。
アルゴンガスはプラズマ生成部210に導入され、直流電源211によりアルゴンプラズマとされて、磁場発生コイル212および放電陽極213により台部221の蒸着材料223(IZO)へ導入される。IZOはアルゴンプラズマに加熱されてIZOとして蒸発する。蒸着材料223から蒸発したIZOは電子注入層110c上に堆積してIZOからなる陰極12を形成する。
なお、本実施の形態においては、成膜部220内に酸素などの気体を外部から導入しないため、ガス供給部222は常時閉とされている。また、ガス供給部222が設けられていない成膜装置を用いることもできる。
なお、陰極12をICOまたはGZOで形成する場合には、台部221に載置する蒸着材料223をIZOからICOまたはGZOに変えることで、陰極12をICOまたはGZOで形成することができる。また、これらの蒸着材料を用いて複数の透明導電膜を形成して陰極12を構成してもよい。
したがって、本実施形態のエレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法によれば、陰極12を形成する透明導電膜が、外部から酸素を導入しなくても透明導電膜を形成できる蒸着材料である、IZO、ICOまたはGZOの少なくとも1つから形成されている。そのため、より確実に酸素を遮断した環境下で透明導電膜を形成することができ、機能層110に対する酸素などによるダメージを防止することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、R、G、Bの各発光層110bをストライプ配置した場合について説明したが、本発明はこれに限られず、さまざまな配置構造を採用することができる。例えばストライプ配置の他、モザイク配置や、デルタ配置とすることもできる。
本発明の第1の実施形態の表示装置の配線構造を示す図である。 同、表示装置の平面図である。 同、表示装置の要部を示す断面図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 本実施の形態に係る成膜装置の概略図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。 本発明の第2の実施形態の表示装置の要部を示す断面図である。 同、表示装置の製造方法を説明する工程図である。
符号の説明
1・・・エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL装置)、 2・・・基板、 12・・・陰極(第2の電極)、 12a・・・下層陰極(透明導電膜)、 12b・・・上層陰極(透明導電膜)、 110・・・機能層、 110b・・・発光層、 111・・・画素電極(第1の電極)

Claims (8)

  1. 基板上に第1の電極と、少なくとも有機材料からなる発光層を有する機能層と、第2の電極と、をこの順に形成する有機EL装置の製造方法であって、
    前記機能層の上に少なくとも前記第2の電極として機能する層を備えた透明導電膜を形成し、
    前記機能層に最も近い前記透明導電膜を、酸素を遮断した環境下で行うイオンプレーティング法により形成していることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  2. 前記機能層に最も近い透明導電膜が0.5nmから20nmの膜厚範囲で形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造方法。
  3. 前記酸素を遮断した環境が、不活性ガスを満たした不活性ガス雰囲気であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置の製造方法。
  4. 前記不活性ガスがアルゴンガスであることを特徴とする請求項3記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 前記機能層に最も近い透明導電膜を、酸素を遮断した環境下で行うイオンプレーティング法により形成した後、
    酸素を含む不活性ガス雰囲気下でイオンプレーティング法により、さらに前記透明導電膜を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法。
  6. 前記酸素を含む不活性ガス雰囲気下で形成した透明導電膜を形成するイオンプレーティング法の装置が、前記機能層に最も近い透明導電膜を形成するイオンプレーティング法の装置と同一の装置であることを特徴とする請求項5記載の有機EL装置の製造方法。
  7. 酸素を遮断した環境下で行うイオンプレーティング法により形成する前記透明導電層が、インジウム亜鉛酸化膜、インジウムセリウム酸化膜、ガリウム亜鉛酸化膜の少なくとも1つから形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法により製造されたことを特徴とする有機EL装置。
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