以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に何ら限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
本実施形態における基準電圧発生回路は、ガンマ補正回路として用いることができる。このガンマ補正回路は、表示駆動回路に含まれる。表示駆動回路は、印加電圧によって光学特性を変化させる電気光学装置、例えば液晶装置の駆動に用いることができる。
以下では、液晶装置に本実施形態における基準電圧発生回路を適用する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、他の表示装置にも適用することができる。
1. 表示装置
図1に、本実施形態における基準電圧発生回路を含む表示駆動回路が適用された表示装置の構成の概要を示す。
表示装置(狭義には、電気光学装置、液晶装置)10は、表示パネル(狭義には、液晶パネル)20を含むことができる。
表示パネル20は、例えばガラス基板上に形成される。このガラス基板上には、Y方向に複数配列されそれぞれX方向に伸びる走査電極(ゲートライン)G1〜GN(Nは、2以上の自然数)と、X方向に複数配列されそれぞれY方向に伸びる信号電極(ソースライン)S1〜SM(Mは、2以上の自然数)とが配置されている。また、走査電極Gn(1≦n≦N、nは自然数)と信号電極Sm(1≦m≦M、mは自然数)との交差点に対応して、画素領域(画素)が設けられ、該画素領域に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと略す。)22nmが配置されている。
TFT22nmのゲート電極は、走査電極Gnに接続されている。TFT22nmのソース電極は、信号電極Smに接続されている。TFT22nmのドレイン電極は、液晶容量(広義には液晶素子)24nmの画素電極26nmに接続されている。
液晶容量24nmにおいては、画素電極26nmに対向する対向電極28nmとの間に液晶が封入されて形成され、これら電極間の印加電圧に応じて画素の透過率が変化するようになっている。対向電極28nmには、対向電極電圧Vcomが供給される。
表示装置10は、信号ドライバIC30を含むことができる。信号ドライバIC30として、本実施形態における表示駆動回路を用いることができる。信号ドライバIC30は、画像データに基づいて、表示パネル20の信号電極S1〜SMを駆動する。
表示装置10は、走査ドライバIC32を含むことができる。走査ドライバIC32は、一垂直走査期間内に、表示パネル20の走査電極G1〜GNを順次駆動する。
表示装置10は、電源回路34を含むことができる。電源回路34は、信号電極の駆動に必要な電圧を生成し、信号ドライバIC30に対して供給する。また電源回路34は、走査電極の駆動に必要な電圧を生成し、走査ドライバIC32に対して供給する。更に電源回路34は、対向電極電圧Vcomを生成することができる。
表示装置10は、コモン電極駆動回路36を含むことができる。コモン電極駆動回路36は、電源回路34によって生成された対向電極電圧Vcomが供給され、該対向電極電圧Vcomを表示パネル20の対向電極に出力する。
表示装置10は、信号制御回路38を含むことができる。信号制御回路38は、図示しない中央処理装置(Central Processing Unit:以下、CPUと略す。)等のホストにより設定された内容にしたがって、信号ドライバIC30、走査ドライバIC32、電源回路34を制御する。例えば、信号制御回路38は、信号ドライバIC30及び走査ドライバIC32に対し、動作モードの設定、内部で生成した垂直同期信号や水平同期信号の供給を行い、電源回路34に対し、極性反転タイミングの制御を行う。
なお図1では、表示装置10に電源回路34、コモン電極駆動回路36又は信号制御回路38を含めて構成するようにしているが、これらのうち少なくとも1つを表示装置10の外部に設けて構成するようにしてもよい。或いは、表示装置10に、ホストを含めるように構成することも可能である。
また図1において、信号ドライバIC30の機能を有する表示駆動回路、及び走査ドライバIC32の機能を有する走査電極駆動回路のうち少なくとも1つを表示パネル20が形成されたガラス基板上に、形成するようにしてもよい。
このような構成の表示装置10において、信号ドライバIC30は、階調データに基づく階調表示を行うため、当該階調データに対応した電圧を信号電極に出力するようになっている。信号ドライバIC30は、信号電極に出力する電圧を、階調データに基づいてガンマ補正する。そのため、信号ドライバIC30は、ガンマ補正を行う基準電圧発生回路(狭義には、ガンマ補正回路)を含む。
一般に、表示パネル20は、その構造や用いられる液晶材に応じて階調特性が異なる。すなわち、液晶に印加すべき電圧と画素の透過率との関係が一定とはならない。そこで、階調データに応じて液晶に印加すべき最適な電圧を生成するために、基準電圧発生回路によりガンマ補正が行われる。
階調データに基づいて選択されて出力される電圧を最適化するため、ガンマ補正では、ラダー抵抗により生成される多値の電圧を補正する。そのとき、表示パネル20の製造メーカ等から指定された電圧を生成するように、ラダー抵抗を構成する抵抗回路の抵抗比が決められる。
このようなガンマ補正によれば、駆動対象の表示パネルに最適な電圧を用いて駆動することができる一方、駆動対象の表示パネルごとにラダー抵抗を構成する各抵抗回路の抵抗比を変えて基準電圧発生回路により発生される電圧を変更する必要が生ずる。そのため、駆動対象の表示パネルの種類が異なると、基準電圧発生回路を含む表示駆動回路をも変える必要がある。したがって、表示駆動回路を汎用化することができず、より一層の低コスト化を図ることができなかった。
そこで本実施形態では、駆動対象の表示パネルの種類にかかわらず、汎用的に用いることができる基準電圧発生回路と、これを用いた表示駆動回路を提供する。
以下では、上述の基準電圧発生回路を含む表示駆動回路が適用された信号ドライバIC30について説明する。
2. 信号ドライバIC
図2に、本実施形態における基準電圧発生回路を含む表示駆動回路が適用された信号ドライバIC30の機能ブロック図を示す。
信号ドライバIC30は、入力ラッチ回路40、シフトレジスタ42、ラインラッチ回路44、ラッチ回路46、基準電圧選択回路(狭義には、ガンマ補正回路)48、DAC(Digital/Analog Converter)(広義には、電圧選択回路)50、ボルテージフォロワ回路(広義には、信号電極駆動回路)52を含む。
入力ラッチ回路40は、図1に示す信号制御回路38から供給される例えば各6ビットのRGB信号からなる階調データを、クロック信号CLKに基づいてラッチする。クロック信号CLKは、信号制御回路38から供給される。
入力ラッチ回路40でラッチされた階調データは、シフトレジスタ42において、クロック信号CLKに基づき順次シフトされる。シフトレジスタ42で順次シフトされて入力された階調データは、ラインラッチ回路44に取り込まれる。
ラインラッチ回路44に取り込まれた階調データは、ラッチパルス信号LPのタイミングでラッチ回路46にラッチされる。ラッチパルス信号LPは、水平走査周期で入力される。
基準電圧発生回路48は、駆動対象の表示パネルの階調表現が最適化されるように決められたラダー抵抗の抵抗比を用いて、高電位側の電源電圧(第1の電源電圧)V0と低電位側の電源電圧(第2の電源電圧)VSSとの間で抵抗分割された分割ノードにおいて発生した多値の基準電圧V0〜VY(Yは、自然数)を出力する。
図3に、ガンマ補正の原理を説明するための図を示す。
ここでは、液晶の印加電圧に対する画素の透過率の変化を示す階調特性の図を模式的に示す。画素の透過率を0%〜100%(又は100%〜0%)で示すと、一般に液晶の印加電圧が小さくなるほど又は大きくなるほど、透過率の変化が小さくなる。また液晶の印加電圧が中間付近の領域では、透過率の変化が大きくなる。
そこで上述の透過率の変化と逆の変化を行うようなガンマ(γ)補正を行うことで、印加電圧に応じてリニアに変化するガンマ補正された透過率を実現させることができる。したがって、ディジタルデータである階調データに基づき、最適化された透過率を実現する基準電圧Vγを生成することができる。すなわち、このような基準電圧が生成されるようにラダー抵抗の抵抗比を実現すればよい。
図2における基準電圧発生回路48で生成された多値の基準電圧V0〜VYは、DAC50に供給される。
DAC50は、ラッチ回路46から供給された階調データに基づいて、多値の基準電圧V0〜VYのいずれかの電圧を選択して、ボルテージフォロワ回路52に出力する。
ボルテージフォロワ回路52は、インピーダンス変換を行って、DAC50から供給された電圧に基づいて信号電極を駆動する。
このように信号ドライバIC30は、信号電極ごとに、階調データに基づいて多値の基準電圧の中から選択した電圧を用いて、インピーダンス変換を行って出力する。
図4に、ボルテージフォロワ回路52の構成の概要を示す。
ここでは、1出力当たりの構成のみを示す。
ボルテージフォロワ回路52は、演算増幅器60、第1及び第2のスイッチング素子Q1、Q2を含む。
演算増幅器60は、ボルテージフォロワ接続されている。すなわち、演算増幅器60の出力端子が反転入力端子に接続されて、負帰還が構成されている。
演算増幅器60の非反転入力端子には、図2に示すDAC50で選択された基準電圧Vinが入力される。演算増幅器60の出力端子は、第1のスイッチング素子Q1を介して、駆動電圧Voutが出力される信号電極に接続される。当該信号電極は、第2のスイッチング素子Q2を介して、演算増幅器60の非反転入力端子にも接続されている。
コントロール信号発生回路62は、第1及び第2のスイッチング素子Q1、Q2のオンオフ制御を行うための制御信号VFcntを生成する。このようなコントロール信号発生回路62は、1又は複数の信号電極ごとに設けることができる。
第2のスイッチング素子Q2は、制御信号VFcntによりオンオフ制御される。第1のスイッチング素子Q1は、制御信号VFcntが入力されたインバータ回路INV1の出力信号によりオンオフ制御される。
図5に、ボルテージフォロワ回路52の動作タイミングの一例を示す。
コントロール信号発生回路62により生成された制御信号VFcntは、ラッチパルス信号LPにより規定される選択期間(駆動期間)tの前半期間(駆動期間の初めの所与の期間)t1と後半期間t2で論理レベルが変化する。すなわち、前半期間t1で制御信号VFcntの論理レベルが「L」になると、第1のスイッチング素子Q1がオン、第2のスイッチング素子Q2がオフとなる。また、後半期間t2で制御信号VFcntの論理レベルが「H」になると、第1のスイッチング素子Q1がオフ、第2のスイッチング素子Q2がオンとなる。したがって、選択期間tにおいて、前半期間t1ではボルテージフォロワ接続された演算増幅器60によりインピーダンス変換されて信号電極が駆動され、後半期間t2ではDAC50から出力された基準電圧を用いて信号電極が駆動される。
このように駆動することで、液晶容量や配線容量等の充電に必要な前半期間t1では、高い駆動能力を有するボルテージフォロワ接続された演算増幅器60により高速に駆動電圧Voutを立ち上げ、高い駆動能力が不要な後半期間t2では、DAC50により駆動電圧を出力することができる。したがって、電流消費が大きい演算増幅器60の動作期間を最低限に抑え、低消費化を図ることができるとともに、ライン数の増加によって選択期間tが短くなり充電期間が足りなくなるといった事態を回避することができる。
図2における基準電圧発生回路48は、駆動対象の表示パネルの階調特性に着目して、ラダー抵抗を構成する各抵抗回路を全て可変にすることなく、その一部の抵抗回路のみ可変制御できるように構成される。これにより、ラダー抵抗の回路規模や制御線の配線、或いは制御自体が簡素化される。。特に多階調化が進むのに伴い、発生すべき基準電圧の多値化が予想されるため、できるだけラダー抵抗の回路規模を増大させることなく、かつ表示パネルに依存せずに汎用化できることが望ましい。
更に基準電圧発生回路48は、マスク変更等による配線切替で可変制御を行うのではなく、ユーザからの所与のコマンド又は外部入力端子からの可変制御信号に基づいて、上述のラダー抵抗の可変制御を行う。これにより、信号ドライバIC30を、表示パネルの種類に関わらず汎用的に用いることができる。
次に、基準電圧発生回路48について詳細に説明する。
3. 基準電圧発生回路
図6に、本実施形態における基準電圧発生回路48の構成の概要を示す。
ここでは、本実施形態における基準電圧発生回路48の他に、DAC50と、ボルテージフォロワ回路52とを併せて図示している。
基準電圧発生回路48は、高電位側の電源電圧(第1の電源電圧)V0が供給される第1の電源線と低電位側の電源電圧(第2の電源電圧)VSSが供給される第2の電源線との間に接続されたラダー抵抗により、多値の基準電圧V0〜VYを出力する。より具体的には、基準電圧発生回路48は、第1〜第3のラダー抵抗回路70、72、74を含む。第1のラダー抵抗回路70は、その両端部の抵抗値が可変の可変抵抗回路を少なくとも1つ含み、多値の電圧を出力する。第2のラダー抵抗回路72は、抵抗値が固定の複数の抵抗回路が直列接続され、複数の電圧を出力する。第3のラダー抵抗回路74は、その両端部の抵抗値が可変の可変抵抗回路を少なくとも1つ含み、多値の電圧を出力する。
第1〜第3のラダー抵抗回路70、72、74は、第1及び第2の電源線の間に直列接続される。より具体的には、一端が第1の電源線に接続された第1のラダー抵抗回路70の他端には、第2のラダー抵抗回路72の一端が接続される。第2のラダー抵抗回路72の他端には、第3のラダー抵抗回路74の一端が接続され、第3のラダー抵抗回路74の他端には第2の電源線が接続される。第1のラダー抵抗回路70は、ラダー抵抗を構成する各抵抗回路の両端の電圧を多値の基準電圧として出力する。第2のラダー抵抗回路72は、ラダー抵抗を構成する各抵抗回路の両端の電圧を多値の基準電圧として出力する。第3のラダー抵抗回路74は、ラダー抵抗を構成する各抵抗回路の両端の電圧を多値の基準電圧として出力する。
第1のラダー抵抗回路70に含まれる可変抵抗回路は、例えばユーザから指定された第1のコマンド又は所与の外部入力端子を介して入力された第1の可変制御信号に基づいて抵抗値の可変制御が行われる。第3のラダー抵抗回路74に含まれる可変抵抗回路は、例えばユーザから指定された第2のコマンド又は所与の外部入力端子を介して入力された第2の可変制御信号に基づいて抵抗値の可変制御が行われる。第1及び第3のラダー抵抗回路70、74には、抵抗値が固定の抵抗回路が含まれていてもよいし、全てが可変抵抗回路で構成されていてもよく、少なくとも1つの可変抵抗回路を含んで構成されていればよい。可変抵抗回路は、抵抗素子や、抵抗素子とスイッチ素子等により実現することができる。
第1及び第2のコマンドは、同一のコマンドであってもよいし、別個に指定されるコマンドであってもよい。第1及び第2の可変制御信号は、同一の制御信号であってもよいし、別個に入力される制御信号であってもよい。
このように基準電圧発生回路48は、第1及び第2の電源線の間に接続されたラダー抵抗のうち、第1及び第2の電源電圧に近い基準電圧を生成するための抵抗回路のみを可変制御する構成となっていることを特徴とする。そのため、ラダー抵抗を構成する全抵抗回路について可変制御を行う必要がなくなるため、制御が容易となり、かつ回路規模の増大を防ぐことができる。
基準電圧発生回路48によって生成された多値の基準電圧V0〜VYは、DAC50に供給される。DAC50は、基準電圧の出力ノードごとに設けられたスイッチ回路を有する。各スイッチ回路は、図2に示すラッチ回路46から供給された階調データに基づいて択一的にオン制御される。DAC50は、このようにして選択した電圧を、出力電圧Vinとしてボルテージフォロワ回路52に出力する。
3.1 階調特性
図7に、階調特性について説明するための図を示す。
一般に表示パネル、特に液晶パネルは、その構造や液晶材によって階調特性が異なる。したがって、液晶に印加すべき電圧と画素の透過率との関係が一定とはならないことが知られている。図7に示すように、電源電圧が5V系の第1の液晶パネルと、電源電圧が3V系の第2の液晶パネルとを例に挙げると、画素の透過率の変化が大きい能動領域で動作する印加電圧の範囲が異なる。そのため、第1及び第2の液晶パネルそれぞれ別個に、最適な階調表現を実現する電圧に補正するため、ラダー抵抗の抵抗比を決める必要がある。ここで、ラダー抵抗の抵抗比とは、第1及び第2の電源線の間に直列接続されるラダー抵抗の総抵抗値に対する、各抵抗回路の抵抗値の比をいう。
図8に、第1及び第2の液晶パネルにおいて、階調値に応じて最適化された基準電圧を示す。
ここでは、64階調の各階調値について最適化された基準電圧を、電源電圧を基準とした相対値比で示しており、階調値が最大のとき基準電圧の相対値が「100」になる。図8に示すように、液晶パネルに依存して、補正された基準電圧が異なる。
そこで本願出願人は、抵抗値比に着目して解析を進めた結果、以下の通りであることがわかった。ここで抵抗値比とは、ラダー抵抗が直列接続された第1〜第P(Pは、正の整数)の抵抗回路により構成されているものとすると、第1の液晶パネルについて最適化された基準電圧を生成する第L(1≦L≦P、Lは正の整数)の抵抗回路の抵抗値を第1の抵抗値、第2の液晶パネルについて最適化された基準電圧を生成する第Lの抵抗回路の抵抗値を第2の抵抗値とした場合、第2の抵抗値に対する第1の抵抗値の比をいう。
図9に、階調値と第1及び第2の液晶パネルの抵抗値比との関係を示す。
ここでは、64階調分の基準電圧を生成するために必要な63個の抵抗値比について示している。抵抗値比に着目すると、高電位側の電源電圧及び低電位側の電源電圧に近い基準電圧を生成する部分80、82では抵抗値比が高くなるが、中間調の部分84の抵抗値比はほぼ「1」であることがわかる。抵抗値比がほぼ「1」の場合、当該階調値に対応した基準電圧を生成するための抵抗値が同等であることを示す。
更に、高電位側の電源電圧及び低電位側の電源電圧に近い基準電圧を生成する部分80、82の両端4階調分を削除した場合には、図10に示すように、中間調の基準電圧を生成するための抵抗値はほぼ「1」となることがより顕著となり、中間調の基準電圧を生成するための抵抗回路を共用できることを意味する。
そこで、図8に示す第1及び第2の液晶パネルについて、高電位側の電源電圧及び低電位側の電源電圧に近い基準電圧を生成する部分80、82の両端4階調分を削除した場合の階調特性は、図12に示すように中間調においてほぼ一致することが判明した。
したがって、ガンマ補正を行うためのラダー抵抗の高電位側及び低電位側の電源電圧に近い数個(例えば4個)ずつの抵抗回路の抵抗値のみを調整することで、異なる種類の液晶パネルに対し最適なガンマ補正を行うことができる基準電圧発生回路を提供することができる。すなわち、ラダー抵抗を構成する全抵抗回路について可変制御を行う必要がない。
そこで、図6に示すように、本実施形態における基準電圧発生回路48は、第1及び第3のラダー抵抗回路70、74のみを可変制御し、中間調の基準電圧を生成するための第2のラダー抵抗回路72では抵抗値が固定の抵抗回路のみにより構成する。
なお、第2のラダー抵抗回路72を構成する各抵抗回路は、抵抗値比がほぼ「1」の場合のみならず抵抗値比が「2」以下であれば、階調特性を損なうことなく、汎用的な基準電圧発生回路を提供することができる。
図12に、基準電圧発生回路48が適用された信号ドライバIC30の具体的な構成の一例を示す。
ここでは基準電圧発生回路48が、M本の信号電極の駆動に共用化されている場合を示している。すなわち、M本の信号電極S1〜SMそれぞれについて、DAC50-1〜50-M、ボルテージフォロワ回路52-1〜52-Mを有している。
DAC50-1〜DAC50-Mは、各信号電極に対応する階調データに基づいて、多値の基準電圧の中から1つの基準電圧を選択する。DAC50-1〜50-Mに供給される多値の基準電圧は、基準電圧発生回路48で生成される。基準電圧発生回路48は、第1〜第3のラダー抵抗回路70、72、74を含む。第1及び第3のラダー抵抗回路70、74は、ユーザからのコマンド又は外部入力端子を介して入力された可変制御信号により、ラダー抵抗を構成する抵抗回路の抵抗値が可変制御される。このように構成することで、信号電極数が増加しても、基準電圧発生回路48による回路規模の増大を抑える効果は顕著となる。
3.2 ラダー抵抗の可変制御の例
図7に示す階調特性において、所与の透過率tr1、tr2の範囲の透過率の変化の大きい領域を能動領域、それ以外を第1及び第2の非能動領域とする。能動領域は、中間調の階調値に応じた電圧が印加される領域である。第1の非能動領域を、液晶の印加電圧が大きいとき透過率が変化する領域とし、第2の非能動領域を、液晶の印加電圧が小さいとき透過率が変化する領域とする。
所与の液晶パネルにおいて、透過率tr2を得るための印加電圧をVA、透過率tr1を得るための印加電圧をVA´(第1の液晶パネルの場合VA=VA1、VA´=VA1´で、第2の液晶パネルの場合VA=VA2、VA´=VA2´)とした場合、第1及び第2の電源電圧の電圧差をVDIFとしたときに、(VDIF−VA)/VDIFが大きいほど、第1及び第3のラダー抵抗回路70、74で可変制御される可変抵抗回路の抵抗値を大きくし、(VDIF−VA)/VDIFが小さいほど、第1及び第3のラダー抵抗回路70、74で可変制御される可変抵抗回路の抵抗値を小さくする。
例えば図8に示す第1の液晶パネルの場合に第1及び第3のラダー抵抗回路70、74で可変制御される可変抵抗回路の抵抗値を、第2の液晶パネルの場合に第1及び第3のラダー抵抗回路70、74で可変制御される可変抵抗回路の抵抗値より大きくする。
また上述の能動領域が、図9に示す抵抗値比が2以下となることが望ましい。すなわち第2のラダー抵抗回路72では、抵抗値比が2以下となる抵抗回路が直列接続されるように構成することが望ましい。そして、その両端の階調値に対応した基準電圧を生成する第1及び第2のラダー抵抗回路70、74の可変抵抗回路については、上述のように可変制御する。
例えば、以上のように可変制御を行うことによって、図6に示す構成の基準電圧発生回路48を含む信号ドライバIC30を、駆動対象の表示パネルに関わらず汎用的に用いることができるようになる。
3.3 ラダー抵抗の構成
基準電圧発生回路48において上述のように可変制御される第1及び第3のラダー抵抗回路70、74は、例えば以下のように構成することができる。以下では、第1のラダー抵抗回路70の構成例について説明するが、第3のラダー抵抗回路74も同様に構成することができる。
3.3.1 第1の構成例
図13(A)、(B)、(C)に、第1のラダー抵抗回路70の第1の構成例を示す。
ここでは第1のラダー抵抗回路70は、図13(A)に示すように例えば直列接続された可変抵抗回路VR0〜VR3を含むもののとする。
可変抵抗回路は、図13(B)に示すように、スイッチ回路(スイッチ素子)と抵抗回路(抵抗素子)とが直列接続された抵抗切替回路を並列接続して構成することができる。この場合、並列接続された抵抗切替回路のスイッチ回路では、コマンド若しくは外部入力端子を介して入力される可変制御信号に基づいて、少なくとも1つがオンとなるように制御される。
例えば可変抵抗回路VR0は、抵抗切替回路90-01〜90-04を並列接続して構成することができる。可変抵抗回路VR1は、抵抗切替回路90-11〜90-14を並列接続して構成することができる。可変抵抗回路VR2は、抵抗切替回路90-21〜90-24を並列接続して構成することができる。可変抵抗回路VR3は、抵抗切替回路90-31〜90-34を並列接続して構成することができる。
また図13(C)に示すように、可変抵抗回路において並列接続された抵抗切替回路に対し、更に抵抗回路を並列接続するようにしてもよい。
例えば可変抵抗回路VR0は、抵抗切替回路90-01〜90-04と並列に、抵抗回路92-0を接続して構成することができる。可変抵抗回路VR1は、抵抗切替回路90-11〜90-14と並列に抵抗回路92-1を接続して構成することができる。可変抵抗回路VR2は、抵抗切替回路90-21〜90-24と並列に抵抗回路92-2を接続して構成することができる。可変抵抗回路VR3は、抵抗切替回路90-31〜90-34と並列に抵抗回路92-3を接続して構成することができる。
この場合、並列接続された抵抗切替回路のスイッチ回路が少なくとも1つがオンとなるように制御する必要がなくなるので、誤って設定されてオープンとなる状態を回避したり、或いは当該状態を回避する回路を設ける必要がなくなり、構成又は制御が簡素化される。
このような構成において、各抵抗切替回路のスイッチ回路は、コマンド若しくは外部入力端子を介して入力される可変制御信号に基づいて、オンオフ制御される。
3.3.2 第2の構成例
図14に、第1のラダー抵抗回路70の第2の構成例を示す。
ここでは第1のラダー抵抗回路70は、図13(A)に示すように例えば直列接続された可変抵抗回路VR0〜VR3を含むもののとする。
可変抵抗回路は、図14に示すように、抵抗回路とスイッチ回路とが並列に接続された抵抗切替回路を直列接続して構成することができる。この場合、抵抗切替回路のスイッチ素子は、コマンド若しくは外部入力端子を介して入力される可変制御信号に基づいて、オンオフ制御される
例えば可変抵抗回路VR0は、抵抗切替回路94-01〜94-04を直列接続して構成することができる。可変抵抗回路VR1は、抵抗切替回路94-11〜94-14を直列接続して構成することができる。可変抵抗回路VR2は、抵抗切替回路94-21〜94-24を直列接続して構成することができる。可変抵抗回路VR3は、抵抗切替回路94-31〜94- 34を直列接続して構成することができる。
このような構成において、各抵抗切替回路のスイッチ回路は、コマンド若しくは外部入力端子を介して入力される可変制御信号に基づいて、オンオフ制御される。
3.3.3 第3の構成例
図15に、第1のラダー抵抗回路70の第3の構成例を示す。
ここでは第1のラダー抵抗回路70は、図13(A)に示すように例えば直列接続された可変抵抗回路VR0〜VR3を含むもののとする。
可変抵抗回路VR0では、第1の電源線と分割ノードND1との間に、直列に接続されたスイッチ回路(スイッチ素子)SWA及び抵抗回路R01が挿入されている。分割ノードND1と基準電圧V1の出力ノードとの間には、スイッチ回路SW11が挿入されている。また可変抵抗回路VR0では、第1の電源線とノードND1Bとの間に、直列に接続されたスイッチ回路SWB及び抵抗回路R02が挿入されている。ノードND1Bと基準電圧V1との間には、スイッチ回路SW12が挿入されている。更に可変抵抗回路VR0では、第1の電源線とノードND1Cとの間に、直列に接続されたスイッチ回路SWC及び抵抗回路R03が挿入されている。ノードND1Cと基準電圧V1の出力ノードとの間には、スイッチ回路SW13が挿入されている。
可変抵抗回路VR1では、分割ノードND1と分割ノードND2との間に、抵抗回路R11が挿入されている。分割ノードND2と基準電圧V2の出力ノードとの間には、スイッチ回路SW21が挿入されている。また可変抵抗回路VR1では、ノードND1BとノードND2Bとの間に、抵抗回路R12が挿入されている。ノードND2Bと基準電圧V2の出力ノードとの間には、スイッチ回路SW22が挿入されている。更に可変抵抗回路VR1では、ノードND1CとノードND2Cとの間に、抵抗回路R13が挿入されている。ノードND2Cと基準電圧V2の出力ノードとの間には、スイッチ回路SW23が挿入されている。
可変抵抗回路VR2では、分割ノードND2と分割ノードND3との間に、抵抗回路R21が挿入されている。分割ノードND3と基準電圧V3の出力ノードとの間には、スイッチ回路SW31が挿入されている。また可変抵抗回路VR2では、ノードND2BとノードND3Bとの間に、抵抗回路R22が挿入されている。ノードND3Bと基準電圧V3の出力ノードとの間には、スイッチ回路SW32が挿入されている。更に可変抵抗回路VR2では、ノードND2CとノードND3Cとの間に、抵抗回路R23が挿入されている。ノードND3Cと基準電圧V3の出力ノードとの間には、スイッチ回路SW33が挿入されている。
可変抵抗回路VR3では、分割ノードND3と基準電圧V4の出力ノードとの間に、抵抗回路R31が挿入されている。また可変抵抗回路VR3では、ノードND3Bと基準電圧V4の出力ノードとの間に、抵抗回路R32が挿入されている。更に可変抵抗回路VR3では、ノードND3Cと基準電圧V4の出力ノードとの間に、抵抗回路R33が挿入されている。
このような構成において、スイッチ回路SWA、SWB、SWC、SW11〜SW13、SW21〜SW23、SW31〜SW33は、コマンド若しくは外部入力端子を介して入力される可変制御信号に基づいて、オンオフ制御される。
例えば、スイッチ回路SWB、SWC、SW13、SW22がオン、スイッチ回路SWA、SW11、SW12、SW21、SW23がオフの場合、基準電圧V1として電源電圧V0が抵抗回路R03により電圧降下した電圧が出力され、基準電圧V2として電源電圧V0から抵抗回路R03と抵抗回路R12とにより電圧降下した電圧が出力される。
このように、ラダー抵抗の可変抵抗回路の設定可能な抵抗値をより多様化することができるので、多くの表示パネルに最適化できる基準電圧発生回路を含む信号ドライバICを提供することができるようになる。
3.3.4 第4の構成例
図16に、第1のラダー抵抗回路70の第4の構成例を示す。
ここでは第1のラダー抵抗回路70は、図13(A)に示すように例えば直列接続された可変抵抗回路VR0〜VR3を含むもののとする。
可変抵抗回路VR0では、第1の電源線と分割ノードND1との間に、抵抗回路R0が挿入されている。また可変抵抗回路VR0では、分割ノードND1と基準電圧V1の出力ノードとの間にボルテージフォロワ回路96-1が挿入されている。ボルテージフォロワ回路96-1は、図4に示したボルテージフォロワ回路と同様の構成をなしており、ボルテージフォロワ回路96-1に含まれる各スイッチ回路は制御信号cnt0、cnt1によりオンオフ制御される。
可変抵抗回路VR1では、分割ノードND1と分割ノードND2との間に、抵抗回路R1が挿入されている。また可変抵抗回路VR1では、分割ノードND2と基準電圧V2の出力ノードとの間にボルテージフォロワ回路96-2が挿入されている。ボルテージフォロワ回路96-2は、図4に示したボルテージフォロワ回路と同様の構成をなしており、ボルテージフォロワ回路96-2に含まれる各スイッチ回路は制御信号cnt0、cnt1によりオンオフ制御される。
可変抵抗回路VR2では、分割ノードND2と分割ノードND3との間に、抵抗回路R2が挿入されている。また可変抵抗回路VR2では、分割ノードND3と基準電圧V3の出力ノードとの間にボルテージフォロワ回路96-3が挿入されている。ボルテージフォロワ回路96-3は、図4に示したボルテージフォロワ回路と同様の構成をなしており、ボルテージフォロワ回路96-3に含まれる各スイッチ回路は制御信号cnt0、cnt1によりオンオフ制御される。
可変抵抗回路VR3では、分割ノードND3と基準電圧V4の出力ノードとの間に、抵抗回路R3が挿入されている。また可変抵抗回路VR3では、ボルテージフォロワ回路96-3のボルテージフォロワ接続された演算増幅器の出力端子と基準電圧V4の出力ノードとの間にオフセット付き演算増幅回路98が挿入されている。演算増幅回路98は、制御信号cnt1により動作制御される(動作電流の制御が行われる)。
すなわち、第1〜第R(Rは2以上の整数)の基準電圧のうち第i(1≦i≦R、iは整数)の基準電圧(例えば基準電圧V3)を生成するための第iの分割ノード(例えば分割ノードND3)と第(i−1)の基準電圧を生成するための第(i−1)の分割ノード(例えば分割ノードND2)との間に、抵抗素子(例えば抵抗回路R2)が挿入される。更に、第iの分割ノードにその入力端子が接続されたボルテージフォロワ接続の第1の演算増幅器(例えば、ボルテージフォロワ回路96-3の演算増幅器)と、第iの基準電圧の出力ノードと第1の演算増幅器の出力との間に挿入された第1のスイッチ回路(例えば、ボルテージフォロワ回路96-3の第1のスイッチ素子)と、第iの基準電圧の出力ノードと第iの分割ノードとの間に挿入された第2のスイッチ回路(例えば、ボルテージフォロワ回路96-3の第1のスイッチ素子)とを設ける。
そして、第(i+1)の分割ノードと第(i+2)の分割ノードとの間に挿入される抵抗回路の抵抗値が固定の場合、第1の演算増幅器(例えば、ボルテージフォロワ回路96-3の演算増幅器)の出力と第(i+1)の基準電圧の出力ノードとの間に第2の演算増幅回路(例えば、演算増幅回路98)が挿入される。
図17に、図16に示した第1のラダー抵抗回路70の制御タイミングの一例を示す。
例えば抵抗回路VR0において、ラッチパルス信号LPにより規定される選択期間(駆動期間)tの前半期間(駆動期間の初めの所与の期間)t1と後半期間t2で、制御信号cnt0、cnt1の論理レベルが変化する。すなわち、前半期間t1で制御信号cnt0の論理レベルが「L」、制御信号cnt1の論理レベルが「H」になると、ボルテージフォロワ接続された演算増幅器が基準電圧V1の出力ノードを駆動する。また後半期間t2で、制御信号cnt0の論理レベルが「H」、制御信号cnt1の論理レベルが「L」になると、分割ノードND1と基準電圧V4の出力ノードとが短絡される。したがって、選択期間tにおいて、前半期間t1ではボルテージフォロワ接続された演算増幅器によりインピーダンス変換されて基準電圧V1の出力ノードが駆動され、後半期間t2では抵抗回路R0を介して基準電圧V1の出力ノードの電圧が決まる。
すなわち、図17に示すように、液晶容量や配線容量等の充電に必要な前半期間t1では、高い駆動能力を有するボルテージフォロワ接続された演算増幅器により高速に駆動電圧を立ち上げ、高い駆動能力が不要な後半期間t2では、抵抗回路R0により駆動電圧を出力することができる。したがって、ボルテージフォロワ回路によりインピーダンス変換を行うことができるので、第1〜第3の構成例と同様の効果を得ることができる。
なおボルテージフォロワ回路96-1〜96-3の演算増幅器については、動作時には動作電流が定常的に流れるため、選択期間tの後半期間t2において、当該動作電流を制限又は停止させることが望ましい。
更に可変抵抗回路VR3では、選択期間tの前半期間t1において、演算増幅回路98が基準電圧V3にオフセットを付加した電圧を、基準電圧V4として出力する。
同様に、演算増幅回路98についても、選択期間tの後半期間t2において、当該動作電流を制限又は停止させることが望ましい。
図18に、演算増幅回路98の詳細な構成例を示す。
演算増幅回路98は、差動増幅部100と、出力部102とを含む。
差動増幅部100は、第1及び第2の差動増幅部104、106を含む。
第1の差動増幅部104は、ゲート電極に基準信号VREFNが印加されるn型MOSトランジスタTrn1(以下、n型MOSトランジスタTrnx(xは任意の整数)を単にTrnxと略す。)のドレイン・ソース間に流れる電流を電流源とし、該電流源はTrn2〜Trn4のソース端子に接続される。Trn2、Trn3のゲート電極には、演算増幅回路98の出力信号OUTが印加されている。Trn4のゲート電極には入力信号INが印加されている。
Trn2〜Trn4のドレイン端子は、カレントミラー構造のp型MOSトランジスタTrp1(以下、p型MOSトランジスタTrpy(yは任意の整数)を単にTrpyと略す。)、Trp2のドレイン端子に接続される。なおTrp1、Trp2のゲート電極は、Trn2、Trn3のドレイン端子に接続される。
Trp2のドレイン端子から差動出力信号SO1が出力される。
第2の差動増幅部106は、ゲート電極に基準信号VREFPが印加されるTTrp3のドレイン・ソース間に流れる電流を電流源とし、該電流源はTrp4〜Trp6のソース端子に接続される。Trp4、Trp5のゲート電極には、演算増幅回路98の出力信号OUTが印加されている。Trp6のゲート電極には入力信号INが印加されている。
Trp4〜Trp6のドレイン端子は、カレントミラー構造のTrn5、Trn6のドレイン端子に接続される。なおTrn5、Trn6のゲート電極は、Trp4、Trp5のドレイン端子に接続される。
Trn6のドレイン端子から差動出力信号SO2が出力される。
出力部102は、電源電圧VDDと接地電源電圧VSSとの間に直列接続されたTrp7とTrn7とを含む。Trp7のゲート電極には、差動出力信号SO1が印加されている。Trn7のゲート電極には、差動出力信号SO2が印加されている。Trp7及びTrn7のドレイン端子から、出力信号OUTが出力される。
またTrp7のゲート電極は、Trp8のドレイン端子が接続される。Trp8のソース端子は電源電圧VDDに接続され、ゲート電極にはイネーブル信号ENBが印加される。Trn7のゲート電極は、Trn8のドレイン端子が接続される。Trn8のソース端子は接地電源電圧VSSに接続され、ゲート電極には反転イネーブル信号XENBが印加される。
このような構成の演算増幅回路98は、図19に示すように基準信号VREFN、VREFP、イネーブル信号ENB、反転イネーブル信号XENBが動作して、入力信号INの電圧にオフセットを付加した出力信号OUTを出力する。基準信号VREFNとイネーブル信号ENBとして、図16及び図17に示した制御信号cnt1を用いることができる。基準信号VREFPと反転イネーブル信号ENBとして、制御信号cnt1を反転した信号を用いることができる。
第1の差動増幅部104において、基準信号VREFNの論理レベルが「H」になりTrn1が電流源として動作を開始すると、出力信号OUTと入力信号INとに基づき、差動対を構成するTrn2、Trn3とTrn4との駆動能力の差に対応した電圧が差動出力信号SO1として出力される。このときTrp8は遮断されるため、差動出力信号SO1がそのままTrp7のゲート電極に印加される。また、第2の差動増幅部106においても、同様にして差動出力信号SO2がTrn7のゲート電極に印加される。その結果、出力部102は、入力信号INに、上述の差動対を構成する駆動能力に対応したオフセットが付加された出力信号OUTを出力することができる。
第1の差動増幅部104において、基準信号VREFNの論理レベルが「L」になりTrn1が遮断されると、増幅動作ができなくなり、Trp8を介してTrp7のゲート電極に電源電圧VDDが印加される。同様に、第2の差動増幅部106においても、Trn8を介してTrn7のゲート電極に接地電源電圧VSSが印加される。その結果、出力部102は、その出力をハイインピーダンス状態とする。なお基準信号VREFN、VREFPにより、電流源に流れる電流を制限又は停止することができるので、動作が不要な期間では動作電流が流れないように制御することができる。
このようにすることで、演算増幅回路98は、オフセットを高精度に付加することができる。したがって、第4の構成例においては、ボルテージフォロワ回路によるインピーダンス変換を用いて、可変抵抗回路の抵抗値を可変制御することができ、表示パネルの種類に関わらず汎用的な基準電圧発生回路を構成することができる。
第4の構成例では、可変抵抗回路VR0〜VR3を制御信号cnt0、cnt1で可変制御するものとして説明したが、これに限定されるものではない。可変抵抗回路VR0〜VR3を、別個の制御信号で可変制御するようにしてもよい。
4. その他
以上においては、TFTを用いた液晶パネルを備える液晶装置を例に説明したが、これに限定されるものではない。基準電圧発生回路48で生成した基準電圧を、所与の電流変換回路で電流に変えて、電流駆動型の素子に供給するようにしてもよい。このようにすれば、例えば信号電極及び走査電極により特定される画素に対応して設けられた有機EL素子を含む有機ELパネルを表示駆動する信号ドライバICにも適用することができる。
図20に、このような信号ドライバICにより駆動される有機ELパネルにおける2トランジスタ方式の画素回路の一例を示す。
有機ELパネルは、信号電極Smと走査電極Gnとの交差点に、駆動TFT800nmと、スイッチTFT810nmと、保持キャパシタ820nmと、有機LED830nmとを有する。駆動TFT800nmは、p型トランジスタにより構成される。
駆動TFT800nmと有機LED830nmとは、電源線に直列に接続される。
スイッチTFT810nmは、駆動TFT800nmのゲート電極と、信号電極Smとの間に挿入される。スイッチTFT810nmのゲート電極は、走査電極Gnに接続される。
保持キャパシタ820nmは、駆動TFT800nmのゲート電極と、キャパシタラインとの間に挿入される。
このような有機EL素子において、走査電極Gnが駆動されスイッチTFT810nmがオンになると、信号電極Smの電圧が保持キャパシタ820nmに書き込まれるとともに、駆動TFT800nmのゲート電極に印加される。駆動TFT800nmのゲート電圧Vgsは、信号電極Smの電圧によって決まり、駆動TFT800nmに流れる電流が定まる。駆動TFT800nmと有機LED830nmとは直列接続されているため、駆動TFT800nmに流れる電流がそのまま有機LED830nmに流れる電流となる。
したがって、保持キャパシタ820nmにより信号電極Smの電圧に応じたゲート電圧Vgsを保持することによって、例えば1フレーム期間中において、ゲート電圧Vgsに対応した電流を有機LED830nmに流すことで、当該フレームにおいて光り続ける画素を実現することができる。
図21(A)に、信号ドライバICを用いて駆動される有機ELパネルにおける4トランジスタ方式の画素回路の一例を示す。図21(B)に、この画素回路の表示制御タイミングの一例を示す。
この場合も、有機ELパネルは、駆動TFT900nmと、スイッチTFT910nmと、保持キャパシタ920nmと、有機LED930nmとを有する。
図20に示した2トランジスタ方式の画素回路と異なる点は、定電圧の代わりにスイッチ素子としてのp型TFT940nmを介して定電流源950nmからの定電流Idataを画素に供給するようにした点と、電源線にスイッチ素子としてのp型TFT960nmを介して保持キャパシタ920nm及び駆動TFT900nmと接続するようにした点である。
このような有機EL素子において、まずゲート電圧Vgpによりp型TFT960をオフにして電源線を遮断し、ゲート電圧Vselによりp型TFT940nmとスイッチTFT910nmをオンにして、定電流源950nmからの定電流Idataを駆動TFT900nmに流す。
駆動TFT900nmに流れる電流が安定するまでの間に、保持キャパシタ920nmには定電流Idataに応じた電圧が保持される。
続いて、ゲート電圧Vselによりp型TFT940nmとスイッチTFT910nmをオフにし、更にゲート電圧Vgpによりp型TFT960nmをオンにし、電源線と駆動TFT900nm及び有機LED930nmを電気的に接続する。このとき、保持キャパシタ920nmに保持された電圧により、定電流Idataとほぼ同等か、又はこれに応じた大きさの電流が有機LED930nmに供給される。
このような有機EL素子では、例えば、走査電極をゲート電圧Vselが印加される電極、信号電極をデータ線として構成することができる。
有機LEDは、透明アノード(ITO)の上部に発光層を設け、更にその上部にメタルカソードを設けるようにしても良いし、メタルアノードの上部に、発光層、光透過性カソード、透明シールを設けるようにしても良く、その素子構造に限定されるものではない。
以上説明したような有機EL素子を含む有機ELパネルを表示駆動する信号ドライバICを上述したように構成することによって、有機ELパネルについて汎用的に用いられる信号ドライバICを提供することができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、プラズマディスプレイ装置にも適用可能である。
10 表示装置(液晶装置)、20 表示パネル(液晶パネル)、22nm TFT、24nm 液晶容量、26nm 画素電極、28nm 対向電極、30 信号ドライバIC(表示駆動回路)、32 走査ドライバIC、34 電源回路、36 コモン電極駆動回路、38 信号制御回路、40 入力ラッチ回路、42 シフトレジスタ、44 ラインラッチ回路、46 ラッチ回路、48 基準電圧発生回路(ガンマ補正回路)、50、50-1、50-2、・・・、50-M DAC(電圧選択回路)、52、52-1、52-2、・・・、52-M、96-1〜96-3 ボルテージフォロワ回路、60 演算増幅器、62 コントロール信号発生回路、70 第1のラダー抵抗回路、72 第2のラダー抵抗回路、74 第3のラダー抵抗回路、90、90-01〜90-04、90-11〜90-14、90-21〜90-24、90-31〜90-34、94-01〜94-04、94-11〜94-14、94-21〜94-24、94-31〜94-34、 抵抗切替回路、92-0〜92-3 抵抗回路、98 演算増幅回路、100 差動増幅部、102 出力部、104 第1の差動増幅部、106 第2の差動増幅部、VR0〜VR3 可変抵抗回路