JP2005120281A - 炭化水素原料ガスの熱分解炉管 - Google Patents
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Abstract
【課題】炉管の材質を変えることなく、また分解温度も同じ条件の下でエチレンの収率を高めることのできる原料ガスの熱分解用の炉管を提供する。
【解決手段】熱分解炉200内に配設され、内部を炭化水素原料ガスを通過させて熱分解反応させることによりエチレン等の分解生成物を得るための炭化水素原料ガスの熱分解炉管204を、管内面全体を重量%でFeが2%以下の酸化膜が平均2μm以上の膜厚で被覆した形態のものとする。この場合において酸化膜は重量%でCrを55%以上含有した組成を有するものとする。
【選択図】 図7
【解決手段】熱分解炉200内に配設され、内部を炭化水素原料ガスを通過させて熱分解反応させることによりエチレン等の分解生成物を得るための炭化水素原料ガスの熱分解炉管204を、管内面全体を重量%でFeが2%以下の酸化膜が平均2μm以上の膜厚で被覆した形態のものとする。この場合において酸化膜は重量%でCrを55%以上含有した組成を有するものとする。
【選択図】 図7
Description
この発明は、ナフサ等の炭化水素原料ガスを熱分解してエチレンやプロピレン等の分解生成物を得る際に用いる熱分解炉管に関する。
従来、エチレンやプロピレン等の製造は炭化水素原料ガス(ここではナフサ)を熱分解することにより行っている。
図7はその熱分解装置を示したもので、図中200は熱分解装置における熱分解炉、204はその内部に配設された熱分解炉管(以下単に炉管とする)である。
図7はその熱分解装置を示したもので、図中200は熱分解装置における熱分解炉、204はその内部に配設された熱分解炉管(以下単に炉管とする)である。
ここで熱分解炉200の内部は1100〜1200℃の高温度に保持されており、また炉管204は径が2〜4インチ程度のもので、図7に模式的に表しているように全長数100〜1000m程度の長さに亘って熱分解炉200内に配設されており、炉管204の表面の温度は最高で1050〜1100℃程度の高温度である。
この炉管204内を炭化水素原料ガス(以下単に原料ガスとする)が高速で供給通過させられ、そしてその炉管204内を通過する過程で、原料ガスが熱分解を受けて各種の分解生成物例えばエチレン,プロピレン,アセチレン等が生成する。
この場合炉管204内部におけるガスの滞留時間は1秒未満程度の短い時間である。即ちそのような短い時間の中で原料ガスが各種分解生成物に分解される。
この場合炉管204内部におけるガスの滞留時間は1秒未満程度の短い時間である。即ちそのような短い時間の中で原料ガスが各種分解生成物に分解される。
原料ガスに含まれる代表的な成分は、パラフィン系成分としてメタン(CH4),エタン(C2H6),プロパン(C3H8),ブタン(C4H10)、ナフテン系成分としてシクロペンタン(C5H10),シクロヘキサン(C6H12)、芳香族成分としてベンゼン(C6H6),トルエン(C7H8(C6H5CH3))等であり、これらが炉管204内を通過し、熱分解を受けることによって以下のような様々な分解生成物を与える。
分解ガス中の代表的な成分は、オレフィン系成分としてエチレン(C2H4),プロピレン(C3H6),ブチレン(C4H8),ブタジエン(C4H6),アセチレン(C2H2)、パラフィン系成分としてメタン(CH4),エタン(C2H6),プロパン(C3H8),ブタン(C4H10)、芳香族成分としてベンゼン(C6H6),トルエン(C7H8)、その他としてC5炭水化物,C6炭水化物,重油等である。
上記のように炉管204内における熱分解反応は高温下で且つ短時間で行われる。
しかも炉管204内における熱分解反応は複雑であり、所望の分解生成物をできる限り多く生ぜしめるように熱分解反応を厳格に制御することは実際上困難を伴う。
しかも炉管204内における熱分解反応は複雑であり、所望の分解生成物をできる限り多く生ぜしめるように熱分解反応を厳格に制御することは実際上困難を伴う。
通例は所望の成分の収率が高くなる条件を予め設定しておき、炉管204における出口ガス温度(COT)やMRPをオンラインで連続的に検出しつつ反応条件を制御する。
詳しくはCOTやMRPが、予め設定してある適正な反応条件に対応した値となるように反応条件、例えば熱分解炉200の炉内温度や原料ガスの供給スピード等を制御する。
ここでMRPは分解生成ガス中のメタン/プロピレン比で、エチレン収率の指標となる数値である。即ちこの数値が高い程エチレン収率は高くなる。
詳しくはCOTやMRPが、予め設定してある適正な反応条件に対応した値となるように反応条件、例えば熱分解炉200の炉内温度や原料ガスの供給スピード等を制御する。
ここでMRPは分解生成ガス中のメタン/プロピレン比で、エチレン収率の指標となる数値である。即ちこの数値が高い程エチレン収率は高くなる。
尚この原料ガスの熱分解反応においては、炉管204から出たガス(分解生成物)を冷却槽206に通してそこで急速冷却を行う。
原料ガスは熱分解反応が進むと最終的にCとHになってしまう。そこで炉管204から出た所望の分解生成物が更に分解進行してしまわないように、冷却を行ってそこで熱分解反応を停止させるのである。
原料ガスは熱分解反応が進むと最終的にCとHになってしまう。そこで炉管204から出た所望の分解生成物が更に分解進行してしまわないように、冷却を行ってそこで熱分解反応を停止させるのである。
この原料ガスの熱分解において、生成物の中で最も高価なものはエチレン(最近ではプロピレンも含まれる)であり、かかるエチレンの収率をできる限り高めることが長年の課題となっていた。
(エチレンをできる限り多く生産する必要があることから、熱分解炉200はエチレン分解炉とも称されている。)
エチレンの収率を高くするための条件として温度の要因があり、従来にあってはエチレン収率を高めるべく分解温度を高めることが追求されて来た。
(エチレンをできる限り多く生産する必要があることから、熱分解炉200はエチレン分解炉とも称されている。)
エチレンの収率を高くするための条件として温度の要因があり、従来にあってはエチレン収率を高めるべく分解温度を高めることが追求されて来た。
図8(A)は実験室的にヘプタンを熱分解反応させたときの分解温度と分解生成物の収率との関係を表したものである。
同図に示しているようにエチレンの生成量は分解温度の上昇とともに増大し、約1000℃でその生成量は最大となる。
同図に示しているようにエチレンの生成量は分解温度の上昇とともに増大し、約1000℃でその生成量は最大となる。
一方図8(B)はエタンを熱分解反応させたときの反応時間と分解生成物の収率との関係を表したもので、同図に示しているように反応時間が長くなるにつれて、出発物質であるエタンが減少するとともにエチレンが増大し、そしてエチレンは一旦ピークに達した後、減少に転ずるとともに、これと併せてアセチレンの量が増大して行く。
この傾向は図8(A)においても表れている。
この傾向は図8(A)においても表れている。
以上に示しているように原料ガスの分解温度としては1000℃程度の高温であることが望ましいが、この場合炉管204の高温強度(耐熱強度)が問題となって来る。
即ち従来にあってはこのような高温度に耐え得るような炉管がなく、炉管の耐熱温度が、可能な分解温度を決定する要因となっていた。
そのため現在までのエチレン収率を高めるための技術の歴史は、炉管の耐熱強度を高める技術の歴史でもあった。
即ち従来にあってはこのような高温度に耐え得るような炉管がなく、炉管の耐熱温度が、可能な分解温度を決定する要因となっていた。
そのため現在までのエチレン収率を高めるための技術の歴史は、炉管の耐熱強度を高める技術の歴史でもあった。
表6は炉管材と分解温度及びエチレン収率との変遷を示したもので、同表に示しているように、かつては炉管材としてSUS304,310等のステンレス鋼が用いられており、この場合分解温度は760〜780℃程度で、エチレン収率は18〜20%程度であった。
その後炉管材として耐熱鋳鋼である25Cr−20NiのHK材が用いられるようになり、これにより分解温度が引き上げられて、エチレン収率もこれに伴って23〜28%まで高められた。
更にこれに続いて、Niの含有量が更に高い、同じく耐熱鋳鋼である25Cr−35NiのHP材が用いられるようになり、更にまた25Cr−35Ni−NbのHP−Nb材が、或いは35Cr−45Niの組成を有する材料が用いられるようになり、これに伴って分解温度は800〜920℃まで引き上げられ、これによりエチレン収率は24〜32%まで高められた。
現在もなおエチレン収率を高めるべく炉管材の開発,研究が続けられているが、炉管の材質についての開発はほぼ限界に近い状態にあり、更に分解温度を高めるためには、即ち更に炉管の耐熱温度を高めるためにはODS合金やセラミックス等を用いざるを得ないが、これらODS合金やセラミックス等は非常に高価な材料であり、実際的にこれらを使用することはコスト的に困難である。
即ち現在、更なる高耐熱強度の炉管材の開発は足踏み状態にあるのが実状である。
即ち現在、更なる高耐熱強度の炉管材の開発は足踏み状態にあるのが実状である。
以上の他に、エチレンの収率を高めるために炉管を細径化したり、或いは炉管の断面形状を菊型断面とし、更には原料ガスとともに水蒸気を供給するなど各種改善も進んでいる。
例えば下記特許文献1には、原料ガスとともに水蒸気を炉管に供給する点が開示されている。
例えば下記特許文献1には、原料ガスとともに水蒸気を炉管に供給する点が開示されている。
しかしながら、直接原料ガスと接触する炉管内面の組成と熱分解反応ないしエチレン等の収率との関係について研究された例は見当たらず、これについての文献等も見出されないのが実状である。
本発明はこのような事情を背景とし、炉管の材質を変えることなく、また分解温度も同じ条件の下でエチレンの収率を高めることのできる原料ガスの熱分解用の炉管を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、熱分解炉内に配設され、内部を炭化水素原料ガスを通過させて熱分解反応させることによりエチレン等の分解生成物を得るための炭化水素原料ガスの熱分解炉管であって、管内面全体を被覆する状態に、重量%でFeが2%以下の酸化膜を平均2μm以上の膜厚で形成してあることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記酸化膜が重量%でCrを55%以上含有した組成を有していることを特徴とする。
本発明者等は、炉管内面における組織状態のエチレン収率に及ぼす影響を研究する中で、管内面を全体に亘って一定の膜厚以上で且つ所定の組成を有する酸化膜で被覆することにより、詳しくは重量%でFeが2%以下の酸化膜で被覆することによりエチレンの収率が効果的に高まることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
このようにFeが2%以下の酸化膜で管内面を被覆することによってエチレンの収率が高まることの理由は、現段階では明確には判明していない。
但し推論として以下のことが考えられる。
但し推論として以下のことが考えられる。
前述したように炉管内における原料ガスの熱分解反応は複雑であり、その熱分解反応を定量的に解析することは現実的には困難である。
但しこの炉管内における熱分解反応に際し、金属炉管材が何らかの触媒的な働きをしている可能性が考えられる。
例えば分解生成物であるブタジエンは金属触媒による反応によって生じ易いことが言われている。またFeは炭化水素の分解に際して触媒として働くことも言われている。
但しこの炉管内における熱分解反応に際し、金属炉管材が何らかの触媒的な働きをしている可能性が考えられる。
例えば分解生成物であるブタジエンは金属触媒による反応によって生じ易いことが言われている。またFeは炭化水素の分解に際して触媒として働くことも言われている。
そこで1つの可能性として、従来にあっては炉管材に含有されている多量のFeが原料ガスの熱分解反応に際してエチレン収率に悪影響を及ぼす方向に働いており、これに対して本発明に従いFeの含有量を2%以下に低く抑えた酸化膜を炉管の管内面に被覆形成することで、そのようなFeによる悪影響が抑止され、その結果としてエチレン収率が高まった可能性が考えられる。
因みにFeは炉管内面へのコークの付着量を増大させるが、このことは原料ガスの熱分解反応にFeが関与していることを意味する。
因みにコークの生成は、一例として図9に示すようなパターンで反応進行すると考えられている。
因みにコークの生成は、一例として図9に示すようなパターンで反応進行すると考えられている。
本発明は、炉管の管内面に酸化膜を形成することによって、炉管材と反応ガスとが管内面で直接接触するのをなくすことで管内面における界面反応を抑制し、且つその酸化膜におけるFeの量を低く抑えることでエチレン収率を効果的に高め得たものである。
但しこのような効果を生ぜしめるために、酸化膜の膜厚は平均で2μm以上とすることが必要である。
ここで酸化膜の膜厚を2μm以上と規定しているのは、各種試験の結果、膜厚が2μm以上であれば酸化膜が管内面全体を覆っていることを確認し得たことによる。
ここで酸化膜の膜厚を2μm以上と規定しているのは、各種試験の結果、膜厚が2μm以上であれば酸化膜が管内面全体を覆っていることを確認し得たことによる。
本発明においては、上記酸化膜が重量%でCrを55%以上含有した組成となしておくことが望ましい(請求項2)。
酸化膜中におけるFeの発生を抑制する上で酸化物の高Cr化は有効であり、特にCrを55%以上とした場合にFeを良好に2%以下に抑制することができる。
酸化膜中におけるFeの発生を抑制する上で酸化物の高Cr化は有効であり、特にCrを55%以上とした場合にFeを良好に2%以下に抑制することができる。
本発明では、酸化膜におけるFe,Cr以外の金属元素の合計を重量%で15%以下となしておくことが望ましい。
本発明は、炉管の管内面に上記の組成を有する酸化膜を被覆状態に形成することを特徴とするもので、この場合炉管の形態や材質については特に限定されない。
即ち炉管は単管のものであっても良いし、また異なる材質のものを2層或いは複層に積層した形態のものであっても良い。更にその材質としても種々材質を選定可能である。
即ち炉管は単管のものであっても良いし、また異なる材質のものを2層或いは複層に積層した形態のものであっても良い。更にその材質としても種々材質を選定可能である。
但し酸化膜の形成方法としては、炉管の材質を特定の材質としておいてその管表面(内面)を酸化処理することにより、上記の酸化膜を形成する方法を有利に採用することができる。
この場合の炉管材としては、管内径側の組成が重量%でFe:≦15%,Cr:≧40%,Ni:≧30%を含有する組成のものとなしておくことが望ましい。
この場合の炉管材としては、管内径側の組成が重量%でFe:≦15%,Cr:≧40%,Ni:≧30%を含有する組成のものとなしておくことが望ましい。
管内面を酸化処理することによって酸化膜を形成するに際し、その酸化膜中におけるFeの発生を抑制するためには炉管材の低Fe,高Cr化が有効である。
一方で高Cr化した場合、圧延や溶接性の観点からNi基合金が望ましい。
この観点から、このような場合の炉管材としては管内径側の組成がFe:≦15%,Cr:≧40%,Ni:≧30%の組成を有するものとなしておくことが望ましい。
一方で高Cr化した場合、圧延や溶接性の観点からNi基合金が望ましい。
この観点から、このような場合の炉管材としては管内径側の組成がFe:≦15%,Cr:≧40%,Ni:≧30%の組成を有するものとなしておくことが望ましい。
かかる本発明によれば、炉管の耐熱温度を高めて熱分解の反応温度を高くするといったことを行わなくても、即ち従来と同じ分解温度の下でもエチレン収率を効果的に高めることができ、工業的に極めて大きな意義を有するものである。
因みに本発明によれば、従来の炉管(HP−Nb)を用いた熱分解反応に対して、エチレン収率が0.6〜2.3%高まることを確認した。
また併せて本発明によれば(エチレン+プロピレン)の収率も0.4〜1.6%高め得ることを確認した。
また併せて本発明によれば(エチレン+プロピレン)の収率も0.4〜1.6%高め得ることを確認した。
次に本発明の実施形態を以下に詳述する。
材質がHP−Nbから成る炉管Aと、同じ材質の母管の内面に45Cr−54Niのクラッド層を積層した形態の炉管B(1)とB(2)とを用意した。
材質がHP−Nbから成る炉管Aと、同じ材質の母管の内面に45Cr−54Niのクラッド層を積層した形態の炉管B(1)とB(2)とを用意した。
尚寸法については前者が、外径:114mm 内径:97mm 肉厚:8.5mm
後者が、外径:119mm 内径:97mm 肉厚:11mm クラッド層:2.5mmである。
これら炉管A,炉管B(1),B(2)の内径側の化学組成は表1に示す通りであった。
後者が、外径:119mm 内径:97mm 肉厚:11mm クラッド層:2.5mmである。
これら炉管A,炉管B(1),B(2)の内径側の化学組成は表1に示す通りであった。
次にそれぞれの炉管A,炉管B(1),B(2)の管内面を酸化処理して表2に示す化学組成の酸化膜を形成した。
尚、表2には生成した酸化膜の膜厚も記載してある。
尚、表2には生成した酸化膜の膜厚も記載してある。
次に酸化膜Aを形成した炉管Aと、酸化膜B(1),B(2)を形成した炉管B(1),B(2)のうちの一方の炉管B(1)とを用いて、原料ガス(ナフサ)の熱分解操業を行った。
操業条件は以下の通りである。
操業条件は以下の通りである。
ナフサ投入量(供給レート):3〜3.6t(/h)
炉管出口ガス温度(COT):805〜830℃
炉管表面温度(TMT):1030〜1080℃
炉管出口ガス温度(COT):805〜830℃
炉管表面温度(TMT):1030〜1080℃
この熱分解操業において、炉管出口ガス温度(COT)とともにMRPをオンラインで連続測定した。
ここでMRPは前述したように分解生成ガス中のメタンの量をプロピレンの量で除した値で、このMRPは分解の進行程度を表すものであり、エチレンの生成量即ちエチレン収率と直接関係する、エチレン収率の指標となるものである。
ここでMRPは前述したように分解生成ガス中のメタンの量をプロピレンの量で除した値で、このMRPは分解の進行程度を表すものであり、エチレンの生成量即ちエチレン収率と直接関係する、エチレン収率の指標となるものである。
このCOTとMRPとの関係を図1に示している。
同図に示しているように酸化膜B(1)を形成した炉管B(1)のMRPは、炉管Aに対して全温度範囲に亘って高いMRPを示している。
即ち炉管AのMRPが平均値で0.788であるのに対し、炉管B(1)の場合は平均値で0.884である。
同図に示しているように酸化膜B(1)を形成した炉管B(1)のMRPは、炉管Aに対して全温度範囲に亘って高いMRPを示している。
即ち炉管AのMRPが平均値で0.788であるのに対し、炉管B(1)の場合は平均値で0.884である。
図2はMRPの値に基づき、これを計算式によりエチレンの収率に換算してCOTとの関係で表したものである。
炉管Aにおけるエチレン収率は全温度範囲に亘って平均値が29.1%であるのに対し、炉管B(1)のそれは30.9%であり、エチレン収率は大幅に改善されている(その差は表3に示す通り1.8%)。
炉管Aにおけるエチレン収率は全温度範囲に亘って平均値が29.1%であるのに対し、炉管B(1)のそれは30.9%であり、エチレン収率は大幅に改善されている(その差は表3に示す通り1.8%)。
図3は同じくMRPの値に基づき、これを(エチレン+プロピレン)の収率に換算してCOTとの関係で表したもので、同図に示しているようにここでも(エチレン+プロピレン)の収率は炉管Aに対し炉管B(1)の方が大きく改善されている。
ここで炉管Aの平均値は47.9%で、炉管B(1)の平均値は48.8%であり、その差は表3に示すように0.9%である。
ここで炉管Aの平均値は47.9%で、炉管B(1)の平均値は48.8%であり、その差は表3に示すように0.9%である。
表4はCOT=815℃,827℃における実際の分解生成物の収率の測定結果をMRPと併せて示したものである。
同表に示しているように炉管B(1)を用いたものは、COT=815℃,827℃の何れの温度の下においてもエチレンの収率、更には(エチレン+プロピレン)の収率ともに炉管Aを用いたものに比べて高い値が得られている。
同表に示しているように炉管B(1)を用いたものは、COT=815℃,827℃の何れの温度の下においてもエチレンの収率、更には(エチレン+プロピレン)の収率ともに炉管Aを用いたものに比べて高い値が得られている。
次に表5に示す化学組成を有する炉管C,炉管B(3)〜B(7)を用意し、その管内面を酸化処理することによって同表に示す酸化膜を何れも平均膜厚で2μm以上で形成し、そしてこれらを用いて上記と同様の熱分解操業を行った。その結果炉管B(3)〜B(7)は炉管B(1)と同様に良好な結果が得られた。
尚表5では炉管A,炉管B(1),B(2)の組成も併せて示してある。
尚表5では炉管A,炉管B(1),B(2)の組成も併せて示してある。
尚、炉管B(3)〜B(7)は炉管B(1),B(2)と同様に同じ母管内面に表5に示す化学組成のクラッド層を積層した形態のものである。
図4は、炉管材におけるFe量と酸化膜中の成分Ni,Fe,Si量との関係を、また図5は炉管材におけるFe量と酸化膜中の成分Cr,Mn,O量との関係をそれぞれ表したものである。
酸化膜A,Cの場合は何れも炉管材におけるFe量が15%超であって、これに伴い酸化膜中のFe量も2%超となっている。
これに対して、実際の熱分解操業において良好な結果の得られた酸化膜Bの場合、炉管材におけるFe量は何れも15%以下で、酸化膜中のFe量も2%以下に抑制されている。
酸化膜A,Cの場合は何れも炉管材におけるFe量が15%超であって、これに伴い酸化膜中のFe量も2%超となっている。
これに対して、実際の熱分解操業において良好な結果の得られた酸化膜Bの場合、炉管材におけるFe量は何れも15%以下で、酸化膜中のFe量も2%以下に抑制されている。
また図5から明らかなように、酸化膜A,Cの何れもCr量が50%以下であるのに対し、Bの酸化膜は何れもCr量が55%以上となっている。
次に図6は、炉管材中のCr量及びFe量と酸化膜中のFe量との関係を表したもので、同図に示しているように酸化膜中のFe量は炉管材中のCr量が40%以上且つFe量が15%以下の条件の下で2%以下に良好に抑制されている。
同図に示しているように、これらの場合において酸化膜中のFe量は最大で1.5%であり、Bの群におけるFe量は、それ以外については何れも1.5%未満の少ない量に抑えられている。
同図に示しているように、これらの場合において酸化膜中のFe量は最大で1.5%であり、Bの群におけるFe量は、それ以外については何れも1.5%未満の少ない量に抑えられている。
以上のことから、炉管の管内面を酸化処理することによってそこに酸化膜を形成する場合においては、その炉管材における管内径側の材料組成をCr:≧40%,Fe:≦15%とすることが望ましいことが分る。
尚、NiについてはNi:≧30%とするが望ましいが、ここでNiを30%以上とすることの理由は、炉管材を高Cr化した場合、圧延や溶接性の観点から炉管材をNi基合金とすることが望ましいことによる。
即ちNi基合金とすることによって、Cr含有量を高含有量とした場合であっても良好な圧延性や溶接性を確保することが可能となる。
尚、NiについてはNi:≧30%とするが望ましいが、ここでNiを30%以上とすることの理由は、炉管材を高Cr化した場合、圧延や溶接性の観点から炉管材をNi基合金とすることが望ましいことによる。
即ちNi基合金とすることによって、Cr含有量を高含有量とした場合であっても良好な圧延性や溶接性を確保することが可能となる。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
Claims (2)
- 熱分解炉内に配設され、内部を炭化水素原料ガスを通過させて熱分解反応させることによりエチレン等の分解生成物を得るための炭化水素原料ガスの熱分解炉管であって、
管内面全体を被覆する状態に、重量%でFeが2%以下の酸化膜を平均2μm以上の膜厚で形成してあることを特徴とする炭化水素原料ガスの熱分解炉管。 - 請求項1において、前記酸化膜が重量%でCrを55%以上含有した組成を有していることを特徴とする炭化水素原料ガスの熱分解炉管。
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- 2003-10-17 JP JP2003358460A patent/JP2005120281A/ja active Pending
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