JP2005120010A - 医薬組成物 - Google Patents

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邦治 鈴村
Kunio Saruta
邦夫 猿田
Shigeru Furukubo
茂 古久保
Kou Oogiku
鋼 大菊
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Abstract

【課題】 本発明は、フェノール化合物またはその塩からなる医薬、とりわけ脂質過酸化抑制剤を提供する。
【解決手段】 式[I]
Figure 2005120010

(式中、ORは保護されていてもよい水酸基を、Rはアルキルを、Alkはアルキレンを、Alkは単結合又はアルキレンを、Xは酸素原子又はアルキル及びヒドロキシアルキルから選ばれる基で置換されていてもよいイミノを表す。)
で示されるフェノール化合物又はその塩からなる医薬。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フェノール化合物またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分として含有する医薬、とりわけ脂質過酸化抑制剤に関する。
虚血性疾患の発症における細胞膜傷害(細胞死を含む)の発生機序は必ずしも解明されているわけではないが、かかる細胞傷害過程においては、活性酸素の産生亢進が重要な役割を担っているものと考えられている。また、活性酸素は脂質の過酸化のみならず、酵素や蛋白質の変性、及び核酸の傷害等を引き起こし、これらが種々の臓器障害の原因となることも知られている。例えば、冠動脈閉塞による心筋梗塞発作を発症した場合、これが心原性ショックや致死性不整脈等の重篤な症状を惹起しやすいため、初期治療として、梗塞部位の血流再開を目的とした再灌流療法(血栓溶解療法、経皮的経管的冠動脈形成術(PTCA)、冠動脈バイパス手術(CABG)等)がしばしば施行される。しかしながら、この場合、血行再開によって心筋組織障害が悪化すること(虚血/再灌流障害)も少なくない。この虚血/再灌流障害の発症機序の一つとして、活性酸素の関与が報告されており、再灌流時に発生した酸素ラジカルが再灌流不整脈を惹起し、ATP産生障害に伴う細胞傷害や酵素蛋白活性増加に伴う細胞膜破壊によって心筋障害をきたすと考えられている。
一方、ラジカル消去作用や抗酸化作用を有する化合物としては、例えば、2−[4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−イル]アミド−4−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール、2−(2−フェニル−1−シクロヘキシルエチルカルボニルアミノ)−4−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール等のフェノール誘導体が知られ(例えば、特許文献1参照。)、さらに、関連するフェノール誘導体が、脂質過酸化抑制作用等を有し、虚血性疾患、動脈硬化、炎症等の予防または治療薬になりうる旨、開示されている(例えば、特許文献2〜6参照。)。
しかしながら、虚血性疾患の薬物治療に際しては、特に、注射剤として有効かつ安全に投与できる薬剤が望まれるが、前記既知フェノール誘導体は、溶解度その他の面で、注射剤として好適な特性を具備するものとはいい難い。このため、優れた抗酸化作用のみならず、注射用薬としても好適な特性を具有する薬物を見出す必要があった。
特開平10−195037号公報(対応米国特許第5849732号明細書) 特開平9−278741号公報 特開平9−227495号公報 特開平9−255665号公報 特開平9−249628号公報 特開平9−278737号公報
本発明は、優れた脂質過酸化抑制作用を有するとともに、注射剤としても好適な特性を具備し、心筋梗塞や虚血/再灌流時の細胞傷害及び不整脈等の予防・治療に有用なフェノール化合物を有効成分として含有する医薬を提供するものである。
本発明は、以下の通りである。
1. 式[I]
Figure 2005120010
(式中、ORは保護されていてもよい水酸基を表し、Rはアルキルを表し、Alkはアルキレンを表し、Alkは単結合又はアルキレンを表し、Xは酸素原子又はアルキル及びヒドロキシアルキルから選ばれる基で置換されていてもよいイミノを表す。)
で示されるフェノール化合物又はその薬理的に許容し得る塩からなる医薬。
2. ORがアルコキシアルキルで保護されていてもよい水酸基であり、Rが炭素数1から4個のアルキルであり、Alkが炭素数1から4個のアルキレンであり、Alkが単結合又は炭素数1から4個のアルキレンである前記1に記載の医薬。
3. ORが水酸基又はメトキシメトキシであり、Rがtert−ブチルであり、Alkがメチレン又はエチレンであり、Alkが単結合又はエチレンであり、Xが酸素原子又はメチル及びヒドロキシエチルから選ばれる基で置換されたイミノである前記1に記載の医薬。
4. ORが水酸基であり、Rがtert−ブチルであり、Alkがエチレンであり、Alkが単結合又はエチレンであり、Xが酸素原子、メチルイミノ又は2−ヒドロキシエチルイミノである前記1に記載の医薬。
5. N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル](4−メチルピペラジニル)カルボキサミド、
N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル](4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジニル)カルボキサミド、および
N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル]−3−モルホリン−4−イルプロパンアミドから選ばれるフェノール化合物又はその薬理的に許容し得る塩からなる前記1に記載の医薬。
6. 脂質過酸化抑制剤である前記1〜5のいずれかに記載の医薬。
7. 虚血性疾患、動脈硬化もしくは炎症の予防または治療薬である前記1〜5に記載の医薬。
本発明において、「アルキル」としては、例えば、炭素数1〜6個の直鎖又は分枝鎖状のアルキルが挙げられ、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、tert−ブチルなどが挙げられる。Rにおけるアルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチルが好ましく、特に好ましくはtert−ブチルが挙げられる。「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜6個の直鎖または分枝鎖状のアルコキシが挙げられ、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロポキシなどが挙げられる。「アルキレン」とは、例えば、炭素数1〜6個の直鎖又は分枝鎖状のアルキレンが挙げられ、具体的にはメチレン、エチレンなどが挙げられる。「保護された水酸基」における保護基としては、通常、フェノール性水酸基の保護基として使用されるものが挙げられ、例えば、アルコキシアルキル、テトラヒドロフリル、ベンジル等が挙げられる。このうち、好ましい保護基としては、アルコキシアルキルが挙げられ、とりわけメトキシメチルが好ましい。
本発明の有効成分化合物[I]は、遊離の形でも、また薬理的に許容し得る塩の形のいずれでも医薬用途に用いることができる。かかる薬理的に許容し得る塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩の有機酸塩等が挙げられる。また、本発明の有効成分化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩には、その水和物もしくは溶媒和物をも含むものである。
また、本発明により得られる化合物[II]、化合物[III]および化合物[IV]の塩としては、上記無機酸塩、有機酸塩等があげられる。また、化合物[IV]の塩としては、例えば、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩又はカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩などの無機塩基との塩等であってもよい。
本発明の有効成分化合物[I]は、以下の方法により製造することができる。具体的には、フェノール化合物[I]に含まれる化合物[I−A]、化合物[I−B]および化合物[I−C]に分けて、以下に説明する。
方法A
Figure 2005120010
(式中、OR、R、AlkおよびXは前記と同義である。)
アニリン化合物[II]又はその塩とホスゲン等価体とを反応させ、次いで、当該反応生成物と化合物[III]又はその塩とを反応させた後、所望により水酸基の保護基を除去することにより化合物[I−A]を製造することができる。
アニリン化合物[II]又はその塩とホスゲン等価体(例えば、ホスゲン、トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール等)との反応、並びに当該反応生成物と化合物[III]又はその塩との反応は、塩基の存在下、適当な溶媒中又は無溶媒で実施することができる。本反応は、−78℃〜100℃で実施することができ、とりわけ−78℃〜30℃で好適に進行する。
本反応で使用する塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等があげられる。
本反応において溶媒を使用する場合、当該溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジクロロエタン等が挙げられる。
上記方法において、ORが保護された水酸基である場合、当該保護基の除去は、保護基の種類に応じて、公知の方法(加水分解、酸処理、還元等)によって実施することができる。
方法B
Figure 2005120010
(式中、OR、R、Alk、Alk21およびXは前記と同義である。)
化合物[II]又はその塩とカルボン酸化合物[IV]またはその反応性誘導体とを反応させ、所望により水酸基の保護基を除去することにより、化合物[I−B]を製造することができる。
本反応において、カルボン酸化合物[IV]は、そのカルボキシル基における反応性誘導体の形でも使用することができる。このような反応性誘導体としては、対応活性エステル(混合酸無水物)等があげられる。
アニリン化合物[II]又はその塩とカルボン酸化合物[IV]もしくはその反応性誘導体との反応は、適当な脱水剤もしくは塩基の存在下、適当な溶媒中又は無溶媒で実施することができる。本反応は、−78℃〜100℃で実施することができ、とりわけ0℃〜30℃で好適に進行する。
本反応に使用する脱水剤としては、例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、メタンスルホニルクロリド、ベンゾイルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、ジフェニルホスホロクロリデート、光延試薬、クロロ炭酸エステル(クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸イソブチル)等があげられる。
本反応に使用する塩基、溶媒は、方法Aと同様の塩基、溶媒を使用することができる。
上記方法において、ORが保護された水酸基である場合、当該保護基の除去は、保護基の種類に応じて、公知の方法(加水分解、酸処理、還元等)によって実施することができる。
方法C
Figure 2005120010
(式中、OR、R、Alk、GおよびXは前記と同義である。)
化合物[II]又はその塩とアクリル酸又はその反応性誘導体とを反応させて化合物[V]とし、次いで化合物[V]と化合物[III]又はその塩とを反応させた後、所望により水酸基の保護基を除去することにより、化合物[I−C]を製造することができる。
アニリン化合物[II]又はその塩とアクリル酸もしくはその反応性誘導体(例えば、その対応酸クロリド等)との反応は、適当な脱水剤もしくは塩基の存在下、適当な溶媒中又は無溶媒で実施することができる。本反応は、−78℃〜100℃で実施することができ、とりわけ0℃〜30℃で好適に進行する。
カルボキサミド化合物[V]と化合物[III]との反応は、適当な脱水剤または塩基の存在下又は非存在下、適当な溶媒中又は無溶媒で実施することができる。本反応は、−78℃〜100℃で実施することができ、とりわけ0℃〜30℃で好適に進行する。
本反応で使用する脱水剤、塩基および溶媒は、前記方法と同様の脱水剤、塩基、溶媒を使用することができる。
上記方法において、ORが保護された水酸基である場合、当該保護基の除去は、保護基の種類に応じて、公知の方法(加水分解、酸処理、還元等)によって実施することができる。
なお、原料となる化合物[II]は、以下の方法により製造することができる。
Figure 2005120010
(式中、HalおよびHalは、それぞれ塩素、臭素などのハロゲンを示し、OR、RおよびAlkは前記と同義である。)
化合物[VI]と化合物[VII]とを適当な溶媒(アセトン、ジメチルホルムアミド等)中、塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム等)存在下で0〜100℃で1時間から3日間O−アルキル化反応に付すことにより化合物[VIII]を得ることができる。
化合物[VIII]とp−アニシジンから調製されるジアゾニウム塩とを適当な溶媒(ジオキサン等)中、アルカリ(水酸化ナトリウム等)存在下で氷冷下から20℃で30分から24時間ジアゾカップリング反応に付すことにより化合物[IX]を得ることができる。
化合物[IX]と化合物R−Halとを上記と同様にO−アルキル化反応を行って化合物[X]とし、化合物[X]を適当な溶媒(メタノール、エタノール等)中、好ましくは室温下で1時間から2日間接触還元を行うことにより、化合物[II]を製造することができる。
本発明の有効成分化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、優れた脂質過酸化抑制作用、酸化LDL生成抑制作用、抗酸化作用、スーパーオキシドアニオン消去作用、ヒドロキシラジカル消去作用等を有し、虚血性疾患(心筋梗塞、脳梗塞、虚血再灌流時の細胞傷害、不整脈等)、動脈硬化、炎症等の各種疾患の予防・治療薬として有用である。
本発明の有効成分化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、経口的にも非経口的にも投与することができるが、とりわけ注射剤として非経口的(例えば、静脈内)に投与するのが好ましい。N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル](4−メチルピペラジニル)カルボキサミド・2塩酸塩・1/5エタノール、N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル](4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジニル)カルボキサミド・2塩酸塩、N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル]−3−モルホリン−4−イルプロパンアミド・2塩酸塩、N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル]−3−モルホリン−4−イルプロパンアミド・2p−トルエンスルホン酸塩等に代表される本発明の有効成分化合物は、水に対する溶解度が高く(>100mg/mL,pH7.4)、また、局所刺激性(細胞毒性)も低いため、注射剤等の形態での非経口投与にも好適に適用できる。更に、本発明の有効成分化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、薬物代謝酵素に対する非特異的阻害活性が低いため、薬物動態面でも好ましい特性を有する。
本発明の有効成分化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、医薬組成物の形態で使用することができ、経口的または非経口的に投与することができる。
経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤などの固体製剤、あるいは溶液製剤、懸濁製剤または乳化製剤などが挙げられる。経口用医薬製剤に加えられる薬理学的に許容される担体としては、希釈剤、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポリビニルピロリドン)、賦形剤(乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ)、崩壊剤(バレイショデンプン)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム)等を挙げることができる。
非経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、坐剤、注射用蒸留水、生理食塩水またはブドウ糖水溶液などを用いた注射剤または点滴製剤、あるいは吸入剤等が挙げられる。例えば、注射剤においては、適当な緩衝剤、安定化剤、等張化剤などを加えることができ、本発明においてはシステイン等の抗酸化剤を加えることが好ましい。なお、注射剤などの非経口投与製剤は、用時に調製することもできる。
本発明の有効成分化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態等によっても異なるが、経口的に投与する場合、通常、1日当たり0.1〜1000mg/kg、とりわけ1〜100mg/kgとするのが好ましく、非経口的に(例えば注射剤として)投与する場合、通常、1日当たり0.01〜100mg/kg、とりわけ0.1〜10mg/kgとするのが好ましい。
以下、実験例、実施例をあげて本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実験例1〔過酸化脂質生成抑制作用〕
11〜12週齢雄性SDラットからエーテル麻酔下で摘出した脳組織に、その湿重量に対して4倍量のリン酸緩衝液を加えてホモジナイズし、このホモジネートを4℃、1000gで10分間遠心分離して上清を得た。当該上清をさらに4倍量のリン酸緩衝液で希釈して脳ホモジネート液とし、検体をこの脳ホモジネート液1mlに終濃度10-7〜10-5Mとなるようにジメチルスルホキシド(以下、DMSO)に溶解して添加した。この検体−脳ホモジネート混液を37℃で15時間インキュベート後、当該混液中の過酸化脂質生成量を以下の改変チオバルビツール酸法により測定した。
すなわち、インキュベート後の上記混液300μlに終濃度10mMのメシル酸デフェロキサミン450μl及び20mMのt−ブチルヒドロキシトルエン250μlを加えた後、1%チオバルビツール酸1ml及び20%酢酸1mlを加えて100℃で20分間加熱した。反応生成物をn−ブタノール4mlで抽出し、抽出液の蛍光測定を行った(励起波長536nm、蛍光波長552nm)。検体添加による過酸化脂質生成の抑制作用は、対照群(検体非含有DMSO添加群)の過酸化脂質生成量に対する抑制率として算出した。結果は濃度阻害曲線より、過酸化脂質生成を50%抑制するのに必要な各検体の濃度(IC50;μM)として記載した。その結果を表1に示す。
Figure 2005120010
実施例1
Figure 2005120010
(1) 2−tert−ブチルヒドロキノン(96.1g)のアセトン(1L)溶液に4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(112g)、炭酸カリウム(207g)を加え、55〜65℃で3日間攪拌した。不溶物を濾去し、濾液を濃縮後、残渣を塩酸に溶解し、酢酸エチルで洗浄した。水層に炭酸カリウムを注意深く加えて中和後、酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=1:1→1:2)にて精製し、化合物(1)(橙色油状物、89.6g、収率53%)を得た。
IR(film): 3370、2956、1210cm−1
MS(APCI): 280(M+1)
(2) p−アニシジン(49.3g)の塩酸(2N,500ml)水溶液に5〜10℃で亜硝酸ナトリウム(30g)の水溶液(70ml)を滴下し、1時間攪拌した。この溶液を、化合物(1)(89.5g)の2N水酸化ナトリウム水溶液/1,4−ジオキサン混液の溶液に激しく撹拌しながら0℃で徐々に加え、その後2時間攪拌した。反応液から1,4−ジオキサンを留去し、残渣に塩酸を徐々に加えて中和した後、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1→1:2)にて精製することにより、化合物(2)(暗橙色カラメル、90.9g、収率69%)を得た。
IR(film): 3437、2958、1602、1253cm−1
MS(APCI): 414(M+1)
(3) 化合物(2)(90.0g)のジメチルホルムアミド(250ml)溶液に氷冷下で水素化ナトリウム(9.6g)を注意深く加え、30分攪拌した。該溶液にクロロメチルメチルエーテル(19.3g)のジメチルホルムアミド(50ml)溶液を徐々に加え、該混合物を2時間攪拌した。反応液に水を加えてクエンチした後、濃縮し、残渣にジエチルエーテルを加えて水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1→1:1→2:3)にて精製後、冷メタノールを加えて固化した。固形物を少量の冷メタノールで洗浄後、乾燥することにより、化合物(3)(黄色粉末、63.4g、収率64%)を得た。融点92−93℃
IR(film): 3437、2953、1599cm−1
MS(APCI): 458(M+1)
(4) 化合物(3)(60.5g)にメタノール(250ml)を加え、窒素気流下で10%パラジウム炭素を加えた。該混合物をParr接触還元装置を用いて、水素(5気圧)充填下で1日振とうした。反応液中の不溶物をセライトを用いて濾去し、濾液から溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=4:1→クロロホルム:アセトン=5:1→2:1→1:1)で精製することにより、化合物(4)(橙色油状物、36.9g、収率82.6%)を得た。
IR(film): 3460、3370、2957、1595、1445、976cm−1
MS(APCI): 339(M+1)
(5) トリホスゲン(17.8g)の塩化メチレン(300ml)溶液に−78℃、窒素置換下で化合物(4)(27.1g)とトリエチルアミン(42ml)の塩化メチレン(100ml)溶液を3時間かけて滴下した。−78℃で1時間攪拌後、反応液の温度を攪拌下徐々に室温まで昇温した後、濃縮した。残渣にトルエンを加えて濃縮した。残渣に塩化メチレン(300ml)を加え、0℃で1−メチルピペラジン(15g)の塩化メチレン(100ml)溶液を20分かけて滴下し、該混合物を室温で2時間攪拌した。反応液に塩化メチレンを加え、炭酸カリウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去した。残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→3:1→1:1→酢酸エチル:アセトン=1:1→4:1)およびシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン:メタノール=1:0→10:1→5:1→2:1→1:1→0:1)で精製することにより、N−[3−(tert−ブチル)−2−(メトキシメトキシ)−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル](4−メチルピペラジニル)カルボキサミド(化合物(5))(淡黄色カラメル、30.3g、収率82%)を得た。
IR(film): 3392、2954、1668、1537、1436、1230、1058cm−1
MS(APCI): 465(M+1)
(6) 化合物(5)(29.9g)のメタノール(150ml)溶液に0℃で4N塩酸/酢酸エチルの混液(150ml)をゆっくり滴下し、さらに1時間攪拌した後に反応液を濃縮した。残渣に熱エタノール(300ml)を加えて溶解し、0℃まで徐々に冷却して結晶を析出させた。結晶を濾取し、冷エタノールで洗浄後、乾燥することにより、N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル](4−メチルピペラジニル)カルボキサミド・2塩酸塩・1/5エタノール(化合物(6))(無色結晶、30.5g、収率94%)を得た。融点147−150℃
IR(film): 3402、2957、2690、1632、1447、1272cm−1
MS(APCI): 421(M+1)
実施例2
Figure 2005120010
(1) トリホスゲン(445mg)の塩化メチレン(10ml)溶液に−70℃、窒素置換下で、実施例1の化合物(4)(677mg)、トリエチルアミン(1.0g)及び塩化メチレン(10ml)の混合物を3時間かけて滴下した。同温で1時間攪拌後、徐々に室温まで昇温した。反応液を濃縮し、残渣にトルエンを加えて再び濃縮した。残渣に4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(1.2g)/トリエチルアミン(0.5ml)/テトラヒドロフラン(10ml)の混合物を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にジエチルエーテルを加え、飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(アセトン:メタノール=10:1→7:1→5:1→4:1)で精製することにより、N−[3−(tert−ブチル)−2−(メトキシメトキシ)−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル][4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジニル]カルボキサミド(化合物(1))(無色油状物質、377mg、収率38%)を得た。
MS(APCI): 495(M+1)
(2) 化合物(1)(340mg)のメタノール(10ml)溶液に0℃で4N塩酸/酢酸エチルの混合物(10ml)を加え、同温で4時間攪拌した後に反応液を濃縮した。残渣にエタノールを加えて溶解し、該溶液を、激しく撹拌しながら酢酸エチル中へ加えた。生じた固体を濾取することにより、N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジニル]カルボキサミド・2塩酸塩(化合物(2))(無色粉末、313mg、収率87%)を得た。
MS(APCI): 451(M+1)
実施例3
Figure 2005120010
(1) 実施例1の化合物(4)(3g)、トリエチルアミン(1.85ml)及びテトラヒドロフラン(20ml)の混合物に、氷冷攪拌下、塩化アクリロイル(959mg)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を約5分間で滴下した。該混合物を同温で30分間撹拌後、室温で終夜撹拌した。反応混合物に飽和重曹水、ジエチルエーテルを加えて分液し、有機層を水(2回)、飽和食塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。該有機層を濃縮後、残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム→クロロホルム:アセトン=4:1)で精製することにより、化合物(1)(淡黄色油状物質、2.2g、収率63%)を得た。
IR(ATR):1691、1738cm−1
MS(APCI):363(M+1)
(2) 化合物(1)(2.1g)にモルホリン(2.8g)を加え、60℃で2時間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水、ジエチルエーテルを加え分液し、有機層を水(3回)、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥した。該有機層を濃縮後、残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→ヘキサン:酢酸エチル=5:1→4:1→2:1)にて精製することにより、N−[3−(tert−ブチル)−2−(メトキシメトキシ)−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル]−3−(モルホリン−4−イル)プロパンアミド(化合物(2))(淡黄色油状物質、1.72g、収率63%)を得た。
IR(ART):1694cm−1
MS(APCI):480(M+1)
(3) 化合物(2)(1.58g)のメタノール(5ml)溶液に、氷冷攪拌下、4N塩酸/酢酸エチルの混合物(20ml)を加え、同温にて1時間攪拌した。反応混合物を濃縮後、残渣にイソプロパノールを加え、さらに濃縮した。得られた残渣をエタノール−イソプロパノールに溶解し、該溶液をジエチルエーテル中へ加えた。該溶液にジイソプロピルエーテルを添加し、生じた不溶物を濾取することにより、N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル]−3−(モルホリン−4−イル)プロパンアミド・2塩酸塩(化合物(3))(灰白色粉末、1.60g、収率96%)を得た。
IR(ART): 1651cm−1
MS(APCI): 436(M+1)
(4) 化合物(2)(4.34g)のメタノール(80ml)溶液に、氷冷攪拌下、p−トルエンスルホン酸1水和物(6.88g)を加え、同温にて30分間、室温にて3時間攪拌した。濃縮後、残渣に酢酸エチルを加えて氷冷し、析出晶を濾取した。得られた結晶を水/エタノール混液から再結晶することにより、N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル]−3−(モルホリン−4−イル)プロパンアミド・2p−トルエンスルホン酸塩(化合物(4))(無色針状結晶、5.47g、収率77%)を得た。
融点:200〜201℃
IR(ATR): 1653cm−1
MS(APCI): 436(M+1)
本発明の有効成分化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、優れた脂質過酸化抑制作用、酸化LDL生成抑制作用、抗酸化作用、スーパーオキシドアニオン消去作用、ヒドロキシラジカル消去作用等を有し、虚血性疾患(心筋梗塞、脳梗塞、虚血再灌流時の細胞傷害、不整脈等)、動脈硬化、炎症等の各種疾患の予防・治療薬として有用である。

Claims (7)

  1. 式[I]
    Figure 2005120010
    (式中、ORは保護されていてもよい水酸基を表し、Rはアルキルを表し、Alkはアルキレンを表し、Alkは単結合又はアルキレンを表し、Xは酸素原子又はアルキル及びヒドロキシアルキルから選ばれる基で置換されていてもよいイミノを表す。)
    で示されるフェノール化合物又はその薬理的に許容し得る塩からなる医薬。
  2. ORがアルコキシアルキルで保護されていてもよい水酸基であり、Rが炭素数1から4個のアルキルであり、Alkが炭素数1から4個のアルキレンであり、Alkが単結合又は炭素数1から4個のアルキレンである請求項1に記載の医薬。
  3. ORが水酸基又はメトキシメトキシであり、Rがtert−ブチルであり、Alkがメチレン又はエチレンであり、Alkが単結合又はエチレンであり、Xが酸素原子又はメチル及びヒドロキシエチルから選ばれる基で置換されたイミノである請求項1に記載の医薬。
  4. ORが水酸基であり、Rがtert−ブチルであり、Alkがエチレンであり、Alkが単結合又はエチレンであり、Xが酸素原子、メチルイミノ又は2−ヒドロキシエチルイミノである請求項1に記載の医薬。
  5. N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル](4−メチルピペラジニル)カルボキサミド、
    N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−(モルホリン−4−イル)エトキシ)フェニル](4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジニル)カルボキサミド、および
    N−[3−(tert−ブチル)−2−ヒドロキシ−5−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)フェニル]−3−モルホリン−4−イルプロパンアミドから選ばれるフェノール化合物又はその薬理的に許容し得る塩からなる請求項1に記載の医薬。
  6. 脂質過酸化抑制剤である請求項1〜5のいずれかに記載の医薬。
  7. 虚血性疾患、動脈硬化もしくは炎症の予防または治療薬である請求項1〜5に記載の医薬。
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