JP2005118963A - ブロック共重合体膜、その製造方法、基材、および触媒 - Google Patents

ブロック共重合体膜、その製造方法、基材、および触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】 表面に平行な方向にもサイズ抑制効果を発現させ、ナノ微粒子が表面上に微分散した基材を提供する。
【解決手段】 (1)1nm以上の表面粗さを有する基板上に載置された2種類以上の互いに非相溶な高分子が互いの末端で結合してなるブロック共重合体樹脂からなる膜であって、(2)該樹脂が基板表面に対して垂直に配向したミクロドメイン構造を有し、かつ(3)白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散していることを特徴とするブロック共重合体膜、その製造方法、基材、及び触媒。
【選択図】 図1

Description

本発明は、触媒用途、電池用途などに用いられる白金ナノ粒子に関し、更にその製造方法及びその微分散方法に関する。
種々の方法で作製されるナノ粒子は、その比表面積が極めて大きいためマクロな凝集が生じやすく、その応用に当っては粒子の凝集を抑制する手法が求められていた。
このような凝集を抑制する手法として、ブロック共重合体のミクロ相分離構造を雛型に用いて、その一方のドメイン中でナノ粒子を形成させる方法(粒子サイズはドメインサイズにより制限される)があった。(例えば、特許文献1(特開平10-330492)参照)
しかしこのようなナノ粒子を触媒などの用途に用いる場合、用いられるのは表面のみであり、前記方法でブロック共重合体の表面又はその薄膜を用いることが求められる。しかしながら、既によく知られているようにブロック共重合体のミクロドメイン構造は、表面あるいは薄膜中では、表面に対して平行に配列するため、例えばミクロドメイン構造がラメラ構造の場合、一方のドメインにナノ粒子を上手く形成できたとしても、そのサイズを抑制する機能は膜の厚み方向にのみ作用し、膜の表面に平行な方向にサイズ抑制効果は期待できなかった。更にナノ粒子が存在しない相が表面を覆うケースもあり、ナノ粒子の機能を期待できない場合があった。
特開平10-330492
本発明の課題は、上記の問題点を解決し、表面に平行な方向にもサイズ抑制効果を発現させ、ナノ微粒子が表面上に微分散した基材を提供することである。
本発明は、(1)1nm以上の表面粗さを有する基板上に載置された2種類以上の互いに非相溶な高分子が互いの末端で結合してなるブロック共重合体樹脂からなる膜であって、(2)該ブロック共重合体が基板表面に対して垂直に配向したミクロドメイン構造を有し、かつ(3)白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散していること
を特徴とするブロック共重合体膜に関する。
また、本発明は、該白金ナノ粒子が、特定の高分子成分からなるミクロドメインに選択的に分散されることによって、白金ナノ粒子の分布の疎密が周期的且つ規則的になっていることを特徴とするブロック共重合体膜に関する。
また、本発明は、該1nm以上の表面粗さを有する基板上にブロック共重合体樹脂を載置した後、該樹脂を熱処理することにより、基板表面に対して垂直に配向したミクロドメイン構造を有するブロック共重合体膜を作製する工程を含むことを特徴とする上記のブロック共重合体膜に関する。
また、本発明は、該白金ナノ粒子が、該ブロック共重合体樹脂が白金錯体を含み、ブロック共重合体膜の内部で白金錯体を還元することによって製造されることを特徴とする上記のブロック共重合体膜に関する。
また、本発明は、基板表面に対して垂直に配向したミクロドメイン構造を有するブロック共重合体膜を白金錯体の蒸気と接触させることにより、上記樹脂中に白金錯体を導入することを特徴とする上記の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散したブロック共重合体膜の製造方法に関する。
また、本発明は、ブロック共重合体膜を白金錯体の蒸気と接触させる工程を、少なくとも1nm以上の表面粗さを有する基板上にブロック共重合体膜が載置された状態で実施することを特徴とする上記の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散したブロック共重合体膜の製造方法に関する。
また、本発明は、ブロック共重合体膜を白金錯体の蒸気と接触させる工程を、少なくとも200℃以上の温度で行うことによって、上記樹脂中に導入された白金錯体を次いで熱還元し白金ナノ粒子を形成せしめることを特徴とする上記の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散したブロック共重合体膜の製造方法に関する。
また、本発明は、上記の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に分散したブロック共重合体膜を、他の基材上に載置し、次いで前記ブロック共重合体樹脂を分解除去することによって得られる白金ナノ粒子を担持した基材に関する。
また、本発明は、上記の白金ナノ粒子を担持した基材を用いることを特徴とする触媒に関する。
本発明により、白金の凝集を抑制し、ナノサイズの白金微粒子が高度に微分散したフィルムが得られる。このフィルムを他の適当な基材の上に貼り付けて、ブロック共重合体樹脂を次いで除去すれば、白金ナノ粒子を担持した表面が得ることができる。このようにして製造された白金ナノ粒子は触媒用途などに利用できる。
本願発明に用いられるブロック共重合体のモノマー成分としては、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、ビニルピロリドン、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ビニルピリジンなどのブロック共重合体の合成に供しえるモノマーなどが挙げられる。
好適には、スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン、スチレンスルホン酸など芳香環含有モノマーからなるブロックと、メタクリル酸メチルやブチルメタクリル酸メチルなどのアクリル系モノマーからなるブロックの組合せなどが用いられる。
ブロック共重合体は、前記モノマー成分を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合などの手法により各ブロックの順番に重合していくことによって供される。
または、上記ブロック共重合体は、予めモノマーから重合された高分子鎖の末端に重合開始基が付加したマクロ開始剤を用いて、他のモノマーを更に重合することによってことによっても得ることができる。
あるい上記ブロック共重合体は、予め重合された高分子鎖の末端に反応性基が付加したマクロマー同士を反応させ結合させることなどによっても得ることができる。
前記の方法などによって合成したブロック共重合体を更に化学的に修飾した樹脂も本願発明に供することができる。
例えばスチレンを含むブロック共重合体に対して、スチレン部位にスルホン酸基を導入したものを用いることができる。
ブロック共重合体を構成する各ブロックの体積分率によりミクロドメイン構造の形態が変化する。
例えば、互いに非相溶なAとBの2種類のモノマーからなるABブロック共重合体について説明する。ここでAモノマーからなるブロック(Aブロック)の体積分率φがBのモノマーからなるブロック(Bブロック)の体積分率φより大きくならないようにAとBを定める。
このときφが概略17%以下ではAからなる球状ミセルがBからなるマトリックス中に分散した構造(ミセル構造)が、φが概略17%から33%の間ではAからなるシリンダーがBからなるマトリックス中に分散した構造(シリンダー構造)が、φが概略33%以上ではAからなるラメラとBからなるラメラが交互に積層した構造(ラメラ構造)がそれぞれ形成される。
ブロック共重合体を構成するブロックの種類が3種類以上の場合、更に多様な構造が形成できる。
ブロック共重合体を構成する各ブロックの化学成分およびそれらの体積分率を一定とした場合、ミクロドメイン構造のサイズはブロック共重合体の分子量により変化する。
ここでブロック共重合体の分子量とは、ブロック共重合体1分子中に含まれる各ブロックの分子量の総和をいう。
本願発明においては、ブロック共重合体樹脂は、分子量Mのブロック共重合体1と1と同じモノマー成分の組合せからなり1より大きい分子量Mをもったブロック共重合体2の混合物であってもよい。
ブレンドした少なくとも2種類以上のブロック共重合体樹脂は、製膜工程や後述する熱処理工程で、おのおののブロック共重合体樹脂のみからなるマクロなドメインを形成しないことが好ましい。
ここでいう「マクロな」とは前記ブロック共重合体樹脂が形成するミクロ相分離構造の周期より大きいサイズであることを指す。
マクロなドメインが生じる場合、前記ドメイン中ではそのドメインを構成している一方のブロック共重合体樹脂のみからなるミクロ相分離構造が形成され、本願発明が目的とするブレンドを用いてパターンのサイズを制御する効果が失われる。
マクロなドメインを生じないためには、ブレンドする2種類以上のブロック共重合体樹脂が、それぞれ単独で形成するミクロドメイン構造の種類が異ならないことが好ましい。
共にラメラ構造を形成するブロック共重合体樹脂の組合せを好適に用いることができる。
マクロなドメインを生じないためには、ブレンドする2種類以上のブロック共重合体樹脂の比率にもよるが、前記樹脂の中で最も分子量が小さいものSの分子量Mと最も分子量が大きいものLの分子量Mの比M/Mが概略9を超えないことが好ましい。
更に好ましくは上記M/Mが概略5を超えないものが用いられる。
但し、仮にM/Mが5より大きな値であったとしても、前記SとLのブレンド比が所定の範囲内にある場合は、マクロなドメインが形成されず本願発明に用いることができる。
例えば、ポリスチレンとポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体PS−PMMAについて、M/Mが5.7の場合、Lの重量分率が概略40%より大きい範囲ではマクロなドメインが形成されないことが分かっている。
更に、例えば、ポリスチレンとポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体PS−PMMAについて、M/Mが9.4の場合、Lの重量分率が概略50%より大きい範囲ではマクロなドメインが形成されないことが分かっている。
基板としては、ガラス、シリコン、シリコン酸化物、チタニアやインジウム錫酸化物(ITO)などの各種金属酸化物、カーボンや各種金属などからなる無機基板や、各種の樹脂基板などを使用目的に応じていずれも選択することができる。
前記基板の表面は以下で具体的に説明する表面粗さを有するものとする。
ここで必要とされる基板表面の表面粗さについて本願発明の原理に基づいて説明する。
基板上にAブロックから成るラメラ及びBブロックから成るラメラの2種のラメラから成る交互ラメラ構造を有するブロック共重合体膜が存在する場合を考える。
平坦な基板上にブロック共重合体膜を作製した場合、基板との親和性が良い方のAブロックからなるラメラが基板に接するように、ブロック共重合体膜は基板に平行に配向したラメラ構造をとる(以下これを平行配向ラメラ構造と呼ぶ)。これは、基板とAブロックから成るラメラとの間の界面張力が基板とBブロックから成るラメラとの間の界面張力よりも小さいことを意味する。
基板の表面を徐々に粗くしてゆくと、各ラメラはその表面形状に沿ってうねらなければならなくなり、基板とAブロックから成るラメラとの間の界面自由エネルギー及びABラメラ間の界面自由エネルギーが増加する。基板の表面粗さが所定の値(これを臨界値と呼ぶ)を超えたとき、垂直配向ラメラ構造をった方が系全体の自由エネルギーが低くなる。すなわち、表面粗さが臨界値よりも小さい場合には平行配向ラメラ構造が好まれ、臨界値よりも大きい場合には垂直配向ラメラ構造が好まれる。
この臨界値は、ブロック共重合体膜が形成される雰囲気(例えば空気中)とブロック共重合体膜を構成する各ブロックとの表面張力、基板と各ブロックとの界面張力、異種ブロック間の界面張力、及び分子量により決まる。これらの関係は次の式で表される。
Figure 2005118963
γA,air、γB,airはそれぞれブロック共重合体膜のAブロック、Bブロックと空気との間の表面張力、γA,subs、γA,subsはそれぞれAブロック、Bブロックと基板との間の界面張力、γA,BはAブロックとBブロックの間の界面張力である。f(d/dref)はブロック共重合体膜内のブロックのラメラ間距離d(詳しくは、所定の基準ラメラ間距離drefに対する比)に依存する値であり、d=drefのときf(d/dref)=1であり、(qR)は一般にdに依存する。
また、d/drefの値が小さくなるとf(d/dref)の値は大きくなる。すなわち、ラメラ間距離dが小さくなると臨界特性表面粗さの値は大きくなる。
なお、基板表面から膜表面まで垂直な配向ラメラ構造が形成されるためには、γA,airとγB,airの差は小さいことが望ましく、∂air、∂subsの値は0.5mN/mより小さくなければならない。ポリスチレン−ポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体の場合は∂air=│γPS,air−γPMMA,air│=0.1mN/mである。
上式における表面粗さ(の臨界値)は、特性表面粗さで表されるものである。
特性表面粗さとは、基板表面の断面形状に基づき、基板面と平行な方向をx方向、基板面と垂直な方向をz方向としたときの、x方向における表面の凹凸の平均周期λの逆数とz方向の振幅から得られる数値である。
具体的に特性表面粗さは、q=2π/λと、基板表面の平均面mからの個々の場所における表面の偏差Δzの二乗平均根で定義されるRとの積qRで得ることができる。
この特性表面粗さは単位を持たない無次元値であり、λやΔzの絶対的な大きさによらず形状だけを表すものである。
基板の特性表面粗さをこの臨界値以下として基板上に垂直配向ラメラ構造を有するブロック共重合体膜を作製した場合、それを加熱すると、(qR)の大きさに依存する或る特定の時間の後にブロック共重合体膜は平行配向ラメラ構造に変化する。
例えば、ITO基板上に分子量約38,000のポリスチレンと分子量約36,800のポリメタクリル酸メチルのブロック共重合体PS−PMMAからなる膜を載置した場合について、特性表面粗さの値が0.3では前記膜には200℃で200分程度熱処理を行うと平行ラメラ構造が発現する。
しかし特性表面粗さの値が0.38以上になると、前記膜のミクロドメイン構造はいくら長時間加熱しても平行配向ラメラ構造とはならず、恒久的に垂直配向ラメラ構造が維持された。
このように恒久的に垂直配向ラメラ構造が維持される特性表面粗さを臨界特性表面粗さ(又は臨界値)という。
一方、前記式1右辺のf(d/dref)を除いた項に各表面張力及び界面張力γA,air、γA,air、γA,subs、γA,subs、γA,Bの値を入れて計算すると、(qR)=0.36となる。これは、実験的に見積もられた臨界値と符合する。
従って、PS−PMMAの場合、PSブロックの分子量38,000、PMMAブロックの分子量36,800のPS−PMMAのラメラ間距離dがほぼ基準ラメラ間距離drefとなることがわかる。これより、任意の分子量のPS−PMMAに対して臨界特性表面粗さ(qR)を決定することができる。なお、PS−PMMAの場合、ラメラ間距離dはブロック共重合体の平均重合度Nとの関係で、Nが280以上の場合、d=0.3N0.75[nm]で近似されることがわかっている。
また、上記臨界値0.36の値は、PSブロックの分子量とPMMAブロックのそれぞれの分子量が概略18,000まで小さいものであっても当てはまることが分かっている。
上記臨界値以上の表面粗さを基板表面に導入する方法としては、真空蒸着やスパッタリングなどを用いて適当な基材の上に基板材料を乱雑に堆積することによって得ることが出来る。例えばガラス基材上に真空蒸着されたITO基板は、蒸着条件を適当に選ぶことにより本願発明で必要とされる特性表面粗さを有するものが容易に得られる。
あるいは基板表面を、摩擦、化学エッチング、陽極酸化、レーザー照射、電子線照射、イオン衝撃などの各種の手法により適度に荒らすことによって臨界値以上の表面粗さを基板表面に導入することができる。
または、予め臨界値以上の表面粗さを有する表面を先に挙げた手法などを用いて用意しておき、この表面のレプリカを樹脂などを用いて作製することにより臨界値以上の表面粗さを有する基板を複製することができる。
例えば、真空蒸着によって作製した所定の表面粗さを有するITO基板上に、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸樹脂溶液を塗布製膜し、次いで加熱により溶媒を除去すると共に前記ポリアミック酸樹脂をイミド化し、上記ポリイミド膜をITO基板から剥離することによって、本願発明に供される臨界値以上の表面粗さを有するポリイミド樹脂基板を作製することができる。
ブロック共重合体を前記基板上に載置する方法としては、該ブロック共重合体を揮発性有機溶剤に溶解させた樹脂溶液を調整した後、スピンコート法、溶媒キャスト法、ロールコート法、浸漬コーティング法、カーテンコート法などの一般的な塗布方法を採用することができる。
このようにブロック共重合体の膜を該樹脂の溶液を用いて基板上に載置する場合、前記基板は有機溶剤に対して安定な材質でなければならない。この点から各種の無機基板やポリイミド樹脂など耐溶剤性に優れた材質からなる基板が好適に用いられる。
更に塗布工程中にブロック共重合体の膜が基板から脱濡れして不均一な膜になることを防止するために、前記基板はブロック共重合体樹脂と親和性を持ったものが選択される。
溶液から塗布され乾燥されたブロック共重合体の膜は、しばしば無秩序で熱的に不安定な構造を示す。これは該溶液が塗布されて乾燥される工程で、ブロック間のミクロ相分離過程を完了させ秩序だったミクロドメイン構造を形成させるのに必要な時間が不足するためによる。
このため、ブロック共重合体の膜を基板上に載置した後、必要に応じて前記膜の熱処理を行う。この熱処理工程によりブロック共重合体のミクロドメイン構造を配列させることができる。
熱処理温度はブロック共重合体を構成する各ブロック成分のガラス転移温度のうち、最も高いものと同程度あるいはそれ以上とする。
熱処理温度が上記ガラス転移温度に比べて高いほど熱処理を行う時間は短くてよくなるが、ブロック共重合体樹脂の熱劣化が生じないように該樹脂の熱分解温度より低く設定する。
例えば、ポリスチレンとポリメタアクリル酸メチルからなるブロック共重合体について、熱処理として温度140℃以上の加熱処理が用いられる。更に好適には190〜270℃において10分以上の加熱処理が用いられる。
加熱によるブロック共重合体膜の酸化劣化を防ぐため、不活性雰囲気または真空中における熱処理が好適に用いられる。
ブロック共重合体膜の基板はこの熱処理に耐え得るものでなければならない。この点でも各種の無機基板や、ポリイミドなど耐熱樹脂からなる基板が好適に用いられる。
ブロック共重合体混合物の平均分子量及びその種類に応じた適当な特性表面粗さを有する基板を使用することにより、容易にミクロドメイン構造が基板表面に対して垂直に配向した構造を有する膜を作製することが可能である。
ブロック共重合体がラメラ構造を形成する場合、本願発明により容易にラメラ構造が基板表面に対して垂直に配向した構造を有する膜を作製することが可能となる。
このようにして作製された膜の垂直に配向した構造は、該膜を前記基板から剥離しても、全てのブロック成分のガラス転移温度以上に長時間加熱処理されない限り維持される。
更には剥離した膜を別の適当な基板上に移して用いることが可能である。この場合も全てのブロック成分のガラス転移温度以上に長時間加熱処理されない限り垂直に配向した構造は維持される。
更に、垂直配向ラメラ構造を有する膜に対しては、特定の試薬での処理、プラズマ処理、紫外線照射等で当該試薬等に耐性を持たない一方の部位のみを侵食除去することにより、膜の微細加工を行うことが可能である。
本願発明のおいては、上記のブロック共重合体膜に白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散している。
ここで白金ナノ粒子とは、直径が概略1nm以下から概略5nm程度のものであって、白金の結晶からなり、粗大な凝集塊を形成することなく膜中に均一に分散しているものをいう。
前記白金ナノ粒子が白金の結晶からなっていることは、該粒子を含む膜のX線回折を測定することにより、白金の立方晶の対称性に由来する回折ピークを観察することで確認できる。特に回折プロファイル中でd値=2.265Å、1.9616Å、1.3873Å、1.1826Å、1.1325Å、0.9808Å、0.9000Å、0.8773Å付近に回折ピークが生じることにより確認することができる。上記回折ピークはそれぞれ白金結晶の(111)、(200)、(220)、(311)、(222)、(400)、(331)、(420)の各面の反射に相当している。
また粗大な凝集塊とは、ナノ粒子が互いに合体することにより概略10nm以上の大きな塊になっているものをいう。
上記樹脂中に白金錯体を導入する方法としては、好ましくは、ブロック共重合体膜を白金錯体の蒸気と接触させること方法がある。
白金錯体としては、例えば、白金アセチルアセトナートが好ましい。
ブロック共重合体膜に白金錯体の蒸気を接触させる条件としては、例えば140℃以上の温度、更に好ましくは200℃以上の温度に保たれた雰囲気が用いられる。但し、前記温度はブロック共重合体が熱劣化を示さない温度範囲で選択される。
ブロック共重合体膜に白金錯体の蒸気を接触させる時間は1時間程度以上が好ましく、更に好ましくは2時間以上である。
ブロック共重合体膜の内部で白金錯体を還元する方法としては、好ましくは熱還元が用いられる。また、還元剤などを用いることができる。
ブロック共重合体膜中の白金錯体を熱還元する条件としては、少なくとも200℃以上の温度、より好ましくは220〜260℃の温度範囲が用いられる。
ブロック共重合体膜中で還元された白金錯体は、特定のモノマー成分からなるミクロドメインに選択的に白金ナノ粒子を生じせしめる。
例えばPS−PMMA膜中で白金錯体を還元した場合、PSドメイン中に選択的に白金ナノ粒子が形成される。その結果、白金ナノ粒子の膜中の分布の態様にはPSドメインとPMMAドメインの分布に対応した疎密が生じる。ここで本願発明においてPS−PMMA膜中には先に述べた如くPSドメインとPMMAドメインが膜表面に垂直に配向した規則構造を形成しているため、白金ナノ粒子の分布の疎密も膜表面に沿って周期的且つ規則的になる。
本願発明においては、上記の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に分散したブロック共重合体膜を、他の基材上に載置し、次いでブロック共重合体樹脂を分解除去することによって得られる白金ナノ粒子を担持した基材を製造することができる。
ブロック共重合体樹脂を分解除去する方法としては、前記樹脂の熱分解温度以上にまで加熱することにより該樹脂を熱分解する方法、紫外線やレーザー、電子線あるいはイオンビームなどの照射により前記樹脂を分解する方法、オゾンとの接触により前記樹脂を酸化分解する方法、プラズマとの接触により前記樹脂を分解する方法などが好適に用いられる。
熱分解法の条件としては、例えばPS−PMMAに関して、PSの熱分解温度が概略300℃程度(例えばPolym. Degrad. Stab. , 10 , 4 , 353-367(1985)を参照)、PMMAの熱分解温度が概略270℃程度(例えばPolym. Bull. , 39 , 1 , 79-84(1997)を参照)であるので、300℃以上の温度が好適に用いられる。
紫外線照射を用いて樹脂を分解除去する方法の条件としては、通常のUVランプ(例えばD2ランプ)などを用いることも出来るが、波長85-167nmの真空紫外線(VUV)を好ましく用いることもできる。また紫外線照射にあたり、酸素ガス雰囲気や、加熱雰囲気などが好ましく用いられる。更に樹脂の分解を促進する適当な添加剤などを樹脂中に予め混合しておくこともできる。
上記の白金ナノ粒子を担持した基材は、酸化反応などの触媒として用いることができる。
ガラス上に蒸着された表面粗さ15nmであって、特性表面粗さ0.6のITOを基板として用いた。
PS−PMMA樹脂として、アニオン重合により合成したPSブロックの分子量50,000、PMMAブロックの分子量54,000のものを用いた。
このPS−PMMA樹脂をトルエンに溶解し均一溶液とした。
上記溶液を前記ITO基板上にスピンコートし、有機溶剤を揮発させた後、230℃で2時間、窒素ガス雰囲気下で加熱することにより各ブロック共重合体を配列させた。
膜の内部構造の観察は日本電子製200FX透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて行った。
TEM観察により、該膜の内部にはラメラ状のPSドメインとPMMAドメインが形成され、これらのドメインはラメラ状であり、更に前記ラメラ状ドメインは膜表面に対して垂直に配向している垂直配向ラメラ組織を形成していることが分かった。また前記ラメラ状構造の周期は概略50nm程度であった。
膜の表面構造の観察はデジタルインスツルメンツ製ナノスコープIII原子間力顕微鏡(AFM)を用いて行った。
AFM観察により、上記膜の表面には、膜面に垂直に且つ交互に並んだPSラメラとPMMAラメラを反映したストライプ状の組織が形成されていた。
前記膜を白金アセチルアセトナートと共に密閉容器中に封入し、前記容器中を真空排気した後、容器全体を240℃に加熱した。この時、膜と白金錯体は直接接触しないように容器中で配置した。
白金アセチルアセトナートは容器中で昇華し、膜中に拡散するとともに熱還元され、白金粒子を生じた。白金粒子の形成を反映して、膜の色は最初の透明な色から黒味がかった色へと変化した。
昇華した白金錯体とPS−PMMA膜の上記接触工程を2時間行った後、PS−PMMA膜を密閉容器より取り出し、工程を終了させた。
得られた膜の内部をTEM観察したところ、PSラメラとPMMAラメラからなるミクロ相分離構造を損なうことなく、PSドメイン中に選択的に粒子が形成されており、更にPSドメイン中に形成されたナノ粒子は概略0.8nm程度から概略4nm程度の直径を有しており、凝集して粗大粒子を形成することなく均一に(PSドメイン中に)分散していた。
この膜の広角X線回折を測定したところ、白金結晶の(111)、(200)、(220)、(311)、(222)、(400)、(331)、(420)の各面の反射に相当する強い回折ピークが観察され、TEMで観察されたナノ粒子は白金金属からなることが示された。
(比較例1)
PS-PMMA膜を白金錯体蒸気に接触させる工程を190℃で行った以外は、実施例1と同様にして、白金ナノ粒子が分散したPS−PMMA樹脂膜を作製した。しかし、TEM観察によっても該膜中にナノ粒子の形成は確認できなかった。
本願発明でいう垂直配向ラメラ組織の概略図。ブロック鎖PA及びPBからなるPA−PBブロック共重合体樹脂1が基板2上に載置され、樹脂1中でPA及びPBはそれぞれドメイン11及び12に相分離している。 本願発明による白金ナノ粒子が分散したブロック共重合体樹脂膜の概略図。白金ナノ粒子3は、ブロック鎖PA及びPBからなるPA−PBブロック共重合体樹脂1中で、選択的にPAからなるドメイン11に分散している。 実施例1により作製した白金ナノ粒子分散PS−PMMA膜のTEM観察像。図左上に示したスケールバーは50nmを表す。図中明るく見えている領域はPMMAドメイン、薄暗く見えている領域はPSドメインである。真黒に見える小さな粒子が白金粒子である。 実施例1により作製した白金ナノ粒子分散PS−PMMA膜のWAXSプロファイル。ピークに表示した指数は対応する白金結晶の反射面。*印をつけたピークは基板(ITO)からの回折。

Claims (9)

  1. (1)1nm以上の表面粗さを有する基板上に載置された2種類以上の互いに非相溶な高分子が互いの末端で結合してなるブロック共重合体樹脂からなる膜であって、(2)該樹脂が基板表面に対して垂直に配向したミクロドメイン構造を有し、かつ(3)白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散していること
    を特徴とするブロック共重合体膜。
  2. 該白金ナノ粒子が、特定の高分子成分からなるミクロドメインに選択的に分散されることによって、白金ナノ粒子の分布の疎密が周期的且つ規則的になっていることを特徴とするブロック共重合体膜。
  3. 該1nm以上の表面粗さを有する基板上にブロック共重合体樹脂を載置した後、該樹脂を熱処理することにより、基板表面に対して垂直に配向したミクロドメイン構造を有するブロック共重合体膜を作製する工程を含むことを特徴とする請求項1〜2に記載のブロック共重合体膜。
  4. 該白金ナノ粒子が、該ブロック共重合体樹脂が白金錯体を含み、ブロック共重合体膜の内部で白金錯体を還元することによって製造されることを特徴とする請求項1〜3に記載のブロック共重合体膜。
  5. 基板表面に対して垂直に配向したミクロドメイン構造を有するブロック共重合体膜を白金錯体の蒸気と接触させることにより、上記樹脂中に白金錯体を導入することを特徴とする請求項1〜4に記載の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散したブロック共重合体膜の製造方法。
  6. ブロック共重合体膜を白金錯体の蒸気と接触させる工程を、少なくとも1nm以上の表面粗さを有する基板上にブロック共重合体膜が載置された状態で実施することを特徴とする請求項1〜5に記載の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散したブロック共重合体膜の製造方法。
  7. ブロック共重合体膜を白金錯体の蒸気と接触させる工程を、少なくとも200℃以上の温度で行うことによって、上記樹脂中に導入された白金錯体を次いで熱還元し白金ナノ粒子を形成せしめることを特徴とする請求項5〜6に記載の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に微分散したブロック共重合体膜の製造方法。
  8. 請求項1〜7に記載の白金ナノ粒子が表面あるいは内部に分散したブロック共重合体膜を、他の基材上に載置し、次いで前記ブロック共重合体樹脂を分解除去することによって得られる白金ナノ粒子を担持した基材。
  9. 請求項8に記載の白金ナノ粒子を担持した基材を用いることを特徴とする触媒。
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