JP2005117387A - 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透過性のある印刷媒体で確実にカラーマッチングを行うことは困難であった。
【解決手段】 第1色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第1画像データを第2色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第2画像データに変換するにあたり、上記第1画像データを取得し、第1の下地に載置した印刷媒体における色と第2の下地に載置した印刷媒体における色との差異を示す差分データを取得し、上記差分データを参照し、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して上記第1画像データを第2画像データに変換する。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第1画像データを第2色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第2画像データに変換するにあたり、上記第1画像データを取得し、第1の下地に載置した印刷媒体における色と第2の下地に載置した印刷媒体における色との差異を示す差分データを取得し、上記差分データを参照し、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して上記第1画像データを第2画像データに変換する。
【選択図】 図1
Description
本発明は画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷制御装置に関する。
プリンタにて印刷を行う際には、ディスプレイまたは印刷物における出力とプリンタによる出力とで色を一致させるため、カラーマッチングを行っている。カラーマッチングにおいては、プリンタにおける出力色を測色して所定の色空間の色成分値を取得し、ディスプレイまたは印刷物で使用する色成分値をプリンタで使用する色成分値に変換するルックアップテーブル(LUT)やプロファイルを作成している(例えば、特許文献1)。
特開平10−285416号公報
従来のカラーマッチングにおいては、ある特定の条件においてプリンタの出力色を測色しており、透過性のある印刷媒体で確実にカラーマッチングを行うことは困難であった。すなわち、プリンタにおける印刷媒体は種々のものがあり、下地が透けて見える印刷媒体も存在する。このような印刷媒体を上記LUTやプロファイルの作成時と異なる下地に載置して印刷結果を視認すると、印刷媒体上の色が異なって視認され、カラーマッチングがなされなかった。上記、特許文献1においては、用紙の地肌色を測色しているが、やはりこの測色時の下地と異なる下地ではカラーマッチングがなされない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、基準の下地と異なる下地に載置した印刷媒体においてもカラーマッチングを行うことが可能な画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷制御装置の提供を目的とする。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、基準の下地と異なる下地に載置した印刷媒体においてもカラーマッチングを行うことが可能な画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷制御装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では異なる下地に載置した印刷媒体上の色の差異を示す差分データを取得し、この差分データを参照して下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償する補償量を算出する。そして、この補償量に従って色の変動を補償しながら色変換を行う。すなわち、少なくとも2つの下地について印刷媒体における色の差異を知ることができれば、下地が異なることによって印刷媒体上でどの程度色が変動するのかを把握することができる。この変動を把握することができれば、基準の色からの変動をどの程度補償すればよいのかを把握することができ、下地に起因して生じる色の変動を補償することができる。
ここで、第1色空間と第2色空間とは特に限定されないが、カラーマッチングを行う2種の画像機器のそれぞれにおいて使用する色空間であると好ましい。例えば、ディスプレイにおける色をプリンタにおける色に変換する画像処理であれば、第1色空間としてはsRGB色空間やCMYK色空間等が好ましく、第2色空間としてはCMYK色空間やCMYKlclm,CMYKlclmDY色空間等が好ましい。尚、RGBはそれぞれレッド,グリーン,ブルーであり、CMYKlclmDYはそれぞれシアン,マゼンタ,イエロー,ライトシアン,ライトマゼンタ,ダークイエローである。むろん、これらは一例であり、他の色成分を含む色空間や上述の色のいずれかを含まない色空間であっても良い。
本発明においては、第1の下地と第2の下地とにより少なくとも2つの下地に載置した印刷媒体における色の差異を知ることができればよいが、むろん、3つ以上の下地について印刷媒体における色の差異を示す差分データを取得するようにしても良い。また、2つの下地のうち第1の下地を基準とし、第2の下地を比較用の下地として差分データを作成したとき、第2画像データが当該第2の下地における色になるようにするには、上記差分データ自体を基準の色からの変動を補償する補償量とすることができる。
また、第2画像データが第2の下地と異なる第3の下地における色を示すようにする場合であっても差分データを参照すれば補償量を算出することができる。すなわち、第1の下地および第2の下地と第3の下地との相対関係(下地自体の色の差異)が分かれば、差分データから第1の下地と第3の下地とのそれぞれに印刷媒体を載置した状態での色の差異を類推することが可能であり、補償量とすることができる。尚、下地は印刷媒体の下に配置される物体であり有色であれば特に限定されないが、下地の色が印刷媒体を透過することによる影響は明度に対する影響が大きい。
従って、無彩色の下地が好ましい。また、上記第3の下地について選択肢を増やすという意味では明度の両極端(黒あるいは白)を第1の下地,第2の下地とするのが好ましい。むろん、単純な演算で補償量を決定するためには一様な色の物体であることが好ましい。尚、印刷媒体によって下地の透過具合が異なり得るので、異なる印刷媒体について下地に起因して生じる変動を補償するためには、印刷媒体の種類毎に上記差分データを取得する構成が好ましい。
上記基準の色は特定の下地においてカラーマッチングを行う際の色であり、色変換手段において上記変動を補償しない場合の第2画像データが示す色である。すなわち、色変換手段においては、第1画像データを第2画像データに変換することが可能であり、その変換の過程で補正を実施しない場合の第2画像データが示す色を基準の色とする。また、色変換手段においては、この変換の過程で差分データを参照して上述の補償を実施可能であることにより、第2画像データが示す色が基準の色と異なるように変換可能である。
この色変換手段においては、上記第1画像データを第2画像データに変換するにあたり、上記補償を行うことができればよく、種々の構成を採用可能である。例えば、第1の下地に載置した印刷媒体における色を示す上記第2色空間の色成分値と所定の色空間の色成分値との対応関係を示すプロファイルデータを参照した色変換を実施可能に構成することができる。ここで、プロファイルとしてはLUTでもよいし関数によって色の対応関係を規定したデータでも良い。
所定の色空間としては、上記第1色空間であっても良いし機器非依存色空間であっても良い。前者によれば、第1画像データと第2画像データとを直接的に対応づけるLUTや関数を示すデータが上記プロファイルデータとなるし、後者によれば、第2画像データと機器非依存色空間中のデータとを対応づけるLUTや関数を示すデータが上記プロファイルデータとなる。むろん、この場合、第1画像データと機器非依存色空間中のデータとを対応づけるLUTや関数を示すデータも予め用意しておき、第1画像データを一旦機器非依存色空間中のデータに変換した後、第2画像データに変換する。
かかる構成においては、色変換手段での変換に際して機器非依存色空間のデータを補正すればよい。すなわち、機器非依存色空間で補正を行えば、単に補正後の値について上記プロファイルデータによって変換するだけで、補正後の色を出力するための第2画像データを容易に算出することができる。また、差分データにおいては異なる下地に載置した印刷媒体における色の差異を示すが、色を機器非依存色空間内で表現すれば容易かつ客観的に色を特定することができる。すなわち、機器非依存色空間内の色成分毎の差分値を差分データとすれば、複数の色の差異を容易かつ客観的に表現することができる。従って、差分データから容易に上述の補償量を算出することが可能になり、本発明を容易に実施することが可能になる。
上述のように差分データから基準の色からの変動を補償する補償量を算出することが可能であるが、この場合の好適な構成例として上記差分データに重み付け係数を乗じて上記色の変動を補償する補償量とする構成を採用可能である。すなわち、差分データは印刷媒体の下に第1の下地,第2の下地を配置した場合の色の差異を示しているので、この差分データに重み付け係数を乗じれば色の差異を示す値の大きさを調整して印刷媒体の下に第1の下地,第2の下地を配置した場合の色の差異と異なる値にすることが可能である。
また、重み付け係数は第2の下地の色と第3の下地の色との近似度を示す係数である。従って、この重み付け係数によって差分データを補正することにより、印刷媒体の下に第1の下地,第3の下地を配置した場合の色の差異を算出することが可能になる。かかる構成により、第2の下地のみならず、第3の下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償することが可能になる。尚、近似度を示す係数としては、第2の下地と第3の下地の色が近いほど”1”に近く、第1の下地と第3の下地の色が近いほど”0”に近い係数であればよい。
かかる構成によれば、第2の下地と第3の下地の色が近いほど差分データの補正量を小さくすることができるし、第1の下地と第3の下地の色が近いほど色変換時の補償量を小さくすることができる。近似度を決定するに際しては、種々の構成を採用可能であるが、第3の下地の色を示すデータを入力可能にしておき、この入力により第2の下地の色と第3の下地の色との近似度を算出する構成等を採用可能である。
差分データでは下地が異なることによって色が変動する様子を示すことができればよく種々の構成を採用可能である。例えば、第1の下地に印刷媒体を載置した状態でその印刷媒体の色を測色して色彩値を取得し、第2の下地に印刷媒体を載置した状態でその印刷媒体の色を測色して色彩値を取得して両色彩値の差異を示すデータを差分データとする構成を採用可能である。色変換手段においては、この差分データから補正量を算出する。
すなわち、印刷媒体上にインクを記録して画像を形成するとしても微視的にはそのインクの周りにインクが記録されていない部位が存在し得るし、印刷媒体の色に起因してインクの発色(特に明度)が異なり得る。そこで、印刷媒体の色が印刷媒体上の色の土台になっているとして、異なる下地にて生じる印刷媒体の色の差異を補正量とする。補正に際しては、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償するように上記第1画像データの色を示す色彩値に対してこの補正量を増減する。例えば、上記色彩値を所定の色空間内で考えたとき、上記基準の色に対して上記色彩値の差異を示すベクトルの逆ベクトルに相当する補正を施せば、下地による色の変動を相殺するように予め補正を行うことができる。
尚、第1画像データの色を示す色彩値は機器非依存色空間中の色として表現されていることが好ましい。すなわち、プロファイルデータによって第1画像データの色を機器非依存色空間中の色に変換し、さらに第2画像データに変換する構成において、差分データあるいは当該差分データに重み付け係数を乗じた値で機器非依存色空間中の色を補正することにより、容易に上記補償を行いながら色変換を実施することが可能になる。
さらに、差分データとして印刷媒体に印刷したパッチの色の差異を示すデータを採用しても良い。例えば、印刷媒体に対して複数の色のパッチを印刷し、第1の下地に印刷媒体を載置した状態でパッチの色を測色して色彩値を取得し、また、第2の下地に印刷媒体を載置した状態でパッチの色を測色して色彩値を取得する。そして、両色彩値の差異を示すデータを差分データとする構成を採用可能である。色変換手段においては、この差分データから色毎の差異を考慮した補正量を算出する。
すなわち、印刷媒体上に記録されたインクが視認される際の色はその下地によって異なり得るが、その差異の程度はインクの色によって異なり得る。例えば、濃いインクと薄いインクとでは異なるし、インクの色相によっても異なる。そこで、色毎に差分データを取得し、色毎に上記補償を行うための補正量を算出する。一般的に印刷媒体上の色は複数色のインクを重畳した状態で表現されるので、第1画像データの色を示す色彩値が下地によって変動する量は、上述の色毎の補正量に色毎の重み付け係数を乗じて足し合わせることによって算出することができる。
尚、ここでも下地による色の変動を相殺するように補正を行えばよい。また、第1画像データの色を示す色彩値は機器非依存色空間中の色として表現されていることが好ましい。すなわち、プロファイルデータによって第1画像データの色を機器非依存色空間中の色に変換し、さらに第2画像データに変換する構成において、色毎の差分データあるいは当該色毎の差分データに重み付け係数を乗じた値に対してさらに色毎の重み付け係数を乗じた値で機器非依存色空間中の色を補正することにより、容易に上記補償を行いながら色変換を実施することが可能になる。
また、上記色毎の重み付け係数は、第1画像データの色を示す色彩値をインクの色に分解して表現したときに、全体のインクに対する各色の割合を係数とするなどして算出可能である。第1画像データがインクの色と同等の色成分で構成されていれば、第1画像データから重み付け係数を算出すればよいし、第2画像データがインクの色と同等の色成分で構成されていれば補正を行わずに第2画像データを求めて重み付け係数を算出し、その後に再度補正を行って第2画像データを算出しても良い。むろん、第1画像データがインクの色と同等の色成分で構成されていない場合に、所定の変換式によってインクの色と同等の色成分に変換しても良い。
差分データ取得手段において差分データを取得するための構成としては種々の構成を採用可能である。その構成例として、少なくとも上記第2の下地に載置した印刷媒体における色を所定の測色機で測色した測色結果を示すデータを取得する構成を採用可能である。すなわち、色変換手段において上記第1画像データを第2画像データに変換可能にするには、上述のようにLUT等のプロファイルデータを参照する構成が好ましい。
かかる構成において、このプロファイルを作成するとき、第2画像データの色は所定の下地に載置した印刷媒体上の色を測色する。そこで、この下地を第1の下地とすれば、上記プロファイルから第1の下地に載置した印刷媒体における色を所定の測色機で測色した測色結果を実質的に算出することができる。そこで、上記第2の下地について測色結果を示すデータを取得すれば、容易に差分データを算出することが可能である。むろん、第1の下地に載置した印刷媒体における色を所定の測色機で測色した測色結果を示すデータを取得する構成であっても良い。また、上記プロファイルを作成するときには、予め決められた白あるいは黒の下敷きを基準の下地とするのが通常である。そこで、これらの下地のいずれかを上記第1の下地および第2の下地としても良い。
ところで、上述した画像処理装置は、単独で実施される場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で他の方法とともに実施されることもあるなど、発明の思想としては各種の態様を含むものであって、適宜、変更可能である。また、上述した異なる下地における色の差異を示すデータに基づいて色の変動を補償する手法は、所定の手順に従って処理を進めていくうえで、その根底にはその手順に発明が存在するということは当然である。したがって、本発明は方法としても適用可能であり、請求項7にかかる発明においても、基本的には同様の作用となる。本発明を実施しようとする際に、画像処理装置にて所定のプログラムを実行させる場合もある。本発明は、そのプログラムとしても適用可能であり、請求項8にかかる発明においても、基本的には同様の作用となる。
むろん、請求項2〜請求項6に記載された構成を上記方法やプログラムに対応させることも可能である。また、いかなる記憶媒体もプログラムを提供するために使用可能である。例えば、磁気記録媒体や光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現される場合においても本発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記録しておいて必要に応じて適宜読み込む形態のものも含まれる。さらに、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く同等である。
さらに、本発明のように下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償するか否かを利用者が決定できるように構成しても良い。かかる構成を備える画像処理装置は、印刷装置を制御する印刷制御装置に適用して特に好適である。すなわち、印刷制御装置において明示的な指示がない場合には予め用意されたプロファイルを参照して色変換を行うように構成しつつも、利用者の選択により本発明による補償を伴った色変換を実施できるように構成する。かかる構成によれば、確実なカラーマネジメントを所望する利用者のニーズに応じることができる。むろん、以上の構成は方法あるいはプログラムの発明としても成立する。
また、印刷制御装置にて本発明を提供する際には、上述の差分データを作成するためのデータとして印刷物を視認する環境での下地に載置した印刷媒体における色を所定の測色機で測色した測色結果を示すデータを取得しても良い。このデータから作成した差分データによれば、印刷物を視認する環境での下地における色と基準の色との差を正確に算出することができ、正確に色の補償を実施可能になる。また、測色機を所有する利用者が測色を実施して上記測色結果を示すデータを作成するように構成すれば、個々の利用者における環境に的確に対応し的確に色の補償を実施することが可能になる。むろん、以上の構成は方法あるいはプログラムの発明としても成立する。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷制御処理の概要:
(2)印刷制御装置の構成:
(3)印刷制御処理の詳細:
(4)他の実施形態:
(1)印刷制御処理の概要:
(2)印刷制御装置の構成:
(3)印刷制御処理の詳細:
(4)他の実施形態:
(1)印刷制御処理の概要:
図1は、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して印刷を実行する印刷制御処理例を概略的に説明する説明図である。同図においては、本発明にかかる印刷制御処理での色変換を概略的に示している。色変換に際しては、各画素の色をディスプレイで使用する色成分値(第1色空間の色成分値)で表現した画像データを取得し、各画素の色をプリンタで使用するインク色の色成分値(第2色空間の色成分値)で表現したデータに変換する。本発明においては、この色変換に際して下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償できるようにしている。
図1は、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して印刷を実行する印刷制御処理例を概略的に説明する説明図である。同図においては、本発明にかかる印刷制御処理での色変換を概略的に示している。色変換に際しては、各画素の色をディスプレイで使用する色成分値(第1色空間の色成分値)で表現した画像データを取得し、各画素の色をプリンタで使用するインク色の色成分値(第2色空間の色成分値)で表現したデータに変換する。本発明においては、この色変換に際して下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償できるようにしている。
色変換時には第1色空間の色成分値を第2色空間の色成分値に変換する基準のプロファイルを参照して補間演算を実施する。この基準のプロファイルは種々の態様を採用可能であるが、上述のように第2色空間の色成分値はインク色毎の色成分値であり、このインク色毎の色成分値は機器依存色成分値である。インク色毎の色成分値は、各インク色のインク量を階調値によって指定したものであるが、その階調値によって特定される色はプリンタの機種やインクの種類等によって異なり得る。
そこで、基準のプロファイルを作成する際にはこのプロファイルを適用するプリンタによってパッチを印刷し、その色を測色して機器非依存色空間中の色と対応づける。この測色時には、パッチを印刷した印刷媒体Pを基準の下地B1(黒色)の上に載置し、特定の光源でパッチを照射し、その反射光を計測する。この測色により第2色空間の色成分値で表現される色を機器非依存色空間中の色で特定することができ、この色に相当する第1色空間の色成分値を特定できるようにすることで基準のプロファイルが作成される。
本来は、このプロファイルを参照して色変換したデータで印刷することにより、上記ディスプレイ上に表示される画像の色とプリンタで印刷される画像の色とを一致させるカラーマネジメントを行っている。しかし、図1の右側に示すように、プリンタで印刷された印刷媒体P2を上述の下地B1と異なる下地B2(白色)の上に載置すると、ディスプレイ上の画像の色と印刷された画像の色とが一致しないことがあり得る。
すなわち、印刷媒体P2が透過性を有し、下地の色がある程度透ける場合には透過によって下地の色も視認されるので、下地B2上に載置した印刷媒体と下地B1上に載置した印刷媒体とで視認される色が異なる。この結果、カラーマネジメントが的確にされていないことになる。そこで、本発明では、上述の基準のプロファイルにおける下地B1と他の下地B2とにおける色の差異に基づいて補正を行いつつ色変換を実施する。
このように、下地B1と下地B2とのそれぞれに印刷媒体を載置した状態での色の差異が判明していれば、この差異が補償されるよう補正を行って色変換を行い、印刷媒体P1に印刷することによって下地B2に載置して視認される色のカラーマネジメントを行うことができる。また、下地B1と下地B2とのそれぞれに印刷媒体を載置した状態での色の差異から、図示しない他の下地に印刷媒体を載置した場合の色と上記下地B1上に印刷媒体を載置した場合の色との差異を類推することができる。従って、他の下地に印刷媒体を載置した場合であってもカラーマネジメントがなされているように色変換を実施することが可能である。
(2)印刷制御装置の構成:
次に、上記印刷制御処理を実現するための装置構成を説明する。図2は、印刷制御処理を実施する印刷制御装置の第1実施形態を示すブロック図である。この第1実施形態はプリンタ40と、このプリンタ40を制御するコンピュータ10とによって構成される。コンピュータ10は汎用的なコンピュータによって実現可能である。すなわち、図示しないCPU,RAM,ROM等からなるプログラムの実行系やHDD15等の固定記憶装置,プリンタ40と接続可能にするI/F(インターフェイス)13a〜13c等を備えていればよい。
次に、上記印刷制御処理を実現するための装置構成を説明する。図2は、印刷制御処理を実施する印刷制御装置の第1実施形態を示すブロック図である。この第1実施形態はプリンタ40と、このプリンタ40を制御するコンピュータ10とによって構成される。コンピュータ10は汎用的なコンピュータによって実現可能である。すなわち、図示しないCPU,RAM,ROM等からなるプログラムの実行系やHDD15等の固定記憶装置,プリンタ40と接続可能にするI/F(インターフェイス)13a〜13c等を備えていればよい。
このコンピュータ10においては、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。入力機器DRV22はI/F13aを介してマウス11aやキーボード11bからのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバであり、ディスプレイDRV23はI/F13bを介してディスプレイにおける印刷対象の画像やUI等の表示を制御するドライバである。
本実施形態におけるプリンタ40ではCMYKの各色インクを搭載可能であり、各色インクをノズルから吐出することによって印刷媒体上に画像を形成する。上記PRTDRV21は、画像データに対する処理を行ってUSBI/F13cを介してプリンタ40に対して所定の印刷データを送信するドライバであり、当該PRTDRV21がOS20に組み込まれていることにより、コンピュータ10が本発明にかかる印刷制御装置として機能するようになる。
本実施形態において、この組み込み作業はインストールプログラム14によって実施される。インストールプログラム14は、図2に示すCD−ROM等に記録されており、これを図示しないRAM等に転送することによって実行される。尚、本実施形態において、プリンタ40の製造者はこのインストールプログラム14とともに本発明における補正を実施可能にするために必要な補正情報を上記CD−ROMに記録している。インストールプログラム14が実行されると、PRTDRV21を実行するために必要なプログラムモジュールやプロファイル等のデータをHDD15にコピーしたり、必要な設定を行うなどの処理を実行する。また、本実施形態では、インストールプログラムと補正を実施可能にするための必要な情報をCD−ROMから取得したが、これに限らず、インストールプログラムと補正を実施可能にするための必要な情報を記憶している他のPCなどに、USBやネットワークを介して接続することにより取得してもよい。
本実施形態においてプロファイルデータは、第1プロファイルと第2プロファイルとが存在する。図2においては、HDD15に複数の第1プロファイル15a(プロファイルa,b,,,,)と複数の第2プロファイル15b(プロファイルA,B,,,,)が記憶されている状態を示している。第1プロファイル15aは、ディスプレイ12で表示する画像または印刷物の色を表現したRGBまたはCMYK色空間の色成分値(入力RGB/CMYKデータ)をLab色空間(通常L*a*b*と表記するが本明細書では簡単のため*を省略する。)で表現した色に変換する色変換プロファイルである。第2プロファイル15bは、Lab色空間で表現した色をプリンタで使用するCMYK色空間の色成分値(出力CMYKデータ)で表現した色に変換するプロファイルである。
尚、各プロファイルではディスプレイやプリンタに依存する機器依存色と機器非依存色との変換をすることができれば良く、上記Lab色空間の他、XYZ色空間等、種々の色空間を使用可能である。また、入力RGB/CMYKデータ、出力CMYKデータともに各画素毎にその色を階調表現したデータであり、双方ともCMYK色空間を使用しているが、この色空間は機器依存色空間であり、階調値が同値であったとしてもプリンタの機種や印刷媒体やその定義法によってその色が異なり得る。
第1プロファイル15aは一般にシミュレーションプロファイルと呼ばれており、印刷実行時に利用者が任意に選択可能である。第2プロファイル15bはプリンタの機種および印刷条件毎に作成されており、印刷実行時には印刷実行対象のプリンタ機種および印刷条件に対応したメディアプロファイルが選択される。尚、印刷条件として挙げられる項目は各種の項目があるが、印刷媒体の種類、解像度が挙げられる。また、これらのプロファイルにおいては、CMYK画像データを機器非依存色に変換可能なデータであれば良く、ルックアップテーブルやトーンカーブ等の関数が指定されたデータで構成することができる。
本実施形態のインストールプログラム14は、上述のようにプロファイルデータをHDD15にコピーするような通常のインストールに加えて本発明における補正を実施可能にするための処理も行う。図3は、インストールプログラム14が実行する処理のうち、本発明における補正を実施可能にするための処理を示している。この処理においては、まずステップS100で上記CD−ROMに上述の補正情報が記録されているか否かを判別し、同ステップS100にて当該補正情報が記録されていると判別されなければ、ステップS110以降をスキップしてインストールプログラムを終了する。
ステップS100にて上記補正情報が記録されていると判別されると、ステップS110にて当該補正情報を取得し、上記図示しないRAMに一次記憶する。図4は当該補正情報の一例を説明する説明図である。同図において、補正情報は印刷媒体の種類(印刷媒体A,B,,,)毎に分けて作成されており、各媒体について基準の下地,比較用の下地,各下地における測色値を示すデータが対応づけられ、記述されている。すなわち、印刷媒体の種類によってその透過度が異なるので、印刷媒体毎に各データを記述する。基準の下地は、当該基準の下地に対応づけられた印刷媒体における第2プロファイルの作成過程でパッチを測色する際に印刷媒体の下に敷いた下地(上述の下地B1)を示している。比較用の下地は、異なる下地における色を比較するために比較用に用意された下地を示している。本実施形態において当該比較用の下地は白(上述の下地B2)である。
図4にて各下地の下に示された測色値は、当該測色値に対応づけられた印刷媒体に対してインク使用量制限の最大量でCMYK各単色のパッチを印刷し、これらのパッチおよびパッチが記録されていない部位(紙白)とを測色して得られる色彩値を示している。図4では、基準の下地における紙白の測色値をLabW1,Cインクによるパッチの測色値をLabC1,Mインクによるパッチの測色値をLabM1,Kインクによるパッチの測色値をLabK1として示している。
また、比較用の下地における紙白の測色値をLabW2,Cインクによるパッチの測色値をLabC2,Mインクによるパッチの測色値をLabM2,Kインクによるパッチの測色値をLabK2として示している。尚、図4においては各測色値をまとめて示しているが、各測色値はLab色空間の色成分値によって構成されている。本実施形態において、この測色作業はプリンタ40の製造者が予め行う作業である。すなわち、プリンタ40を製造して初期調整を行った後、上述のパッチを各印刷媒体に印刷し、基準の下地と比較用の下地のそれぞれに対して載置して所定の測色機によって測色を行う。このようにして生成されたデータが上記CD−ROMに記述される。
図3に示すフローにおいて、インストールプログラム14がステップS110で当該補正情報を取得すると、ステップS120は、上記ディスプレイDRV23を介して補正方法を受け付けるためのUIをディスプレイ12上に表示させる。すなわち、本実施形態においては、簡易的な補正(簡易補正)とより高精度に色を合わせるための補正(高精度補正)とのいずれかを選択可能になっており、当該UIを視認した利用者がマウス11a等を操作することにより補正法を指定する。
ステップS120では当該補正法の指定を受け付け、ステップS130では指定された補正法が簡易補正であるのか高精度補正であるのかを判別する。ステップS130で簡易補正が指定されたと判別すると、ステップS140にて上記取得した補正情報を参照し、紙白の色彩値の差を算出する。すなわち、基準の下地における紙白の測色値LabW1と比較用の下地における紙白の測色値LabW2とを参照し、L成分,a成分,b成分の差分値を算出する。
上記ステップS130で高精度補正が指定されたと判別すると、ステップS150にて上記取得した補正情報を参照し、CMYK各色の色彩値の差を算出する。すなわち、基準の下地におけるCインクのパッチの測色値LabC1と比較用の下地におけるCインクのパッチの測色値LabC2とを参照し、L成分,a成分,b成分の差分値を算出する。同様にしてMインクのパッチ,Yインクのパッチ,KインクのパッチについてもL成分,a成分,b成分の差分値を算出する。
ステップS160においては、以上の処理によって取得したデータを差分データ15dとしてHDD15に記録する。すなわち、上記ステップS130で指定された補正法と上記補正情報に記述された印刷媒体とこの印刷媒体および補正法に対応した色彩値の差分値と基準の下地と比較用の下地を示すデータを差分データ15dとし、HDD15に記録する。この差分データ15dにおいても補正法や差分値,基準の下地,比較用の下地を示すデータは印刷媒体の種類に対応づけつつ記録される。
以上の処理によってインストールプログラム14は終了する。インストールプログラム14が終了するとOS20にPRTDRV21が組み込まれた状態となる。PRTDRV21は、図2に示すように言語解析部21aと差分データ管理部21bと色変換部21cとハーフトーン処理部21dと印刷データ生成部21eとを備えている。本実施形態においては、図示しないアプリケーションソフトウェア等で生成したPSファイル15c(ポストスクリプトファイル,ポストスクリプトはアドビシステムズの登録商標)をコンピュータ10で解析して印刷を実行する。
PSファイル15cには、印刷時の解像度や印刷時に使用する印刷媒体の種類、上記第1プロファイルを示すデータおよび画像を記述するための画像記述コマンドが含まれている。上記図示しないアプリケーションソフトウェア等では、UIにより上記マウス11a等で実行する印刷実行指示を受け付けることが可能であり、この印刷実行指示がなされた時点でPSファイル15cが作成される。図5は、印刷実行指示を行うためのUIを例示した図である。本実施形態では、上記アプリケーションソフトウェアによって印刷実行指示を受け付けたことにより、PRTDRV21が起動し、PRTDRV21の制御によって図5に示すUIがディスプレイ12上に表示される。
同図に示すUIでは、その左側において上述のPSファイル15cに記述するデータを取得するための選択ボックスが表示される。すなわち、選択ボックス12aでは、マウス11aの操作入力に応じて印刷媒体の種類の選択肢を表示させることが可能であるとともに所望の印刷媒体を選択することが可能である。尚、この印刷媒体の種類が特定されることにより、第2プロファイルが特定されることになる。選択ボックス12bでは、マウス11aの操作入力に応じて解像度の選択肢を表示させることが可能であるとともに所望の解像度を選択することが可能である。選択ボックス12cでは、マウス11aの操作入力に応じて第1プロファイルの選択肢を表示させることが可能であるとともに所望の第1プロファイルを選択することが可能である。
以上のようにして、利用者が印刷時の解像度や印刷時に使用する印刷媒体の種類、上記第1プロファイルを選択した状態でUI上の印刷ボタンをクリックすると、当該印刷時の解像度や印刷時に使用する印刷媒体の種類、上記第1プロファイルが特定される。図2では、これらの情報が記述されたPSファイル15cがHDD15に保存されている状態を示しているが、むろん、各種情報を特定するための手法は様々であり、RAM等に一時的に記憶しておく構成であっても良い。
(3)印刷制御処理の詳細:
PSファイル15cが作成されると、PRTDRV21は、図6に示すフローチャートに従って印刷制御処理を実行する。上記言語解析部21aは、PSファイル15cに記述されたポストスクリプト言語を解釈するモジュールであり、ステップS200で当該PSファイル15cを取得する。そして、ステップS205にて上記PSファイル15cを参照し、解像度および画像記述コマンドを解析して印刷対象の文字や画像をドットマトリクス上の画素で構成し、各画素の色をRGBまたはCMYK各色の階調値で表現した入力RGB/CMYKデータを作成する。
PSファイル15cが作成されると、PRTDRV21は、図6に示すフローチャートに従って印刷制御処理を実行する。上記言語解析部21aは、PSファイル15cに記述されたポストスクリプト言語を解釈するモジュールであり、ステップS200で当該PSファイル15cを取得する。そして、ステップS205にて上記PSファイル15cを参照し、解像度および画像記述コマンドを解析して印刷対象の文字や画像をドットマトリクス上の画素で構成し、各画素の色をRGBまたはCMYK各色の階調値で表現した入力RGB/CMYKデータを作成する。
さらに、ステップS210では上述の印刷媒体の種類を把握し、この印刷媒体で印刷を行うために作成された第2プロファイルを特定する。また、PSファイル15cに記述されたデータから第1プロファイルを特定する。こうして得られたデータが図2に示す中間ファイル21a1であり、同図においては、第1プロファイルとしてプロファイルa、第2プロファイルとしてプロファイルBが特定された状態を示している。これらプロファイルを示すデータは中間ファイル21a1のヘッダに記述される。中間ファイル21a1の本体を構成するデータは上記入力RGB/CMYKデータである。この中間ファイル21a1は色変換部21cに受け渡される。
色変換部21cはこの中間ファイル21a1に基づいて色変換処理を行うが、本実施形態においては、ステップS215の判別により下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償する場合と補償しない場合とで分岐して処理を進める。本実施形態では、上記図5に示すUIによって下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償する補正を行うか否かを指定できるようになっており、この指定に基づいてステップS215の判別を行う。同図に示す例では、UIの右側に選択部12dが設けられており、この選択部12dにて下地による補正を実施する際の各種情報を入力するようになっている。
すなわち、選択部12dには下地による補正を実施するか否かを選択するチェックボックス12d1と印刷対象となる印刷媒体を載置する下地(以下実環境における下地と呼ぶ)の色を選択するスライダバー12d2とが設けられている。上記マウス11a等の操作によりチェックボックス12d1にチェックが入れられる(図5はチェックが入れられた状態を示している)と、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償する補正を行う指示がなされたことを示している。
チェックボックス12d1にチェックが入れられると、上記スライダバー12d2がアクティブになり、スライド部12d3の位置を調整することによって下地の色を選択することができる。本実施形態において、スライダバー12d2の両端は白および黒であり、上記差分データ15dにおける基準の下地と比較用の下地の色が当該両端の白および黒である。すなわち、差分データ管理部21bが当該基準の下地および比較用の下地を示すデータを取得し、UIにおいてはこれらをスライダバー12d2の両端に明示する。利用者は、実環境における下地の明度が白および黒の間でどの程度の明度に相当するかを判断し、スライド部12d3の位置を調整してその下地の明度を指示する。本実施形態では、白の下地を”0”,黒の下地を”N”とし、スライダバー12d2の可動域を”0〜N”としたときにスライダバー12d2の位置に相当する値を”n”としており、当該”n”を示すデータが後述する下地情報となる。
色変換部21cにおける処理に際しては予め当該選択部12dにおける選択がなされており、この選択内容に従って色変換を行う。このために色変換部21cは、変換エンジン21c1と色補正部21c2とを備えている。変換エンジン21c1は、第1プロファイルを参照し補間演算によって入力RGB/CMYKデータをLab色空間のデータに変換する処理と、第2プロファイを参照してLab色空間のデータを出力CMYKデータに変換する処理とを実施するモジュールである。また、色補正部21c2は、上述の差分データ15dと下地の色を示す下地情報とに基づいてLab色空間のデータを補正するモジュールである。
上述のステップS215において下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償する補正を実施する旨の指定がなされていないと判別されたときには、ステップS220にて補正を実行せずに色変換を実施する。すなわち、変換エンジン21c1が、ステップS210で特定された第1プロファイルを参照し、上記中間ファイル21a1に記述された入力RGB/CMYKデータをLab色空間のデータに変換する。そして、ステップS210で特定された第2プロファイルを参照し、当該Lab色空間のデータを出力CMYKデータに変換する。得られた出力CMYKデータはハーフトーン処理部21dに受け渡される。
上記ステップS215にて下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償する補正を実施する旨の指定がなされていると判別されたときには、ステップS225にて差分データ管理部21bが上記差分データ15dを取得する。すなわち、上記PSファイル15cに記述された印刷媒体について特定された補正法および色彩値の差分値を示すデータを取得し、色変換部21cに受け渡す。ステップS230では変換エンジン21c1が、ステップS210で特定された第1プロファイルを参照し、上記中間ファイル21a1に記述された入力RGB/CMYKデータをLab色空間のデータに変換する。
本実施形態では、このLab色空間のデータを補正するため、ステップS235にて重み付け係数を算出する。重み付け係数は上述の”N”および”n”から求められる係数であり”(N−n)/N”と定義される。すなわち、”n”が基準の下地に近いほど値が”0”に近くなり、比較用の下地に近いほど”1”に近くなる重み付け係数を定義し、上記実環境における下地と比較用の下地との近似度を示す重み付け係数を算出する。上述のように差分データ15dには基準の下地に載置した印刷媒体上の色彩値と比較用の下地に載置した印刷媒体上の色彩値との差分値が記述されているので、当該差分値に上記重み付け係数を乗じれば、その結果が基準の下地に載置した印刷媒体上の色彩値と実環境における下地に載置した印刷媒体上の色彩値との差分値であると考えることができる。
本実施形態においては、このような下地による差分値に相当する色の変動が生じることを前提とし、予めこの変動の逆方向にLab色空間のデータを変動させる補正を行う。このような補正によれば、下地によって色の変動が起こった結果、その色が基準の下地に印刷した場合の色と一致するように印刷を行うことができる。また、本実施形態では上述のような簡易補正と高精度補正とを実施可能にしてあり、上記ステップS225で取得した差分データ15dからその補正法を判別する(ステップS240)。当該ステップS240にて補正法が簡易補正であると判別されたときには、上記ステップS230で算出したLab色空間のデータに対して一律に補正を行う(ステップS245)。上記ステップS240にて補正法が高精度補正であると判別されたときには、上記ステップS230で算出したLab色空間のデータに対して色毎に異なる補正量で補正を行う(ステップS250)。
図7,図8は、補正を説明する説明図である。図7の上部においては、入力RGB/CMYKデータが第1プロファイルによってLab色空間のデータLabに変換され、ここで補正を受けて(Lab)’となり、さらに当該(Lab)’が第2プロファイルによって出力CMYKデータに変換される様子を示している。図7の中央には簡易補正によってLabを(Lab)’に変換する際の変換式を示し、図7の下部には高精度補正によってLabを(Lab)’に変換する際の変換式を示している。また、図8には基準の下地B1,実環境における下地B3,比較用の下地B2に載置した印刷媒体Pおよび補償の考え方を示している。
簡易補正においては、総てのLab値に対して一律の補正量で補正を行う。本実施形態においては、以下の式(1)によって補正後の値(Lab)’を算出する。
尚、ここでは式を簡略化して示しているが、上記(Lab)’,Lab,(LabW2−LabW1)はL成分,a成分,b成分それぞれの値で構成され、各成分毎に補正後の値(L’,a’,b’)が算出される。
この簡易補正では、下地によって印刷媒体の色が変動して見える場合に、その変動が総ての色に対してほぼ同様の影響を及ぼし、その変動量は紙白における色の変動量とほぼ等しいと考えて上述の演算式を採用している。すなわち、図8の左側に示す下地B1〜B3のように、下地の色が異なると同じ印刷媒体であっても色が異なるが、印刷媒体上にインクを記録する減法混色においては、総ての色についてインクの記録対象が紙白であり、また、インクの周辺に紙白が存在し得るので、紙白に大きく影響される。
また、本実施形態において実環境における下地の色は測色されていないので、基準の下地B1に載置した印刷媒体の測色値と実環境における下地B3に載置した印刷媒体の測色値との差分値も得られていない。そこで、上記差分データ15dに記述された紙白の色彩値の差分値から類推して補正量を算出する。ここでは、下地の明度自体の差異と下地に載置した印刷媒体の色とが線形な関係にあると考えて補正量を算出し、上述の補償を行う。
上記差分値(LabW2−LabW1)は、Labの各色成分によって構成されているため、印刷媒体Pを下地B1に載置した状態での色彩値と印刷媒体Pを下地B2に載置した状態での色彩値との差分ベクトルに相当する。図8においては、この差分ベクトルV1を模式的に示している。重み付け係数(N−n)/Nは、実環境における下地と比較用の下地との近似度を示しているので、上記差分ベクトルV1に対して上記重み付け係数を乗じると、その結果が、基準の下地B1に載置した印刷媒体上の色の色彩値と実環境における下地B3に載置した印刷媒体上の色の測色値との差分ベクトルV2であるとすることができる。
下地が基準の下地B1であるとしたときの基準の色は、下地B3上に印刷媒体を載置することにより差分ベクトルV2に相当する変動を受けるのであるから、上述の補償を行う補正は、差分ベクトル”−V2”である。すなわち、予めLab色空間のデータに対して差分ベクトルV2の逆ベクトルを加えて補正して(Lab)’とし、この(Lab)’に基づいて印刷し、印刷媒体を下地B3上に載置すれば、印刷された色が実環境における下地B3の影響で変動してその色が(Lab)’’となる。この変動は、上述の差分ベクトルV2とほぼ等価であるので、下地B3に載置した印刷媒体における色が、基準の色と略等色になる。従って、カラーマネジメントがなされていることになる。
高精度補正においては、色毎に異なる補正量で補正を行う。本実施形態においては、以下の演算式(2)によって補正後の値(Lab)’を算出する。
尚、ここでも式を簡略化して示しており、上記(Lab)’,Lab,(LabC2−LabC1),(LabM2−LabM1),(LabY2−LabY1),(LabK2−LabK1)はL成分,a成分,b成分それぞれの値で構成され、各成分毎に補正後の値(L’,a’,b’)が算出される。また、C,M,Y,Kとしては、それぞれ、上記ステップS230による変換前のCMYK階調値を採用可能である。入力データの表色系がRGB系である場合などは、一旦補正を行わずに色変換を行って、色変換後のCMYK階調値を上記C,M,Y,Kの値とする構成等を採用可能である。
この高精度補正では、下地によって印刷媒体の色が変動して見える場合に、その変動量がインク色毎に異なり、インクが多く記録されているほど印刷物全体における色に大きな影響を及ぼすと考えて上述の演算式を採用している。すなわち、図8の左側に示す下地B1〜B3のように、下地の色が異なると同じ印刷媒体であっても色が異なるが、インクには濃度の濃いKインクから濃度の薄いYインクまで種々のインクが存在し、各インクが記録された状態で下地の色が透過する量も異なる。従って、各インク色毎に下地による影響度合いは異なる。
高精度補正における差分データでは上述のように各インク色毎にパッチを印刷し、その変動を示す差分値(LabC2−LabC1),(LabM2−LabM1),(LabY2−LabY1),(LabK2−LabK1)が得られているので、これらは印刷媒体Pを下地B1に載置した状態での色彩値と印刷媒体Pを下地B2に載置した状態での色彩値との差分ベクトルに相当すると考えることができる。
そこで、上記簡易補正と同様に、この差分ベクトルに対して重み付け係数(N−n)/Nを乗じると、その結果が、基準の下地B1に載置した印刷媒体上の色の色彩値と実環境における下地B3に載置した印刷媒体上の色の測色値との差分ベクトルであるとすることができる。この差分ベクトルは各インク色毎の補償量に相当するが、上記ステップS230で算出されるLab値は各インク色におけるインク滴を組み合わせて表現されるので、各色インクのうち、インクの使用量が多いほど全体として色に与える影響が大きいと言える。
そこで、高精度補正では上記重み付け係数(N−n)/Nを乗じた後にさらにインク量が多いほど値が大きくなるような重み付け係数を乗じる。例えば、上記ステップS230による変換前のCMYK階調値が各色インクの使用量に対して線形であると考え、各色の階調値を全色分加え合わせた値で各色の階調値をを除して重み付け係数とする。この場合、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各階調値をC,M,Y,Kとしたときに、シアンに関する重み付け係数は(C/(C+M+Y+K)である。
以上のように、各色の差分値に対して2種の重み付け係数を乗じて各色毎の差分ベクトルに相当する値を算出し、逆ベクトルとして基のLab値に加え合わせて(Lab)’とし、この(Lab)’に基づいて印刷を行う。この場合も、印刷媒体を実環境における下地B3に載置して色を観察すると、下地B3の影響で色が変動し、上述の基準の色と略等色になる。従って、カラーマネジメントがなされていることになる。
尚、高精度補正によれば上記簡易補正より高精度にカラーマッチングを行うことができる。一方、簡易補正では高精度補正と比較して演算量が少ないので高速に処理を実行することが可能になる。本実施形態においては、利用者がPRTDRV21のインストール時に補正方法を選択することができるので、各利用者において要求するカラーマネジメントの精度や色変換に要求する速度等に鑑みて適宜所望の補正方法を選択することが可能である。
いずれにしても、簡易補正あるいは高精度補正を実施した後には、補正後の色彩値(Lab)’が算出されているので、図6に示すステップS255において上記変換エンジン21c1が当該(Lab)’を取得し、上記第2プロファイルを参照して色変換を実施する。すなわち、出力CMYKデータを算出する。この出力CMYKデータに対しては、ハーフトーン処理部21dによってハーフトーン処理が施される(ステップS260)。印刷データ生成部21eは、当該ハーフトーン処理後の画像データを受け取り、上記プリンタ40における図示しないヘッド機構やノズルからのインク吐出機構を駆動するための印刷データを作成する(ステップS265)。
作成された印刷データはUSBI/F13cに対して出力され、各プリンタ40は当該印刷データに基づいて上記パッチや画像を印刷する。このようにして印刷された印刷媒体を実環境における下地B3に載置して色を視認すると、上述のように、補正を行わずに印刷した印刷媒体を基準の下地B1に載置して色を視認した場合と略等色の色として認識される。補正を行わずに印刷した印刷媒体を基準の下地B1に載置して観察した色と上記ディスプレイ12に表示される画像とでは、色が略一致しているが、本発明によって印刷した印刷媒体上の色もこれらの色と略一致しているように認識される。従って、基準の下地以外の下地を使用した場合であってもカラーマッチングがなされているといえる。
(4)他の実施形態:
以上説明した実施形態は一例であり、プロファイルを作成した時に印刷媒体の下に敷いた基準の下地と異なる下地であってもカラーマッチングを行うように色の補償ができる限りにおいて種々の構成を採用可能である。例えば、上述の高精度補正においては、補正情報を作成するためにインク使用量制限の最大量でCMYK各単色のパッチを印刷し、これを測色していたが、任意のインク使用量での色彩値の差分値を利用して補正量を算出する構成を採用しても良い。
以上説明した実施形態は一例であり、プロファイルを作成した時に印刷媒体の下に敷いた基準の下地と異なる下地であってもカラーマッチングを行うように色の補償ができる限りにおいて種々の構成を採用可能である。例えば、上述の高精度補正においては、補正情報を作成するためにインク使用量制限の最大量でCMYK各単色のパッチを印刷し、これを測色していたが、任意のインク使用量での色彩値の差分値を利用して補正量を算出する構成を採用しても良い。
図9は、かかる構成の一例を説明する説明図である。同図に示す例では印刷媒体Pに対してCMYKの各色単色でインク使用量30%,60%,100%のパッチを印刷する。尚、ここではインク使用量制限の最大量を100%としている。この印刷媒体Pを基準の下地B1、比較用の下地B2にそれぞれ載置した状態でパッチおよび紙白を測色し、測色結果から差分値を算出する。そして、各差分値を利用して任意のインク使用量における差分値を与える関数fを算出する。
すなわち、インク使用量0%(紙白),インク使用量30%,60%,100%における差分値が得られているので、関数fの関数形が特定の関数形であると想定すれば、これらの差分値から関数fを算出することができるし、これらの差分値から補間演算によって任意のインク使用量における差分値を算出し、この補間によって得られる結果からインク使用量を変数とした関数fを算出することもできる。図9においては、Cインクについてインク使用量0%,30%,60%,100%の差分値を求め、これから補間演算によって関数fを算出する様子を示している。他のインク色、M,Y,Kについても同様の作業を行えば、関数fを算出することができる。
いずれにしても、上記補間等により、各色についてインク使用量を変数として上述の差分値を示す関数fC(C),fC(M),fC(Y),fC(K)を算出する。そして、上述の実施形態と同様に補正情報としてこの関数fを利用できるようにする。すなわち、関数fを示すデータを上記補正情報としたり、関数fの値とインク使用量との関係を示すテーブルデータを上記補正情報とする。このような補正情報を採用すれば、上記図2に示す構成とほぼ同様の構成にて図9に示す実施形態を実現することができる。
すなわち、インストールプログラム14においては、上記差分データ15dを作成する際に、関数fを示すデータや関数fの値とインク使用量との関係を示すテーブルデータ等を含むように構成しておき、上記ステップS250に相当する処理において図9の下部に示す演算式で補正後の(Lab)’を算出する。すなわち、上記式(2)の差分値の代わりに関数fC(C),fC(M),fC(Y),fC(K)を採用し、図9の下部に示すような演算式によって補正後の(Lab)’を算出する。
このような補正を行って印刷を実行すれば、上述の高精度補正より更に高い精度で下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償することが可能になる。むろん、図9に示す実施形態においてインク使用量30%,60%,100%のパッチを印刷することは必須ではなく、他のインク使用量でパッチを印刷しても良いし、より多数あるいは少数のインク使用量にてパッチを印刷しても良い。
さらに、上記実施形態においては、プリンタ40の製造者が予め比較用の下地に印刷媒体を載置した状態での色を測色していたが、利用者が測色する構成を採用しても良い。この場合、上記インストールプログラム14の処理の一環として差分データ15dをHDD15に記録する際に、基準の下地に関するデータをコピーすればよい。比較用の下地に関するデータについては、例えば、測色作業をUIにてガイドするガイドプログラムを実行可能に構成し、このガイドプログラムが提供するUIに従って比較用の下地に関するデータを差分データ15dに追加する構成等を採用可能である。
図10は、このような構成の実施形態を説明する説明図である。この構成においては、インストールプログラム14の終了後、差分データ15dとして印刷媒体の種類、基準の下地を示すデータが記録され、他の構成は上記第1実施形態と同様である。コンピュータ10の利用者はがガイドプログラムを実行すると、同ガイドプログラムはCMYK各色単色かつインク使用量100%のパッチを印刷するための画像データを作成し、このパッチをプリンタ40で印刷する。このとき、印刷媒体Pは上記差分データ15dに記述された印刷媒体のいずれかを使用する。
利用者は、利用者自身が印刷媒体を観察する環境での下地B4に当該印刷媒体Pを載置し、測色機50にて各パッチおよび紙白を測色する。図10においては、これらの測色値をLab4として示している。コンピュータ10のHDD15には上記差分データ15dが記録され、当該差分データ15dには基準の下地B1に印刷媒体Pを載置した場合に測色される各パッチおよび紙白の色彩値が記述されている。図10においては、これらの測色値をLab1として示している。
そこで、上記ガイドプログラムは、上記測色機50における測色結果Lab4を示すデータを取得し、上記Lab1との差分を算出し、色彩値の差を示すデータとして差分データ15dに記述する。また、このとき補正法を選択させ、選択結果を示すデータを差分データ15dに記述する。これらのデータを利用すれば、上述の実施形態と同様に簡易補正や高精度補正を実施することが可能になる。尚、図10に示す実施形態においては、利用者の実環境における下地を使用して実際に測色を行うので、上述の図5に示すスライダバー12d2の選択は不要である。
すなわち、上述の実施形態での比較用の下地と実環境における下地が同じであるので、上記式(1)あるいは式(2)の演算式で、上述の重み付け係数(N−n)/Nは省略し、上記差分データ15dに記述された色彩値の差を示すデータそのものが補正量であるとして補償を行うことができる。以上のように、図10に示す実施形態では、実環境における下地について直接的に測色を行って補正量を決定することができるので、非常に高精度に上述の補償を行うことが可能になる。
また、図10に示す実施形態においては実環境における下地について直接的に測色を行うので、補正を行う必要がない場合にまで補正を実施してしまうことを防止できるように構成可能である。すなわち、上記測色結果Lab4と上記Lab1との差分値を算出したとき、その差分値が非常に小さければ、補正を行わなくてもカラーマッチングがなされていると言える。そこで、上述の測色をした後、測色結果Lab4と上記Lab1とからLab各色成分値の差分値の大きさが所定の閾値以下である場合には、ガイドプログラムでその旨を通知し、上記補正も実施しないようにすることも可能である。むろん、上記閾値を色成分毎にすることが必須というわけではなく、色成分値の差分値から色差を算出し、当該色差が所定の閾値以下であるか否かを判別する構成であっても良い。また、図10に示す実施形態を図9に示す実施形態に対して適用しても良い。
さらに、上記実施形態において、基準の下地に関するデータをインストールプログラム14の処理によってHDD15にコピーするよう構成することが必須というわけではない。すなわち、基準の下地に関するデータが得られればよいので、各印刷媒体について作成された第2プロファイルを参照してこれらのデータを取得しても良い。第2プロファイルは任意のLab値を、出力CMYKデータに変換することができるが、この出力CMYKデータは基準の下地に印刷媒体を載置した状態でカラーマッチングがなされるようにしてある。従って、この第2プロファイルを参照し、出力CMYKデータにて各色単色の最大階調値および全色最小階調値に相当するLab値を算出すれば、各色パッチの測色値と紙白の測色値に相当する値を取得することが可能である。かかる構成によれば、上記基準の下地に関するデータの作成作業が不要になり、作業の手間を小さくすることが可能である。むろん、比較用の下地を印刷媒体に敷いた状態でプロファイルデータを作成しておけば、比較用の下地に関するデータの作成作業も不要になる。
また、上述の簡易補正や高精度補正,図9に示す補正については、いずれか一つの補正法のみを選択するように構成することが必須というわけではない。例えば、印刷実行指示を行うときに補正法を選択するように構成しても良い。この場合、上記差分データ15dに対して簡易補正や高精度補正,図9に示す補正に必要なデータを記述しておく。さらに、上記実施形態では、Lab値を補正して(Lab)’とし、当該(Lab)’を第2プロファイルに入力して色変換をしていたが、むろん、予め第2プロファイルを参照して(Lab)’に対応する出力CMYKデータを算出し、この出力CMYKデータと上記補正前のLab値を対応づけるテーブルデータを作成しておいても良い。このテーブルデータを作成しておけば、色変換に際して毎回補正後の値を算出することなく、テーブルデータによる変換のみで上述の補償を伴った色変換を実施することが可能になる。
また、上記実施形態では、コンピュータ10によって印刷制御装置を構成しているが、プリンタ40に搭載するプログラム実行環境によって本発明にかかる印刷制御処理を実施可能に構成してもよい。この場合、プリンタ40に対して直接的に接続されるデジタルカメラから画像データを取得して印刷制御処理を実施することが可能になる。むろん、同様の構成においてデジタルカメラにて印刷制御処理を実施してもよいし、他にも分散処理によって本発明にかかる印刷制御処理を実施するなど種々の構成を採用可能である。画像を取り込むスキャナと画像を印刷するプリンタとが一体となったいわゆる複合機において本発明にかかる印刷制御処理を行ってもよい。
さらに、上記の実施形態では、コンピュータ10からプリンタ40に渡されるデータがPSファイル15cであるが、PRTDRV21に受け渡すファイルがPSファイルに限定されることはない。例えば、他のページ記述言語によるファイルであってもよいし、ページ記述言語によるデータとラスターイメージデータが混在しているようなファイルでもよい。
さらに、上述のプリンタ40は、CMYKの各色インクを吐出するインクジェットプリンタであったが、インクの色数はこれらに限定されることはなく、CMYKlclm,CMYKlclmDYのインクを利用するプリンタであっても良い。むろん、ブラックインクにおいて濃度の異なる複数のインクを使用しても良いし、CMYK系に限らず、レッドやバイオレット、オレンジ、グリーン等各種インクを使用するプリンタの印刷制御装置として本発明を適用することが可能である。
さらに、以上のようなインクジェットプリンタ以外にもレーザープリンタ等に本発明を適用することが可能である。また、上述の実施形態では、黒の下地を基準の下地とし、白の下地を比較用の下地としていたが、むろん各下地の色はこれらに限られない。例えば、基準の下地が白色で比較用の下地が黒色であっても良いし、無彩色の下地ではなく有彩色の下地を採用しても良い。上述の下地は紙などの非発光体であったが、非発光体の下地のみに限定されることはなく発光体を下地として採用しても良い。
10…コンピュータ、11a…マウス、11b…キーボード、12…ディスプレイ、12a〜12c…選択ボックス、12d…選択部、12d1…チェックボックス、12d2…スライダバー、14…インストールプログラム、15…HDD、15a…第1プロファイル、15b…第2プロファイル、15c…PSファイル、15d…差分データ、21…PRTDRV、21a…言語解析部、21a1…中間ファイル、21b…差分データ管理部、21c…色変換部、21c1…変換エンジン、21c2…色補正部、21d…ハーフトーン処理部、21e…印刷データ生成部、40…プリンタ
Claims (10)
- 第1色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第1画像データを第2色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第2画像データに変換する画像処理装置であって、
上記第1画像データを取得する第1画像データ取得手段と、
第1の下地に載置した印刷媒体における色と第2の下地に載置した印刷媒体における色との差異を示す差分データを取得する差分データ取得手段と、
上記差分データを参照し、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して上記第1画像データを第2画像データに変換する色変換手段とを具備することを特徴とする画像処理装置。 - 第1の下地に載置した印刷媒体における色を示す上記第2色空間の色成分値と所定の色空間の色成分値との対応関係を示すプロファイルデータを記憶する記憶媒体を備え、上記色変換手段は当該プロファイルデータを参照して色変換後の第2画像データを算出するに際して上記差分データを参照することを特徴とする上記請求項1に記載の画像処理装置。
- 上記色変換手段は、第2の下地の色と第3の下地の色との近似度を示す重み付け係数を上記差分データに乗じて上記色の変動を補償する量を算出することを特徴とする上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の画像処理装置。
- 上記差分データは印刷媒体を上記第1の下地と第2の下地に載置した状態におけるそれぞれの印刷媒体の色彩値の差を示すデータであり、上記色変換手段は同差分データに基づいて上記補償を行うための補正量を算出し、当該補正量で上記第1画像データの色を示す色彩値を補正して上記色変換を実施することを特徴とする上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
- 上記差分データは複数の色のパッチを印刷した印刷媒体を上記第1の下地と第2の下地に載置した状態におけるそれぞれのパッチの色彩値の差を示すデータであり、上記色変換手段は同差分データに基づいて色毎に上記補償を行うための補正量を算出し、当該色毎の補正量に色毎の重み付け係数を乗じて足し合わせた補正量で上記第1画像データの色を示す色彩値を補正して上記色変換を実施することを特徴とする上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
- 上記差分データ取得手段は、上記第2の下地に載置した印刷媒体における色を所定の測色機で測色した測色結果を示すデータを取得し、上記第1の下地に載置した印刷媒体における色との差異を算出して差分データを取得することを特徴とする上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
- 第1色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第1画像データを第2色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第2画像データに変換する画像処理方法であって、
上記第1画像データを取得する第1画像データ取得工程と、
第1の下地に載置した印刷媒体における色と第2の下地に載置した印刷媒体における色との差異を示す差分データを取得する差分データ取得工程と、
上記差分データを参照し、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して上記第1画像データを第2画像データに変換する色変換工程とを具備することを特徴とする画像処理方法。 - 第1色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第1画像データを第2色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第2画像データに変換する画像処理プログラムであって、
上記第1画像データを取得する第1画像データ取得機能と、
第1の下地に載置した印刷媒体における色と第2の下地に載置した印刷媒体における色との差異を示す差分データを取得する差分データ取得機能と、
上記差分データを参照し、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して上記第1画像データを第2画像データに変換する色変換機能とを具備することを特徴とする画像処理プログラム。 - 第1色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第1画像データを第2色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第2画像データに変換する画像処理装置であって、
下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償する処理を実行するか否かの指示を受け付ける指示受付手段と、
上記第1画像データを取得する第1画像データ取得手段と、
第1の下地に載置した印刷媒体における色を示す上記第2色空間の色成分値と上記第1色空間の色成分値とを対応づけるプロファイルを参照して上記変換処理を実施する色変換手段とを備え、
上記補償する処理を実行する指示を受け付けたとき、上記色変換手段は第1の下地に載置した印刷媒体における色と第2の下地に載置した印刷媒体における色との差異を示す差分データを取得し、当該差分データを参照して、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して上記第1画像データを第2画像データに変換することを具備することを特徴とする画像処理装置。 - 第1色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第1画像データを第2色空間の各色成分値にて画素毎の色を表現した第2画像データに変換し、当該第2画像データに基づいて印刷を実行する印刷制御装置であって、
下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償する処理を実行する指示を受け付ける補償処理実行指示受付手段と、
当該指示を受け付けたときに、印刷物を視認する環境での下地に載置した印刷媒体における色を所定の測色機で測色した測色結果を示すデータを取得し、当該測色結果を示すデータと基準の下地に載置した印刷媒体における色との差異を示す差分データを取得する差分データ取得手段と、
印刷対象の画像を示す第1画像データを取得する第1画像データ取得手段と、
上記差分データを参照し、下地に起因して生じる基準の色からの変動を補償して上記第1画像データを第2画像データに変換する色変換手段と、
変換後の第2画像データに基づいて印刷を実行する印刷実行手段とを具備することを特徴とする印刷制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003349329A JP2005117387A (ja) | 2003-10-08 | 2003-10-08 | 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003349329A JP2005117387A (ja) | 2003-10-08 | 2003-10-08 | 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷制御装置 |
Publications (1)
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JP2005117387A true JP2005117387A (ja) | 2005-04-28 |
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Family Applications (1)
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JP2003349329A Pending JP2005117387A (ja) | 2003-10-08 | 2003-10-08 | 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムおよび印刷制御装置 |
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JP (1) | JP2005117387A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015006753A (ja) * | 2013-06-25 | 2015-01-15 | セイコーエプソン株式会社 | 印刷用データの補正方法 |
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2003
- 2003-10-08 JP JP2003349329A patent/JP2005117387A/ja active Pending
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