JP2005116939A - 固体撮像素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 クロストークが抑制された固体撮像素子を提供する。
【解決手段】 本発明の固体撮像素子では、光電変換部及びマイクロレンズをそれぞれ有する複数の画素が、水平方向及び垂直方向に沿って2次元配列されている。そして、画素領域の周辺部の少なくとも一部の画素のマイクロレンズは、画素領域の中央部の画素のマイクロレンズよりも、中央部に向かう方向の開口径が大きい。ここでの『中央部に向かう方向』は、光軸に対して入射光束の進行方向が傾く方向であり、この方向の開口径を大きくしたことで、シェーディングを低減できる。また、クロストーク発生要因を考慮して、マイクロレンズパターン(開口径等)を決定する。この際、例えば、GrとGbの画素出力の差に相当するクロストーク値を正にする成分と、負にする成分とが相殺しあうように決定する。この結果、クロストークを抑制できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、固体撮像素子において、色解像特性及び色再現性を向上する技術に関する。
ビデオカメラや電子カメラには、CCD型やCMOS型の固体撮像素子が使用されている。これら固体撮像素子の一従来例として、ベイヤー正方配列のCCD型の固体撮像素子の平面模式図を図10に示す。図に示すように、固体撮像素子10は、不図示のシリコン基板上に2次元マトリクス状に形成された多数の画素12と、垂直CCD14と、水平CCD16と、増幅アンプ18とを有している。
各画素12は、垂直CCD14の一部と、受光部20と、読み出しゲート部24とで構成されている。なお、各画素12の受光部20内に表記されたRは、赤色光を選択的に受光する画素12であることを示し、Bは、青色光を選択的に受光する画素12であることを示す。また、Gbは、Bが配列された行における緑色光を選択的に受光する画素12であることを示し、Grは、Rが配列された行における緑色光を選択的に受光する画素12であることを示す。これらR、Gr、Gb、Bの表記は、以降も使用する。また、緑色光を選択的に受光する画素12に対してGb、Grの区別をしない場合、これをGと表記する。
図11は、固体撮像素子10におけるR行の画素の断面模式図である。図11(a)は、画素12が形成されている領域(以下、画素領域という)の中心部のものであり、図11(b)は、画素領域の周辺部のものである。Grの画素12は、受光部20と、転送電極28と、遮光膜30と、緑色光を選択的に透過させるオンチップカラーフィルタ34g(以下、カラーフィルタと略記)と、入射光束を受光部20に集光させるオンチップマイクロレンズ38(以下、マイクロレンズと略記)とを有している。また、Rの画素12は、Grの画素12のカラーフィルタ34gの代わりに、赤色光を選択的に透過させるカラーフィルタ34rを有している。なお、実際には受光部20及び遮光膜30上に不図示の絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)が形成されており、その上に平坦化膜40が形成されている。
中央部の画素12は、ほぼ撮像レンズの光軸上に位置するため、図11(a)に矢印で示すように、撮影レンズの透過光(入射光束)をほぼ垂直に受ける。一方、周辺部の画素12は、図11(b)に矢印で示すように、撮影レンズの透過光を、光軸方向に対して斜めに受ける。即ち、各画素12毎に、撮影レンズを透過した光束のマイクロレンズに対する入射角度が異っており、周辺部の画素12ほど、集光性が低下している。従って、強度が均一な光を撮影レンズに入射させても、中央から離れた画素12ほど出力が小さくなる現象(シェーディング)が生じてしまう。
このシェーディングを低減するために、特許文献1では、中央部から周辺部に向かって同心円状にマイクロレンズの開口径を増大させている。これにより、中央部から周辺部に亘って、各画素内の受光素子に到達する光量を一様にすることを試みている。また、特許文献2では、マイクロレンズを配置させる周期を中央部から周辺部に向かって変化させている。
特開平6−37289号公報 (第2−4項、図1−図3) 特開平5−227468号公報 (第2−3項、図1−図4)
特許文献1、2の発明は、シェーディングに関しては低減可能なものの、クロストークを抑制できなかった。クロストークとは、ある画素の出力信号に、この画素に隣接する画素に入射した光による信号成分が混入してしまうことである。例えば、ベイヤー配列の固体撮像素子(図10参照)に赤色成分を含む光が入射した場合に、本来はGrとGbの画素出力が同じになるはずであるにも拘わらず、Rの画素に入射した赤色成分の光が隣接画素に混入して、GrとGbの画素出力に差が生じることである。
本発明の目的は、クロストークの原因を正確に把握した上で、これに基づいて、クロストークが抑制された固体撮像素子を提供することである。
本発明の別の目的は、上記のクロストークが抑制された固体撮像素子において、シェーディングもさらに抑制することである。
請求項1の固体撮像素子では、複数の画素が、水平方向及び垂直方向に沿って2次元配列されている。各々の画素は、光電変換部と、この光電変換部に入射光を導くマイクロレンズとを有している。本請求項の発明は、『複数の画素が配列されている領域である画素領域の周辺部の少なくとも一部の画素のマイクロレンズは、画素領域の中央部の画素のマイクロレンズよりも、中央部に向かう方向の開口径が大きい』ことを特徴とする。
請求項2の固体撮像素子は、請求項1の発明において、『水平方向及び垂直方向のいずれかの方向に中央部から離れている画素ほど、マイクロレンズにおける、水平方向及び垂直方向の少なくともいずれかの方向の開口径を大きくした』ことを特徴とする。
請求項3の固体撮像素子は、請求項2の発明において、『水平方向に中央部から離れている画素ほど、マイクロレンズにおける水平方向の開口径を大きくした』ことを特徴とする。
請求項4の固体撮像素子は、請求項3の発明において、『水平方向に中央部から離れている画素ほど、マイクロレンズにおける垂直方向の開口径を小さくし、画素領域に亘って、各々のマイクロレンズの開口面積をほぼ等しくした』ことを特徴とする。
請求項5の固体撮像素子は、請求項3の発明において、『水平方向に中央部から離れている画素ほど、マイクロレンズにおける垂直方向の開口径を小さくし、中央部から離れている画素ほど、マイクロレンズの開口面積を大きくした』ことを特徴とする。
請求項6の固体撮像素子は、請求項3の発明において、『水平方向に中央部から離れている画素ほど、マイクロレンズにおける垂直方向の開口径を大きくした』ことを特徴とする。
請求項7の固体撮像素子は、請求項1の発明において、以下の点を特徴とする。第1に、中央部の画素のマイクロレンズの開口形状は、略円形である。第2に、マイクロレンズの開口形状は、中央部から離れているものほど偏平率が大きい楕円形である。第3に、中央部以外の画素のマイクロレンズは、開口の面における長軸の延在方向を中央部に向けて配置される。
本発明では、画素領域の周辺部の少なくとも一部の画素のマイクロレンズは、中央部の画素のマイクロレンズよりも、中央部に向かう方向の開口径が大きい。ここでの『中央部に向かう方向』は、撮影レンズの光軸に対して入射光束の進行方向が傾く方向であり、この方向の開口径を大きくしたことで、シェーディングを低減できる。
また、本発明の一形態では、クロストークの発生要因と、各固体撮像素子に固有の画素構造のパラメータを考慮して、マイクロレンズパターン(開口径、開口面積等)を決定する。この際、例えば、GrとGbの画素出力の差に相当するクロストーク値を正にする成分と、クロストーク値を負にする成分とが相殺しあうように、マイクロレンズパターンを決定する。この結果、クロストークを抑制できる。
まず、本発明者が行ったクロストークの原因解析について説明してから、これに基づいた解決策である本発明の実施の形態を説明する。なお、これらの説明に際して必要となる水平方向及び垂直方向を、以下のように定義する。画素が水平方向及び垂直方向に沿って2次元マトリクス状に正方配列されているとすれば、垂直方向は、全画素が形成されている領域内における、画素出力の転送方向である。通常、画素領域内には、画素出力を垂直方向に転送する垂直転送部が、画素の列(垂直方向の画素の並び)数と同じ数だけ形成されている。例えば正方配列のCCD型固体撮像素子の場合、垂直方向は、垂直CCDの延在方向である。一方、水平方向は、垂直方向にほぼ直交する方向である。通常、画素領域外には、垂直転送部から転送された画素出力を転送するための水平転送部が、水平方向に沿って延在している。また、以下の説明では、背景技術の欄で用いた図も含めて、各図において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
<クロストークの原因解析>
まず、本明細書では、ベイヤー配列におけるGrの画素出力をPGr、Gbの画素出力をPGbとして、次式のようにクロストーク値CVを定義する。
CV=(PGr−PGb)/(PGr+PGb)・・・(1)
クロストークには、主に3つの成分がある。以下、各成分毎に、その原因と、(1)式における現れ方(クロストーク値CVを正にする成分なのか、負にする成分なのか)を説明する。
第1の成分は、カラーフィルタが所望の波長以外の光を透過してしまうことによるものである。第1の成分は、(1)式においては殆ど現れない。これは、Gr画素とGb画素のカラーフィルタは同じなので、所望でない波長の光を透過させたとしても同量となり、その差分はほぼゼロに等しいからである。
第2の成分は、半導体基板中に形成された受光部に入射した光によって発生した電荷が、半導体基板内を拡散して、隣接画素に混入してしまうものである。第2の成分は、青色光によるものより、赤色光によるものの方が大きい。これは、赤色光は、青色光よりも波長が長く、半導体基板内へより深く進入するからである。また、第2の成分は、画素構造に依存し、各固体撮像素子に固有の値となる。
例えば、CCD型固体撮像素子の場合(図10参照)、一般に、垂直CCD14の一部と、読み出しゲート部24と、受光部20とで、1つの画素12は略正方形に形成される。即ち、受光部20が垂直CCD14の延在方向に長い長方形であるため、第2の成分は、水平方向よりも、垂直方向に隣接する画素から受ける成分の方が大きい。なぜなら、水平方向には、各受光部20間に垂直CCD14が挟まれるため、受光部20同士がより離れるからである。従って、赤色光を透過させるR画素に垂直方向に隣接するGb画素は、Gr画素よりも第2の成分の影響を多く受けると考えられる。この結果、CCD型固体撮像素子では、第2の成分によるクロストーク値CVは負になることが多いと考えられる。一方、CMOS型固体撮像素子では、第2の成分によるクロストーク値CVは、正の値になる場合が多いと考えられる。
第3の成分は、カラーフィルタを透過した光が、透過したカラーフィルタの直下の受光部ではなく、隣接画素の受光部に混入してしまうものである。図1は、ベイヤー配列のCCD型固体撮像素子におけるR行の画素の断面模式図である。図1(a)に示すように、画素領域の中心部では、入射光のうち例えば赤色成分は、マイクロレンズを介さずにカラーフィルタ34rに直接入射したとしても、隣接画素の受光部20には殆ど混入しないと考えられる。これは、入射光は、撮影レンズの光軸方向(即ち、画素が形成されている半導体基板の厚さ方向)に沿って進むので、遮光膜30に当たった後、ほぼ正反対の方向に反射すると考えられるからである。
一方、図1(b)に示すように、画素領域の周辺部では、入射光の進行方向は、撮影レンズの光軸方向に対して傾く。このため、入射光のうち例えば赤色成分の一部は、マイクロレンズ38を介さずにカラーフィルタ34rを透過後、直接、或いは、遮光膜30で反射後にさらにカラーフィルタ34gで反射してから、Gr画素の受光部20に入射してしまう。
従って、入射光の赤色成分は、カラーフィルタ34rを透過後に水平方向に隣接する画素(即ち、Gr)に混入する場合、(1)式におけるPGrを大きくする成分(クロストーク値CVを正にする成分)となる。同様に、入射光の赤色成分は、垂直方向に隣接する画素に混入する場合、クロストーク値CVを負にする成分となる。また、青色成分は、水平方向に隣接する画素に混入する場合、クロストーク値CVを負にする成分となり、垂直方向に隣接する画素に混入する場合、クロストーク値CVを正にする成分となる。
なお、固体撮像素子の画素領域が広いほど、そして、射出瞳の位置が固体撮像素子側に近いほど、画素領域の周辺部への入射光の進行方向が撮影レンズの光軸方向に対して傾くため、第3の成分は大きくなる。特に、AF一眼レフデジタルスチルカメラに使用される固体撮像素子には、35mmフルサイズ等の画素領域が広いものが必要とされるため、第3の成分も大きくなる。
次に、図2を用いて、第3の成分をより定量的に説明する。図2(a)は、R行の画素の上面模式図である。図において、点線で囲ったほぼ正方形の領域は、単位画素の領域を示している。この単位画素の領域とほぼ同じ大きさで、カラーフィルタが形成されている。図2(b)は、図2(a)のX−X’間の断面模式図である。
撮影レンズの光軸方向に対する、入射光の進行方向の傾きは、画素領域における各画素の座標から求まる。この傾きに基づいた割合で、カラーフィルタ34rの上面における、マイクロレンズ同士の水平方向の間隙部分の面積Aを、面積Ar(図2(a)の斜線部分の面積)と、面積Adとに分ける。面積Arの領域に入射した光は、遮光膜30に当たって反射し、面積Adの領域に入射した光は、隣接画素の受光部20に直接入射する。
遮光膜30上における、面積Arの領域を透過した光が直接照射され得る領域(図2(b)において太線で示した部分)の面積をSとする。Sは、面積Arにほぼ等しい。さらに、遮光膜30の反射率をC、遮光膜30の平坦度をDとする。なお、遮光膜30が平坦なほど、隣接画素に混入する光量は減少すると考えられるので、平坦なほど、平坦度Dをゼロに近い正の値とする。このとき、第3の成分によるクロストーク値CVの絶対値は、Ad+(Ar×D×S×C)が大きいほど大きくなる。
ここで、図3に示すように、遮光膜30の断面が半円状だと、面積Arの領域を透過した光は、遮光膜30に当たった後、より隣接画素側に向けて反射する。従って、遮光膜30の断面が半円に近いほど、隣接画素の受光部20に入射する光量が増大するため、平坦度Dは正の大きい値をとる。また、垂直方向と水平方向とで遮光膜30の形状が異なれば、平坦度Dは、各々の方向に対して別の値になる。なお、平坦度Dは、遮光膜30の表面が微視的に粒状であるために、遮光膜30に当たった光が隣接画素の受光部20に向けて反射する成分も含む。
以上がクロストークの原因の説明である。しかしながら、特許文献1の段落0015、0016に記載のように、画素領域の周辺部におけるマイクロレンズの位置を、受光素子の中心よりも画素領域の中心側にずらす方法では、マイクロレンズの中心は、カラーフィルタの中心からずれる。このため、マイクロレンズを透過した光も、カラーフィルタの端部(図2の面積Aの領域)を透過するので、上述した第3の成分によるクロストークを大きく増大させてしまう。
また、特許文献1の請求項1に記載のように単に同心円状にマイクロレンズのサイズを変える方法では、上述したAd、Ar、D、S、Cといったクロストークの発生要因は全く考慮されない。従って、この方法は、クロストーク抑制という点では有効とはいえない。クロストークを低減するには、その要因となる各成分を定量的に把握した上で、例えば、クロストーク値を正にする成分と、負にする成分とが相殺しあうように、マイクロレンズを形成すればよい。本発明は、以上の着眼点に基づいたものであり、以下、実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
図4は、本発明の第1の実施形態の固体撮像素子における、マイクロレンズパターンの平面模式図である。本実施形態は、請求項1〜請求項3に対応する。固体撮像素子50Aは、2次元マトリクス状に配列された多数の画素と、垂直転送部(図示せず)と、水平転送部56と、出力アンプ58とを有している。各画素は、受光量に応じた信号電荷を生成する受光部(請求項記載の光電変換部に対応)、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を有している(後述する図5参照)。垂直転送部は、受光部の垂直列毎に画素の配列方向に沿って複数形成され、画素出力を、水平転送部56に垂直転送する。水平転送部56は、垂直転送部から転送される画素出力を、出力アンプ58に水平転送する。
なお、固体撮像素子50Aは、CCD型として形成しても、CMOS型として形成してもよい。また、図4内の多数の黒丸は、マイクロレンズ同士の間隔の違いを分かり易くするために示したものであり、水平方向にも垂直方向にも同じ間隔で表記されている。図では説明の簡単化のため、5×5個の画素数でマイクロレンズパターンを示しているが、画素数はこれに限定されるものではない。
本実施形態では、全画素において、マイクロレンズの中心は、半導体基板の厚さ方向に受光部の中心上に位置する。また、マイクロレンズのサイズが画素毎に異なることを除いて、全画素は、形状、大きさ、画素間隔が同じになるように形成されている。従って、マイクロレンズの中心同士の間隔は、全画素領域に亘って同じである。以上の点は、後述する第2〜第4の実施形態でも同様である。
ここで、マイクロレンズパターンの説明の前に、その説明に使う用語を以下のように定義する。マイクロレンズの『開口の面』は、マイクロレンズにおける、固体撮像素子が形成されている半導体基板の両面にほぼ平行、且つ、受光部側に向いて位置する面である。マイクロレンズの『開口形状』は、開口の面の形状である。開口形状は、半導体基板の厚さ方向に沿って、半導体基板の表面(画素が形成されている面)から裏面に向かう方向に見たときの、マイクロレンズの形状と同じである。マイクロレンズの『開口面積』は、開口の面の面積である。マイクロレンズの『開口径』は、開口の面における、開口の面の中心を通る軸の長さである。なお、マイクロレンズの開口形状が楕円形の場合、どの方向に軸をとるかにより軸長(開口径)も異なるが、最長となる軸を『長軸』とし、長軸に直交する軸を『短軸』とする。『マイクロレンズ同士の間隔』は、ある画素のマイクロレンズの開口の面における外周部と、この画素に隣接する画素のマイクロレンズの開口の面における外周部との間隔である。
本実施形態では、画素が配列されている領域の中心に位置する画素を、基準画素とする。なお、基準画素は、固体撮像素子50Aがカメラに搭載される場合に、撮影レンズの光軸上に最も近い画素であるとする。また、垂直方向の画素列の内、基準画素を含む列を基準画素列とする。本実施形態では、各マイクロレンズは、基準画素列から水平方向に離れているものほど、水平方向の開口径が大きく形成されている。即ち、マイクロレンズ同士の水平方向の間隔は、基準画素列から水平方向に離れるほど狭い。マイクロレンズの垂直方向の開口径、及びマイクロレンズ同士の垂直方向の間隔は、全画素領域に亘って同じである。なお、図では基準画素のマイクロレンズは円形に表記されているが、楕円形であってもよい。
図5は、CCD型として本実施形態の固体撮像素子50Aを形成した場合の、R行の画素の断面模式図である。図5(a)は画素領域の中心部のものであり、図5(b)は画素領域の周辺部のものである。図5(b)では比較のために、画素領域の周辺部におけるマイクロレンズの従来例を点線で示した。周辺部ほど斜めに光が入射するので、従来の構成では、マイクロレンズ間に入射する光量が多かった。マイクロレンズ間への入射光は、隣接画素に混入する可能性が高く、周辺部における第3の成分のクロストークを大きくしていた。
一方、本実施形態では、図5(b)に示すように、画素領域の周辺部におけるマイクロレンズの水平方向の開口径が大きいので、従来の構成ではマイクロレンズ間に入射した光も、マイクロレンズに入射してその直下の受光部に導かれる。従って、周辺部における第3の成分のクロストークは、大きく低減される。なお、開口径、配置間隔等のマイクロレンズに関する具体的な値は、各固体撮像素子に固有の画素構造に基づいて、前述のAd、Ar、D、S、Cの値を鑑みて決定される(この点は、後述する第2〜第4の実施形態でも同様である)。このようにマイクロレンズパターンを決定することにより、画素領域内におけるクロストーク値CVの不均一性を抑制でき、クロストーク値CVを所望の値にまで低減できる。
また、第2の成分によるクロストーク値CVが正に大きくなる画素構造の固体撮像素子において、クロストーク値CVを下げるようにマイクロレンズを形成することもできる。具体的には、全画素領域に亘ってマイクロレンズの水平方向の開口径を、垂直方向の開口径に対してより長くする。即ち、画素がほぼ正方形であれば、マイクロレンズ同士の間隔は、水平方向よりも、垂直方向の方が広くなる。このため、入射光の赤色成分は、R画素に水平方向に隣接するGr画素には殆ど混入せず、R画素に垂直方向に隣接するGb画素に多く混入する。従って、第3の成分によるクロストーク値CVは、負方向に向かい、正である第2の成分によるクロストーク値CVが相殺される。この結果、クロストークは大きく抑制され、優れた色再現性を実現できる。
なお、本実施形態では、撮影レンズの光軸上に最も近くなると考えられる画素(例えば画素領域の中心の画素)を基準画素として、基準画素列を折り目にしたときにマイクロレンズパターンが対称になるようにする例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。シェーディング及びクロストーク特性が許容となる範囲内において、基準画素を、撮影レンズの光軸から若干ずらした位置の画素にしてもよい。このようにずらしてもよい範囲内が、請求項記載の中央部に対応する。また、請求項記載の周辺部は、本実施形態では、5行5列で配列された画素の内の外周部の16個の画素に対応する。
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態の固体撮像素子50Bにおける、マイクロレンズパターンの平面模式図である。本実施形態は、請求項1〜請求項4に対応する。本実施形態と第1の実施形態との違いは、基準画素列から水平方向に離れている画素ほど、マイクロレンズの垂直方向の開口径が小さいことである。従って、マイクロレンズ同士の垂直方向の間隔は、基準画素列から離れているほど広い。なお、第1の実施形態と同様に、基準画素列から水平方向に離れている画素ほど、マイクロレンズの水平方向の開口径が大きく、マイクロレンズ同士の水平方向の間隔は、基準画素列から水平方向に離れるほど狭い。
マイクロレンズの開口面積は、全画素領域に亘って等しく形成されている。これは、撮影光学系がテレセントリックとみなせる等により、シェーディング補正の必要がない場合などに有効である。なぜなら、このような場合、各画素出力は、被写体における各画素位置に対応する部分の輝度を正確に示しているので、各画素出力を意図的に変化させない方がよいからである。なお、画素出力が示す被写体輝度と、実際の被写体輝度との差が許容となる範囲内において、マイクロレンズの開口面積を、画素領域内における位置に応じて若干変えてもよい。ここでの変えてもよい範囲内が、請求項4記載の『ほぼ等しくした』の『ほぼ』に対応する。
上述のようにマイクロレンズの開口面積が画素領域に亘って一定であると、シェーディング特性としては多少大きくなる。従って、シェーディングを補正する意味では、周辺部のマイクロレンズほど、開口面積が若干大きくなるように形成してもよい。この場合、本実施形態は、請求項1〜請求項3及び請求項5に対応する。
本実施形態は、第2の成分によるクロストーク値CVが正であり、画素領域の端部に向かうほどその絶対値が大きい場合に有効である。以下、理由を説明する。マイクロレンズの開口形状が水平方向に長い楕円であれば、第3の成分によるクロストーク値CVは、水平方向よりも、垂直方向に隣接する画素に混入するものの方が大きくなる。従って、入射光の赤色成分は、R画素に垂直方向に隣接するGb画素に混入して、第3の成分によるクロストーク値CVを負にする方向に働く。
上述のように赤色成分がGb画素に混入する度合いは、周辺部ほど大きくなる。なぜなら、本実施形態のマイクロレンズは、基準画素列から離れるほど、水平方向に長い楕円形となって垂直方向のレンズ間隔が大きくなるからである。即ち、赤色成分は、第3の成分のクロストーク値CVを、周辺部ほど絶対値が大きい負の値にするように働く。この特性は、前記した第2の成分と正反対の特性になるので、これらが相殺しあい、クロストークは低減される。この効果は、入射光における赤色成分の割合が大きいときに特に顕著に現れる。なお、本実施形態では、以上の効果に加えて、第1の実施形態で述べたものと同様の効果も得ることができる。
<第3の実施形態>
図7は、本発明の第3の実施形態の固体撮像素子50Cにおける、マイクロレンズパターンの平面模式図である。本実施形態は、請求項1〜請求項3及び請求項6に対応する。本実施形態と第1の実施形態との違いは、水平方向に基準画素に並んでいる画素(以下、基準画素行という)から垂直方向に離れているほど、マイクロレンズの垂直方向の開口径が大きいことである。従って、マイクロレンズ同士の垂直方向の間隔は、基準画素行から離れているほど狭い。なお、第1の実施形態と同様に、各マイクロレンズは、基準画素列から離れるほど水平方向の開口径が大きく、マイクロレンズ同士の水平方向の間隔は、基準画素列から離れるほど狭い。従って、図に示すように、対角線(水平方向または垂直方向に対して約45°ずれた方向に、基準画素を通る2本の線)上のマイクロレンズは、開口形状は同じ(略円形)だが、周辺に向かうほど開口面積が大きい。
本実施形態では、基準画素から離れるほどマイクロレンズの開口面積が大きいので、シェーディングは抑制される。また、基準画素から離れるほどマイクロレンズ同士の水平及び垂直方向の間隔は狭くなるので、第3の成分によるクロストークを抑制できる。
第2の成分によるクロストーク値CVが正である場合、画素領域の中央部においてもマイクロレンズ同士の垂直方向の間隔を水平方向の間隔よりも広くすることにより、補正できる。なぜなら、これにより前述と同様の理由で、赤色光がGb画素に混入する成分が高くなり、第3の成分によるクロストーク値CVが負に大きく働いて、第2及び第3の成分が相殺しあうからである。また、本実施形態では、以上の効果に加えて、第1の実施形態で述べたものと同様の効果も得ることができる。
<第4の実施形態>
図8は、本発明の第4の実施形態の固体撮像素子50Dにおける、マイクロレンズパターンの平面模式図である。本実施形態は、請求項1及び請求項7に対応する。本実施形態の各マイクロレンズの開口形状は、基準画素のものが円形であり、基準画素から離れるほど長軸が長くなり、偏平率の大きい楕円形となる。なお、各マイクロレンズの開口面積は、基準画素から離れているものほど短軸を短くすることにより、全画素領域に亘って同じにしてもよい。或いは、シェーディングを補正するために、基準画素から離れているものほど、マイクロレンズの開口面積を若干大きく形成してもよい。そして、基準画素以外の画素のマイクロレンズは、開口の面における長軸の延在方向を基準画素に向けて配置される。
ここで、マイクロレンズの開口の面における長軸の延在方向が垂直または水平方向に沿っていない場合、マイクロレンズ同士の垂直、及び水平方向の間隔を次のように定義する。図8の右上のマイクロレンズに示すように、画素領域を上から見て平面に見たてて、各マイクロレンズの開口の面における外周に接する垂直方向の線を引く。そして、これら垂直方向の線の間隔をマイクロレンズ同士の垂直方向の間隔とする。水平方向に関しても同様である。
本実施形態では、マイクロレンズ同士の垂直方向の間隔、及び水平方向の間隔は、どちらも基準画素から離れるほど狭い。即ち、各マイクロレンズの開口形状及び開口径は、基準画素のものを基準として、同心円状に変化している。この構造であれば、撮影レンズの光軸に対して入射光束の進行方向が傾く方向は、マイクロレンズの開口の面における長軸の延在方向になる。このため、周辺部においても、入射光束がマイクロレンズに当たる割合を大きくできるので、シェーディングを大幅に低減できる。また、マイクロレンズパターンが非対称な場合と比較すれば、画質が劣化するおそれがなく、有効な集光特性が得られる。さらに、本実施形態では、以上の効果に加えて、第1の実施形態で述べたものと同様の効果も得ることができる。
なお、本実施形態では基準画素のマイクロレンズの開口形状が円形である例を述べたが、完全に円形にしなくてもよい。画素が正方形とすれば、基準画素を通る全ての方向の線に対してマイクロレンズパターンに対称性をもたせる意味では、円形であることが望ましい。しかし、シェーディング及びクロストーク特性が許容となる範囲内において、基準画素のマイクロレンズの開口形状を、完全な円形でなく、若干楕円形にしてもよい。このように若干の偏平率を持たせてもよい範囲内が、請求項7記載の『略円形』の略に対応する。
<本発明の補足事項>
なお、第1〜第4の実施形態では、ベイヤー正方配列の固体撮像素子に本発明のマイクロレンズパターンを適用し、クロストーク及びシェーディングを低減する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。本発明は、ベイヤー以外の正方配列にも適用可能である。また、本発明は、ハニカム配列にも適用可能である。但し、ハニカム配列の場合、水平方向及び垂直方向を、前述した正方配列の場合とは約45°ずらした方向に定義する。例えば、図9に示すように、ベイヤーをハニカムにした配列における垂直方向は、G、R、G、R(またはG、B,G、B)と並んだ画素の配列方向であり、水平方向は、垂直方向にほぼ直交する方向である。なお、ハニカム配列では、水平方向及び垂直方向を逆にしてもよい。
以上詳述したように本発明は、固体撮像素子の分野において多いに利用可能である。
クロストークの第3の成分を説明するための、ベイヤー正方配列のCCD型の固体撮像素子のR行の画素の断面模式図である。 図2(a)は、R行の画素の上面模式図であり、図2(b)は、図2(a)のX−X’間の断面模式図である。 遮光膜の断面が半円状の場合における、カラーフィルタを透過した光の進路の説明図である。 本発明の第1の実施形態の固体撮像素子における、マイクロレンズパターンの平面模式図である。 ベイヤー正方配列のCCD型の固体撮像素子として第1の実施形態の固体撮像素子を形成した場合の、R行の画素の断面模式図である。 本発明の第2の実施形態の固体撮像素子における、マイクロレンズパターンの平面模式図である。 本発明の第3の実施形態の固体撮像素子における、マイクロレンズパターンの平面模式図である。 本発明の第4の実施形態の固体撮像素子における、マイクロレンズパターンの平面模式図である。 ハニカム配列の場合の水平方向及び垂直方向の説明図である。 ベイヤー正方配列のCCD型の固体撮像素子の平面模式図である。 固体撮像素子のR行の画素の断面模式図である。
符号の説明
10 固体撮像素子
12 画素
14 垂直CCD
16 水平CCD
18 増幅アンプ
20 受光部
24 読み出しゲート部
28 転送電極
30 遮光膜
34g、34r カラーフィルタ
38 マイクロレンズ
40 平坦化膜
50A、50B、50C、50D 固体撮像素子
56 水平転送部
58 出力アンプ

Claims (7)

  1. 光電変換部及び前記光電変換部に入射光を導くマイクロレンズをそれぞれ有する複数の画素が、水平方向及び垂直方向に沿って2次元配列された固体撮像素子であって、
    前記複数の画素が配列されている領域である画素領域の周辺部の少なくとも一部の前記画素の前記マイクロレンズは、前記画素領域の中央部の前記画素の前記マイクロレンズよりも、前記中央部に向かう方向の開口径が大きい
    ことを特徴とする固体撮像素子。
  2. 請求項1記載の固体撮像素子において、
    前記水平方向及び前記垂直方向のいずれかの方向に前記中央部から離れている前記画素ほど、前記マイクロレンズにおける、前記水平方向及び前記垂直方向の少なくともいずれかの方向の開口径を大きくした
    ことを特徴とする固体撮像素子。
  3. 請求項2記載の固体撮像素子において、
    前記水平方向に前記中央部から離れている前記画素ほど、前記マイクロレンズにおける前記水平方向の開口径を大きくした
    ことを特徴とする固体撮像素子。
  4. 請求項3記載の固体撮像素子において、
    前記水平方向に前記中央部から離れている前記画素ほど、前記マイクロレンズにおける前記垂直方向の開口径を小さくし、
    前記画素領域に亘って、各々の前記マイクロレンズの開口面積をほぼ等しくした
    ことを特徴とする固体撮像素子。
  5. 請求項3記載の固体撮像素子において、
    前記水平方向に前記中央部から離れている前記画素ほど、前記マイクロレンズにおける前記垂直方向の開口径を小さくし、
    前記中央部から離れている前記画素ほど、前記マイクロレンズの開口面積を大きくした
    ことを特徴とする固体撮像素子。
  6. 請求項3記載の固体撮像素子において、
    前記水平方向に前記中央部から離れている前記画素ほど、前記マイクロレンズにおける前記垂直方向の開口径を大きくした
    ことを特徴とする固体撮像素子。
  7. 請求項1記載の固体撮像素子において、
    前記中央部の前記画素の前記マイクロレンズの開口形状は、略円形であり、
    前記マイクロレンズの開口形状は、前記中央部から離れているものほど偏平率が大きい楕円形であり、
    前記中央部以外の前記画素の前記マイクロレンズは、開口の面における長軸の延在方向を前記中央部に向けて配置される
    ことを特徴とする固体撮像素子。
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