JP2005115770A - 車両衝突シミュレーションのための方法とプログラムと装置 - Google Patents

車両衝突シミュレーションのための方法とプログラムと装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 単純化したダミーと車両のモデルを用いて、入力パラメータの数は少なく演算時間も短いにもかかわらず、精度の高い車両衝突をシミュレーションすることができる技術を提供する。
【解決手段】 車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する少なくともフォースリミッタ付きシートベルトとニーボルスタを含む拘束体の力学モデルとを運動方程式を用いて数式化し、ダミー・スレッド試験とニーボルスタ静圧縮試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両に強制減速度波形を入力することにより車両衝突時のダミー、特に胸部と腰部の挙動を演算する。これにより衝突時の乗員の胸部と腰部の減速度特性及び移動量を予測する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、乗員を模擬するダミー人形(以下単にダミーと称する)が搭載された車両の衝突時におけるダミーの挙動をシミュレーションする技術に関する。
よく知られているダミーを用いた車両衝突試験(スレッド試験)では、ダミーに6分力計や加速度計などのセンサを装着して、6分力計で測定される衝突時ダミーの頸、胸、腰、大腿部にかかる力から各部の前後・左右方向のせん断力、上下方向の軸力、前後・左右方向のモーメント、回転モーメントなどを算出し、加速度計の測定値から、ダミーの頭や胸にかかるX、Y、Z方向の加速度を算出し、その算出結果から衝突時におけるダミーの挙動を評価する。このようなダミーとしてハイブリッドIIIが知られている。しかしながら、装着された多数のセンサの調整やそれらの測定値の評価にかなりの負担が強いられるわりには、その精度は期待するほどではない。
このようなダミーを用いた車両衝突試験を改善したものとして、静止車両の座席に座らせた状態におけるダミーの3次元外形情報と静止車両の座席に座らせた状態におけるダミー人形の予め定めた位置に装着された複数の加速度センサの位置情報とが記憶させられ、車両の衝突前所定時間から衝突後所定時間までにわたる予め定められた所定期間ごとにおける各加速度センサからの出力信号に基づき各加速度センサの装着位置の変位量および回動量が求められ、これらの所定期間ごとにおける各加速度センサの装着位置の変位量および回動量に基づいてダミーの3次元外形情報が順次変更させられ、変更されたダミー人形の3次元外形情報に基づくダミー人形の3次元画像が表示される、画像解析を付加した車両衝突シミュレーションシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。これによれば、車両の衝突前所定時間から衝突後所定時間までにわたる予め定められた所定期間ごとにおける各加速度センサからの出力信号に基づきダミーの3次元画像が経時的に表示されて、従来では撮影できなかった位置におけるダミーの挙動を詳細に知ることができる。しかしながら、ダミーを用いた衝突試験では、ダミーを構成する多数の部材のそれぞれが非線形な材料特性をもっていることから、ダミーの挙動をそのまま実際の衝突における人体損傷シミュレーションに適用しづらいという欠点がある。また、画像解析を付加した車両衝突シミュレーションシステムは、システム規模が大きくなり、コストがかかりすぎるという欠点もある。
近年、人体各部を質点系で表現し、各質点間を弾性特性や各種ジョイント構造で接合して人体の解析を行う衝突解析ソフトウエア(例えばオランダ応用科学研究機構製MADYMO)を用いて、交通事故傷害の解析を行ったり、さらにこれを発展させて、人体全身の有限要素モデルと車両構成部材の有限要素モデルを構成し、車両衝突時のシミュレーション結果から人体傷害を再現したりする技術が知られている(例えば、特許文献2、又は非特許文献1参照。)。しかしながら、有限要素法を用いたシミュレーションの場合車両の詳細な寸法レイアウトが要求されるのに対して実際試作車両などではそのようなデータを正確に与えることが困難であるし、また、仮にそのようなデータを与えたとしても、計算の前準備及び計算そのものに時間及びコストがかかり、車体設計段階で頻繁に利用することは事実上不可能に近い。
特開平9−297087号公報(段落番号0008〜0009、図1)
特開2002−149719 号公報(段落番号0018〜0019、図1)
木佐貫義勝他著「R&D Review of Toyota Vol.32 No.2」、2002年6月、p.34−40
上記実状に鑑み、本発明の課題は、単純化したダミーと車両のモデルを用いて、入力パラメータの数は少なく演算時間も短いにもかかわらず、精度の高い車両衝突をシミュレーションすることができる技術を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明による車両衝突シミュレーション方法は、車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する少なくともシートベルトを含む拘束体の力学モデルとを運動方程式を用いて数式化し、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両に強制減速度波形を入力することにより車両衝突時のダミーの挙動を演算することを特徴としている。
この車両衝突シミュレーション方法では、車体とダミーに加えて、シートベルトといったダミーを車体シートに拘束する拘束体とをバネ特性を使って比較的単純な力学モデルとしてモデル化し、このモデルの運動方程式をダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性及び車両モデルの衝突減速特性を与えて解いて、車両衝突時のダミーの挙動を求める。ここで用いられているモデルは単純な力学モデルなので、人体を有限要素に分割して大規模な計算によって車両衝突のシミュレーションを行うような技術に比べ、小規模なコンピュータシステムであっても迅速に演算結果が得られる。また、ダミーを車体シートに拘束する拘束体としてのシートベルトを正確にモデル化しているので、演算時間の短縮のために簡易なバネマスモデルを使用しているにも係わらず車両が壁や対向車に正面衝突した場合に胸部がハンドル等の車両部材と接触するかどうかといった問題には満足できる精度をもって答えることができる。従って、車体設計者はこのシミュレーション技術を用いることにより、車体の寸法等が正確に決定されていない段階においても、種々の値でシミュレーションを反復させて有用な設計情報を得ることができる。
簡易なバネマスモデルでありながらも良い結果が得られる力学モデルの具体例として、本発明の好適な実施形態では、前記ダミー力学モデルは、胸部と腰部の2質点で構成され、かつ前記拘束体力学モデルは所定のバネ特性を付与される腰ベルトとフォースリミッタ付き肩ベルトとニーボルスタで構成され、その際肩ベルトに対してはフォースリミッタ作動前とフォースリミッタ作動後で異なる荷重特性を設定し、ニーボルスタに対してソフトクッション領域と非ソフトクッション領域とに分けてバネ特性を設定する。ダミーを胸部と腰部の2質点で構成するような単純な力学モデルであっても、衝突傷害評価において重要な胸部と腰部の挙動に関しては、それらの挙動に大きな影響を与える腰ベルトと肩ベルトとニーボルスタを正確にモデル化して胸部と腰部との力学的連係を十分に考慮しているので、良好な精度でのシミュレーションが可能である。なお、ニーボルスタに関するバネ特性は靜圧縮試験を通じて同定するとよい。
さらに、演算を簡単にして演算時間の短縮化を図るため、本発明では、前記力学モデルを運動方程式化する際、胸部のみの単独運動とした胸部運動方程式と腰部のみの単独運動とした胸部運動方程式を作成し、胸部は腰部を中心とした回転運動とみなして最終的な胸部の減速度を補正することも提案されている。
また本発明は、上述した車両衝突シミュレーション方法をコンピュータに実行させるプログラムやそのプログラムを記録した媒体も権利の対象とするものである。
本発明では、さらに、上述した車両衝突シミュレーション方法を採用した車両衝突シミュレーション装置も権利の対象としており、その装置は、車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する少なくともシートベルトを含む拘束体の力学モデルを作成するモデル化部と、前記力学モデルを運動方程式を用いて数式化する数式化部、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両に入力する強制減速度波形を設定するシミュレーション条件設定部と、前記シミュレーション条件設定部によって設定された条件により車両衝突時のダミーの挙動を演算するソルバー部とから構成されている。当然ながら、この車両衝突シミュレーション装置も上述した車両衝突シミュレーション方法において説明された実施の形態を採用することが可能であり、その場合同様な作用効果が得られる。
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
図1に、本発明による車両衝突シミュレーション装置の構成を模式的に示す機能ブロックが示されている。この図からよく理解できるように、この車両衝突シミュレーション装置は、車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する拘束体の力学モデルを作成するモデル化部20と、前記力学モデルを運動方程式を用いて数式化する数式化部30、ダミー・スレッド試験やニーボルスタ靜圧縮試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両モデルに衝突減速特性を付与するシミュレーション条件設定部40と、このシミュレーション条件設定部40によって設定された条件により車両衝突時のダミーの挙動を演算するソルバー部50、このソルバー部50の演算結果からダミー構成要素の減速度特性線図や移動量線図を出力する出力部60を備えている。
〔力学モデル〕
図2に、前部衝突を想定した車両1に載せられたダミーとこのダミーをシート2に拘束する拘束体の力学モデルが示されている。ここで、ダミーモデル体3は、腰部要素3bとこの腰部要素(膝部分を含むとする)を中心として回転運動を行う胸部要素3aとから構成され、拘束体モデルは、シートベルト4としてのフォースリミッタ付き肩ベルト要素4aと腰ベルト要素4b及びニーボルスタ要素5とから構成されている。このようなモデル化の設定はモデル化部20で直接行われるか、あるいは別の場所で行われたモデル化データがモデル化部20にロードされる。
図2から明らかなように、バネマスモデル化にあたって、胸部要素3aは質量:m1、腰部要素3bは質量:m2、フォースリミッタ付き肩ベルト要素4aはフォースリミッタ荷重:Ffとバネ係数:k0、腰ベルト要素4bはバネ係数:k1、ニーボルスタ要素5はソフトクッション領域でのバネ係数:k2と非ソフトクッション領域での追加バネ係数:k3で表されている。
ここで、以下の説明で用いられる主な記号の意味を定義する;
m1:ダミー胸部質量
m2:ダミー腰部質量
k0:肩シートバネ定数
k1:腰ベルトバネ定数
k'2:ニーボルスタの底付き前(ソフトクッション領域)バネ定数(膝部換算)
k'3:ニーボルスタの底付き後(非ソフトクッション領域)k'2に加算されるバネ定数(膝部換算)
k2:ニーボルスタの底付き前(ソフトクッション領域)バネ定数(腰部換算)
k3:ニーボルスタの底付き後(非ソフトクッション領域)k2に加算されるバネ定数(腰部換算)
Ff:肩ベルトのフォースリミッタ荷重
L1:ダミー膝からニーボルスタまでの初期寸法
L2:ニーボルスタの底付きが開始し,k3が作動するまでの膝から底付き位置までの初期寸法
a:車体側強制励振減速度の正弦波振幅
ω:車体側強制励振減速度の正弦波角速度
T1:半周期正弦波強制励振減速度の終了時間
T2:肩ベルトフォースリミッタ作動開始時間
X:質点系の変位量
Y:車体側変位量
A,B,C,D1〜D3,Xs t:演算時に用いられる定数
図2に示すようなダミーと拘束体のバネマスモデルに対して,この車両1に半周期正弦波の強制励振減速度が加わった場合の各質点部の挙動として、胸部減速度,腰部減速度を解析する。
〔運動方程式〕
演算を簡単にするため、図3のように胸部要素3aと肩ベルト要素4aに限定した第1のバネマスモデルと図4のように腰部要素3bと腰ベルト4bとニーボルスタ4に限定した第2バネマスモデルに分ける。まずは第1のバネマスモデルを用いて、その運動方程式を求めることにする。
0≦t≦T1の条件下で車体側に正弦波の強制励振減速度(車両変位:Yの2階微分)を与えるとすると、
Figure 2005115770
が得られ、これが強制変位となる。これを図3で示したバネマスモデルに適用すると、
Figure 2005115770
式(6)の右辺第1、2項は自由振動、第3項は強制振動の項となっている。そこで、
Figure 2005115770
一方,式(5)の解をx2(t)=D3・tとすると、x2(t)の2階微分は0となるので、
これを式(5)に代入すると、
Figure 2005115770
が得られる。
次に強制励振減速度の正弦波を半周期正弦波に変換するためにt>T1の時間帯を考える。T1以前の胸部の変位量:XをXA,それ以降をXBとおくと、
Figure 2005115770
が得られる。
これにより、半周期正弦波の強制励振減速度が作用している時間領域と0≦t≦T1とその後の時間領域t>T1での胸部の変位と減速度が演算できる。但し、この発明では、フォースリミッタ付きの肩ベルトを考慮しているので、つまりフォースリミッタ加重:Ffの存在を考慮しているので、前述した2つの領域での胸部の質量とその減速度の積がフォースリミッタ加重:Ffに到達した時間、すなわちフォースリミッタが作動開始する時間:T2以降でいずれかの前記時間領域での胸部の質量とその減速度の積がフォースリミッタ加重:Ffに等しいものとし、衝突前の運動エネルギーを使い尽くした時点ではいずれかの前記時間領域での胸部の質量とその減速度の積が0になるように、その計算プログラムを組んでいる。
次に、図4に示した腰部要素3bと腰ベルト4bとニーボルスタ4に限定した第2バネマスモデルを用いて、その運動方程式を求めることにする。強制励振減速度は式(1)と同様であるが、腰部の変位量の変化により腰ベルトとニーボルスタの3種類のバネ係数:k1、k2、k3がかかわってくるため,運動方程式は下記のようになる。
Figure 2005115770
以下胸部での解析と同じ方法でXを求め,式(11),(12)と同様に強制励振減速度の半周期正弦波条件を組合せれば,腰部の変位と減速度が求める式が得られる。
以上、胸部と腰部の衝突時の挙動解析のために別々の運動方程式が立てられたが、実際のダミーは胸部と腰部が繋がっており、互いの運動に影響を及ぼし合っている。つまり、胸部は腰部を中心とした回転運動を起こすため、そのような観点から胸部減速度に対してベクトル和を考慮する必要がある。その際、図5に示されたベクトル関係から胸部の合成減速度A c を求めることができる。上述した式から求められる単独運動した胸部と腰部の時間tにおける胸部と腰部の減速度をそれぞれac、apとおき、胸部の回転軸距離、時間tにおける胸と腰重心を結んだ線と垂直線とのなす角、腰部を基準とした胸部相対速度、胸の回転運動で生ずる向心力による胸部減速度、腰部の減速度により胸部に伝わる減速度をそれぞれLcp、θ、υcp、ac1、ac2とすると、
Figure 2005115770
となり、
水平方向の加速度と胸部の回転軸距離:Lcpの軸方向の減速度を直交軸に近似して計算すると,胸部合成減速度:Acは、
Figure 2005115770
となる。なお腰部合成減速度は,計算モデルが並進運動のみとしているので、合成減速度は考慮する必要がなく、先の式で求められる値:apが腰減速度となる。
〔ばね特性等の同定〕
この衝突シミュレーションを行う際の入力パラメータの中でバネ係数:k0〜k3、フォースリミッタ加重:Ffに関してはあらかじめ実験を行い、値を求めておく必要がある。ここでバネ係数:k0、k1はシートベルトウェビングの伸び率やプリテンショナの仕様等により決まるものであるが,これらは実際のスレッド試験や,台上模擬試験により算出する。図6と図7には、後述する実験値とシミュレーション計算値との比較において用いられた時と同一の車体減速度とアレンジ条件でスレッド試験を行った際の肩ベルト荷重−ダミー変位曲線と腰ベルト荷重−ダミー変位曲線の測定結果、及びバネ係数:k0 とk1を示す直線が示されている。なお肩部を拘束している肩ベルトにはフォースリミッタが付いているので、図6の例ではフォースリミッタ荷重:Ffが6kN近辺の値となっていることがわかる。
一方ニーボルスタの特性を表しているバネ係数:k2 とk3はニーボルスタへのインパクタ静圧縮試験により求める。靜圧縮試験機を用いて,実際に荷重を受けることになるダミー(ここではHybridIII)の膝2つ分に相当する投影面積を模擬したφ100mmの半球形イ
ンパクタを製作し,これを速度500mm/minでニーボルスタに押し付けたときの荷重−インパクタ変位曲線が求められている。ここで測定に用いたニーボルスタは厚さ100mmのPPビーズ発泡品であり、図8にその測定原理模式図、図9にその測定結果が示されている。なお図9からはニーボルスタのL2 −L1の値も類推することが出来る。但しここで近似的に得たバネ定数はk'2と(k’2+k’3)とし、図10で示すようなダミーの状態を考慮し、m3をダミー大腿部質量、m4 を下肢部質量(いずれも左右の合計値)とすれば,(m3+m4)とm2が同じ減速度になると仮定し、k’2と(k’2+k’3)にそれぞれm2/(m2+m3+m4)を乗じたものをk2,k2+k3としている。なお現実的にはバネ定数:k0〜k3は変位量に対し非線形値となるが、簡易計算に用いるバネ定数:k0〜k3は計算をより簡素化するため線形値として扱っている。
〔実験値とシミュレーション計算値との比較〕
本発明による簡易的なシミュレーション演算による結果がダミーを用いた衝突スレッド試験による結果にどの程度適合しているかをが調べられた。衝突スレッド試験機に関しては良く知られているのでここでは詳しくは述べないが、用いられた試験機は油圧式であり、ステアリング及び前突用頭部、胸部保護用エアバッグは取り外されており,シートベルトとしては全てリトラクタ部にプリテンショナとフォースリミッタ機構を有する3点式連続シートベルトタイプが使用された。シミュレーション計算に用いられる車体側半周期正弦波の強制励振減速度特性とスレッド試験で再現した実際の強制励振減速度特性の比較グラフが図11に示されている。この図から、スレッド試験における強制励振減速度特性ははシミュレーションに用いられる強制励振減速度特性とほぼ同等の波形が再現出来ていることが理解できる。なお、このスレッド試験に用いられた車体側減速度特性の振幅と周期は、実車では衝突前の車両速度55km/hの運動エネルギーを持つ車両が固定壁に衝突後、車体永久変形量が0.312mとなるような車体特性を持つもので設定されているが、強制励振減速度特性が半周期正弦波であれば,いかなる車体クラッシュ特性であっても計算可能である。
この比較テストの際、シミュレーション計算に用いられた入力パラメータが図12に一覧化されている。このような入力パラメータを前述した式に代入して得られた胸部と腰部の減速度波形の計算値と、実際にスレッド試験によって得られた実験値が図13〜図16に示されている。図13は時間に対する腰部減速度の変化を、図14は腰部の移動に対する腰部減速度の変化を、図15は時間に対する胸部減速度の変化を、図16は腰部の移動に対する胸部減速度の変化を、それぞれ示している。これらの実験値と計算値を比較した図から、本発明による衝突シミュレーション計算が、非常に簡易なモデル化から出発しているにもかかわらず、スレッド試験による実験結果にかなり類似しており、特に胸部の減速度波形に関してはピーク値に達するまでの挙動が実験値と非常に良く整合しており、この衝突シミュレーション技術が車体設計時等での机上の衝突傷害推測に十分利用できることを証明している。
本発明による車両衝突シミュレーション技術は、シートに拘束された乗員の衝突事故における挙動を解析して乗員傷害の低減を図ろうとする自動車のみならず鉄道やその他乗り物全般における車体設計の分野に応用することができる。
本発明による車両衝突シミュレーション装置の構成を模式的に示す機能ブロック図 車両と車両に拘束されたダミーの力学モデルを説明する説明図 胸部に関する力学モデルを説明する説明図 腰部に関する力学モデルを説明する説明図 腰部と胸部の間の連係した動きを説明する説明図 スレッド試験に基づいてバネ係数:k0を同定するために用いられた腰部移動と肩ベルト荷重との関係を示すグラフ スレッド試験に基づいてバネ係数:k1を同定するために用いられた腰部移動と腰ベルト荷重との関係を示すグラフ 靜圧縮試験の原理図 靜圧縮試験に基づいてニーボルスタのバネ係数を同定するために用いられた変位と荷重との関係を示すグラフ 大腿部と下肢部及び腰部に作用する相互作用力を説明する説明図 シミュレーション計算に用いられる車体側半周期正弦波の強制励振減速度特性とスレッド試験で再現した実際の強制励振減速度特性との比較グラフ 入力パラメータの一覧図 実験値と計算値による腰部減速度特性グラフ 実験値と計算値による腰部減速度特性グラフ 実験値と計算値による胸部減速度特性グラフ 実験値と計算値による胸部減速度特性グラフ
符号の説明
1:車両
2:シート
3:ダミーモデル体
3a:胸部要素
3b:腰部要素
4:シートベルト
4a:フォースリミッタ付き肩ベルト要素
4b:腰ベルト要素
5:ニーボルスタ要素
20:モデル化部
30:数式化部
40:条件設定部
50:ソルバー部
60:出力部

Claims (5)

  1. 車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する少なくともシートベルトを含む拘束体の力学モデルとを運動方程式を用いて数式化し、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両に強制減速度波形を入力することにより車両衝突時のダミーの挙動を演算することを特徴とする車両衝突シミュレーション方法。
  2. 前記ダミー力学モデルは、胸部と腰部の2質点で構成され、かつ前記拘束体力学モデルは所定のバネ特性を付与される腰ベルトとフォースリミッタ付き肩ベルトとニーボルスタで構成され、その際肩ベルトに対してはフォースリミッタ作動前とフォースリミッタ作動後で異なる荷重特性を設定し、ニーボルスタに対してソフトクッション領域と非ソフトクッション領域とに分けてバネ特性を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両衝突シミュレーション方法。
  3. 前記力学モデルを運動方程式化する際、胸部のみの単独運動とした胸部運動方程式と腰部のみの単独運動とした胸部運動方程式を作成し、胸部は腰部を中心とした回転運動とみなして最終的な胸部の減速度を補正することを特徴とする請求項2に記載の車両衝突シミュレーション方法。
  4. 車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する少なくともシートベルトを含む拘束体の力学モデルとを運動方程式を設定する機能と、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入する機能と、前記車両に強制減速度波形を入力することにより車両衝突時のダミーの挙動を演算する機能をコンピュータに実行させることを特徴とする車両衝突シミュレーションプログラム。
  5. 車両のシートに載せられるダミーの力学モデルと前記ダミーを前記シートに拘束する少なくともシートベルトを含む拘束体の力学モデルを作成するモデル化部と、前記力学モデルを運動方程式を用いて数式化する数式化部、ダミー・スレッド試験を通じて同定された前記力学モデルのバネ特性を前記運動方程式に代入するとともに前記車両に入力する強制減速度波形を設定するシミュレーション条件設定部と、前記シミュレーション条件設定部によって設定された条件により車両衝突時のダミーの挙動を演算するソルバー部とが備えられていることを特徴とする車両衝突シミュレーション装置。

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