JP2005115175A - 2次元レンズアレイおよびその製造方法 - Google Patents

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俊海 小湊
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泰介 小口
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雅弘 柳澤
Yoshinori Hibino
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Abstract


【課題】 2次元レンズアレイの母材ガラスの透過率を高くすることができ、また、工程が簡素で安価であり、様々な目的のガラス材料を用いて、精密に製造することができる2次元レンズアレイおよびその製造方法を提供することを目的とする。

【解決手段】 平面基板上に2次元的に配列されている凸レンズを具備する2次元レンズアレイにおいて、上記平面基板上に設けられている溝と、上記溝によって区画され、2次元的に配列されている平面部と、上記平面部と上記平面部を囲む上記溝の少なくとも一部とを埋めるように、上記平面基板上に設けられているレンズ材料の石英系ガラスと、上記石英系ガラスの表面に設けられている凸状曲面であって、上記平面部から上記溝にかけて設けられている凸状曲面とを有する2次元レンズアレイである。

【選択図】 図1

Description

本発明は、通信分野において、アレイ化した半導体レーザやファイバに装着し、また液晶表示装置の分野において、明るさを向上させるために使用する等、応用が期待できる2次元レンズアレイおよびその製造方法に関する。
詳しくは、本発明は、石英ガラス基板等の平面基板上において、所望の焦点距離の2次元レンズアレイを提供することができ、しかも、簡便で精密な2次元レンズアレイを提供することができる2次元レンズアレイとその製造方法に関する。
従来、2次元レンズアレイを製造する場合、金属等の原版を型としてレンズアレイを転写形成(複製)する方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、フォトリソプロセスを用いて、2次元レンズアレイを製造する方法が知られている(たとえば、特許文献2参照)。さらに、表面張力、基板との漏れ性を利用して、2次元レンズアレイを製造する方法が知られている(たとえば、特許文献3参照)。
上記従来の製造方法において、原版を型として用いる場合、基板上に低温度軟化ガラスの製膜を行い、加熱によって軟化状態にし、この軟化状態で、単に、ガラスに型を押し付けるという簡素な方法で、2次元レンズアレイを形成する。
この場合、2次元レンズアレイの母材となるガラスは、原版治具を用いるので、ガラスの軟化温度が低いことが必要である。この場合、一般的に、軟化温度を低下させる添加物(NaO等)を含有し、多量の水を含むことが多い。
また、一般的に、水酸イオン(−OH)の含有量によって、可視領域、赤外領域、特に通信波長を含む近赤外領域において、光透過率が著しく変化する。一見透明に見えるガラスでも水含有率が高いと、可視領域でさえ透過率が90%程度と低くなるが、水含有率を低くすることによって、透過率を99.9%程度まで高めることができる。
特開平11−326603号公報 特開平06−194502号公報 特開2001−242303号公報
つまり、原版を型として用いる従来方法では、低温度軟化ガラスを用いた多くの2次元レンズアレイは、可視領域、特に赤外領域で、透過率の高いレンズを得ることができないという問題がある。
また、上記従来例では、焦点距離が互いに異なる形状のレンズを製造しようとすると、焦点距離に応じた型を数多く用意する必要があるという問題がある。
フォトリソプロセスを用いた従来方法では、レンズ母材であるガラスを、基板上に製膜し、半導体プロセスで用いられているフォトリソプロセスを用いて、レジストを凸状に加工する。この加工されたレジストをマスクとして、ガラスをエッチングすることによって、凸レンズを得る。
この従来の方法では、可視領域、赤外領域においても、透過率の高いガラスをフォトリソプロセスの前の基板上に堆積しておけば、透過率が高い2次元レンズアレイを得ることができる。しかし、フォトレジストの塗布、露光、現像、フォトレジストの凸型への加工、ガラスのエッチング、フォトレジストの除去というように、非常に、多くの工程を必要とするという問題がある。
また、一般的に、半導体のプロセスに用いるフォトリソプロセスを、半導体プロセスよりも凹凸の構造が大きなレンズアレイに用いるには、露光装置を大きくしなければならず、特殊な露光マスクや焦点機構が必要になり、膨大なコストが必要であるという問題がある。
表面張力、基板との濡れ性を利用する従来方法では、熱処理によってガラスを軟化させる必要があるので、ガラスの組成を調整し、軟化温度を低減する必要がある。軟化温度を下げないと、基板ガラスの軟化温度に、熱処理温度が達するので、基板が変形する。
したがって、どんな組成のガラスでもよいわけではなく、軟化温度を下げるために、石英ガラスに、通常GeO、P、B等を多量に添加したガラスを用いる必要がある。しかし、これら添加物を添加できる量には限界があり、十分な軟化温度を低減するには、過度の添加を行わなければならない。
GeOを多量に添加すると、軟化温度を低減することができるものの、純粋なSiOや、光ファイバのコアとの屈折差が大きくなる。2次元レンズアレイを、通信デバイス等に応用することを考えると、透過率だけでなく、ガラス母材の屈折率が、2次元レンズアレイの重要な要因になる。
たとえば、ファイバとの接続を実施した場合に、コアとの屈折率差があると、その界面で反射が生じ、損失の原因になる。また、石英に、PやB等の吸水性の高いガラスを多量に含むと、劣化が著しく、信頼性に問題が生じる。
本発明は、第1に、原版を型として用いる方法で製造する際に生じる、2次元レンズアレイの母材ガラスの透過率が悪くなるという問題を解決することができ、第2に、フォトリソプロセスを用いた透過率の高いレンズを得ようとするときに、工程が複雑になりコストが膨大になるという問題を解決することができ、第3に、様々な目的のガラス材料を用いて、簡便にしかも精密に製造することができる2次元レンズアレイおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、平面基板上に2次元的に配列されている凸レンズを具備する2次元レンズアレイにおいて、上記平面基板上に設けられている溝と、上記溝によって区画され、2次元的に配列されている平面部と、上記平面部と上記平面部を囲む上記溝の少なくとも一部とを埋めるように、上記平面基板上に設けられているレンズ材料の石英系ガラスと、上記石英系ガラスの表面に設けられている凸状曲面であって、上記平面部から上記溝にかけて設けられている凸状曲面とを有する2次元レンズアレイである。
また、本発明は、平面基板上に2次元的に配列されている凸レンズを具備する2次元レンズアレイの製造方法において、上記平面基板上に、溝を作成し、上記作成された溝によって区画された平面部を2次元的に配列する平面部配列段階と、石英系ガラスを上記平面部と上記溝とに堆積することによって、上記石英系ガラスで上記平面部を覆い、しかも、上記平面部を囲む上記溝の少なくとも一部を上記石英系ガラスで埋める石英系ガラス堆積段階とを有し、上記石英系ガラスの表面が、上記平面部から上記溝にかけて凸状曲面を形成する2次元レンズアレイの製造方法である。
この場合、上記石英系ガラスの膜厚、上記溝の深さ、幅のうち少なくとも1つを変えることによって、上記凸状曲面によって構成されている凸レンズの曲率半径を変化させ、また、上記石英系ガラスを堆積すると同時に、上記平面基板を加熱し、上記石英系ガラスの層をバイアススパッタ法によって堆積し、上記石英系ガラスの層を削る電力と堆積する電力との比を制御することによって、上記凸レンズの曲率半径を調整する。
本発明によれば、2次元レンズアレイの母材ガラスの透過率を高くすることができ、また、工程が簡素で安価であり、様々な目的のガラス材料を用いて、精密に製造することができるという効果を奏する。
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
図1は、本発明の実施例1である2次元レンズアレイ2LAを示す図である。
図1(1)は、2次元レンズアレイ2LAの平面図であり、図1(2)は、図1(1)のI(2)−I(2)線で切断した状態を示す断面図である。
2次元レンズアレイ2LAは、石英平面基板10上に、石英系ガラスを製膜することによって製造した2次元レンズアレイである。
2次元レンズアレイ2LAは、石英平面基板10と、所定の容積(深さ×幅)をもった溝20と、溝20で区画されている平面部30と、ガラス膜40とを有する。なお、図1(1)では、ガラス膜40を省略して示してある。
図2は、2次元レンズアレイ2LAにおいて、ガラス膜(ガラス表面)40が曲面になることを説明する図である。
図2(1)は、基板10上に、単独の溝21が設けられ、基板10と単独の溝21の上にガラス膜41が存在している状態を示す図である。
ガラス膜41の凹部の最深部の深さを、Dとし、ガラス膜41の奥部が、基板10の水平方向の平面に回復するまでの幅である傾斜幅を、Wとし、溝21の幅を、W1として示してある。
FHD法やCVD法等の等方的性質の強いガラスの製膜方法によってガラス膜41を作製する場合、溝21によって、基板10の溝21上のガラス膜41は、図2(1)に示すように傾斜する。理想的な、等方的製膜方法では傾斜幅Wが、溝21と溝W1と同じになるが、実際は、方向性を持った粒子が堆積し、堆積時の熱等によって、傾斜幅Wは、溝21の幅W1よりもかなり広くなる。また、理想に近い場合や、逆に、傾斜幅Wが溝21の幅W1よりも狭い場合でも、熱処理を行うことによって、ガラスが流動し、傾斜幅Wが広くなる。
スパッタ法等の、方向性を持った堆積方法においても、基板10の溝21の形状を調整し、バイアススパッタを行うことによって、垂直方向性の角度分散をコントロールし、これによって、図2(1)に示すように、溝21を埋め込んだガラス表面の形状にすることができる。
バイアススパッタとは、半導体プロセスにおいて凹凸面の平坦化プロセスに用いられる製膜方法であり、通常のスパッタ製膜に加えて、選択的な角度性を持つエッチングを同時に行う方法である。この方法で堆積することによって、垂直方向の堆積速度と、水平方向の堆積速度とを制御し、これによって、図2(1)に示すように、溝21を埋め込んだガラス表面の形状にすることができる。
図2(2)は、基板10において、互いに隣り合う2つの溝20の間隔S1が、傾斜幅W以内である2次元レンズアレイ2LAを示す図である。
図2(2)に示すように、基板10において、互いに隣り合う2つの溝20の間隔S1が、傾斜幅W以内である場合、溝20で区画された平面部30上のガラス表面には、平坦部が存在せず、曲面を形成し、ガラス膜40がレンズとなり得る。
上記実施例において、溝20が設けられていることによって、ガラス膜40が曲面になる。したがって、従来例のようにガラス母材を融解させ、表面張力によってガラス表面を曲面化しなくても、上記実施例では、ガラス表面に曲率を得ることができる。
ガラスの形状は、堆積時に殆ど決定され、熱処理によるガラスの流動は、小さい。実際に、1300度の高温で、ガラスを熱処理を実施しても、ガラス表面が平坦になることはなかった。
図3は、2次元レンズアレイ2LAを作成する工程を示す図である。
まず、工程1(溝形成工程)では、石英平面基板10に、ダイシングによって格子状の溝20を形成する。ダイシングによる溝20の形成方法は、複雑なプロセスや装置を一切必要としない。また、レンズアレイを構成しているレンズ個々のサイズは、溝20の形成の精度で決まり、溝20を形成することができるサイズであれば、いかなるサイズでもレンズを形成することができ、溝20によって区画された平面部30の大きさに応じて、レンズが形成される。
溝20を形成する場合、レーザ加工やフォトリソグラフィーを用いた反応性化学エッチング等、溝を形成する他の形成方法を用いることができる。レーザ加工やフォトリソグラフィーを用いた場合、溝20をリング状に形成することができ、溝20を円形にすれば、レンズ曲率が等方的にできるためレンズの収差を少なくできる。
また、フォトリソグラフィーを用いた反応性化学エッチングによって溝20を形成すると、ダイシングよりも、微細な溝20を形成できるので、レンズアレイを高密度化することができる。
次に、工程2(ガラス膜堆積工程)では、FHD法(火炎堆積法)によって、溝20を形成した平面基板10上に、ガラス膜を製膜する。上記FHD法は、光ファイバのプリフォームの製造方法を改良し、平面基板10にガラス膜を堆積させるガラス製膜方法であり、量産性に優れ、比較的厚い膜を堆積する場合に適している。また、深い溝20を、ガラスで埋め込む点で優れている。
ガラス堆積方法として、FHD法に限らず、CVD法やスパッタリング法等、他のガラス製膜法によって、ガラスを堆積することができる。
溝20を埋め込むことが困難なスパッタリングにおいて、溝20がかなり深いと、溝20の底部に空洞ができるが、溝20の形状、深さ、間隔を調整することによって、ガラス表面に曲面を得ることができる。また、溝20の幅、間隔を適切に調整し、エッチングと堆積とを同時に行うバイアススパッタの印加電力を調整することによって、溝の埋め込みが可能であり、レンズの曲率を調整することができる。
ガラス層をバイアススパッタ法によって堆積し、上記ガラス層を削る電力であるバイアス電力を大きくすると、レンズの曲率半径が、短くなり、逆に、バイアス電力を小さくすると、レンズの曲率半径は長くなる。
つまり、上記実施例は、石英系ガラスの層をバイアススパッタ法によって堆積し、上記石英系ガラスの層を堆積する電力(スパッタ電力)と、削る電力(バイアス電力)の比を制御することによって、凸レンズの曲率半径を調整する2次元レンズアレイの製造方法の例である。
上記実施例によれば、軟化温度の高いガラスを、レンズアレイ材料とした場合であっても、焦点距離を簡便に変化させることができ、精密なレンズアレイが安価である。
また、上記実施例によれば、基板10上の溝20の形成に、ダイシング、レーザ加工を用いれば、ガラスのエッチング過程を経ずに、レンズを作製することができる。
さらに、上記実施例によれば、透明化が必要でないガラス製膜方法を用いれば、用途によっては、全く熱処理をせずに、2次元レンズアレイ2LAを作製することができ、溝20の作製工程と、ガラス製膜工程との僅か2工程のみで、2次元レンズアレイ2LAを製造することができる。
なお、ガラス膜40の膜厚を厚くすると、レンズの曲率半径が小さくなり、逆に、ガラス膜40の膜厚を薄くすると、レンズの曲率半径が大きくなる。
そして、上記実施例によれば、溝20の形状(深さ、幅、間隔)、特に溝20の深さD1を変化させれば、任意のレンズ焦点距離の2次元レンズアレイ2LAを、再現性よく簡便に作製することができる。このときに、レンズガラスの屈折率を変化させずに、焦点距離を変化させることができる。
最後に、FHD法を用いた場合、工程3(熱処理)では、上記工程を経た平面基板10を透明化するために熱処理する。この透明化の熱処理によって、レンズ表面(ガラス膜40の表面)の荒れが改善され、散乱が減少するので、透過率の高いレンズを得ることができる。また、熱処理温度を調整することによって、レンズ凸部の形状を変化させることもできる。
FHD法は、加熱しながら堆積を行う方法であり、透明化以前で、既に曲率等は異なるものの、ガラス表面は曲面を得、レンズの形状をしている。透明化を、堆積と同時に実行できるガラス組成、堆積温度で、堆積を実施すれば、透明化のための熱処理工程を省略することができる。
上記実施例1では、従来の方法のように治具を使用しないので、基板10の材料の融点以下であれば、高温での熱処理が可能であり、可視領域、赤外領域で透過率が高い母材を用いた2次元レンズアレイ2LAを得ることができる。
透明膜が製膜時点で形成可能なスパッタリング等の手法を用いると、必要に応じて熱処理工程を省略することもでき、溝20の形成工程と、ガラス堆積工程との僅か2つの簡素なプロセスによって、2次元レンズアレイ2LAを作製することができる。
上記のように、溝20を形成した基板10上にガラス膜を製膜する手段は、基板10上に溝20を加工する場合に、エッチング工程を含まないようなダイシング、レーザ加工等の方法を用いればよく、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程を全く経ずに、平面基板10上に自己形成的に、凸レンズをアレイ状に形成することができる。
したがって、実施例1は、従来方法に比べて、格段と簡便な方法で、精密な2次元レンズアレイ2LAを形成することができる。
本発明の実施例2は、2次元的に配列した凸レンズを有する2次元レンズアレイ2LAにおいて、焦点距離を変化させる実施例である。
図4(1)は、実施例2において、基板10上に形成した溝20の深さと、形成されるレンズの曲率半径との関係を示す図である。
図4(1)において、溝20の深さが、堆積するガラス膜40の厚さよりも十分に深い場合、つまり、領域R2では、溝20の深さを変化させても、曲率半径は殆ど変化しない。
しかし、溝20の深さが浅くなり、図4(1)に示す所定の点Pよりも、溝20が浅い領域R1では、溝20の深さが浅くなるに連れて、曲率半径が増大する。溝20の深さが極端に浅くなると、曲率半径は無限大になる(ガラス膜40の表面がほぼ平面になる)。つまり、ガラス膜40の表面が完全に平面になるまで、曲率半径が連続的に変化する。
なお、平面基板10上に溝20を形成し、溝20の深さを調整し、連続的に曲率半径が変化する領域R1は、表面張力と基板10の濡れ性とを利用して作製する従来例(特許文献3に記載されている従来例)では、得ることができない。
実施例2の特徴である溝20の上にガラスを堆積する工程を採用してこそ、連続的に曲率半径を変化させることができる。
作製した2次元レンズアレイ2LAの断面観察結果より、上記領域R1とR2との境の点Pでは、図4(3)に示すように、基板10上に加工した溝20のエッジEにおいて、堆積ガラスの表面が連続している。
石英平面基板10上に、溝20の幅を42μmとし、溝20の深さを53μmとし、溝20の間隔を250μmとして溝20を形成したときに、この状態(図4(3)に示す状態)が得られた。もちろん、上記以外の幅、深さ、間隔であっても、条件を適当に選択することによって、図4(3)に示す2次元レンズアレイ2LA2を得ることができ、図4(3)に示す状態よりも、溝20の深さが浅くなり、図4(2)に示す2次元レンズアレイ2LA3のようになると、レンズの曲率半径は大きくなる。
図5は、実施例2において、溝20の深さ、幅、間隔を変えることによって、レンズの焦点距離が変化する理由を説明する図である。
実施例2では、基板に溝20を形成し、この溝20をガラスで埋めると、溝20の影響で、溝上20上のガラス表面が、ガラス堆積時点で、凹形状になることを利用してレンズ曲面を得る。このために、ガラス表面の曲率は、基板溝20の形状に大きく依存する。溝20の深さ、幅W1に対するガラス表面の形状の依存性を把握することによって、溝20の形状を変えるだけで、2次元レンズアレイの焦点距離を変化させることが可能になる。
ここでは、まず、簡単のために溝20が孤立して存在し、かつ1次元的な溝20を形成している場合を考える。溝20が2次元的に実施しても、焦点距離が変化する理由は、同じである。
図5(1)は、深さD1、幅W1の溝20が孤立し、この溝20の上に堆積した深さD、傾斜幅Wの凹部を持つガラスの断面図を示す図である。
溝20上にガラスを堆積させると、溝20内にガラスが徐々に充填されるので、ガラス表面の凹部の体積は、溝20の体積と同じである。つまり、断面図である図5(1)において、斜線で示す溝20の面積と、斜線で示すガラス凹部の面積とが同じになる。
図5(2)は、図5(1)に示す場合よりも、溝20の深さD1が深い例を示す図である。
図5(2)における溝20の幅W1は、図5(1)における溝20の幅W1と同じであるが、図5(2)における溝20の深さD1は、図5(1)における溝20の深さD1よりも深い。
ここで、溝20を深くすると、溝20の体積が増加するので、この溝体積増加を補うように、ガラス表面の凹部の体積も増加する。実験結果によると、ガラス表面凹部の形状について、その傾斜幅Wが殆ど変化せずに、凹部深さDが深くなり、これによって、増加した凹部体積を補おうとする。この結果、溝20が深くなると、ガラスの曲部における曲率半径が小さくなる。
傾斜幅W以内に、溝20を周期的に配置し、曲面を形成し、溝20によって区画された平面部上にレンズを形成する場合、溝20がより深くなると、レンズの曲率半径が小さくなり、焦点距離がより短くなる。以上の説明が、図4(1)に示す特性CH1を得ることができる説明である。
溝20を浅くしていくと、レンズの曲率半径は大きくなるが、溝20が極端に浅くなると、いずれ、溝20の凹凸の影響が現れなくなる。言い換えると、完全に平面になるまで、各レンズのサイズを変更することなく、溝20の深さを調整することのみによって、2次元レンズアレイの焦点距離を、連続的に変化させることができる。
図5(3)は、図5(1)に示す場合よりも、溝20の幅W1が広い例を示す図である。
図5(3)における溝20の深さD1は、図5(1)における溝20の深さD1と同じであるが、図5(3)における溝20の幅W1は、図5(1)における溝20の幅W1よりも広い。
溝20の幅W1を広くすると、溝20を深くしたときと同様に、溝20の体積が増加する。図5(3)に示す場合における溝幅W1は、傾斜幅Wに比べると、十分に小さいので、溝20の幅W1を多少変えても、傾斜幅が殆ど変化しない。この結果、ガラス表面の凹部の深さDが深くなる。このときも、傾斜幅W以内に、別の溝20を形成すると、レンズになり、幅Wを広くする程、レンズの曲率半径が小さくなり、短い焦点距離のレンズを作製することができる。
上記のように、形成したレンズ曲率は、用いる石英系ガラスの成分、熱処理温度、または、堆積させるガラス膜40の厚さ等によっても変化するが、これらのパラメータを固定すると、溝20の深さD1に対して、一義的に決まる曲率半径を、再現性よく得ることができる。
従来例における表面張力、基板との濡れ性を利用した方法では、2次元レンズアレイ2LAの焦点距離を変化させるために、熱処理温度やガラスの組成を変化させる必要がある。これら熱処理温度、ガラスの組成を調整することによって、屈折率を所望の値に設定する場合、レンズの屈折率を一定にすることが困難である。
しかし、実施例2によれば、溝20の形状のみを変化させることによって、焦点距離を変化させることができる。
上記のように、実施例2によれば、従来のレンズアレイの作製方法に比べて、単に平面基板10上の溝20の深さD1、幅W1を調整するだけで、焦点距離を容易に変化させることができ、しかも、その焦点距離を所望の値に設定することができる。
本発明の実施例3は、2次元レンズアレイ2LAを用いた波長選択フィルタである。
インターネットの爆発的な普及によって、波長多重システム(WDM)を用いた光通信回線の大容量化が進んでいる。WDMシステムでは、異なる波長の光信号を、1本のファイバに合分波する波長フィルタや、特定波長の光信号を取り出したり、加えたりするフィルタが必要不可欠である。上記フィルタとして、誘電多層膜を用いた干渉膜フィルタがある。
図6は、誘電多層膜干渉フィルタ7と、2次元レンズアレイ2LAとを使用した合分波デバイス100の構造を示す図である。
合分波デバイス100は、入力ファイバ5と、平行ガラス基板6上に作製させた誘電多層膜フィルタ7と、誘電多層膜干渉フィルタ7を保持する平行ガラス基板6と、2次元レンズアレイ2LAと、出力ファイバアレイ8とを有する。
WDMシステムのチャネル数に応じた透過波長の異なる誘電多層干渉フィルタ7が、多段に、ガラス基板6に配置されている。その前後に、先端に、2次元レンズアレイ2LAが取り付けられているファイバアレイ8を配置し、反射、透過光をそれぞれ受光し、分波する。合分波デバイス100は、1つの入力ファイバ5から、互いに異なる波長の光λ1〜λ10が入射し、波長に応じて、2次元レンズアレイ2LAを介して、アレイ中の異なるファイバに分光され出力される。
合分波デバイス100において、金型を用いる従来の2次元レンズアレイを用いた場合、製造過程において、高温の熱処理ができないので、レンズを構成するガラス自身の信号光に対する透過率が低くなり、レンズアレイの挿入損失が問題になる。また、表面張力を用いる従来例では、ファイバとの屈折率の調整が困難であり、ファイバとの接続損失が大きいという問題がある。
2次元レンズアレイ2LAを用いることによって、透過率が高く、しかも2次元レンズアレイ2LAの材料に、ファイバコアと同じ屈折率の材料を用いることができ、溝20を掘削するだけで、挿入損失を大幅に低下させることができる。
上記実施例を光通信分野に用いる場合、2次元レンズアレイ2LAを、ファイバアレイや光導波路に接続すると、レンズガラスの高品質化、屈折率の制御が容易であるので、レンズアレイ挿入損失を低減することができる。また、これらの良好な特性を持ち合わせたレンズアレイを、安価に作製することができる。
本発明の実施例1である2次元レンズアレイ2LAを示す図である。 2次元レンズアレイ2LAにおいて、ガラス膜(ガラス表面)40が曲面になることを説明する図である。 2次元レンズアレイ2LAを作成する工程を示す図である。 実施例2において、基板10上に形成した溝20の深さと、形成されるレンズの曲率半径との関係を示す図である。 実施例2において、溝深さ、幅、間隔を変えることによって、レンズの焦点距離が変化する理由を説明する図である。 誘電多層膜干渉フィルタ7と、2次元レンズアレイ2LAとを使用した合分波デバイス100の構造を示す図である。
符号の説明
10…石英平面基板、
20…溝、
30…平面部、
40…ガラス膜、
5…入力ファイバ、
6…ガラス基板、
7…誘電多層膜干渉フィルタ、
8…出力ファイバアレイ、
100…合分波デバイス。

Claims (5)

  1. 平面基板上に2次元的に配列されている凸レンズを具備する2次元レンズアレイにおいて、
    上記平面基板上に設けられている溝と;
    上記溝によって区画され、2次元的に配列されている平面部と;
    上記平面部と、上記平面部を囲む上記溝の少なくとも一部とを埋めるように、上記平面基板上に設けられているレンズ材料の石英系ガラスと;
    上記石英系ガラスの表面に設けられている凸状曲面であって、上記平面部から上記溝にかけて設けられている凸状曲面と;
    を有することを特徴とする2次元レンズアレイ。
  2. 平面基板上に2次元的に配列されている凸レンズを具備する2次元レンズアレイの製造方法において、
    上記平面基板上に、溝を作成し、上記作成された溝によって区画された平面部を2次元的に配列する平面部配列段階と;
    石英系ガラスを上記平面部と上記溝とに堆積することによって、上記石英系ガラスで上記平面部を覆い、しかも、上記平面部を囲む上記溝の少なくとも一部を上記石英系ガラスで埋める石英系ガラス堆積段階と;
    を有し、上記石英系ガラスの表面が、上記平面部から上記溝にかけて凸状曲面を形成することを特徴とする2次元レンズアレイの製造方法。
  3. 請求項2において、
    上記石英系ガラスの膜厚、上記溝の深さ、幅のうち少なくとも1つを変えることによって、上記凸状曲面によって構成されている凸レンズの曲率半径を変化させることを特徴とする2次元レンズアレイの製造方法。
  4. 請求項2または請求項3において、
    上記石英系ガラスを堆積すると同時に、上記平面基板を加熱することを特徴とする2次元レンズアレイの製造方法。
  5. 請求項2または請求項3において、
    上記石英系ガラスの層をバイアススパッタ法によって堆積し、上記石英系ガラスの層を削る電力と堆積する電力との比を制御することによって、上記凸レンズの曲率半径を調整することを特徴とする2次元レンズアレイの製造方法。
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