JP2005115150A - 疑似位相整合型波長変換素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 疑似位相整合型波長変換素子の作成の際において、下部構造の非反転層と反転層とのデューティー比を維持しつつ、界面と最表面を平坦にする。
【解決手段】 基板1を準備する第1ステップと、副格子交換エピタキシー法により空間反転III−V族化合物半導体結晶7を成長する第2ステップと、反転層と非反転層とが基板面内において周期的に配置された周期空間反転基板を形成する第3ステップと、III−V族化合物半導体結晶の再成長することにより周期空間反転基板の位相をそれぞれ引き継いだ周期空間反転構造を形成し、表面研磨により平坦化された周期空間反転構造を形成する第4ステップと、周期空間反転構造上にIII−V族化合物半導体結晶15,17を成長させる第5ステップと、を有し、第4ステップの後であって第5ステップの前に、平坦化基板の最表面に表面酸化膜を形成するステップを含む。この際、第5のステップは、V族原料とIII族原料のフラックス比(V/III比)を反転領域と非反転領域との間の界面の伝搬方向が実質的に基板の法線方向となるフラックス比を保持して行われる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、半導体材料を用いた疑似位相整合型波長変換素子技術に関し、特に、周期空間反転導波路に関連する技術に関する。
波長変換などの2次の非線形光デバイスに適用される疑似位相整合(Quasi Phase Matching:QPM)法は、非線形光学定数の空間変調構造により位相の不整合を補償する技術により、ほぼ任意の波長で所望の特性を有するデバイスを実現することができる。
化合物半導体は、非常に大きな2次非線形定数を有することは古くから知られていたが、多くの化合物半導体が光学的に等方性であったことから複屈折を利用した位相整合法を用いることができないため、波長変換材料としては対象外とされていた。
発明者らは、デバイスの高品質化に適し、自由度の高い技術として、空間反転を利用した化合物半導体をエピタキシャル成長を利用して作成する方法として副格子交換エピタキシーの研究を行ってきた(例えば、非特許文献1参照)。
近藤 高志、黄 晋二、伊藤 良一、「AlGaAs系疑似位相整合デバイス」、応用物理、第69巻、第5号、543−547ページ(2000年)。
ところで、副格子交換エピタキシーを用いて疑似位相整合型波長変換素子を作成する場合には、位相が反転している反転層と位相が反転していない非反転層とを同じ基板内に形成する必要がある。例えば、副格子交換エピタキシー法によりGaAs基板上に反転層を成長し、反転層の一部領域を除去した後、除去領域に非反転層を再成長し、最上層を平坦化した後にAlGaAs導波路を形成する方法が考えられる。
しかしながら、上記の方法を用いて素子を作成すると、平坦化処理後に成長させた結晶における結晶性の悪化、導波路側での段差の復活、反転領域と非反転領域とのデューティー比の変化などの問題が生じることがわかった。
本発明は、上記の問題点を解決し、良好な特性と構造とを有する疑似位相整合型波長変換素子を作成できる技術を提供することを特徴とする。
本発明は、低アルミ組成比のAlGaAsを用いた周期空間反転構造導波路の製造方法に関するもので、以下の要素技術よりなる。
1)副格子交換エピタキシー法による空間反転GaAs単結晶成長するステップ。
2)周期エッチングにより周期空間反転基板を作成するステップとその後のGaAs単結晶再成長による周期空間反転構造導入ステップ。
3)ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)法による周期構造基板の平坦化ステップ。
4)分子線エピタキシー法による平坦化基板上へのAlGaAs単結晶の成長ステップ。
本発明の特徴は、3)、4)のステップの改善に関する。すなわち、第1に、上記3)のステップにおけるCMP後であって4)の成長ステップの前に、予め塩酸・過酸化水素系のエッチャントを用いて表面処理を行う。第2に、上記4)のステップにおいて、a)V族原料とIII族原料のフラックス比(V/III比)を適正化し、低温成長を行う。例えば、V/III比を40から48とし、基板温度を350℃以下とする。尚、上記手法は、アルミニウムのモル比0〜0.3までのAlGaAsを用いた導波路の製造に適用可能である。
本発明によれば、表面酸化膜層の形成に対応して、CMP平坦化後の結晶性が大きく改善できる。また、反転・非反転領域の界面が基板面に対して垂直であり、かつ、表面・界面の平坦性に優れた低損失導波路を作製できる。これにより、良質の導波路型波長変換デバイスの作成が可能となる。
本発明の実施の形態について説明する前に、波長変換デバイス材料としてのGaAsについて図1を参照して説明する。図1は、波長変換デバイス材料として一般的なLiNbOとGaAsとの材料の特性を比較した図である。図1に示すように、GaAsはLiNbOと比較して、大きな光学的比線形性を有するとともに、広い透明波長域を有していることがわかる。さらに、GaAs系の材料はMBEをはじめとする結晶成長技術・素子作成技術が成熟しており、GaAs系の材料を用いて作成した半導体レーザとのモノリシックな集積化にも適している。図2は、副格子交換エピタキシー法により成長したGaAs層の原子配列を模式的に示す図である。III−V族の化合物半導体であるGaAsは、せん亜鉛鉱構造を有している。点群Tdのせん亜鉛鉱構造の結晶では、[100]軸に平行な4回回反軸が存在するため、空間反転操作は[100]軸周りの90°回転操作と等価になる。また、せん亜鉛鉱構造は、その体対角線の方向に1/4格子だけずれた2つの面心立方構造の副格子から構成されており、それぞれ副格子を占有する原子種を交換することでも空間反転が実現する。
しかしながら、III族原子とV族原子との原子価の違いのために、通常のエピタキシーでは副格子交換は起こり得ない。図2は、最も単純化した副格子交換エピタキシーの概念図を示す図である。図2に示すように、GaAs(100)基板上にGaAsを成長すると、Asで終端したGaAs層の上にIV族原子であるGeを偶数原子層挿入した後、GaAsエピタキシャル成長をAsから開始することにより、副格子の占有原子種を入れ替えることができる。
次に、本発明の一実施の形態による疑似位相整合型波長変換素子及びその製造技術についてGaAs/AlGaAs系の材料を例に説明を行う。図3及び図4は、本実施の形態による疑似位相整合型波長変換素子の製造方法の概略を示す工程図である。図3(A)に示すように、GaAs(100)基板1を準備し、分子線エピタキシー法(以下「MBE法」と称する。)により第1GaAs層3を成長した後、Ge層5を成長する。Ge層5の上に反転層である第2GaAs層(SR−GaAs)7を成長する。これにより、GaAs基板1上に、薄いGe層5を挟んで基板の法線方向にGaAs非反転層(3)とGaAs反転層(7)とが積層された積層構造を形成することができる。GaAs基板1を第1GaAs層3の代わりに用い、第1GaAs層3の成長工程を省略することもできる。尚、実際には、(100)面に対して0(−1)1方向に2°〜5°オフした表面を主面とする基板を用いている。
次いで、図3(B)に示すように、一般的なフォトリソグフィー技術により、例えばストライプ状のエッチングマスク(図示せず)を形成し、例えば塩素系のガスを用いたガスエッチング(或いはRIE)により、マスクに覆われていない領域を少なくとも第1GaAs層3表面に到達するまでエッチングを行う。これにより、凹部(溝部)11が形成され、結果として、第1GaAs層3表面が露出している非反転領域15と、第1GaAs層3/Ge層5/第2GaAs層7の積層構造を有し第2GaAs層7が露出している反転領域17とがストライプ状に配置された構造を形成することができる。次に、エッチングマスクを除去し、図3(C)に示すように、MBE法などによりGaAsの成長を行うと、第3のGaAs層21(凹部内にGaAs層21a、第2GaAs層7上にGaAs層21bが形成される。
次に、平坦化技術を用いてGaAs層21bとGaAs層21aを共に研磨し、その表面高さが一致した時点で研磨を停止する(図3(D))。次に、図3(E)に示すように、AlGaAsからなる、それぞれ、第1クラッド層25と、ガイド層27と、第2クラッド層31と、を積層する。これにより、AlGaAs導波路を作成することができる。図3(F)に示すように、AlGaAs導波路上にリッジ33を形成する。これにより、疑似位相整合型のAlGaAs導波路型素子を作成することができる。
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態による疑似位相整合型波長変換素子及びその製造技術に関連する要素技術について説明する。適宜、従来の方法を用いた場合の問題点と対比して説明する。
まず第1に、図3(D)に示す平坦化技術について説明する。一般的な平坦化技術として化学エッチング法を用いることも可能である。例えば、HCl:H:HO=0.789:0.035:3.056(モル比)でエッチングを行うと、1.5μmを再成長した後のGaAs層21aとGaAs層21bとの間の段差110nmを、1μm程度エッチングした後に20nmまで小さくすることができる。但し、微細な素子を作成する場合には、この程度の段差でも問題となる。
そこで、本実施の形態においては、平坦化技術としてCMP法を用いた。CMP法の詳細について述べる。本実施の形態においては、スラリーとして濃度6g/リットルのINSEC−NIB(NaOCl)を用い、研磨時の圧力を従来の1/3程度の59g/cm程度にした。研磨時間は1分、その後2分間の洗浄処理を行った。研磨用パッドとしてはポリマー系のSurfin(株式会社フジミインコーポレーテッド社製)を用いた。処理後の平坦性は、研磨量1μm以下で4nmと従来の方法の1/5程度、従来のCMPの1/2に低減することができた。
第2に、CMP後の基板処理技術について説明する。CMPによる研磨後には、平坦化された最表面層上に図3(E)に示すように、AlGaAsからなる導波路構造(25,27,31)を成長する。この際、何ら処理を行わずに導波路構造を再成長するか、或いは塩酸のみを含むエッチャントによる基板表面処理を行った後に導波路構造を再成長すると、導波路構造の結晶性が良くならない。CMP後の基板表面では、表面酸化膜の生成が不十分であるため、その上に成長する導波路層の結晶性があまり良くないものと考えられる。
そこで、本実施の形態においては、新たに、HCl:H:HO=80:4:1のエッチング液を用い、室温で攪拌を行いながら5秒間のエッチングを行うことにより形成される表面酸化膜を用いて、結晶成長前の基板表面を保護することを考えた。この表面酸化膜は、結晶成長まえに結晶装置内において真空下で除去される。CMP後の基板処理の改善に関しては、成長時のRHEEDパターンの観測と導波路層成長後の断面ステインエッチングを行ったSEM写真による観察及び成長層の観察により確認することができた(後述する)。
図4(A)、(B)に示すように、断面ステインエッチング後に得られたSEM像によれば、従来の基板処理方法(A)ではCMP面が明瞭に観察され、その上に成長したAlGaAs層の結晶状態もあまり良くないことがわかる。これに対して、本実施の形態による基板処理方法とを行った後にAlGaAs層を成長した場合(B)では、CMP面がほとんど判別できずCMPを行った後に成長した結晶と下地の結晶との境目が判別できないほど良好な結晶成長が行われ、その上に成長したAlGaAs層の結晶状態もきわめて良好である。
図5(A)、(B)は、従来の基板処理方法と本実施の形態による基板処理方法とを行った後にAlGaAs層を成長している時のRHEEDパターンの観測した写真である。図5(A)に示すように、従来の基板処理方法(A)によれば、[0(−1)1]((−1は1のバーを示す)のRHEED像にはスポット状のパターンが観察されるのに対して、図5(B)に示すように、本実施の形態による基板処理方法によれば、ストリークが観察され、結晶性が向上していることがわかる。
尚、表面酸化膜層は、平坦化テンプレート表面を保護する保護膜として機能するが、GaAs結晶の成長開始前に成長温度にすることにより除去されているものと考えられる。すなわち、上記表面酸化膜層は、結晶開始前(正確にはMBE装置に入れて高真空にする前)は、表面を保護する機能を有し、高真空下での昇温処理後には、除去されてその後の結晶成長の妨げにはならない。
次に、図3(E)に示すAlGaAs導波路層の再成長を行うステップについて説明する。このステップにおいて、一般的なMBE法による結晶成長条件によりAlGaAs層の単結晶成長を行うと、反転・非反転領域界面の異常隆起現象が生じ、導波路界面の凹凸が発生して散乱損失の原因となるという問題があった。この問題に関する発明者の考察について図6,7を参照して説明する。
図6は、GaAs層を再成長した場合の、段差発生(成長レート異常)のメカニズムを模式的に示す図である。図7は、実際に観察した再成長表面の様子を示す図である。図6,7に示すように、反転層と非反転層とが基板表面に露出している場合に、非反転層においても反転層においても[0(−1)1]方向にGa原子のマイグレーションが生じる。ところで、反転層と非反転層とでは基板面における結晶方位が異なるため、それぞれDARで示される方向とこれに垂直なDAR’で示される破線の矢印方向にそれぞれGa原子のマイグレーションが生じやすいものと考えられる。従って、ストライプ状に反転層と非反転層とを画定した場合において、例えば、図6,7においては、反転層から非反転層へのGa原子のマイグレーションが生じやすく、そのため、段差が発生、結晶成長層のうち非反転層が厚く、反転層が薄くなりやすいものと考えられる。
以上のように、Ga原子のマイグレーションを低減することで段差の低減を図ることができ、例えば、結晶成長温度を低めることにより、Ga原子のマイグレーションを低減することができると推測される。実際に低温成長を行った様子について図8を参照しつつ説明を行う。
図8(A)は、GaAs結晶再成長前の平坦化GaAs基板表面の状態を示す図であり、図8(B)は、従来の成長温度である600℃で結晶成長を行った場合のGaAs基板表面の状態を示す図であり、図8(C)は、300℃の低温で結晶成長を行った場合のGaAs基板表面の状態を示す図である。これらの図より、成長前には5nm程度の段差であったものが、600℃で成長するとGaのマイグレーションの影響により段差45nmになってしまうのに対して、300℃で低温成長すると、段差は10nm程度に抑えられており、Gaのマイグレーションの影響を低減することができることがわかった。
次に、高効率な疑似位相整合波長変換素子の要件であるデューティー比の保持(反転層領域と非反転層領域との面積比が当初の面積比を保持すること)に関して説明する。発明者は、結晶成長時におけるAsのバックグラウンドの圧力がデューティー比に関連することを発見した。そこで、III−V比を変化させることでデューティー比が1:1から外れる現象を抑制することができると考えた。図9は、III−V比とデューティー比との関係に関して、結晶成長後の基板の観察を行った様子を模式的に示した図である。図9に示すように、周期7.6μmの平坦化テンプレートを形成した後、GaAs層の再成長を行った場合における反転領域は、Ge層の上に画定されているCMP面に対して、非反転層との境界(ドメイン境界)が形成される。このドメイン境界を観察することで、デューティー比を推定することができる。
結晶成長の条件としては、III−V比を26,44、56と変化させ、さらに前述のように結晶成長温度を600℃と300℃の2通りで成長を行った。この際の、成長レートは0.9μm/時間であり、成長膜厚は1.5μmである。
図10に、上記の条件で成長を行った場合のデューティー比と平坦性のIII−V比(V/III)、成長時の基板温度の関係を示す。図10に示すように、デューティー比に関しては、基板温度とは独立にIII−V比として44程度において適正化されていることがわかる。一方、平坦性に関しては、III−V比と関係なく成長温度300℃で小さくなっていることがわかる。すなわち、平坦性は成長温度に依存し、デューティー比はIII−V比に依存し、かつ、平坦性とデューティーとを成長温度とIII−V比とによりほぼ独立に制御できることがわかる。さらに、図10より、成長温度300℃程度、III−V比44程度の成長条件下において、成長後の結晶表面の平坦性が良好であり、かつ、デューティー比が適正化されていることがわかる。
図11(A)、(B)に、上記最適条件(成長温度300℃、III−V比(V/III=44))で作成した周期空間反転GaAs層の断面SEM観察と表面AFM観察との結果を示す。図11(A)、(B)に示すように、平坦性が良好であり、かつ、デューティー比がほぼ1:1の良好な構造を作成することができた。図7に示す状態と比較すると、本実施の形態による方法の有効性は明らかである。
以上、本実施の形態による疑似位相整合型波長変換素子構造の製造技術によれば、GaAs反転層とGaAs非反転層とが周期的にかつ、適正化されたデューティー比で、かつ、平坦に再成長することができる。すなわち、本実施の形態によれば、GaAs反転層とGaAs非反転層とを当初の設計通りに成長することができる。尚、上記プロセス技術は、GaAsとほぼ同様の成長メカニズムで成長するAlGaAs層(特にAlの組成が0.3以下と小さい場合)にも適用できる。
2次の非線形光学効果については、以下の式で表現できる。
ω3 (2)=εχ(2)(−ω:ω,ω)Eω1ω2 (1)
ここで、Pは角振動数ω3=ω1±ω2の非線形分極、ε0は真空の誘電率、χ(2)(−ω:ω,ω)は2次非線形感受率、Eω1とEω2はそれぞれ角振動数ω1,ω2の光電場である。すなわち、角振動数ω1,ω2の入射光と非線形媒質との相互作用にこの非線形分極が生じ,これが角振動数ω3=ω1±ω2の光を放射する。これが2次非線形光学過程による波長変換の原理である。
図12は、上記の技術により実現することが可能な種々の2次非線形光学効果について示した図である。図12には、4種類の異なる2次非線形光学効果について示している。図12に示すように、第2高調発波発生(SHG:second−harmonic generation)は、非線形光学媒体(素子)に(1)式におけるωを入力させた場合に、2ωが出力される。この機能は、例えば、光記録用・リソグラフィー用光源に応用することができる。和周波発生(SFG:sum−frequency generation)は、非線形光学媒体(素子)にωとωとを入力した場合に、ω+ωを出力する。この機能は、光サンプリング・デマルチプレクサに応用できる。差周波発生(DFG:difference−frequency generaion)は、非線形光学媒体(素子)にωとωとを入力した場合に、ω−ωを出力する。この機能は、WDMネットワークにおける光クロスコネクトに適用できる。光パラメトリック発生・発振は(OPG/OPO:optical parametoric oscillation)は、ωを入力させた場合に、ω−ωとωが出力される。この機能は、赤外波長可変光源(分光、リモートセンシングなど)に適用できる。その他、様々な光学的応用が可能である。
以下に、本実施の形態による2次非線形光学効果を応用した技術について説明する。図13は、本実施の形態による疑似位相整合型波長変換素子構造の製造技術を用いて製造した素子であって、GaAsをガイド層とし、Al0.07Ga0.93Asをクラッド層とする第1構造(AlGaAs/GaAs/AlGaAs)を有する2次非線形光学デバイスの一例を示す図である。この場合には、AlGaAs層のAlのモル比が小さいため、GaAsを再成長した場合とほぼ同条件で第1構造を成長することができる。
図13に示す第1構造を有する2次非線形光学デバイスAは、(100)面(2°オフ)を主面とするGaAs基板51と、GaAs基板51上に上記の技術により作成したストライプ状の非反転層と反転層とが交互に並ぶGaAsガイド層55と、このGaAsガイド層を基板面に対して法線方向に挟むように形成された第1のAlGaAsクラッド層53と第2のAlGaAsクラッド層57と、を有している。
上記2次非線形光学デバイスの製造方法について簡単に説明する。GaAs基板51上に約10nm厚のGe層(図示せず)を成長し、Ge層上に副格子交換GaAsを約100nm成長する。リソグラフィー法により周期的に副格子交換GaAs層とGe層とを剥離し、ストライプ状の開口を形成する。次いで、GaAs層を再成長し、CMP法により表面の平坦化を行う。その後は、上述の方法によりCMP後の上記基板処理を行い、適正化されたデューティー比で、かつ、平坦に対象となる結晶を再成長する。図13においては、対象となる結晶は、第1のAlGaAsクラッド層53と、GaAsガイド層55と、第2のAlGaAsクラッド層57と、である。これにより、GaASガイド層55に関しても、非反転層と反転層とが交互に配置された構造を作成することができる。
以上に説明した通り、本実施の形態による疑似位相整合型波長変換素子の製造方法を用いることにより、疑似位相整合型波長変換素子を事前の設計、特に、デューティー比に従って実現することができる。加えて、ガイド層/クラッド層界面と最表面を平坦にすることができるため、導波路の低損失化が実現でき、また、その上に種々の素子構造を形成する場合にも非常に有利である。
尚、本実施の形態においては、III−V族化合物半導体の結晶成長を例にして説明したが、II−VI族化合物半導体の結晶成長に関しても同様の考え方をとることができ、これらの技術も本発明の範疇に入るものである。
2次非線形光学効果を応用することで、種々の光デバイスを実現することができる。
波長変換デバイス材料として一般的なLiNbOとGaAsとの材料の特性を比較した図である。 最も単純化した副格子交換エピタキシーの概念図を示す図である。 図3(A)〜(F)までは、本実施の形態によるGaAs導波路型デバイスを作成する工程を示す図である。 図4(A)、(B)は、従来の基板処理方法と本実施の形態による基板処理方法とを行った後にAlGaAs層を成長した場合の断面ステインエッチングを行ったSEM写真をそれぞれ示した図である。 図5(A)、(B)は、従来の基板処理方法と本実施の形態による基板処理方法とを行った後にAlGaAs層を成長している時のRHEEDパターンを観測した写真である。 GaAs層を再成長した場合の、段差発生(成長レート異常)のメカニズムを模式的に示す図である。 段差が発生した状況を実際に示す図である(成長温度Ts=600℃)。 図8(A)は、GaAs結晶再成長前のGaAs基板表面の状態を示す図であり、図8(B)は、従来の成長温度である600℃で結晶成長を行った場合のGaAs基板表面の状態を示す図であり、図8(C)は、300℃の低温で結晶成長を行った場合のGaAs基板表面の状態を示す図である。 III−V比とデューティー比との関係に関して、結晶成長後の基板の観察を行った様子を模式的に示した図である。 III−V比を26,44、56と変化させ、さらに前述のように結晶成長温度を600℃と300℃の2通りで成長を行った場合のデューティー比と平坦性のIII−V比(V/III)、成長時の基板温度の関係を示す。 図11(A)、(B)は、上記最適条件(成長温度300℃、III−V比(V/III=44))で作成した周期空間反転GaAs層の断面SEM観察と表面AFM観察との結果を示す図である。 本実施の形態による技術を用いて実現することが可能な種々の2次非線形光学効果について示した図である。 本実施の形態による疑似位相整合型波長変換素子構造の製造技術を用いて製造した素子であって、GaAsをガイド層とし、Al0.07Ga0.93Asをクラッド層とする第1構造(AlGaAs/GaAs/AlGaAs)を有する2次非線形光学デバイスの一例を示す図である。
符号の説明
1…GaAs(100)基板、3…第1GaAs層、5…Ge層、7…第2GaAs層(SR−GaAs)、11…凹部(溝部)、15…非反転領域、17…反転領域、21a、21b…GaAs層、25…第1クラッド層、27…ガイド層、31…第2クラッド層。

Claims (12)

  1. 副格子交換により空間反転した反転層と空間反転していない非反転層とが(100)主面内に周期的に配置された周期空間反転構造を有し平坦な最表面を有する周期空間反転下部構造と、
    該周期空間反転下部構造上に形成され、該周期空間反転下部構造における前記反転層と前記非反転層とのそれぞれの略直上の領域に前記反転層と前記非反転層との特性を引き継いで形成された反転ガイド層及び非反転ガイド層と、該反転ガイド層及び非反転ガイド層の上下に形成された第1及び第2のクラッド層と、を有する化合物半導体単結晶層により形成された導波路構造と
    を有する導波路型疑似位相整合型波長変換素子。
  2. 前記周期空間反転下部構造は、
    第1のIII−V族化合物半導体層と、該第1のIII−V族化合物半導体層の前記主面内において周期的に配置されたIV族半導体結晶層と、該IV族半導体結晶層が配置された領域上に形成された反転層及び前記IV族半導体結晶層が配置されていない領域上に形成された非反転層と、を有し、
    前記反転層と前記非反転層とのドメイン境界であって前記IV族半導体結晶層の形成領域と非形成領域との境界によって規定されているドメイン境界を有していることを特徴とする請求項1に記載の導波路型疑似位相整合型波長変換素子。
  3. 前記周期的な配置は、III−V族化合物半導体結晶を含む非反転層と反転層とのストライプ状の配置であり、該ストライプの延在方向が<011>方向と略一致する方向であることを特徴とする請求項1に記載の導波路型疑似位相整合型波長変換素子。
  4. 基板を準備する第1ステップと、副格子交換エピタキシー法により空間反転III−V族化合物半導体結晶を成長する第2ステップと、反転層と非反転層とが基板面内において周期的に配置された周期空間反転基板を形成する第3ステップと、III−V族化合物半導体結晶の再成長することにより前記周期空間反転基板の位相をそれぞれ引き継いだ周期空間反転構造を形成し、表面研磨により平坦化された周期空間反転下部構造を形成する第4ステップと、該周期空間反転下部構造上にIII−V族化合物半導体結晶を成長させる第5ステップと、を有し、
    前記第4ステップの後であって前記第5ステップの前に、前記平坦化基板に表面酸化膜を形成するステップを含むことを特徴とする周期空間反転構造の製造方法。
  5. 前記第5のステップは、
    V族原料とIII族原料のフラックス比(V/III比)を前記反転領域と前記非反転領域との間の界面の伝搬方向が実質的に基板の法線方向となるフラックス比を保持して行われることを特徴とする請求項4に記載の周期空間反転構造の製造方法。
  6. 前記第5のステップは、
    V族原料又はIII族原料の前記反転領域と前記非反転領域との間の前記基板表面におけるマイグレーションを実質的に抑制できる上限温度以下において行われることを特徴とする請求項4又は5に記載の周期空間反転構造の製造方法。
  7. 前記III−V族化合物半導体は、Alのモル比が0〜0.3までのAlGaAsであり、前記V/III比を40から48とし、前記上限温度を350℃とすることを特徴とする請求項4から6までのいずれか1項に記載の周期空間反転構造の製造方法。
  8. 基板を準備する第1ステップと、副格子交換エピタキシー法により空間反転GaAs単結晶成長する第2ステップと、周期空間反転基板を作成した後にGaAsを含む化合物半導体結晶を再成長することにより周期空間反転構造を形成する第3ステップと、ケミカルメカニカルポリッシング(以下「CMP」と称する)法により前記周期空間反転構造の表面を平坦化して平坦化基板を形成する第4ステップと、前記平坦化基板上にAlのモル比が0〜0.3までのAlGaAs単結晶を成長する第5ステップと、を含み、
    前記CMP後であって前記第5ステップの前に、予め、塩酸及び過酸化水素を含むエッチャントを用いて表面処理を行うステップを含むことを特徴とする周期空間反転構造の製造方法。
  9. さらに、前記第5のステップを、V族原料とIII族原料のフラックス比(V/III比)を前記反転領域と前記非反転領域との間の界面の伝搬方向が基板の法線方向と略平行な方向に保持される40から48までの間で行うことを特徴とする請求項8に記載の周期空間反転構造の製造方法。
  10. 前記第5のステップは、
    V族原料又はIII族原料の前記反転領域と前記非反転領域との間の前記基板表面におけるマイグレーションを実質的に抑制できる温度である350℃以下で行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の周期空間反転構造の製造方法。
  11. 前記第2ステップは、Geを成長させることにより、Ge層を挟んで空間反転したGaAs層が形成されるステップを含むことを特徴とする請求項8から10までのいずれか1項に記載の周期空間反転構造の製造方法。
  12. 副格子交換により空間反転した第1の反転層と空間反転していない第1の非反転層とが主面内に周期的に配置された周期空間反転構造を有し平坦な最表面を有する周期空間反転下部構造と、
    該周期空間反転下部構造上に形成され、該周期空間反転下部構造における前記第1の反転層と前記第1の非反転層とのそれぞれの略直上に前記第1の反転層と前記第1の非反転層との特性と形成領域とを引き継いで形成された第2の反転層及び第2の非反転層とを有する化合物半導体単結晶層により形成された上部構造と
    を有する疑似位相整合型波長変換素子。
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