JP2005114532A - 化学発光検出方法およびシステム並びに生化学解析アレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】 化学発光解析用ユニットをいくつかの検出ブロックに分けて各検出ブロック毎に順次検出する場合に、化学発光強度が時間経過に従って変化しても検出ブロック間において相対的な検出精度を低下させることがない化学発光検出方法を提供する。
【解決手段】 化学発光解析用ユニット1に、複数の領域からなる1つのコントロールスポット群を設け、このコントロールスポット群を共有するように複数の検出ブロックを設定する。コントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量と、コントロールスポット群の各領域に固定配置された試料の固定量とに基づいて化学発光量と固定量とを対応付ける検量線を導き、各検出ブロックのコントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を検量線に対応させて、各領域に結合された試料の結合量を求める
【選択図】 図3

Description

本発明は、酵素により標識される試料が結合された多数の吸着性領域を有する支持体の試料に化学発光基質を接触させて化学発光を検出する化学発光検出方法およびシステム、並びにこの化学発光検出方法およびシステムに利用することが可能な生化学解析アレイに関するものである。
マイクロアレイ解析システムやマクロアレイ解析システムにおいては、酵素により標識される試料に化学発光基質を接触させて化学発光を検出するシステムが知られている。
例えば、メンブレンフィルタなどの生化学発光解析用ユニットの表面の異なる多数の位置(吸着性領域)に、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成、特性などが既知のレセプタまたはリガンドを含む溶液を滴下して、このレセプタまたはリガンドを吸着性領域に結合させ、酵素により標識された酵素標識リガンドまたは酵素標識レセプタ(ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などにより生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施された物質)を、吸着性領域に含まれているレセプタまたはリガンドにハイブリダイズ等させてレセプタまたはリガンドと特異的に結合させ、多数の吸着性領域に選択的に含まれている酵素標識リガンドまたは酵素標識レセプタを化学発光基質と接触させ、酵素標識リガンドまたは酵素標識レセプタと接触した化学発光基質から放出される化学発光を光電的に検出して生化学発光解析用データを取得する化学発光検出システムが開発されている(例えば特許文献1または特許文献2参照)。
上記のような化学発光検出システムは、多数の吸着性領域に固定されたレセプタまたはリガンドに特異的に結合している酵素標識リガンドまたは酵素標識レセプタを有する支持体と、酵素標識リガンド等の酵素に化学発光基質を接触させた際に吸着性領域から発せられる化学発光を検出する検出装置とを備えている。このような検出装置としては、例えば上記特許文献1においては多数の光ファイバからなる導光部とこの導光部に接続された光検出器から構成される装置が使用され、特許文献2においては2次元的に配置された多数の集光レンズとこの集光レンズの結像位置に配置された光検出器から構成される装置が使用されている。
欧州特許出願公開第1271132号明細書 特開2003−42952号公報
ところで、酵素標識リガンド等の酵素に化学発光基質を接触させて吸着性領域から発せられる化学発光を検出する際には、化学発光基質から放出される化学発光を検出することが必要である。化学発光基質は酵素と接触すると、酵素により分解され、一旦励起状態になった後に発光し、化学発光強度は徐々に増加し、所定時間経過後にピークに達し、その後は緩慢に減少する。
このように化学発光検出方法は、化学発光強度が時間経過に従って変化するため、支持体上の全ての吸着性領域から発せられる化学発光を一度に検出できる場合には時間経過に伴うばらつきは問題とならないが、支持体に複数個の検出ブロックを設定し、時分割で順次各検出ブロックの検出を行う場合には、各検出ブロック毎の検出結果に、時間経過にともなう大きなバラツキが生じる場合がある。このような場合には、異なる検出ブロック間における相対的な検出精度が低下する場合がある。特に、吸着性領域を有する支持体は安価かつ容易に吸着性領域の個数を増加させることが可能であるため、一度に検出することができる吸着性領域の数が決まっている検出装置で対応する場合には、支持体に複数個の検出ブロックを設定して検出する場合が多くなることが予想される。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、支持体に設けられた多数の領域から発生する化学発光を支持体を複数個の検出ブロックに分けて各検出ブロック毎に順次検出する場合に、異なる検出ブロック間において化学発光強度が時間経過に従って変化しても相対的な検出精度を低下させることがない化学発光検出方法およびシステムを提供することを目的とするものである。
本発明の化学発光検出方法は、化学発光を生じさせる酵素により標識される試料が結合された多数の領域を有する支持体の前記試料に前記酵素を結合させ、該酵素に化学発光基質を接触させて前記領域から化学発光を生じさせ、前記領域から生じたこの化学発光を前記支持体を複数個の検出ブロックに分けて各検出ブロック毎に順次検出する化学発光検出方法において、前記支持体上に少なくとも1つの複数の領域からなるコントロールスポット群を設け、該コントロールスポット群は、それぞれの前記領域から発せられる光量が互いに異なるように前記試料が固定配置されているものであって、各検出ブロックに前記コントロールスポット群が含まれるように前記検出ブロックを設定して前記化学発光を検出することを特徴とするものである。
上記化学発光検出方法は、前記コントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量と、前記コントロールスポット群の各領域に固定配置された前記試料の固定量とに基づいて前記化学発光量と前記固定量とを対応付ける検量線を導き、前記各検出ブロックの前記コントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を前記検量線に対応させて、前記領域に結合された試料の結合量を求めるものであることが好ましい。
前記複数の検出ブロックは、1つの前記コントロールスポット群を共有するように設定してもよい。あるいは、前記コントロールスポット群が各検出ブロックに少なくとも2つ設けられており、隣接する前記検出ブロックが前記コントロールスポット群を少なくとも1つ共有するように設けられていてもよい。
本発明の化学発光検出システムは、化学発光を生じさせる酵素により標識される試料が結合された多数の領域を有する支持体と、前記試料に前記酵素を結合させ、該酵素に化学発光基質を接触させて前記領域から化学発光を生じさせ、前記領域から生じたこの化学発光を前記支持体を複数個の検出ブロックに分けて検出する検出手段とを有する化学発光検出システムにおいて、前記支持体が、該支持体上に少なくとも1つの複数の領域からなるコントロールスポット群が設けられたものであって、該コントロールスポット群は、それぞれの前記領域から発せられる光量が互いに異なるように前記試料が固定配置されているものであり、前記検出手段が、各検出ブロックに前記コントロールスポット群が含まれるように前記検出ブロックを設定して前記化学発光を検出するものであることを特徴とするものである。
前記検出手段は、前記コントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量と、前記コントロールスポット群の各領域に固定配置された前記試料の固定量とに基づいて前記化学発光量と前記固定量とを対応付ける検量線を導き、前記各検出ブロックの前記コントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を前記検量線に対応させて、前記領域に結合された試料の結合量を求める換算手段を備えていることが好ましい。
前記複数の検出ブロックは、1つの前記コントロールスポット群を共有するように設定されていてもよい。あるいは、前記コントロールスポット群が各検出ブロックに少なくとも2つ設けられており、隣接する前記検出ブロックが前記コントロールスポット群を少なくとも1つ共有するように設けられていてもよい。
本発明の生化学解析アレイは、化学発光を生じさせる酵素により標識される試料が結合された多数の領域が、互いに離間されて設けられた生化学解析アレイであって、前記領域に結合した試料を化学発光を利用して検出するシステムに用いられる生化学解析アレイにおいて、該生化学解析アレイ上に少なくとも1つの複数の領域からなるコントロールスポット群が設けられており、該コントロールスポット群は、それぞれの前記領域から発せられる光量が互いに異なるように前記試料が固定配置されているものであることを特徴とするものである。
本発明の化学発光検出方法及びシステムは、化学発光を生じさせる酵素により標識される試料が結合された多数の領域を有する支持体の前記試料に前記酵素を結合させ、該酵素に化学発光基質を接触させて前記領域から化学発光を生じさせ、前記領域から生じたこの化学発光を前記支持体を複数個の検出ブロックに分けて各検出ブロック毎に順次検出する化学発光検出方法において、前記支持体上に少なくとも1つの複数の領域からなるコントロールスポット群を設け、該コントロールスポット群を、それぞれの前記領域から発せられる光量が互いに異なるように前記試料が固定配置されているものとし、各検出ブロックに前記コントロールスポット群が含まれるように前記検出ブロックを設定して前記化学発光を検出するので、コントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量と、コントロールスポット群の各領域に固定配置された試料の固定量とに基づいて化学発光量と固定量とを対応付ける検量線を導くことができ、各検出ブロックのコントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を検量線に対応させて、各領域に結合した試料の結合量を求めることができるので、化学発光強度が時間経過に従って変化しても、各検出ブロック毎の検出結果に時間経過にともなうバラツキが生じることがなく、異なる検出ブロック間における相対的な検出精度の低下を抑制することができる。
特に、本発明の化学発光検出方法及びシステムは、コントロールスポット群を発光強度が互いに異なる複数の吸着性領域からなるものとしているので、これによって検量線を導くことができ、誤差のほとんどない検出値を得ることができる。
なお、複数の検出ブロックが、1つの前記コントロールスポット群を共有するように設定されていると、各検出ブロックのそれぞれに異なるコントロールスポット群を設ける場合に比べて、コントロールスポット群間に誤差が生じることがなく、より検出精度を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の化学発光検出システムの1つの実施の形態を示す概略構成図である。本発明の化学発光検出システムは、化学発光解析用ユニット1およびこの化学発光解析用ユニット1から発せられる化学発光を検出する化学発光検出装置10とから構成されている。
図2は化学発光解析用ユニットの概略斜視図である。化学発光解析用ユニット1は、図2に示すように、略円形の孔3が複数設けられた支持体2と、孔3の内部に充填され、多孔性材料が支持体2と接着された吸着性領域4とからなる。この吸着性領域4には、構造または特性が既知のレセプタまたはリガンド(以下レセプタで代表する)5が滴下され、その後の処理により固定化される。なお、本発明の化学発光検出方法及びシステムに用いられる生化学解析アレイの担体の材質、構成は何ら限定されるものではなく、図2に示す化学発光解析用ユニットはレセプタが滴下される位置が予め吸着性領域として設けられているものを示しているが、レセプタが滴下される位置が予め設けられていないスライドガラス板やメンブレンフィルタのようなものであってもよい。
図3は本発明の化学発光検出方法に用いられる化学発光解析用ユニットの1の実施の形態を示す概略図である。化学発光解析用ユニット1には20×16個の吸着性領域4が設けられ、化学発光解析用ユニット1上には12×9個の吸着性領域からなる4つの検出ブロックA〜Dが、コントロールスポット群6を共有するように設定されている。コントロールスポット群6は8個の吸着性領域からなっており、それぞれの吸着性領域には、それぞれの領域から発せられる光量が互いに異なるように、すなわち、それぞれの領域から発せられる光量が互いに異なる強度a〜hを示すように、各領域に試料が固定配置されている。
図4は本発明の化学発光検出方法に用いられる化学発光解析用ユニットの別の実施の形態を示す概略図である。化学発光解析用ユニット1には12×30個の吸着性領域4が設けられ、化学発光解析用ユニット1上には12×9個の吸着性領域からなる4つの検出ブロックA〜Dが設定されている。各検出ブロックA〜Dには、それぞれの領域から発せられる光量が互いに異なる強度a〜hを示すように試料が固定配置されている8個の吸着性領域からなるコントロールスポット群が、それぞれ2つずつ設けられている。また、隣接する検出ブロックAと検出ブロックB、検出ブロックBと検出ブロックC、検出ブロックCと検出ブロックDは、コントロールスポット群6b、コントロールスポット群6c、コントロールスポット群6dをそれぞれ共有するように設けられている。
図3に示すコントロールスポット群6あるいは図4に示すコントロールスポット群6a〜6eの各吸着性領域には、それぞれの領域から発せられる光量が互いに異なるように、すなわち、それぞれの領域から発せられる光量が強度a〜hを示すように、各領域に試料が固定配置されるが、コントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量と各領域に固定配置された固定量とに基づいて化学発光量と固定量とを対応付ける検量線を導くため、光量強度a〜hは化学発光解析用ユニット1上の全ての吸着性領域4から発せられる化学発光量の強度分布をまんべんなく網羅できるように選択されることが好ましい。このように化学発光解析用ユニット1上の全ての吸着性領域4から発せられる化学発光量の強度分布をまんべんなく網羅できるように光量強度a〜hを調整することによって、より誤差の少ない検出を行うことができる。なお、図3および図4では、コントロールスポット群を8個の吸着性領域からなるものとしているがコントロールスポット群に含まれる吸着性領域の数はこれに限定されるものではない。
また、図3および図4では、複数の検出ブロックがコントロールスポット群を共有する態様を示しているが、各検出ブロック毎に1つのコントロールスポット群、あるいは各検出ブロックに2つのコントロールスポット群を設け、そのコントロールスポット群を隣接する検出ブロックで共有しないような態様としてもよい。
本発明の化学発光検出方法およびシステムは、第1の態様として、化学発光解析用ユニット1の吸着性領域4に結合されたレセプタに、酵素により標識された酵素標識リガンドまたは酵素標識レセプタ(以下、酵素標識リガンドで代表する)を特異的に結合させ、この酵素標識リガンドに化学発光基質を接触させて化学発光を検出する場合に利用することが可能である。
吸着性領域4に結合されるレセプタは、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなどであって、特性、組成、構造あるいは塩基配列や塩基の長さなどが既知のものである。レセプタは、吸着性領域に滴下した後、紫外線の照射などにより吸着性領域に固定することができる。
酵素としては、例えばアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼなどの酵素を好ましく用いることができる。酵素標識リガンドはこのような酵素により標識され、吸着性領域に結合されるレセプタと特異的に結合することが可能なホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などにより生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施されたものである。
化学発光基質としては、酵素がアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼである場合には、特に限定するものではないが、それぞれジオキセタン、ルミノール、ルシフェリンを用いることができる。
本発明の化学発光検出方法及びシステムは、第2の態様として、化学発光解析用ユニット1の吸着性領域4に結合されたレセプタにリガンドを特異的に結合させ、このリガンドに酵素により標識された酵素標識体を特異的に結合させ、酵素標識体に化学発光基質を接触させて化学発光を検出する場合に利用することが可能である。
これは、検出するリガンドを、吸着性領域4に結合されたレセプタと酵素により標識された酵素標識体により挟み込む、いわゆるサンドイッチ法と呼ばれる手法である。ここでいう、リガンドは多孔性の吸着性領域に結合されるレセプタと特異的に結合するホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などにより生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施された物質である。
酵素により標識された酵素標識体とは、前述の酵素により標識され、リガンドの反応部位に特異的に結合することができる抗原、抗体の他、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなどであって、特性、組成、構造あるいは塩基配列や塩基の長さなどが既知のものを意味する。
本発明の化学発光検出方法及びシステムは、第3の態様として、化学発光解析用ユニット1の吸着性領域4に結合されたはレセプタに標識物質により標識された標識リガンドを特異的に結合させ、標識リガンドに酵素により標識された酵素標識抗体を特異的に結合させ、標識リガンドと特異的に結合した酵素標識抗体に化学発光基質を接触させて化学発光を検出する場合に利用することができる。
リガンドを標識する標識物質としては、ジゴキシゲニン、ビオチン、アビジン、フルオロセインなどの抗原、及びこれらの抗原に対する抗体などを好ましくあげることができ、ビオチンに対するアビジン等のような生物学的結合パートナーであってもよい。
酵素標識抗体は、標識リガンドの標識物質に対する抗体を酵素で標識したものである。酵素標識抗体の酵素としては、上述のアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素を好ましく用いることができる。
以下、上記第3の態様においてレセプタとしてDNAを用いる場合を例にとり、化学発光解析用ユニットにコントロールスポット群を設ける方法について具体的に説明する。なお、ここではコントロールスポット群を設ける態様は図3に示すものである。まず、コントロールスポット群6の8箇所の吸着性領域に濃度が異なるDIG(ジゴキシゲニン)で標識されたDIG標識DNAをそれぞれ滴下しした後、紫外線の照射などにより吸着性領域4に固定する。これによって、それぞれの領域から発せられる光量が互いに異なる強度a〜hを示すように、DIG標識DNA(試料)が固定配置されたコントロールスポット群が形成される。
コントロールスポット群に固定されるDNAは、コントロールスポット群のDNAと検出しようとするDNAとが競合して特異的結合を起こさないようにするため、化学発光解析用ユニット1で検出しようとするDNAと相補的でないものから選択されることが好ましい。なお、コントロールスポット群に固定配置される試料は上記第1の態様、第2の態様の場合も同様に標識リガンドが使用される。
次に、コントロールスポット群以外の吸着性領域には、検出しようとする無標識のDNA(検出するDNAに相補的なDNA)が固定される。なお、ここではコントロールスポット群にDIG標識DNAを固定した後、コントロールスポット群以外の吸着性領域に無標識DNAを固定しているが、これらは同時に行ってもよいし、コントロールスポット群以外の吸着性領域に無標識DNAを固定した後、コントロールスポット群にDIG標識DNAを固定してもよい。
続いて、コントロールスポット群が形成され、無標識DNAが固定された化学発光解析用ユニット1を利用して化学発光を検出する方法について説明する。化学発光解析用ユニット1の吸着性領域に固定された無標識DNAに、検出しようとするDIG標識DNA(以下、検出試料DIG標識DNAという)を特異的に結合させる。このとき、コントロールスポット群に固定されているDIG標識DNAは、検出試料DIG標識DNAと競合して特異的結合を起こさない配列のものが選択されているため、コントロールスポット群に固定されているDIG標識DNAが、さらに特異的結合を起こすことはない。
吸着性領域に固定された無標識DNAと検出試料DIG標識DNAを特異的に結合させるには、吸着性領域にDNAが固定された化学発光解析用ユニットと、検出試料DIG標識DNAが添加された反応液をハイブリダイゼーションバッグ内に入れハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて、DIG標識DNAを対流あるいは拡散により移動させて結合させることによって、あるいは反応液を吸着性領域を横切るように強制的に流動させることが可能なポンプやシリンジなどを有するリアクタを用いて結合させることによって行うことができる。
次に、抗DIG−AP(アルカリホスファターゼ)抗体をコントロールスポット群のDIG標識DNAおよびコントロールスポット群以外の検出試料DIG標識DNAと特異的に結合させる。なお、この抗DIG−AP抗体とDIG標識DNAおよび検出試料DIG標識DNAとの結合も、上述した無標識DNAと検出試料DIG標識DNAの結合と同様にして行うことができる。抗DIG−AP抗体をDIG標識DNAおよび検出試料DIG標識DNAと特異的に結合させた後、抗DIG−AP抗体に化学発光基質であるジオキセタンを接触させる。ジオキセタンを接触後、化学発光検出装置10を用いて、化学発光解析用ユニット1から発せられる化学発光を検出する。
ここで、化学発光検出装置10の構成について説明する。化学発光検出装置10は、図1に示すように化学発光による光を導光する導光部20、この導光部20により導光された光を検出する検出部30、導光部20を移動させる移動部材40および検出部30および移動部材40に接続される制御部50およびこの制御部50へ接続される換算部60から構成されている。
導光部20は光入射端21側へ入射した光を光出射端22側まで導光するものであり、12×9の計108本のガラス製の光ファイバ23を有し、各光ファイバ23の光入射端24は、固定ヘッド26により、互いに離間して2次元的に配置された状態で固定されている。各光入射端24の2次元的な配置は、化学発光解析用ユニット1における各吸着性領域4の2次元的な配置と1対1で対応するものであり、固定ヘッド26は、各光入射端24が、各吸着性領域4に対向するように化学発光解析用ユニット1上に密着して取り付けられている。導光部20の光出射端22は、光ファイバ23の光出射端25が細密に接するようにバンドルされている。
なお、固定ヘッド26は遮光部材から構成され、各吸着性領域4から発せられた光が、導光部20の光入射端21近傍で、対応する光ファイバ23とは異なる光ファイバ23へ漏れ、クロストークが生じることを防止している。また、各光ファイバ23は、コアおよびコアの周囲を覆うクラッドから構成され、コア径は240μmであり、クラッド径は250μmである。
なお、化学発光解析用ユニット1は、アルミベース13上に配置され、アルミベース13の下には、化学発光解析用ユニット1を温調するためのペルチェ素子14が配置されている。
検出部30は、ヒートシンク31が取り付けられ、結露防止のための窒素32が封止されている封止チャンバー33と、封止チャンバー33の内部に配設され、導光部20の光出射端25と対向して配置されているCCDチップ34と、CCDチップ34を保持するCCDパッケージ35と、ネジ36およびネジ37により封止チャンバー33にネジ止めされているアルミベース38と、アルミベース38と封止チャンバー33間に保持されているCCDチップ34の冷却用ペルチェ素子39とから構成されている。CCDパッケージ35は、不図示のネジによりアルミベース38に取り付けられている。
移動部材40は、導光部20を移動させるものであり、移動距離は後述する制御部50により制御されている。制御部50は、CCDチップ34の動作制御、移動部材40の動作制御およびCCDチップ34からの検出結果の読み出し等含む検出装置全体の制御を行うものである。
換算部60はコントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量(強度a〜h)と、コントロールスポット群の各領域に固定配置された試料(DNA−DIG標識DNA)の固定量とに基づいて化学発光量と固定量とを対応付ける検量線を検出ブロックA〜Dそれぞれにおいて導き、各検出ブロックのコントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量をその検出ブロックで導かれた検量線に対応させて、各領域に結合されたDIG標識DNA量を求めるものである。
続いて、化学発光検出装置10で化学発光解析用ユニット1の各吸着性領域4から化学発光を検出する動作について説明する。化学発光解析用ユニット1上には、図3に示すように20×16個、計320個の吸着性領域4が並んでいるが、図1に示す化学発光検出装置10の検出用の光ファイバ23は12本×9本で108本しかないため、化学発光解析用ユニット1上にA〜Dの4つの検出ブロックを設定し、各検出ブロック毎に順次検出を行う。
まず制御部50の制御により、移動部材40は導光部20を移動させ、各光ファイバ23の光入射端24が吸着性領域4と対応するように、導光部20を検出ブロックA上にセットした後、CCDチップ34の露光を開始する。制御部50は、CCDチップ34の検出値を読み出す。その後制御部50の制御により、移動部材40が導光部20を移動させ導光部20を検出ブロックB上にセットして、CCDチップ34の露光を開始し、制御部50は、CCDチップ34の検出値を読み出す。同様にして、制御部50の制御により、移動部材40が導光部20を移動させ導光部20を検出ブロックC、検出ブロックD上にセットして、CCDチップ34の露光を開始し、制御部50は、CCDチップ34の検出値を読み出す。
全ての検出ブロックを検出した後、換算部60では、まず検出ブロックAのコントロールスポット群の8つの領域から検出された化学発光量と、コントロールスポット群の各領域に固定配置されたDIG標識DNAの固定量とに基づいて化学発光量とDIG標識DNA量とを対応付ける検量線を導く。その後、検出ブロックAのコントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を検量線に対応させて、各領域に結合されたDIG標識DNA量を求める。同様にして、検出ブロックB〜Dにおけるコントロールスポット群からそれぞれ検量線を導き、検出ブロックB〜Dのコントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量をそれぞれの検出ブロックから得られた検量線に対応させて、各領域に結合されたDIG標識DNA量を求める。
検出ブロックA〜検出ブロックDのそれぞれにおいてコントロールスポット群によって検量線を導き、この検量線によって各検出ブロックのそれぞれの吸着性領域に結合しているDIG標識DNA量を求めることができるため、化学発光強度が時間経過に従って変化しても、各検出ブロック毎の検出結果に、時間経過にともなうバラツキが生じることがなく、異なる検出ブロック間における相対的な検出精度の低下を抑制することができる。
また、1つの吸着性領域の発光強度を複数の検出ブロックに共有させてこの1つの発光強度の変化によって時間経過に伴う化学発光強度の変化を補正する場合には、共有する1つの吸着性領域の発光強度との差が大きいものほど補正によって得られる検出値は誤差が大きくなるが、本発明の場合にはコントロールスポット群が発光強度の異なる複数の吸着性領域からなっており、これによって検量線を導きコントロールスポット群以外の吸着性領域の検出値を求めるため、誤差のほとんどない検出値を得ることができる。
さらに、図3で示す化学発光解析用ユニットの場合には、検出ブロックA〜検出ブロックDが1つのコントロールスポット群を共有しているため、各検出ブロックのそれぞれに別個のコントロールスポット群を設ける場合に比べて、コントロールスポット群間に誤差が生じることがなく、より検出精度を向上させることができる。
図4に示すように、1つの検出ブロックに2つのコントロールスポット群がある場合には、コントロールスポット群の各領域に固定配置された、2つのコントロールスポット群のDIG標識DNAの固定量が同じ箇所の2つの化学発光量を平均し、この平均化学発光量とDIG標識DNA量とを対応付ける検量線を導き、その後、検出ブロックAのコントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を検量線に対応させて、各領域に結合されたDIG標識DNA量を求める。このように2つのコントロールスポット群のDIG標識DNA固定量が同じ領域からの化学発光量を平均することによって、コントロールスポット群間の誤差を相殺することが可能である。
図4に示すコントロールスポット群の配置によっても、化学発光強度が時間経過に従って変化しても、各検出ブロック毎の検出結果に、時間経過にともなう大きなバラツキが生じることがなく、異なる検出ブロック間における相対的な検出精度の低下を抑制することができる。なお、検出したい試料が多く、各検出ブロックに2つのコントロールスポット群を設けることができないような場合には、コントロールスポット群間の誤差を相殺することはできなくなるが、各検出ブロック毎に1つのコントロールスポット群を設ける態様であってもよい。
以上のように、本発明の化学発光検出方法及びシステムは、支持体上に少なくとも1つの複数の領域からなるコントロールスポット群を設け、このコントロールスポット群を、それぞれの領域から発せられる光量が互いに異なるように試料が固定配置されているものとし、各検出ブロックにコントロールスポット群が含まれるように検出ブロックを設定して化学発光を検出するので、コントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量と、コントロールスポット群の各領域に固定配置された試料の固定量とに基づいて化学発光量と固定量とを対応付ける検量線を導くことができ、各検出ブロックのコントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を検量線に対応させて、領域に結合された試料の結合量を求めることができるので、化学発光強度が時間経過に従って変化しても、各検出ブロック毎の検出結果に時間経過にともなうバラツキが生じることがなく、異なる検出ブロック間における相対的な検出精度の低下を抑制することができる。
本発明の化学発光検出システムの1つの実施の形態を示す概略構成図 化学発光解析用ユニットの概略斜視図 本発明の化学発光検出方法に用いられる化学発光解析用ユニットの1の実施の形態を示す概略図 本発明の化学発光検出方法に用いられる化学発光解析用ユニットの別の実施の形態を示す概略図
符号の説明
1 化学発光解析用ユニット(生化学解析アレイ)
2 支持体
4 吸着性領域
5 レセプタまたはリガンド
6 コントロールスポット群
10 化学発光検出装置(検出手段)
60 換算部(換算手段)
A〜D 検出ブロック

Claims (9)

  1. 化学発光を生じさせる酵素により標識される試料が結合された多数の領域を有する支持体の前記試料に前記酵素を結合させ、該酵素に化学発光基質を接触させて前記領域から化学発光を生じさせ、前記領域から生じたこの化学発光を前記支持体を複数個の検出ブロックに分けて各検出ブロック毎に順次検出する化学発光検出方法において、
    前記支持体上に少なくとも1つの複数の領域からなるコントロールスポット群を設け、該コントロールスポット群は、それぞれの前記領域から発せられる光量が互いに異なるように前記試料が固定配置されているものであって、各検出ブロックに前記コントロールスポット群が含まれるように前記検出ブロックを設定して前記化学発光を検出することを特徴とする化学発光検出方法。
  2. 前記コントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量と、前記コントロールスポット群の各領域に固定配置された前記試料の固定量とに基づいて前記化学発光量と前記固定量とを対応付ける検量線を導き、前記各検出ブロックの前記コントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を前記検量線に対応させて、前記領域に結合された試料の結合量を求めることを特徴とする請求項1記載の化学発光検出方法。
  3. 前記複数の検出ブロックが、1つの前記コントロールスポット群を共有するように設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の化学発光検出方法。
  4. 前記コントロールスポット群が各検出ブロックに少なくとも2つ設けられており、隣接する前記検出ブロックが前記コントロールスポット群を少なくとも1つ共有するように設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の化学発光検出方法。
  5. 化学発光を生じさせる酵素により標識される試料が結合された多数の領域を有する支持体と、
    前記試料に前記酵素を結合させ、該酵素に化学発光基質を接触させて前記領域から化学発光を生じさせ、前記領域から生じたこの化学発光を前記支持体を複数個の検出ブロックに分けて検出する検出手段とを有する化学発光検出システムにおいて、
    前記支持体が、該支持体上に少なくとも1つの複数の領域からなるコントロールスポット群が設けられたものであって、該コントロールスポット群は、それぞれの前記領域から発せられる光量が互いに異なるように前記試料が固定配置されているものであり、
    前記検出手段が、各検出ブロックに前記コントロールスポット群が含まれるように前記検出ブロックを設定して前記化学発光を検出するものであることを特徴とする化学発光検出システム。
  6. 前記検出手段が、前記コントロールスポット群の各領域から検出された化学発光量と、前記コントロールスポット群の各領域に固定配置された前記試料の固定量とに基づいて前記化学発光量と前記固定量とを対応付ける検量線を導き、前記各検出ブロックの前記コントロールスポット群以外の各領域から検出された化学発光量を前記検量線に対応させて、前記領域に結合された試料の結合量を求める換算手段を備えていることを特徴とする請求項5記載の化学発光検出システム。
  7. 前記複数の検出ブロックが、1つの前記コントロールスポット群を共有するように設定されていることを特徴とする請求項5または6記載の化学発光検出システム。
  8. 前記コントロールスポット群が各検出ブロックに少なくとも2つ設けられており、隣接する前記検出ブロックが前記コントロールスポット群を少なくとも1つ共有するように設けられていることを特徴とする請求項5または6記載の化学発光検出システム。
  9. 化学発光を生じさせる酵素により標識される試料が結合された多数の領域が、互いに離間されて設けられた生化学解析アレイであって、前記領域に結合した試料を化学発光を利用して検出するシステムに用いられる生化学解析アレイにおいて、
    該生化学解析アレイ上に少なくとも1つの複数の領域からなるコントロールスポット群が設けられており、該コントロールスポット群は、それぞれの前記領域から発せられる光量が互いに異なるように前記試料が固定配置されているものであることを特徴とする生化学解析アレイ。
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