JP2005108742A - コロナ放電式除電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】除電針の損傷やパーティクルの堆積に起因するイオンバランスの崩れに対処するものであり、正極性及び負極性の各除電針先端の損傷現象及びパーティクル堆積を均一とすることにより、イオンバランスの保持を図り、除電針の交換と清掃の頻度を減少させることができるコロナ放電式除電装置を明らかにする。
【解決手段】除電針が対構造である型式のコロナ放電式除電装置において、正極性の高電圧発生回路及び負極性の高電圧発生回路により夫々生成させた高電圧を、極性切替回路に入力される切替信号に応じた極性に切り替えて、対構造の除電針の夫々に印加する構成を有することを特徴とするコロナ放電式除電装置である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、除電装置、特にコロナ放電式除電装置に関する。
コロナ放電式除電装置において、イオンを発生させる方式には、大きく分類して、次の3通りがある。第1は、除電針が正負極の1対宛で配設されており、正極除電針と負極除電針の間で生じるコロナ放電により正負のイオンを発生させる方式である。第2は、第1方式の正負極1対宛の除電針に加えて接地極(アース極)を設ける方式である。第3は、除電針と対象物体との間で生じるコロナ放電を利用する方式である。この方式では、対象物体の帯電極性に従って除電針に印加する電圧の極性を正又は負に切り替える方式のものとがあり、更に、除電針が正極用と負極用の1対が配設されており、夫々切り替えて利用する方式のものと、除電針が単一で印加される電圧の極性を切り替える方式のものとがある。
本発明に係る除電装置は、上記各方式において、除電針が正負極の1対宛で配設されている構成のコロナ放電式除電装置に関する。
また、コロナ放電式除電装置は、出力電圧の印加方式により、AC型(交流型)とDC型(直流型)とに分類されるが、高速除電が可能であること、イオンバランスの調整が容易であること、小型・軽量・低ノイズであることなどの特長があることからDC型が広く採用されており、本発明に係る除電装置もDC型を採用している。
除電装置の性能を示すパラメーターの1つにイオンバランスがある。ここで除電装置におけるイオンバランスとは、発生するプラスイオンとマイナスイオンの量に差が生じることを意味するが、これまでは、除電装置の性能として除電作用が重要視されていたために、イオンバランスは±20〜50V程度でも実用的であるとされていた。然しながら、昨今、半導体などの集積化が進んだことから、イオンバランスが重要視されるようになり、±5V以下の要求もある。
本発明が対象とする方式の除電装置では、除電針が正極性及び負極性とに独立しているため、常に同じ極性の電圧が印加される構造となっており、電気集塵の原理により、除電針の先端にパーティクルが堆積することとなり、その結果、堆積する物質の種類と量などに従って、イオン発生量が変化することとなる。この場合、正極と負極によりパーティクルの堆積量に差が生じるが、一般的には、負極性電圧が印加される側の除電針にパーティクルが堆積しやすい傾向にあり、負極除電針と正極除電針とで、イオン発生量に差が生じ、イオンバランスが崩れる結果となる。
一定量以上のパーティクルが除電針に堆積してしまうと、イオンの発生量が実用レベル以下となってしまうことがあるので、除電針に堆積したパーティクルは、清掃により適宜に除去する必要がある。
また、除電針に対する電圧印加が長期間にわたると、その先端が酸化や磨耗などにより損傷を受けて、丸みをおびることとなり、それに伴って、イオン発生量が徐々に低下する現象があり、先端の損傷が一定以上に進行すると、イオンの発生量が実用レベル以下となってしまうことがある。このような除電針の損傷現象には、正極性が印加された除電針と負極性が印加された除電針との間に有意差があり、このことも、イオンバランスの維持にとって障害となる。従って、損傷が進行した除電針は交換する必要がある。
特許文献1には、コロナ放電を長時間継続することによる電極針の損傷の実際が詳しく説明されている。
上記した除電針の損傷やパーティクルの堆積によるイオンバランスの崩れに対処する方法として、除電針への印加電圧や印加時間を調整することが知られている。
特許文献2には、電極に印加される電圧の周波数と、正極性及び負極性の電圧を個別に制御することができる除電装置が記載されている。この装置は、直流電源に、夫々スイッチを介して、トランスと倍電圧整流回路により構成される正極性高電圧発生回路と負極性高電圧発生回路を接続し、各高電圧発生回路の出力端子間に等価な抵抗を接続すると共に、該2つの抵抗の接続点に電極針を接続し、更に、制御装置の制御信号により前記2つのスイッチを開閉制御し、電極針に正極性及び負極性の高電圧を印加して正極性及び負極性のイオンを発生させるものであり、2つのスイッチの開閉時間を制御することにより、電極針に印加される電圧の周波数と正負極性の電圧の大きさを制御する構成である。
上記の装置では、配設される電極針は単一で、除電しようとする対象物体の帯電極性と反対極性の高電圧を単一の電極針に印加して除電する方式であり、電極針を正負の1対構成とする方式である本発明に係る除電装置とは異なって、イオンバランスをとるための制御系が複雑である。
特開平10−302932号 特開2000−58290号
上記した電極針の先端部におけるパーティクルの堆積や損傷は、負極側の電極針の方が大であって、本発明が対象とする除電装置では、除電針が正負極の1対宛で配設されている方式を採用しているので、パーティクルの堆積や損傷に起因するイオン発生量に大きな違いが生じ易く、イオンバランスの維持という技術課題は殊の外重要である。
除電針への印加電圧や印加時間を調整することで、除電針の損傷やパーティクルの堆積によるイオンバランスの崩れに対処する方法では、例えば、イオンの発生量の少ない側の除電針に大きな電圧を印加するために、一方の極性の除電針における損傷現象やパーティクルの堆積が更に加速されることとなり、針交換や清掃の頻度が拡大することとなり、好ましい対処法ということはできない。
上記から明らかなように、本発明は、除電針の損傷やパーティクルの堆積に起因するイオンバランスの崩れに対処するものであり、正極性及び負極性の各除電針先端の損傷現象及びパーティクル堆積を均一とすることにより、イオンバランスの保持を図り、除電針の交換と清掃の頻度を減少させることができるコロナ放電式除電装置を明らかにすることを課題とする。
本発明に係るコロナ放電式除電装置は、下記構成を有する。
1.除電針が対構造である型式のコロナ放電式除電装置において、正極性の高電圧発生回路及び負極性の高電圧発生回路により夫々生成させた高電圧を、極性切替回路に入力される切替信号に応じた極性に切り替えて、対構造の除電針の夫々に印加する構成を有することを特徴とするコロナ放電式除電装置。
2.除電針が対構造である型式のコロナ放電式除電装置において、正極性の高電圧発生回路と負極性の高電圧発生回路とを夫々複数配設し、極性切替回路に入力される切替信号に従って前記正極性の高電圧発生回路と負極性の高電圧発生回路を選択して、対構造の除電針の夫々に印加される電圧の極性を切り替える構成を有することを特徴とするコロナ放電式除電装置。
3.除電針が対構造である型式のコロナ放電式除電装置において、正極性の高電圧発生回路及び負極性の高電圧発生回路により夫々生成させた高電圧を対構造の除電針の夫々に印加する途中経路に極性切替手段を配設し、対構造の除電針の夫々に印加される高電圧の極性を切り替える構成を有することを特徴とするコロナ放電式除電装置。
4.極性切替手段が、機械的構成であり、オペレーターの手動操作により極性の切り替えが行われることを特徴とする前記3に記載のコロナ放電式除電装置。
請求項1〜4に示される本発明によれば、除電針への電圧印加が定期的に、例えば24時間サイクルで、自動又は手動切換とすることができるので、除電針先端の損傷現象やパーティクルの堆積現象が各除電針間で均一に生じさせることができ、1対宛除電針の一方の極性側だけの損傷やパーティクルの堆積が加速されることとなっていた従来装置と比較し、イオンバランスの維持が容易であり、しかも針交換や清掃の頻度が減少しメンテナンス負荷が軽減される利益がある。更に、従来装置に比較し、検査や計測などの管理時間の大幅な削減が期待できる。
そして、請求項3又は4に示される本発明によれば、請求項1又は2に示される本発明に比べ、低コストにて提供できる利点が加わる。
図1に従って、第1実施例(電気的構成の極性切替手段による)を説明する。
直流電源10には、正極性の高電圧発生回路20と、負極性の高電圧発生回路30とが接続される。夫々の高電圧発生回路20・30は、発振回路21・31、トランス22・32、整流回路23・33とで構成されており、電源10としては、直流電源を利用する外、交流電源を直流に変換して利用する方式を包含する。
夫々の高電圧発生回路20・30の出力は、極性変換回路40に入力され、極性切替信号41に従って、正又は負の電圧が除電針50・51に印加される。
図3に従って、極性切替回路40を説明する。この例は、1種のリレー回路で、極性切替信号41の有無により、即ち、電流のON・OFFによりスイッチ42・43が切り替わり、除電針50・51に印加される電圧の極性が切り替えられる。
極性切替信号41は、積算された通電時間の長さ或いは通電時刻などを設定することにより発信される。例えば、図3に実線で示す状態にスイッチ42・43が切り替えられてから、除電針50・51への電圧印加がT時間行われると、スイッチ42・43が仮想線で示す状態に切り替えられ、除電針50・51に印加される電圧の極性が切り替えられ、この状態がt時間継続される。このとき、T=tに設定されていれば、除電針50・51のどちらも、正極と負極での印加時間が等しくなり、電極針の先端部におけるパーティクルの堆積や磨耗の問題に関しては、同一条件となり、イオンの発生量に差が生じてイオンバランスが崩れることが防止される。
極性切替信号41をどのように発信させるかは、積算計やタイマー或いは時計などと連動させることで様々に設計が可能である。また、このことゝ関係して、極性切替回路40も様々に設計することが可能であり、図示の態様に限定されるものではない。
図2に従って、第2実施例(電気的構成の極性切替手段による)を説明する。
この実施例は、正極性高電圧発生回路20A・20Bと負極性高電圧発生回路30A・30Bを用意して、極性切替回路45により、正極性高電圧発生回路20Aと負極性高電圧発生回路30Aとの組み合わせ、又は、正極性高電圧発生回路20Bと負極性高電圧発生回路30Bとの組み合わせを選択させることにより、除電針50・51に印加される電圧の極性を切り替える構成である。
尚、以上説明した符号20〜57で指示される構成要素の夫々は、公知のものを特別の制限なく使用でき、例えば、特許文献2の段落番号[0013]〜[0016]に開示されている回路等を利用することができる。
図4〜6に従って、機械的構成の実施例を説明する。
図4に示す機械的構成の第1例は、機械的構成により、除電針50・51に印加される電圧の極性を切り替える方式である。図示の態様は、除電針50・51を回動ないし回転可能な台座52に配設し、この台座52を操作することで、図1に示した極性切替回路40の出力端子に連続するリード線52・53への除電針50・51の接続を切り替える構成である。除電針50・51の台座52の回動ないし回転操作は、オペレータによるマニュアル操作でもよいが、モータやソレノイドで行う方式とすれば、上記した電気回路による方式と同様に、自動制御が可能である。
除電針50・51の配列が、図6に示すように連続的な構成である場合にあっては、台座52を回転ないし回動させることは機械的に不都合な構成であるから、電圧を供給する側の部材S(仮想線で示されている)の側を回転ないし回動させることで除電針50・51に印加される電圧の極性を切り替える。
図5に示されている機械的構成の第2例を説明する。この実施例は、除電針50・51へ供給する電圧の極性の切替を、レバー式の切替スイッチを利用して行う構成である。図5において、切替スイッチ55のレバーをA側に倒せば、正極性のレバーが除電針50に連続する端子に、負極性のレバーが除電針51に連続する端子に夫々接続されて、除電針50には正極性の電圧が、除電針51には負極性の電圧が印加されることとなり、逆に、切替スイッチ55のレバーをB側に倒せば、正極性のレバーが除電針51に連続する端子に、負極性のレバーが除電針50に連続する端子に夫々接続されて、除電針50には負極性の電圧が、除電針51には正極性の電圧が印加されることとなる。
この実施例から導かれる他の実施態様として、図5の構成(切替レバーが支持点を中心にして双方向に回動する構成)に代えて、レバー部分が双方向(図5で説明すると、A側又はB側)に(直線的に)平行移動する構成とすることで、レバー部分が接続する端子を切り替えることが可能である。
上記の実施態様において、切替レバーの(直線的な)平行移動により接続端子の切替を行う構成は、更に、切替レバーを(平面的に)回転ないし回動させることで、環状に配列されている接続端子を選択させることで極性の切替を行う実施態様とすることができる。
図6に示されている機械的構成の第3例を説明する。この実施例は、除電針50・51が、夫々の電極ベース56に連続的に配列されている態様の除電装置において、端部に極性切替盤57を配置して、除電針50・51に印加される電圧の極性を切り替える構成である。
除電針50・51の側には、リード線53・54を介して接続端子T1・T2が用意されており、他方、極性切替盤57の側には、負極性の電圧が導かれている接続端子T3・T5と正極性の電圧が導かれている接続端子T4が用意されている。極性切替盤57を矢符A方向にスライドさせると、接続端子T3が除電針50に連続する接続端子T1に、接続端子T4が除電針51に連続する接続端子T2に、夫々接続し、除電針50には負極性の電圧が、除電針51には正極性の電圧が、夫々印加されることになる。逆に、極性切替盤57を矢符B方向にスライドさせると、接続端子T4が除電針50に連続する接続端子T1に、接続端子T5が除電針51に連続する接続端子T2に、夫々接続し、除電針50には正極性の電圧が、除電針51には負極性の電圧が、夫々印加されることになる。
上記構成に代えて、極性切替盤57の接続端子T3〜T5の極性を図示とは逆の極性にすることができる。
上記実施例では、極性切替盤57をスライド(直線往復運動)させる構成としたが、極性切替盤57を、中心軸を中心にして回動ないし回転(半転を含む)させる構成、メトロノーム式に左右に振らせる構成、とすることが可能である。
また、図7に示すように、除電針50・51を配列する部材Uと極性切替盤57を含む極性切替手段Vとは、機械的に密接した配列とする構成に限定されるものではなく、電気コード58を長く設定することで、オペレーターが操作し易い位置に極性切替盤57を配設するなど、自由な設計が可能となる。
本発明における極性切替手段が機械的構成である具体例は、上記に限定されず公知の機械的スイッチ機構を特別の制限なく採用することができる。
例えば、下記のスイッチ機構技術を応用することができる。
1.特表平9−510040(密閉型リレー装置:高圧に対するアーク抑制の方法について)
2.特開平8−64052(小型リレー:電磁作用による多チャンネル接点方法について)
3.特開平6−231654(スライド切換スイッチ機構:スライド型の切換機構について)
4.特開平7−220584(中電圧及び高電圧用多極スイッチ:多極の切換機構について)
5.特開平10−12091(回転クリックスイッチ:スイッチの位置決め方式について)
6.特開平10−175585(自転車用切換スイッチ:スイッチの位置決め方式について)
7.特開平5−231401(ポジショナのリミットスイッチ調整機構:リミットスイッチの調整手段について)
また、極性切替手段の切替操作は、オペレータが直接操作する場合に限らず、例えば、パワースイッチのON−OFFに連動ないし関連させる構成にしてもよい。
第1実施例を示す概略図 第2実施例を示す概略図 極性切替を行う電気回路の1例を示す概略図 極性切替を行う機械的構成の第1例を示す概略断面図 極性切替を行う機械的構成の第2例を示す概略斜視図 極性切替を行う機械的構成の第3例を示す概略斜視図 極性切替を行う機械的構成の第4例を示す概略斜視図
符号の説明
10−直流電源
20−正極性の高電圧発生回路
20A−正極性の高電圧発生回路
20B−正極性の高電圧発生回路
21−発振回路
22−トランス
23−整流回路
30−負極性の高電圧発生回路
30A−負極性の高電圧発生回路
30B−負極性の高電圧発生回路
31−発振回路
32−トランス
33−整流回路
40−極性変換回路
41−極性変換信号
42−スイッチ
43−スイッチ
45−極性切替盤
50−除電針
51−除電針
52−台座
53−リード線
54−リード線
55−レバー式スイッチ
56−電極ベース
57−極性切替盤
58−電気コード
S−電圧供給側部材
U−除電針配列側部材
V−極性切替手段

Claims (4)

  1. 除電針が対構造である型式のコロナ放電式除電装置において、正極性の高電圧発生回路及び負極性の高電圧発生回路により夫々生成させた高電圧を、極性切替回路に入力される切替信号に応じた極性に切り替えて、対構造の除電針の夫々に印加する構成を有することを特徴とするコロナ放電式除電装置。
  2. 除電針が対構造である型式のコロナ放電式除電装置において、正極性の高電圧発生回路と負極性の高電圧発生回路とを夫々複数配設し、極性切替回路に入力される切替信号に従って前記正極性の高電圧発生回路と負極性の高電圧発生回路を選択して、対構造の除電針の夫々に印加される電圧の極性を切り替える構成を有することを特徴とするコロナ放電式除電装置。
  3. 除電針が対構造である型式のコロナ放電式除電装置において、正極性の高電圧発生回路及び負極性の高電圧発生回路により夫々生成させた高電圧を対構造の除電針の夫々に印加する途中経路に極性切替手段を配設し、対構造の除電針の夫々に印加される高電圧の極性を切り替える構成を有することを特徴とするコロナ放電式除電装置。
  4. 極性切替手段が、機械的構成であり、オペレーターの手動操作により極性の切り替えが行われることを特徴とする請求項3に記載のコロナ放電式除電装置。
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