第1の発明は、加熱庫と、前記加熱庫内の食品を高周波により加熱する高周波加熱手段と、前記食品を蒸気により加熱する蒸気加熱手段と、前記食品の表面温度を非接触で検出する赤外線温度センサと、前記加熱庫の内部の温度を検出する庫内温度センサと、前記赤外線温度センサと前記庫内温度センサの検出する温度により前記高周波加熱手段および前記蒸気加熱手段を制御する加熱制御手段を有し、前記加熱制御手段は加熱開始初期から前記高周波加熱手段により前記食品を加熱するとともに前記蒸気加熱手段を予熱する第1加熱制御部と、加熱途中から前記蒸気加熱手段により前記食品を加熱する第2加熱制御部と、前記赤外線温度センサの検出する温度により前記第1加熱制御部から前記第2加熱制御部に切替える切替え部を有し、前記第2加熱制御部は前記庫内温度センサの検出温度が所定の仕上がり温度を維持するよう蒸気加熱手段を制御する構成としたものである。
これによって、加熱開始初期は赤外線温度センサにより表面温度を監視しながら高周波加熱手段で食品を加熱することで表面を所望の温度以上に高温にすることなく加熱できる。またこの間に高周波により直接食品の内部を加熱できるので、表面よりは低温であってもある程度内部温度を上昇させられる。またこの間に表面からの熱伝導で内部温度を上昇させることもできる。またこの間に蒸気加熱手段を予熱して蒸気加熱の準備を済ませて待機できる。ここで加熱制御手段は加熱途中より蒸気加熱手段での加熱に切替え、蒸気より食品の表面に高温の水滴を接触させその熱伝導により内部を加熱する。そして庫内温度センサで庫内の温度を所定の仕上がり温度を維持するよう蒸気加熱手段を制御し、高温の水滴からの熱伝導で食品全体を加熱するので、食品の表面から内部まで所定の仕上がり温度に均一に加熱でき、しかも加熱開始初期は高周波で食品内部を加熱するとともに蒸気加熱手段を予熱しているので高速で加熱を完了することができる。
第2の発明は、特に第1の発明の蒸気加熱手段は水を入れる容器と、前記水を加熱する熱源を有し、第2加熱制御部は庫内温度センサの検出する温度により前記熱源の加熱パワーを制御する構成とすることにより、容器に入れられた水は熱源により加熱されて水蒸気となり加熱庫に送り込まれ、冷えて高温の水滴となって食品表面に接触し食品を加熱することができる。また、熱源のパワーを制御して発生する水蒸気量を加減でき、加熱庫内温度を所定の仕上がり温度に維持でき、高温の水蒸気が食品に接触することはなく、表面に煮えや焦げなどを発生させることなく、食品を表面から内部まで均一に加熱することができる。
第3の発明は、特に第2の発明において容器内の水の温度を検出する水温センサを更に備え、第1加熱制御部は前記水温センサの検出する水温が沸騰温度より低い所定温度まで熱源を加熱する予熱制御部を有する構成とすることにより、予熱制御部が水温センサの検出する温度を監視しながら容器内の水を沸騰温度の手前まで加熱し、高周波による加熱中に水蒸気を発生させることなく、赤外線温度センサで食品表面温度を正しく監視しながら蒸気過熱の準備を済ませて待機でき、食品の表面から内部まで所定の仕上がり温度に均一に高速で加熱することができる。
第4の発明は、特に第1の発明の切替え部は赤外線温度センサにより検出する温度が所定の切替え温度に達するまで第1加熱制御部により高周波加熱手段で食品を加熱し、その後は第2加熱制御部で蒸気加熱手段により食品を加熱するよう切替える構成とすることにより、赤外線温度センサによる検出温度が切替え温度になるまで食品を高周波加熱手段で加熱し、その後は食品を蒸気加熱手段で加熱することになり、高周波加熱手段での加熱で食品の表面温度が切替え温度より高温になることはなく、食品を表面から内部まで均一に高速で加熱することができる。
第5の発明は、特に第4の発明の加熱制御手段は仕上がり温度を基に切替え温度を決定し、切替え温度は前記仕上がり温度より低い温度とする構成とすることにより、加熱開始から完了までの間、食品の表面から内部まで所定の仕上がり温度より高温になることはなく、部分的な煮えや焦げなどもなく、食品を表面から内部まで均一に加熱することができる。
第6の発明は、特に第1の発明の第1加熱制御部は高周波加熱手段を断続的に駆動する構成とすることにより、食品表面の端部など高周波加熱手段により加熱されやすい部分と食品内部など加熱されにくい部分を熱伝導により温度差を抑制でき、食品の一部分を急激に加熱してしまうことなく均一にしやすくなり、部分的な煮えや焦げなどもなく、食品を表面から内部まで均一に加熱することができる。
第7の発明は、特に第6の発明の第1加熱制御部は高周波加熱手段の断続的な停止中に蒸気加熱手段の予熱を行う構成とすることにより、同時に多くの電流を必要とせずに蒸気加熱手段を予熱でき、高速で加熱することができる。
第8の発明は、特に第1の発明の加熱制御手段を第1加熱制御部で加熱制御している時間を計測する第1タイマーと、前記第1タイマーで計測した時間に基づき所定の関数により第2加熱制御部で加熱制御する時間を演算する演算部と、前記演算部による演算結果の時間だけカウントする第2タイマーを有し、前記第2タイマーによるカウントの終了で加熱調理を終了する構成としたものである。
これにより、第1加熱制御部での加熱に要する時間は食品の負荷の大きさに依存するものであり、それを第1タイマーで計測し、また第2加熱制御部で加熱すべき時間も食品の大きさに依存するものであるので、第2加熱制御部で加熱すべき時間を第1タイマーで計測した時間より演算部で演算し、それを第2タイマーでカウントすることで、食品の加熱終了を自動的に判定する自動調理が可能となり、食品の表面から内部まで均一に加熱された時点で自動的に調理を完了できる。
第9の発明は、特に第8の発明において第2加熱制御部で加熱中に第2タイマーによるカウントの残時間を表示する時間表示手段を更に備えた構成とすることにより、加熱完了までの残時間を時間表示手段に表示することが可能となり、使用者にとって使い勝手が向上する。
第10の発明は、特に第1の発明において、使用者が食品の温度を設定する温度設定手段を更に有し、加熱制御手段は前記温度設定手段で設定された温度を基に仕上がり温度を決定する構成とすることにより、温度設定手段で設定された温度を基に仕上がり温度が設定されるので、使用者の所望の温度で食品の表面から内部まで均一に加熱することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の構成図を示すものである。
図1において、食品1は密封パックされたものであり、加熱庫2に収納し高周波加熱手段であるマグネトロン3と、蒸気加熱手段4で加熱される。蒸気加熱手段4は水5を入れる容器6と、熱源であるヒータ7より成り、ヒータ7によって容器6に入った水5を加熱し、沸騰させて発生する水蒸気を加熱庫2に送り込むことで食品1を加熱する。
マグネトロン3による高周波加熱は食品1の表面だけでなく内部も直接加熱することができるものの、食品1の形状に依存するが表面の特に端部を加熱しやすい。また蒸気加熱手段4による加熱では、発生した水蒸気は加熱庫2で冷却され高温の水滴となり食品1に接触して、食品1を表面から加熱する。このとき食品1は高温の水滴から受けた熱の熱伝導で内部まで加熱するものであり、表面から内部まで水滴の温度以上に加熱されることはない。
赤外線温度センサ8は非接触で温度を検出するものであり、加熱庫2の外部に設け、加熱庫2内の食品1の表面温度を検出する。また庫内温度センサ9はサーミスタであり、加熱庫内2の内部に設け、加熱庫2の雰囲気温度を検出するものである。また水温センサ10もサーミスタであり、容器6内部の水または湯5の温度を検出するものである。
また温度設定手段11は使用者が操作して設定するものであり、この食品1の仕上がり温度を設定するものである。温度設定手段11は操作部12と表示部13より成り、操作部12はダイヤル式の操作部で回転させることで温度を設定するものであるとともに、中心部を押すことで加熱を開始することができるものである。また表示部13は使用者に設定温度を表示するものである。使用者は表示部13を見ながら操作部12を回転させて食品1の所望の仕上がり温度を設定し、また操作部13を押すことで加熱を開始させる。また時間表示手段14は加熱調理完了までの残り時間を表示するものであり、後述するが加熱途中から残り時間がわかるのでそれを表示することで使用者の使い勝手を向上している。
以上の構成で、赤外線温度センサ8、庫内温度センサ9、水温センサ10の検出温度に基づき、マグネトロン3および蒸気加熱手段4を制御するのが加熱制御手段15である。加熱制御手段15は加熱の前半にマグネトロン3を制御するとともに蒸気加熱手段4を予熱する第1加熱制御部16と、加熱の後半に蒸気加熱手段4を制御する第2加熱制御部17と、加熱制御を第1加熱制御部16と第2加熱制御部17の間で切替える切替え部18を含んでいる。
そして加熱開始から初期は第1加熱制御部16によりマグネトロン3を駆動して高周波により食品1を加熱するとともにヒータ7により蒸気加熱手段4を予熱する。ここで第1加熱制御部16はマグネトロン3の駆動を制御する高周波制御部19と、水温センサ10の検出温度によりヒータ7の通電を制御する予熱制御部20を備えている。
高周波制御部19はマグネトロン3を断続的に駆動、停止しながら加熱する。これはマグネトロン3を駆動して食品1の高周波が集中しやすい部分を加熱し、停止して食品1全体に熱を伝導させることで、赤外線温度センサ8による温度検出が困難な部分的な過剰加熱を発生させず、食品1をより均一に温度上昇させるためである。
予熱制御部20は水が沸騰する温度より低い所定温度(例えば80℃)を維持するように水温センサ10の検出する温度に基づきヒータ7の通電をON/OFF制御する。ただし高周波制御部19によりマグネトロン3を断続運転で駆動中には水温センサ10の検出温度に関わらず通電を停止し、マグネトロン3が断続運転で停止中には水温センサの検出温度が所定温度より低ければ通電し、高ければ通電停止し、これを一定のヒステリシスの幅を持たせて行う。
水を沸騰温度より低い所定温度までしか加熱しない理由は、沸騰して水蒸気が発生すると、その水蒸気が加熱庫に入り、雰囲気温度で冷却されて水滴となって赤外線温度センサ8による食品1の表面温度検出を妨げるからである。またマグネトロン3を駆動中にヒータ7を通電しない理由は、加熱調理器全体として消費する電流を抑制するためである。
赤外線温度センサ8の検出する食品1の温度が所定の切替え温度に達すると、切替え部18は加熱手段を切替え、第2加熱制御部17がヒータ7を駆動する。ここで庫内温度センサ9の検出する温度が所定の仕上がり温度を維持するようにヒータ7を駆動制御する。即ち、庫内温度センサ9の検出する温度が所定の仕上がり温度を下回っているとヒータ7に通電し、超えているとヒータ7の通電を停止するもので、それを一定のヒステリシスの幅を持たせて行うことで加熱庫2内の温度を所定の仕上がり温度で略一定に保つ。
また加熱制御手段15は前記した所定の仕上がり温度を設定する仕上がり温度設定部21と前記した所定の切替え温度を設定する切替え温度設定部22を含んでいる。仕上がり温度設定部21は使用者が操作して設定する温度設定手段11からの信号で仕上がり温度を決定する。また切替え温度設定部22は仕上がり温度設定部21で設定された温度より一定温度(例えば5度)低い温度を切替え温度として設定する。これは赤外線温度センサ8で検出することが困難な食品1の内部温度や、表面温度でも極小面積の一部分が過剰加熱される可能性があることを考慮して、仕上がり温度より少し低い温度を切替え温度として設定している。
切替え温度設定部22で設定された切替え温度は切替え部18に出力され、第1加熱制御部16で高周波加熱することから第2加熱制御部17で蒸気加熱することへの切替えの温度となり、また仕上がり温度設定部21で設定された温度は第2加熱制御部17に出力され、蒸気加熱するときに加熱庫2内を一定に維持する温度となる。この構成で加熱開始初期には赤外線温度センサ8の検出温度が切替え温度になるまでマグネトロン3で食品1を加熱し、その後は庫内温度センサ9の検出温度が仕上がり温度を維持するように蒸気加熱手段4を制御することで、食品1を表面から内部まで均一に仕上がり温度にすることができる。
加熱制御手段15は更に第1タイマー23と、第2タイマー24と、演算部25を備えて、自動での加熱完了を実現している。第1タイマー23は加熱開始から時間のカウントを開始し、赤外線温度センサ8の検出温度が切替え温度に達するまでの時間を測定する。この時間はマグネトロン3による食品1の加熱時間であり、食品1の負荷の大きさに依存するものである。特にマグネトロン3による断続運転で食品1を加熱する場合には、高周波の集中しやすい個所の加熱とその後の熱伝導の繰り返しになり、連続加熱よりも食品1の負荷の大きさに比例させやすい。
一方、第2タイマー24は赤外線温度センサ8による検出温度が切替え温度に達してから後、蒸気加熱手段4で食品1を加熱する時間をカウントするものであり、このときに必要な時間も食品の負荷に概略比例するものである。したがって、演算部25において第1タイマー23でカウントした時間に比例した時間を演算し、その時間を第2タイマー24でカウントしたところで加熱完了とすることで、自動で加熱完了できることとなる。
次に本発明の第1の実施の形態における加熱調理器で加熱したときの食品1の温度変化と加熱庫2内の温度変化を、第1加熱制御部16、第2加熱制御部17によるマグネトロン3、ヒータ7の動作と合わせて図2の温度特性図により説明する。図2において(a)は食品1および加熱庫2内部の温度変化を示す図、(b)はマグネトロン3のON、OFF動作を示す図、(c)はヒータ7のON、OFF動作を示す図である。
図2(a)において実線Aは食品1の温度で表面温度の代表的な温度であり、赤外線温度センサ8で検出できる温度であり、実線Bは食品1の内部温度の代表的な温度であり食品1の中でも最も低温部分の温度で赤外線温度センサ8では検出できない温度である。また破線Cは加熱庫2内部の温度であり、庫内温度センサ9で検出できる温度である。またT1は仕上がり温度設定部21で設定された仕上がり温度、T2は切替え温度設定部22で設定された切替え温度である。
また図2(b)は第1加熱制御部16の高周波制御部19で駆動制御されるマグネトロン3の動作を示すものであり、加熱開始初期にはON/OFFを繰り返す断続運転を行い、赤外線温度センサ8で検出する食品1の表面温度が切替え温度T2に達するまでこの断続運転を行う。
また図2(c)は第1加熱制御部16の予熱制御部20と第2加熱制御部17で通電制御されるヒータ7の動作を示すものである。予熱制御部20は水温センサ10により検出する水5の温度(図示せず)が沸騰温度より低い所定温度になるまでヒータ7を通電し、その後はその所定温度を維持するようヒータ7を通電ON/OFF制御する。ここでマグネトロン3が駆動中にはヒータ7の通電を停止する。加熱途中に赤外線温度センサ8で検出する食品1の表面温度が切替え温度T2に達した時点からは更に通電を継続して水5を加熱し、沸騰して水蒸気が発生し始めると加熱庫2内の温度が上昇し、仕上がり温度T1に達すれば、以後仕上がり温度T1を維持するよう、庫内温度センサ9の検出温度に基づいてヒータ7の通電ON/OFF制御するものである。
図2(a)において、食品1の表面温度である実線Aは加熱開始初期にはマグネトロン3駆動中は急速に温度上昇し、停止中は食品1の内部への熱伝導と空気中への熱放散により温度低下し、この断続運転の繰り返しにより温度は上昇と下降を繰り返しながら徐々に温度上昇していく。そして高周波加熱から蒸気加熱に切替わってからは、加熱庫2内に充満する高温の水滴に接触することで、加熱庫2内の温度である仕上がり温度T1に等しくなるよう温度上昇する。
食品1の内部温度である実線Bは、加熱開始初期の第1加熱制御部16により加熱している間は、マグネトロン3の駆動中は高周波による直接加熱と表面からの熱伝導で、停止中は表面からの熱伝導で徐々に温度上昇する。この温度上昇は表面温度の上昇より遅い。そして高周波加熱から蒸気加熱に切替わってからは、表面からの熱伝導で徐々に温度上昇を続け、加熱庫2内の温度である仕上がり温度T1に等しくなるよう温度上昇する。
加熱庫2内の温度である破線Cは、加熱開始初期は食品1から放散される熱で少しずつ温度上昇する。そして高周波加熱から蒸気加熱に切替わってからは、蒸気加熱手段4から発生する水蒸気で急速に温度上昇し、仕上がり温度T1に達すると、庫内温度センサ9の検出温度によりヒータ7を通電ON/OFF制御することで、仕上がり温度T1をほぼ維持することとなる。そして、食品1の表面温度である実線Aと内部温度である実線Bと加熱庫2の内部温度である破線Cは仕上がり温度T1ですべて等しくなり、食品1は仕上がり温度T1で均一な温度に仕上げることができる。
図3と図4により、加熱制御手段15の動作の流れをフローチャートで説明する。図3は加熱開始初期に第1加熱制御部16がマグネトロン3により食品1を高周波加熱するとともにヒータ7により蒸気加熱手段4を予熱するステップを説明するフローチャートであり、図4は加熱途中から第2加熱制御部17がヒータ7により食品1を蒸気加熱するステップを説明するフローチャートである。
図3のフローチャートにおいて、まずステップS1で使用者は温度設定手段11により食品1の仕上がり温度T0を設定する。そして使用者はステップS2で操作部12により加熱開始を指示する。以降、加熱制御手段15による制御となる。
ステップS3において、仕上がり温度設定部21が使用者の設定した仕上がり温度T0に基づき、加熱制御手段15で扱う仕上がり温度T1を設定する。ここではT1=T0と、使用者が設定した温度をそのまま仕上がり温度T1としている。更にステップS4で切替え温度設定部22が仕上がり温度T1を基にそれよりΔTだけ低い温度T2を切替え温度として設定する。そして第1タイマー23で第1加熱制御部16での加熱時間のカウントを開始し、ステップS6で予熱制御部20の制御でヒータ7の通電を停止し、ステップS7で高周波制御部19の制御でマグネトロン3を駆動する。
高周波制御部19によるマグネトロン3の駆動は断続運転をするので予め定めたON時間tONと予め定めたOFF時間tOFFをカウントしながらマグネトロン3のONとOFFを繰り返す。そのためにステップS8でマグネトロン3のON時間tONをカウントし始める。そしてステップS9で赤外線温度センサ8により食品1の表面温度TFを検出する。そしてステップS10でこの検出した食品1の表面温度TFがステップS4で設定した切替え温度T2を超えたかどうかを比較し、超えていればステップS22に進む一方、越えていなければステップS11に進む。ステップS11ではマグネトロン3のON時間tONが所定時間に達したかどうかを比較し、達していればステップS12に進む一方、達していなければステップS9に戻り、ステップS9、S10、S11を繰り返す。
マグネトロン3のON時間tONが所定時間に達してステップS12に進むと、マグネトロン3を停止する。そしてステップS13でマグネトロン3のOFF時間tOFFをカウントし始める。前記と同様にステップS14で赤外線温度センサ8により食品1の表面温度TFを検出する。そしてステップS15でこの検出した食品1の表面温度TFが切替え温度T2を超えたかどうかを比較し、超えていればステップS22に進む一方、越えていなければステップS16に進む。
マグネトロン3を停止しているので、ここで切替え温度T2を超えることは考えにくいが、余熱により超える場合も想定し、ステップS15での比較を入れているが、簡易的にするためにこのステップS15は省略しても構わない。
次にステップS16において水温センサ10により水5の温度TWを検出する。そしてステップS17でこの検出した水5の温度TWが沸騰温度より低い所定温度の例えば80℃と比較し、それより高ければステップS18でヒータ7の通電を停止する一方、高くなければステップS19に進む。またステップS19では所定温度より更にヒステリシス幅だけ低い温度の例えば75℃と比較し、それより低ければステップS20でヒータ7を通電する一方、低くなければステップS21に進む。
ステップS21ではマグネトロン3のOFF時間tOFFが所定時間に達したかどうかを比較し、達していればステップS6に戻ってヒータ7の通電を停止する。一方、達していなければステップS14に戻り、ステップS14からS21を繰り返す。
ステップS10またはステップS15で赤外線温度センサ8の検出する食品1の表面温度TFがT2を超えてステップS22に達した場合、第1加熱制御部での制御は終わり、マグネトロン3を停止する。またステップS23で第1タイマー23による加熱時間t1のカウントも終了する。そして切替え部18により第1加熱制御部16から第2加熱制御部17に切替え、以下図4のフローチャートへと続く。
図4のフローチャートにおいて、まずステップS31では第1タイマー23でカウントした第1加熱制御部16での加熱に要した時間t1に所定の定数aを乗算して、第2加熱制御部17で加熱する蒸気加熱に必要な時間tSを演算部25で演算する。次にステップS32でヒステリシス温度T1’を演算する。この演算は仕上がり温度設定部21で設定された温度T1から所定の温度幅ΔT’を減算して設定する。またステップS33では第2タイマー24でt2のカウントを開始し、ステップS34以降へと進む。
ステップS34では第2タイマー24の残り時間を時間表示手段14に表示する。これはステップS31で蒸気加熱時間tSが決定し、ステップS33で第2タイマー24によるt2のカウントを開始するので加熱の残り時間はtSからt2を減算することで算出できるのでこれを表示する。
ステップS35では庫内温度センサ9により加熱庫2内の温度TRを検出する。そしてステップS36でこの検出した庫内温度TRと仕上がり温度T1を比較し、TRの方が高ければステップS37へ進む一方、高くなければステップS38へ進む。ステップS37では庫内温度TRが仕上がり温度T1より高い場合であり、ヒータ7をOFFしてステップS38へ進む。
ステップS38では庫内温度TRとヒステリシス温度T1’を比較し、TRの方が低ければステップS39へ進む一方、低くなければステップS40へ進む。ステップS39では庫内温度TRがヒステリシス温度T1’より低い場合であり、ヒータ7をONしてステップS40へ進む。
ステップS40では第2タイマー24でカウントしている第2加熱制御部17での加熱時間t2がステップS31で演算した必要な時間tSに達したかどうかを比較する。達していなければステップS34に戻り、ステップS34からS39の処理を繰り返す。達していればステップS41に進み、ヒータ7をOFFして加熱を終了させ、自動的に加熱調理を完了する。
以上のように、本実施の形態においては、加熱開始初期は赤外線温度センサ8により食品1の表面温度を監視しながらマグネトロン3で加熱することで表面を切替え温度以上にすることなく加熱でき、加熱途中よりヒータ7を含む蒸気加熱手段4での加熱に切替え、蒸気より食品1の表面に高温の水滴を接触させその熱伝導により内部を加熱する。そして庫内温度センサ8で庫内の温度を所定の仕上がり温度を維持するよう制御し、高温の水滴からの熱伝導で食品全体を加熱するので、食品の表面から内部まで所定の仕上がり温度に均一に加熱でき、しかも加熱開始初期は高周波で食品内部を加熱すると同時に蒸気加熱手段4を予熱しているので高速で加熱を完了することができる。
また第1加熱制御部16はマグネトロン3を断続的に駆動する構成とすることにより、食品1の端部など加熱されやすい部分と食品内部など加熱されにくい部分を熱伝導により温度差を抑制でき、食品の一部分を急激に加熱してしまうことなく均一にしやすくなり、部分的な煮えや焦げなどもなく、食品を表面から内部まで均一に加熱することができる。
また第1加熱制御部16での加熱に要する時間を第1タイマー23で計測し、第2加熱制御部17で加熱すべき時間を第1タイマー23で計測した時間より演算部25で演算し、それを第2タイマー24でカウントすることで、食品の加熱終了を自動的に判定する自動調理が可能となる。
また第2タイマー24でカウントを開始した時点からは加熱完了までの残り時間がわかるので、それを表示することで使用者の使い勝手を向上している。更に温度設定手段11で使用者により設定された温度を基に仕上がり温度設定部21で仕上がり温度が設定されるので、使用者の所望の温度で加熱調理を行うことが可能となる。
以上、説明した本実施の形態において、予熱制御部20および第2加熱制御部17はヒータ7の通電と停止を制御するものとしたが、ヒータ7の電流を多段階に制御しても良く、そのほうがよりきめ細かく水5の温度や加熱庫2内の温度を一定に保つことができる。また仕上がり温度設定部21で設定する仕上がり温度を使用者が温度設定手段11で設定する温度としたが、庫内温度センサ9の特性やばらつきを考慮して所定温度差だけ加減した温度としても良い。
また演算部25で第1タイマー23のカウントした時間に比例した第2タイマー24の時間の演算としたが、オフセットを含む一次式や、高次の式、対数関数の応用など、第1タイマー23でのカウント時間が長ければ第2タイマー24でのカウント時間も長くなるような単調増加の関数で演算するものであれば良く、複雑な関数を使うことで自動での加熱完了の精度を上げることもできる。