JP2005104095A - 廃プラスチックの処理方法及びその処理装置 - Google Patents

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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
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Abstract

【課題】 比較的低温かつ低粘度の油浴でエステル系ポリマーを液化させて液化状態で抜出すことで、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止し、この結果、装置の閉塞と腐食を防止し、温度管理が容易で処理コストを低減する。
【解決手段】 油浴槽32内の油を加熱手段33により280〜320℃に加熱保持し、油浴槽中の油を上下対流を生じないように撹拌する撹拌羽根34を油浴槽中に設ける。沈降した液化油94の上昇を抑制する手段96を油浴槽の下部に設け、油に浮上する残渣43、液化しない廃プラスチック44及び液化油46を取出す取出し口32aを油浴槽の上部に設け、更に油排出口32bを油浴槽の下部に設ける。油浴槽中の油の比重を検出する比重センサ86を油浴槽の内底面より所定の距離だけ上方に設け、比重センサの検出出力に基づいてコントローラ92が油浴槽の油排出口を開閉制御する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、廃棄物中の廃プラスチックを燃料等として再利用できるように処理する方法と、その処理装置に関するものである。
廃プラスチックを油化或いは燃料化して再利用するリサイクル方法が多く検討されている。廃プラスチックとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の炭化水素系ポリマーからなる廃プラスチックと、塩素系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の非炭化水素系ポリマーからなる廃プラスチックが存在し、これらの油化・燃料化は主に熱分解により行われている。
しかしながら、塩素系ポリマーの可塑剤、PET、PBT等のエステル系ポリマーを含む廃プラスチックを熱分解処理した場合、揮発分中に含まれるテレフタル酸、安息香酸及びこれらの同族体等の昇華物や結晶性有機物が処理装置の冷却系統部位や凝縮系統部位等に析出し、処理装置を閉塞し、安定した連続運転処理を阻害するという問題点があり、その解決が望まれていた。
この点を解消するために種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、エステル系ポリマーを含む廃プラスチックを熱分解槽で熱分解して熱分解ガスを生成し、熱分解槽の出口に接続された撹拌冷却槽で熱分解ガスを凝縮して生成油を生成する廃プラスチックの油化処理方法が開示されている。この廃プラスチックの油化処理方法では、撹拌冷却槽が、槽の周囲に設けられ冷却水が流通する水冷ジャケットと、槽内の生成油を撹拌する撹拌機とを有する。
このように構成された廃プラスチックの油化処理方法では、熱分解槽における廃プラスチックの熱分解により生成された熱分解ガスを、撹拌冷却槽に供給すると、熱分解ガスの大部分が凝縮して生成油が生成される。また熱分解ガス中のテレフタル酸や安息香酸等が撹拌冷却槽内の生成油と直接接触して冷却され、上記テレフタル酸や安息香酸等が晶出して生成油中にスラリー状で懸濁する。この結果、晶出したテレフタル酸や安息香酸等が系内で安定的に連続して除去できるので、熱分解槽等の熱分解ラインや撹拌冷却槽等の冷却ラインの閉塞を防止できるようになっている。
特開平8−120113号公報(特許請求の範囲、明細書[0012]、明細書[0022]、明細書[0026])
しかし、上記従来の特許文献1に示された廃プラスチックの油化処理方法では、この処理方法に用いられる装置が複雑になり、有機酸により装置が腐食し、温度管理が煩わしく、処理コストが増大する等の問題点があり、また処理負荷が重く、更に回収された低純度の結晶性有機物を処理する方法が難しい問題点もあった。
本発明の第1の目的は、比較的低温かつ低粘度の油浴でエステル系ポリマーを液化させて液化状態で抜出すことで、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止でき、この結果、装置の閉塞と腐食を防止できるとともに、温度管理が容易で処理コストを低減できる等の課題を根本的に解決できる、廃プラスチックの処理方法及びその処理装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、加熱炉で熱分解されて生成された油蒸気を凝縮器で重質油と軽質油に確実に分離できる、廃プラスチックの処理方法及びその処理装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、比較的低温かつ低粘度の油浴でエステル系ポリマーを液化させて液化状態で抜出すことで、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止できるとともに、廃プラスチックから良質な重質油と軽質油を得ることができる、廃プラスチックから重質油及び軽質油を製造する方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、エステル系ポリマーの液化油を、脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び炭化水素系ポリマーの液化油と分離した状態に保つことができるとともに、油浴槽に沈降したエステル系ポリマーの液化油のみを確実にかつ効率良く抜出すことができる、廃プラスチックの処理装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1及び図2に示すように、塩素系ポリマーとエステル系ポリマーと炭化水素系ポリマーを含む廃プラスチック11を、280〜320℃の温度に維持されかつ粘度が0.01〜1.0Pa・秒である油浴槽12中の油に浸漬して、塩素系ポリマーを脱塩することにより脱塩残渣15を油に浮上させるとともにエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーを液化する工程と、エステル系ポリマーの液化油13と炭化水素系ポリマーの液化油14を比重差により分相する工程と、エステル系ポリマーの液化油13のみを油浴槽12から抜出す工程とを含む廃プラスチックの処理方法である。
この請求項1に記載された廃プラスチックの処理方法では、油浴槽12内にて280〜320℃と比較的低温で廃プラスチック11中のエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーをガスまでの過剰分解をさせずに液化させることにより、装置の閉塞と腐食の原因となるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機酸の生成を阻止できる。また同時に塩素系ポリマーが脱塩されて、脱塩残渣15、液化しない廃プラスチック19及び炭化水素系ポリマーの液化油14が油に浮上するとともに、エステル系ポリマーの液化油13を比重差により分相するので、エステル系ポリマーの液化油13を分離して抜出すことができる。
なお、本明細書において、「エステル系ポリマーの液化油13と炭化水素系ポリマーの液化油14を比重差により分相する」とは、エステル系ポリマーの液化油13と炭化水素系ポリマーの液化油14をそれぞれ液相として、同一油浴槽12で上下に分けることをいう。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1及び図2に示すように、油浴槽12中の油に浮上した脱塩残渣15、液化しない廃プラスチック19及び炭化水素系ポリマーの液化油14を油浴槽12から取出し、加熱炉17で脱塩残渣15、液化しない廃プラスチック19及び炭化水素系ポリマーの液化油14を400〜550℃で熱分解することにより油蒸気を生成した後に、凝縮器18で油蒸気を300〜400℃まで降温させて液状の重質油とガス状の軽質油とに分離することを特徴とする。
この請求項2に記載された廃プラスチックの処理方法では、油浴槽12内にて280〜320℃と比較的低温で廃プラスチック11中のエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーをガスまでの過剰分解をさせずに液化させ、加熱炉17内にて400〜550℃と比較的高温で脱塩残渣15、液化しない廃プラスチック19及び炭化水素系ポリマーの液化油14のみを熱分解して油蒸気を生成するため、エステル系ポリマーを脱塩残渣や炭化水素系ポリマー等とともにガス化させる場合と比較して、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止でき、この結果、装置の閉塞と腐食を防止できるとともに、温度管理が容易で処理コストを低減できる等の課題を根本的に解決できる。
請求項3に係る発明は、図1及び図2に示すように、塩素系ポリマーとエステル系ポリマーと炭化水素系ポリマーを含む廃プラスチック11を、280〜320℃の温度に維持されかつ粘度が0.01〜1.0Pa・秒である油浴槽12中の油に10〜120分間浸漬して、塩素系ポリマーを脱塩することにより脱塩残渣15を油に浮上させるとともにエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーを液化する工程と、エステル系ポリマーの液化油13と炭化水素系ポリマーの液化油14を比重差により分相する工程と、エステル系ポリマーの液化油13のみを油浴槽12から抜出す工程と、油浴槽12中の油に浮上した脱塩残渣15、液化しない廃プラスチック19及び炭化水素系ポリマーの液化油14を油浴槽12から取出し、加熱炉17で脱塩残渣15、液化しない廃プラスチック19及び炭化水素系ポリマーの液化油14を400〜550℃で熱分解することにより油蒸気を生成する工程と、凝縮器18で油蒸気を300〜400℃まで降温させて液状の重質油とガス状の軽質油とを製造する工程とを含む廃プラスチックから重質油及び軽質油を製造する方法である。
この請求項3に記載された廃プラスチックから重質油及び軽質油を製造する方法では、油浴槽12内の比較的低温かつ低粘度の油でエステル系ポリマーを液化させて液化状態で油浴槽12から抜出すことにより、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止できるとともに、加熱炉17で熱分解して生成された油蒸気を凝縮器18で液状の重質油とガス状の軽質油に分離できるので、良質の重質油と軽質油を得ることができる。
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明であって、更に図1に示すように、液状の重質油を油浴槽12の油又は燃料のいずれか一方又は双方に利用することを特徴とする。
この請求項4に記載された廃プラスチックの処理方法では、凝縮器18内の液状の重質油を油浴槽12の油として利用することにより、油浴槽12内の油の外部からの補給を不要にし又は低減し、或いは凝縮器18内の液状の重質油を燃料として利用することにより、廃プラスチックの再利用を図ることができる。
請求項5に係る発明は、図4に示すように、油浴槽32と、この油浴槽32に貯えられる油を280〜320℃に加熱保持する加熱手段33と、油浴槽32中に設けられ油浴槽32中の油を上下対流を生じないように撹拌する撹拌羽根34と、油浴槽32の下部に設けられかつ沈降したエステル系ポリマーの液化油94の上昇を抑制する手段96と、油浴槽32の上部に設けられ油に浮上する脱塩残渣43、液化しない廃プラスチック44及び炭化水素系ポリマーの液化油46を取出す取出し口32aと、油浴槽32の下部に設けられた油排出口32bと、油浴槽32の内底面より所定の距離だけ上方に設けられ油浴槽32中の油の比重を検出する比重センサ86と、比重センサ86の検出出力に基づいて油浴槽32の油排出口32bを開閉制御するコントローラ92とを備えた廃プラスチックの処理装置である。
この請求項5に記載された廃プラスチックの処理装置では、油浴槽32内の油を加熱手段33により280〜320℃に加熱すると、油浴槽32内の廃プラスチック31のうちエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーが液化し、炭化水素系ポリマーの液化油46とエステル系ポリマーの液化油94を比重差により分相する。また同時に油浴槽32内の廃プラスチック31のうち塩素系ポリマーが脱塩されて脱塩残渣43が油に浮上し、液化しない廃プラスチック44も油に浮上する。
一方、油浴槽32下部に分相されたエステル系ポリマーの液化油94の浮上を上昇抑制手段96が抑制するので、エステル系ポリマーの液化油94が脱塩残渣43、液化しない廃プラスチック44及び炭化水素系ポリマーの液化油46と分離した状態に保たれる。また油浴槽32下部の油の比重が所定値以上になったことを比重センサ86が検出すると、コントローラ92が油浴槽32下部にエステル系ポリマーの液化油94が沈降したと判断し、油排出口32bを開いてこのエステル系ポリマーの液化油94を排出する。更に油浴槽32下部の油の比重が所定値未満になったことを比重センサ86が検出すると、コントローラ92が油浴槽32下部にエステル系ポリマーの液化油94が排出されて無くなったと判断し、油排出口32bを閉じる。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明であって、更に図4に示すように、油浴槽32の取出し口32aより取出された脱塩残渣43、液化しない廃プラスチック44及び炭化水素系ポリマーの液化油46を400〜550℃の温度に加熱し熱分解して油蒸気を生成する加熱炉56と、油蒸気を300〜400℃まで降温させて液状の重質油67とガス状の軽質油とに分離する凝縮器61とを更に備えたことを特徴とする。
この請求項6に記載された廃プラスチックの処理装置では、油浴槽32内で280〜320℃と比較的低温で廃プラスチック31中のエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーをガスまでの過剰分解をさせずに液化させ、加熱炉56内で400〜550℃と比較的高温で脱塩残渣43、液化しない廃プラスチック44及び炭化水素系ポリマーの液化油46のみを熱分解して油蒸気を生成するため、エステル系ポリマーを脱塩残渣や炭化水素系ポリマーとともにガス化させる場合と比較して、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止でき、この結果、装置の閉塞と腐食を防止できるとともに、温度管理が容易で処理コストを低減できる等の課題を根本的に解決できる。
以上述べたように、本発明によれば、塩素系ポリマーとエステル系ポリマーと炭化水素系ポリマーを含む廃プラスチックを所定の温度及び低粘度の油浴槽中の油に浸漬して、塩素系ポリマーを脱塩するとともにエステル系ポリマーを液化したので、比較的低温かつ低粘度の油浴でエステル系ポリマーを液化させて液化状態で抜出すことができ、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止できる。
また油浴槽中の油に浮上した脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び炭化水素系ポリマーの液化油を油浴槽から取出し、加熱炉で脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び炭化水素系ポリマーの液化油を熱分解することにより油蒸気を生成した後に、凝縮器で油蒸気を降温させて液状の重質油とガス状の軽質油とに分離すれば、エステル系ポリマーを脱塩残渣や炭化水素系ポリマーとともにガス化させる場合と比較して、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止できる。この結果、装置の閉塞と腐食を防止できるとともに、温度管理が容易で処理コストを低減できる等の課題を根本的に解決できる。
また油浴槽中の油に浮上した脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び炭化水素系ポリマーの液化油を油浴槽から取出し、加熱炉で脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び炭化水素系ポリマーの液化油を熱分解することにより油蒸気を生成した後に、凝縮器で油蒸気を降温させて液状の重質油とガス状の軽質油とを製造すれば、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止できるとともに、重質油と軽質油を効率良く製造できる。
また液状の重質油を油浴槽の油に利用すれば、油浴槽内の油の外部からの補給を不要にできるか或いは補給を低減でき、液状の重質油を燃料に利用すれば、廃プラスチックの再利用を図ることができる。
また油浴槽に貯えられる油を加熱手段にて所定の温度に加熱保持し、油浴槽中の油を上下対流を生じないように撹拌する撹拌羽根を油浴槽中に設け、油に浮上する脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び炭化水素系ポリマーの液化油を取出す取出し口を油浴槽の上部に設け、更に油浴槽の下部に油排出口を設ければ、油浴槽内の廃プラスチックのうちエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーが液化して、炭化水素系ポリマーの液化油とエステル系ポリマーの液化油が比重差により分相し、同時に油浴槽内の廃プラスチックのうち塩素系ポリマーの脱塩後の脱塩残渣と液化しない廃プラスチックが油に浮上し、エステル系ポリマーの液化油と、脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び炭化水素系ポリマーの液化油とを容易に分離できる。この結果、エステル系ポリマーがガスまでの過剰分解を避けたので、テレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機酸が生成されず、装置の閉塞及び装置の腐食を防止できる。
また油浴槽下部に沈降したエステル系ポリマーの液化油の浮上を上昇抑制手段により抑制すれば、エステル系ポリマーの液化油を脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び及び炭化水素系ポリマーの液化油と分離した状態に保つことができる。
また油浴槽下部の油の比重が所定値以上になったことを比重センサが検出したときに、コントローラが油排出口を開いてエステル系ポリマーの液化油を排出し、油浴槽下部の油の比重が所定値未満になったことを比重センサが検出したときに、コントローラが油排出口を閉じれば、油浴槽に沈降したエステル系ポリマーの液化油のみを確実にかつ効率良く排出することができる。
更に油浴槽の取出し口より取出された脱塩残渣や液化油等を加熱炉で所定の温度に加熱して熱分解することにより油蒸気を生成し、この油蒸気を凝縮器で降温させて液状の重質油とガス状の軽質油とに分離すれば、油浴槽内にて比較的低温で廃プラスチック中のエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーをガスまでの過剰分解をさせずに液化させ、加熱炉内にて比較的高温で脱塩残渣、液化しない廃プラスチック及び炭化水素系ポリマーの液化油のみを熱分解して油蒸気が生成される。この結果、エステル系ポリマーを脱塩残渣や炭化水素系ポリマーとともにガス化させる場合と比較して、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止できる。従って、装置の閉塞と腐食を防止できるとともに、温度管理が容易で処理コストを低減できる等の課題を根本的に解決できる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1及び図2に示すように、廃プラスチック11を処理するために、先ず廃プラスチック11を、280〜320℃、好ましくは300〜320℃の温度に維持され、かつ粘度が0.01〜1.0Pa・秒、好ましくは0.1〜0.5Pa・秒である油浴槽12中の油に、10〜120分間、好ましくは30〜60分間浸漬する。廃プラスチック11は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の炭化水素系ポリマーからなる廃プラスチックと、塩素系ポリマー、エステル系ポリマー(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT))等の非炭化水素系ポリマーからなる廃プラスチックとに分けられる。図3にPET、PVC、ABS、PS、PP及びPEの温度による形態(固体、液体、気体など)の変化を示す。
油浴槽12中の油としては、沸点が320℃以上の重質油を用いることが好ましい。なお、油浴槽12中の油の温度を280〜320℃の範囲に限定したのは、280℃未満ではエステル系ポリマーが液状ではなくガム状になる不具合があり、320℃を越えると油の揮発分が増えるからである。また廃プラスチック11の油への浸漬時間を10〜120分間に限定したのは、10分間未満では廃プラスチック11が十分に分解できず、120分間を越えると揮発量が増えるからである。油の粘度を0.01〜1.0Pa・秒の範囲に限定したのは、0.01Pa・秒未満では油の分子量が小さくて油が蒸発し易く、またこの下限値未満にするのに多大のエネルギーを要するからである。また1.0Pa・秒を越えると後述するエステル系ポリマーの液化油13と炭化水素系ポリマーの液化油14の分相性が悪くなり、また伝熱効率が低下するからである。
塩素系ポリマーを上記油に浸漬すると、脱塩(塩素系ポリマーに含まれる塩素が水素と結合して、塩化水素ガスとなって離脱する。)されて脱塩残渣15が油に浮上する。またエステル系ポリマーを上記油に浸漬すると、エステル系ポリマーが液化して液化油(比重1.0〜1.2)となり、窒素系ポリマーを上記油に浸漬すると、液化せずに膨張して油に浮上する。更に炭化水素系ポリマーを上記油に浸漬すると、炭化水素系ポリマーが液化して液化油14(比重0.6〜0.85)となる。なお、塩素系ポリマーから離脱した塩化水素は後処理手段16で処理されて無害化される。また、油浴槽12には、この油浴槽12内の油を上下対流が生じないように撹拌する撹拌羽根21が設けられる(図2)。この撹拌羽根21は撹拌モータ22により回転駆動される。次いで炭化水素系ポリマーの液化油14より比重の大きいエステル系ポリマーの液化油13と、炭化水素系ポリマーの液化油14を比重差により分相する(図2)。エステル系ポリマーの液化油13は油浴槽12から取出され燃料として再利用される。
次に油浴槽12中の油にそれぞれ浮上した炭化水素系ポリマーの液化油14と液化しない廃プラスチック19と脱塩残渣15を油浴槽12から取出し、加熱炉17にて400〜550℃、好ましくは450〜500℃で熱分解する。これにより油蒸気と固体残渣が生成される。固体残渣は燃料として再利用される。ここで、加熱炉17内の温度を400〜550℃の範囲に限定したのは、400℃未満では熱分解速度が遅くなり、550℃を越えると凝縮器18で凝縮しないガス成分が増えるからである。
更に上記油蒸気を加熱炉17から取出した後に、凝縮器18で300〜400℃、好ましくは340〜360℃まで降温させて液状の重質油とガス状の軽質油とに分離する。ここで凝縮器18の温度を300〜400℃の範囲に限定したのは、重質油のみを液化させ、軽質油をガス状に保つためである。なお、上記液状の重質油は油浴槽12の油として利用されるので、油浴槽12内の油を外部から補給せずに済むか、或いは補給量を低減できるけれども、燃料に利用してもよい。また、凝縮器18から取出されたガス状の軽質油は凝縮して燃料として再利用される。
このような廃プラスチックの処理方法では、廃プラスチック11中のエステル系ポリマーをガスまでの過剰分解をさせずに液化し、炭化水素系ポリマーの液化油14とエステル系ポリマーの液化油13を比重差により分相し、エステル系ポリマーの液化油13を、脱塩残渣15、液化しない廃プラスチック19及び炭化水素系ポリマーの液化油14から分離する。この結果、装置の閉塞及び腐食の原因となるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機酸の生成を防止できる。
また上記脱塩残渣15、液化しない廃プラスチック19及び炭化水素系ポリマーの液化油14のみを加熱炉17で熱分解して油蒸気を生成するので、エステル系ポリマーをも熱分解してガス化させる場合と比較して、過剰分解によるテレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機物の生成を阻止できる。この結果、装置の閉塞と腐食を防止できるとともに、温度管理が容易で処理コストを低減できる等の課題を根本的に解決できる。
なお、加熱炉17から生じた油蒸気又は加熱炉17の排ガスにより油浴槽12の油を加熱すれば、外部から熱を与えることなく、油浴槽12の油を所定の温度に保つことができるので、熱を有効利用できる。
またエステル系ポリマーの液化油13の比重が炭化水素系ポリマーの液化油14の比重より大きいため、油浴槽12の下部の油の比重が所定値以上になったときに、油浴槽12の下部の油を油浴槽12から排出すれば、エステル系ポリマーの液化油13のみを油浴槽13から確実にかつ効率良く排出できる。
<第2の実施の形態>
図4は本発明の第2の実施の形態を示す。
この実施の形態では、廃プラスチック31の処理装置が、油浴槽32と、この油浴槽32に貯えられる油を280〜320℃、好ましくは300〜320℃に加熱保持する加熱手段33と、油浴槽32中に設けられた撹拌羽根34と、油浴槽32に設けられた上昇抑制手段96と、油浴槽32の上部に設けられた取出し口32aと、油浴槽32の下部に設けられた油排出口32bと、油浴槽32の内底面より所定の距離だけ上方に設けられた比重センサ86と、比重センサ86の検出出力に基づいて油排出口32bを開閉制御するコントローラ92とを備える。油浴槽32は略漏斗状に形成される。加熱手段33は、油浴槽32を包囲して設けられたジャケット槽36と、このジャケット槽36に貯えられた熱媒体37とを有する。この熱媒体37により油浴槽32内の油が280〜320℃、好ましくは300〜320℃の温度に加熱・維持されるように構成される。また熱媒体37としては、沸点が300℃以上の有機熱媒や無機熱媒が用いられる。
油浴槽32上面には撹拌モータ38が取付けられ、このモータ38の出力軸にシャフト34aを介して上記撹拌羽根34が連結される。撹拌羽根34の回転速度は、固形の廃プラスチック31と液状の油との接触を促進させる範囲であって、しかも油浴槽32中の油に大きな上下対流を生じさせない範囲に設定される。また油浴槽32の一方の急斜面には、この急斜面に沿って廃プラスチック31を油中に押込む押込みスクリュー39が設けられる。この押込みスクリュー39は押込みモータ41により回転駆動され、押込みスクリュー39の上部には押込みカバー42により覆われる。押込みカバー42の上部側面には廃プラスチック31をカバー42内に取込むための取込み孔(図示せず)が形成され、押込みカバー42の下端は開口しかつ油中に所定の深さまで潜るように構成される。更に油浴槽32の他方の緩斜面には、この緩斜面に沿って脱塩残渣43と液化しない廃プラスチック44と炭化水素系ポリマーの液化油46とを取出し口32aまで搬送する搬送スクリュー47が設けられる。この搬送スクリュー47は搬送モータ48により回転駆動される。なお、上記搬送スクリュー47の回転速度を調整することにより、塩素系ポリマーの脱塩と炭化水素系ポリマーの液化のための時間を確保できるようになっている。
油浴槽32の取出し口32a(オーバフロー構造)は取出し管54により加熱炉56の入口57aに接続される。加熱炉56は、脱塩残渣43、液化しない廃プラスチック44及び炭化水素系ポリマーの液化油46が供給される筒状の炉本体57と、この炉本体57を400〜550℃、好ましくは450〜500℃の温度に加熱する加熱装置58とを有する。上記加熱炉56の入口57aは炉本体57の一端上面に形成され、炉本体57の一端近傍の上面には油蒸気を排出するためのガス出口57bが形成され、炉本体57の他端下面には固体残渣を排出するための固体出口57cが形成される。また炉本体57内部にはこの炉本体57に投入された脱塩残渣43、液化しない廃プラスチック44及び炭化水素系ポリマーの液化油46を一端から他端に向って搬送する搬送手段(図示せず)が設けられる。搬送手段は、炉本体57の一端から他端に向って脱塩残渣43、液化しない廃プラスチック44及び炭化水素系ポリマーの液化油46を搬送するスクリューコンベア(図示せず)でもよく、或いは炉本体57を一端から他端に向って下方に傾斜させるとともに炉本体57をその軸を中心に回転させる構造でもよい。また加熱装置58は、加熱ガスを発生するバーナ58aと、炉本体57を包囲して設けられ加熱ガスが流通する加熱ガス流通部58bとを有する。
炉本体57のガス出口57bはロアガス管59により凝縮器61のガス入口61aに接続される。凝縮器61は好ましくは油浴槽32より上方に設けられ、油蒸気を300〜400℃、好ましくは340〜360℃まで降温させるように構成される。ガス入口61aは凝縮器61の下端に形成され、凝縮器61の上面にはガス出口61bが形成される。また凝縮器61の上部側面には液出口61cが形成され、この液出口61cは連通管62により後述するホッパ93を通して油浴槽32に連通接続される。ロアガス管59には凝縮器61内の重質油67が逆流するのを阻止する逆止弁63が設けられ、ガス出口61bはアッパガス管64により冷却手段66に接続される。更に凝縮器61にはこの凝縮器61内の重質油67を撹拌する凝縮撹拌羽根68が設けられ、この撹拌羽根68は凝縮用モータ69により駆動される。
一方、ジャケット槽36と凝縮器61との間には熱交換手段71が設けられる。この熱交換手段71は、両端がジャケット槽36の上面に連通接続された熱交換用管路72と、この熱交換用管路72に設けられたポンプ73とを備える。熱交換用管路72の途中は蛇行して形成され、この蛇行部は凝縮器61内に挿入される。ポンプ73はジャケット槽36内の熱媒体37を熱交換用管路72内に循環させるようになっている。なお、熱交換用管路の両端は、ジャケット槽の上面ではなく、ジャケット槽の側部又は下部に接続してもよい。この場合、ポンプによる熱媒体の循環を容易に行える。
またジャケット槽36と加熱ガス流通部58bとの間には熱交換装置74が設けられる。この熱交換装置74は、一端が加熱炉56の加熱ガス流通部58bに接続された排ガス用パイプ76と、両端がジャケット槽36の下部に連通接続された熱媒体用パイプ77と、排ガス用パイプ76に設けられた排ガス用ブロア78と、熱媒体用パイプ77に設けられた熱媒体用ポンプ79とを備える。排ガス用パイプ76の途中には、このパイプ76を拡げた熱交換部81が設けられる。熱媒体用パイプ77の途中は蛇行して形成され、この蛇行部は熱交換部81内に挿入される。排ガス用ブロア78は加熱炉56から排出された排ガスを熱交換部81に導き、熱媒体用ポンプ79はジャケット槽36内の熱媒体37を熱媒体用パイプ77内に循環させるように構成される。
油浴槽32の油排出口32bには油排出管82が接続され、油排出管82にはこの油排出管82を開閉する電磁弁83が設けられる。ジャケット槽36の外周面には熱媒体37を280〜320℃まで加熱するジャケット用ヒータ(図示せず)が設けられ、凝縮器61の外周面に重質油67を300〜400℃の温度まで加熱する凝縮器用ヒータ(図示せず)が設けられる。また油浴槽32の下部、即ち油浴槽32の内底面より所定の距離だけ上方の部位には検出管84の一端が接続され、この検出管84はほぼ水平方向に延びその他端に上記比重センサ86が接続される。比重センサ86は油浴槽32中の油の比重を検出するように構成される。また油浴槽32には油の温度を検出する油温センサ87が挿入され、ジャケット槽36には熱媒体37の温度を検出する熱媒温センサ88が挿入される。更に炉本体57には油蒸気の温度を検出するガス温センサ89が挿入され、凝縮器61には重質油67の温度を検出する凝縮器温センサ91が挿入される。
比重センサ86、油温センサ87、熱媒温センサ88、ガス温センサ89及び凝縮器温センサ91の各検出出力はコントローラ92の制御入力に接続され、コントローラ92の制御出力は電磁弁83、ジャケット用ヒータ、ポンプ73、79及びバーナ58aにそれぞれ接続される。また油浴槽32の上面には、廃プラスチック31を油浴槽32に供給するためのホッパ93が設けられる。更に上昇抑制手段96は、沈降したエステル系ポリマーの液化油94の上昇を抑制するために設けられる。この上昇抑制手段96は、油浴槽32の他方の緩斜面に続く若干急な斜面に平行であってこの斜面から所定の間隔をあけて設けられた板である。上述した比重センサ86はこの板96により上昇が抑制される油の比重を検出するように設定することが好ましい。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成された廃プラスチックの処理装置の動作を説明する。
先ず破砕した廃プラスチック31をホッパ93に投入して油浴槽32に供給する。油浴槽32内の廃プラスチック31は押込みスクリュー39により油の中に押込まれて、油と十分に接触する。廃プラスチック31のうちエステル系ポリマー及び炭化水素系ポリマーは液化し、炭化水素系ポリマーの液化油46とエステル系ポリマーの液化油94を比重差により分相する。また塩素系ポリマーは脱塩されて脱塩残渣43が油に浮上し、液化しない廃プラスチック44は膨張して油に浮上する。なお、塩素系ポリマーから離脱した塩素は水素と結合して塩化水素ガスとなり、油浴槽32上面から排出されて後処理手段(図示せず)で無害化される。また、油浴槽32下部に沈降したエステル系ポリマーの液化油94の浮上は上昇抑制手段96により抑制されるので、エステル系ポリマーの液化油94は脱塩残渣43、液化しない廃プラスチック44及び炭化水素系ポリマーの液化油46と分離した状態に保たれる。
エステル系ポリマーの液化油94が炭化水素系ポリマーの液化油46と分相して次第にその分相量が増大すると、比重センサ86が1以上の比重を検出する。このときコントローラ92は比重センサ86の検出出力に基づいて電磁弁83をオンして油排出管32bを開く。これにより分相したエステル系ポリマーの液化油94が油排出口32bから排出され、燃料として再利用できる。またエステル系ポリマーの液化油94が油排出口32bから所定量以上排出されると、比重センサ86が1.0〜1.2の比重を検出する。このときコントローラ92は比重センサ86の検出出力に基づいて電磁弁83をオフして油排出管32bを閉じる。この結果、エステル系ポリマーの液化油94以外の油が油排出口32bから排出されないので、エステル系ポリマーの液化油94のみを確実にかつ効率良く排出することができるとともに、エステル系ポリマーがガスまでの過剰分解を避けたので、テレフタル酸や安息香酸等の結晶性有機酸が生成されず、装置の閉塞及び装置の腐食が生じない。
一方、油浴槽32の油に浮上した脱塩残渣43と液化しない廃プラスチック44と炭化水素系ポリマーの液化油46は、搬送スクリュー47により取出し口32aに搬送され、この取出し口32aからオーバフローし取出し管54を通って加熱炉56の炉本体57に供給され、更に炉本体57内で加熱されて熱分解し油蒸気が生成される。この油蒸気はロアガス管59を通って凝縮器61内に導かれ、凝縮器61内で300〜400℃まで冷却されるので、油蒸気のうち沸点の高い重質油のみが液化し、沸点の低い軽質油はガス状のままアッパガス管64を通って冷却手段66に導入され、この冷却手段66により液化されて、燃料として再利用できる。また凝縮器61内の液状の重質油67は連通管62及びホッパ93を通って油浴槽32に供給されるので、油浴槽32内の油を外部から補給せずに済む。なお、加熱炉56の炉本体57内に残った固体残渣は搬送手段により固体出口57cまで搬送され、固体出口57cから排出されて燃料として再利用される。
次に本発明の実施例を詳しく説明する。
<実施例1>
図4に示すように、先ず破砕した廃プラスチック31を300℃の油浴槽32に入れ、廃プラスチック31を油に40分間滞留させて、脱塩及び液化した。これらの廃プラスチックの原料組成の割合は、PETが10.0重量%、塩素が3.00重量%、その他が87.0重量%であった。また上記その他は、PS、PP、PE及びABSと、PVC中の塩素以外の成分の組成であり、ABS:PS:PP:PEの重量比は1:2:2:4であった。次に上記脱塩・液化工程で、PETの液化油94及び第1揮発分をそれぞれ回収し、これらに含まれるPET、塩素及びその他の成分の重量を測定するとともに、それらの転換率を算出し、表1に示した。
一方、上記脱塩・液化工程により生成された脱塩残渣43と、液化せずに膨張したABSと、炭化水素系ポリマー(PS、PP及びPE)の液化油46とを520℃に加熱した加熱炉56に約10分間の滞留時間で熱分解した。上記熱分解工程で得られた油蒸気を350℃の凝縮器61に供給して、重質油を凝縮して液化し、第2揮発分と分離した。残渣(加熱炉に残った固体残渣と液状の重質油)と第2揮発分をそれぞれ回収し、これらに含まれるPET、塩素及びその他の成分の重量を測定するとともに、それらの転換率を算出し、表1に示した。
Figure 2005104095
<評価>
表1から明らかなように、脱塩・液化工程では、PVCが300℃と低温であっても97.53%と略全量分解でき、この分解した塩素を塩化水素として除去できた。また脱塩・液化工程では、87%と多くのPETを液化油として分離・回収できた。
一方、熱分解・凝縮工程では、塩素とPETを除いたその他の成分(炭化水素系ポリマー)は大部分(95.75%)が第2揮発分に転換され、この第2揮発分は軽質油であることを確認できた。また第2揮発分に含まれるPETの分解物は0.20%と非常に少なかった。この結果、高温熱分解揮発分系の閉塞や腐食を抑制できるとともに、PETの熱分解により生成される結晶性有機酸の固形分をガス状の軽質油から分離する工程を省略できる。
本発明第1実施形態の廃プラスチックの処理方法を示す構成図である。 その処理に用いられる油浴槽内の状態を示す構成図である。 廃プラスチックの温度による形態(固体、液体、気体など)の変化を示す図である。 本発明の第2実施形態を示す断面構成図である。
符号の説明
11,31 廃プラスチック
12,32 油浴槽
13,94 エステル系ポリマーの液化油
14,46 炭化水素系ポリマーの液化油
15,43 脱塩残渣
17,56 加熱炉
18,61 凝縮器
19,44 液化しない廃プラスチック
32a 取出し口
32b 油排出口
33 加熱手段
67 重質油
86 比重センサ
92 コントローラ
96 上昇抑制手段

Claims (6)

  1. 塩素系ポリマーとエステル系ポリマーと炭化水素系ポリマーを含む廃プラスチック(11)を、280〜320℃の温度に維持されかつ粘度が0.01〜1.0Pa・秒である油浴槽(12)中の油に10〜120分間浸漬して、前記塩素系ポリマーを脱塩することにより前記脱塩残渣(15)を前記油に浮上させるとともに前記エステル系ポリマー及び前記炭化水素系ポリマーを液化する工程と、前記エステル系ポリマーの液化油(13)と前記炭化水素系ポリマーの液化油(14)を比重差により分相する工程と、前記エステル系ポリマーの液化油(13)のみを前記油浴槽(12)から抜出す工程と
    を含む廃プラスチックの処理方法。
  2. 油浴槽(12)中の油に浮上した脱塩残渣(15)、液化しない廃プラスチック(19)及び炭化水素系ポリマーの液化油(14)を前記油浴槽(12)から取出し、加熱炉(17)で前記脱塩残渣(15)、前記液化しない廃プラスチック(19)及び前記炭化水素系ポリマーの液化油(14)を400〜550℃で熱分解することにより油蒸気を生成した後に、凝縮器(18)で前記油蒸気を300〜400℃まで降温させて液状の重質油とガス状の軽質油とに分離する請求項1記載の廃プラスチックの処理方法。
  3. 塩素系ポリマーとエステル系ポリマーと炭化水素系ポリマーを含む廃プラスチック(11)を、280〜320℃の温度に維持されかつ粘度が0.01〜1.0Pa・秒である油浴槽(12)中の油に10〜120分間浸漬して、前記塩素系ポリマーを脱塩することにより前記脱塩残渣(15)を前記油に浮上させるとともに前記エステル系ポリマー及び前記炭化水素系ポリマーを液化する工程と、
    前記エステル系ポリマーの液化油(13)と前記炭化水素系ポリマーの液化油(14)を比重差により分相する工程と、
    前記エステル系ポリマーの液化油(13)のみを前記油浴槽(12)から抜出す工程と、
    前記油浴槽(12)中の油に浮上した前記脱塩残渣(15)、液化しない廃プラスチック(19)及び前記炭化水素系ポリマーの液化油(14)を前記油浴槽(12)から取出し、加熱炉(17)で前記脱塩残渣(15)、前記液化しない廃プラスチック(19)及び前記炭化水素系ポリマーの液化油(14)を400〜550℃で熱分解することにより油蒸気を生成する工程と、
    凝縮器(18)で前記油蒸気を300〜400℃まで降温させて液状の重質油とガス状の軽質油とを製造する工程と
    を含む廃プラスチックから重質油及び軽質油を製造する方法。
  4. 液状の重質油を油浴槽(12)の油又は燃料のいずれか一方又は双方に利用する請求項2記載の廃プラスチックの処理方法。
  5. 油浴槽(32)と、
    前記油浴槽(32)に貯えられる油を280〜320℃に加熱保持する加熱手段(33)と、
    前記油浴槽(32)中に設けられ前記油浴槽(32)中の油を上下対流を生じないように撹拌する撹拌羽根(34)と、
    前記油浴槽(32)の下部に設けられかつ沈降したエステル系ポリマーの液化油(94)の上昇を抑制する手段(96)と、
    前記油浴槽(32)の上部に設けられ前記油に浮上する脱塩残渣(43)、液化しない廃プラスチック(44)及び炭化水素系ポリマーの液化油(46)を取出す取出し口(32a)と、
    前記油浴槽(32)の下部に設けられた油排出口(32b)と、
    前記油浴槽(32)の内底面より所定の距離だけ上方に設けられ前記油浴槽(32)中の油の比重を検出する比重センサ(86)と、
    前記比重センサ(86)の検出出力に基づいて前記油浴槽(32)の油排出口(32b)を開閉制御するコントローラ(92)と
    を備えた廃プラスチックの処理装置。
  6. 油浴槽(32)の取出し口(32a)より取出された脱塩残渣(43)、液化しない廃プラスチック(44)及び炭化水素系ポリマーの液化油(46)を400〜550℃の温度に加熱し熱分解して油蒸気を生成する加熱炉(56)と、前記油蒸気を300〜400℃まで降温させて液状の重質油(67)とガス状の軽質油とに分離する凝縮器(61)とを更に備えた請求項5記載の廃プラスチックの処理装置。
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CN112549370A (zh) * 2020-11-06 2021-03-26 刘宏茂 一种废机油壶回收粉碎清洗加工工艺
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