JP2005103834A - インク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法 - Google Patents

インク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】印刷媒体のコックリング等の影響を排除すべくインク吐出状態の判定にセンサ受光出力変動量を用いながら、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックの正確な検出をも可能とするインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法は、各インク色の前記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の前記印刷ブロックパターン内部の一部領域の前記印刷媒体表面を露出させて形成された参照空白領域を備えた本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンを使用するものである。
【選択図】図21

Description

本発明は、インク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法に係り、特に、印刷装置の印刷ヘッドに配設された各インク吐出部からのインク吐出状態が反射光の強度に反映される印刷媒体表面の印刷状態を検出することにより印刷装置のインク吐出状態の判定を行うインク吐出状態判定システム及びインク吐出状態判定方法、並びに、そのようなインク吐出状態判定システムを構成する印刷装置、そのようなインク吐出状態判定システム及びインク吐出状態判定方法において使用されるインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンに関する。
多数のインク吐出部としてのノズルが配設された印刷ヘッドを備えた印刷装置としてのインクジェットプリンタは、印刷ヘッドの各ノズルからインク滴を吐出して、印刷用紙等の印刷媒体に滴下することにより画像や文字等を印刷する。
ところが、インクの粘度の増加やインクへの気泡の混入等の原因によって、印刷ヘッドに設けられた多数のノズルのうちのいずれかが目詰まりしてインク滴を吐出できなくなる場合がある。
ノズルが目詰まりしてインク滴を吐出できなくなると、インク滴により形成される多数のドットから構成される画像内にドット抜けが生じ、画質の劣化を招くこととなる。
ノズルからのインク滴の吐出状態を検査し判定する装置としては、印刷媒体に1ノズルごとに一つの印刷ブロックを形成する判定用パターンを印刷し、かつ、印刷媒体に照射した光の反射光の強度を検出することにより各ノズルからのインク吐出の有無を判定するインク吐出判定装置を搭載した印刷装置が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
斯かるインク吐出判定装置は、発光部と受光部とを有する光学式センサ(以下、「光センサ」ともいう。)を内蔵しており、各ノズルに対応してそれぞれ印刷媒体上に形成された判定用パターンに発光部から光を照射し、判定用パターンの印刷状態を反映する強度を有する反射光を受光して検出し、検出した反射光の強度に応じた大きさのセンサ受光出力信号を変換生成すると共に、予め設定された一定の閾値と当該センサ受光出力信号とを比較することにより、各ノズルからのインク吐出の有無を判定する。
特開平6−297728号公報
しかし、印刷媒体、特に印刷用紙は、理想的な状態では平坦な形態をとっているが、湿度や温度の影響、あるいは、物理的外力の作用により、うねり即ちコックリング(cockling)を生ずることがある。
コックリングの生じた印刷用紙表面をインク吐出判定装置としての光学式センサによって走査すると、光を照射する位置の移動に伴って、発光部と印刷用紙表面との距離及び印刷用紙表面と受光部との距離が逐次変動することとなる。
このように光学式センサの検出距離が変動すると、検出対象である印刷用紙表面の印刷状態が一様であっても、検出距離の変動に応じてセンサ受光出力信号の大きさは変動する。
そして、検出距離変動によるセンサ受光出力信号の変動が発生すると、検出すべきセンサ受光出力信号のピークが発生していないにも拘わらず閾値を超えているものとしてインク吐出不良の判定がなされたり、逆に、検出すべきセンサ受光出力信号のピークが発生しているにも拘わらず閾値を超えていないものとしてインク吐出正常の判定がなされる場合があり、光学式センサの検出距離変動は、誤判定を招く主たる原因の一つとなっている。
また、印刷媒体にコックリングが発生している場合の他、何等かの原因によってセンサ受光出力信号に低周波ノイズが混入してセンサ受光出力信号レベルが変動した場合にも、上述のような誤判定は発生し得る。
以上のようなコックリング等に起因する誤判定を回避するための一つの方法として、光学式センサにより検出された反射光から変換生成されたセンサ受光出力信号の値を判定閾値の直接の比較対象として判定を行うのではなく、センサ受光出力信号からさらにセンサ受光出力変動量を算出し、そのセンサ受光出力変動量と判定閾値とを比較することにより各ノズルからのインク吐出状態を判定するという方法がある。
センサ受光出力変動量を用いるインク吐出状態判定方法においては、各印刷ブロックごとに検出された反射光から変換生成されたセンサ受光出力信号と、当該印刷ブロックに隣接し且つ当該印刷ブロックの直前に走査が行われた印刷ブロックにおける反射光から変換生成されたセンサ受光出力信号とから、それらの差分であるセンサ受光出力変動量を算出し、そのセンサ受光出力変動量と所定の判定閾値とを比較することにより、各印刷ブロックごとにインク吐出状態の判定を行う。
斯かるインク吐出状態判定方法では、判定閾値との比較対象となる値として、判定対象である印刷ブロックのセンサ受光出力信号と当該印刷ブロックに隣接する直前の印刷ブロックのセンサ受光出力信号とから算出した差分であるセンサ受光出力変動量を用いている。従って、もし、印刷媒体にコックリングが生じていたり、センサ受光出力信号に低周波ノイズが混入していたとしても、隣接する二つの印刷ブロックにおけるセンサ受光出力信号の差分をとることにより、コックリングや低周波ノイズによる信号レベル変動の影響は、センサ受光出力変動量から除去されていることになり、その結果、コックリング等の影響を排除して正確なインク吐出状態の判定を行うことが可能となる。
ところが、上述のようなセンサ受光出力変動量を用いるインク吐出状態判定方法は、隣接する2個の印刷ブロックのセンサ受光出力信号から算出したセンサ受光出力変動量を判定に用いているために、多数のインク吐出部としてのノズル群に特殊な形態の不具合が生じていた場合、その印刷ブロックパターンを正確に検出できず、ノズル群の不具合を見逃してしまう場合があり得るという欠点がある。
インク吐出状態判定のために印刷媒体表面に1ノズルごとに一つの印刷ブロックを印刷形成する判定用印刷ブロックパターンは、各色ごとに印刷形成され、各色の印刷ブロックパターンは印刷媒体表面に隙間無く配置される。そして、光学式センサによる印刷ブロックの走査は、一行ごとに各色の印刷ブロックパターンを横断するようにして行われる。
従って、ある色の印刷ブロックパターンとこれに隣接する異なる色の印刷ブロックパターンとの境界部分においては、印刷媒体表面の印刷状態の差異、即ち、色の違いに起因するセンサ受光出力変動量が発生し、その後、同一色の印刷ブロックが連続する限り、センサ受光出力変動量は最小値又はゼロのまま変化しなくなる。
しかし、走査対象となっている一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックが、インクが吐出されずに正常に印刷されなかった空白印刷ブロックであった場合には、隣接する色の印刷ブロックパターンとの境界部分において、同様に、印刷媒体表面の印刷状態の差異に起因するセンサ受光出力変動量が発生し、その後、空白印刷ブロックが連続する限り、センサ受光出力変動量は最小値又はゼロのまま変化しなくなる。
即ち、両者のセンサ受光出力変動量の波形パターンは非常に類似したものとなるので、結果として、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックを検出することができず、ノズル群の不具合を見逃してしまうことになる。
本発明の目的は、各インク吐出部からのインク吐出状態が反射光の強度に反映される印刷媒体表面の印刷状態を検出することにより印刷装置のインク吐出状態の判定を行うインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法において、印刷媒体のコックリング等の影響を排除すべくインク吐出状態の判定にセンサ受光出力変動量を用いながら、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックの正確な検出をも可能とするインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法を提供することである。
本発明の実施の一形態に係るインク吐出状態判定方法によれば、
吐出可能なインク色ごとに複数のインク吐出部を有する印刷ヘッドの1個の上記インク吐出部から吐出されるインクのみによって各インク吐出部ごとに印刷媒体表面に印刷形成される印刷ブロックの集合によって構成されるインク色ごとの印刷ブロックパターン、及び、インク吐出状態判定装置としての光学式センサによる走査方向に交差する領域であって、各インク色の上記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の上記印刷ブロックパターン内部の一部領域の上記印刷媒体表面を露出させて形成される参照空白領域を備えたインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンを印刷する印刷過程と、
上記印刷媒体に対し照射光を出射する発光部、及び、上記印刷媒体表面において反射された反射光を受光して検出し、上記反射光の強度に応じた値の受光出力信号を変換生成する受光部を有する光学式センサにより、上記インク吐出状態判定用印刷ブロックパターンが印刷された上記印刷媒体表面を上記走査方向に走査する走査過程と、
上記参照空白領域又は一の上記印刷ブロックに対応する上記受光出力信号の値と、当該参照空白領域又は当該印刷ブロックに隣接し且つ当該参照空白領域又は当該印刷ブロックの直後に上記光学式センサにより走査される他の印刷ブロックに対応する上記受光出力信号の値との差としての受光出力変動量と判定閾値とを順次比較することにより、上記他の印刷ブロックに対応する上記インク吐出部のインク吐出状態を判定する判定過程と、
を備えていることを特徴とする。
本発明の実施の一形態に係るインク吐出状態判定方法の上記構成において、上記判定過程は、上記判定閾値として単一の判定閾値を用いるものとするとよい。また、上記単一の判定閾値は、上記印刷ブロックのインク色ごとに異なる値に設定されるものとするとよい。この場合、上記光学式センサの照射領域としてのセンサスポットは、1個の上記印刷ブロックに含まれる大きさに設定されているものとするとよい。
又は、本発明の実施の一形態に係るインク吐出状態判定方法の上記構成において、上記判定過程は、上記他の印刷ブロックが上記参照空白領域に隣接し且つ当該参照空白領域の直後に上記光学式センサにより走査されるものである場合には上記判定閾値として相対的に高い値の第1の判定閾値を用い、上記他の印刷ブロックが一の上記印刷ブロックに隣接し且つ当該印刷ブロックの直後に上記光学式センサにより走査されるものである場合には上記判定閾値として相対的に低い第2の判定閾値を用いるものとするとよい。また、上記第1及び第2の判定閾値は、それぞれ、上記印刷ブロックのインク色ごとに異なる値に設定されるものとするとよい。この場合、上記光学式センサの照射領域としてのセンサスポットは、照射対象の上記印刷ブロックの周辺領域をも含む大きさに設定されているものとするとよい。
本発明の実施の一形態に係るインク吐出状態判定システムによれば、
吐出可能なインク色ごとに複数のインク吐出部を有する印刷ヘッドの1個の上記インク吐出部から吐出されるインクのみによって各インク吐出部ごとに印刷媒体表面に印刷形成された印刷ブロックの集合によって構成されるインク色ごとの印刷ブロックパターン、及び、インク吐出状態判定装置としての光学式センサによる走査方向に交差する領域であって、各インク色の上記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の上記印刷ブロックパターン内部の一部領域の上記印刷媒体表面を露出させて形成された参照空白領域を備えたインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンと、
上記印刷媒体に対し照射光を出射する発光部、及び、上記印刷媒体表面において反射された反射光を受光して検出し、上記反射光の強度に応じた値の受光出力信号を変換生成する受光部を有する光学式センサと、
上記走査方向に上記光学式センサを駆動する走査方向駆動装置と、
上記参照空白領域又は一の上記印刷ブロックに対応する上記受光出力信号の値と、当該参照空白領域又は当該印刷ブロックに隣接し且つ当該参照空白領域又は当該印刷ブロックの直後に上記光学式センサにより走査される他の印刷ブロックに対応する上記受光出力信号の値との差としての受光出力変動量と判定閾値とを順次比較することにより、上記他の印刷ブロックに対応する上記インク吐出部のインク吐出状態を判定する判定部と、
を備えていることを特徴とする。
本発明の実施の一形態に係る印刷装置によれば、
印刷媒体を搬送する印刷媒体搬送機構と、
吐出可能なインク色ごとに複数のインク吐出部を有する印刷ヘッドと、
上記印刷ヘッドの1個の上記インク吐出部から吐出されるインクのみによって各インク吐出部ごとに印刷媒体表面に印刷形成される印刷ブロックの集合によって構成されるインク色ごとの印刷ブロックパターン、及び、インク吐出状態判定装置としての光学式センサによる走査方向に交差する領域であって、各インク色の上記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の上記印刷ブロックパターン内部の一部領域の上記印刷媒体表面を露出させて形成される参照空白領域を備えたインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンの印刷を制御する制御部と、
上記印刷媒体に対し照射光を出射する発光部、及び、上記印刷媒体表面において反射された反射光を受光して検出し、上記反射光の強度に応じた値の受光出力信号を変換生成する受光部を有する光学式センサと、
上記印刷ヘッド及び上記光学式センサを搭載したキャリッジを、上記印刷媒体の搬送方向と直交する上記走査方向に上記印刷媒体上において駆動するキャリッジ駆動装置と、
上記参照空白領域又は一の上記印刷ブロックに対応する上記受光出力信号の値と、当該参照空白領域又は当該印刷ブロックに隣接し且つ当該参照空白領域又は当該印刷ブロックの直後に上記光学式センサにより走査される他の印刷ブロックに対応する上記受光出力信号の値との差としての受光出力変動量と判定閾値とを順次比較することにより、上記他の印刷ブロックに対応する上記インク吐出部のインク吐出状態を判定する判定部と、
を備えていることを特徴とする。
本発明の実施の一形態に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の上記構成において、上記判定部は、上記判定閾値として単一の判定閾値を用いるものとするとよい。また、上記単一の判定閾値は、上記印刷ブロックのインク色ごとに異なる値に設定されるものとするとよい。この場合、上記光学式センサの照射領域としてのセンサスポットは、1個の上記印刷ブロックに含まれる大きさに設定されているものとするとよい。
又は、本発明の実施の一形態に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の上記構成において、上記判定部は、上記他の印刷ブロックが上記参照空白領域に隣接し且つ当該参照空白領域の直後に上記光学式センサにより走査されるものである場合には上記判定閾値として相対的に高い値の第1の判定閾値を用い、上記他の印刷ブロックが一の上記印刷ブロックに隣接し且つ当該印刷ブロックの直後に上記光学式センサにより走査されるものである場合には上記判定閾値として相対的に低い第2の判定閾値を用いるものとするとよい。また、上記第1及び第2の判定閾値は、それぞれ、上記印刷ブロックのインク色ごとに異なる値に設定されるものとするとよい。この場合、上記光学式センサの照射領域としてのセンサスポットは、照射対象の上記印刷ブロックの周辺領域をも含む大きさに設定されているものとするとよい。
本発明の実施の一形態に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンによれば、
吐出可能なインク色ごとに複数のインク吐出部を有する印刷ヘッドの1個の上記インク吐出部から吐出されるインクのみによって各インク吐出部ごとに印刷媒体表面に印刷形成された印刷ブロックの集合によって構成されるインク色ごとの印刷ブロックパターンと、
インク吐出状態判定装置としての光学式センサによる走査方向に交差する領域であって、各インク色の上記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の上記印刷ブロックパターン内部の一部領域の上記印刷媒体表面を露出させて形成された参照空白領域と、
を備えていることを特徴とする。
本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法によれば、印刷媒体のコックリング等の影響を排除すべくインク吐出状態の判定にセンサ受光出力変動量を用いながら、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックをも正確に検出することが可能となる。
以下、本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法の実施の一形態について、図面を参照しながら説明する。
最初に、本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出判定用光学式センサ、印刷装置及びインク吐出判定方法の構成の主な適用対象であるインクジェットプリンタの概略構成について説明する。
図1は、本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出判定用光学式センサ、印刷装置及びインク吐出判定方法の構成の主な適用対象であるインクジェットプリンタにおける主要部の概略構成を示す斜視図である。
インクジェットプリンタの一例としてのプリンタ20は、用紙スタッカ22と、図示しないモータにより駆動され、印刷媒体としての印刷用紙Pを搬送する搬送ローラ24と、プラテン板26と、キャリッジ28と、キャリッジモータ30と、キャリッジモータ30により駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28を案内するためのガイドレール34とを備えている。
キャリッジ28には、印刷用紙Pの搬送方向(以下、副走査方向ともいう。)に沿って配設されたインク吐出部としての複数個のノズルをそれぞれ含む複数列のノズル列を有する印刷ヘッド36,各ノズルからのインク吐出の有無を判定する判定装置としての光センサ41,及び、符号板33を読み取るためのリニアエンコーダ29が搭載されている。
搬送ローラ24の軸にはロータリーエンコーダ25が設けられており、このロータリーエンコーダ25の出力に基づいて印刷用紙Pの搬送量を制御している。従って、印刷用紙の搬送方向と直交する方向(以下、主走査方向ともいう。)におけるキャリッジ28の位置はリニアエンコーダ29により検知し、印刷用紙Pの位置はロータリーエンコーダ25により検知することが可能である。即ち、プリンタ20は、エンコーダ25,29の出力信号に基づいて、キャリッジ28と印刷用紙Pとの相対位置を正確に認識可能な構成とされている。
印刷用紙Pは、図示しない給紙ローラにより用紙スタッカ22から給紙されて搬送ローラ24により搬送され、プラテン板26の表面上を副走査方向SSへ送られる。
キャリッジ28は、キャリッジモータ30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向MSに移動する。主走査方向MSと副走査方向SSとは直交している。
図2は、印刷ヘッド36を上方から見た際のノズルと光センサ41との配置を示す透視図である。
印刷ヘッド36には、淡ブラックインクを吐出するための淡ブラックインクノズル列KLと、淡マゼンタインクを吐出するための淡マゼンタインクノズル列MLと、淡シアンインクを吐出するための淡シアンインクノズル列CLと、主に自然画を印刷する際に用いるブラックインクを吐出するためのフォトブラックインクノズル列KPと、濃ブラックインクを吐出するための濃ブラックインクノズル列KDと、濃シアンインクを吐出するための濃シアンインクノズル列CDと、濃マゼンタインクを吐出するための濃マゼンタインクノズル列MDと、イエローインクを吐出するためのイエローインクノズル列YDと、が設けられている。尚、この例では、印刷用紙Pの搬送方向下流側に1番ノズル#1が配置されている。
キャリッジ28に搭載された光センサ41は、印刷ヘッド36の最も反ホームポジション側に位置するイエローインクノズル列YDの1番ノズル#1より搬送方向下流側であって、さらに反ホームポジション側に配置されている。この例では、例えば、イエローインクノズル列YDの1番ノズルより搬送方向下流側に8.58mm、反ホームポジション側に51.75mmの位置に設けられている。
ガイドレール34に沿って移動するキャリッジ28の移動範囲内における印刷領域外部には、キャリッジ28に搭載された印刷ヘッド36の下方にクリーニング機構200が設けられている。尚、図1においては、クリーニング機構200はヘッドキャップ210のみ示し、他の構成は省略している。
ヘッドキャップ210は、機密性のあるキャップであり、印刷をしていないときに印刷ヘッド36に被せてノズル内のインクの乾燥を防止するものである。そのため、ヘッドキャップ210は、キャリッジ28の待機位置、いわゆるホームポジション側に設けられている。また、ノズルが詰まった場合にも印刷ヘッド36にヘッドキャップ210を被せてノズルからインクを吸引し、クリーニングを実行する。
各ノズルからのインク吐出の有無を判定する光センサ41については、後に詳述する。
図3は、プリンタ20の電気的構成を示すブロック図である。
プリンタ20は、ホストコンピュータ100から供給された信号を受信する受信バッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、プリンタ20全体の動作を制御するシステムコントローラ54と、メインメモリ56とを備えている。
システムコントローラ54には、キャリッジモータ30を駆動する主走査ドライバ61と、搬送モータ31を駆動する副走査ドライバ62と、光センサ41を駆動する光センサドライバ63と、印刷ヘッド36を駆動するヘッドドライバ66とが接続されている。
光センサドライバ63は、光センサ41に備えられた発光部41aの発光量を調整可能な光量制御部と、同じく光センサ41に備えられた受光部41bの出力を調整可能な出力制御部とを備えている。
従って、例えば、所定の印刷用紙により反射した光を受けた受光部41bの出力が所定の値となるように、発光部41aの発光量又は受光部41bの出力を調整することが可能である。調整は、システムコントローラ54が光センサドライバ63を制御することにより行う。
ホストコンピュータ100のプリンタドライバ(図示せず)は、ユーザの指定した印刷モード(高速印刷モード、高画質印刷モード等)に基づいて、印刷動作を規定する各種のパラメータ値を決定する。このプリンタドライバは、さらに、これらのパラメータ値に基づいて、その印刷を行うための印刷データを生成し、プリンタ20に転送する。
転送された印刷データは、一旦、受信バッファメモリ50に蓄えられる。プリンタ20内では、システムコントローラ54が、受信バッファメモリ50に蓄えられた印刷データの中から必要な情報を読み取り、それに基づいて各ドライバに対して制御信号を送る。
イメージバッファ52には、受信バッファメモリ50において受信された印刷データを色成分ごとに分解して得られた複数の色成分の印刷データが格納される。
ヘッドドライバ66は、システムコントローラ54からの制御信号に従って、イメージバッファ52から各色成分の印刷データを読み出し、これに応じて印刷ヘッド36に設けられた各色のノズル列を駆動する。尚、プリンタ20各部を制御するのは、システムコントローラ54である。
また、ホストコンピュータ100から転送される印刷データは、ホストコンピュータ100からの転送前に色成分ごとに分解されている印刷データであってもよい。
図4は、本発明の適用対象であるインク吐出判定用光学式センサの二種類の構成を模式的に示す説明図である。
インク吐出判定用光学式センサとしては、図4(a)に示すように、照射光Laが印刷媒体としての印刷用紙表面に対し垂直に照射されるように発光部41aの向きが設定されている構成のものと、図4(b)に示すように、照射光41aが印刷媒体としての印刷用紙表面に対し斜めに照射されるように発光部41aの向きが設定されている構成のものとがある。
ノズルからのインク吐出の有無を判定するための光センサ41は、図4(a)及び図4(b)に示すように、発光部41aと受光部41bとを備えている。本実施の形態においては、受光部41bとして、主に反射光の拡散反射成分を受光するための受光部が一つ設けられた例を示しているが、このほかに、主に反射光の正反射成分を受光するための別の受光部を設けた構成としてもよい。
発光部41aは、印刷用紙に向けて光を照射するための発光装置である。インク吐出判定の際には、ノズルから吐出したインクにより各ノズルに対応してそれぞれ印刷形成される印刷ブロックを含む印刷パターンが印刷されているべき印刷用紙の領域に向けて光が照射される。
光センサ41の通常の構成においては、発光部からの照射光の焦点が印刷媒体表面上に合わせられたときに、当該照射光により印刷用紙が照射される領域(以下、「スポット」という。)内に上記印刷パターンの印刷ブロックBLが1個含まれるようにスポットが設定されている。
尚、印刷パターンの詳細は、後述する。
発光部41aには、発光ダイオード、レーザダイオード、白熱電球等の任意の発光装置を用いることができる。発光部41aからの照射光の色は、印刷パターン等の判定対象印刷画像の色に対して補色の関係にある色であることが好ましい。例えば、シアンの印刷画像を検出するには赤色の照射光を用い、マゼンタの印刷画像を検出するためには緑色の照射光を用い、イエローの印刷画像を検出するには青色の照射光を用いるとよい。
照射光の色と印刷画像の色とを補色の関係にすると、そうでない場合に比べて高いレベルの出力信号を得ることができる。
従って、いずれの色の印刷画像に対しても安定した出力を得るためには、照射光が白色である発光装置を用いるとよい。
受光部41bは、印刷パターンにより反射された反射光を検出して電気的信号に変換する光電変換装置である。受光素子としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ等を用いるとよい。好ましくは、可視光に対し良好な感度特性を有する受光素子を用いるとよい。
主に拡散反射成分を受光するための受光部41bの位置は、発光部41aに対し正反射の位置にないことが望ましい。
例えば、図4(a)に示すように、発光部41aからの照射光が印刷媒体としての印刷用紙表面に対し垂直に照射されるように発光部41aの向きを設定すると共に、印刷用紙表面から斜めに反射された反射光を検出するように受光部41bの向きを設定するとよい。又は、図4(b)に示すように、発光部41aからの照射光が印刷媒体としての印刷用紙表面に対し斜めに照射されるように発光部41aの向きを設定すると共に、印刷用紙表面に対し垂直な反射光を検出するように受光部41bの向きを設定してもよい。
特に光沢系印刷用紙のように、表面にコーティング層が形成されている印刷媒体においては、入射光の大半が表面のコーティング層により正反射されてしまうが、受光部41bを発光部41aに対して正反射の位置に取り付けない場合は、コーティング層の下にある印刷ブロックの色も確実に判別することができる。
発光部41aから出射された照射光は、印刷ブロックが印刷された印刷用紙により反射され、その反射光の拡散反射成分が受光部41bに到達する。受光部41bは、検出した反射光の強度に応じた電気的信号を発生し、出力信号として出力する。
この出力信号のレベルが予め設定された閾値より小さい場合には、発光部41aからの照射光により照射された印刷ブロックを形成すべきノズルからインクが正常に吐出されたと判定し、出力信号のレベルが閾値以上である場合には、当該ノズルからインクが正常に吐出されなかったと判定する。尚、インク吐出状態の判定においては、センサ受光出力信号の値と判定閾値とを比較する方法と、センサ受光出力変動量の値と判定閾値とを比較する方法とがあり、この点については詳細に後述する。
さて、このとき、光センサ41は、例えば、所定の未使用印刷用紙や、所定の印刷媒体上に印刷された各色の印刷パターン等により反射された反射光を検出した受光部41bからの出力信号のレベルが所定値となるように、システムコントローラ54によって制御される光センサドライバ63の光量制御部により発光部41aの発光量が調整されるか、又は、光センサドライバ63の出力制御部により受光部41bの出力が調整されている。
尚、複数の発光装置を比較すると、同じ白色の発光装置であっても個体差があり、特定の印刷パターンを照射した際の出力値に差が生ずる。
従って、実際に搭載された光センサと、実際の印刷媒体と、実際のインクにより印刷された印刷パターンとを使用して、発光部の発光量又は受光部の出力を調整することにより、発光装置の個体差、印刷媒体の種類、インク色の種類等により発生し得る誤判定を防止することが可能となる。
図5は、一色のインクにより印刷形成された検査用パターンの一例を模式的に示す説明図であり、図6は、検査用パターンを構成する検査用印刷ブロックBLを模式的に示す説明図である。
インク吐出検査に際しては、先ず、検査用パターンを作成する。この検査用パターンは、各色のインクを吐出するノズル列によりインク色ごとにそれぞれ印刷形成される検査用パターンである。即ち、総てのノズルのインク吐出状態を検査する場合には、印刷ヘッド36が有するノズル列から吐出されるインクの色数分の検査用パターンが形成される。
従って、図2に示す8色のインクを吐出可能な印刷ヘッドに備えられた各ノズル列のインク吐出状態を検査する場合には、八つの検査用パターンが作成されることになる。尚、インク吐出状態の検査のために作成されるインク色ごとの検査用パターンは、通常、隙間無く配置されて印刷形成される。また、各色の検査用パターンを構成する各印刷ブロックも隙間無く配置されて印刷形成される。
一色のノズル列にN個のノズルが配列されていて、それらN個のノズルの検査を行う場合の検査用パターンには、N個の印刷ブロックBLが印刷されることになる。
検査用パターンは、各ノズルから吐出されるインクによりノズルごとにそれぞれ形成される複数の検査用印刷ブロックBLにより構成され、一つの印刷ブロックBLは、図6に示すように、複数のインクドットPXにより形成される。
一つの検査用印刷ブロックBLは一つのノズルから吐出されるインクのみによって印刷形成されるので、一つの印刷用検査ブロックBLはそれに対応する一つのノズルの検査に用いられる。図5は、54個のノズルを有するノズル列により形成される検査用パターンを示している。
この検査用パターンは、主走査方向(左右方向)に9個、副走査方向に6個の検査用印刷ブロックBLが配置されて構成されている。即ち、主走査方向に配列された9個の検査用印刷ブロックにより構成される検査用印刷ブロックアレイが、副走査方向に6段形成されている。
搬送方向の最も下流側に位置する1段目の検査用印刷ブロックアレイは、9番ノズル#9から1番ノズル#1までにより印刷され、2段目の検査用印刷ブロックアレイは、18番ノズル#18から10番ノズル#10までにより印刷され、以下同様に、6段目の検査用印刷ブロックアレイは54番ノズル#54から46番ノズル#46までにより印刷される。
検査用パターンを構成する各検査用印刷ブロックアレイの印刷に際しては、所定の位置に位置決めされた印刷用紙に対し、例えばキャリッジ28を図5における左側から右側へ走査しつつ、54番、45番、36番、27番、18番、9番ノズル#54、#45、#36、#27、#18、#9からインクを吐出して所定数のドットを形成し、検査用印刷ブロックBLの主走査方向の幅の分だけ印刷する。キャリッジ28は走査を継続しつつ、53番、44番、35番、26番、17番、8番ノズル#53、#44、#35、#26、#17、#8からインクを吐出して、第2列の検査用印刷ブロックを形成するための所定数のドットによりドット列又はラインを形成する。
このように、ノズル列を構成する各ノズルは、検査用パターンの主走査方向に配置される検査用印刷ブロック数に等しい数ごとのノズルを順にそれぞれグループ化してサブノズルグループとされ、各サブノズルグループの副走査方向において同一の順番に位置するノズルごとにインクを吐出して各検査用印刷ブロックを形成していく。
図5における左側から右側へのキャリッジ28による走査が終了すると、印刷用紙を副走査方向にノズルピッチ分だけ搬送する。その後、右側から左側へキャリッジ28による走査を行い、直前の走査と逆の順序で所定のノズルからインクを吐出してドット列又はラインを形成する。
このように、印刷用紙を副走査方向にノズルピッチ分だけ搬送する動作と、各サブノズルグループの副走査方向における同一の順番に位置するノズルごとにインクを吐出しながら主走査方向における走査を行う動作とを繰り返し、9本のドット列又はラインを形成すると検査用印刷ブロックが形成される。総てのノズルから正常にインクが吐出されると、最終的に54個の検査用印刷ブロックを有する検査用パターンが印刷される。
尚、図5からも分かるように、主走査方向(左右方向)において相互に隣接する検査用印刷ブロック、例えば、54番ノズル#54により形成された検査用印刷ブロックと、53番ノズル#53により形成された検査用印刷ブロックとは、副走査方向にノズルピッチ分だけずれた位置に印刷される。
各検査用印刷ブロックを形成するドットは、相互に隣接する検査用印刷ブロック間においても等間隔に形成され、各検査用印刷ブロック間には余白部分は生じない。
本実施の形態では、キャリッジ28の各走査の間に実行される印刷用紙の搬送における搬送量をノズルピッチ分としたが、当該搬送量は任意であり、例えば搬送量をノズルピッチの半分とすると、各検査用印刷ブロックを構成するドットの数が多くなり、各検査用印刷ブロックの濃度は高くなる。このとき、各検査用印刷ブロックを構成するドット列又はラインの数は18本となる。
図7は、光センサによる走査の際の検査用パターン上におけるスポットの軌跡を模式的に示す説明図である。尚、図5の説明において前述したように、主走査方向において相互に隣接する検査用印刷ブロックは、厳密には、副走査方向にノズルピッチ分だけずれた位置に印刷されるのであるが、図7においては簡略化のため、各検査用印刷ブロックがずれのないマトリクス状に配置形成された状態の検査用パターン71を示している。
インク吐出の有無の判定に際しては、キャリッジ28(図1)に取り付けられた光センサ41と印刷用紙Pとを相対的に移動させ、検査用印刷ブロックBL上を光センサ41により走査する。
このとき、光センサ41の発光部41aからの照射光La(図4)のスポットを、図7の軌跡XYのように各検査用印刷ブロックBLに順次当てていき、検査用印刷ブロックBLからの反射光Lbを受光部41bにより検出し、検出した反射光Lbの強度に応じて受光部41bから出力された電気信号のレベルを所定の閾値と比較することによりインク吐出の有無を判定する。出力信号レベルと所定の閾値との比較は、各検査用印刷ブロックBLごとに行う。
尚、図2に示すように、本実施の形態においては、光センサ41は、印刷ヘッド36が有する総てのノズルより下流側に配置されているので、下流側の一部の印刷ブロックBLについては、上流側の一部の印刷ブロックBLを印刷する際のキャリッジ28の移動動作において光センサ41による走査を行い、同時にインク吐出の有無を判定する。
尚、光センサ41の発光部41aからの照射光により印刷用紙が照射される領域は、印刷用紙上において円形のスポットとなるが、本実施の形態においては、スポット内に検査用印刷ブロックBLが1個含まれるようにスポットが設定されている。
図8は、インク吐出の有無の判定における出力信号レベルと判定閾値との関係を示すグラフである。
目詰まりによりインクが吐出されないノズルが存在する場合、印刷用紙上に形成される検査用印刷ブロックBLのうち当該ノズルに対応する印刷ブロックは、インクが滴下されない空白印刷ブロックBLaとなる。
光センサ41の発光部41aから出射された照射光のスポットにより照射される印刷ブロックが空白印刷ブロックBLaである場合は、光センサ41の受光部41bが検出する反射光Lbの強度が増加するので、検出した反射光Lbの強度に応じて変換される出力信号レベルは上昇する。
一方、スポットにより照射される印刷ブロックが正常に印刷された正常印刷ブロックBLbである場合は、受光部41bが検出する反射光Lbの強度が減少するので、検出した反射光Lbの強度に応じて変換される出力信号レベルは低下する。
即ち、発光部41aにより形成されたスポットが空白印刷ブロックBLaを走査した際の出力信号レベルVLは相対的に高い値となり、スポットが正常印刷ブロックBLbを走査した際の出力信号レベルV0は相対的に低い値となる。
従って、通常は、図8に示すように、空白印刷ブロックBLaに対応する出力信号レベルVLと正常印刷ブロックBLbに対応する出力信号レベルV0との間に、判定閾値Vthを設定しておくことにより、出力信号レベルと判定閾値Vthとを比較して、各ノズルにおけるインク吐出の有無を判定することができる。
以上のようなインク吐出の有無の判定を行う際におけるハードウェアの動作は、以下の通りである。
システムコントローラ54(図3)の判定部54aは、インク吐出の有無を判定するために、光センサ41からの出力信号レベルと、予め設定されメインメモリ56に記憶された判定閾値Vthとを比較する。
出力信号レベルが閾値Vthより小さい場合、スポットに含まれている印刷ブロックは正常に印刷された正常印刷ブロックであり、当該印刷ブロックの印刷に用いられたノズルからはインクが正常に吐出されていると判定する。逆に、出力信号レベルが閾値Vthより大きい場合、スポットに含まれている印刷ブロックはインクが滴下されなかった空白印刷ブロックであり、当該印刷ブロックの印刷に用いられたノズルからはインクが正常に吐出されていないと判定する。
プリンタ20は、発光部41aからの照射光により印刷用紙が照射される領域、即ち、スポット内に一つの印刷ブロックが含まれる構成とすると共に、リニアエンコーダ29の出力とロータリーエンコーダ25の出力とにより、キャリッジ28と印刷用紙との相対位置を認識可能とし、さらに、総てのノズルより搬送方向の下流側に設けた光センサ41と各ノズルとの相対位置が予め正確に調整され且つ認識されているものとする。
従って、インク吐出の有無を判定するために、キャリッジ28の走査動作によって、光センサ41による検査用印刷ブロックの走査を行った結果、インクが滴下されなかった空白印刷ブロックが検出された場合には、リニアエンコーダ29及びロータリーエンコーダ25の出力に基づいて、当該空白印刷ブロックに対応するノズルを、インク吐出が正常に行われない異常ノズルとして特定することが可能である。
インク吐出が正常に行われない異常ノズルが特定されたときは、当該異常ノズルのみに対しフラッシング等を実行して良好な状態に回復させたり、あるいは、当該異常ノズルが本来形成すべきドットを他のノズルを用いて形成させて印刷することも可能である。
図9は、光学式センサの受光出力信号波形と判定閾値との関係を示すグラフである。
上述のように、光学式センサのスポットにより照射される印刷ブロックが正常に印刷された正常印刷ブロックBLbである場合は、受光部41bが検出する反射光Lbの強度が減少するので、検出した反射光Lbの強度に応じて変換される出力信号レベルは低下する。従って、スポットが正常印刷ブロックBLbを走査した際の出力信号レベルV0は相対的に低い値となり、この出力信号レベルV0を基準レベルとして受光出力信号波形は変動することとなる。
一方、光学式センサのスポットにより照射される印刷ブロックが空白印刷ブロックBLaである場合は、光センサ41の受光部41bが検出する反射光Lbの強度が増加するので、検出した反射光Lbの強度に応じて変換される出力信号レベルは上昇する。従って、発光部41aにより形成されたスポットが空白印刷ブロックBLaを走査した際の出力信号レベルVLは相対的に高い値となり、図9に示すような受光出力信号波形においては、極大値VLのピークとして観測される。
それ故に、通常は、基準レベルとなる出力信号レベルV0とピークレベルとなる出力信号レベルVLとの間に、判定閾値Vthを設定しておくことにより、センサ受光出力信号レベルと判定閾値Vthとを比較して、各ノズルにおけるインク吐出の有無を判定することができる。
ところで、光学式センサには、検出距離、即ち、発光部と印刷媒体表面との距離及び印刷媒体表面と受光部との距離が変動すると、印刷媒体表面の印刷状態が一様であっても受光出力信号レベルが変動するという特性がある。
図10は、光学式センサの検出距離変動に対する受光出力特性を示すグラフである。尚、図10のグラフの横軸では、検出距離が小さくなる方向を−、検出距離が大きくなる方向を+としている。
図10のグラフに示されるように、光学式センサにおいては、検出距離が最適値に設定されているときに最も大きくかつ安定した受光出力信号が得られる。
しかし、検出距離が最適値より小さくなったり大きくなったりすると、得られる受光出力信号の大きさは小さくなり、しかも、僅かな検出距離変動に対する受光出力信号の変動幅も大きくなる。
このような光学式センサの特性は、走査及び検出の対象である印刷媒体表面の印刷状態が一様であっても、印刷媒体のコックリング等により検出距離が変動すると受光出力信号の大きさも変動して、印刷媒体表面の印刷状態を正確に反映した検出結果が得られず、インク吐出状態判定において誤判定が発生し得るということを意味する。
また、印刷媒体にコックリングが発生している場合の他、何等かの原因によってセンサ受光出力信号に低周波ノイズが混入してセンサ受光出力信号レベルが変動した場合にも、同様に誤判定は発生し得る。
図11は、コックリングによる検出距離変動や低周波ノイズの受光出力信号への混入等により受光出力信号レベルが変動した場合のインク吐出状態判定における問題点を示す第1のグラフであり、図12は、コックリングによる検出距離変動や低周波ノイズの受光出力信号への混入等により受光出力信号レベルが変動した場合のインク吐出状態判定における問題点を示す第2のグラフである。
印刷媒体のコックリングにより光学式センサの検出距離が変動したり、低周波ノイズが光学式センサの受光出力信号に混入したりすると、走査及び検出の対象である印刷媒体表面の印刷状態が一様であるにも拘わらず、図11に示すように、予め設定された一定値の判定閾値Vthを超えて受光出力信号レベルが変動することがある。
即ち、光学式センサの検出距離変動や低周波ノイズの混入等により判定閾値Vthを超えるピークVxがセンサ受光出力信号に発生すると、例えばインク吐出有無の判定の場合、インクが正常に吐出されて印刷された正常印刷ブロックが走査及び検出の対象であったにも拘わらず、インクが吐出されずに正常に印刷されなかった空白印刷ブロックとして判定してしまうという誤判定が発生することとなる。
また一方では、印刷媒体のコックリングにより光学式センサの検出距離が変動したり、低周波ノイズが光学式センサの受光出力信号に混入したりすると、走査及び検出の対象である印刷媒体表面の印刷状態が一様であるにも拘わらず、図12に示すように、予め設定された一定値の判定閾値Vthを大きく下回って受光出力信号レベルが変動することがある。
即ち、一様な印刷状態の印刷媒体表面を走査及び検出している際の受光出力信号レベルが光学式センサの検出距離変動や低周波ノイズの混入等により判定閾値Vthを大きく下回ると、本来、判定閾値Vthを超えるものとして検出されるべき受光出力信号のピークVL’が判定閾値Vthを下回ってしまい、例えばインク吐出有無の判定の場合、インクが吐出されずに正常に印刷されなかった空白印刷ブロックとして検出及び判定すべき走査対象が、検出されずに見過ごされてしまうという誤判定が発生することとなる。
そこで、上述のようなコックリング等に起因する誤判定を回避するための一つ方法として、光学式センサにより検出された反射光から変換生成されたセンサ受光出力信号の値を判定閾値の直接の比較対象として判定を行うのではなく、センサ受光出力信号からさらにセンサ受光出力変動量を算出し、そのセンサ受光出力変動量と判定閾値とを比較することにより各ノズルからのインク吐出状態を判定するという方法がある。
図13は、図9に示す光学式センサの受光出力信号波形から算出したセンサ受光出力変動量と判定閾値との関係を示すグラフである。
センサ受光出力変動量を用いるインク吐出状態判定方法においては、各印刷ブロックごとに検出された反射光から変換生成されたセンサ受光出力信号と、当該印刷ブロックに隣接し且つ当該印刷ブロックの直前に走査が行われた印刷ブロックにおける反射光から変換生成されたセンサ受光出力信号とから、それらの差分であるセンサ受光出力変動量を算出し、そのセンサ受光出力変動量と所定の判定閾値とを比較することにより、各印刷ブロックごとにインク吐出状態の判定を行う。
図9に示すセンサ受光出力信号レベルは、センサ位置PVPに現れているピーク以前の各センサ位置では一定値V0のままであるため、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であり、図13においては最小変動量ΔVMとして示されている。この区間の最初の部分で検出されている反射光は、正常に印刷された正常印刷ブロックBLbからの反射光であり、且つ、その後のセンサ受光出力変動量も最小変動量ΔVMのままであって判定閾値Vthより低い値であるので、センサ位置PVPに現れているピーク以前の各センサ位置で検出されているのは、総て正常印刷ブロックBLbであると判断される。
その後、センサ位置PVPにおいて、センサ受光出力信号レベルはV0からVLまで変化しており、直前の印刷ブロックのセンサ受光出力信号レベルからの変動量は|VL−V0|であるので、図13においては最大変動量ΔVN(=|VL−V0|)として示されている。センサ位置PVPの直前の印刷ブロックのセンサ位置において検出されているのは正常印刷ブロックBLbであり、そのセンサ受光出力信号レベルから最大変動量ΔVNのセンサ受光出力変動量を示しており、かつ、センサ受光出力変動量ΔVNは判定閾値Vthを超える値であるから、センサ位置PVPにおいて検出されているのは、インクが吐出されずに正常に印刷されなかった空白印刷ブロックBLaであると判定される。
さらに、空白印刷ブロックBLaに隣接する印刷ブロックのセンシング位置であるセンサ位置PVBにおいて、センサ受光出力信号レベルはVLからV0まで変化しており、直前の空白印刷ブロックBLaのセンサ受光出力信号レベルからの変動量は|V0−VL|であるので、図13においては判定閾値Vthを超える値の最大変動量ΔVN(=|V0−VL|)として示されている。
センサ位置PVBにおいて検出された印刷ブロックについての判定を行う時点では、既にセンサ位置PVAにおいて検出された印刷ブロックが空白印刷ブロックBLaであると判定されている。従って、センサ位置PVBにおいて検出されたセンサ受光出力信号レベルに関して、空白印刷ブロックBLaにおいて検出されたセンサ受光出力信号レベルからの変動量が判定閾値Vthを超えない値であれば、センサ位置PVBにおいて検出された印刷ブロックは直前の印刷ブロックと同じく空白印刷ブロックBLaということになり、空白印刷ブロックBLaにおいて検出されたセンサ受光出力信号レベルからの変動量が判定閾値Vthを超える値であれば、センサ位置PVBにおいて検出された印刷ブロックは直前の印刷ブロックと異なる正常印刷ブロックBLbであるということになる。
よって、図13に示されるセンサ受光出力変動量のみから、センサ位置PVBにおいて検出された印刷ブロックは正常印刷ブロックBLbであると判定することができる。
以上のようにセンサ受光出力変動量を用いるインク吐出状態判定方法では、判定閾値との比較対象となる値として、判定対象である印刷ブロックのセンサ受光出力信号と当該印刷ブロックに隣接する直前の印刷ブロックのセンサ受光出力信号とから算出した差分であるセンサ受光出力変動量を用いている。従って、もし、印刷媒体にコックリングが生じていたり、センサ受光出力信号に低周波ノイズが混入していたとしても、隣接する二つの印刷ブロックにおけるセンサ受光出力信号の差分をとることにより、コックリングや低周波ノイズによる信号レベル変動の影響は、センサ受光出力変動量から除去されていることになり、その結果、コックリング等の影響を排除して正確なインク吐出状態の判定を行うことが可能となる。
ところが、上述のようなセンサ受光出力変動量を用いるインク吐出状態判定方法は、隣接する2個の印刷ブロックのセンサ受光出力信号から算出したセンサ受光出力変動量を判定に用いているために、多数のインク吐出部としてのノズル群に特殊な形態の不具合が生じていた場合、その印刷ブロックパターンを正確に検出できず、ノズル群の不具合を見逃してしまう場合があり得るという問題点がある。
以下、その問題点について説明する。
図14は、通常のインク吐出状態判定において印刷され使用される判定用印刷ブロックパターンの概略構成を示す平面図である。
通常のインク吐出状態判定において印刷され使用される判定用印刷ブロックパターン80は、印刷ヘッドに搭載されている各色のインクを吐出して印刷形成した各色ごとの判定用印刷ブロックパターンが隙間無く隣接して配置された構成となっている。
尚、図2に示した印刷ヘッド36は、淡ブラックインクノズル列KL、淡マゼンタインクノズル列ML、淡シアンインクノズル列CL、フォトブラックインクノズル列KP、濃ブラックインクノズル列KD、濃シアンインクノズル列CD、濃マゼンタインクノズル列MD、イエローインクノズル列YDの合計8色のインクを吐出することができる構成の印刷ヘッドであるが、図14に示す判定用印刷ブロックパターン80は、印刷ヘッドから吐出可能なインクがブラックBk、シアンC、マゼンタM、イエローY、淡シアン(ライトシアン)Lc、淡マゼンタ(ライトマゼンタ)Lmの合計6色である場合の判定用印刷ブロックパターンである。
インク吐出状態判定のために印刷媒体表面に1ノズルごとに一つの印刷ブロックを印刷形成する判定用印刷ブロックパターン80は、図14に示すように、各色ごとに印刷形成され、各色の印刷ブロックパターンBk、C、M、Y、Lc、Lmは印刷媒体表面に隙間無く配置される。そして、光学式センサによる印刷ブロックの走査は、一行ごとに各色の印刷ブロックパターンを横断するようにして行われる。
図15は、通常の判定用印刷ブロックパターンの一部の構成及び光学式センサによる走査の様子を模式的に示す説明図であり、図16は、図15の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力信号波形を示すグラフであり、図17は、図15の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力変動量を示すグラフである。
説明及び理解を容易にするため、図15には、通常の判定用印刷ブロックパターンの一部、即ち、ブラックBk及びシアンCの部分のみを示している。
光学式センサからの照射光によるセンサスポット10を図15に示す走査ラインに沿って移動させ、印刷媒体表面からの反射光を検出して、反射光の強度に応じたセンサ受光出力信号を変換生成すると、図16に示すように、ブラック印刷ブロックパターンBkを走査している間のセンサ受光出力信号レベルは、相対的に低い値VBkとなる。
センサスポット10が移動してブラック印刷ブロックパターンBkとシアン印刷ブロックパターンCとの境界位置PBk/Cを通過すると、センサ受光出力信号レベルは上昇し、シアン印刷ブロックパターンCを走査している間のセンサ受光出力信号レベルは、相対的に高い値VCとなる。
以上のような走査を行ったときのセンサ受光出力変動量は、ブラック印刷ブロックパターンBkを走査している間はセンサ受光出力信号レベルが一定値VBkのままであるため、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であり、図17においては最小変動量ΔVMとして示されている。
そして、センサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkとシアン印刷ブロックパターンCとの境界位置PBk/Cを通過して、シアン印刷ブロックパターンCの第1列の中央部を照射するセンサ位置PC1まで移動してくると、センサ受光出力信号レベルは値VBkから値VCまで上昇するので、センサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkの最終列を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVBkとシアン印刷ブロックパターンCの第1列を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVCとの間のセンサ受光出力変動量は|VC−VBk|となり、図17においては変動量ΔVBk/C(=|VC−VBk|)として示されている。
その後のセンサ受光出力変動量は、シアン印刷ブロックパターンCを走査している間はセンサ受光出力信号レベルが一定値VCのままであるため、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であり、図17においては最小変動量ΔVMとして示されている。
従って、センサ位置PBk/Cにおいてセンサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkとシアン印刷ブロックパターンCとの境界位置PBk/Cを通過し、センサ位置PC1においてセンサスポット10が完全にシアン印刷ブロックパターンCの領域へ移行し、それ以降はシアン印刷ブロックパターンCのいずれかの位置をセンサスポット10が照射していることが、図17のセンサ受光出力変動量の変化のみから識別することができる。
このように、ある色の印刷ブロックパターンとこれに隣接する異なる色の印刷ブロックパターンとの境界部分においては、印刷媒体表面の印刷状態の差異、即ち、色の違いに起因するセンサ受光出力変動量が発生し、その後、同一色の印刷ブロックが連続する限り、センサ受光出力変動量は最小値又はゼロのまま変化しなくなる。
図18は、走査対象の一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックが空白印刷ブロックである場合における通常の判定用印刷ブロックパターンの一部の構成及び光学式センサによる走査の様子を模式的に示す説明図であり、図19は、図18の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力信号波形を示すグラフであり、図20は、図18の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力変動量を示すグラフである。
図18の例は、ブラック印刷ブロックパターンBkに隣接するシアン印刷ブロックパターンCにおける走査対象の一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックWが、インクが吐出されずに正常に印刷されなかった空白印刷ブロックである場合を示している。印刷ヘッドのインク吐出部としてのノズル列にこのような不具合が発生することは比較的稀ではあるが、実際に発生することがある。
光学式センサからの照射光によるセンサスポット10を図18に示す走査ラインに沿って移動させ、印刷媒体表面からの反射光を検出して、反射光の強度に応じたセンサ受光出力信号を変換生成すると、図19に示すように、ブラック印刷ブロックパターンBkを走査している間のセンサ受光出力信号レベルは、相対的に低い値VBkとなる。
センサスポット10が移動してブラック印刷ブロックパターンBkとシアン印刷ブロックパターンCとの境界位置PBk/Cを通過し、シアン印刷ブロックパターンCに生じている一行又は数行の空白印刷ブロックWを照射するようになると、センサ受光出力信号レベルは上昇し、空白印刷ブロックWを走査している間のセンサ受光出力信号レベルは、相対的に高い値VWとなる。
以上のような走査を行ったときのセンサ受光出力変動量は、図20に示すように、ブラック印刷ブロックパターンBkを走査している間はセンサ受光出力信号レベルが一定値VBkのままであるため、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であり、図20においては最小変動量ΔVMとして示されている。
そして、センサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkとシアン印刷ブロックパターンCとの境界位置PBk/Cを通過し、シアン印刷ブロックパターンCの第1列の中央部を照射するセンサ位置PC1まで移動してきて空白印刷ブロックを照射するようになると、センサ受光出力信号レベルは値VBkから値VWまで上昇するので、センサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkの最終列を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVBkとシアン印刷ブロックパターンCの第1列である空白印刷ブロックを照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVCとの間のセンサ受光出力変動量は|VW−VBk|となり、図20においては変動量ΔVBk/W(=|VW−VBk|)として示されている。
その後のセンサ受光出力変動量は、シアン印刷ブロックパターンCを走査している間はセンサ受光出力信号レベルが一定値VCのままであるため、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であり、図20においては最小変動量ΔVMとして示されている。
このように、走査対象となっている一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックが、インクが吐出されずに正常に印刷されなかった空白印刷ブロックであった場合には、隣接する色の印刷ブロックパターンとの境界部分において、正常印刷ブロックのみからなる印刷ブロックパターンの場合と同様に、印刷媒体表面の印刷状態の差異に起因するセンサ受光出力変動量が発生し、その後、空白印刷ブロックが連続する限り、センサ受光出力変動量は最小値又はゼロのまま変化しなくなる。
即ち、図20のグラフと図17のグラフとを比較して分かるように、隣接する色の印刷ブロックパターンとの境界位置以降の異なる色の印刷ブロックパターンが正常印刷ブロックのみからなる場合のセンサ受光出力変動量の波形と、走査対象となっている一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックが空白印刷ブロックである場合のセンサ受光出力変動量の波形とは非常に類似したものとなるので、センサ受光出力変動量の値ΔVBk/C及びΔVBk/Wがともに同一の判定閾値Vthを超える場合には、両者を区別することができないこととなり、結果として、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックを検出することができず、ノズル群の不具合を見逃してしまうことになる。これが、センサ受光出力変動量を用いるインク吐出状態判定方法の問題点である。
そこで、本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法は、コックリング等の影響を回避すべくセンサ受光出力変動量を用いるインク吐出状態判定方法を採用しつつ、上記問題点を解決して行方向連続空白印刷ブロックを正確に検出するため、通常の判定用印刷ブロックパターンと異なる特殊な構成の判定用印刷ブロックパターン、即ち、各色の判定用印刷ブロックパターン中に印刷媒体表面を露出させた参照空白領域をインク吐出判定のための各走査ラインと交差するように設けた本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンを印刷して使用し、この参照空白領域を設けたことによるセンサ受光出力変動量の特定の変化が現れるか否かを識別することにより、判定用印刷ブロックパターンにおける行方向連続空白印刷ブロックの発生の有無を判定する。
図21は、本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法において印刷され使用される判定用印刷ブロックパターンの概略構成を示す平面図である。
本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法において印刷され使用される本発明に係る判定用印刷ブロックパターン81は、各色の判定用印刷ブロックパターン中に印刷媒体表面を露出させた参照空白領域BLNKをインク吐出判定のための各走査ラインと交差するように設けた判定用印刷ブロックパターンである。本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法は、判定用印刷ブロックパターン81中にこの参照空白領域BLNKを設けたことにより、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックの識別をも可能とするインク吐出状態判定を実現するものである。
各色の判定用印刷ブロックパターン中に参照空白領域BLNKをどのように設けるかについては、種々のパターンが考えられる。
例えば、図21(a)に示すように、各色の判定用印刷ブロックパターンの境界部分にそれぞれ帯状の参照空白領域BLNKをインク吐出判定のための各走査ラインと交差するように設けた判定用印刷ブロックパターン81aの構成とするとよい。
又は、図21(b)に示すように、各色の判定用印刷ブロックパターン内部にそれぞれ帯状の参照空白領域BLNKをインク吐出判定のための各走査ラインと交差するように設けた判定用印刷ブロックパターン81bの構成としてもよい。
さらに、図21(c)に示すように、各色の判定用印刷ブロックパターン内部にインク吐出判定のための走査方向と直交する方向において不連続な参照空白領域BLNKを各走査ラインと交差するようにそれぞれ設けた判定用印刷ブロックパターン81cの構成としてもよい。
要するに、印刷媒体表面を露出させた参照空白領域BLNKは、インク吐出判定のための総ての走査ラインと交差し、かつ、走査対象である各色の判定用印刷ブロックパターンのいずれかの部分に隣接するように設けられていればよい。
尚、各色の判定用印刷ブロックパターンは、参照空白領域BLNKが設けられている点を除くと、図5又は図7に示す印刷ブロックパターンと同様に、一つのノズルから吐出されるインクのみによって印刷形成された検査用印刷ブロックBLの集合によって構成されている。
また、参照空白領域BLNKの幅は、少なくとも1個の検査用印刷ブロックBLと同等の幅を有するものであればよいが、望ましくは、センサスポット径以上の幅を有するものとするとよい。
図22は、本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法における判定用印刷ブロックパターンの一部の構成及び光学式センサによる走査の様子を模式的に示す説明図であり、図23は、図22の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力信号波形を示すグラフであり、図24は、図22の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力変動量を示すグラフである。
説明及び理解を容易にするため、図22には、本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンの一部、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法において使用する判定用印刷ブロックパターンの一部、即ち、ブラックBk及びシアンCの部分のみを示している。また、本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンには、図21に示したように種々の構成があり得るが、ここでは、図21(a)に示す判定用印刷ブロックパターンを例として説明する。
光学式センサからの照射光によるセンサスポット10を図22に示す走査ラインに沿って移動させ、印刷媒体表面からの反射光を検出して、反射光の強度に応じたセンサ受光出力信号を変換生成すると、図23に示すように、ブラック印刷ブロックパターンBkを走査している間のセンサ受光出力信号レベルは、相対的に低い値VBkとなる。
センサスポット10が移動してブラック印刷ブロックパターンBkの終端位置PBk/Eを通過し、参照空白領域BLNKを照射し始めると、センサ受光出力信号レベルは上昇し、センサスポット10が参照空白領域BLNKの中央部を照射することとなる参照空白領域中央位置PBLNKにあるときのセンサ受光出力信号レベルは、相対的に高い値VBLNKとなる。
センサスポット10がさらに移動して参照空白領域BLNKとシアン印刷ブロックパターンCとの境界を通過すると、センサ受光出力信号レベルは低下し、シアン印刷ブロックパターンCを走査している間のセンサ受光出力信号レベルは、値VBkと値VBLNKとの間の値VCとなる。
以上のような走査を行ったときのセンサ受光出力変動量は、ブラック印刷ブロックパターンBkを走査している間はセンサ受光出力信号レベルが一定値VBkのままであるため、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であり、図24においては最小変動量ΔVMとして示されている。
そして、センサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkの終端位置PBk/Eを通過して参照空白領域BLNKを照射し始め、参照空白領域BLNKの中央部を照射するセンサ位置PBLNKまで移動してくると、センサ受光出力信号レベルは値VBkから値VBLNKまで上昇するので、センサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkの最終列を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVBkと参照空白領域BLNKの中央部を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVBLNKとの間のセンサ受光出力変動量は|VBLNK−VBk|となり、図24においては変動量ΔVBk/BLNK(=|VBLNK−VBk|)として示されている。
さらに、センサスポット10がシアン印刷ブロックパターンCの第1列の中央部を照射するセンサ位置PC1まで移動してくると、センサ受光出力信号レベルは値VBLNKから値VCまで低下するので、センサスポット10が参照空白領域BLNKの中央部を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVBLNKとシアン印刷ブロックパターンCの第1列を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVCとの間のセンサ受光出力変動量は|VC−VBLNK|となり、図24においては変動量ΔVBLNK/C(=|VC−VBLNK|)として示されている。
その後のセンサ受光出力変動量は、シアン印刷ブロックパターンCを走査している間はセンサ受光出力信号レベルが一定値VCのままであるため、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であり、図24においては最小変動量ΔVMとして示されている。
従って、センサ位置PBk/Eにおいてセンサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkの終端位置PBk/Eを通過して参照空白領域BLNKを照射した後、センサ位置PC1においてセンサスポット10が完全にシアン印刷ブロックパターンCの領域へ移行し、それ以降はシアン印刷ブロックパターンCのいずれかの位置をセンサスポット10が照射していることが、図24のセンサ受光出力変動量のグラフのみから識別することができる。
図24のグラフが、図17のグラフと異なっている点は、参照空白領域BLNKを設けたことによって、印刷ブロックパターンBkの終端位置PBk/Eとシアン印刷ブロックパターンCの第1列の中央位置PC1との間の参照空白領域BLNKの中央位置PBLNKにおいて変動量ΔVBk/BLNKの変動が発生しており、それに続いて、シアン印刷ブロックパターンCの第1列の中央位置PC1において変動量ΔVBk/BLNKより小さい変動量ΔVBLNK/Cが発生している点である。
図25は、走査対象の一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックが空白印刷ブロックである場合における本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンの一部の構成及び光学式センサによる走査の様子を模式的に示す説明図であり、図26は、図25の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力信号波形を示すグラフであり、図27は、図25の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力変動量を示すグラフである。
図25の例は、参照空白領域BLNKを介してブラック印刷ブロックパターンBkに隣接するシアン印刷ブロックパターンCにおける走査対象の一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックWが、インクが吐出されずに正常に印刷されなかった空白印刷ブロックである場合を示している。
光学式センサからの照射光によるセンサスポット10を図25に示す走査ラインに沿って移動させ、印刷媒体表面からの反射光を検出して、反射光の強度に応じたセンサ受光出力信号を変換生成すると、図26に示すように、ブラック印刷ブロックパターンBkを走査している間のセンサ受光出力信号レベルは、相対的に低い値VBkとなる。
センサスポット10が移動してブラック印刷ブロックパターンBkの終端位置PBk/Eを通過し、参照空白領域BLNKを照射し始めると、センサ受光出力信号レベルは上昇し、センサスポット10が参照空白領域BLNKの中央部を照射することとなる参照空白領域中央位置PBLNKにあるときのセンサ受光出力信号レベルは、相対的に高い値VBLNK/Wとなる。
センサスポット10がさらに移動して参照空白領域BLNKとシアン印刷ブロックパターンCとの境界を通過しても、シアン印刷ブロックパターンCの走査ライン上には一行又は数行の空白印刷ブロックWが生じているので、センサスポット10は参照空白領域BLNKと同様に印刷媒体表面が露出している空白印刷ブロックWを照射することとなり、センサ受光出力信号レベルは変動せず、値VBLNK/Wのままとなる。
以上のような走査を行ったときのセンサ受光出力変動量は、ブラック印刷ブロックパターンBkを走査している間はセンサ受光出力信号レベルが一定値VBkのままであるため、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であり、図27においては最小変動量ΔVMとして示されている。
そして、センサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkの終端位置PBk/Eを通過して参照空白領域BLNKを照射し始め、参照空白領域BLNKの中央部を照射するセンサ位置PBLNKまで移動してくると、センサ受光出力信号レベルは値VBkから値VBLNK/Wまで上昇するので、センサスポット10がブラック印刷ブロックパターンBkの最終列を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVBkと参照空白領域BLNKの中央部を照射しているときのセンサ受光出力信号レベルVBLNK/Wとの間のセンサ受光出力変動量は|VBLNK/W−VBk|となり、図27においては変動量ΔVBk/BLNK/W(=|VBLNK/W−VBk|)として示されている。
さらに、センサスポット10がシアン印刷ブロックパターンCの第1列の中央部を照射するセンサ位置PC1まで移動しても、センサスポット10はシアン印刷ブロックパターンCに生じている一行又は数行の空白印刷ブロックWを照射することとなるので、センサ受光出力信号レベルはVBLNK/Wのままであり、この区間中のセンサ受光出力変動量は0であるので、図27においては最小変動量ΔVMとして示されている。
図27のグラフにおいては、図24のグラフと同様に、印刷ブロックパターンBkの終端位置PBk/Eとシアン印刷ブロックパターンCの第1列の中央位置PC1との間の参照空白領域BLNKの中央位置PBLNKにおいて変動量ΔVBk/BLNKの変動が発生しているが、シアン印刷ブロックパターンCの走査ライン上に一行又は数行の空白印刷ブロックWが生じているために、図24のグラフと異なり、センサ位置PBLNKにおける変動量ΔVBk/BLNKの変動の後には更なる変動が生じておらず、最小変動量ΔVMに低下したまま一定となっている。
従って、通常の判定用印刷ブロックパターンを用いた場合の図17及び図20のグラフに示すセンサ受光出力変動量の波形では、行方向連続空白印刷ブロックが発生しているか否かを識別し判定することが非常に困難であったのに対し、本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンを用いた場合の図24及び図27のグラフに示すセンサ受光出力変動量の波形では、参照空白領域BLNKを設けたことによって、行方向連続空白印刷ブロックが発生しているか否かを明確に識別し判定することが可能となる。
以下、本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の動作の具体的な実施の形態、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の手順の具体的な実施の形態について、より詳細に説明する。
図28は、本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法の具体な実施の形態において想定する本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンの一色分の構成を示す平面図である。
本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法において印刷し使用する本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンには、図21に示したように種々の構成があり得るが、図22乃至図27の説明との関係において理解を容易にするため、ここでも、図21(a)に示す判定用印刷ブロックパターンを例として説明する。
本実施の形態において想定する判定用印刷ブロックパターンの一色分の構成は、図28に示すように、20行9列の印刷ブロックを含み、かつ、第0列及び第10列に相当する領域に参照空白領域BLNKが設けられている。
図29は、本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の具体的動作の第1の実施の形態、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の具体的手順の第1の実施の形態を示すフローチャートである。
インク吐出状態判定検査が開始されると、先ず、図21(a)に示す判定用(検査用)印刷ブロックパターン81aの印刷が行われる(ステップS1)。
判定用印刷ブロックパターン81aの全部又は一部の行を印刷した後、光学式センサ41の発光部41aを点灯させ(ステップS2)、1行分の印刷ブロックパターンを走査する(ステップS3)。尚、判定用印刷ブロックパターン81aの一部の行を印刷した後、直ちに光学式センサ41による走査を開始した場合には、走査と並行して判定用印刷ブロックパターン81aの残余の行の印刷を行う。
1行分の印刷ブロックパターンを走査しながら又は走査した後、検出した反射光からセンサ受光出力信号VN(Nは列番号;0≦N≦9;Nは整数)を各列の印刷ブロックごとに変換生成して取得する(ステップS4)。
各列の印刷ブロックごとにセンサ受光出力信号VNを取得した後、列番号NをN=1に設定し、最初の判定対象として第1列の印刷ブロックを指定する(ステップS5)。
次に、判定対象として第1列(N=1)の印刷ブロックが指定されているかどうかを識別し(ステップS6)、第1列(N=1)の印刷ブロックが指定されている場合には、第1列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN=V1の値と第0列の印刷ブロック(参照空白領域BLNK)のセンサ受光出力信号VN−1=V0の値との差が判定閾値Vth未満であるかどうか、即ち、不等式|VN−VN−1|<Vthの関係が成立するかどうかを判断する(ステップS7)。尚、本実施の形態においては、判定用印刷ブロックパターンの形態として図21(a)に示す判定用印刷ブロックパターン81aを採用しているので、第0列の印刷ブロックは参照空白領域BLNKであるという前提条件の下に動作及び手順を実行する。
第0列の印刷ブロックは参照空白領域BLNKであるので、第0列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1=V0の値は、インク吐出状態判定検査において検出される総てのセンサ受光出力信号の値のうちの最大値VBLNKである。従って、不等式|VN−VN−1|<Vthの関係が成立する場合は、第1列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN=V1の値が第0列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1=V0の値VBLNKと同等程度に大きい値である場合である。そして、第1列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN=V1の値が第0列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1=V0の値VBLNKと同等程度に大きい値であるということは、第1列の印刷ブロックがインクの不吐出により正常に印刷されなかった空白印刷ブロックであるということを意味している。よって、不等式|VN−VN−1|<Vthの関係が成立する場合は、第1列の印刷ブロックが空白印刷ブロックであって、対応するノズルは不吐出状態であると判定される(ステップS8)。
ある一列の印刷ブロックについて、対応するノズルが不吐出状態であるとの判定が行われた後、その判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えていないかどうか、即ち、既に第9列の印刷ブロックについての判定が行われたかどうかが識別される(ステップS9)。
その判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えている場合は、後述するステップS18の動作及び手順に進む。一方、その判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えていない場合は、判定対象の印刷ブロックの列番号Nを1だけインクリメントして、後続の印刷ブロックについてのインク吐出状態判定に進む(ステップS10)。
判定対象となる印刷ブロックの列番号をインクリメントした後、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値と第(N−1)列の印刷ブロック(空白印刷ブロック)のセンサ受光出力信号VN−1の値との差が判定閾値Vthを超えるかどうか、即ち、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立するかどうかを判断する(ステップS11)。尚、ここでは、ステップS8において、第(N−1)列の印刷ブロックが空白印刷ブロックであって、対応するノズルは不吐出状態であると既に判定されているという前提条件の下に動作及び手順を実行する。
第(N−1)列の印刷ブロックは空白印刷ブロックであるので、第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値は、インク吐出状態判定検査において検出される総てのセンサ受光出力信号の値のうちの最大値VW=VBLNKである。従って、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立する場合は、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VBLNKより十分に小さい値である場合である。そして、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VBLNKより十分に小さい値であるということは、第N列の印刷ブロックが正常に印刷された正常印刷ブロックであるということを意味している。よって、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立する場合は、第N列の印刷ブロックが正常印刷ブロックであって、対応するノズルは正常にインクを吐出することが可能な状態であると判定され(ステップS12)、後述するステップS14の動作及び手順に進む。
逆に、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立しない場合は、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VBLNKと同等程度に大きい値である場合である。そして、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VBLNKと同等程度に大きい値であるということは、第N列の印刷ブロックがインクの不吐出により正常に印刷されなかった空白印刷ブロックであるということを意味している。よって、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立しない場合は、第N列の印刷ブロックが空白印刷ブロックであって、対応するノズルは不吐出状態であると判定され(ステップS12)、動作及び手順はステップ8に戻る。
一方、ステップS7に戻って、不等式|VN−VN−1|<Vthの関係が成立しない場合について考察すると、第0列の印刷ブロックは参照空白領域BLNKであり、第0列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1=V0の値は、インク吐出状態判定検査において検出される総てのセンサ受光出力信号の値のうちの最大値VBLNKであるから、不等式|VN−VN−1|<Vthの関係が成立しない場合は、第1列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN=V1の値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VBLNKより十分に小さい値である場合である。そして、第1列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN=V1の値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VBLNKより十分に小さい値であるということは、第1列の印刷ブロックが正常に印刷された正常印刷ブロックであるということを意味している。よって、不等式|VN−VN−1|<Vthの関係が成立しない場合は、第1列の印刷ブロックが正常印刷ブロックであって、対応するノズルは正常にインクを吐出することが可能な状態であると判定される(ステップS13)。
ある一列の印刷ブロックについて、対応するノズルが正常状態であるとの判定が行われた後、その判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えていないかどうか、即ち、既に第9列の印刷ブロックについての判定が行われたかどうかが識別される(ステップS14)。
その判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えている場合は、後述するステップS18の動作及び手順に進む。一方、その判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えていない場合は、判定対象の印刷ブロックの列番号Nを1だけインクリメントして(ステップS15)、後続の印刷ブロックについてのインク吐出状態判定に進むため、動作及び手順はステップ6に戻る。
ある一列の印刷ブロックについて、対応するノズルが正常状態であるとの判定が行われ、判定対象の印刷ブロックの列番号Nが1だけインクリメントされた後、判定対象として第1列(N=1)の印刷ブロックが指定されているかどうかを識別すると(ステップS6)、判定対象の印刷ブロックの列番号Nは常に2以上であるから、ステップS16の動作及び手順に進み、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値と第(N−1)列の印刷ブロック(正常印刷ブロック)のセンサ受光出力信号VN−1の値との差が判定閾値Vthを超える値であるかどうか、即ち、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立するかどうかを判断する(ステップS16)。
ステップ16における第(N−1)列の印刷ブロックは常に正常印刷ブロックであるので、第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値は、当該色の判定用印刷ブロックパターンにおいて検出される総てのセンサ受光出力信号の値のうちの最小値VCLRである。従って、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立する場合は、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VCLRより十分に大きい値である場合である。そして、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VCLRより十分に大きい値であるということは、第N列の印刷ブロックがインクの不吐出により正常に印刷されなかった空白印刷ブロックであるということを意味している。よって、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立する場合は、第N列の印刷ブロックが空白印刷ブロックであって、対応するノズルは不吐出状態であると判定され(ステップS16)、動作及び手順はステップ8に戻る。
逆に、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立しない場合は、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VCLRと同等程度に小さい値である場合である。そして、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値が第(N−1)列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN−1の値VCLRと同等程度に小さい値であるということは、第N列の印刷ブロックが正常に印刷された正常印刷ブロックであるということを意味している。よって、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立しない場合は、第N列の印刷ブロックが正常印刷ブロックであって、対応するノズルは正常にインクを吐出することが可能な状態であると判定され(ステップS17)、前述のステップS14の動作及び手順に戻る。
ある一列の印刷ブロックについて、インク吐出状態判定が行われた後、ステップS9又はステップS14において、その判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えていないかどうか、即ち、既に第9列の印刷ブロックについての判定が行われたかどうかが識別され、その結果、その判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えており、既に第9列の印刷ブロックについての判定が行われている場合は、第1列から第9列までのいずれかの印刷ブロックにおいて、対応するノズルは不吐出状態であると判定されたものがあるかどうかを判断する(ステップS18)。
第1列から第9列までの総ての印刷ブロックにおいて、対応するノズルは正常にインクを吐出することが可能な状態であると判定されている場合は、最終行である第20行の印刷ブロックパターンについての検査が終了したかどうかを判断し、まだ第20行の印刷ブロックパターンについての検査が終了していない場合は、ステップ3に戻って次行の印刷ブロックパターンについての検査を上記同様に行う(ステップS19)。
第20行の印刷ブロックパターンについての検査が終了している場合は、光学式センサ41の発光部41aを消灯し(ステップS21)、総ての動作及び手順を終了する。
一方、第1列から第9列までのいずれかの印刷ブロックにおいて、対応するノズルは不吐出状態であると判定されたものがある場合は、印刷ヘッドのクリーニングを行った後(ステップS20)、光学式センサ41の発光部41aを消灯し(ステップS21)、総ての動作及び手順を終了する。
ここで、最終行である第20行の印刷ブロックパターンについての検査が終了したかどうかを判断せずに動作及び手順を終了することとしているのは、残余の行の印刷ブロックパターンについての検査が終了しておらず、かつ、残余の行のいずれかの印刷ブロックに対応するノズルに不吐出状態のものがあったとしても、ヘッドクリーニングを行ったことによって、総てのノズルの不吐出状態が解消すると推測されるからである。
以上で、本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の動作、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の手順は、総て終了する。
上述の動作及び手順によって、本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法は、印刷媒体のコックリング等の影響を排除すべくインク吐出状態の判定にセンサ受光出力変動量を用いながら、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックをも正確に検出することができる。
ところで、図29のフローチャートに示す本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の動作、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の手順は、光学式センサ41のセンサスポット10が判定用印刷ブロックパターンの単位ブロック(個々の印刷ブロック)に対して十分に小さく設計されている場合、即ち、センサスポット10が1個の印刷ブロックの中央部を照射しているときに、センサスポット10が1個の印刷ブロックの領域にほぼ完全に含まれ、ほとんどはみ出さない程度の大きさに設計されている場合を想定して構成されているものである。そのような場合、動作及び手順の過程で用いる判定閾値は、以下に述べるように、総て単一の値を使用することができる。
図30は、光学式センサのセンサスポットが判定用印刷ブロックパターンの単位ブロックに対して十分に小さく設計されている場合における走査の様子を模式的に示す説明図である。
具体的には、センサスポットが判定用印刷ブロックパターンの単位ブロックに対して十分に小さく設計されている場合において、図30(a)は、走査ライン上に1ブロックだけ空白印刷ブロックが発生しているときの走査の様子を示しており、図30(b)は、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックが走査ライン上に発生しているときの走査の様子を示している。
図31(a)、(b)は、図30(a)、(b)に示す走査を行ったときのセンサ受光出力信号波形をそれぞれ示すグラフであり、図32(a)、(b)は、図30(a)、(b)に示す走査を行ったときのセンサ受光出力変動量をそれぞれ示すグラフである。
図30(a)に示す走査を行った場合、図31(a)に示すように、センサスポット10が第0列、即ち、参照空白領域を照射しているときには、センサ受光出力信号レベルは最大値VS2であるが、第1列、第2列の正常印刷ブロックを照射しているときには、センサ受光出力信号レベルは最小値VS0に低下する。
その後、センサスポット10が第3列の空白印刷ブロックを照射しているときには、センサスポット10が空白印刷ブロックの領域にほぼ完全に含まれているので、センサ受光出力信号レベルは、図31(a)に示すように、センサスポット10が参照空白領域を照射しているときと同等の最大値VS2まで上昇する。
さらに、センサスポット10が第4列の正常印刷ブロックを照射しているときには、センサ受光出力信号レベルは再び最小値VS0に低下する。
以上のような走査を行うと、第1列のセンサ位置において、図32(a)に示すように、センサスポット10が参照空白領域から正常印刷ブロックへ移行したことによるセンサ受光出力変動量ΔVD2=|VS0−VS2|が発生する。
第1列及び第2列の印刷ブロックは共に正常印刷ブロックであるので、第2列のセンサ位置においては、センサ受光出力変動量は0であり、図32(a)においては最小変動量ΔVD0として示されている。
第3列の印刷ブロックは空白印刷ブロックであり、かつ、センサスポット10が第3列の空白印刷ブロックを照射しているときには、センサスポット10が空白印刷ブロックの領域にほぼ完全に含まれているので、図32(a)に示すように、第3列のセンサ位置においては、正常印刷ブロックから空白印刷ブロックへ移行したことによるセンサ受光出力変動量ΔVD2=|VS2−VS0|が発生する。
さらに、第4列の印刷ブロックは正常印刷ブロックであるので、第4列のセンサ位置においては、空白印刷ブロックから正常印刷ブロックへ移行したことによるセンサ受光出力変動量ΔVD2=|VS0−VS2|が発生する。
従って、第0列が参照空白領域であることを前提条件として考慮すると、第1,第2,第3,第4の印刷ブロックが、それぞれ、正常印刷ブロック、正常印刷ブロック、空白印刷ブロック、正常印刷ブロックであることが、図32(a)に示すセンサ受光出力変動量の値が単一の判定閾値Vthを超えているか下回っているかを順次識別することよって、判定することができる。
一方、図30(b)に示す走査を行った場合、図31(b)に示すように、センサスポット10が第0列、即ち、参照空白領域を照射しているときは、センサ受光出力信号レベルは最大値VS2であり、さらに、第1列から第4列までの行方向連続空白印刷ブロックを照射しているときにも、センサスポット10が空白印刷ブロックの領域にほぼ完全に含まれている状態が継続するので、センサ受光出力信号レベルは、センサスポット10が参照空白領域を照射しているときと同等の最大値VS2のまま変動しない。
この場合、第0列の参照空白領域から第1列乃至第4列の行方向連続空白印刷ブロックまでセンサ受光出力変動量は0であり、図32(b)においては最小変動量ΔVD0として示されている。
従って、第0列が参照空白領域であることを前提条件として考慮すると、第1列乃至第4列に行方向連続空白印刷ブロックが発生していることが、図32(b)に示すセンサ受光出力変動量の値が最小変動量ΔVD0のまま一定であって常に単一の判定閾値Vthを下回っていることを識別することによって、判定することができる。
以上のように、光学式センサ41のセンサスポット10が判定用印刷ブロックパターンの単位ブロック(個々の印刷ブロック)に対して十分に小さく設計されている場合には、センサ受光出力変動量の値を単一の判定閾値Vthと順次比較することにより、総ての場合において正確なインク吐出状態判定を行うことができる。
尚、単一の判定閾値Vthは、任意の位置においてセンサスポット10が参照空白領域若しくは空白印刷ブロックから正常印刷ブロックへ又は正常印刷ブロックから空白印刷ブロックへ移行したときのセンサ受光出力変動量より低く、かつ、最小変動量ΔVD0(=0)より高い値であるものとする。
他方、光学式センサ41のセンサスポット10が判定用印刷ブロックパターンの単位ブロック(個々の印刷ブロック)に対して十分に小さく設計されていない場合、即ち、センサスポット10が1個の印刷ブロックの中央部を照射しているときに、センサスポット10に照射対象の印刷ブロックの周辺領域までもが含まれてしまう場合には、以下に述べるように、単一の判定閾値では正確なインク吐出状態判定を行うことができない場合があり得る。
図33は、光学式センサのセンサスポットが判定用印刷ブロックパターンの単位ブロックに対して大きく設計されている場合における走査の様子を模式的に示す説明図である。
具体的には、センサスポット10が判定用印刷ブロックパターンの単位ブロックに対して大きく設計されており、センサスポット10に照射対象の印刷ブロックの周辺領域までもが含まれる場合において、図33(a)は、走査ライン上に1ブロックだけ空白印刷ブロックが発生しているときの走査の様子を示しており、図33(b)は、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックが走査ライン上に発生しているときの走査の様子を示している。
図34(a)、(b)は、図33(a)、(b)に示す走査を行ったときのセンサ受光出力信号波形をそれぞれ示すグラフであり、図35(a)、(b)は、図33(a)、(b)に示す走査を行ったときのセンサ受光出力変動量をそれぞれ示すグラフである。
図33(a)に示す走査を行った場合、センサスポット10が第0列、即ち、参照空白領域を照射しているときには、図34(a)に示すように、センサ受光出力信号レベルは最大値VS2となる。
センサスポット10が第1列、第2列の正常印刷ブロックを照射しているときには、センサスポット10の端部に第0列の参照空白領域又は第3列の空白印刷ブロックの一部が僅かに含まれるが、その影響はほとんど無く、図34(a)に示すように、センサ受光出力信号レベルはほぼ最小値VS0に低下する。
その後、センサスポット10が第3列の空白印刷ブロックを照射しているときには、センサスポット10に空白印刷ブロック周囲の正常印刷ブロックまでもが含まれてしまうので、センサ受光出力信号レベルは、図34(a)に示すように、センサスポット10が第0列の参照空白領域を照射しているときの最大値VS2と同等の値までは上昇せず、最大値VS2と最小値VS0との間の中間値VS1まで上昇する。
さらに、センサスポット10が第4列の正常印刷ブロックを照射しているときには、センサ受光出力信号レベルは再びほぼ最小値VS0に低下する。
以上のような走査を行うと、第1列のセンサ位置において、図35(a)に示すように、センサスポット10が参照空白領域から正常印刷ブロックへ移行したことによるセンサ受光出力変動量ΔVD2=|VS0−VS2|が発生する。
第1列及び第2列の印刷ブロックは共に正常印刷ブロックであるので、第2列のセンサ位置においては、センサ受光出力変動量は0であり、図35(a)においては最小変動量ΔVD0として示されている。
第3列の印刷ブロックは空白印刷ブロックであるが、センサスポット10が第3列の空白印刷ブロックを照射しているときには、センサスポット10に空白印刷ブロック周囲の正常印刷ブロックまでもが含まれてしまうので、図35(a)に示すように、第3列のセンサ位置においては、正常印刷ブロックに囲まれた空白印刷ブロックへ正常印刷ブロックからセンサスポット10が移行したことによるセンサ受光出力変動量ΔVD1=|VS1−VS0|が発生する。
さらに、第4列の印刷ブロックは正常印刷ブロックであるので、第4列のセンサ位置においては、図35(a)に示すように、正常印刷ブロックに囲まれた空白印刷ブロックから正常印刷ブロックへセンサスポット10が移行したことによるセンサ受光出力変動量ΔVD1=|VS0−VS1|が発生する。
従って、第0列が参照空白領域であることを前提条件として考慮すると、第1,第2,第3,第4の印刷ブロックが、それぞれ、正常印刷ブロック、正常印刷ブロック、空白印刷ブロック、正常印刷ブロックであることが、図35(a)に示すセンサ受光出力変動量の値が判定閾値Vth_Bを超えているか下回っているかを順次識別することよって、判定することができる。
尚、図35(a)には、後述の行方向連続空白印刷ブロックの判定に用いるもう一つの判定閾値Vth_Aも示されているが、ここでは使用しない。
一方、図33(b)に示す走査を行った場合、センサスポット10が第0列、即ち、参照空白領域を照射しているときは、センサ受光出力信号レベルは最大値VS2であるが、センサスポット10が第1列の空白印刷ブロックを照射しているときには、センサスポット10に空白印刷ブロック周囲の正常印刷ブロックまでもが含まれてしまうので、図34(b)に示すように、第1列のセンサ位置においては、センサ受光出力信号レベルは最大値VS2より低い値VS1に低下する。
その後、第1列の空白印刷ブロックから引き続く第2列乃至第4列の行方向連続空白印刷ブロックをセンサスポット10が照射しているときには、第1列の空白印刷ブロックと同様に、センサスポット10に空白印刷ブロック周囲の正常印刷ブロックまでもが含まれる状態が継続するので、センサ受光出力信号レベルは、図34(b)に示すように、センサスポット10が第1列の空白印刷ブロックを照射しているときと同等の値VS1のまま変動しない。
以上のような走査を行うと、図35(b)に示すように、第1列のセンサ位置において、正常印刷ブロックに囲まれた空白印刷ブロックへ参照空白領域からセンサスポット10が移行したことによるセンサ受光出力変動量ΔVD1=|VS0−VS1|が発生する。
その後、第1列の空白印刷ブロックから引き続く第2列乃至第4列の行方向連続空白印刷ブロックをセンサスポット10が照射しているときには、第1列の空白印刷ブロックと同様に、センサスポット10に空白印刷ブロック周囲の正常印刷ブロックまでもが含まれる状態が継続するので、センサ受光出力変動量は0であり、図35(b)においては最小変動量ΔVD0として示されている。
従って、図33(b)に示す行方向連続空白印刷ブロックが発生している場合のセンサ受光出力変動量を示す図35(b)のグラフにおいて、図35(a)のグラフと同様の判定閾値Vth_Bを用いて判定を行ったのでは、第1列のセンサ位置におけるセンサ受光出力変動量の値が判定閾値Vth_Bを超えていることから、第1列の印刷ブロックが正常印刷ブロックであり、さらに、それに引き続く第2列乃至第4列の印刷ブロックも総て正常印刷ブロックであるとの誤判定を招いてしまうこととなる。
そこで、センサスポット10が判定用印刷ブロックパターンの単位ブロックに対して大きく設計されており、センサスポット10に照射対象の印刷ブロックの周辺領域までもが含まれる場合において、参照空白領域に隣接する第1列の印刷ブロックについての判定を行う際には、第2列以降の印刷ブロックについての判定を行う際に用いる判定閾値Vth_Bより高い値のもう一つの判定閾値Vth_Aを用いることとする。
図35(b)に示す判定閾値Vth_Aを用いると、第1列のセンサ位置におけるセンサ受光出力変動量の値は判定閾値Vth_A未満であることから、第1列の印刷ブロックにおけるセンサ受光出力信号レベルは参照空白領域におけるセンサ受光出力信号レベルから変動していないものとみなされ、従って、第1列の印刷ブロックは空白印刷ブロックであると判定することができる。
また、行方向連続空白印刷ブロックが発生していない場合の第1列のセンサ位置においても判定閾値Vth_Aを用いて正確な判定が可能であることは、図35(a)のグラフから明らかである。但し、第2列以降のセンサ位置においては、判定閾値Vth_Bを用いて判定を行う必要があるが、行方向連続空白印刷ブロックが発生している場合の第2列以降のセンサ位置において判定閾値Vth_Bを用いて正確な判定が可能であることは、図35(b)のグラフから明らかである。
従って、センサスポット10が個々の印刷ブロックに対して大きく設計されており、センサスポット10に照射対象の印刷ブロックの周辺領域までもが含まれる場合には、異なる二つの判定閾値Vth_A、Vth_Bを予め設定しておき、高い値の判定閾値Vth_Aを第1列の印刷ブロックに対する判定に用い、低い値の判定閾値Vth_Bを第2列以降の印刷ブロックに対する判定に用いることにより、正確なインク吐出状態判定が可能となる。
尚、高い値の判定閾値Vth_Aは、センサスポット10が第0列の参照空白領域から第1列の正常印刷ブロックへ移行したときのセンサ受光出力変動量より低く、かつ、センサスポット10が第0列の参照空白領域から第1列の空白印刷ブロックへ移行したときのセンサ受光出力変動量より高い値であるものとする。
一方、低い値の判定閾値Vth_Bは、第2列以降の任意の位置においてセンサスポット10が正常印刷ブロックから空白印刷ブロックへ又は空白印刷ブロックから正常印刷ブロックへ移行したときのセンサ受光出力変動量より低く、かつ、最小変動量ΔVD0(=0)より高い値であるものとする。
以上のように、センサスポット10が個々の印刷ブロックに対して大きく設計されており、センサスポット10に照射対象の印刷ブロックの周辺領域までもが含まれる場合における本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の動作の具体的な実施の形態、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の手順の具体的な実施の形態について、以下、詳細に説明する。
図36は、本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の具体的動作の第2の実施の形態、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の具体的手順の第2の実施の形態を示すフローチャートである。
尚、第2の実施の形態において印刷し使用する判定用印刷ブロックパターンは、第1の実施の形態と同様に、図21(a)に示す判定用印刷ブロックパターンとし、かつ、想定する判定用印刷ブロックパターンの一色分の構成も、第1の実施の形態と同様に、図28に示す構成とする。
また、本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の具体的動作の第2の実施の形態、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の具体的手順の第2の実施の形態の大部分は第1の実施の形態と共通しているので、第1の実施の形態と相違する部分についてのみ説明する。
先ず、ステップS6において、判定対象として第1列(N=1)の印刷ブロックが指定されているかどうかを識別し、第1列(N=1)の印刷ブロックが指定されている場合には、高い値の第1の判定閾値Vth_Aを判定閾値Vthとして設定してから(ステップS6−1)、第1列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VN=V1の値と第0列の印刷ブロック(参照空白領域BLNK)のセンサ受光出力信号VN−1=V0の値との差が判定閾値Vth未満であるかどうか、即ち、不等式|VN−VN−1|<Vthの関係が成立するかどうかを判断する(ステップS7)。
また、ステップS9において、判定対象の印刷ブロックの列番号Nが8を超えていないと識別された場合は、判定対象の印刷ブロックの列番号Nを1だけインクリメントして、後続の印刷ブロックについてのインク吐出状態判定に進むが(ステップS10)、以後の判定対象の印刷ブロックは第2列以降の印刷ブロックとなるので、ここで、低い値の第2の判定閾値Vth_Bを判定閾値Vthとして設定してから(ステップS10−1)、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値と第(N−1)列の印刷ブロック(空白印刷ブロック)のセンサ受光出力信号VN−1の値との差が判定閾値Vthを超えるかどうか、即ち、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立するかどうかを判断する(ステップS11)。
さらに、ステップS12、S13又はS17において、ある一列の印刷ブロックについて、対応するノズルが正常状態であるとの判定が行われ、判定対象の印刷ブロックの列番号Nが1だけインクリメントされた後、判定対象として第1列(N=1)の印刷ブロックが指定されているかどうかを識別すると(ステップS6)、判定対象の印刷ブロックの列番号Nは常に2以上であるから、ここで、低い値の第2の判定閾値Vth_Bを判定閾値Vthとして設定してから(ステップS6−2)、ステップS16の動作及び手順に進み、第N列の印刷ブロックのセンサ受光出力信号VNの値と第(N−1)列の印刷ブロック(正常印刷ブロック)のセンサ受光出力信号VN−1の値との差が判定閾値Vthを超える値であるかどうか、即ち、不等式|VN−VN−1|>Vthの関係が成立するかどうかを判断する(ステップS16)。
センサスポット10が個々の印刷ブロックに対して大きく設計されており、センサスポット10に照射対象の印刷ブロックの周辺領域までもが含まれる場合には、以上のように、異なる二つの判定閾値Vth_A、Vth_Bを予め設定しておき、高い値の判定閾値Vth_Aを第1列の印刷ブロックに対する判定に用い、低い値の判定閾値Vth_Bを第2列以降の印刷ブロックに対する判定に用いることにより、行方向に連続する行方向連続空白印刷ブロックをも正確に検出することができる。
但し、図21(b)、(c)に示すような判定用印刷ブロックパターンを採用する場合には、高い値の判定閾値Vth_Aを用いるのは第1列の印刷ブロックの判定ではなく、参照空白領域に隣接し且つ参照空白領域の直後に走査されることとなる印刷ブロックの判定であり、その他の印刷ブロックの判定には低い値の判定閾値Vth_Bを用いる。
結局、図21(a)、(b)、(c)に示す判定用印刷ブロックパターンのいずれを採用する場合においても、参照空白領域に隣接し且つ参照空白領域の直後に走査されることとなる印刷ブロックの判定には相対的に高い値の判定閾値Vth_Aを用い、その他の印刷ブロックの判定には相対的に低い値の判定閾値Vth_Bを用いることとなる。
尚、第1の実施の形態のように判定閾値として単一の判定閾値を用いる場合、及び、第2の実施の形態のように判定閾値として2つの異なる判定閾値を用いる場合のいずれにおいても、各判定閾値は、インク色ごとに異なる最適値を用いるとよい。
本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の動作は、制御部としてのシステムコントローラ54(図3参照)により制御される。
本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法は、インクジェットプリンタに限らず、反射光の強度に反映される印刷媒体表面の印刷状態を検出することによりインク吐出状態を判定するための印刷動作状態判定装置として光学式センサを搭載している印刷装置全般のインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法に適用することが可能である。
本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出判定用光学式センサ、印刷装置及びインク吐出判定方法の構成の主な適用対象であるインクジェットプリンタにおける主要部の概略構成を示す斜視図である。 印刷ヘッド36を上方から見た際のノズルと光センサ41との配置を示す透視図である。 プリンタ20の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の適用対象であるインク吐出判定用光学式センサの通常の構成を模式的に示す説明図である。 一色のインクにより印刷形成された検査用パターンの一例を模式的に示す説明図である。 検査用パターンを構成する検査用印刷ブロックBLを模式的に示す説明図である。 光センサによる走査の際の検査用パターン上におけるスポットの軌跡を模式的に示す説明図である。 インク吐出の有無の判定における出力信号レベルと判定閾値との関係を示すグラフである。 光学式センサの受光出力信号波形と判定閾値との関係を示すグラフである。 光学式センサの検出距離変動に対する受光出力特性を示すグラフである。 コックリングによる検出距離変動や低周波ノイズの受光出力信号への混入等により受光出力信号レベルが変動した場合のインク吐出状態判定における問題点を示す第1のグラフである。 コックリングによる検出距離変動や低周波ノイズの受光出力信号への混入等により受光出力信号レベルが変動した場合のインク吐出状態判定における問題点を示す第2のグラフである。 図9に示す光学式センサの受光出力信号波形から算出したセンサ受光出力変動量と判定閾値との関係を示すグラフである。 通常のインク吐出状態判定において印刷され使用される判定用印刷ブロックパターンの概略構成を示す平面図である。 通常の判定用印刷ブロックパターンの一部の構成及び光学式センサによる走査の様子を模式的に示す説明図である。 図15の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力信号波形を示すグラフである。 図15の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力変動量を示すグラフである。 走査対象の一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックが空白印刷ブロックである場合における通常の判定用印刷ブロックパターンの一部の構成及び光学式センサによる走査の様子を模式的に示す説明図である。 図18の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力信号波形を示すグラフである。 図18の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力変動量を示すグラフである。 本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン、インク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法において印刷され使用される判定用印刷ブロックパターンの概略構成を示す平面図である。 本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法において使用する本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンの一部の構成及び光学式センサによる走査の様子を模式的に示す説明図である。 図22の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力信号波形を示すグラフである。 図22の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力変動量を示すグラフである。 走査対象の一行又は当該行を含む複数行の総ての印刷ブロックが空白印刷ブロックである場合における本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンの一部の構成及び光学式センサによる走査の様子を模式的に示す説明図である。 図25の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力信号波形を示すグラフである。 図25の判定用印刷ブロックパターンを走査したときのセンサ受光出力変動量を示すグラフである。 本発明に係るインク吐出状態判定システム、印刷装置及びインク吐出状態判定方法の具体な実施の形態において想定する本発明に係るインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンの一色分の構成を示す平面図である。 本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の具体的動作の第1の実施の形態、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の具体的手順の第1の実施の形態を示すフローチャートである。 光学式センサのセンサスポットが判定用印刷ブロックパターンの単位ブロックに対して十分に小さく設計されている場合における走査の様子を模式的に示す説明図である。 図30(a)、(b)に示す走査を行ったときのセンサ受光出力信号波形をそれぞれ示すグラフ(a)、(b)である。 図30(a)、(b)に示す走査を行ったときのセンサ受光出力変動量をそれぞれ示すグラフ(a)、(b)である。 光学式センサのセンサスポットが判定用印刷ブロックパターンの単位ブロックに対して大きく設計されている場合における走査の様子を模式的に示す説明図である。 図33(a)、(b)に示す走査を行ったときのセンサ受光出力信号波形をそれぞれ示すグラフ(a)、(b)である。 図33(a)、(b)に示す走査を行ったときのセンサ受光出力変動量をそれぞれ示すグラフ(a)、(b)である。 図36は、本発明に係るインク吐出状態判定システム及び印刷装置の具体的動作の第2の実施の形態、即ち、本発明に係るインク吐出状態判定方法の具体的手順の第2の実施の形態を示すフローチャートである。
符号の説明
10 照射領域(スポット)
20 プリンタ
22 用紙スタッカ
24 搬送ローラ
25 ロータリーエンコーダ
26 プラテン板
28 キャリッジ
29 リニアエンコーダ
30 キャリッジモータ
31 搬送モータ
32 牽引ベルト
33 符号板
34 ガイドレール
36 印刷ヘッド
41 光センサ
41a 発光部
41b 受光部
50 受信バッファメモリ
52 イメージバッファ
54 システムコントローラ
54a 判定部
61 主走査ドライバ
62 副走査ドライバ
63 光センサドライバ
66 ヘッドドライバ
71 印刷パターン
80 通常の判定用印刷ブロックパターン
81a,81b,81c 本発明に係る判定用印刷ブロックパターン
100 ホストコンピュータ
200 クリーニング機構
210 ヘッドキャップ
BL 印刷ブロック
BLa 空白印刷ブロック
BLb 正常印刷ブロック
CD 濃シアンインクノズル列
CL 淡シアンインクノズル列
KD ブラックインクノズル列
KL 淡ブラックインクノズル列
KP フォトブラックインクノズル列
MD 濃マゼンタインクノズル列
ML 淡マゼンタインクノズル列
YD イエローインクノズル列
La 投射光
Lb 反射光
MS 主走査方向
P 印刷用紙
SS 副走査方向
Vth 判定閾値
Vth_A 第1の判定閾値
Vth_B 第2の判定閾値
V0 空白印刷ブロックの出力信号レベル
VL 正常印刷ブロックの出力信号レベル(受光出力信号のピーク)
VL’検出距離変動や低周波ノイズにより下降した受光出力信号のピーク
Vx 検出距離変動や低周波ノイズにより上昇した受光出力信号のピーク
Bk ブラックの判定用印刷ブロックパターン
C シアンの判定用印刷ブロックパターン
M マゼンタの判定用印刷ブロックパターン
Y イエローの判定用印刷ブロックパターン
Lc 淡シアン(ライトシアン)の判定用印刷ブロックパターン
Lm 淡マゼンタ(ライトマゼンタ)の判定用印刷ブロックパターン
BLNK 参照空白領域

Claims (16)

  1. 吐出可能なインク色ごとに複数のインク吐出部を有する印刷ヘッドの1個の前記インク吐出部から吐出されるインクのみによって各インク吐出部ごとに印刷媒体表面に印刷形成される印刷ブロックの集合によって構成されるインク色ごとの印刷ブロックパターン、及び、インク吐出状態判定装置としての光学式センサによる走査方向に交差する領域であって、各インク色の前記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の前記印刷ブロックパターン内部の一部領域の前記印刷媒体表面を露出させて形成される参照空白領域を備えたインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンを印刷する印刷過程と、
    前記印刷媒体に対し照射光を出射する発光部、及び、前記印刷媒体表面において反射された反射光を受光して検出し、前記反射光の強度に応じた値の受光出力信号を変換生成する受光部を有する光学式センサにより、前記インク吐出状態判定用印刷ブロックパターンが印刷された前記印刷媒体表面を前記走査方向に走査する走査過程と、
    前記参照空白領域又は一の前記印刷ブロックに対応する前記受光出力信号の値と、当該参照空白領域又は当該印刷ブロックに隣接し且つ当該参照空白領域又は当該印刷ブロックの直後に前記光学式センサにより走査される他の印刷ブロックに対応する前記受光出力信号の値との差としての受光出力変動量と判定閾値とを順次比較することにより、前記他の印刷ブロックに対応する前記インク吐出部のインク吐出状態を判定する判定過程と、
    を備えていることを特徴とするインク吐出状態判定方法。
  2. 前記判定過程は、前記判定閾値として単一の判定閾値を用いるものであることを特徴とする請求項1に記載のインク吐出状態判定方法。
  3. 前記単一の判定閾値は、前記印刷ブロックのインク色ごとに異なる値に設定されるものであることを特徴とする請求項2に記載のインク吐出状態判定方法。
  4. 前記光学式センサの照射領域としてのセンサスポットは、1個の前記印刷ブロックに含まれる大きさに設定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のインク吐出状態判定方法。
  5. 前記判定過程は、前記他の印刷ブロックが前記参照空白領域に隣接し且つ当該参照空白領域の直後に前記光学式センサにより走査されるものである場合には前記判定閾値として相対的に高い値の第1の判定閾値を用い、前記他の印刷ブロックが一の前記印刷ブロックに隣接し且つ当該印刷ブロックの直後に前記光学式センサにより走査されるものである場合には前記判定閾値として相対的に低い第2の判定閾値を用いるものであることを特徴とする請求項1に記載のインク吐出状態判定方法。
  6. 前記第1及び第2の判定閾値は、それぞれ、前記印刷ブロックのインク色ごとに異なる値に設定されるものであることを特徴とする請求項5に記載のインク吐出状態判定方法。
  7. 前記光学式センサの照射領域としてのセンサスポットは、照射対象の前記印刷ブロックの周辺領域をも含む大きさに設定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のインク吐出状態判定方法。
  8. 吐出可能なインク色ごとに複数のインク吐出部を有する印刷ヘッドの1個の前記インク吐出部から吐出されるインクのみによって各インク吐出部ごとに印刷媒体表面に印刷形成された印刷ブロックの集合によって構成されるインク色ごとの印刷ブロックパターン、及び、インク吐出状態判定装置としての光学式センサによる走査方向に交差する領域であって、各インク色の前記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の前記印刷ブロックパターン内部の一部領域の前記印刷媒体表面を露出させて形成された参照空白領域を備えたインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンと、
    前記印刷媒体に対し照射光を出射する発光部、及び、前記印刷媒体表面において反射された反射光を受光して検出し、前記反射光の強度に応じた値の受光出力信号を変換生成する受光部を有する光学式センサと、
    前記走査方向に前記光学式センサを駆動する走査方向駆動装置と、
    前記参照空白領域又は一の前記印刷ブロックに対応する前記受光出力信号の値と、当該参照空白領域又は当該印刷ブロックに隣接し且つ当該参照空白領域又は当該印刷ブロックの直後に前記光学式センサにより走査される他の印刷ブロックに対応する前記受光出力信号の値との差としての受光出力変動量と判定閾値とを順次比較することにより、前記他の印刷ブロックに対応する前記インク吐出部のインク吐出状態を判定する判定部と、
    を備えていることを特徴とするインク吐出状態判定システム。
  9. 前記判定部は、前記判定閾値として単一の判定閾値を用いるものであることを特徴とする請求項8に記載のインク吐出状態判定システム。
  10. 前記単一の判定閾値は、前記印刷ブロックのインク色ごとに異なる値に設定されるものであることを特徴とする請求項9に記載のインク吐出状態判定システム。
  11. 前記光学式センサの照射領域としてのセンサスポットは、1個の前記印刷ブロックに含まれる大きさに設定されていることを特徴とする請求項9又は10に記載のインク吐出状態判定システム。
  12. 前記判定部は、前記他の印刷ブロックが前記参照空白領域に隣接し且つ当該参照空白領域の直後に前記光学式センサにより走査されるものである場合には前記判定閾値として相対的に高い値の第1の判定閾値を用い、前記他の印刷ブロックが一の前記印刷ブロックに隣接し且つ当該印刷ブロックの直後に前記光学式センサにより走査されるものである場合には前記判定閾値として相対的に低い第2の判定閾値を用いるものであることを特徴とする請求項8に記載のインク吐出状態判定システム。
  13. 前記第1及び第2の判定閾値は、それぞれ、前記印刷ブロックのインク色ごとに異なる値に設定されるものであることを特徴とする請求項12に記載のインク吐出状態判定システム。
  14. 前記光学式センサの照射領域としてのセンサスポットは、照射対象の前記印刷ブロックの周辺領域をも含む大きさに設定されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のインク吐出状態判定システム。
  15. 印刷媒体を搬送する印刷媒体搬送機構と、
    吐出可能なインク色ごとに複数のインク吐出部を有する印刷ヘッドと、
    前記印刷ヘッドの1個の前記インク吐出部から吐出されるインクのみによって各インク吐出部ごとに印刷媒体表面に印刷形成される印刷ブロックの集合によって構成されるインク色ごとの印刷ブロックパターン、及び、インク吐出状態判定装置としての光学式センサによる走査方向に交差する領域であって、各インク色の前記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の前記印刷ブロックパターン内部の一部領域の前記印刷媒体表面を露出させて形成される参照空白領域を備えたインク吐出状態判定用印刷ブロックパターンの印刷を制御する制御部と、
    前記印刷媒体に対し照射光を出射する発光部、及び、前記印刷媒体表面において反射された反射光を受光して検出し、前記反射光の強度に応じた値の受光出力信号を変換生成する受光部を有する光学式センサと、
    前記印刷ヘッド及び前記光学式センサを搭載したキャリッジを、前記印刷媒体の搬送方向と直交する前記走査方向に前記印刷媒体上において駆動するキャリッジ駆動装置と、
    前記参照空白領域又は一の前記印刷ブロックに対応する前記受光出力信号の値と、当該参照空白領域又は当該印刷ブロックに隣接し且つ当該参照空白領域又は当該印刷ブロックの直後に前記光学式センサにより走査される他の印刷ブロックに対応する前記受光出力信号の値との差としての受光出力変動量と判定閾値とを順次比較することにより、前記他の印刷ブロックに対応する前記インク吐出部のインク吐出状態を判定する判定部と、
    を備えていることを特徴とする印刷装置。
  16. 吐出可能なインク色ごとに複数のインク吐出部を有する印刷ヘッドの1個の前記インク吐出部から吐出されるインクのみによって各インク吐出部ごとに印刷媒体表面に印刷形成された印刷ブロックの集合によって構成されるインク色ごとの印刷ブロックパターンと、
    インク吐出状態判定装置としての光学式センサによる走査方向に交差する領域であって、各インク色の前記印刷ブロックパターンのいずれかの周囲にそれぞれ隣接する領域又は各インク色の前記印刷ブロックパターン内部の一部領域の前記印刷媒体表面を露出させて形成された参照空白領域と、
    を備えていることを特徴とするインク吐出状態判定用印刷ブロックパターン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8186799B2 (en) 2007-03-17 2012-05-29 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus and impact position displacement correction method

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US8186799B2 (en) 2007-03-17 2012-05-29 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus and impact position displacement correction method

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