JP2005101619A - パターン欠陥検査方法および検査装置 - Google Patents

パターン欠陥検査方法および検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
半導体装置の製造過程にあるウェハ上の同一設計パターンの欠陥、異物、残渣等を電子線により検査する装置において、検査の高速化を実現すること。
【解決手段】
半導体試料7の表面に一定の面積を持った電子ビーム(面積ビーム)を照射し、試料表面からの反射電子を結像レンズ11により結像して、半導体試料7表面の複数の領域の画像を取得して画像記憶部18、19に記憶させ、この記憶された複数の領域の画像同士を比較することによって、上記領域内における欠陥の有無および欠陥の位置を計測する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料(半導体装置等)の表面状態を検査する方法および装置に関し、特に、電子ビームを用いて、半導体装置表面の微細なパターン欠陥を高感度、高分解能で、かつ高速に画像化して検査することのできる検査方法および検査装置
に関する。
半導体装置の製造過程において、ウェハ上に形成された回路パターンの欠陥を比較検査して検出する検査方法として、1つのウェハ上の2つ以上の同種LSIパターンの画像を光を用いて取得し、これら複数の画像を比較してパターン欠陥の有無等を検査する方法があり、既に実用化されている。この検査方法の概要は「月刊セミコンダクタワールド」1995年8月号,pp.114−117に述べられている。このような光学的検査方法で半導体装置の製造過程におけるパターン欠陥を検査した場合、光が透過してしまうシリコン酸化膜や感光性レジスト材料等の残渣は検出できなかった。また、光学系の分解能以下となるエッチング残りや微小導通孔の非開口不良等も検出できなかった。
このような光学的検査方法における問題点を解決するために、電子線を用いたパターンの比較検査方法が、特開昭59−192943号公報、 J. Vac. Sci. Tech. B, Vol.9, No.6, pp.3005-3009 (1991)、 J. Vac. Sci. Tech. B, Vol.10,No.6, pp.2804-2808 (1992)、SPIE Vol.2439, pp.174-183、および特開平05−258703号公報等に記載されている。そこでは、実用的な検査速度を得るために非常に高速にパターンの画像を取得する必要が有る。そして、高速で取得した画像のS/N比を確保するために、通常の走査型電子顕微鏡の100倍以上(10nA以上)のビーム電流を用いている。
「月刊セミコンダクタワールド」1995年8月号,pp.114−117 J. Vac. Sci. Tech. B, Vol.9, No.6, pp.3005-3009 (1991) J. Vac. Sci. Tech. B, Vol.10, No.6, pp.2804-2808 (1992) SPIE Vol.2439, pp.174-183 特開昭59−192943号公報 特開平05−258703号公報
上記した電子線を用いた従来の検査技術では、検査可能なS/N比を維持した画像を形成するために、電子ビームを大電流化している。しかし、電子ビームを点状に絞ってこの「点ビーム」を試料表面上で平面状(2次元的)に走査しているがために、高速化(検査時間の短縮)には限界があった。また、使用電子源の輝度や空間電荷効果等によって、使用電子ビームの大電流化にも限界がある。例えば、0.1μm 程度の分解能を得ようとした場合は、使用電子ビーム電流は数百nA程度が理論限界であり、実際には、100nA程度が用いられ得るに過ぎない。
画像のS/N比は、画像を形成するのに用いられる電子の数、すなわち、ビーム電流値と画像取得に要する時間との積により決まる。画像処理が可能なレベルのS/N比を確保する必要があることを考慮すると、ビーム電流値が100nAで0.1μm の分解能を得ようとすると、試料表面の面積1cm2 を検査するのに約100sec以上を必要とする。一方、前述した従来の光学式検査装置では、検査面積1cm2 当りの検査所要時間が約5sec程度と非常に高速であった。
従って、本発明の目的は、電子ビームを用いたパターンの比較検査方法の検査所要時間を従来の光学式検査方法のそれと同等か、またはそれ以上に高速化することである。
上記した本発明の目的、すなわち電子ビームを用いたパターン比較検査方法の高速化は、試料表面の複数の照射領域(面積領域)に、電子ビームを「点ビーム」としてではなく2次元的な広がりを持った「面積ビーム」として順次照射し、これら複数の照射領域(面積領域)からの後方散乱電子または二次電子を結像させて上記複数の照射領域の拡大像を順次形成し、これら複数の照射領域の拡大像を電気的な画像信号に変換して、上記複数の照射領域についての画像信号同士を比較することにより上記各照射領域についてのパターン欠陥を検出することによって達成される。
すなわち、本発明のパターン欠陥検査方法においては、電子源からの電子ビームを所謂「面積ビーム」として半導体試料表面の複数の照射領域(面積領域)に順次照射し、これら複数の照射領域からの後方散乱電子または二次電子を電子光学的に結像させて上記複数の照射領域の拡大像を順次形成させ、これら複数の照射領域の拡大像を順次電気的な画像信号に変換して記憶させ、上記複数の照射領域についての記憶画像信号同士を比較することにより上記各照射領域についてのパターン欠陥を検出するようにしている。本方法によれば、従来のような各照射領域(面積領域)内での「点ビーム」の2次元走査が不要であるので、検査時間の大幅な短縮が可能となり、欠陥検査の高速化が可能となる。
また、本発明によるパターン欠陥検査装置は、電子源からの電子ビームを面積ビームとして半導体試料表面に照射し該照射領域(面積領域)からの後方散乱電子または二次電子を結像させて上記照射領域の拡大像を形成するための電子光学系と、上記半導体試料を載せて該半導体試料表面上の所望位置に上記電子ビームが照射されるように上記半導体試料を移動させるための試料移動ステージと、上記拡大像を電気的な画像信号に変換して検出する画像信号検出手段と、該画像信号検出手段により検出された上記半導体試料表面の複数の照射領域についての画像信号同士を比較して各照射領域におけるパターン欠陥を検出するための画像信号処理手段とによって構成されることができる。
なお、上記試料に負電位を印加することにより上記試料表面に照射される電子ビームを減速して、この減速された電子ビームが上記試料表面に入射するようにするか、または、この減速された電子ビームが上記試料表面には入射せずにその極近傍で反射されるようにするのが有効である。
また、上記試料移動ステージは、上記試料をほぼ等速度で連続的に移動させるよう動作設定することにより、欠陥検査のより高速化が実現できる。この場合、上記試料移動ステージの位置をモニタするステージ位置モニタ手段を備えることによって、上記試料表面への電子ビーム照射領域が、所定時間の間、試料表面上の同一箇所となるよう制御する必要があることは云うまでもない。
さらに、上記の画像信号検出手段は、上記電子光学系によって結像形成された上記照射領域の拡大電子像を蛍光板上に投射することによって光学像に変換し、この光学像を光学レンズまたは光ファイバーを介して光学画像検出素子上に結像させる。または、上記電子光学系で結像された拡大電子像を電子感応性を有する画像検出素子上に直接結像させるようにしてもよい。なお、画像検出素子としては、電荷結合型素子(CCDセンサ)、または時間遅延して入力した光信号を積分し出力する素子(TDIセンサ)を用いることができる。また、画像検出素子からの検出信号の読み出しは、並列に多チャンネルで読み出す方式とする。
一方、電子ビームを同時に照射することにより同時に得られる半導体試料表面の拡大像の大きさが画像検出素子の受光面の大きさとほぼ等しくなるように設定する方法がより簡便である。その一方、半導体試料表面の拡大像の大きさが画像検出素子の受光面に比べて小さくなるように上記電子ビームの照射領域の大きさを設定して、該電子ビームを上記半導体試料表面上で走査することによって、該画像検出素子の受光面全体に一定の時間をかけて上記拡大像が投射されるようにして、上記電子ビームの走査信号には照射位置と照射範囲の変動要因を補正する信号を重畳させるようにすることによって、さらに高精度化を達成できる方法もある。
また、半導体試料に照射する電子ビームを減速し、試料に照射される時の電子ビームのエネルギー値を減速前のエネルギー値に比べて十分に小さくして、この減速後の電子ビームの照射により試料表面から発生する後方散乱電子のエネルギー分散が結像系の分解能に影響を及ぼさない範囲となるようにするために、上記半導体試料に負電位を印加する。または、電子ビームの照射により発生する後方散乱電子または二次電子をエネルギー分別するためのフィルタを備え、ある特定のエネルギー幅の後方散乱電子または二次電子のみを結像させることによって、高速検査の課題を解決すると同時に、分解能をも向上させることができる。
本発明によれば、電子線によるウェハパターン検査装置の検査速度が飛躍的に高速化する。
以下に、本発明の実施の形態につき、実施例を挙げて詳細に説明する。
〈実施例1〉
図1に、本発明の一実施例になる検査装置の概略構成を示す。本実施例による検査装置は、大別して、電子光学系101、試料室102、画像検出部103、画像処理部104および制御部105より構成されている。
先ず、電子光学系101について説明する。加速電源23により負の高電位が与えられている電子源1から放出された加速電子ビームは、コンデンサレンズ2によって収束され、矩形開口を有する絞り4を照射する。なお、この電子ビームは、絞り4上を照射する前に、電磁偏向器3によって偏向を受ける。電磁偏向器3は、電子源1からの入射電子ビームと試料からの反射電子(後方散乱電子または二次電子)ビームの光路を分離するためのものである。絞り4の矩形絞り開口を通過した入射電子ビームは、対物レンズ6によって結像されて、半導体試料7表面上に矩形絞り開口の像を形成する。絞り4上での矩形絞り開口の大きさは例えば400μm角であり、対物レンズ6によってこれを1/4に縮小し、試料7表面上では100μm角の絞り開口像(照射領域)が得られるようにする。この絞り開口像(照射領域)は、照射系偏向器5によって試料7表面上の任意の位置に移動(または、走査)され得る。電子源1には、先端部が平面状でその平面状部分が10μmφ以上のLaB6熱電子源を用いた。これによって、試料7表面上での広い面積(照射領域)にわたって均一に電子ビームを照射することが可能となる。
試料7、試料移動ステージ8には、電源9により、電子源1よりも低い(絶対値の小さい)負電位、または僅かに高い(絶対値の大きい)負電位を印加する。電子源1の電位よりも僅かに低い負電位を印加するのは、試料7からの後方散乱電子を用いて検査する場合であり、その場合には、入射電子ビームは、上記の負電位によって試料7の手前で減速されて試料7表面に向かい、試料7表面の原子によって後方散乱される。この後方散乱電子を電磁偏向器3、結像系偏向器10を介して結像レンズ11に導き散乱電子像12として結像させる。さらに、この散乱電子像12を拡大レンズ13、14によって蛍光板15上に拡大投影させることによって、試料7表面のパターンを反映した蛍光像(顕微鏡像)を得ることができる。
試料室102内では、2次元(X,Y,θ)方向に移動可能な試料移動ステージ8上に試料7が載置され、試料7には電源9により上記したような負電位が印加されている。試料移動ステージ8にはステージ位置測定器27が付設され、ステージ位置をリアルタイムで正確に計測している。これは、ステージ8を連続移動させながら画像を取得するためである。このステージ位置測定器27には例えばレーザ干渉計が用いられる。また、半導体試料(ウェハ)表面の高さを正確に計測するために、光学的な試料高さ測定器26も取りつけられている。これには、例えば、ウェハ表面上の検査すべき領域に斜め方向から光を入射させ、その反射光の位置変化からウェハ表面の高さを計測する方式のものを用いることができる。
この他、試料室102には、検査領域の位置決め用に用いられる光学顕微鏡30も付設されている。
次に、画像検出部103について説明する。画像検出には、散乱電子像12の拡大像を光学像に変換するための蛍光板15と光学画像検出素子(例えばCCD素子)17とを光ファイバー束16でもって光学結合させることにより、蛍光板15上の光学像を光学画像検出素子17の受光面上に結像させる。光ファイバー束16は、細い光ファイバーを画素数と同じ本数束ねたものである。また、上記光ファイバー束16の代わりに光学レンズを用い、該光学レンズによって蛍光板15上の光学像を光学画像検出素子(CCD)17の受光面上に結像させるようにしてもよい。蛍光板15の両面には電極300と透明電極301を設け、両電極間に透明電極301側が正の高電圧を印加して電子ビームの散乱を防いでいる。
光学画像検出素子(CCD)17は、その受光面上に結像された光学像を電気的な画像信号に変換して出力する。出力された画像信号は、画像処理部104に送られ、そこで画像信号処理が行なわれる。
画像処理部104は、画像信号記憶部18及び19、演算部20、欠陥判定部21より構成されている。なお、取り込まれた画像信号はモニタ22により画像表示される。装置各部の動作命令および動作条件は、制御部105内の制御計算機29から入出力される。制御計算機29には、予め電子線発生時の加速電圧、電子線偏向幅・偏向速度、試料ステージ移動速度、画像検出素子からの画像信号取り込みタイミング等々の諸条件が入力されている。ビーム制御系28は、制御計算機29からの指令を受けて、ステージ位置測定器27、試料高さ測定器26からの信号を基にして補正信号を生成し、電子線が常に正しい位置に照射されるように対物レンズ電源25や走査信号発生器24に補正信号を送る。
以下に、本検査装置の動作条件を示すことによって、従来の電子ビームによるパターン検査装置と比べてどの程度の検査の高速化が図れたかについて述べる。画像比較検査法によってパターン欠陥の検査をするには、画像のS/N比が10以上必要である。ここに云うS/N比の「S」は電子の平均信号量,「N」は信号の3σ値で定義される。σ値は照射電子数のショットノイズで決まり、1画素当りに照射される電子数Sの平方根(√S)となる。従って、S/N比はS/(3√S)=√S/3となる。これにさらに試料からの電子放出を考慮すると、S/N比は√S/(3√2)となる。例えば、約18のS/N比を得るためにはS≧6250となり、一画素当り6250個の電子を照射する必要がある。一方、欠陥検査に必要な分解能は0.1μm 以下である。従って、電子ビームを点状に絞り、これを試料表面上で走査して行く従来方法では、電子ビームを0.1μm 以下に絞る必要がある。このような微細なビームを作るには電子源の輝度と空間電荷効果によりビーム電流値には限界があり、ビーム電流値Iとしては高々100nA程度しか得られない。照射ビーム電流が100nAでは、1秒間当り100(nA)/(1.6×10-19(C))=6.25×10+11個の電子が照射されることになる。従って、1画素当り6250個の電子照射を行なうには10nsecの照射時間が必要である。そうすると、面積1cm2を検査するのには(1cm/0.1μm)2×10nsec=100secの検査時間が必要となる。
一方、本実施例の検査装置の場合には、一辺がxの正方形の領域にビーム電流Iの電子ビーム(面積ビーム)を照射する(これを1ショットと呼ぶことにする)。それによって照射電流のη倍の後方散乱電子が放出されたとする。この後方散乱電子により試料表面の拡大像を形成し、分解能0.1μm の画像として画像検出素子(CCD)で検出する場合を考える。比較条件として、0.1μm 角当りからの必要な信号数(後方散乱電子数)は従来例と同じ6250個とする。1ショットの所要時間をt、面積1cm2 を検査するに必要な時間をTとすると、tは次式で表わされる。
6250=[I・η・t/(1.6×10-19)]・[1×10-7/x]2
∴ t=0.1・[x2/(I・η)] ・・・(1)
また、Tは次式で表わされる。
T=(0.01/x)2・t
∴ T=1×10-4・(t/x2)=1×10-5・[1/(I・η)] ・・・(2)
この式に、実際の値を代入して、検査所要時間Tを求める。
本実施例では、1ショット100μm×100μmの面積領域を100μAの面積ビームで照射した。画像検出素子(CCD)には、1024×1024の画素を持つものを用い、該CCD素子上での一画素が試料上での0.1μm 角に対応するように電子光学系およびCCD素子への結像光学系の倍率を設定した。この場合、画像の周辺部では歪みが発生するので、この歪みが補正されるように、光ファイバー束16の代わりに光学レンズを用いる場合は、非球面レンズを用いることとした。さらに、これで補正しきれない歪みを画像処理により補正してから使用した。ここで、上式中のη値を0.2 とすると、1ショットの所要時間tは50μsecとなり、また、面積1cm2 当りの検査所要時間Tを計算すると、0.5 secとなる。このように、照射電子数のショットノイズから要求される
検査所要時間は飛躍的に短縮され、高速検査が可能になることが判る。
次に、試料移動ステージ8の整定時間について述べる。ステージ8の移動方法を例えばステッフ゜・アンド・リピート方式とすると、ステージ8の整定時間はmsecオーダが必要となるため、十分に検査時間を短縮することができない。従って、ステージ8の移動方法は、ステージが常に等速で移動している連続移動方式とした。これによりステージの整定時間による検査時間の制約はなくなる。ただし、ステージ8が連続移動していると、1ショット時間例えば50μsecの間にもステージ8が移動して、試料表面上での照射位置が変化してしまう。そこで、1ショットの間に照射位置が変化しないように、偏向器5により照射電子ビームをステージ8の移動に追従させるようにした。また、静止座標系である電子光学系から見ると、電子ビーム照射位置は移動しているから結像レンズ11に
より作られる像12も移動してしまう。この移動が生じないようにするために、偏向器10を偏向器5と連動動作させるようにした。
次に、画像検出素子(CCD)の読み取り時間について述べる。本実施例では、CCD17に蓄積された電荷を32チャンネルの読み出し口から1Mライン/秒の読出速度で多チャンネル並列読み出しできるようにした。1ライン当りの画素数は32で、1ライン当りの読出所要時間は1μsecである。従って、1画素当りの読出所要時間は1(μsec)/32(画素)=32nsecとなる。これに対し、CCDからの画像データの読み出しが1チャンネル方式では1画素当りの読出所要時間が1nsecと非常に高速での読み出しが必要となり、現在の技術では実現不可能である。本実施例では、CCDからの画像データの読み出し口を32チャンネルに分け、この32チャンネルで並列同時読み出しする方式とすることによって、1画素当りの読出所要時間を32nsecとし、十分実現可能な
読出速度としている。これを模式的に示したのが図3である。CCD17からの画像データの読出チャンネル数は32chであり、各チャンネル毎に32画素×1024ラインがあるから、このCCDから一枚の画像データを読み出すに必要な時間は約1msecとなる。すなわち、100μm角の1ショット領域の画像信号を1msecで取り込めることになり、試料表面積1cm2 当りの検査所要時間は10secとなる。以上のように、従来方式による試料面積1cm2 当りの検査所要時間100secに比べて、10倍もの高速化が達成できた。また、本実施例では、検査所要時間を決めているのはCCD素子からの信号読出速度であるので、将来CCD素子におけるより高速のデータ読出方式が実現されれば、さらなる検査の高速化が期待できる。
以上では、検査速度の改善効果について説明したが、その他の特長についても述べる。本実施例では、半導体試料7に負の高電圧を印加して、照射電子ビームを試料表面の直前で急激に減速して照射している。これにより、次に示すような特長が得られる。すなわち、電子ビームを固体試料に照射すると二次電子や反射電子が発生する。二次電子は、入射電子が固体中の電子にエネルギーを与えて、このエネルギー付与された固体中の電子が真空中に放出されるものである。このために、二次電子の持つエネルギーの拡がりは大きい。一方、反射電子は、入射電子が固体中の原子核や電子と相互作用してその軌道を変え、再び真空中に放出する電子である。この時、相互作用が弾性散乱のみであれば、入射エネルギーと同じエネルギーの反射電子が放出される。これを模式的に表わしたのが、図2で
ある。入射電子のエネルギーが高いと、固体内部に奥深く侵入する電子が増えるため、真空中に再び放出する反射電子は少数である。さらに、非弾性散乱が増加するために、低エネルギー側に広い裾野を引きエネルギーの広がりが大きくなる(同図(a))。エネルギーの広がりが大きい電子を電子光学系により結像する場合には、色収差により分解能が低下するという問題が生じる。一方、低エネルギーの電子を照射する場合には、弾性散乱の割合が増加するため、低エネルギー側の裾野が減少し、また、二次電子の放出も減少するがため、同図(b)に示すようになる。すなわち、本実施例では、エネルギーの低い電子を試料表面に入射させることで、まずエネルギーの広がりの大きい二次電子の放出を抑え、かつ反射電子すなわち後方散乱電子の放出割合を増加させ、さらに後方散乱電子のエネルギー
の広がりをも小さく抑えることができるため、高分解能の画像を形成することができるという特長がある。
次に、実際の検査に当っての手順について説明する。まず、光学顕微鏡30と電子線画像を用いてのアライメントの方法について説明する。試料7を試料移動ステージ(X−Y−θステージ)8上に載置し、光学顕微鏡30の下へ移動する。モニタ22により試料7表面の光学顕微鏡画像を観察し、画面内の例えば中央に現われた任意のパターンを記憶する。この際、選択するパターンは電子線画像上でも観察可能なパターンである必要がある。
次に、上記の光学顕微鏡画像を用いて試料(半導体ウエハ)7表面上の回路パターンがステージ移動方向と平行あるいは直交となるように、X−Y−θステージ8により回転補正を行なう。回転補正時には、あるステージ位置におけるウエハ7表面上の回路パターンの任意のチップ内の任意のパターン部分の光学画像を取り込んでモニタ22に表示させて、表示画面内の任意箇所にマーキングを付した後、その光学画像信号を記憶部18に記憶させる。次に、ウエハ7表面上の回路パターンの数チップ分の距離だけステージ8をx方向またはy方向に移動させ、新たなチップ内の先と同一のパターン部分の光学画像を取り込んでモニタ22に表示させ、先のマーキング箇所に対応する箇所にやはりマーキングを付した後、その新たな光学画像信号を記憶部19に記憶させる。次いで、演算部20におい
て、記憶部18,19に記憶された光学画像信号同士を比較演算して、両画像間でのマーキング箇所の位置ずれ量を算出する。このマーキング箇所の位置ずれ量と両画像間でのステージ移動量とから、ウエハ7の回転角度誤差を算出し、その分ステージ8を回転させて回転角度を補正する。以上の回転補正操作を数回繰り返して、回転角度誤差が所定値以下となるようにする。さらに、光学顕微鏡画像を用いてウエハ7表面上の回路パターンを観察し、ウエハ上でのチップの位置やチップ間の距離(例えば、メモリセルのような繰返しパターンの繰返しピッチ)を予め測定し、その値を制御計算機29に入力する。そして、ウエハ7表面上の被検査チップおよびそのチップ内の被検査領域をモニタ22の光学顕微鏡画像上で設定する。光学顕微鏡画像は、比較的低倍率で観察が可能であり、また、ウエハ7表面の回路パターンが例えばシリコン酸化膜のような透明な膜で覆われている場合でもその下地まで観察可能であるので、チップ内回路パターンのレイアウト等が簡便に観察でき、検査領域の設定が簡便に行なえる。
次に、試料(ウエハ)7を電子光学系の下へ移動する。そこで、先に光学顕微鏡画像上で設定した被検査領域を含むと予想される領域に電子線を照射して電子線画像を取得する。この時、1ショットの電子線照射領域内に上記の被検査領域が入るようにする。この電子線画像上においても、先の光学顕微鏡画像上においてマーキングしたのと同じ画面内位置に先にマーキングした箇所のパターンが現われるようにステージ8を移動することで、予め検査開始前に、電子線照射位置と光学顕微鏡観察位置との間の対応をつけ、かつ、電子線照射位置を校正することができるようになる。そして、この電子線画像上において、先に光学顕微鏡像上で行なったのと同様の操作を実施する。これにより、光学顕微鏡を用いての簡便な観察位置の確認や位置合せおよび電子線照射位置の調整、さらには、ある程度
の回転補正も実施した後に、この光学顕微鏡画像に比べて分解能が高く、高倍率画像を得ることのできる電子線画像を用いての高精度な回転補正ができるようになる。さらに、この電子線画像を用いて、被検査領域または同一パターン領域を高倍率で高精度に観察確認・補正することができる。ただし、半導体ウエハ7の表面の全部(または一部)が絶縁物で覆われている場合には、電子線を照射するとこの絶縁物が帯電して、一度電子線を照射した場所は検査できなくなってしまう場合がある。そこで、上記のような検査に先だっての検査条件設定のための電子ビーム照射は、実際には検査を行なう予定のない領域であってかつ被検査領域と同じパターンを有する場所を選択して行なうようにすればよい。
上記した検査条件の設定が完了したら、半導体ウエハ7表面上の被検査領域の一部を実際の検査条件と全く同一の条件で電子線画像化し、被検査領域の材質や形状に依存した画像の明るさの情報およびそのばらつき範囲を算出しテーブルにして記憶する。そして、後の検査工程において該記憶テーブルを参照して実際に画像化検出された被検査領域内のパターン部分が欠陥であるか否かを判定する際の判定条件を決定する。
上記の手順によって被検査領域および欠陥判定条件の設定が完了したら、実際に検査を開始する。検査時には、試料(半導体ウエハ)7を搭載したステージ8はX方向に一定速度で連続移動する。その間、電子線は各1ショットの間ウエハ7表面上の同一照射領域(面積領域)を一定のショット時間(本実施例では、50μsec以上)照射する。ステージ8は連続移動しているので、電子ビームは偏向器5によってステージ8の移動に追従して偏向走査させる。
電子線の照射領域あるいは照射位置は、ステージ8に設けられたステージ位置測定器27、試料高さ測定器26等により常時モニタされ、これらのモニタ情報が制御計算機29に転送されて詳細に位置ずれ量が把握され、かつこの位置ずれ量はビーム制御系28によって正確に補正される。これにより、パターンの比較検査に必要な正確な位置合わせが高速・高精度で行なわれ得る。
また、半導体ウエハ7の表面高さを、電子ビーム以外の手段、例えば、レーザ干渉方式や反射光の位置変化を計測する方式等による光学式の高さ測定器26でリアルタイムに測定し、電子ビームを照射するための対物レンズ6や結像レンズ11の焦点距離をダイナミックに補正することにより、常に被検査領域の表面に焦点のあった電子ビーム像を形成することができる。また、予め検査前にウエハ7の反りを測定しておき、その測定データを基に上記の焦点距離補正をするようにして、実検査時にはウエハ7の表面高さ測定を行なう必要がないようにしてもよい。
電子線を半導体ウエハ7表面に照射し、反射電子(後方散乱電子)によりウエハ7表面上の所望の被検査領域(面積領域)についての拡大光学像を蛍光板15上に形成し、さらにこの拡大光学像をCCD素子17により電気的な画像信号に変換し、この画像信号を画像処理部104に取り込む。そして、制御計算機29からの指令を受けて制御部28により与えられた電子線照射位置に対応した面積領域についての電子線画像信号として、記憶部18(または19)に格納する。
半導体ウエハ7表面上に形成された同一設計パターンを有する隣接チップA、B間でのパターンの比較検査をする場合には、先ず、チップA内の被検査領域についての電子線画像信号を取り込んで、記憶部18内に記憶させる。次に、隣接するチップB内の上記と対応する被検査領域についての画像信号を取り込んで、記憶部19内に記憶させながら、それと同時に、記憶部18内の記憶画像信号と比較する。さらに、次のチップC内の対応する被検査領域についての画像信号を取得し、それを記憶部18内に上記したチップA内の被検査領域についての記憶画像信号に上書き記憶させながら、それと同時に、記憶部19内のチップB内の被検査領域についての記憶画像信号と比較する。このような動作を繰返して、全ての被検査チップ内の互いに対応する被検査領域についての画像信号を順次記憶
させながら、比較して行く。
上記の方法以外に、予め、標準となる良品(欠陥のない)試料についての所望の検査領域の電子線画像信号を記憶部18内に記憶させておく方法を採ることも可能である。その場合には、予め制御計算機29に上記良品試料についての検査領域および検査条件を入力しておき、これらの入力データに基づき上記良品試料についての検査を実行し、所望の検査領域についての取得画像信号を記憶部18内に記憶する。次に、検査対象となる試料7をステージ8上にロードして、先と同様の手順で検査を実行し、上記と対応する検査領域についての取得画像信号を記憶部19内に取り込むと同時に、この検査対象試料についての画像信号と先に記憶部18内に記憶された上記良品試料についての画像信号とを比較して、上記検査対象試料の上記所望の検査領域についてのパターン欠陥の有無を検出する。
なお、上記標準(良品)試料としては、上記検査対象試料とは別の予めパターン欠陥が無いことが判っている試料(ウエハ)を用いても良いし、上記検査対象試料表面の予めパターン欠陥が無いことが判っている領域(チップ)を用いても良い。例えば、半導体試料(ウエハ)表面にパターンを形成する際、ウエハ全面にわたり下層パターンと上層パターン間での合わせずれ不良が発生することがある。このような場合には、比較対象が同一ウエハ内あるいは同一チップ内のパターン同士であると、上記のようなウエハ全面にわたり発生した不良(欠陥)は見落とされてしまうが、本実施例によれば、予め良品(無欠陥)であることが判っている領域の画像信号を記憶しておき、この記憶画像信号と検査対象領域の画像信号とを比較することにより、上記したようなウエハ全面にわたり発生した不良をも精度良く検出することができる。
記憶部18、19内に記憶された両画像信号は、それぞれ演算部20内に取り込まれ、そこで、既に求めてある欠陥判定条件に基づき、各種統計量(具体的には、画像濃度の平均値,分散等の統計量)、周辺画素間での差分値等が算出される。これらの処理を施された両画像信号は、次いで欠陥判定部21内に転送されて、そこで比較されて両画像信号間での差信号が抽出され、既に求めて記憶してある欠陥判定条件を参照して欠陥判定がなされ、欠陥と判定されたパターン領域の画像信号とそれ以外の領域の画像信号とが分別される。
これまでに述べてきた検査方法および検査装置により、半導体試料7から発生する反射電子(後方散乱電子や二次電子)による画像を形成し、互いに対応するパターン領域についての画像信号を比較検査することによって、パターン欠陥の有無を検出することが可能となった。これにより、従来の電子線による検査装置と比べ非常に高速な検査が可能になった。
〈実施例2〉
上記の実施例1では、1ショットの電子ビーム照射領域の面積が100μm×100μmとかなり大きいため、半導体試料の拡大像の周辺部に歪みが生じると云う問題や照射領域内でのビーム電流密度の均一性に問題が生じる場合がある。画像歪みや電流密度の不均一性が固定的に生じている場合には、光ファイバー束16のファイバー素線配列に変化を付けることで補正可能であるし、また、画像信号の取得感度や画像処理に重みを付けることでも補正できるが、それらが時間的に変動する場合には、それらの方法では対応が困難となる。本実施例では、1ショットの照射領域を5μm角として、1ショットの照射領域内では歪みや電流密度の不均一性の問題が生じないようにした。照射電子ビーム電流は1ショット当り5μAである。この時、電子ビームの照射時間は電子の散乱効率 ηを0.2
とすると、先の(1)式より、1ショット当りの照射時間tは、2.5 μsecとなる。ショット時間2.5 μsecで一つの照射領域(5μm角)を照射した後、電子ビームは偏向器5により隣接する次の照射領域(5μm角)上に移動される。このようにして、次々に照射位置を移動して、x方向100μm×y方向100μmの範囲全体を20×20=400ショットで照射する。
この時、CCD素子17上には、各1ショット毎に、その時の電子ビーム照射位置に対応した位置に拡大像が得られ、電子ビームの走査による電子ビーム照射位置の移動に応じてCCD素子に得られる拡大像位置も移動して行く。この様子を示したのが図4である。CCD素子17には1024×1024画素のものを用いた。CCD素子上での1画素は試料7表面上での0.1 μm角の領域に相当し、従って、試料7表面上での1ショットの照射領域(5μm角)は、CCD素子受光面上での50×50画素の領域(CCD素子受光面全体の1/400に相当する)となる。そして、CCD素子の受光面全体で試料表面上の100μm角の領域をカバーできるようにした。従って、試料表面上での100μm角の領域の拡大像を得るためには 2.5(μsec)×400(ショット)=1(msec)を要することとなる。
上述のようにして、試料7表面上の100μm角の領域の画像を1msecでCCD上に形成させたら、該CCDに蓄積された画像信号をデジタル信号として画像記憶部18に記憶させる。試料表面上の隣接する次の領域の画像信号を取得するためにはステージ8を100μm移動させる必要がある。このステージ移動には、先の実施例1の場合と同様、ステージ8を一定速度で連続移動させる方式を採った。その際、照射電子ビームに対してステージ8があたかも静止しているかの状態になる様、偏向器5によって照射電子ビームをステージ8の移動に追従させて偏向走査するようにした。これにより、ステージ8を移動・停止させる際に生じる無駄時間をゼロにした。このステージ8の連続移動への照射電子ビームの追従走査に当っては、ビーム制御系28内で、ステージ位置測定器27からの
信号を参照して偏向補正信号を計算し、この偏向補正信号を偏向器5に送り照射電子ビームの偏向を制御させる。さらに、電子線による試料拡大像の歪みや位置ドリフト等に関する補正分も上記の偏向補正信号に重畳させることにより、これらの補正も行なうようにした。また、偏向器5と連動して偏向器10も動作させて、CCD上での試料拡大像の位置が上記のステージ追従によるビーム位置移動の影響を受けないようにした。これにより、ステージ移動による無駄時間を無くし、高速・高精度の検査を実現することができた。なお、上記以後の欠陥検査のための画像処理等については、先の実施例1の場合と同様である。
以上説明した手順により検査を進めていくと、試料表面1cm2 当りについての拡大像をCCD上に順次形成するに要する時間Tは10secとなる。一方、先の実施例1の場合と同様に、CCDから1Mライン/秒の読出速度で画像信号を読み出すので、一枚の画像(試料表面100μm角についての画像)を読み出すのに1msecが必要であるため、試料表面積1cm2 当り10secが必要となる。CCD素子における画像形成と画像信号の読み出しは並行して行なわれるから、検査に要する時間は、画像形成に要する時間と画像信号読み出しに要する時間との内何れか長い方の時間となる。本実施例では、画像形成所要時間と画像信号読出所要時間とが、双方共に試料表面積1cm2 当り10secと、互いに等しくなっており、従って、本実施例における試料表面積1cm2 当りについて
の検査所要時間は10secとなる。
本実施例では、先の実施例1の場合に比べ、1ショット当りの電子ビーム照射面積が小さく、従って照射ビーム電流も小さくて済むので、電子源1としては、先の実施例1の場合の先端部を広げたLaB6 電子源に比べ、より先端の尖ったLaB6 電子源を用いた。なお、本実施例では、LaB6 電子源に代えて熱電界放出型の電子源、例えばZr/O/W電子源を用いることもできる。
以上の説明では、1ショットの電子ビーム照射領域を5μm角の大きさに固定した場合について例示したが、半導体試料7表面でのパターン繰り返しピッチに応じて、この電子ビーム照射領域の大きさを可変できるようにしても良い。上述したように、本実施例では、1ショットの電子ビーム照射領域をより小さく設定しているので、各照射領域間のつなぎ部分に多少の歪みが生じたとしても、常に同一箇所に同程度の歪みが生じることになり、相互比較すべき二つの画像上での歪みの現われ方も等しくなるため、歪みによる誤検出の問題が無くなる。これにより、信頼性の高いパターン欠陥検査が実現できる。
〈実施例3〉
本実施例では、試料表面画像を電気信号に変換する素子として、時間蓄積型のCCDセンサを用いた。この素子はTDIセンサと呼ばれるもので、光学式検査装置において一般的に使用されている。それ以外は、先の実施例2の場合と同様である。このTDIセンサの動作概念を図5を参照して説明する。TDIセンサでは、各受光領域で受光した光の強度に応じて生成された電荷をx方向のラインに移動させて行くと同時に、その移動先で受光した光の強度に応じて生成された電荷を順次足し合わせて行くように動作する。そして、受光面の最終ラインに達した時点で電気信号として外部に出力する。従って、x方向の電荷の移動速度と受光面上の画像のx方向の移動速度を同一にすることで、画像がセンサ上を移動する間の信号を積分して出力することになる。
本実施例では、先の実施例1、実施例2の場合のCCDセンサと同様に、信号読み出しを32チャンネルに分割しそれぞれ並行して読み出すことにより、読出速度を1Mライン/秒とした。また、受光領域の大きさは、x方向に64画素、y方向に1024画素のものを用いた。1ラインのx方向長さは、試料表面上の0.1 μm,y方向長さは約100μmに相当する。このとき、縦0.1 μm、横100μmの画像が1M/秒の速度で出力されることになるため、ステージの連続移動速度もこれと同じ速度(0.1μm/1μsec =100mm/sec)としている。このように、検査領域のx方向移動はステージ8を移動させることにより行なう。一方、1ショットの照射領域は5μm角であるので、図5のように、照射領域のy方向移動は電子線を走査して行なう必要が生じる。すなわち、
ステージ8がx方向に1ショット分(5μm)だけ移動する間に電子ビームをy方向に100μm走査する必要がある。1ショットの所要時間を 2.5μsecとすると、y方向に100μm(20ショット分)を走査するには50μsec必要となる。一方、ステージ8のx方向移動速度は100mm/secであるから、ステージ8がx方向に丁度1ショット分(5μm)移動するに要する時間は50μsecとなる。このように、x方向に1ショット分(5μm)のステージ移動に要する時間とy方向に20ショット分(100μm)の電子ビーム走査に要する時間とを一致させ、無駄時間が生じるのを防いでいる。この方法によって試料表面積1cm2 の画像を取得するには、上述の5μm×100μmの単位走査領域についての走査所要時間(50μsec)の2×105 倍を要することに
なるので、試料表面積1cm2 当りの検査所要時間は10secとなる。なお、TDIセンサからの信号出力速度が上記した例の2倍の2Mライン/秒を実現できれば、検査所要時間はその半分の5secとなる。
上述したように、本実施例では、TDIセンサの信号出力速度から決まるステージの移動速度が100mm/secであるから、十分ステージ移動による検査領域のx方向移動が可能であり、しかもその間に電子ビーム走査による検査領域のy方向走査のための十分な時間を確保できる。また、本実施例では、検査速度を決めているのはTDIセンサの信号出力速度であるため、この信号出力速度が改善されれば、さらに高速での検査が実現できる。
〈実施例4〉
先の実施例1〜3では、半導体試料表面に減速した電子線を照射していたが、本実施例では、電子線が試料表面に入射せずに試料表面直前で反射されてしまうように、試料表面に電子線の加速電圧よりも僅かに高い負電位を印加する。試料表面画像の形成には、この試料直前で反射された電子を用いる。その他は、先の第1の実施例の場合と全く同様である。近年半導体プロセスにCMP、CML等の表面研磨加工プロセスが導入されつつあり、半導体試料表面の凹凸が平坦化される傾向にある。本実施例では、このような平坦化プロセス後の表面の微妙な凹凸を、先の実施例1の場合に比較して、非常に感度よく検出することができる。すなわち、本実施例の特徴は、先の実施例1、2、3に比べ、試料に印加する負電圧をより高くして、照射電子が実際には半導体試料内に入射せずに、試料表面
に存在している原子核や電子と相互作用して試料表面の直前で反射されてしまうような条件に設定していることである。かかる条件の下で検査することにより、表面の微妙な凹凸の変化として現われるプロセスの欠陥を実施例1の場合よりもさらに感度良く検出できる等の利点が得られる。
〈実施例5〉
先の実施例1〜4においては、蛍光板を用いて電子線画像を光学像に変換した後に、光センサ(CCDやTDI)センサで画像検出していた。本実施例では、電子線に対し直接感度のあるセンサ57を用いることにより、先の実施例1〜4における蛍光板と光ファイバー束とを省略したものである。その構成図を図6に示す。センサ57の断面構造は、通常の光センサの受光面の最表面に数百オングストロームの導電膜を施したものである。これにより、試料表面の電子線による画像を直接に検出できるので、先の実施例1〜4におけるような光ファイバー束(または、それに代わる光学レンズ)や蛍光板等が不要となり、装置構成が簡単になることで誤差要因が減少し、より信頼性の高い検査が可能となる。
〈実施例6〉
先の実施例1〜3,および5では、半導体試料7に負の電位を印加し、試料に照射される電子のエネルギーを小さくすることで、試料から放出される後方散乱電子のエネルギー分散を小さくする効果が得られるようにしていた。本実施例では、新たにエネルギーフィルタ31を半導体試料7から結像レンズ11に到る間に設けて、検査画像を形成する電子のエネルギー分散をさらに小さくしている。その装置構成例を、図7に示す。エネルギーフィルタ31には、静電偏向と電磁偏向とを組み合わせたウィーンフィルタと呼ばれるものを用いた。このウィーンフィルタは、ある特定エネルギーの電子ビームに対して静電偏向作用と電磁偏向作用とが相殺し合ってビームを偏向させずに直進させるよう機能する。従って、このエネルギーフィルタ31の後段の結像レンズ11の後方に絞り32を設ける
ことによって、特定のエネルギーの電子ビームのみがこの絞り32の開口を通過して試料電子線像を形成するようにすることができる。従って、結像レンズ11や拡大レンズ13、14での色収差が低減され、センサ57(または蛍光板15)上に形成される画像の分解能が向上すると云う効果がある。
〈実施例7〉
本実施例では、先の実施例5(図6)、実施例6(図7)において利用した電子線に対し感度のあるセンサ57と同様の機能を有し中心にビーム通過孔が設けられた絞り兼センサ204を、丁度半導体試料7における電子線照射領域の逆空間像(フーリエ変換像)が形成される位置に設置した。この絞り兼センサ204からの電子線強度分布像(信号)は、信号切換装置205を介して画像処理部104内の画像記憶部18,19に入力されるようにしてある。すなわち、この信号切換装置205は、制御計算機29からの制御信号を受けて絞り兼センサ204からの画像信号およびCCD17からの画像信号の何れか一方を選択して画像処理部104内の画像記憶部18,19に供給するよう機能する。
半導体試料7表面の電子線照射領域の逆空間像(フーリエ変換像)は、試料表面から同一散乱角で放出した後方散乱電子が対物レンズ6により一点に結像される面に形成される。一般に半導体試料表面に形成された回路パターンは規則正しい繰り返し構造を基本としているため、その逆空間像は少数のスポットや線から成る単純なものである。従って、互いに異なる領域の逆空間像間での比較は、それぞれ対応する実空間像間での比較よりも容易である。そこで、この逆空間像比較を用いることにより、実空間像比較を利用する場合に比べ、電子線照射領域内における欠陥の有無の判定をより効率的かつ高信頼度で実行できる。しかし、言うまでもなく、上述したような逆空間像の比較からは電子線照射領域内のどの位置に欠陥が存在しているのかを特定することはできない。そこで、本実施例では、
先ず、絞り兼センサ204からの逆空間像信号を用いての比較検査によって簡便かつ迅速に検査対象領域内での欠陥の有無を判定し、次いで、CCDセンサ17からの実空間像信号を用いての比較検査によって、その欠陥の存在位置を正確に同定できるようにした。これにより、実空間像比較による詳細な欠陥位置同定に先立って欠陥発生領域の概略を簡便に知ることができ、欠陥検査の効率化が達成される。
ここで、絞り兼センサ204を設置する位置は、電子線照射領域の逆空間像が形成される位置でさえあれば、必ずしも本実施例のように対物レンズの後段位置のみに限定されないことは云うまでもない。また、先の実施例1〜6においても本実施例と同様な構成変更を行なうことによって、本実施例と同様な効果を実現できることも云うまでもない。
本発明の第1の実施例になる検査装置の概略構成図。 本発明の効果を説明するための放出電子のエネルギー分布図。 本発明の第1の実施例になる検査装置の一構成要素であるCCDセンサの動作説明図。 本発明の第2の実施例による検査装置の動作説明図。 本発明の第3の実施例になる検査装置の一構成要素であるTDIセンサの動作説明図。 本発明の第5の実施例になる検査装置の概略構成図。 本発明の第6の実施例になる検査装置の概略構成図。 本発明の第7の実施例になる検査装置の概略構成図。
符号の説明
1…電子源、2…コンデンサレンズ、3…偏向器、4…絞り、5…照射系偏向器、6…対物レンズ、7…試料、8…X−Y−θステージ、9…電源、10…結像系偏向器、11…結像レンズ、12…電子像、13…拡大レンズ、14…拡大レンズ、15…蛍光板、16…光ファイバー束、17…CCD、18…画像記憶部、19…画像記憶部、20…演算部、21…欠陥判定部、22…モニタ、23…加速電源、24…走査信号発生器、25…対物レンズ電源、26…試料高さ測定器、27…ステージ位置測定器、28…ビーム制御系、29…制御計算機、30…光学顕微鏡、31…エネルギーフィルタ、32…絞り、57…電子線画像センサ、101…電子光学系、102…試料室、103…画像検出部、104…画像処理部、105…制御部、204…絞り兼センサ、205…信号切換装置、300…電極、301…電極。

Claims (1)

  1. CMPまたはCMLを用いた半導体プロセスに適用される配線パターン欠陥検査方法であって、
    CMPまたはCMLにより表面研磨が施された半導体試料を検査装置の真空チャンバ内に導入し、
    該導入された試料に対して一定の面積の照射領域を有する面状の電子ビームを生成し、
    該面状電子ビームを試料に照射し、
    試料または試料を保持する試料ステージに対して所定の負電圧を印加することにより該照射された電子ビームを試料表面直前で反射させ、
    該反射電子を検出し、
    検出された反射電子から前記試料の画像を生成し、
    生成した画像を前記照射領域以外の画像と比較することにより前記欠陥を検出することを特徴とするパターン欠陥検査方法。
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