JP2005099158A - 投影スクリーン - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、明るい環境のもとでも使用可能であり、かつ明度の高い投影スクリーンを提供することを主目的としている。
【解決手段】 本発明は、基材と、前記基材上に形成されたコレステリック液晶層とを有する投影スクリーンであって、前記コレステリック液晶層が、特定の偏光成分の光を選択的に反射するコレステリック液晶顔料と、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶バインダを含有するコレステリック液晶層とを有することを特徴とする投影スクリーンを提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明は、基材と、前記基材上に形成されたコレステリック液晶層とを有する投影スクリーンであって、前記コレステリック液晶層が、特定の偏光成分の光を選択的に反射するコレステリック液晶顔料と、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶バインダを含有するコレステリック液晶層とを有することを特徴とする投影スクリーンを提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば投影機による投影等に用いられる投影スクリーンに関するものである。
従来より、業務用や家庭用として、プロジェクタから光を投影スクリーンに投影し、画像等を投影するプロジェクションシステムが用いられている。
このようなプロジェクションシステムに用いられる投影スクリーンとしては通常、透明媒体に保持された透明または半透明の多孔質の微粒子と、その背後に配置された反射材料とを有するものである。具体的には、従来の投影システムでは、投影スクリーン上に投射される投影機からの投射光(映像光)の強度差によって映像の濃淡が作り出されており、例えば、黒地に白の絵を映し出すような場合には、投射光が投影スクリーンに当たる部分が白、それ以外の部分が黒となり、このような白黒の明るさの差により映像の濃淡が作り出されている。この場合、良好な映像表示を実現するためには、白表示の部分をより明るくし、黒表示の部分をより暗くして、コントラスト差を大きくする必要がある。
このようなプロジェクションシステムに用いられる投影スクリーンとしては通常、透明媒体に保持された透明または半透明の多孔質の微粒子と、その背後に配置された反射材料とを有するものである。具体的には、従来の投影システムでは、投影スクリーン上に投射される投影機からの投射光(映像光)の強度差によって映像の濃淡が作り出されており、例えば、黒地に白の絵を映し出すような場合には、投射光が投影スクリーンに当たる部分が白、それ以外の部分が黒となり、このような白黒の明るさの差により映像の濃淡が作り出されている。この場合、良好な映像表示を実現するためには、白表示の部分をより明るくし、黒表示の部分をより暗くして、コントラスト差を大きくする必要がある。
しかしながら、上述した従来の投影スクリーンでは、外光や照明光などの環境光を映像光との区別なく反射してしまうので、白表示の部分及び黒表示の部分の両方が明るくなり、白黒の明るさの差が小さくなってしまう。このため、上述した従来の投影スクリーンでは、部屋を暗くするための手段や環境などを用いて外光や照明光などの環境光の影響を抑えない限り、良好な映像表示を実現することが困難であるという問題があった。
そこで、このような問題を解決するために、コレステリック液晶を用いて外光等の反射を抑える投影スクリーン(特許文献1参照)も提案されている。しかしながら、コレステリック液晶の表面は、鏡面であるため、投影された光を鏡面反射してしまうことから、実用化には至っていない。
そこで、このような問題を解決するために、コレステリック液晶を用いて外光等の反射を抑える投影スクリーン(特許文献1参照)も提案されている。しかしながら、コレステリック液晶の表面は、鏡面であるため、投影された光を鏡面反射してしまうことから、実用化には至っていない。
また、他の方法として特許文献2には、拡散性を有する多層反射性偏光材などを反射性偏光要素として用いる投影スクリーンであって、多層反射性偏光材などの偏光分離機能により環境光の一部を反射させないようにするとともに、多層反射性偏光材を構成する屈折率の異なる材料の界面反射、又は、多層反射性偏光材とは別に設けられた拡散要素により、反射光に散乱効果を与えるものが記載されている。また、コレステリック反射性偏光材などを反射性偏光要素として用いる投影スクリーンであって、この反射性偏光要素と拡散要素とを組み合わせて用い、コレステリック反射性偏光材などの偏光分離機能により環境光の一部を反射させないようにするとともに、コレステリック反射性偏光材とは別に設けられた拡散要素により反射光に散乱効果を与えるものも記載されている。
しかしながら、上記特許文献2に記載された前者のものは、あくまでも多層反射性偏光材などの直線偏光要素(スリーエム社製のDBEFなど)を前提とするものであるので、投影システムなどに組み込んで用いる際には、直線偏光を出射する液晶プロジェクターなどの投影機との間で偏光面を一致させる必要があり、両者の偏光面が一致しない場合には良好な映像表示を実現することができないという問題があった。
また、上記特許文献2に記載された後者のものでは、反射性偏光要素としてコレステリック反射性偏光材などの円偏光要素が用いられているものの、反射性偏光要素の観察者側に設けられた拡散要素により反射光に散乱効果を与えるものであるので、反射性偏光要素により与えられる偏光分離機能が損なわれてしまい、映像の視認性を十分に向上させることができないという問題があった。
すなわち、反射性偏光要素の観察者側に拡散要素が設けられているので、反射性偏光要素に入射する前に光が拡散要素を透過し、その偏光状態が乱されてしまう(これを「消偏」という)。ここで、拡散要素を透過する光には環境光(外光など)と映像光の2種類があるが、環境光の偏光状態が拡散要素により乱された場合には、反射性偏光要素で本来透過されるべき光が消偏によって反射性偏光要素で反射される成分に変換されてしまい、不要な光として反射性偏光要素で反射されてしまう。また、映像光の偏光状態が拡散要素により乱された場合には、反射性偏光要素で本来反射されるべき光が消偏によって反射性偏光要素で反射されない成分に変換されてしまい、反射性偏光要素を透過してしまう。このような2つの現象により、本来の偏光分離機能が損なわれてしまい、映像の視認性を十分に向上させることができないという問題があった。
またさらに、上記発明においては、ギラつき防止をするために、ギラつき防止層を形成する必要があり、このギラつき防止層によっても偏光分離機能が低下するという問題があった。
以上のことから、明るい環境のもとでも使用可能であり、かつ明度の高い投影スクリーンの提供が望まれている。
本発明は、基材と、上記基材上に形成されたコレステリック液晶層とを有する投影スクリーンであって、上記コレステリック液晶層が、特定の偏光成分の光を選択的に反射するコレステリック液晶顔料と、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶バインダとを含有することを特徴とする投影スクリーンを提供する。
本発明によれば、上記基材上に、コレステリック液晶顔料およびコレステリック液晶バインダを有するコレステリック液晶層が形成されていることから、コレステリック液晶層が特定の波長のみ反射する波長選択性を有する層とすることができる。これにより、例えば外光に含まれる波長のうち、上記特定波長以外の波長の光は反射せずに透過することから、外光の影響を低減させることが可能となる。また、上記コレステリック液晶は右円偏光または左円偏光のいずれかの偏光のみを反射し、逆の偏光は透過するという性質を有することから、さらに外光の影響を少ないものとすることができ、明るい環境下においても、明度の高い投影スクリーンとすることが可能となるのである。
またさらに、通常コレステリック液晶からなる層は、液晶分子が規則的に配列していることから、表面が鏡面状態となり、入射した光が一定方向にのみ反射され、投影スクリーンとして用いることが困難となる。しかしながら、本発明においては、上記コレステリック液晶バインダが拡散反射性を有しており、またさらにコレステリック液晶が顔料として含有されていることから、コレステリック液晶層を拡散反射性を有するものとすることができ、投影スクリーンとして用いることができる。また、上記コレステリック液晶バインダと、そのコレステリック液晶バインダ中に含有されるコレステリック液晶顔料との屈折率差がほとんどないものとすることができることから、コレステリック液晶バインダとコレステリック液晶との間で界面反射が起きず、反射による偏光分離機能の低下がない、という利点も有する。
上記発明においては、上記コレステリック液晶顔料が、コレステリック液晶構造の構造的な不均一性により、特定の偏光成分の光を拡散させることが好ましい。この場合、上記コレステリック液晶顔料自体が、構造的に不均一であることにより、一粒子でも入射した光を拡散反射することから、ギラつきのないきめ細やかな画像を得ることができる。また、拡散反射性を有する上記コレステリック液晶バインダと同等の拡散反射性を有するものとすることができ、投影スクリーンが反射する光を均一なものとすることができる。
また、上記発明においては、上記コレステリック液晶顔料と上記コレステリック液晶バインダとの選択反射帯域が異なることが好ましい。これにより、二色以上の選択反射帯域を有するコレステリック液晶層を一層で形成することが可能となり、コレステリック液晶層の膜厚を薄いものとすることができるからである。
また、上記発明においてはさらに、上記コレステリック液晶層が、選択反射帯域の異なる上記コレステリック液晶顔料を、少なくとも2種以上含有することが好ましい。これにより、コレステリック液晶層を一層で、複数の選択反射帯域を有する層とすることができるからである。
またさらに、上記発明においては、上記コレステリック液晶顔料および上記コレステリック液晶バインダの各含有量が、上記コレステリック液晶顔料または上記コレステリック液晶バインダの上記選択反射帯域の中心波長に比例する量であることが好ましい。上記選択反射帯域の中心波長が異なる上記コレステリック液晶顔料およびコレステリック液晶バインダは、それぞれ反射効率が異なることから、各コレステリック液晶顔料およびコレステリック液晶バインダの含有量を上記の量とすることによって、反射効率を同等にすることができ、色再現性の良好な投影スクリーンとすることができるからである。
また、上記発明においては、上記コレステリック液晶層は、上記コレステリック液晶層の最大反射強度に対して半分以上の反射強度を有する波長域が、可視光域の一部のみであることが好ましい。これにより、可視光域の特定の波長の光を選択反射することが可能となる。また、上記特定の波長域を投影機等からの光に合わせることで、映像光のみを効率的に反射し、外光や照明光等については、コレステリック液晶構造により反射される光の量を低減することができ、より明るい環境下でも明度の高い投影スクリーンとすることが可能となるからである。
またこの際、上記コレステリック液晶層は、上記コレステリック液晶層に対して光が垂直に入射する場合を基準にして、選択反射中心波長が430nm〜460nm、540nm〜570nm、および580nm〜620nmの範囲に存在する光を選択的に反射することが好ましい。これにより、例えば液晶プロジェクタ等から照射された三原色の波長域の光を反射することができ、良好なカラー表示が可能な投影スクリーンとすることができるからである。
本発明によれば、コレステリック液晶層が特定の波長のみ反射する波長選択性を有する層とすることができ、例えば外光に含まれる波長のうち、上記特定波長以外の波長の光は反射せずに透過させ、外光の影響を低減させることが可能となる。またさらに、上記コレステリック液晶の円偏光二色性から、明るい環境下においても、明度の高い投影スクリーンとすることが可能となる。また、投影機から射出された光を鏡面反射することなく、散乱させることが可能な投影スクリーンとすることができる。またさらに、コレステリック液晶顔料とコレステリック液晶バインダとの間での界面反射による変更分離機能の低下がない、という利点も有する。
以下、本発明の投影スクリーンについて詳しく説明する。本発明の投影スクリーンは、、基材と、上記基材上に形成されたコレステリック液晶層とを有する投影スクリーンであって、上記コレステリック液晶層が、特定の偏光成分の光を選択的に反射するコレステリック液晶顔料と、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶バインダとを含有するものであり、例えば図1に示すように、基材1と、その基材1上に形成されたコレステリック液晶層2とを有するものであり、投影機3から投影された光を、拡散して反射するものである。
本発明においては、上記コレステリック液晶層を構成するコレステリック液晶顔料およびコレステリック液晶バインダが、それぞれコレステリック規則性を示す。このコレステリック規則性とは、液晶分子の物理的な分子配列として、液晶分子のダイレクターが層の厚さ方向に連続的に回転してなる螺旋構造をとっており、このような液晶分子の物理的な分子配列に基づいて、一方向の円偏光成分と、これと逆回りの円偏光成分とを分離する偏光分離特性を有しているものである。すなわち、コレステリック液晶層において、螺旋軸に沿って入射した無偏光状態の光は、2つの偏光状態の光(右円偏光及び左円偏光)に分離され、一方は透過され、残りは反射される。この現象は、円偏光二色性として知られ、液晶分子の螺旋構造における螺旋巻き方向を適宜選択すると、この螺旋巻き方向と同一の旋光方向を有する円偏光成分が選択的に反射される。
またこの場合の最大旋光光散乱は、次式(1)の波長λ0で生じる。
λ0=nav・p … (1)
ここで、pは液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチ長(液晶分子の分子螺旋の1ピッチ当たりの長さ)、navは螺旋軸に直交する平面内での平均屈折率である。
また、このときの反射光の波長バンド幅△λは次式(2)で表される。ここで、△nは複屈折値である。
△λ=△n・p … (2)
λ0=nav・p … (1)
ここで、pは液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチ長(液晶分子の分子螺旋の1ピッチ当たりの長さ)、navは螺旋軸に直交する平面内での平均屈折率である。
また、このときの反射光の波長バンド幅△λは次式(2)で表される。ここで、△nは複屈折値である。
△λ=△n・p … (2)
すなわちコレステリック規則性を有する層を形成した場合、例えば図2に示すように、その層の観察者側から入射する無偏光状態の光(選択反射波長域内の右円偏光11R及び左円偏光11L、選択反射波長域外の右円偏光12R及び左円偏光12L)は、上述したような偏光分離特性に従って、選択反射中心波長λ0を中心とした波長バンド幅△λの範囲(選択反射波長域)に属する一方の円偏光成分(例えば選択反射波長域内の右円偏光11R)が反射光13として反射され、その他の光(例えば選択反射波長域内の左円偏光11L、選択反射波長域外の右円偏光12R及び左円偏光12L)が透過されることとなる。
したがって、本発明において、コレステリック液晶層中に含有されるコレステリック液晶顔料およびコレステリック液晶バインダを投影機等から射出される光と同じ側の偏光の特定波長を反射させるものとすることにより、投影された光を効率よく反射することができ、明度の高い投影スクリーンとすることができるのである。また、外光や照明光等は、上記コレステリック液晶バインダおよびコレステリック液晶顔料によって特定の波長の光のみが反射され、それ以外の波長の光は反射されない。これにより、外光等に含まれる波長のうち、半分以上を透過させることが可能となり、照明光や外光等が存在する環境においても、明度の高い投影スクリーンとすることができるのである。
ここで、コレステリック液晶構造を有する層は通常、層を構成する各コレステリック液晶分子の螺旋軸が一定の方向を向いて配向しており、入射した光は一定方向にのみ反射されて鏡面反射することから、投影スクリーンとして用いることが困難である。しかしながら本発明においては、コレステリック液晶顔料がコレステリック液晶バインダ中に分散されており、またコレステリック液晶バインダが、特定の偏光成分を拡散して反射する層であることから、コレステリック液晶層に入射した光を拡散して反射することができ、投影スクリーンとして用いることが可能となるのである。
上記コレステリック液晶バインダは、例えば図3に示すように、コレステリック液晶バインダ2を構成するコレステリック液晶分子30の螺旋軸Lの方向にバラつきがあること等によって、入射した光を拡散して反射させるものである。これにより、コレステリック液晶バインダ2に入射した光も拡散して反射されることとなり、投影された光をさらに良好に拡散する投影スクリーンとすることができるのである。
またさらに、本発明によれば、上記コレステリック液晶バインダと上記コレステリック液晶顔料との屈折率がほぼ同等であることから、コレステリック液晶バインダとコレステリック液晶顔料との界面での反射が起きないものとすることができる。これにより、コレステリック液晶層の偏光分離機能が低下すること等がなく、色純度や明度の高い投影スクリーンとすることができる。
以下、このような本発明の投影スクリーンに用いられる各構成について説明する。
以下、このような本発明の投影スクリーンに用いられる各構成について説明する。
1.コレステリック液晶層
まず、本発明に用いられるコレステリック液晶層について説明する。本発明に用いられるコレステリック液晶層は、後述する基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に反射するコレステリック液晶顔料および、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶バインダを含有する層である。以下、このようなコレステリック液晶層に用いられるコレステリック液晶バインダおよびコレステリック液晶顔料について詳しく説明する。
まず、本発明に用いられるコレステリック液晶層について説明する。本発明に用いられるコレステリック液晶層は、後述する基材上に形成され、かつ特定の偏光成分の光を選択的に反射するコレステリック液晶顔料および、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶バインダを含有する層である。以下、このようなコレステリック液晶層に用いられるコレステリック液晶バインダおよびコレステリック液晶顔料について詳しく説明する。
(コレステリック液晶顔料)
まず、本発明に用いられるコレステリック液晶顔料について説明する。本発明に用いられるコレステリック液晶顔料は、後述するコレステリック液晶バインダ中に含有され、特定の偏光成分の光を選択的に反射し、コレステリック液晶構造を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えばコレステリック液晶顔料の各粒子が、完全なコレステリック液晶構造を有し、特定の波長の光を鏡面反射するものであってもよく、またコレステリック液晶顔料の各粒子が、コレステリック液晶構造の構造的な不均一性により、特定の偏光成分の光を拡散して反射させるものであってもよい。
まず、本発明に用いられるコレステリック液晶顔料について説明する。本発明に用いられるコレステリック液晶顔料は、後述するコレステリック液晶バインダ中に含有され、特定の偏光成分の光を選択的に反射し、コレステリック液晶構造を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えばコレステリック液晶顔料の各粒子が、完全なコレステリック液晶構造を有し、特定の波長の光を鏡面反射するものであってもよく、またコレステリック液晶顔料の各粒子が、コレステリック液晶構造の構造的な不均一性により、特定の偏光成分の光を拡散して反射させるものであってもよい。
上記コレステリック液晶層中に含有されるコレステリック液晶顔料の各粒子が鏡面反射するものであったとしても、例えば図4に示すように、コレステリック液晶バインダ5中に含有された場合には、コレステリック液晶顔料4の各粒子の配向方向は不均一なものとなる。これにより、コレステリック液晶層2全体で見た場合には、コレステリック液晶顔料4を構成する分子の螺旋軸の方向にバラつきがあるものとなる。したがって、コレステリック液晶層2に入射した上記選択反射波長域に属する一方の円偏光成分(例えば選択反射波長域内の右円偏光11R)が、コレステリック液晶顔料4の螺旋軸の方向によって、ランダムな方向に反射(拡散)されることとなり、投影スクリーンで反射された反射光13を観察者が視認することが可能となるのである。
本発明においては特に、例えば図5に示すように、上記コレステリック液晶顔料2自体が拡散反射するものとすることが好ましい。この場合には、各コレステリック液晶顔料4自体が拡散反射することから、さらにギラつきのない、よりきめ細かく拡散した反射光を得ることが可能となるとなるからである。ここで、上記コレステリック液晶構造が構造的に不均一とは、一粒のコレステリック液晶顔料において、コレステリック液晶構造中の螺旋軸の方向が不均一である場合(複数の方向を示す場合)等をいうものである。
ここで、本発明に用いられるコレステリック液晶顔料の粒径は、目的とする投影スクリーンの種類やコレステリック液晶顔料の種類にもよるが、通常5μm〜500μmの範囲内、中でも10μm〜100μmの範囲内とされる。上記粒径とは、コレステリック液晶顔料の長辺をいうこととする。これは通常、コレステリック液晶顔料は、螺旋軸方向の厚さが薄い薄片となりやすく、この場合、薄片の厚さは長辺の1/5程度となるからである。なお、このような薄片の顔料は、基材上にコーティングするだけで、多くの顔料を、その螺旋軸が基材の法線方向を向くように分布させることができることから、上記コレステリック液晶層として投影スクリーンに用いる場合に、好ましいものであるといえる。
また本発明において、上記コレステリック液晶顔料は、上記コレステリック液晶バインダ中に10重量%〜80重量%の範囲内、中でも30重量%〜50重量%の範囲内含有されることが好ましい。これにより、上記コレステリック液晶層に上記選択波長反射性等の特性を付与することが可能となるからである。
ここで、上述したコレステリック液晶顔料の材料としては、カイラルネマチック液晶や、コレステリック液晶を用いることができ、コレステリック規則性を有する材料であれば、特に限定されるものではないが、中でも分子の両末端に重合性官能基を有する重合性液晶材料であることが好ましい。これにより、コレステリック規則性を有するコレステリック液晶からなる層を形成後、粉砕することにより、光学的に安定したコレステリック液晶顔料を得ることができるからである。また、上記重合性液晶材料が、ネマチック規則性もしくはスメクチック規則性を呈する場合には、重合性カイラル剤を用いてもよい。以下、本発明のコレステリック液晶層に用いられる材料およびコレステリック液晶顔料の形成方法についてそれぞれ説明する。
(1)重合性液晶材料
このような重合性官能基を有する重合性液晶材料の一例としては、例えば下記の一般式(1)で表される化合物(I)を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種を混合して使用することも可能である。またさらに、上記化合物(I)と下記の一般式(2)〜(12)で表わされる化合物(II)とで構成されるものであってもよい。
このような重合性官能基を有する重合性液晶材料の一例としては、例えば下記の一般式(1)で表される化合物(I)を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種を混合して使用することも可能である。またさらに、上記化合物(I)と下記の一般式(2)〜(12)で表わされる化合物(II)とで構成されるものであってもよい。
化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種を混合して使用することができる。
化合物(I)を表わす一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ水素又はメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1及びR2は共に水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素又はメチル基であることが好ましい。また、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサであるアルキレン基の鎖長を示すa及びbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物は、安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、a及びbがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物は、アイソトロピック転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を示す温度範囲が狭く好ましくない。
上述した例では、重合性液晶モノマーの例を挙げたが、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子等を用いることも可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子としては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
(2)カイラル剤
本発明においては、ネマチック液晶にカイラル剤を加えた、コレステリック規則性を有するカイラルネマチック液晶を、好適に使用することもできる。
本発明に用いられるカイラル剤とは、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、分子量1500以下の化合物を意味する。カイラル剤は主として、例えば化合物(I)や、必要に応じて用いられる化合物(II)に示されるような重合性液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性に螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。この目的が達成される限り、重合性液晶材料、例えば化合物(I)と、もしくは化合物(I)および化合物(II)の混合物と、溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、上記ネマチック規則性をとりうる重合性液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋ピッチを誘起できるものであれば、下記に示すカイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されないが、分子の両末端に重合性官能基があることが耐熱性のよい光学素子を得る上で好ましい。液晶に螺旋ピッチを誘起させるために使用するカイラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必須である。従って、本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、あるいはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物が例示できる。さらに具体的には、市販のカイラルネマチック液晶、例えば、Merck社製S−811等が挙げられる。
本発明においては、ネマチック液晶にカイラル剤を加えた、コレステリック規則性を有するカイラルネマチック液晶を、好適に使用することもできる。
本発明に用いられるカイラル剤とは、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、分子量1500以下の化合物を意味する。カイラル剤は主として、例えば化合物(I)や、必要に応じて用いられる化合物(II)に示されるような重合性液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性に螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。この目的が達成される限り、重合性液晶材料、例えば化合物(I)と、もしくは化合物(I)および化合物(II)の混合物と、溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、上記ネマチック規則性をとりうる重合性液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋ピッチを誘起できるものであれば、下記に示すカイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されないが、分子の両末端に重合性官能基があることが耐熱性のよい光学素子を得る上で好ましい。液晶に螺旋ピッチを誘起させるために使用するカイラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必須である。従って、本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、あるいはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物が例示できる。さらに具体的には、市販のカイラルネマチック液晶、例えば、Merck社製S−811等が挙げられる。
しかし、選択したカイラル剤の性質によっては、化合物(I)と、もしくは化合物(I)および化合物(II)の混合物として例示されるような重合性液晶材料が形成するネマチック規則性の破壊、配向性の低下、あるいは該化合物が非重合性の場合には、液晶性組成物の硬化性の低下、硬化フィルムの信頼性の低下を招くおそれがある。さらに、光学活性な部位を有するカイラル剤の多量使用は、組成物のコストアップを招く。従って、短ピッチのコレステリック規則性を有する円偏光制御光学素子を製造する場合には、本発明に用いられる重合性液晶材料に含有させる光学活性な部位を有するカイラル剤には、螺旋ピッチを誘発する効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましく、具体的には一般式(13)又は(14)で表されるような分子内に軸不斉を有する低分子化合物(III)の使用が好ましい。
カイラル剤(III)を表わす一般式(3)又は(4)において、R4は水素又はメチル基を示す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、なかでも、式(i),(ii),(iii),(v)及び(vii)の何れか一つであることが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すd及びeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。d又はeの値が0又は1である一般式(3)又は(4)の化合物は、安定性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一方、d又はeの値が13以上である化合物は融点(Tm)が低い。これらの化合物は液晶性を示す化合物(I)と、もしくは化合物(I)および化合物(II)の混合物との相溶性が低下し、濃度によっては相分離等が起きるおそれがある。
本発明の重合性液晶材料に配合されるカイラル剤の量は、螺旋ピッチ誘起能力や最終的に得られる円偏光制御光学素子のコレステリック性を考慮して最適値が決められる。具体的には、用いる重合性液晶材料により大きく異なるものではあるが、重合性液晶材料の合計量100重量部当り、0.01〜60重量部、好ましくは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部、最も好ましくは1〜20重量部の範囲で選ばれる。この配合量が上記範囲よりも少ない場合は、重合性液晶材料に充分なコレステリック性を付与できない場合があり、上記範囲を越える場合は、分子の配向が阻害され、活性放射線によって硬化させる際に悪影響を及ぼす危惧がある。
本発明においては、このようなカイラル剤としては、特に重合性を有することが必須ではない。しかしながら、得られる光学機能層の熱安定性等を考慮すると、上述した重合性液晶材料と重合し、コレステリック規則性を固定化することが可能な重合性のカイラル剤を用いることが好ましい。
本発明においては、このようなカイラル剤としては、特に重合性を有することが必須ではない。しかしながら、得られる光学機能層の熱安定性等を考慮すると、上述した重合性液晶材料と重合し、コレステリック規則性を固定化することが可能な重合性のカイラル剤を用いることが好ましい。
(3)その他
また、本発明に用いられるコレステリック液晶層には、上記重合性液晶材料、カイラル剤の他に、必要に応じて、光重合開始剤、増感剤、レベリング剤等、一般的なコレステリック液晶層に用いられる材料を適宜用いてもよい。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えばベンジル(ビベンゾイルともいう)や、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどを挙げることができる。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも可能である。ここで、本発明に用いられる光重合開始剤の添加量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。
また、本発明に用いられるコレステリック液晶層には、上記重合性液晶材料、カイラル剤の他に、必要に応じて、光重合開始剤、増感剤、レベリング剤等、一般的なコレステリック液晶層に用いられる材料を適宜用いてもよい。
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えばベンジル(ビベンゾイルともいう)や、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどを挙げることができる。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも可能である。ここで、本発明に用いられる光重合開始剤の添加量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。
(4)コレステリック液晶顔料の形成方法
本発明においては、上記各材料を混合した組成物を、支持体上にコレステリック規則性およびコレステリック液晶の配向性を有するように層を形成し、固化させる。その後、そのコレステリック液晶からなる層を支持体から剥離し、万能ミル等で粉砕することにより、フレーク状のコレステリック液晶顔料とすることができる。以下、本発明におけるコレステリック液晶顔料の形成方法について、詳しく説明する。
本発明においては、上記各材料を混合した組成物を、支持体上にコレステリック規則性およびコレステリック液晶の配向性を有するように層を形成し、固化させる。その後、そのコレステリック液晶からなる層を支持体から剥離し、万能ミル等で粉砕することにより、フレーク状のコレステリック液晶顔料とすることができる。以下、本発明におけるコレステリック液晶顔料の形成方法について、詳しく説明する。
(i)コレステリック液晶からなる層の形成
まず、上記各材料を混合した組成物を、支持体上に塗布する。コレステリック液晶からなる層を形成する際に用いられる支持体としては、配向性を表面に有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば延伸フィルム等の表面に配向性を有する材料や、プラスチックフィルムやガラス板等の基体上に、例えばポリイミド系の配向膜をラビング処理した配向膜等を形成したものであってもよい。配向性を有する材料上に、上記各材料を混合した組成物を塗布することにより、コレステリック液晶性を発現させることが可能となるからである。なお、上述したように、コレステリック液晶構造に構造的な不均一性を発現させる場合には、配向性を有しない基材等を用いることや、界面活性剤を多量に添加することにより、コレステリック液晶表面の配向を乱すものであってもよい。また光重合開始剤を多量に添加する方法や、液晶配向性を有しない重合性化合物を添加する方法、微粒子を添加する方法等によっても行うことができる。
まず、上記各材料を混合した組成物を、支持体上に塗布する。コレステリック液晶からなる層を形成する際に用いられる支持体としては、配向性を表面に有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば延伸フィルム等の表面に配向性を有する材料や、プラスチックフィルムやガラス板等の基体上に、例えばポリイミド系の配向膜をラビング処理した配向膜等を形成したものであってもよい。配向性を有する材料上に、上記各材料を混合した組成物を塗布することにより、コレステリック液晶性を発現させることが可能となるからである。なお、上述したように、コレステリック液晶構造に構造的な不均一性を発現させる場合には、配向性を有しない基材等を用いることや、界面活性剤を多量に添加することにより、コレステリック液晶表面の配向を乱すものであってもよい。また光重合開始剤を多量に添加する方法や、液晶配向性を有しない重合性化合物を添加する方法、微粒子を添加する方法等によっても行うことができる。
支持体上に組成物を塗布する方法としては、上記各材料を混合した組成物をそのまま塗布してもよいが、粘性や配向性を調整する等の面から、有機溶媒に溶解させて用いることが好ましい。この際、用いられる溶媒は、上記支持体を侵食しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、酢酸−3−メトキシブチル、ジグライム、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、メチルエチルケトン等を用いることができる。この場合、上記組成物は通常、5重量%〜50重量%、中でも10重量%〜30重量%に希釈して用いられる。
また、上記組成物を塗布する方法としては、一般的に用いられている方法を用いることが可能であり、例えばロールコート法、グラビアコート法、バーコート法、スライドコート法、ダイコート法、スリットコート法、浸漬法等により行うことができる。また、上記支持体がプラスチックフィルムである場合には、ロールツーロールのフィルムコーティングであってもよい。
(ii)コレステリック液晶からなる層の配向
続いて、上記組成物をコレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持し、上記組成物を配向させる。配向処理の方法としては、上記組成物をコレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持することによって行うことができ、これによりコレステリック液晶は液晶相を呈し、液晶分子自体の自己集積作用により、液晶分子のダイレクターが層の厚さ方向に連続的に回転してなる螺旋構造が形成される。そして、このような液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造は、後述するような手法でコレステリック液晶を硬化させることにより、固定化することができるのである。
続いて、上記組成物をコレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持し、上記組成物を配向させる。配向処理の方法としては、上記組成物をコレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持することによって行うことができ、これによりコレステリック液晶は液晶相を呈し、液晶分子自体の自己集積作用により、液晶分子のダイレクターが層の厚さ方向に連続的に回転してなる螺旋構造が形成される。そして、このような液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造は、後述するような手法でコレステリック液晶を硬化させることにより、固定化することができるのである。
なお、このような配向処理工程は、支持体上に塗布された液晶性組成物に溶媒が含有されている場合には、通常、溶媒を除去するための乾燥処理とともに行われる。なお、溶媒を除去するためには、40〜120℃、好ましくは60〜100℃の乾燥温度が適しており、乾燥時間(加熱時間)はコレステリック液晶構造が発現し、実質上溶媒が除去されればよく、例えば、15〜600秒が好ましく、さらに好ましくは30〜180秒である。なお、乾燥後に配向状態が不十分であることが分かった場合には、適宜加熱時間を延長す
るようにするとよい。また、このような乾燥処理において減圧乾燥の手法を用いる場合には、配向処理のために別途加熱処理を行うことが好ましい。
るようにするとよい。また、このような乾燥処理において減圧乾燥の手法を用いる場合には、配向処理のために別途加熱処理を行うことが好ましい。
(iii)コレステリック液晶からなる層の硬化
次に、上述した配向処理工程において配向させた、コレステリック液晶からなる層中の液晶分子を、硬化処理工程によりコレステリック液晶からなる層を硬化させ、液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造を固定化する。
ここで、硬化処理工程で用いられる方法としては、(1)液晶性組成物中の溶媒を乾燥させる方法、(2)加熱により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、(3)放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、及び(4)それらの方法を組み合わせた方法を用いることができる。
次に、上述した配向処理工程において配向させた、コレステリック液晶からなる層中の液晶分子を、硬化処理工程によりコレステリック液晶からなる層を硬化させ、液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造を固定化する。
ここで、硬化処理工程で用いられる方法としては、(1)液晶性組成物中の溶媒を乾燥させる方法、(2)加熱により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、(3)放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、及び(4)それらの方法を組み合わせた方法を用いることができる。
このうち、上記(1)の方法は、コレステリック液晶からなる層の材料である液晶性組成物に含有されるネマチック規則性を示す重合性の液晶材料として液晶ポリマーを用いた場合に適した方法である。この方法では、液晶ポリマーを有機溶媒などの溶媒に溶解させた状態で支持体に塗布することとなるが、この場合には、乾燥処理により溶媒を除去するだけで、コレステリック規則性を有する固体化したコレステリック液晶からなる層が形成される。なお、溶媒の種類や乾燥条件などについては、上述した塗布工程及び配向処理工程で述べたものを用いることができる。
上記(2)の方法は、加熱により液晶性組成物中の液晶分子を熱重合させてコレステリック液晶からなる層を硬化させる方法である。この方法では、加熱(焼成)温度によって液晶分子の結合状態が変化するので、加熱時にコレステリック液晶からなる層の面内で温度ムラがあると、膜硬度などの物性や光学的な特性にムラが生じる。ここで、膜硬度の分布を±10%以内にするためには、加熱温度の分布も±5%以内に抑えることが好ましく、より好ましくは±2%以内に抑えることが好ましい。
なお、支持体上に形成されたコレステリック液晶からなる層を加熱する方法としては、加熱温度の均一性が得られれば特に限定はなく、ホットプレート上に密着して保持したり、ホットプレートとの間にわずかな気層を設けてホットプレートと平行になるように保持する方法を用いることができる。また、オーブンのような特定の空間全体を加熱する装置内に静置したり当該装置内を通過させる方法でもよい。なお、フィルムコーターなどを用いる場合には、乾燥ゾーンを長くして加熱時間を十分にとることができるようにすることが好ましい。
加熱温度としては一般に、100℃以上の高温が必要となるが、支持体の耐熱性から150℃程度までとすることが好ましい。ただし、耐熱性に特化したフィルムなどを支持体の材料として用いれば、150℃以上の高温での加熱も可能である。
上記(3)の方法は、放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を光重合させてコレステリック液晶からなる層を硬化させる方法である。この方法では、放射線として、電子線や紫外線などを条件に応じて適宜用いることができる。通常は、装置の容易性などの観点から紫外線が好ましく用いられ、その波長は250〜400nmである。ここで、紫外線を用いる場合には、液晶性組成物に上述したように光重合開始剤が添加されていることが好ましい。なお、液晶性組成物に添加される光重合開始剤の添加量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。
(iv)コレステリック液晶からなる層の粉砕
次に、上述したような一連の工程(塗布工程、配向処理工程及び硬化処理工程)によって形成されたコレステリック液晶からなる層を、目的とする大きさに粉砕することによって、コレステリック液晶顔料を得ることができる。この粉砕方法としては一般的にコレステリック液晶顔料の形成方法に用いられている方法を用いることができ、例えば上記支持体上からコレステリック液晶からなる層を剥離して、例えば万能ミル等で粉砕する方法であってもよく、また支持体とともにコレステリック液晶からなる層の粉砕を行い、その後支持体を溶解またはエッチング等の方法を用いて除去する方法等であってもよい。
次に、上述したような一連の工程(塗布工程、配向処理工程及び硬化処理工程)によって形成されたコレステリック液晶からなる層を、目的とする大きさに粉砕することによって、コレステリック液晶顔料を得ることができる。この粉砕方法としては一般的にコレステリック液晶顔料の形成方法に用いられている方法を用いることができ、例えば上記支持体上からコレステリック液晶からなる層を剥離して、例えば万能ミル等で粉砕する方法であってもよく、また支持体とともにコレステリック液晶からなる層の粉砕を行い、その後支持体を溶解またはエッチング等の方法を用いて除去する方法等であってもよい。
(コレステリック液晶バインダ)
次に、本発明に用いられるコレステリック液晶バインダについて説明する。本発明に用いられるコレステリック液晶バインダは、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するものであり、上記コレステリック規則性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、上記コレステリック液晶顔料と同等の屈折率を有することが好ましい。これにより、上記コレステリック液晶顔料とコレステリック液晶バインダとの界面で、反射等が起こることがなく、明度や色純度の高いコレステリック液晶層とすることができるからである。
次に、本発明に用いられるコレステリック液晶バインダについて説明する。本発明に用いられるコレステリック液晶バインダは、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するものであり、上記コレステリック規則性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、上記コレステリック液晶顔料と同等の屈折率を有することが好ましい。これにより、上記コレステリック液晶顔料とコレステリック液晶バインダとの界面で、反射等が起こることがなく、明度や色純度の高いコレステリック液晶層とすることができるからである。
ここで、本発明に用いられるコレステリック液晶バインダに上記拡散反射性を付与する方法としては、例えば、基材を一定方向の配向性を有しないものとして、コレステリック液晶バインダの配向を不均一なものとする方法や、界面活性剤を多量に添加することにより、コレステリック液晶表面の配向を乱し、拡散反射性を導入するものであってもよい。また光重合開始剤の添加量を多量に添加することにより、コレステリック液晶の分子鎖を短いものとして、上記拡散反射性を導入する方法であってもよい。この際、反応終了後の光重合開始剤は、コレステリック液晶中でコレステリック液晶の配向を乱す不純物としての役割も果たすものとなる。
また、液晶配向性を有しない重合性化合物を添加することにより、上記拡散反射性を導入するものであってもよい。液晶配向性を有しない重合性化合物を添加することにより、コレステリック液晶の配向が乱され、コレステリック液晶分子の螺旋軸が傾くこととなるからである。また、微粒子を添加することにより、コレステリック液晶の配向を乱し、拡散反射性を導入するものであってもよい。なお、本発明においては上記の方法を組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤の種類や添加量等はその目的等によって適宜選択されるものである。また、本発明においては、上記コレステリック液晶顔料を含有することによっても、コレステリック液晶バインダのコレステリック液晶の配向が乱され、拡散反射性を有するものとすることができる。
ここで、上述したコレステリック液晶バインダの材料としては、上述したコレステリック液晶顔料の項で説明したものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
また、本発明に用いられる上記コレステリック液晶バインダは、特定の偏光を100%反射するような膜厚とすることが好ましい。上記コレステリック液晶バインダの偏光に対する反射率は、コレステリック液晶バインダの膜厚に依存するものであり、選択的に反射される特定の偏光成分の光(例えば右円偏光)に対して100%未満の反射率であれば、映像光を効率的に反射することができないからである。上記反射率を100%とするためには、通常4ピッチ〜8ピッチとすることが好ましく、具体的には、上記コレステリック液晶バインダの材料の種類や特定の偏光の波長にもよるが、通常1μm〜10μmとされる。上記膜厚より薄い場合には、反射率が低くなり、投影スクリーンに投影された画像等を明度良く再現することが困難となり、また上記膜厚より厚い場合には、コレステリック液晶構造制御が困難となる場合や、ムラが生じること等があるからである。
(コレステリック液晶層)
次に、本発明に用いられるコレステリック液晶層について説明する。本発明に用いられるコレステリック液晶層は、上述したコレステリック液晶バインダ中に上記コレステリック液晶顔料が含有されているものであれば、コレステリック液晶の種類等は特に限定されるものではなく、コレステリック液晶バインダとコレステリック液晶顔料の選択反射帯域が同じものであってもよい。本発明においては、特にコレステリック液晶バインダおよびコレステリック液晶顔料の選択反射帯域が異なるものであることが好ましい。またさらに、上記コレステリック液晶バインダ中に、選択反射帯域の異なる複数のコレステリック液晶顔料が含有されていることが好ましい。これにより、1層で複数の選択反射帯域を有するコレステリック液晶層とすることができることから、コレステリック液晶層を積層する必要がなく、コレステリック液晶層の膜厚を薄いものとすることができるからである。コレステリック液晶層の膜厚を薄いものとした場合、コレステリック液晶層が曲げに強く、また熱による体積変化を小さなものとすることができ、基材等との剥離のない、高品質な投影スクリーンとすることができるという利点を有する。またさらに、コストや製造効率等の面からも好ましい投影スクリーンとすることができる。
次に、本発明に用いられるコレステリック液晶層について説明する。本発明に用いられるコレステリック液晶層は、上述したコレステリック液晶バインダ中に上記コレステリック液晶顔料が含有されているものであれば、コレステリック液晶の種類等は特に限定されるものではなく、コレステリック液晶バインダとコレステリック液晶顔料の選択反射帯域が同じものであってもよい。本発明においては、特にコレステリック液晶バインダおよびコレステリック液晶顔料の選択反射帯域が異なるものであることが好ましい。またさらに、上記コレステリック液晶バインダ中に、選択反射帯域の異なる複数のコレステリック液晶顔料が含有されていることが好ましい。これにより、1層で複数の選択反射帯域を有するコレステリック液晶層とすることができることから、コレステリック液晶層を積層する必要がなく、コレステリック液晶層の膜厚を薄いものとすることができるからである。コレステリック液晶層の膜厚を薄いものとした場合、コレステリック液晶層が曲げに強く、また熱による体積変化を小さなものとすることができ、基材等との剥離のない、高品質な投影スクリーンとすることができるという利点を有する。またさらに、コストや製造効率等の面からも好ましい投影スクリーンとすることができる。
ここで、上記複数種類のコレステリック液晶顔料を混合して、コレステリック液晶バインダ中に含有させる場合や、コレステリック液晶顔料と異なる選択反射帯域を有するコレステリック液晶バインダを用いる場合、コレステリック液晶顔料やコレステリック液晶バインダの各含有量は、それぞれのコレステリック液晶の選択反射帯域の中心波長に比例する量であることが好ましい。これは、上記式(1)に示すように、コレステリック液晶の選択反射帯域は、螺旋ピッチ長に比例するものであることから、特定の光の反射効率は、各コレステリック液晶の膜厚、すなわち含有量に比例するものとなる。したがって、選択反射帯域の異なる各コレステリック液晶の含有量を同量含有させた場合、螺旋ピッチ長の長いコレステリック液晶の反射効率が低下することとなり、投影スクリーンの色再現性が低下することとなるからである。また、螺旋ピッチ長の長いコレステリック液晶の必要量に合わせて、各コレステリック液晶を同量含有させた場合には、投影スクリーンの色再現性は良好なものとすることはできるが、螺旋ピッチ長の短いコレステリック液晶の含有量が過剰となってしまい、この過剰なコレステリック液晶の作用により、各コレステリック液晶の反射帯域以外の光が、コレステリック液晶層中で迷光となって散乱し、コントラストの低下が起こる場合があるからである。
なお、上記コレステリック液晶の含有量としては、上記コレステリック液晶顔料またはコレステリック液晶バインダの選択反射帯域の中心波長の比から導き出される量の±10%の範囲内であることが好ましい。含有量を上記範囲内とすることにより、投影スクリーンの色再現性が良好となり、また上記コントラストの低下を防止することが可能となるからである。
ここで、本発明に用いられるコレステリック液晶層は、上記コレステリック液晶層の最大反射強度に対して半分以上の反射強度を有する波長域が、可視光域(例えば400nm〜700nmの波長域)の一部のみであることが好ましい。これにより、可視光域の特定の波長の光を選択反射することが可能となる。上述したように、コレステリック液晶は、特定の波長のみの光を、強く反射することから、この特定の波長以外の波長の光は基材等にほぼ吸収されることとなる。したがって、外光や照明光等が投影スクリーンに入射した場合に、コレステリック液晶構造により強く反射される光の波長の領域を可視光のうちの一部とすることにより、外光や照明光の反射を低減させることができ、より明るい環境下でも明度の高い投影スクリーンとすることが可能となるからである。上記コレステリック液晶層を構成するコレステリック液晶の反射する波長域は、コレステリック液晶の螺旋ピッチの長さにより決定される。
また、本発明のコレステリック液晶層は、投影機等の光源から照射される波長の光を反射することが可能であれば、1種類の選択反射帯域からなるものであってもよいが、例えば赤色(R)及び緑色(G)の波長域が一種類のコレステリック液晶の選択反射帯域に含まれる場合には、これらの波長の選択反射帯域と、青色(B)の選択反射帯域とを有するものであることが好ましく、特に赤色(R)、青色(B)、緑色(G)のそれぞれの波長の選択反射帯域を有するものであることが好ましい。これは、通常投影機から射出される光は、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)からなるものであり、この三原色によりカラー表示を実現しているからである。
本発明においては、上記の波長として具体的には、投影機の種類にもよるが、青色(B)の430nm〜460nm、緑色(G)の540nm〜570nm、赤色(R)の580nm〜620nmの波長を選択的に反射するものであることが好ましい。これにより、装置の設計や光源の種類などによって波長に差があってもカラー表示をすることが可能であり、良好な白色も表現可能な投影スクリーンとすることができるからである。
コレステリック液晶層をこのような複数の選択反射帯域を有するものとする方法としては、上述したように、コレステリック液晶バインダの選択反射帯域と、コレステリック液晶顔料の選択反射帯域とを異なるものを用いる方法や、コレステリック液晶バインダ中に、それぞれ選択反射帯域の異なる複数のコレステリック液晶顔料を含有させる方法等が挙げられる。
ここで、上述したようなコレステリック液晶層の形成方法について、以下説明する。上記コレステリック液晶層の形成方法としては、上述したコレステリック液晶顔料を、コレステリック液晶バインダを構成する材料中に分散させてコレステリック液晶層組成物を調整して層を形成する方法が挙げられる。
上記コレステリック液晶バインダ中にコレステリック液晶顔料を分散させる方法としては、例えば上記コレステリック液晶バインダ中に、上記コレステリック液晶顔料を加え、ミル等によって分散させる方法であってもよく、またコレステリック液晶顔料を溶媒等に分散させて、上記コレステリック液晶バインダ中に混合する方法等であってもよい。
ここで、上記コレステリック液晶層組成物としては、上記コレステリック液晶バインダおよび上記コレステリック液晶顔料のみであってもよいが、粘性や配向性を調整する等の面から、有機溶媒に調整する等の面から、有機溶媒に溶解させて用いることが好ましい。
次に、上記コレステリック液晶層用組成物を、後述する基材上に塗布する。上記コレステリック液晶層用組成物の塗布方法としては、一般的に用いられている方法を用いることが可能であり、例えばロールコート法、グラビアコート法、バーコート法、スライドコート法、ダイコート法、スリットコート法、浸漬法等により行うことができる。また、上記支持体がプラスチックフィルムである場合には、ロールツーロールのフィルムコーティングであってもよい。
続いて、上記コレステリック液晶組成物中のコレステリック液晶バインダが、コレステリック液晶構造を発現する所定の温度に保持し、上記組成物を配向させる。なお、本発明において最終的に得られるべきコレステリック液晶バインダのコレステリック液晶構造は、プラーナー配向状態ではなく、上記コレステリック液晶分子の螺旋軸の方向にバラつきを有する配向状態であるが、この場合でも、配向処理は必要となる。すなわち、コレステリック液晶構造の液晶分子のダイレクターを基材上で一定方向に揃えるような配向処理は必要とされないが、コレステリック液晶構造中に複数の螺旋軸構造領域を形成させるような配向処理は必要となるからである。
配向処理の方法としては、上記組成物中のコレステリック液晶バインダを構成する材料がコレステリック液晶構造を発現する所定の温度に保持することによって行うことができ、これによりコレステリック液晶は液晶相を呈し、液晶分子自体の自己集積作用により、液晶分子のダイレクターが層の厚さ方向に連続的に回転してなる螺旋構造が形成される。そして、このような液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造は、後述するような手法でコレステリック液晶を硬化させることにより、固定化することができるのである。
なお、このような配向処理工程は、上述したコレステリック液晶顔料の項のコレステリック液晶顔料の形成方法で説明した配向処理と同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
次に、上述した配向処理工程において配向させた、コレステリック液晶バインダの液晶分子を、硬化処理工程によりコレステリック液晶からなる層を硬化させ、液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造を固定化する。
ここで、硬化処理工程で用いられる方法としては、(1)液晶性組成物中の溶媒を乾燥させる方法、(2)加熱により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、(3)放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、及び(4)それらの方法を組み合わせた方法を用いることができる。この硬化処理方法についても、上述したコレステリック液晶顔料の項のコレステリック液晶顔料の形成方法で説明した硬化処理と同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
以上のような一連の工程(塗布工程、配向処理工程及び硬化処理工程)を行うことにより、単層のコレステリック液晶顔料を含有したコレステリック液晶層を備えた投影スクリーンを製造することができるが、上述した一連の工程を繰り返すことにより、複数層のコレステリック液晶層からなるコレステリック液晶層を備えた投影スクリーンを製造することが可能である。ここで、光の拡散性を有するコレステリック液晶層上に、さらにコレステリック液晶層を塗布した場合、下層の配向状態が継続されることから、配向制御をする層を間に設ける必要は特にないが、例えば易接着層等の他の層を形成してもよい。
2.基材
次に、本発明の投影スクリーンに用いられる基材について説明する。本発明の投影スクリーンに用いられる基材としては、上記コレステリック液晶層が形成可能であれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、中でも可視光領域の波長の光を吸収するものであることが好ましく、具体的には400nm〜700nmの範囲内の光を吸収するものであることが好ましい。これにより、上記コレステリック液晶の円偏光と逆の円偏光や、上記コレステリック液晶層が反射する特定の波長以外の波長の光が入射した場合に、反射を防止することができ、明度の高い投影スクリーンとすることができるからである。
次に、本発明の投影スクリーンに用いられる基材について説明する。本発明の投影スクリーンに用いられる基材としては、上記コレステリック液晶層が形成可能であれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、中でも可視光領域の波長の光を吸収するものであることが好ましく、具体的には400nm〜700nmの範囲内の光を吸収するものであることが好ましい。これにより、上記コレステリック液晶の円偏光と逆の円偏光や、上記コレステリック液晶層が反射する特定の波長以外の波長の光が入射した場合に、反射を防止することができ、明度の高い投影スクリーンとすることができるからである。
このような可視光領域の波長を吸収する基材としては、例えば黒い顔料を練りこんだプラスチックフィルム等とすることができる。また、透明なプラスチックフィルム等の上に、光吸収層が形成されたものであってもよく、この光吸収層は上記コレステリック液晶層が形成される側に形成されるものであってもよく、また反対側に形成されるものであってもよい。
また、本発明においては、上述したように、上記コレステリック液晶層中のコレステリック液晶バインダが拡散反射性を有するものとするために、基材が表面の配向の少ない材料としてもよい。表面の配向の少ない材料としては、例えば延伸等されていないプラスチックフィルムや、ラビング処理等されていないものを用いることができる。通常、コレステリック液晶層は規則性が良好となるように、延伸やラビング処理等が施されたプラスチックフィルム等に形成されるものであるが、本発明においては、延伸やラビング処理等が施されていない基材上に上記コレステリック液晶層を形成することにより、基材表面の液晶が規則的に配向せず、これにより上記コレステリック液晶バインダに拡散反射性を付与することが可能となるからである。
上記基材に用いられる材料としては、特に限定されるものではなく例えばプラスチックフィルムや、金属、紙、ガラス等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリカーボネート系高分子、ポリアリレートやポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系高分子、ポリイミド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子等の熱可塑性ポリマー等からなるフィルムを用いることができる。
また、本発明に用いられる基材の膜厚としては、その投影スクリーンの用途や種類等により適宜選択されるものであり、例えば投影スクリーンが巻き取り式で用いられる場合には、通常15μm〜300μm、中でも25μm〜100μmとすることができる。また、巻き取り式で用いられず、例えばパネル型等のようにフレキシブル性を要求されない場合には、基材の膜厚は特に限定されるものではない。
また、本発明に用いられる基材は、上記コレステリック液晶層との密着性を向上させるために、例えばコロナ処理やUV洗浄等により、表面を処理したものであってもよい。
またさらに、易接着層が形成されているプラスチックフィルム等を用いてもよく、例えば易接着層付PETフィルムA4100(商品名 東洋紡社製)や易接着材料AC−X、AC−L、AC−W(商品名 パナック社製)等を用いてもよい。
またさらに、易接着層が形成されているプラスチックフィルム等を用いてもよく、例えば易接着層付PETフィルムA4100(商品名 東洋紡社製)や易接着材料AC−X、AC−L、AC−W(商品名 パナック社製)等を用いてもよい。
3.投影スクリーン
次に、本発明の投影スクリーンについて説明する。本発明の投影スクリーンは、上記基材上に、上記コレステリック液晶層が形成されたものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、基材上に、密着性向上層が形成され、その密着性向上層上に上記コレステリック液晶層が形成されるものであってもよい。また、上述したように、上記コレステリック液晶層は、1層に限定されるものではなく、2層以上積層されたものであってもよい。
次に、本発明の投影スクリーンについて説明する。本発明の投影スクリーンは、上記基材上に、上記コレステリック液晶層が形成されたものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、基材上に、密着性向上層が形成され、その密着性向上層上に上記コレステリック液晶層が形成されるものであってもよい。また、上述したように、上記コレステリック液晶層は、1層に限定されるものではなく、2層以上積層されたものであってもよい。
本発明によれば、コレステリック液晶層がコレステリック液晶構造の有する偏光分離特性により特定の偏光成分の光(例えば右円偏光)のみを選択的に反射するので、偏光特性のない外光や照明光などの環境光をコレステリック液晶層で約50%しか反射しないようにすることができる。このため、白表示などの明表示の部分の明るさが同じ場合でも、黒表示などの暗表示の部分の明るさを略半分にして、映像のコントラストを略2倍にすることができる。なおこのとき、投射された映像光が、コレステリック液晶層で選択的に反射される光の偏光成分と同一の偏光成分の光(例えば右円偏光)を主として含むようにすれば、投射された映像光をコレステリック液晶層で略100%反射することができ、映像光を効率的に反射することができる。
また、コレステリック液晶層においては、コレステリック液晶顔料が含有されており、またコレステリック液晶バインダのコレステリック液晶分子の螺旋軸の方向がばらついたりしているので、映像光が鏡面反射でなく拡散反射され、映像が視認しやすくなる。なおこのとき、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶構造の構造的な不均一性により、選択的に反射される光を拡散させるので、特定の偏光成分の光(例えば選択反射波長域内の右円偏光)を拡散させながら反射する一方で、その他の光(例えば選択反射波長域内の左円偏光、選択反射波長域外の右円偏光及び左円偏光)については拡散させずに透過させることができる。このため、コレステリック液晶層を透過する環境光や映像光について、上述したような「消偏」の問題は起こらず、コレステリック液晶層の本来の偏光分離機能を維持しつつ、映像の視認性を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、外光や照明光などの環境光の影響をコレステリック液晶構造の有する偏光分離特性により抑えて映像のコントラストを高める一方で、コレステリック液晶構造内に含まれるコレステリック液晶顔料の作用や、コレステリック液晶バインダのコレステリック液晶分子の螺旋軸のバラつき等によって映像の視認性を低下させることなく映像光の反射光に散乱効果を与えることができ、明るい環境光の下でも映像を鮮明に表示することができる。
またさらに、本発明によれば、コレステリック液晶層1層で複数の選択反射波長域の光を反射する層とすることも可能であり、この場合コレステリック液晶層を薄いものとすることができることから、曲げに対する耐性が良好であり、熱膨張によって基材等と剥離することの少ない、高品質な投影スクリーンとすることができる。またさらに、製造効率やコストの面からも好ましいものとすることができる。
なお、本発明においては、上記密着性向上層を形成することが好ましく、この密着性向上層は、上記基材と上記コレステリック液晶層との密着性を向上させるために設けられるものである。このような密着性向上層としては、特にその種類や材料等は特に限定されるものではなく、例えばアクリル系やエポキシ系の材料等を用いることができる。
また、必要に応じて適宜、傷つき防止層や、低反射層、紫外線防止層等を設けたものであってもよい。
また、必要に応じて適宜、傷つき防止層や、低反射層、紫外線防止層等を設けたものであってもよい。
また、本発明においては、上記投影スクリーンに像を射出する機器は、上記投影スクリーンに光の濃淡により画像を映し出すことが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば光源の前にフィルム等を配置することによって画像を形成する映写機のようなものであってもよい。本発明においては中でも、CRT方式等の自発光タイプ、液晶方式、DLP方式等のライトバルブタイプ等の投影機を用いることが好ましく、特に射出される光を円偏光に偏光させることが好ましい。例えば液晶方式の投影機であれば、射出させる直線偏光を円偏光に変換する位相差版を通過させることによって、ほとんど光量の損失がなく、円偏光に変換することが可能となる。この際、用いられる位相差板としては、1/4波長を有するものであることが好ましく、具体的には視感度が最も高い550nmに合せて、137.5nmであるものを用いることが好ましい。さらに、射出されるRGB全ての波長に適用させることから、広帯域1/4波長位相差板であることが特に好ましい。また、また材料の複屈折の制御による単体の位相差板、または1/4波長位相差板と1/2波長位相差板を組み合わせたものを用いてもよい。ここで、上記位相差板は、投影機内部に組み込まれているものであってもよく、また外付けで射出口に装着させるものであってもよい。
また、CRT方式およびDLP方式の投影機は、射出光が偏光制御されていないことから、光学素子を介して直線偏光にし、位相差板を配置することが好ましい。この場合、投影機自体の光量は半減するが、コントラスト向上効果を得ることが可能となる。
またさらに、本発明においては上記投影スクリーンが使用される室内の照明や外光は、上記投影スクリーンが反射する円偏光と反対の円偏光とされることが好ましい。これにより、外光や照明等が投影スクリーンに入射した場合であっても、投影スクリーンがその光を反射することなく、吸収されることから、明るい環境でも明度が高いものとすることができるからである。この際、上記照明や外光を制御する方法としては、吸収型の円偏光板や、円偏光分離層、直線偏光分離層を用いる反射型の円偏光板等を用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例]
(コレステリック液晶顔料の形成)
紫外線硬化型のネマチック液晶からなる主剤(94.7重量%)にカイラル剤(5.3重量%)を添加したモノマー混合液晶をシクロヘキサノンに溶解し、440nmに選択反射中心波長を有する青色顔料用のコレステリック液晶溶液を調整した。
なお、ネマチック液晶としては、上記の化学式(12)で表される化合物を含む液晶を用いた。また、重合性カイラル剤としては、上記の化学式(15)で表される化合物を用いた。
さらに、青色顔料用のコレステリック液晶溶液には、光重合開始剤(Ciba Speciality Chemicals社製)を5重量%添加した。
そして、以上のようにして調整した青色顔料用のコレステリック液晶溶液を、PETフィルム上に(東洋紡社製)上にバーコート法により塗布した。
紫外線硬化型のネマチック液晶からなる主剤(94.7重量%)にカイラル剤(5.3重量%)を添加したモノマー混合液晶をシクロヘキサノンに溶解し、440nmに選択反射中心波長を有する青色顔料用のコレステリック液晶溶液を調整した。
なお、ネマチック液晶としては、上記の化学式(12)で表される化合物を含む液晶を用いた。また、重合性カイラル剤としては、上記の化学式(15)で表される化合物を用いた。
さらに、青色顔料用のコレステリック液晶溶液には、光重合開始剤(Ciba Speciality Chemicals社製)を5重量%添加した。
そして、以上のようにして調整した青色顔料用のコレステリック液晶溶液を、PETフィルム上に(東洋紡社製)上にバーコート法により塗布した。
次に、80℃のオーブンで90秒加熱し、配向処理(乾燥処理)を行い、溶媒が除去された青色顔料用コレステリック液晶層を得た。
その後、青色顔料用コレステリック液晶層に対して365nmの紫外線を50mW/cm2で1分間照射し、青色顔料用コレステリック液晶層を硬化させることにより、440nmに選択反射中心波長を有する青色顔料用コレステリック液晶層を得た。
その後、青色顔料用コレステリック液晶層に対して365nmの紫外線を50mW/cm2で1分間照射し、青色顔料用コレステリック液晶層を硬化させることにより、440nmに選択反射中心波長を有する青色顔料用コレステリック液晶層を得た。
次に、上記青色顔料用コレステリック液晶層の形成と同様に、ネマチック液晶とカイラル剤との混合比率を制御することにより、550nmに選択反射中心波長を有するようにし、緑色顔料用コレステリック液晶層を得た。
次に、上記各色のコレステリック液晶層を上記PETフィルムから剥離し、特表2001−514319号公報と同様の方法によって、粉砕を行った。これにより、長辺が10μm程度のコレステリック液晶顔料を得ることができた。
(コレステリック液晶層の形成)
紫外線硬化型のネマチック液晶からなる主剤(94.7重量%)にカイラル剤(5.3重量%)を添加し、600nmに選択反射中心波長を有するモノマー混合液晶をを調整した。
なお、ネマチック液晶としては、上記の化学式(12)で表される化合物を含む液晶を用いた。
また、重合性カイラル剤としては、上記の化学式(15)で表される化合物を用いた。
さらに、上記モノマー混合液晶に、光重合開始剤(Ciba Speciality Chemicals社製)を5重量%添加し、コレステリック液晶混合物とした。
紫外線硬化型のネマチック液晶からなる主剤(94.7重量%)にカイラル剤(5.3重量%)を添加し、600nmに選択反射中心波長を有するモノマー混合液晶をを調整した。
なお、ネマチック液晶としては、上記の化学式(12)で表される化合物を含む液晶を用いた。
また、重合性カイラル剤としては、上記の化学式(15)で表される化合物を用いた。
さらに、上記モノマー混合液晶に、光重合開始剤(Ciba Speciality Chemicals社製)を5重量%添加し、コレステリック液晶混合物とした。
そして、下記の材料を混合および分散させて、コレステリック液晶層形成用塗工液とした。このコレステリック液晶層形成用塗工液を、200mm□の黒色PETフィルム上に易接着層を成膜した基材(ルミラー/AC−X、パナック社製)上にバーコート法により塗布した。
次に、80℃のオーブンで90秒加熱し、配向処理(乾燥処理)を行い、溶媒が除去されたコレステリック液晶層を得た。
その後、コレステリック液晶層に対して365nmの紫外線を50mW/cm2で1分間照射し、コレステリック液晶層を硬化させることにより、コレステリック液晶層を形成した。
次に、80℃のオーブンで90秒加熱し、配向処理(乾燥処理)を行い、溶媒が除去されたコレステリック液晶層を得た。
その後、コレステリック液晶層に対して365nmの紫外線を50mW/cm2で1分間照射し、コレステリック液晶層を硬化させることにより、コレステリック液晶層を形成した。
<コレステリック液晶層形成用塗工液の材料>
コレステリック液晶顔料:青色 10%
緑色 12%
コレステリック液晶混合物(赤色) 13%
溶剤 65%
コレステリック液晶顔料:青色 10%
緑色 12%
コレステリック液晶混合物(赤色) 13%
溶剤 65%
[比較例]
市販の投影スクリーンとして、布材の表面にビーズ入りの散乱層を形成した投影スクリーン(オーエス社製)を準備した。
市販の投影スクリーンとして、布材の表面にビーズ入りの散乱層を形成した投影スクリーン(オーエス社製)を準備した。
[評価]
ここで、投影機の出射口には、出射された映像光が円偏光となるように円偏光板を配置した。また、投影機及び投影スクリーンが設置される室内の照明は、天井に設置された蛍光灯(無偏光状態の光を出射するもの)により行い、天井からおよそ50度の角度で投影スクリーン上に照明光が照射されるような関係で配置した。このとき、投影スクリーンの真下での明るさは、照度計(デジタル照度計510−02、横河M&C社製)により測定したところ、200ルクス(lx)であった。
ここで、投影機の出射口には、出射された映像光が円偏光となるように円偏光板を配置した。また、投影機及び投影スクリーンが設置される室内の照明は、天井に設置された蛍光灯(無偏光状態の光を出射するもの)により行い、天井からおよそ50度の角度で投影スクリーン上に照明光が照射されるような関係で配置した。このとき、投影スクリーンの真下での明るさは、照度計(デジタル照度計510−02、横河M&C社製)により測定したところ、200ルクス(lx)であった。
なお、投影スクリーンは、床に対して垂直に設置した。また、投影機を投影スクリーンから垂直な方向(床に平行な方向)に約2.5m離れたところに配置した。
この状態で、投影機により投影スクリーン上に映像光(白と黒のエリアがある静止映像)を投射し、映像のコントラストを測定した。具体的には、輝度計(ルミナンスメーターBM−8、トプコン社製)により、投影スクリーンの中央部の白色及び黒色の映像のそれぞれの輝度を測定し、その比をコントラスト(コントラスト=白映像の輝度÷黒映像の輝度)として表した。
次表1に、実施例および比較例に係る各投影スクリーンについてのコントラストを示した。
この状態で、投影機により投影スクリーン上に映像光(白と黒のエリアがある静止映像)を投射し、映像のコントラストを測定した。具体的には、輝度計(ルミナンスメーターBM−8、トプコン社製)により、投影スクリーンの中央部の白色及び黒色の映像のそれぞれの輝度を測定し、その比をコントラスト(コントラスト=白映像の輝度÷黒映像の輝度)として表した。
次表1に、実施例および比較例に係る各投影スクリーンについてのコントラストを示した。
実施例の投影スクリーンについては、良好に映像を認識することができた。また、コントラストは、実施例に係る投影スクリーンの方が、比較例に係る投影スクリーンに比べて約8倍向上した。
1 … 基材
2 … コレステリック液晶層
2 … コレステリック液晶層
Claims (7)
- 基材と、前記基材上に形成されたコレステリック液晶層とを有する投影スクリーンであって、前記コレステリック液晶層が、特定の偏光成分の光を選択的に反射するコレステリック液晶顔料と、特定の偏光成分の光を選択的に拡散して反射するコレステリック液晶バインダとを含有することを特徴とする投影スクリーン。
- 前記コレステリック液晶顔料が、コレステリック液晶構造の構造的な不均一性により、特定の偏光成分の光を拡散させることを特徴とする請求項1に記載の投影スクリーン。
- 前記コレステリック液晶顔料と前記コレステリック液晶バインダとの選択反射帯域が異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の投影スクリーン。
- 前記コレステリック液晶層が、選択反射帯域の異なる前記コレステリック液晶顔料を、少なくとも2種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項3に記載の投影スクリーン。
- 前記コレステリック液晶顔料および前記コレステリック液晶バインダの各含有量が、前記コレステリック液晶顔料または前記コレステリック液晶バインダの前記選択反射帯域の中心波長に比例する量であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の投影スクリーン。
- 前記コレステリック液晶層は、前記コレステリック液晶層の最大反射強度に対して半分以上の反射強度を有する波長域が、可視光域の一部のみであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の投影スクリーン。
- 前記コレステリック液晶層は、前記コレステリック液晶層に対して光が垂直に入射する場合を基準にして、選択反射中心波長が430nm〜460nm、540nm〜570nm、および580nm〜620nmの範囲に存在する光を選択的に反射することを特徴とする請求項6に記載の投影スクリーン。
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-
2003
- 2003-09-22 JP JP2003330224A patent/JP2005099158A/ja active Pending
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