JPWO2019189144A1 - フレーク及びその製造方法、並びに塗料 - Google Patents

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Abstract

当該フレークを含む層の正面方向及び傾斜方向の両方において反射色をはっきりと視認できるフレークを提供する。〔解決手段〕コレステリック規則性を有する樹脂の層の粉砕片を含み、前記樹脂の層が、コレステリック規則性が損なわれた配向欠陥を含み、前記樹脂の層のヘイズが、10%以上60%以下である、フレーク。

Description

本発明は、フレーク及びその製造方法、並びに塗料に関する。
セキュリティインク分野では、偽造防止を目的として、特殊顔料を用いることがある。このような特殊顔料の一種として、コレステリック規則性を有する樹脂(以下、適宜「コレステリック樹脂」ということがある。)を利用したものが知られている(特許文献1参照)。
特開2007−141117号公報
本発明者は、前記の特殊顔料として、コレステリック樹脂を含むフレークに着目した。このフレークを含むセキュリティインクを印刷して当該フレークを含む光学層を形成した場合、通常、その光学層を観察して視認されるフレークの反射色は、観察角度に応じて異なる。ここで、ある層の観察角度とは、その層の厚み方向に対して観察方向がなす角度を表す。よって、例えば、前記の光学層の正面方向(観察角度が0°の方向)において観察される反射色と、前記の光学層の傾斜方向(観察角度が0°より大きく90°未満の方向)において観察される反射色とは、異なることが多い。したがって、このように観察角度に応じて反射色が異なるという特異的な性質を利用して、コレステリック樹脂を含むフレークを特殊顔料として用いることが考えられる。
ところで、特殊顔料を含むセキュリティインクを印刷した印刷物としては、証紙、証券、紙幣、カード等のように、様々なものがある。また、これらの印刷物を見る環境は、明るい環境もあれば、暗い環境もありえる。さらに、前記の環境における照明は、配光角度が広い照明もあれば、配光角度が狭い照明もありえる。このように、特殊顔料を含むセキュリティインクが適用される環境は、多様である。したがって、前記の特殊顔料には、多様な照明環境下において、反射色がはっきりと視認できることが要求される。
しかし、コレステリック樹脂を含む従来のフレークは、正面方向及び傾斜方向の両方において反射色をはっきりと視認することは、難しかった。特に、正面方向における観察で反射色がはっきりと視認できる環境であっても、傾斜方向では、反射色をはっきりとは視認できないことが多い。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、当該フレークを含む層の正面方向及び傾斜方向の両方において反射色をはっきりと視認できるフレーク及びその製造方法;並びに、前記のフレークを含む塗料を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、配向欠陥に起因した光散乱性による所定の範囲のヘイズを有するコレステリック樹脂の層の粉砕片を含むフレークが、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 コレステリック規則性を有する樹脂の層の粉砕片を含み、
前記樹脂の層が、コレステリック規則性が損なわれた配向欠陥を含み、
前記樹脂の層のヘイズが、10%以上60%以下である、フレーク。
〔2〕 前記フレークが、可視域を含む1以上の反射帯域を有する、〔1〕に記載のフレーク。
〔3〕 前記反射帯域1つあたりの帯域幅が、100nm以上である、〔2〕に記載のフレーク。
〔4〕 前記フレークの平均粒径が、1μm以上500μm以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のフレーク。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のフレークの製造方法であって、
コレステリック規則性を有する樹脂の層を形成する工程と、
前記樹脂の層を粉砕する工程と、を含む、フレークの製造方法。
〔6〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のフレークと、分散媒とを含む、塗料。
本発明によれば、当該フレークを含む層の正面方向及び傾斜方向の両方において反射色をはっきりと視認できるフレーク及びその製造方法;並びに、前記のフレークを含む塗料;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るフレークを含む光学層の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るフレークを含む光学層の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るフレークを含む光学層の一例を模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。
以下の説明において、ある層の正面方向とは、別に断らない限り、ある層の厚み方向に対して平行な方向を表す。また、ある層の傾斜方向とは、別に断らない限り、ある層の厚み方向に平行でなく垂直でもない方向を表す。
[1.フレークの構造]
本発明の一実施形態に係るフレークは、コレステリック樹脂の層の粉砕片を含む。コレステリック樹脂とは、上述したように、コレステリック規則性を有する樹脂をいう。
コレステリック規則性とは、ある平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、それに重なる次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるというように、重なって配列している平面を順次透過して進むに従って当該平面中の分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。即ち、ある樹脂の層の内部の分子がコレステリック規則性を有する場合、分子は、層の内部のある第一の平面上では分子軸が一定の方向になるよう並ぶ。層の内部の、当該第一の平面に重なる次の第二の平面では、分子軸の方向が、第一の平面における分子軸の方向と、少し角度をなしてずれる。当該第二の平面にさらに重なる次の第三の平面では、分子軸の方向が、第二の平面における分子軸の方向から、さらに角度をなしてずれる。このように、重なって配列している平面において、当該平面中の分子軸の角度が順次ずれて(ねじれて)いく。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は、通常はらせん構造であり、光学的にカイラルな構造である。
コレステリック樹脂の層として、本実施形態では、配向欠陥を含むものを用いる。配向欠陥とは、コレステリック樹脂のコレステリック規則性が損なわれた部分をいう。このような配向欠陥においては、分子は、通常、周囲の分子とは異なる方向に配向している。そのため、このような配向欠陥では、一般に、屈折、反射、回折等の光学現象が生じる。よって、配向欠陥を含むコレステリック樹脂は、光を散乱させる散乱性を有する。
配向欠陥による散乱性により、コレステリック樹脂の層は、特定の範囲のヘイズを有する。コレステリック樹脂の層の具体的なヘイズの範囲は、通常10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上であり、通常60%以下、好ましくは55%以下、より好ましくは50%以下である。コレステリック樹脂の層のヘイズが、前記範囲の下限値以上である場合に、フレークを含む光学層の正面方向及び傾斜方向の両方においてフレークの反射色の視認性を向上させることができる。また、コレステリック樹脂の層のヘイズが、前記範囲の上限値以下である場合に、ブルーシフトの程度を大きくできるので、フレークを含む光学層の観察角度に応じた反射色の違いを大きくできる。
コレステリック樹脂の層のヘイズは、例えば、コレステリック樹脂の層の製造方法に含まれる配向処理の条件を調整する方法;コレステリック樹脂の層の厚みを調整する方法;などによって調整できる。具体的には、配向処理の際に配向温度が低いほど、配向欠陥が生じ易いので、ヘイズを高めることができる。また、コレステリック樹脂が厚いほど、配向欠陥が生じ易いので、ヘイズを高めることができる。
コレステリック樹脂の層のヘイズは、粉砕前のコレステリック樹脂の層を用いて、ヘイズメーターにより測定できる。具体的な測定方法は、実施例において説明した方法を採用できる。
コレステリック樹脂の層は、通常、円偏光分離機能を有する。すなわち、コレステリック樹脂の層は、右円偏光及び左円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ、他方の円偏光の一部又は全部を反射させる性質を有する円偏光分離膜として機能できる。コレステリック樹脂の層における反射は、円偏光を、そのキラリティを維持したまま反射する。以下の説明において、このように円偏光分離機能が発揮される波長範囲を、「反射帯域」ということがある。この反射帯域を調整することにより、その反射帯域に応じた色の円偏光をフレークは反射できる。よって、反射帯域を調整することにより、フレークの反射色を調整することが可能である。
円偏光分離機能を発揮する具体的な波長は、一般に、コレステリック樹脂の層におけるらせん構造のピッチに依存する。らせん構造のピッチとは、らせん構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離である。このらせん構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。
例えば、液晶化合物を用いて形成されるコレステリック樹脂の層では、螺旋構造において分子軸が捩れる時の回転軸を表す螺旋軸と、コレステリック樹脂の層の法線とが平行である場合、螺旋構造のピッチpと反射される円偏光の波長λとは、通常、式(X)および式(Y)の関係を有する。
式(X):λ=n×p×cosθ
式(Y):n×p×cosθ≦λ≦n×p×cosθ
式(X)及び式(Y)中、λは反射帯域の中心波長(以下、「反射中心波長」ということがある。)を表し、nは液晶化合物の短軸方向の屈折率を表し、nは前記液晶化合物の長軸方向の屈折率を表し、nは(n+n)/2を表し、pは螺旋構造のピッチを表し、θは光の入射角(面の法線との間になす角度)を表す。
したがって、反射中心波長λは、コレステリック樹脂の層における重合体の螺旋構造のピッチpに依存する。この螺旋構造のピッチpを変えることによって、反射帯域を変えることができる。よって、螺旋構造のピッチpは、コレステリック樹脂の層に反射させたい円偏光の波長に応じて設定することが好ましい。ピッチpを調整する方法としては、例えば、特開2009−300662号公報に記載の方法を用いうる。具体例を挙げると、コレステリック液晶組成物において、カイラル剤の種類を調整したり、カイラル剤の量を調整したりする方法が挙げられる。
また、前記の式(X)及び式(Y)から分かるように、反射帯域は、光の入射角に応じて変化する。よって、コレステリック樹脂の層には、通常、入射角が大きくなるほど反射帯域が低波長側にシフトするブルーシフトと呼ばれる現象が生じる。
コレステリック樹脂の層としては、例えば、(i)らせん構造のピッチの大きさを段階的に変化させたコレステリック樹脂の層、及び、(ii)らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂の層、等が挙げられる。
(i)らせん構造のピッチを段階的に変化させたコレステリック樹脂の層は、例えば、らせん構造のピッチが異なる複数のコレステリック樹脂の層を積層することによって得ることができる。積層は、予めらせん構造のピッチが異なる複数のコレステリック樹脂の層を作製した後に、各層を粘着剤又は接着剤を介して固着することによって行なうことができる。または、積層は、あるコレステリック樹脂の層を形成した上に、別のコレステリック樹脂の層を順次形成していくことによって行なうこともできる。
(ii)らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂の層は、例えば、液晶組成物の層に、1回以上の活性エネルギー線の照射処理及び/又は加温処理を含む広帯域化処理を施した後で、その液晶組成物の層を硬化させて得ることができる。前記の広帯域化処理によれば、らせん構造のピッチを厚み方向において連続的に変化させることができるので、コレステリック樹脂の層の反射帯域を拡張することができ、そのため、広帯域化処理と呼ばれる。
コレステリック樹脂の層は、1層のみからなる単層構造の層でもよく、2層以上の層を含む複層構造の層であってもよい。コレステリック樹脂の層に含まれる層の数は、製造のし易さの観点から、1層〜100層であることが好ましく、1層〜20層であることがより好ましい。
コレステリック樹脂の層の屈折率異方性Δnは、作製するフレークの反射帯域に応じて適宜選択することができる。例えば、反射帯域が狭く色純度の高いフレークを作製する場合は、0.2以下の屈折率異方性Δnをもつコレステリック樹脂の層を用いるのが好ましい。また、混色や多色さらには可視域全域で反射帯域をもつフレークを作製する場合は、0.2以上の大きい屈折率異方性Δnを持つコレステリック樹脂の層が好ましい。ただし、反射率を確保するために必要な厚みを薄くして、厚みによるコレステリック樹脂の層のヘイズの調整を容易にする観点では、コレステリック樹脂の層の屈折率異方性Δnは0.05以上が好ましい。屈折率異方性Δnが0.30以上であると、紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。ここで、屈折率異方性Δnは、セナルモン法により測定しうる。屈折率異方性Δnの上限は、例えば、0.25以下でありうる。
本実施形態に係るフレークが上述したコレステリック樹脂の層の粉砕片を含むので、当該フレークは、通常、コレステリック樹脂の層を含む。以下の説明においては、適宜、粉砕される前のコレステリック樹脂の層を「コレステリック原反層」、フレークに包含される粉砕後のコレステリック樹脂の層を「コレステリック粉砕層」と呼び分けることがある。
コレステリック粉砕層を含むので、フレークは、通常、単一又は異なる複数の反射帯域を有する。なかでも、フレークは、可視域を含む1以上の反射帯域を有することが好ましい。可視域とは、具体的には、通常400nm以上800nm以下の波長域をいう。また、反射帯域が可視域を含むとは、反射帯域が可視域の少なくとも一部を含むことをいう。さらに、反射帯域の具体的な波長範囲は、分光器(例えば、日本分光株式会社「V570」)を使用して測定される反射スペクトルにおいて、反射ピークの半値幅に相当する波長範囲(即ち、強度がピーク強度の50%以上となる波長範囲)として測定できる。前記の測定は、通常、光の入射角5°、検出角0°の測定条件で行われる。このように可視域に反射帯域を有するフレークは、肉眼により当該フレークの反射光を視認できる。よって、このようなフレークは、広範な用途への適用が可能である。
フレークが可視域に反射帯域を有する場合、可視域にある反射帯域の数は、1でもよく、2以上でもよい。例えば、帯域幅の狭い反射帯域を1つだけ可視域に有するフレークは、その反射帯域に対応した単色(例えば、赤色、緑色、青色等)の反射光を得ることができる。また、例えば、可視域全体を覆うほど帯域幅の広い反射帯域を1つだけ可視域に有するフレークは、その反射帯域に対応した混色(通常は、銀色)の反射光を得ることができる。さらに、例えば、2以上の反射帯域を可視域に有するフレークは、それらの反射帯域それぞれに対応する色の混色の反射光を得ることができる。
前記の反射帯域1つ当たりの帯域幅は、好ましくは100nm以上、好ましくは200nm以上、特に好ましくは400nm以上である。特に、フレークは、可視域において前記の帯域幅を有する反射帯域を有することがより好ましい。これにより、フレーク単体当たりの反射光量を上げることが可能となり、より意匠性及び視認性に優れた塗料を得ることができる。反射帯域1つ当たりの帯域幅の上限は、300nm以下でありうる。
反射帯域の帯域幅は、分光器(例えば、日本分光株式会社「V570」)を使用して反射スペクトルを測定し、その反射スペクトルに基づいて算出できる。より具体的には、測定した反射スペクトルにおける反射ピークの半値幅の値を、反射帯域の帯域幅の値とすることができる。前記の測定は、通常、光の入射角5°、検出角0°の測定条件で行われる。
上述したように、コレステリック樹脂を含むコレステリック粉砕層では、通常、ブルーシフトが生じる。よって、フレークを観察した場合に、通常は、観察角度に応じて異なる反射色が視認される。一般には、観察角度が小さい場合に視認される色が、観察角度が大きくなるにしたがい、波長が短い側の色に変化していく。例えば、観察角度が小さい場合に緑色が視認される場合は、観察角度が大きくなるにしたがい青色が視認される。ただし、青色領域と赤外領域とに反射帯域を持つフレークの場合、ブルーシフトとは逆のレッドシフトとよばれる色変化を生じることが可能である。このようなレッドシフトでは、例えば、観察角度が小さい場合には、青色が視認でされるが、観察角度が大きくなるに従い赤色が視認される。
フレークは、コレステリック粉砕層に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。例えば、コレステリック原反層及び任意の層を組み合わせて含む複層フィルムを粉砕してフレークを製造した場合には、そのフレークは、コレステリック粉砕層及び任意の層を含みうる。
フレークは、コレステリック原反層を粉砕した粉砕片を含むので、通常、薄片形状を有する。このような薄片形状を有するフレークは、当該フレークを含む塗料を塗工して層を得た場合に、塗工時のせん断力により、当該層の層平面とコレステリック粉砕層の層平面とが平行になるように配向する傾向がある。
フレークの平均粒径は、フレークの反射色の視認性を高める観点から、好ましくは1μm以上であり、また、塗料の塗工性を良好にする観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。
フレークの平均粒径は、実施例に記載の方法によって測定できる。
[2.フレークの製造方法]
本実施形態に係るフレークは、通常、コレステリック原反層を形成する工程と;前記コレステリック原反層を粉砕する工程と;を含む製造方法によって、製造できる。
コレステリック原反層を形成する工程では、例えば、コレステリック原反層形成用の適切な支持体上にコレステリック液晶組成物の層を設け、前記層を硬化してコレステリック原反層を得る。便宜上「液晶組成物」と称する材料は、2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。また、コレステリック液晶組成物とは、当該液晶組成物に含まれる液晶化合物を配向させた場合に、液晶化合物がコレステリック規則性を有した液晶相(コレステリック液晶相)を呈することができる組成物をいう。
コレステリック液晶組成物としては、液晶化合物を含み、更に必要に応じて任意の成分を含む液晶組成物を用いることができる。液晶化合物としては、高分子化合物である液晶化合物、及び重合性液晶化合物を用いることができる。高い熱安定性を得る上では、重合性液晶化合物を用いることが好ましい。重合性液晶化合物を、コレステリック規則性を呈した状態で重合させることにより、コレステリック液晶組成物の層を硬化させ、コレステリック規則性を呈したまま硬化した非液晶性のコレステリック樹脂の層を得ることができる。コレステリック液晶組成物としては、例えば、国際公開第2016/002765号に記載されたものを用いることができる。
支持体としては、通常、コレステリック液晶組成物の層を支持できる平坦な支持面を有する任意の部材を用いることができる。このような支持体として、通常は、樹脂フィルムを用いる。また、支持体の支持面には、コレステリック液晶組成物の層における液晶化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていてもよい。ここで、ある面の配向規制力とは、コレステリック液晶組成物中の液晶化合物を配向させうる、その面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するための前記の処理としては、例えば、ラビング処理、配向膜形成処理、延伸処理、イオンビーム配向処理等が挙げられる。
通常は、コレステリック液晶組成物を支持体の支持面に塗工することにより、コレステリック液晶組成物の層を設ける。コレステリック液晶組成物の層の厚みは、目的とするコレステリック原反層の厚みに応じて設定しうる。また、コレステリック液晶組成物の層の厚みは、コレステリック原反層のヘイズに応じて設定することが好ましい。一般に、コレステリック液晶組成物の層が厚いほど、厚いコレステリック原反層が得られる。そして、コレステリック原反層が厚いほど、コレステリック原反層のヘイズを高めることができる。したがって、支持面に形成するコレステリック液晶組成物の層の厚みの調整により、コレステリック原反層のヘイズを調整することができる。
コレステリック液晶組成物の塗工方法は、任意である。塗工方法の例としては、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
コレステリック液晶組成物の層を設けた後で、必要に応じて、コレステリック液晶組成物の層に配向処理を施してもよい。配向処理は、通常、コレステリック液晶組成物の層を、所定の配向温度に加温することによって行われる。このような配向処理を施すことにより、コレステリック液晶組成物に含まれる液晶化合物が配向し、コレステリック規則性を呈した状態となる。
配向温度は、液晶化合物の配向が進行する範囲で、任意に設定できる。ただし、配向温度は、コレステリック原反層のヘイズに応じて設定することが好ましい。一般に、配向温度が低いほど、コレステリック原反層のヘイズを高めることができる。したがって、配向温度の調整によって、コレステリック原反層のヘイズを調整することができる。具体的な配向温度は、コレステリック液晶組成物の組成に応じて調整されるが、例えば、50℃〜150℃の範囲で、所望の値のヘイズが得られるように設定される。
配向処理では、通常、コレステリック液晶組成物の層を、所定の時間だけ、前記の配向温度に加温する。この際の処理時間は、液晶化合物の配向が進行する範囲で任意に設定でき、例えば、0.5分間〜10分間でありうる。
ただし、コレステリック液晶組成物に含まれる液晶化合物の配向は、コレステリック液晶組成物の塗工により直ちに達成される場合がありえる。そのため、配向処理は、必ずしもコレステリック液晶組成物の層に施さなくてもよい。
液晶化合物を配向させた後で、コレステリック液晶組成物の層を硬化させて、コレステリック原反層が得られる。この工程では、通常、コレステリック液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物等の重合成分を重合させて、コレステリック液晶組成物の層を硬化させる。重合方法としては、コレステリック液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。また、活性エネルギー線の照射によってコレステリック液晶組成物の層を硬化させる場合、照射される活性エネルギー線の強度は、例えば、50mJ/cm〜10,000mJ/cm2でありうる。
また、液晶化合物を配向させた後、コレステリック液晶組成物の層を硬化させる前に、コレステリック液晶組成物の層に広帯域化処理を施してもよい。このような広帯域化処理は、例えば、1回以上の活性エネルギー線の照射処理と加温処理との組み合わせにより行うことができる。広帯域化処理における照射処理は、例えば、波長200nm〜500nmの光を0.01秒〜3分照射することにより行うことができる。この際、照射される光のエネルギーは、例えば、0.01mJ/cm〜50mJ/cm2としうる。また、加熱処理は、例えば、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは140℃以下の温度に加熱することにより行うことができる。この際の加熱時間は、好ましくは1秒以上、より好ましくは5秒以上、また、通常3分以下、好ましくは120秒以下の時間としうる。このような広帯域化処理を行うことにより、らせん構造のピッチの大きさを連続的に大きく変化させて、広い反射帯域を得ることができる。
前記の活性エネルギー線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)で行ってもよい。
前記のコレステリック液晶組成物の塗工及び硬化の工程は、1回に限られず、塗工及び硬化を複数回繰り返して行ってもよい。これにより、2層以上を含む厚いコレステリック樹脂層が得られる。
前述した方法によってコレステリック原反層を製造する場合、コレステリック規則性におけるねじれ方向は、使用するカイラル剤の構造により適宜選択できる。例えば、ねじれを右方向とする場合には、右旋性を付与するカイラル剤を含むコレステリック液晶組成物を用い、ねじれ方向を左方向とする場合には、左旋性を付与するカイラル剤を含むコレステリック液晶組成物を用いる。
コレステリック原反層の厚さは、十分な反射率を得る上で、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。また、コレステリック原反層の透明性を得る上で、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
前記の工程によれば、通常、支持体上にコレステリック原反層が得られる。そこで、コレステリック原反層を粉砕する工程の前に、必要に応じて、支持体を剥離する工程を行ってもよい。剥離方法は任意であり、例えば、特開2015−27743号公報に記載の方法を用いてもよい。
コレステリック原反層を用意した後で、コレステリック原反層を粉砕する工程を行う。コレステリック原反層を粉砕することにより、コレステリック原反層の粉砕片としてのコレステリック粉砕層を含むフレークが得られる。粉砕方法は、任意である。粉砕装置としては、例えば、ハンマークラッシャー、カッターミル、ハンマーミル、ビーズミル、振動ミル、流星型ボールミル、サンドミル、ボールミル、ロールミル、三本ロールミル、ジェットミル、高速回転式粉砕機、微粉砕機・解砕整粒機、ナノジェットマイザー等が挙げられる。
上述したフレークの製造方法は、更に、任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、例えば、フレークを分級する工程などが挙げられる。
[3.塗料]
上述したフレークは、例えば、塗料用の顔料として用いることができる。このような塗料は、前記のフレークを含む流体状の材料である。ここで、流体状とは、低粘度の液体状態だけでなく、高粘度のゲル状態も含む。塗料の具体的な粘度は、その塗料の用途に応じて適切に調整しうる。塗料が含むフレークは、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
通常、塗料は、フレークに組み合わせて分散媒を含む。この塗料において、フレークは、通常、前記の分散媒中に分散している。分散媒としては、例えば、水等の無機溶媒を用いてもよいが、通常は有機溶媒を用いる。有機溶媒の例を挙げると、ケトン化合物、アルキルハライド化合物、アミド化合物、スルホキシド化合物、ヘテロ環化合物、炭化水素化合物、エステル化合物、およびエーテル化合物などの有機溶媒が挙げられる。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン化合物が好ましい。また、分散媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
分散媒の量は、フレーク100重量部に対して、好ましくは40重量部以上、より好ましくは60重量部以上、特に好ましくは80重量部以上であり、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは800重量部以下、特に好ましくは600重量部以下である。分散媒の量を前記範囲とすることで、塗料の塗工性を良好にすることができる。
また、塗料は、分散媒の乾燥後にフレークを結着させるためのバインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、通常、重合体を用いる。その重合体の例としては、ポリエステル系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリビニル系ポリマーなどが挙げられる。バインダーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
バインダーの量は、フレーク100重量部に対して、好ましくは20重量部以上、より好ましくは40重量部以上、特に好ましくは60重量部以上であり、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは800重量部以下、特に好ましくは600重量部以下である。バインダーの量を前記範囲とすることで、塗料の塗工性を良好にすることができる。また、分散媒の乾燥後にフレークを安定して結着することができる。
また、前記の塗料は、バインダーとしての重合体の代わりに、又は重合体と組み合わせて、その重合体の単量体を含んでいてもよい。この場合、塗料を適切な部材に塗工し、乾燥させた後で単量体を重合させることにより、フレーク及びバインダーを含む光学層を製造できる。さらに、単量体を含む塗料は、更に重合開始剤を含むことが好ましい。
塗料は、フレーク、分散媒及びバインダー以外に、任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブルーイング剤等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[4.フレークの使用方法及び効果]
前記のフレークは、通常、当該フレークを含む光学層の製造に用いられる。このような光学層は、塗料を適切な部材に塗工し、塗工により形成された塗料の層を硬化させて、製造できる。塗料の層の硬化は、例えば、塗料の層を乾燥させたり、塗料の層に含まれる単量体を重合させたりする方法によって、達成できる。
この光学層は、前記のフレークを含む。よって、光学層に光が照射されると、コレステリック樹脂の円偏光分離機能に対応した反射帯域の円偏光が、フレークによって反射される。したがって、観察者は、前記のように反射した円偏光の波長に応じた反射色を視認できる。特に、上述した実施形態に係るフレークを用いた場合、光学層の正面方向及び傾斜方向の両方において、観察者は反射色をはっきりと視認できる。
上述したように正面方向及び傾斜方向の両方において高い視認性が達成される仕組みは、下記のとおりであるものと、本発明者は推察する。ただし、下記に説明する仕組みは、本発明の技術的範囲を制限するものでは無い。
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係るフレーク100を含む光学層10の一例を模式的に示す断面図である。
図1〜図3に示すように、フレーク100及びバインダー200を含む光学層10の例を考える。ここで示す例では、フレーク100は、光学層10の層平面に平行に配向しており、したがって、そのフレーク100が含むコレステリック粉砕層110の層平面と光学層10の層平面とは平行になっている。また、このコレステリック粉砕層110は、上述した特定の範囲のヘイズを有するコレステリック原反層(図示せず。)を粉砕して得られたものであり、配向欠陥120を含む。このようなフレーク100に光が入射すると、コレステリック樹脂の円偏光分離機能に対応した反射帯域の円偏光が、コレステリック粉砕層110で反射する。
図1及び図2に示すように、フレーク100が受ける光量は、通常、光の入射角に応じて異なる。よって、図1に示すように入射角が小さい正面方向の光A1を、フレーク100は、相対的に大きな光量で受ける傾向がある。他方、図2に示すように、入射角が大きい傾斜方向の光A2を、フレーク100は、相対的に小さな光量で受ける傾向がある。したがって、仮に配向欠陥120が無い場合には、光学層10の正面方向では大きな光量の反射が生じるが、光学層10の傾斜方向では小さい光量の反射が生じる。よって、従来のフレークを用いた場合には、傾斜方向から見たフレークの反射色を視認し難かった。
これに対し、本実施形態のようにフレーク100が配向欠陥120を含んでいると、図3に示すように、配向欠陥120が光の散乱を生じる。よって、正面方向において入射した光A1の一部が、散乱の作用によって進行方向を変化させられて、反射後に傾斜方向へと出て行く。したがって、傾斜方向において観察者が視ることができる光量を多くできるので、傾斜方向での反射色の視認性を高めることができる。そのため、光学層10の正面方向及び傾斜方向の両方において、観察者は反射色をはっきりと視認できる。
図3では、配向欠陥120で散乱された光が、その配向欠陥120を含むフレーク100で反射された例を示したが、配向欠陥120で散乱された光は、その配向欠陥120を含むフレーク100とは別のフレーク(図示せず。)によって反射されることも有りえる。また、図3では、配向欠陥120での散乱によって、フレーク100で反射される前に光A1の進行方向が変化させられた例を示したが、フレーク100によって反射された後の円偏光としての光A1が、配向欠陥120での散乱によって、進行方向が変化させられることもありえる。
さらに、フレーク100が含むコレステリック粉砕層110の層平面が、光学層10の層平面に平行でない場合も、前記と同じ仕組みで効果が得られると考えられる。すなわち、散乱の作用によれば、光の進行方向による光量のバラツキを抑制することが可能であるので、観察角度に依らず観察者は反射色をはっきりと視認できる。
光学層においては、一般に、フレークが全体として一定の方向に配向している。よって、そのフレークに含まれるコレステリック粉砕層の層平面も、通常は、全体として一定の方向に配向している。多くの場合、フレークは、光学層の層平面と平行に配向し、したがって、コレステリック粉砕層の層平面も、光学層の層平面と平行になっていることが多い。このようにフレークが全体として一定の方向に配向している場合、光学層を観察した観察者は、光学層の全体として均一なフレークの反射色を視認することができる。
また、フレークでの反射色はブルーシフトの影響により変化できるので、当該フレークを含む光学層を観察して視認される反射色は、通常、その光学層に対する観察角度に応じて変化できる。一般には、光学層の厚み方向に対してなす観察角度が0°である正面方向に比べ、前記の観察角度が大きい傾斜方向の方が、より青色に近い反射色が視認される傾向がある。
[5.用途]
上述したフレーク及び塗料は、例えば、偽造防止のためのセキュリティ製品として用いることができる。
例えば、前記のフレーク又は塗料を用いて形成された光学層は、上述したように、観察角度に応じて視認される反射色が変化する。よって、印刷等の方法によって物品に光学層を形成した場合、その光学層を観察し、顔料の色が観察角度に応じて変化すれば、その物品が真正なものであると判定できる。
また、例えば、フレークが含むコレステリック粉砕層の円偏光分離機能を利用して、真正性の判定を行ってもよい。フレークは、通常、右円偏光及び左円偏光の一方のみを反射する。よって、フレークを含む光学層は、右円偏光板を用いて観察した場合と、左円偏光板を用いて観察した場合とで、異なる像が視認される。よって、このように右円偏光板を用いて観察される像と左円偏光板を用いて観察される像とが異なっていれば、その光学層が形成された物品が真正なものであると判定できる。
前記のような光学層を形成する対象としての対象物に制限は無く、広範な物品を採用できる。対象物の例としては、衣類等の布製品;カバン、靴等の皮革製品;ネジ等の金属製品;値札等の紙製品;タイヤ等のゴム製品;が挙げられるが、対象物はこれらの例に限定されない。また、前記の光学層は、意匠性又は情報性を付与するため、図案、数字、記号、識別子(バーコート等)のような所定の平面形状で形成してもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[評価方法]
〔ヘイズの測定方法〕
平板状のガラス板の片面に、コロナ処理を施した。また、実施例又は比較例で製造したコレステリック原反層の表面に、コロナ処理を施した。ガラス板のコロナ処理面と、コレステリック原反層のコロナ処理面とを接触させ、温度40℃で5MPaの圧力でプレスして、貼り合わせた。その後、支持体を剥離して、「ガラス板/コレステリック原反層」の層構成を有する試料を得た。この試料を用いて、ヘイズメーター(日本電色株式会社製「NDH−5000」)により、コレステリック原反層のヘイズを測定した。
〔フレークの平均粒径の測定方法〕
フレークの平均粒径は、次の方法により測定した。まず、目開きの異なるいくつかの篩を用いて、その目開きを有する篩を通過するフレークの割合を測定した。そして、目開きの大きさと、その目開きを有する篩を通過するフレークの割合から、フレークの粒径分布を積算重量百分率で表した。この粒径分布において、その重量の積算値が50%の粒径を、平均粒径として採用した。
〔反射帯域の波長範囲及び帯域幅の測定方法〕
前記の〔ヘイズの測定方法〕で用意した試料を用いて、コレステリック原反層の反射スペクトルを、分光器(日本分光株式会社「V570」)を使用して測定した。前記の測定は、光の入射角5°、検出角0°の測定条件で行った。測定された反射スペクトルにおいて、反射率が30%以上となる反射ピークを、反射帯域を示す反射ピークとして特定した。この反射ピークの半値幅に相当する波長範囲を、反射帯域として求めた。また、反射ピークの半値幅の値を、反射帯域の帯域幅の値として求めた。
〔フレークの反射色の評価方法〕
実施例又は比較例で製造した光学層を、目視観察した。この観察は、(1)白色蛍光灯の照明下、及び(2)自動車のルームランプ下で、それぞれ行った。さらに、前記の観察は、(i)光学層の正面方向、及び(ii)光学層の傾斜方向とで、それぞれ行った。観察されるフレークの反射色に応じて、下記の基準に基づいて、評価を行った。
「A」:はっきりと鮮やかな反射色が認識できた。
「B」:はっきりではないが、反射色自体が認識できた。
「C」:反射色をかろうじて認識できた。
「D」:反射色を認識できなかった。
〔色変化の評価方法〕
実施例又は比較例で製造した光学層を、白色蛍光灯の照明下で、目視観察した。この目視観察は、最初は(i)光学層の正面方向において行い、その後、観察角度を大きくして(ii)光学層の傾斜方向において行った。このように観察方向を光学層の正面方向から傾斜方向へと変化させた場合に生じる反射色の色変化(ブルーシフト)に応じて、下記の基準に基づいて、評価を行った。
「A」:観察角度が大きくなることで、反射色が急激にはっきりと変化したことが、認識できた。
「B」:観察角度が大きくなることで、反射色が急激にではないがはっきりと変化したことが、認識できた。
「C」:観察角度が大きくなることで、反射色が変化したことが、かろうじて認識できた。
「D」:観察角度が大きくしても、反射色の変化が緩やかであり、色変化が認識できなかった。
[実施例1]
(1−1.コレステリック液晶組成物の製造)
下記式(X1)で表される屈折率異方性Δn0.24の化合物25.5部、下記式(Y1)で表される重合性の液晶化合物11部、カイラル剤(BASF社製「LC756」)2.3部、重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュアOXE02」)1.2部、界面活性剤(ネオス社製「フタージェント209F」)0.04部、及び溶媒としてシクロペンタノン60部を混合して、コレステリック液晶組成物を調製した。
Figure 2019189144
Figure 2019189144
前記の式(X1)で表される化合物は、特許第5365519号公報に記載された方法に従い製造したものを使用した。また、前記の式(Y1)で表される化合物は、特許第4054392号公報に記載された方法に従い製造したものを使用した。
(1−2.円偏光分離膜の製造)
支持体として、片面に易接着処理面を有するポリエステルフィルム(東洋紡製「コスモシャインA4100」、厚み100μm)を用意した。この支持体の易接着処理面とは反対側の面に、ラビング処理を施した。その後、このラビング処理面に、コレステリック液晶組成物を♯12のワイヤーバーを使用して塗工し、液晶組成物の層を形成した。
液晶組成物の層に、80℃で5分間加温する配向処理を施した。その後、液晶組成物の層に対して、20.7mJ/cmの微弱な紫外線を照射するUV照射処理と、それに続く100℃で1分間加温する加温処理とからなる広帯域化処理を施した。その後、液晶組成物の層に800mJ/cmの紫外線を照射して硬化させた。これにより、支持体上に、厚み5.2μm、450nm〜700nmの波長範囲に帯域幅250nmの反射帯域を有する円偏光分離膜としてのコレステリック原反層を得た。このコレステリック原反層のヘイズを、上述した測定方法で測定した。
(1−3.フレークの製造)
水流を吹き付けることにより、支持体からコレステリック原反層を剥がした。このコレステリック原反層を、カウンタージェットミルを用いて粉砕して、平均粒径20μmの鱗片状フィラーとしてのフレークを得た。
(1−4.塗料の製造)
前記のフレーク20重量部、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業社製「ユニディック17−806」)80重量部、及び、紫外線重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア187」)2重量部を、トルエン中に分散させて、固形分濃度20重量%の塗料を製造した。
(1−5.光学層の製造)
ノルボルネン系樹脂で形成された厚み100μmの樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZF14−100」)上に、前記の塗料を、アプリケーターを用いて塗工し、乾燥させ、更に100℃で2分間加熱して、塗膜を形成した。その後、この塗膜に、紫外線照射器(ウシオ電機社製「UVC321AM1」)を用いて、50mW/cm×1秒間の紫外線を照射して、当該塗膜を硬化させて、厚み50μmの光学層を得た。得られた光学層を観察したところ、観察角度に応じて、光学層の色調が変化した。
このようにして得られた光学層を、上述した評価方法に従って評価した。
[実施例2]
ワイヤバーの番手を#8に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作により、光学層の製造及び評価を行った。この実施例2では、得られたコレステリック原反層は、厚みは3.7μmであり、2つの反射帯域を有していた。一方の反射帯域は、400nm〜500nmの波長範囲に帯域幅100nmを有していた。他方の反射帯域は、550nm〜650nmの波長範囲に帯域幅100nmを有していた。
[実施例3]
ワイヤーバーの番手を#18に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作により、光学層の製造及び評価を行った。この実施例3では、得られたコレステリック原反層は、厚みは8.6μmであり、450nm〜650nmの波長範囲に帯域幅200nmの反射帯域を有していた。
[実施例4]
広帯域化処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同じ操作により、光学層の製造及び評価を行った。この実施例4で得られたコレステリック原反層は、500nm〜650nmの波長範囲に帯域幅150nmの反射帯域を有していた。
[比較例1]
配向処理の温度を130℃に変更したこと以外は、実施例2と同じ操作により、光学層の製造及び評価を行った。この比較例1では、得られたコレステリック原反層は、厚みは3.6μmであり、2つの反射帯域を有していた。一方の反射帯域は、400nm〜500nmの波長範囲に帯域幅100nmを有していた。他方の反射帯域は、550nm〜650nmの波長範囲に帯域幅100nmを有していた。
[比較例2]
支持体の易接着処理面とは反対側の面へのラビング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ操作により、光学層の製造及び評価を行った。この比較例2で得られたコレステリック原反層に含まれる液晶化合物は、層全体として配向をするのではなく、小さいセグメント毎に配向を生じていた。よって、比較例2で得られたコレステリック原反層は、前記のセグメントの集合となっており、層全体としてはコレステリック規則性を有さず、多数の配向欠陥が生じていた。また、このコレステリック原反層は、明確な反射帯域を示さず、全体として白濁していた。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。
Figure 2019189144
10 光学層
100 フレーク
110 コレステリック粉砕層
120 配向欠陥
200 バインダー

Claims (6)

  1. コレステリック規則性を有する樹脂の層の粉砕片を含み、
    前記樹脂の層が、コレステリック規則性が損なわれた配向欠陥を含み、
    前記樹脂の層のヘイズが、10%以上60%以下である、フレーク。
  2. 前記フレークが、可視域を含む1以上の反射帯域を有する、請求項1に記載のフレーク。
  3. 前記反射帯域1つあたりの帯域幅が、100nm以上である、請求項2に記載のフレーク。
  4. 前記フレークの平均粒径が、1μm以上500μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のフレーク。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレークの製造方法であって、
    コレステリック規則性を有する樹脂の層を形成する工程と、
    前記樹脂の層を粉砕する工程と、を含む、フレークの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレークと、分散媒とを含む、塗料。
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