JP2005098905A - ガラス中の異物検出方法と検出装置 - Google Patents

ガラス中の異物検出方法と検出装置 Download PDF

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一哲 結城
Hiroaki Kato
浩昭 加藤
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Abstract

【課題】従来着目されていなかったマイクロ波を利用することにより、ガラス中に存在するNiSを他の異物と完全に区別化して検出できる異物検査方法と検査装置。
【解決手段】ガラス1中に存在するNiS7(硫化ニッケル)の有無を検出するガラス中の異物検出方法と検出装置で、検出対象となるガラス1にマイクロ波を照射した後、そのガラス1の温度を測定して測定温度の変化に基づいて、ガラス1中に存在するNiS7の有無を検出する検出方法と、検出対象となるガラス1にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置3と、ガラス1の温度を測定する温度測定装置4を備えている異物検出装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス中に存在するNiS(硫化ニッケル)の有無を検出するガラス中の異物検出方法と検出装置に関する。
ガラス中に存在する硫化ニッケル(以下「NiS」と称する)は、ガラスの製造に際してガラス原料を破砕するステンレス製破砕機の表面から剥離して混入するNi成分と、ガラス原料中に含まれる芒硝(Na2SO4)のS成分が結合してできるものと考えられている。
そのNiSは、高温で安定なα−NiSから低温で安定なβ−NiSに転移し、その際、NiSの体積が4%程度増大して内部応力発生の原因となるため、NiSの混入したガラスは、製品として好ましいものではない。
特に、建築物や自動車用の窓ガラスとして使用される熱強化板ガラスでは、強化後の板ガラス中に粒径100μm以上のNiSが存在すると、その熱強化板ガラスがNiSの存在によって自然破壊することが知られており、場合によっては、粒径20μm以上のNiSでも自然破壊することがある。
すなわち、熱強化板ガラスは、板ガラスを軟化点近傍まで加熱して急冷することによって、板ガラス表面に圧縮応力を残存させ、板ガラス内部に引張り応力を残存させて、例えば、板ガラスに他物が当接した際、板ガラス表面に生じる引張り応力を板ガラス表面に残存する圧縮応力により相殺させることで強化を図っている。
しかし、このような熱強化板ガラス中にNiSが存在すると、上述した体積の増加によってNiS周辺に小さな亀裂が発生し、残存する引張り応力により亀裂が進行して自然破壊することが知られている。
そこで、従来では、熱強化処理後の板ガラスを再度200〜300℃以下に加熱して所定時間維持し、その後に徐冷する熱処理(一般に「ソーク処理」と称される)を行って、熱強化板ガラス中に存在するα−NiSを積極的にβ−NiSに転移させて自然破壊を誘発し、ソーク処理により自然破壊しなかった熱強化板ガラスのみを製品として出荷する処置がとられていた。
しかし、このような従来の方法では、熱強化処理を行った後にNiSの存在を検出する結果となり、熱強化板ガラスの歩留まりが悪くて製造効率が著しく低下することになる。
そのため、従来、熱強化処理前の板ガラスにレーザービームを投射してNiSの有無を検出する方法や装置(例えば、特許文献1参照)、あるいは、板ガラスに高周波蛍光灯からの光を面状にして照射し、それをCCDカメラで撮像して検出する方法や装置(例えば、特許文献2参照)など、種々の方法や装置が提案されている。
特開昭54−39681号公報(図1〜図11)
特開平11−337504号公報(図1〜図3)
しかし、レーザービームを使用するものでは、ガラスの表面に存在する疵やごみ、あるいは、ガラス中に存在する泡とNiSとの区別が困難であり、また、光を使用するものでは、ガラス中に存在する錫や黒異物のような遮光性異物とNiSとの区別が困難であり、これまでに提案された方法や装置では、いずれも一長一短があって、未だ満足できるものは提案されていないのが実情である。
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、従来着目されていなかったマイクロ波を利用することにより、ガラス中に存在するNiSを他の異物と完全に区別化して検出することのできるガラス中の異物検査方法と検査装置を提供することである。
本発明の第1の特徴構成は、ガラス中に存在するNiS(硫化ニッケル)の有無を検出するガラス中の異物検出方法であって、検出対象となるガラスにマイクロ波を照射した後、そのガラスの温度を測定して測定温度の変化に基づいて、前記ガラス中に存在するNiSの有無を検出するところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、まず、検出対象となるガラスにマイクロ波を照射し、その後、そのガラスの温度を測定し、測定した温度の変化に基づいてガラス中におけるNiSの有無を検出するのである。
すなわち、本発明者が種々の実験を繰り返した結果、後に詳しく説明するように、マイクロ波を照射した場合、NiSの方がガラスよりも加熱されやすく、マイクロ波の周波数にもよるが、例えば、ガラスに比べて50倍〜100倍程度加熱されやすいという新たな事実を知見するに至ったのである。そして、この新知見に基づいて、ガラスにマイクロ波を照射した後、そのガラスの温度を測定することによりNiSの有無を検出することが可能となった。
したがって、たとえガラスの表面に疵やごみなどが存在していても、また、ガラス中に泡や黒異物が存在していても、それら異物の有無にあまり影響されることなく、NiSの有無のみを確実に検出することができる。
本発明の第2の特徴構成は、上述した異物検出方法において、前記検出対象となるガラスが、熱強化処理前の板ガラスであるところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、検出対象となるガラスが、熱強化処理前の板ガラスであるから、例えば、粒径100μm以上のNiSの有無、あるいは、粒径20μm以上のNiSの有無を検出することにより、熱強化板ガラスの製造に際し熱強化処理の前段階において、上述した自然破壊の原因となるNiSが板ガラス中に存在するか否かを確実に検出することができる。
その結果、従来のような「ソーク処理」が不用となり、歩留まりの向上を図って熱強化板ガラスを効率よく製造することができる。
本発明の第3の特徴構成は、上述した異物検出方法において、前記マイクロ波の周波数が、15GHz以上であるところにある。
本発明の第3の特徴構成によれば、照射するマイクロ波の周波数を15GHz以上にすることで、例えば、現存する熱強化板ガラスの製造ライン中にそのまま組み入れて実施することができる。
すなわち、板ガラスの製造ラインでは、板ガラスを搬送のために金属部品を有する多数のローラなどが使用されている。このような製造ラインにおいて、周波数が15GHz未満のマイクロ波を照射すると、金属部品によりスパークが発生して実施不可能となる。
しかし、マイクロ波の周波数を15GHz以上にすることで、金属部品によるスパークの発生が回避されるので、現存する熱強化板ガラスの製造ラインをはじめとして、通常の板ガラスの製造ライン中にもそのまま組み入れて実施することができるので、きわめて好都合である。
本発明の第4の特徴構成は、ガラス中に存在するNiS(硫化ニッケル)の有無を検出するガラス中の異物検出装置であって、検出対象となるガラスにマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、前記ガラスの温度を測定する温度測定装置を備えているところにある。
本発明の第4の特徴構成によれば、ガラス中に存在するNiSの有無を検出する異物検出装置が、検出対象となるガラスにマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、ガラスの温度を測定する温度測定装置を備えているので、まず、マイクロ波照射装置により検出対象となるガラスにマイクロ波を照射し、その後、温度測定装置によりガラスの温度を検出することにより、その測定温度の変化に基づいて、ガラス中におけるNiSの有無を検出することができる。
したがって、たとえガラスの表面に疵やごみなどが存在していても、また、ガラス中に泡や黒異物が存在していても、それら異物の有無にあまり影響させることなく、NiSの有無のみを確実に検出することが可能となる。
本発明の第5の特徴構成は、上述した異物検出装置において、前記検出対象となるガラスが、熱強化処理前の板ガラスであるところにある。
本発明の第5の特徴構成によれば、検出対象となるガラスが、熱強化処理前の板ガラスであるから、例えば、粒径100μm以上のNiSの有無、あるいは、粒径20μm以上のNiSの有無を検出することにより、熱強化板ガラスの製造に際し熱強化処理の前段階において、上述した自然破壊の原因となるNiSが板ガラス中に存在するか否かを確実に検出することができ、従来のような「ソーク処理」が不用となり、歩留まりの向上を図って熱強化板ガラスを効率よく製造することができる。
本発明の第6の特徴構成は、上述した異物検出装置において、前記マイクロ波照射装置が、15GHz以上の周波数のマイクロ波を照射するところにある。
本発明の第6の特徴構成によれば、マイクロ波照射装置が、15GHz以上の周波数のマイクロ波を照射するので、たとえ金属部品があってもスパークの発生は回避され、したがって、現存する熱強化板ガラスの製造ラインをはじめとして、通常の板ガラスの製造ライン中にも、異物検出装置をそのまま組み入れることができて、きわめて好都合である。
本発明によるガラス中の異物検出方法と検出装置につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
この異物検出方法と検出装置は、例えば、熱強化板ガラスを製造するに際して、熱強化処理前の板ガラス中に粒径100μm以上、場合によっては、粒径20μm以上のNiS(硫化ニッケル)が存在するか否かを検出するために使用される。
熱強化処理前の板ガラス1は、図1の原理図に示すように、例えば、多数のローラ2からなるローラコンベヤによって矢印Lで示す搬送方向に沿ってほぼ一定の速度で搬送され、その板ガラス1の搬送経路の上方にマイクロ波照射装置3や温度測定装置4などを備えた異物検出装置5が配設されている。
マイクロ波照射装置3は、異物検出の対象となる板ガラス1に対し、200MHz〜300GHz、好ましくは、15GHz以上の周波数のマイクロ波を照射して、板ガラス1を加熱するためのものである。
そのマイクロ波照射装置3に対し、板ガラス1の搬送方向Lに隣接して温度測定装置4が配設され、その温度測定装置4が、マクロ波照射装置3によるマイクロ波の照射により加熱された後の板ガラス1の温度を測定するように構成されている。
温度測定装置4には、測定温度を解析処理して板ガラス1中に存在するNiS7の有無を検出する処理装置6が接続され、その結果をモニターに表示するとともに、板ガラス1中に所定粒径以上のNiS7の存在が検出されると、音や光などによる警報手段で不良品の存在を知らせたり、不良品を自動的に区分けするなどの適当な処置を施すように構成されている。
この処理装置6によるNiS7の検出原理について説明すると、一般に、マイクロ波を照射したときの発熱量(P)は、下記[数1]の式で求められる。
Figure 2005098905
この式において、fはマイクロ波の周波数、ε0は真空の比誘電率、εrは物質の比誘電率、tanδは物質の損失角、Eはマイクロ波の電界強さである。
そこで、本発明者らは、マイクロ波の周波数を変化させながら、板ガラス(ソーダライムガラス)とNiSについて比誘電率と損失角を測定した。
図2は比誘電率(εr)の測定結果、図3は損失角(tanδ)の測定結果を示す。
これらの測定結果に基づいて、板ガラスとNiSにつき比誘電率と損失角の積(εr・tanδ)を求め、板ガラスを分母としNiSを分子として表した比率が図4に示す結果であり、この図4に示す結果から下記のことが理解される。
例えば、5GHz以下の周波数では、NiSの方が極端に大きく、したがって、発熱量(P)もNiSの方が極端に多くなることが解る。そのため、5GHz以下の周波数のマイクロ波を照射すれば、極端に小さなNiSの有無をも確実に検出することができる。
ただし、15GHz未満のマイクロ波を照射すると、金属部品によりスパークが発生して検出がむずかしくなるので、スパーク発生に対する対策が必要となる。
その点、15GHz以上のマイクロ波であれば、金属部品によるスパークの発生がないので、例えば、図1に示したような多数のローラ2などを有する従来既存の製造ライン中にもそのまま組み入れて実施することができる。特に、15GHz〜30GHzの範囲内では、NiSの方が板ガラスの50倍〜100倍の値で比較的安定しているため、この範囲内から周波数を選択するのが好ましいことも理解される。
つぎに、この異物検出装置5を使用して板ガラス1中に存在するNiS7の有無を検出する方法について説明する。
熱強化処理前の板ガラス1は、搬送方向Lに沿ってほぼ一定の速度で搬送され、マイクロ波照射装置3により、例えば、15GHz以上の周波数のマイクロ波が連続的に照射されて加熱され、その後、その板ガラス1の温度が温度測定装置4により測定され、測定結果が処理装置6へ送られる。
板ガラス1中にNiS7が存在すると、上述したように、NiS7の発熱量が板ガラスの50倍〜100倍という値であるため、処理装置6が、その測定温度の変化に基づいてNiS7の存在を検出する。
その場合、例えば、粒径100μm、あるいは、粒径20μmをNiS7の検出しきい値として設定しておくことにより、板ガラス1中に存在する所定粒径以上のNiS7の有無を確実に検出することができる。
そして、板ガラス1中に所定粒径以上のNiS7が検出された場合、音や光などによる警報手段で不良品の存在を知らせたり、あるいは、不良品を自動的に区分けするなどの適当な処置を施し、良品のみを熱強化処理することによって、自然破壊するおそれのない熱強化板ガラスを歩留まりよく製造することができる。
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、検出対象となるガラス1の一例として熱強化処理前の板ガラスを示したが、熱強化処理前の板ガラス以外にも、各種のガラスを検出対象として実施することができる。
したがって、NiS有無の検出基準も、粒径が100μmや20μmに限られるものではなく、検出対象となるガラスの用途などに応じて適宜決定される。
(2)先の実施形態では、検出装置5をガラスの製造ライン中に組み入れた例を示したが、必ずしもガラスの製造ライン中に組み入れる必要はなく、ガラスの製造ラインとは無関係に、検出装置5を単独で使用し、あるいは、検出方法を単独で実施することもできる。
また、ガラスの製造ライン中に組み入れる場合、先の実施形態のように、検出装置5を固定してガラス1を移動させる以外にも、ガラス1を固定して検出装置5を移動させたり、あるいは、ガラス1と検出装置5の両方を移動させるなど、製造ラインの状況などに応じて適宜選択して実施することができる。
異物検出装置の原理説明図 板ガラスとNiSの比誘電率の測定結果を示す図表 板ガラスとNiSの損失角の測定結果を示す図表 板ガラスとNiSの発熱量の比率を示す図表
符号の説明
1 板ガラス
3 マイクロ波照射装置
4 温度測定装置
5 異物検出装置
7 NiS

Claims (6)

  1. ガラス中に存在するNiS(硫化ニッケル)の有無を検出するガラス中の異物検出方法であって、
    検出対象となるガラスにマイクロ波を照射した後、そのガラスの温度を測定して測定温度の変化に基づいて、前記ガラス中に存在するNiSの有無を検出するガラス中の異物検出方法。
  2. 前記検出対象となるガラスが、熱強化処理前の板ガラスである請求項1に記載のガラス中の異物検出方法。
  3. 前記マイクロ波の周波数が、15GHz以上である請求項1または2に記載のガラス中の異物検出方法。
  4. ガラス中に存在するNiS(硫化ニッケル)の有無を検出するガラス中の異物検出装置であって、
    検出対象となるガラスにマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、前記ガラスの温度を測定する温度測定装置を備えているガラス中の異物検出装置。
  5. 前記検出対象となるガラスが、熱強化処理前の板ガラスである請求項4に記載のガラス中の異物検出装置。
  6. 前記マイクロ波照射装置が、15GHz以上の周波数のマイクロ波を照射する請求項4または5に記載のガラス中の異物検出装置。
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KR101229179B1 (ko) * 2012-05-29 2013-02-04 주식회사 그라스텍 유리의 자파불순물 검출장치
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