JP2005097666A - ルチルの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 金属チタン源の天然ルチル鉱石は、資源的に枯渇傾向にあるので、それに代わるイルメナイト鉱石から二酸化チタンを高品位化した合成ルチルを製造する方法がますます重要となってきているが、従来法では、硫酸などの強酸を使用するとか、高温での還元工程を必須とするなどで、環境汚染を引き起こすなど、廃棄物対策やエネルギー対策が問題となっている。そしてこれらの問題の少ないイルメナイト鉱石からの高品位化合成ルチル製造法の開発が求められている。
【解決手段】 イルメナイト鉱石を加熱処理して酸化することで、(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに転化でき、それを磁場を利用した選別処理することで、ルチル相を選択的に取得する。
【選択図】 なし
【解決手段】 イルメナイト鉱石を加熱処理して酸化することで、(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに転化でき、それを磁場を利用した選別処理することで、ルチル相を選択的に取得する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、チタン及び鉄を含有するイルメナイト鉱石からアップグレーディング(upgrading:高品位化) してTiO2品位の高い合成ルチルを製造する技術に関する。
チタンは軽量である一方、強度、耐熱性、耐食性に非常に優れ、、また高い生体親和性もあって、非磁性などの性質があり、金属・合金として航空機材料、化学装置用耐食材、医療機器からゴルフ、眼鏡フレームなどに至るまでの様々な分野で利用され、酸化物として顔料に、さらに最近では光触媒など環境分野にも幅広く利用されている。チタンの製造原料は、天然ルチル、ルチル品位の高い合成ルチルおよび高チタンスラグが用いられており、主にそこに含まれるチタン酸化物を塩素化し、得られた塩素化物を金属Mgで還元するクロール(Kroll)法によりチタンを得ている。この他、最近ではチタン酸化物を直接還元する方法も提案されている。
いずれにしてもチタン製造原料として現在使用さているTiO2品位の高い天然ルチル(通常93〜96% のTiO2を含有) 資源が世界的に枯渇してきているという問題があるので、その代替原料として、豊富に存在する天然イルメナイト鉱石〔主に鉄とチタンの酸化物からなり、通常30〜65% のTiO2を含み、それに付随するその他の酸化物不純物(マンガン、クロム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、その他の酸化物)を含む〕から、アップグレーディングして天然ルチルに匹敵するTiO2品位の高い合成ルチルを製造する方法の確立が望まれている。
イルメナイト鉱石は、天然には、イルメナイト(FeTiO3) 、風化作用を受けたイルメナイト、そしてそれらの混合物として見出される。
いずれにしてもチタン製造原料として現在使用さているTiO2品位の高い天然ルチル(通常93〜96% のTiO2を含有) 資源が世界的に枯渇してきているという問題があるので、その代替原料として、豊富に存在する天然イルメナイト鉱石〔主に鉄とチタンの酸化物からなり、通常30〜65% のTiO2を含み、それに付随するその他の酸化物不純物(マンガン、クロム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、その他の酸化物)を含む〕から、アップグレーディングして天然ルチルに匹敵するTiO2品位の高い合成ルチルを製造する方法の確立が望まれている。
イルメナイト鉱石は、天然には、イルメナイト(FeTiO3) 、風化作用を受けたイルメナイト、そしてそれらの混合物として見出される。
従来より行われている人工ルチル製造技術としては、チタンスラグ法、選択的酸浸出法、選択塩素化法が挙げられるが、そのチタンスラグ法は、イルメナイト鉱石を還元剤の炭素と共に加熱還元処理し、溶鉄相とチタン酸スラグに分離した後、酸化チタンを濃化したチタン酸スラグに硫酸浸出処理等を施して人工ルチルを得る方法である。この方法では、イルメナイト鉱石を炭材を用いて加熱・還元すると、まず鉱石中の酸化鉄成分が優先的に還元され、溶融鉄と溶融チタン酸スラグが形成され、こうして鉱石中の酸化チタンが濃縮されたチタン酸スラグを酸浸出処理することによって、ルチルが得られるのである。
選択的酸浸出法では、イルメナイト鉱石を濃い硫酸と共に加熱し、生成物に水または薄い硫酸を添加しつつ鉄を加えて、還元を生起させて生成するFeSO4 を除去後、残液を分解してチタンを水酸化物として得た後、それを酸化してルチルを得るものである。
また、選択塩素化法は、イルメナイト鉱石を酸化性雰囲気で1173〜1223K に加熱してFeO をFe2O3 に酸化し、粉砕したコークスを8%程度添加し、流動塩素化炉内で塩素ガスと1223K で反応させて、生成した塩化鉄を除去し、得られた生成物から磁選、浮遊選鉱して合成ルチルを得るものである。
また、天然イルメナイト鉱石を利用するにあたっては、その天然イルメナイト鉱石では、普通、風化作用により酸化が進行していることから、Ti-Fe-O 系の高酸素側に相当する Fe2O3-FeTiO3-TiO2領域についての十分な知見、例えばTi-Fe-O 三元系の相関係と酸素分圧に関する平衡論的関係や状態図および等酸素圧線などを得ることが重要である。しかしながら、この領域について十分な知見を得るに至っていないのが現状である。ところで、Webster とBright(非特許文献1)およびTaylor(非特許文献2)がそれぞれ1473 K及び1573 Kにおいての高酸素側FeO-Fe2O3-TiO2系について報告しているものの、工業的利用可能性の点から比較的低温でのプロセッシングを考える際、それは利用できない。
選択的酸浸出法では、イルメナイト鉱石を濃い硫酸と共に加熱し、生成物に水または薄い硫酸を添加しつつ鉄を加えて、還元を生起させて生成するFeSO4 を除去後、残液を分解してチタンを水酸化物として得た後、それを酸化してルチルを得るものである。
また、選択塩素化法は、イルメナイト鉱石を酸化性雰囲気で1173〜1223K に加熱してFeO をFe2O3 に酸化し、粉砕したコークスを8%程度添加し、流動塩素化炉内で塩素ガスと1223K で反応させて、生成した塩化鉄を除去し、得られた生成物から磁選、浮遊選鉱して合成ルチルを得るものである。
また、天然イルメナイト鉱石を利用するにあたっては、その天然イルメナイト鉱石では、普通、風化作用により酸化が進行していることから、Ti-Fe-O 系の高酸素側に相当する Fe2O3-FeTiO3-TiO2領域についての十分な知見、例えばTi-Fe-O 三元系の相関係と酸素分圧に関する平衡論的関係や状態図および等酸素圧線などを得ることが重要である。しかしながら、この領域について十分な知見を得るに至っていないのが現状である。ところで、Webster とBright(非特許文献1)およびTaylor(非特許文献2)がそれぞれ1473 K及び1573 Kにおいての高酸素側FeO-Fe2O3-TiO2系について報告しているものの、工業的利用可能性の点から比較的低温でのプロセッシングを考える際、それは利用できない。
A.H. Webster and N.F.H. Bright, J. Am. Ceram, Soc., 44(3), pp.110-116 (1961)
R.W. Taylor, Am. Miner., 49(7-8), pp.1016-1030 (1964)
チタン資源として豊富に存在する天然イルメナイト鉱石から鉄分を除去し、天然ルチルに匹敵するTiO2品位の高い合成ルチルを製造するための、工業的なアップグレーディング法を開発するには、比較的低温におけるTi-Fe-O 系の高酸素領域に相当するFe2O3-FeTiO3-TiO2系の相平衡について、また1373K というような工業的利用可能性のある温度域での相関係や、酸素分圧に関する平衡論的状態図などを詳しく解析することが必要である。
また、従来のイルメナイト鉱石からの高品位化による合成ルチルの製造法では、濃硫酸を使用するなどで、大量の酸性液状廃棄物が副次的に生じ、環境上許容されなくなってきている。こうして、環境上問題となったり、廃棄処理に問題のある物質を副産する方法を避けること、さらにはコスト的に有利な方法の開発も求められている。特に従来の還元剤などを使用したり、強酸を使用したりする方法では、比較的高価な試薬を使用する必要があったり、高価な試薬を再生することが必要であったり、環境汚染物質が大量に生み出されたり、副産物の処理に費用がかかったり、処理装置に莫大な費用が要求されるという問題もある。
したがって、簡単な工程で、廃棄物の副生が少なくてすみ、安いコストで高品位の合成ルチルを製造する技術の開発が求められている。
また、従来のイルメナイト鉱石からの高品位化による合成ルチルの製造法では、濃硫酸を使用するなどで、大量の酸性液状廃棄物が副次的に生じ、環境上許容されなくなってきている。こうして、環境上問題となったり、廃棄処理に問題のある物質を副産する方法を避けること、さらにはコスト的に有利な方法の開発も求められている。特に従来の還元剤などを使用したり、強酸を使用したりする方法では、比較的高価な試薬を使用する必要があったり、高価な試薬を再生することが必要であったり、環境汚染物質が大量に生み出されたり、副産物の処理に費用がかかったり、処理装置に莫大な費用が要求されるという問題もある。
したがって、簡単な工程で、廃棄物の副生が少なくてすみ、安いコストで高品位の合成ルチルを製造する技術の開発が求められている。
天然に産出するイルメナイト鉱石の大部分は、イルメナイト(FeTiO3: α相) とシュードブルッカイト(Fe2TiO5: P相) の2相が共存する組成にあり、稀にこれにルチル(TiO2:R相) が共存する組成を持つものである。こうしたイルメナイト鉱石を炭材を用いて、加熱・還元すると、その組成は酸素の除去に伴い、金属鉄、イルメナイトおよびルチルの3相共存域(Fe+R+α)に移行する。鉄が溶融するような高温域では鉄と酸化チタンとは溶融スラグを形成するので、鉱石中の酸化チタンの多くはスラグ中へ濃縮することになる。これが従来のチタンスラグ法の基本原理である。
本発明者等は、比較低温度域での相平衡の詳細な研究を進めた結果、イルメナイト鉱石を、約1100℃(約1373K)近傍という比較的低温にて酸化させると、鉱物中の安定結晶相をシュードブルッカイト(P相) とルチル(R相) の2相とできること、そしてさらに該(P+R)相を安定結晶相とする生成物を強磁場を用いてP相とR相に分離できることを見出し、本発明を完成せしめた。
本発明者等は、比較低温度域での相平衡の詳細な研究を進めた結果、イルメナイト鉱石を、約1100℃(約1373K)近傍という比較的低温にて酸化させると、鉱物中の安定結晶相をシュードブルッカイト(P相) とルチル(R相) の2相とできること、そしてさらに該(P+R)相を安定結晶相とする生成物を強磁場を用いてP相とR相に分離できることを見出し、本発明を完成せしめた。
本発明は、
〔1〕 イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するにあたり、イルメナイト鉱石を酸化して(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変え、次いで得られたものを磁場を利用した選別処理に付し、実質的に磁場に非応答性の分画としてルチルの相からなる生成物を回収することを特徴とするイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔2〕 イルメナイト鉱石の酸化を、還元反応をなすことなく実施することを特徴とする上記〔1〕記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔3〕 酸化が、ほぼイルメナイトの単相を含有するものを、(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変えるものであることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔4〕 イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するにあたり、当該鉱石を非還元条件下に酸化して(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変え、次いで得られたものを (1)実質的にシュードブルッカイトの相からなる微粒子と (2)実質的にルチルの相からなる微粒子とになるように微粉化し、得られた微粉化生成物を磁場を利用した選別処理に付し、実質的に磁場に非応答性の分画としてルチルの相からなる生成物を回収することを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔5〕 微粉化処理が、1回または複数回行われることを特徴とする上記〔4〕記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔6〕 イルメナイト鉱石を酸化して後、還元を経ること無く、磁場を利用した選別処理に付して、ルチルの相からなる生成物をシュードブルッカイトの相からなるものから分離することを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔7〕 磁場を利用した選別処理が、1回または複数回行われることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔8〕 酸化処理が、700 〜1200℃の温度でなされることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔9〕 磁場を利用した選別処理が、0.4 〜 10 テスラの範囲の磁場で行われることを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔10〕 90% 以上のTiO2を含有するルチルの相からなる生成物を得るものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔9〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔11〕 イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するまでが、実質的に還元処理がなされないことを特徴とする上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法を提供する。
〔1〕 イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するにあたり、イルメナイト鉱石を酸化して(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変え、次いで得られたものを磁場を利用した選別処理に付し、実質的に磁場に非応答性の分画としてルチルの相からなる生成物を回収することを特徴とするイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔2〕 イルメナイト鉱石の酸化を、還元反応をなすことなく実施することを特徴とする上記〔1〕記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔3〕 酸化が、ほぼイルメナイトの単相を含有するものを、(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変えるものであることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔4〕 イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するにあたり、当該鉱石を非還元条件下に酸化して(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変え、次いで得られたものを (1)実質的にシュードブルッカイトの相からなる微粒子と (2)実質的にルチルの相からなる微粒子とになるように微粉化し、得られた微粉化生成物を磁場を利用した選別処理に付し、実質的に磁場に非応答性の分画としてルチルの相からなる生成物を回収することを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔5〕 微粉化処理が、1回または複数回行われることを特徴とする上記〔4〕記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔6〕 イルメナイト鉱石を酸化して後、還元を経ること無く、磁場を利用した選別処理に付して、ルチルの相からなる生成物をシュードブルッカイトの相からなるものから分離することを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔7〕 磁場を利用した選別処理が、1回または複数回行われることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔8〕 酸化処理が、700 〜1200℃の温度でなされることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔9〕 磁場を利用した選別処理が、0.4 〜 10 テスラの範囲の磁場で行われることを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔10〕 90% 以上のTiO2を含有するルチルの相からなる生成物を得るものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔9〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法;
〔11〕 イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するまでが、実質的に還元処理がなされないことを特徴とする上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法を提供する。
本発明の技術では、従来のチタンスラグ法に比べて必要投入エネルギー量が少なく、還元剤としての炭材等も不要であることに加え、反応生成物からのルチルの分離には、チタンスラグ法のような硫酸浸出等の特殊な処理を必要としない。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明者等が明らかにしたFe2O3-FeTiO3-TiO2系の1373Kにおける状態図(図3)をつぶさに検討すると、天然に産出するイルメナイト鉱石は、図5に示されるようにα相を中心に、α+R+Pの3相共存領域に沿って分布していることがわかる。そして鉱石を酸化すると、その鉱石組成は酸素含有量のみが増加することとなるので、図5の三角形の右下コーナーから左斜め上、約45度の方向へシフトしていくことがわかる。かくして、イルメナイト鉱石を酸化すると、R+Pの2相共存領域に入っていくことがわかる。この(R+P)の2相からなる生成物から、それぞれR相とP相とに分離せしめれば、従来のように大量のエネルギーを鉱石に投入することなく、比較的容易にルチルを製造することができる。ところで、R相とP相とに着目して、それらの磁化率を調べた結果、図6に示すように、P相の磁化率は酸化第二鉄(Fe2O3) とほぼ同等であるのに対して、P相と比較して、R相の磁化率は無視できるほど小さいことを見出した。かくして、数ステラ程度の強磁場により、酸化したイルメナイト鉱石からP相を磁着・除去することができ、R相(ルチル)を選択的に分離・回収できる。
本発明の高品位化ルチルの製造法の原料は、少なくとも 90%をこえるTiO2品位(ある場合には、少なくとも 92%をこえるTiO2品位)の合成ルチルを得るためのものであり、また、鉄とチタンとを含有している天然イルメナイト鉱石であり、例えばnTi/(nFe + nTi) 比が 0.35〜0.65のものが挙げられ、より好ましくはnTi/(nFe + nTi) 比が0.5〜0.65のものである。ここで ni はモル数を示す。
本発明の高品位化法では、まず原料鉱石は酸化処理される。当該酸化は、少なくとも(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに実質的にできる条件であれば特に制限なく、様々に適した条件を設定することが可能である。当該酸化は、例えば、原料鉱石と酸化剤を昇温下、例えば約700 〜1200℃の温度、好ましくは約900 〜1100℃の温度で、接触せしめて行うことができる。酸化条件は、ルチル相が十分に成長して生成するものであることが好ましいが、熱処理に投入されるエネルギー量をできるだけ少なくするようにすることも求められるので、処理温度はできるだけ低く、また処理における保持時間はできるだけ短いことが望ましい。一般的には、ルチル相の結晶粒子の成長のためには、より高温、そしてより長い時間保持することが好都合であるが、最適な処理条件は、チタンが地球上で最も多く存在する金属元素の一つであって、イルメナイト鉱石も様々な産地があり、その産地毎に微妙に共存する不純物元素も異なるので、出発原料鉱石の産出地に応じて適宜適切なものとすることが好ましい。好ましい処理条件は、熱処理温度、保持時間などと、ミクロ組織との関係を明らかにして決定できる。酸化は、好ましくは、ほぼイルメナイトの単相を含有するものを、(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変えるものである。当該原料鉱石の酸化は、実質的に還元反応の生起しない条件下に行われる。酸化処理にあたっては原料鉱石は、破砕または粉砕されているものを好適に使用でき、破砕または粉砕された原料は、酸化剤(例えば、酸素)との接触がより起こり易くなることから、好ましい。破砕または粉砕された原料は、原料鉱石を砕いて粒状または粉末状にし、次いでスクリーンを通して一定の範囲の粒径のものに選別してあるものでよく、本操作は通常当業者に知られた装置を用いてそれを行うことができる。粒径は、酸化処理が実質的に行われて所要の結果が得られるものであれば、特に限定されないし、当業者は適宜適当なサイズを選択できる。本酸化工程では、流動する原料を酸化するものであってよい。鉱石粒子を酸化剤に接触するようにするために、流動床を備えた反応装置を使用することも好ましい。また、適宜、原料鉱石は予め加熱しておいてよい。酸化処理の間、原料鉱石は、所要の変化を生起せしめるに十分な時間、当該反応装置中に滞留していることが好ましく、例えば10分間から200 時間、ある場合には20分間から36時間、そして別の場合では40分間から10時間の間滞留せしめることができるが、特定の鉱石に応じて適宜適切な時間とすることができる。酸化剤としては、酸素あるいはオゾン含有気体が挙げられ、好適には酸素含有気体である。酸素含有気体としては、空気、酸素と不活性ガスとの混合物、酸素を富化した空気などが挙げられる。本酸化処理は、典型的には、図5に示された状態図において、右下コーナーから左斜め上、約45度の方向へ向かってシフトしていき、最終的に(シュードブルッカイト+ルチル)の二相共存物となるものである。
本発明の高品位化法では、まず原料鉱石は酸化処理される。当該酸化は、少なくとも(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに実質的にできる条件であれば特に制限なく、様々に適した条件を設定することが可能である。当該酸化は、例えば、原料鉱石と酸化剤を昇温下、例えば約700 〜1200℃の温度、好ましくは約900 〜1100℃の温度で、接触せしめて行うことができる。酸化条件は、ルチル相が十分に成長して生成するものであることが好ましいが、熱処理に投入されるエネルギー量をできるだけ少なくするようにすることも求められるので、処理温度はできるだけ低く、また処理における保持時間はできるだけ短いことが望ましい。一般的には、ルチル相の結晶粒子の成長のためには、より高温、そしてより長い時間保持することが好都合であるが、最適な処理条件は、チタンが地球上で最も多く存在する金属元素の一つであって、イルメナイト鉱石も様々な産地があり、その産地毎に微妙に共存する不純物元素も異なるので、出発原料鉱石の産出地に応じて適宜適切なものとすることが好ましい。好ましい処理条件は、熱処理温度、保持時間などと、ミクロ組織との関係を明らかにして決定できる。酸化は、好ましくは、ほぼイルメナイトの単相を含有するものを、(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変えるものである。当該原料鉱石の酸化は、実質的に還元反応の生起しない条件下に行われる。酸化処理にあたっては原料鉱石は、破砕または粉砕されているものを好適に使用でき、破砕または粉砕された原料は、酸化剤(例えば、酸素)との接触がより起こり易くなることから、好ましい。破砕または粉砕された原料は、原料鉱石を砕いて粒状または粉末状にし、次いでスクリーンを通して一定の範囲の粒径のものに選別してあるものでよく、本操作は通常当業者に知られた装置を用いてそれを行うことができる。粒径は、酸化処理が実質的に行われて所要の結果が得られるものであれば、特に限定されないし、当業者は適宜適当なサイズを選択できる。本酸化工程では、流動する原料を酸化するものであってよい。鉱石粒子を酸化剤に接触するようにするために、流動床を備えた反応装置を使用することも好ましい。また、適宜、原料鉱石は予め加熱しておいてよい。酸化処理の間、原料鉱石は、所要の変化を生起せしめるに十分な時間、当該反応装置中に滞留していることが好ましく、例えば10分間から200 時間、ある場合には20分間から36時間、そして別の場合では40分間から10時間の間滞留せしめることができるが、特定の鉱石に応じて適宜適切な時間とすることができる。酸化剤としては、酸素あるいはオゾン含有気体が挙げられ、好適には酸素含有気体である。酸素含有気体としては、空気、酸素と不活性ガスとの混合物、酸素を富化した空気などが挙げられる。本酸化処理は、典型的には、図5に示された状態図において、右下コーナーから左斜め上、約45度の方向へ向かってシフトしていき、最終的に(シュードブルッカイト+ルチル)の二相共存物となるものである。
得られた(シュードブルッカイト+ルチル)の二相共存物からなる生成物は、必要に応じて微粉化されて、実質的にシュードブルッカイトから構成される微粒子と実質的にルチルから構成される微粒子にまで粉砕される。各微粒子は、必ずしも完全に単独の結晶相から構成されるようにする必要はないが、磁場を使用した選別工程(磁選工程)で、実質的にシュードブルッカイトに富んだ粒子と、実質的にルチル単独の結晶相からなる粒子または少なくとも 90%をこえるルチルの結晶相からなる粒子とに分別可能にできるものであればよい。粒径は、酸化工程を経て生成されるルチル相の結晶の大きさに応じて適宜決定することが好ましい。微粉化された生成物は、必要に応じて、スクリーンを通して一定の範囲の粒径のものに選別することができるし、分級されることができる。微粉化工程は、当該分野で知られた粉砕装置を使用して行うことができ、例えばジェットミル、マイクロナイザー (micronizer) などを使用できる。
次に、微粉化物は、磁場を使用した選別工程(磁選工程)に付される。磁選には、当該分野で知られた磁選機を使用して行うことができ、例えば湿式あるいは乾式法に適した磁選機を使用できる。磁選機としては、高勾配磁選機(High Gradient Magnetic Separator)、磁力選鉱機、ドラム型磁選機、対極型磁選機などが挙げられるが、適宜最適なものを選択して使用することができる。磁場を利用した選別処理は、1回または複数回行われることができるし、ある場合には好ましい。また、磁場を利用した選別処理は、0.4〜10テスラの範囲の磁場で行われることができ、ある場合には8×10-2〜6テスラの範囲の磁場、あるいは1〜5テスラの範囲の磁場で行われることができる。一般的には、磁気分離に必要とされる磁場の強さは、可能な限り低いことが望ましいが、結晶粒度などに応じて最適な分離効率が得られるように決定できる。磁選機がフィルターなどを備えたものである場合、そのフィルターのメッシュサイズは、磁気分離の効率を向上させるこうに適宜最適なものとすることが好ましいが、出発微粉化物の粒子のサイズなどに応じて適宜選択することが好ましい。磁気分離においては、出発微粉化物を水などの流体媒体に懸濁するなどして分離にかける湿式法は、ある場合には好ましい。
次に、微粉化物は、磁場を使用した選別工程(磁選工程)に付される。磁選には、当該分野で知られた磁選機を使用して行うことができ、例えば湿式あるいは乾式法に適した磁選機を使用できる。磁選機としては、高勾配磁選機(High Gradient Magnetic Separator)、磁力選鉱機、ドラム型磁選機、対極型磁選機などが挙げられるが、適宜最適なものを選択して使用することができる。磁場を利用した選別処理は、1回または複数回行われることができるし、ある場合には好ましい。また、磁場を利用した選別処理は、0.4〜10テスラの範囲の磁場で行われることができ、ある場合には8×10-2〜6テスラの範囲の磁場、あるいは1〜5テスラの範囲の磁場で行われることができる。一般的には、磁気分離に必要とされる磁場の強さは、可能な限り低いことが望ましいが、結晶粒度などに応じて最適な分離効率が得られるように決定できる。磁選機がフィルターなどを備えたものである場合、そのフィルターのメッシュサイズは、磁気分離の効率を向上させるこうに適宜最適なものとすることが好ましいが、出発微粉化物の粒子のサイズなどに応じて適宜選択することが好ましい。磁気分離においては、出発微粉化物を水などの流体媒体に懸濁するなどして分離にかける湿式法は、ある場合には好ましい。
かくして得られた高品位化されているルチル(合成ルチル)は、当該分野で知られた技術に使用され、従来のルチル鉱石を原料としている各種チタン製品製造工程に使用することができる。すなわち、クロール法などによりチタン製造や顔料の製造に使用される。
こうした従来公知の技術と組合せた手法も、本発明の技術の範囲内のものである。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
こうした従来公知の技術と組合せた手法も、本発明の技術の範囲内のものである。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
(1) 1373K における相平衡の決定
予めFeTiO3を以下のようにして調製した: 純度99.9 mass%の電解鉄粉と市販の特級試薬 Fe2O3, TiO2を1:1:3 のモル比になるようにして合計2.5g秤量し、めのう乳鉢でよく混合した後、約400MPa(約110 kgf/cm2)で圧粉成型し、径10 mm のブリケットとし、このブリケットを内径13 mm の石英管に入れて真空封入してカプセルとし、1373K で3日間加熱保持した後、水中急冷してFeTiO3を合成した。FeTiO3であることはX線回折パターンより確認した。
試験用試料は以下のようにして調製した: 上記のようにして調製したFeTiO3と、市販の特級試薬 Fe2O3, TiO2とを、所定の組成となるようにして合計2.5g秤量し、めのう乳鉢でよく混合した後、約400MPa(約110 kgf/cm2)で圧粉成型し、径10 mm のブリケットとし、このブリケットを内径13 mm の石英管に入れて真空封入してカプセルとし、このカプセルを1373K で所定時間加熱保持して十分に平衡させた後、水中急冷した。急冷後の試料をカプセルから取り出し、分析した。表1及び図1に試験試料の調合組成を示す。図1中○印で試料の調合組成を示し、図中の数字は試料番号である。
加熱には、カンタル線巻堅型電気抵抗炉を使用し、試料中の相の同定にはX線ディフラクトメータ(XRD)を、そして相の組成分析にはX線マイクロアナライザ(EPMA)を使用した。表2及び3にはEPMA測定の結果が示されている。
予めFeTiO3を以下のようにして調製した: 純度99.9 mass%の電解鉄粉と市販の特級試薬 Fe2O3, TiO2を1:1:3 のモル比になるようにして合計2.5g秤量し、めのう乳鉢でよく混合した後、約400MPa(約110 kgf/cm2)で圧粉成型し、径10 mm のブリケットとし、このブリケットを内径13 mm の石英管に入れて真空封入してカプセルとし、1373K で3日間加熱保持した後、水中急冷してFeTiO3を合成した。FeTiO3であることはX線回折パターンより確認した。
試験用試料は以下のようにして調製した: 上記のようにして調製したFeTiO3と、市販の特級試薬 Fe2O3, TiO2とを、所定の組成となるようにして合計2.5g秤量し、めのう乳鉢でよく混合した後、約400MPa(約110 kgf/cm2)で圧粉成型し、径10 mm のブリケットとし、このブリケットを内径13 mm の石英管に入れて真空封入してカプセルとし、このカプセルを1373K で所定時間加熱保持して十分に平衡させた後、水中急冷した。急冷後の試料をカプセルから取り出し、分析した。表1及び図1に試験試料の調合組成を示す。図1中○印で試料の調合組成を示し、図中の数字は試料番号である。
加熱には、カンタル線巻堅型電気抵抗炉を使用し、試料中の相の同定にはX線ディフラクトメータ(XRD)を、そして相の組成分析にはX線マイクロアナライザ(EPMA)を使用した。表2及び3にはEPMA測定の結果が示されている。
(2) 平衡到達時間
試料番号7について、加熱保持時間とα相(hematite ilmenite固溶体(s.s.): イルメナイト) 及びP 相(pseudobrookite s.s.: シュードブルッカイト)の組成の関係を調べた結果を図2に示す。図2から2日(2d)前後ですでに平衡組成に近いことがわかったので、異なる組成の試料についても平衡を完全に達成させるために、3日(3d)を保持時間とした。図2中の Ni はFe2O3-FeTiO3-TiO2 三元系におけるモル分率であり、s.s.は固溶体を示す。
試料番号7について、加熱保持時間とα相(hematite ilmenite固溶体(s.s.): イルメナイト) 及びP 相(pseudobrookite s.s.: シュードブルッカイト)の組成の関係を調べた結果を図2に示す。図2から2日(2d)前後ですでに平衡組成に近いことがわかったので、異なる組成の試料についても平衡を完全に達成させるために、3日(3d)を保持時間とした。図2中の Ni はFe2O3-FeTiO3-TiO2 三元系におけるモル分率であり、s.s.は固溶体を示す。
(3) Fe2O3-FeTiO3-TiO2系の相関係(状態図)
R相は純粋なTiO2、P相はFe2TiO5-FeTi2O5 擬2元系で pseudobrookite 固溶体、α相はFe2O3-FeTiO3擬2元系で Fe2O3-FeTiO3 固溶体を意味する。XRD により、試料番号1、2、3、9はR相とP相の二相共存、試料番号4〜8はP相とα相の二相共存、試料番号10、12はR相とα相の二相共存、そして試料番号11はR相とP相とα相の三相共存関係にあることが判明した。EPMAによる分析結果を表2及び3に示すが、ここで、EPMAによる分析は鉄とチタンについて行った。図3には1373K におけるFe2O3-FeTiO3-TiO2系の状態図を示す。図3中、中黒印を結んだ実験は共役線であり、等酸素圧(活量)線である。特徴的なことは、FeTi2O5 は1373K の温度で存在せず、ドットで示すR+P+αの3凝縮相共存領域が存在することであり、また、その領域がかなり狭いことが明らかになった。1473K 以上の高温ではこの3凝縮相共存領域は存在せず、P 相がFe2TiO5-FeTi2O5 擬2元系の全組成範囲にわたって存在することから、1373K といった低温ではFeTi2O5 よりもFeTiO3が安定で、その結果R+P+αの3凝縮相共存領域が出現し、pseudobrookite s.s. の固溶範囲が制限されるものと考えられる。
R相は純粋なTiO2、P相はFe2TiO5-FeTi2O5 擬2元系で pseudobrookite 固溶体、α相はFe2O3-FeTiO3擬2元系で Fe2O3-FeTiO3 固溶体を意味する。XRD により、試料番号1、2、3、9はR相とP相の二相共存、試料番号4〜8はP相とα相の二相共存、試料番号10、12はR相とα相の二相共存、そして試料番号11はR相とP相とα相の三相共存関係にあることが判明した。EPMAによる分析結果を表2及び3に示すが、ここで、EPMAによる分析は鉄とチタンについて行った。図3には1373K におけるFe2O3-FeTiO3-TiO2系の状態図を示す。図3中、中黒印を結んだ実験は共役線であり、等酸素圧(活量)線である。特徴的なことは、FeTi2O5 は1373K の温度で存在せず、ドットで示すR+P+αの3凝縮相共存領域が存在することであり、また、その領域がかなり狭いことが明らかになった。1473K 以上の高温ではこの3凝縮相共存領域は存在せず、P 相がFe2TiO5-FeTi2O5 擬2元系の全組成範囲にわたって存在することから、1373K といった低温ではFeTi2O5 よりもFeTiO3が安定で、その結果R+P+αの3凝縮相共存領域が出現し、pseudobrookite s.s. の固溶範囲が制限されるものと考えられる。
(4) 平衡酸素分圧
上記(1)のようにして得られた平衡化された試験試料を、ジルコニア固体電解質を用いた酸素濃淡電池の測定極として、構成電池の平衡起電力を測定した。
(a) 測定極:ジルコニア電解質は11 mol% CaOで安定化された平底一端閉管(外径15mm、内径11mm、高さ100mm)であり、この内側に先端をコイル状にしたPt線を入れておき、その上に測定試料を入れ、押し固める。さらに11 mol% CaOで安定化されたジルコニア固体電解質の丸底一端閉管(外径10mm、内径7mm 、高さ50mm)の底にはリード線が通るように孔を空けて使用したが、この底に孔の開けられた丸底一端閉管を、該試料の入れられた丸底一端閉管に挿入し、次にムライト管(外径5mm、内径3mm) で押し付けておく。
(b) 標準極:FeとFeO を体積比で1:1 に混合し、それを内底部にPt線を入れた鉄るつぼ中に入れ、押し固めて用いた。Pt線の先端はFe、FeO との接触を良くするために渦巻状にした。この押し固めてあるFe-FeOの上に上記測定極(外径15mmの平底一端閉管)を置いて電池を構成した。
このように構成した電池を透明石英製反応管に入れ、精製アルゴンガスを約1.7 ×10-6m3(STP)s-1の流速で流し、加熱はカンタル線巻抵抗炉によって行った。起電力測定には精密級直流電位差計と入力インピーダンスが1000M Ωであるデジタルマルチメータを用い、起電力が十分安定したことを確かめた後、0.3ks ごとに10回以上測定し、その平均値を測定値とした。電池の可逆性平衡電位に達した後、両極に数100mV の電位をごく短時間印加し、それを切ると元の平衡値に戻り、逆方向の電位を与えても同様の回復の過程を示したことによって確認した。しかしながら、平衡起電力が得られるのにほとんどの電池で24h 以上の長時間を要し、短時間で得られた場合でも数時間を要した。
電池の起電力と温度から平衡酸素分圧を求め、Ti-Fe-O 系の組成と酸素分圧との関係を求めた。図4に酸素分圧の対数と nTi/(nFe + nTi) との関係を組成−圧力状態図として示した。ここで ni はモル数を示す。図4においてRはTiO2で、Pはシュードブルッカイト固溶体で、αはヘマタイト−イルメナイト固溶体(hematite-ilmenite s.s.)で、Sはマグネタイト−ウルボスピネル固溶体(magnetite-ulvospinel s.s.)で、Wはウスタイト(wustite) で、Feは鉄を示す。
上記(1)のようにして得られた平衡化された試験試料を、ジルコニア固体電解質を用いた酸素濃淡電池の測定極として、構成電池の平衡起電力を測定した。
(a) 測定極:ジルコニア電解質は11 mol% CaOで安定化された平底一端閉管(外径15mm、内径11mm、高さ100mm)であり、この内側に先端をコイル状にしたPt線を入れておき、その上に測定試料を入れ、押し固める。さらに11 mol% CaOで安定化されたジルコニア固体電解質の丸底一端閉管(外径10mm、内径7mm 、高さ50mm)の底にはリード線が通るように孔を空けて使用したが、この底に孔の開けられた丸底一端閉管を、該試料の入れられた丸底一端閉管に挿入し、次にムライト管(外径5mm、内径3mm) で押し付けておく。
(b) 標準極:FeとFeO を体積比で1:1 に混合し、それを内底部にPt線を入れた鉄るつぼ中に入れ、押し固めて用いた。Pt線の先端はFe、FeO との接触を良くするために渦巻状にした。この押し固めてあるFe-FeOの上に上記測定極(外径15mmの平底一端閉管)を置いて電池を構成した。
このように構成した電池を透明石英製反応管に入れ、精製アルゴンガスを約1.7 ×10-6m3(STP)s-1の流速で流し、加熱はカンタル線巻抵抗炉によって行った。起電力測定には精密級直流電位差計と入力インピーダンスが1000M Ωであるデジタルマルチメータを用い、起電力が十分安定したことを確かめた後、0.3ks ごとに10回以上測定し、その平均値を測定値とした。電池の可逆性平衡電位に達した後、両極に数100mV の電位をごく短時間印加し、それを切ると元の平衡値に戻り、逆方向の電位を与えても同様の回復の過程を示したことによって確認した。しかしながら、平衡起電力が得られるのにほとんどの電池で24h 以上の長時間を要し、短時間で得られた場合でも数時間を要した。
電池の起電力と温度から平衡酸素分圧を求め、Ti-Fe-O 系の組成と酸素分圧との関係を求めた。図4に酸素分圧の対数と nTi/(nFe + nTi) との関係を組成−圧力状態図として示した。ここで ni はモル数を示す。図4においてRはTiO2で、Pはシュードブルッカイト固溶体で、αはヘマタイト−イルメナイト固溶体(hematite-ilmenite s.s.)で、Sはマグネタイト−ウルボスピネル固溶体(magnetite-ulvospinel s.s.)で、Wはウスタイト(wustite) で、Feは鉄を示す。
(5) 天然イルメナイト鉱石からTiO2へのアップグレーディング
天然イルメナイト鉱石の組成は、 nTi/(nFe + nTi) 比で 0.35〜0.65となる。これを、図3のFe2O3-FeTiO3-TiO2系状態図でみてみると、図5のようになる。
図4からみて、nTi/(nFe + nTi) 比が 0.5以下の鉱石では還元することによりFe+Rとすることが可能、すなわち、R相(TiO2)が別相として得ることができるとすることができる。さらには、そのnTi/(nFe + nTi) 比が 0.5以上の鉱石では還元はもちろんのこと、逆に酸化によってもすべての酸素分圧範囲においてα+R、P+Rというように、R相が別相として存在することがわかる。したがって、予想外に、天然イルメナイト鉱石から酸化工程を経てTiO2へのアップグレーディングが可能であることを示している。
天然イルメナイト鉱石(nTi/(nFe + nTi) 比が 0.5〜0.65のもの) を酸化処理した。酸化処理は、空気中1273〜1473K で所定時間加熱することにより実施した。鉱石の酸化により、組成中の酸素量のみが増加し、図5の右下コーナーから左斜め上、約45度の方向へ向かってシフトしていく。かくして、イルメナイト鉱石を酸化すると、得られるものはR+Pの二相共存物となる。
天然イルメナイト鉱石の組成は、 nTi/(nFe + nTi) 比で 0.35〜0.65となる。これを、図3のFe2O3-FeTiO3-TiO2系状態図でみてみると、図5のようになる。
図4からみて、nTi/(nFe + nTi) 比が 0.5以下の鉱石では還元することによりFe+Rとすることが可能、すなわち、R相(TiO2)が別相として得ることができるとすることができる。さらには、そのnTi/(nFe + nTi) 比が 0.5以上の鉱石では還元はもちろんのこと、逆に酸化によってもすべての酸素分圧範囲においてα+R、P+Rというように、R相が別相として存在することがわかる。したがって、予想外に、天然イルメナイト鉱石から酸化工程を経てTiO2へのアップグレーディングが可能であることを示している。
天然イルメナイト鉱石(nTi/(nFe + nTi) 比が 0.5〜0.65のもの) を酸化処理した。酸化処理は、空気中1273〜1473K で所定時間加熱することにより実施した。鉱石の酸化により、組成中の酸素量のみが増加し、図5の右下コーナーから左斜め上、約45度の方向へ向かってシフトしていく。かくして、イルメナイト鉱石を酸化すると、得られるものはR+Pの二相共存物となる。
オーストラリア産イルメナイト鉱石を使用して酸化処理した。該鉱石の組成を表4(重量%表示)に示す。当該鉱石のチタン含有量は、約31.3% で、Ti/Fe 比は1.19であった。その性状は、粒度約 1 mm 以下程度の細粒である。この鉱石を大気開放型電気炉の中で、磁性るつぼに入れて、保持時間および保持温度を変えて熱処理し、酸化した。
その結果、1000℃で空気中で2日間熱処理した鉱石で、ルチル相の生成が確認された。
X線回折分析の結果を、熱処理前の結果と比較して図7に示す。
その結果、1000℃で空気中で2日間熱処理した鉱石で、ルチル相の生成が確認された。
X線回折分析の結果を、熱処理前の結果と比較して図7に示す。
図7より、熱処理して酸化する前の生鉱石では主成分であるイルメナイト(FeTiO3: α相) と僅かなルチル(TiO2:R相) より構成されているが、空気中1000℃で2日間熱処理して酸化すると、イルメナイト相は消失し、構成結晶相はシュードブルッカイト(Fe2TiO5: P相) とルチルに変化した。これは図3〜5の状態図から期待される通りのものであることが確認された。
(6) P相及びR相の磁化率
イルメナイト鉱石由来のルチル(R相)とシュードブルッカイト固溶体(P相)の磁化率を測定した。その結果を、図6に示す。P相と比較してR相の磁化率は無視できるほど小さいことがわかった。かくして、数ステラの強磁場により、酸化されたイルメナイト鉱石からP相を磁気により吸着して除去でき、R相(ルチル)を選択に分離回収できる。
(a) 上記の工程(5)で空気中1000℃で2日間熱処理して酸化された鉱石を、約0.1 mm以下に粉砕した。これを縦型超伝導磁気分離装置を使用して、磁気分離処理した。当該磁気分離装置は、「いわて産業振興センター」所有のビスマス酸化物超伝導体を使用した磁気分離装置で、最大10テスラの磁場発生が可能なもので、磁場発生コイル内に装入されたステンレス鋼管製分離室(管の内径 20 cm) に、40枚のステンレスメッシュフィルター(網目は0.5 mm以下) が挟まれており、メッシュ自身が磁化されてシュードブルッカイト相が磁着せしめられ、ステンレス管下部から非磁性のルチルを得る。
磁場強度を5テスラとし、微粉熱処理鉱石を上記磁気分離装置のステンレス管上部から分離室内に落下せしめて、磁気分離処理を行ったところ、シュードブルッカイト相がステンレスメッシュフィルターに磁着せしめられ、直ぐに目詰まりを起こした。フィルターをすべて除去した後、再度、ステンレス管上部より粉末試料を投入したところ、体積比でほぼ半分の粉末がステンレス管内壁に磁着し、残分は下部へ落下した。ステンレス管内壁に磁着したものは、シュードブルッカイト相に富んだもので、落下物はルチルに非常に富んだものであった。
イルメナイト鉱石由来のルチル(R相)とシュードブルッカイト固溶体(P相)の磁化率を測定した。その結果を、図6に示す。P相と比較してR相の磁化率は無視できるほど小さいことがわかった。かくして、数ステラの強磁場により、酸化されたイルメナイト鉱石からP相を磁気により吸着して除去でき、R相(ルチル)を選択に分離回収できる。
(a) 上記の工程(5)で空気中1000℃で2日間熱処理して酸化された鉱石を、約0.1 mm以下に粉砕した。これを縦型超伝導磁気分離装置を使用して、磁気分離処理した。当該磁気分離装置は、「いわて産業振興センター」所有のビスマス酸化物超伝導体を使用した磁気分離装置で、最大10テスラの磁場発生が可能なもので、磁場発生コイル内に装入されたステンレス鋼管製分離室(管の内径 20 cm) に、40枚のステンレスメッシュフィルター(網目は0.5 mm以下) が挟まれており、メッシュ自身が磁化されてシュードブルッカイト相が磁着せしめられ、ステンレス管下部から非磁性のルチルを得る。
磁場強度を5テスラとし、微粉熱処理鉱石を上記磁気分離装置のステンレス管上部から分離室内に落下せしめて、磁気分離処理を行ったところ、シュードブルッカイト相がステンレスメッシュフィルターに磁着せしめられ、直ぐに目詰まりを起こした。フィルターをすべて除去した後、再度、ステンレス管上部より粉末試料を投入したところ、体積比でほぼ半分の粉末がステンレス管内壁に磁着し、残分は下部へ落下した。ステンレス管内壁に磁着したものは、シュードブルッカイト相に富んだもので、落下物はルチルに非常に富んだものであった。
(b) 上記(a) と同じ磁気分離装置を使用し、湿式法で磁気分離を試みた。
上記(a) で使用したのと同様な粉末試料を、今度は、蒸留水に混ぜた懸濁液(水:粉末試料比=約 100:5) とし、これをステンレス管上部より流し込んで、上記(a) と同様にして分離処理した。懸濁した初期試料では、黒褐色のシュードブルッカイト相によりかなり濃い茶色をした液を示していたのに対して、磁気分離室を1回通過させた後の捕集液では、黄色味がかった薄い茶色をした液となり、さらに磁気分離室を2回通過させた後の捕集液では、白色を増した黄土色をした液となった。つまり、磁気分離を施すほど溶液の色は白色を呈するようになった。つまり、磁気分離により、黒褐色のシュードブルッカイト相が優先的に磁着されて分離され、液中には相対的に多くの白色のルチルが残留することになったこと、すなわち、酸化されたイルメナイト鉱石からP相を磁気により吸着して除去でき、R相(ルチル)を選択に分離回収できることが示された。
上記(a) で使用したのと同様な粉末試料を、今度は、蒸留水に混ぜた懸濁液(水:粉末試料比=約 100:5) とし、これをステンレス管上部より流し込んで、上記(a) と同様にして分離処理した。懸濁した初期試料では、黒褐色のシュードブルッカイト相によりかなり濃い茶色をした液を示していたのに対して、磁気分離室を1回通過させた後の捕集液では、黄色味がかった薄い茶色をした液となり、さらに磁気分離室を2回通過させた後の捕集液では、白色を増した黄土色をした液となった。つまり、磁気分離を施すほど溶液の色は白色を呈するようになった。つまり、磁気分離により、黒褐色のシュードブルッカイト相が優先的に磁着されて分離され、液中には相対的に多くの白色のルチルが残留することになったこと、すなわち、酸化されたイルメナイト鉱石からP相を磁気により吸着して除去でき、R相(ルチル)を選択に分離回収できることが示された。
本発明のイルメナイト鉱石の高品位化法では、チタンスラグ法に比較して、比較的低い温度での酸化で、ルチル(R相)とシュードブルッカイト固溶体(P相)とから構成されるものにでき、それを磁気で選別することから、大幅なエネルギー量とコストの削減が期待できる。また、環境汚染を引き起こす廃棄物を大量に生成せしめるなどの問題もなく、その処理工程も酸化工程と磁選工程という極めてシンプルなものであり、装置費用も安価にすることが可能となる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Claims (11)
- イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するにあたり、イルメナイト鉱石を酸化して(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変え、次いで得られたものを磁場を利用した選別処理に付し、実質的に磁場に非応答性の分画としてルチルの相からなる生成物を回収することを特徴とするイルメナイト鉱石の高品位化法。
- イルメナイト鉱石の酸化を、還元反応をなすことなく実施することを特徴とする請求項1記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- 酸化が、ほぼイルメナイトの単相を含有するものを、(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変えるものであることを特徴とする請求項1または2記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するにあたり、当該鉱石を非還元条件下に酸化して(シュードブルッカイト+ルチル)の二相を安定結晶相とするものに変え、次いで得られたものを (1)実質的にシュードブルッカイトの相からなる微粒子と (2)実質的にルチルの相からなる微粒子とになるように微粉化し、得られた微粉化生成物を磁場を利用した選別処理に付し、実質的に磁場に非応答性の分画としてルチルの相からなる生成物を回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- 微粉化処理が、1回または複数回行われることを特徴とする請求項4記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- イルメナイト鉱石を酸化して後、還元を経ること無く、磁場を利用した選別処理に付して、ルチルの相からなる生成物をシュードブルッカイトの相からなるものから分離することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- 磁場を利用した選別処理が、1回または複数回行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- 酸化処理が、700 〜1200℃の温度でなされることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- 磁場を利用した選別処理が、0.4 〜 10 テスラの範囲の磁場で行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- 90% 以上のTiO2を含有するルチルの相からなる生成物を得るものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
- イルメナイト鉱石から高品位化された合成ルチルを製造するまでが、実質的に還元処理がなされないことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一記載のイルメナイト鉱石の高品位化法。
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