JP2005097388A - 複合材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 繊維表面に数平均分子量が2,500以上で、軟化点温度が50℃以上の変性ポリエステル樹脂含有の処理剤が付着された炭素繊維と、主成分が不飽和カルボン酸、等の変性ポリオレフィン系樹脂とからなる複合材。
Description
そのため、炭素繊維表面の凹凸や化学的結合を強めるための官能基を規定し、表面を化学的に物理的にあるいは形態的に変化させる方法であるプラズマ処理またはオゾン処理、コロナ処理、更には、ケミカルエッチング処理などを施すものが多数あり、相応の効果を得ている。しかし、工程が煩雑になる、炭素繊維に損傷を与えるなどの根本的な問題がある。
エンプラとしてはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのエステル系樹脂、それに、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)などのポリアミド系樹脂が挙げられ、また、スーパーエンプラとしてはポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)などの非晶性のものやポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂、また、溶融時に液晶性を示す液晶ポリエステル(LCP)などの結晶性のもの、更には、ポリノボルネン、シクロペンテン、シクロブテンなどのシクロ環を有するオレフィン系樹脂が挙げられる。
(1)炭素繊維と熱可塑性樹脂よりなり、該樹脂の主成分が変性ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする複合材。
(2)樹脂が不飽和カルボン酸、その酸無水物またはその誘導体により変性されてなるポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする上記(1)に記載の複合材。
(3)炭素繊維表面にジカルボン酸成分の20%以上が芳香族ジカルボン酸であるポリエステル樹脂を含有する処理剤が付着してなることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の複合材。
(4)ポリエステル樹脂の数平均分子量が2,500以上であり、軟化点温度が50℃以上であることを特徴とする上記(3)に記載の複合材。
本発明に適用する炭素繊維は炭素の含有率が85〜100wt%の範囲内にあり、少なくとも部分的にはグラファイト構造を有する繊維状材料で、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系、更には、気相成長した炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられ、特に限定されるものではないが、汎用性の観点からポリアクリルニトリル系、あるいは、ピッチ系の炭素繊維が好適である。
JIS R 7601「炭素繊維試験方法」に準拠し、強度、弾性率、繊度を求めた。
(2)複合材料の繊維含有率、密度、空洞率
JIS K 7075「炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率及び空洞率試験方法」に準拠し、また、JIS K 7052「ガラス繊維強化プラスチックの繊維含有率測定方法」を参考にして、繊維体積含有率、密度、空洞率を求めた。
(3)含浸状態
任意に選択した複合材の断面を光学顕微鏡で観察し、強化繊維周囲長の50%以上が樹脂と接触した状態の該強化繊維の含有量で示すものである。なお、ここでは70%以上を良、70%未満のものを不良とした。
(4)力学特性(曲げ試験物性)
JIS K 7074「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験」(A法)に準拠して、曲げ強度(破壊強さ)と曲げ弾性率を求めた。
(5)軟化点温度
JIS K 6863「ホットメルト接着剤の軟化点試験方法」に準拠して、軟化点温度を求めた。
(6)数平均分子量
ポリエステル樹脂分子量;テトラヒドロフランを溶離液としたウォーターズ社製ゲルろ過浸透クロマトグラフィー(GPC)150ccを用いて、カラム温度35℃、流量1ml/minにてGPC測定を行なった結果から計算して、ポリスチレン換算の測定値を得た。但し、カラムは昭和電工(株)shodex KF−802、804、806を用いた。
市販の強度5,770MPa、弾性率285GPa、繊度4,370dTexのポリアクリロニトリル系炭素繊維(A−1)に対してJIS R 7601「炭素繊維試験方法」を参考に2−ブタノンによる抽出と窒素ガス下450℃の加熱処理を行ない、処理剤を除去した炭素繊維(A−2)を得た。更に、上記の炭素繊維(A−1)、(A−2)のそれぞれを必要に応じて開繊バーで充分開繊し、処理剤溶液(東洋紡績株式会社製「バイロナール」MD−1985、数平均分子量25,000、軟化点温度11
6℃)に浸漬した後、風乾することで炭素繊維(B−1)と(B−2)を得た。なお、付着量は約1.3wt%であった。
市販のポリポロピレン樹脂(C−1)である日本ポリケム製「ノバテックPP」に同じく市販の無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を混合して、0.2wt%マレイン酸変性したプロピレン樹脂(C−2)を得た。
上記の炭素繊維を、上記のポリプロピレン樹脂がスリットから吐出する曲面ダイと該樹脂が充填された直線ダイ、更に、直線ダイに設置したダイ(幅方向16mm×厚方向0.03mm)を通して引抜き、該樹脂が含浸したテープ状物を得た。
そして、これらのテープ状物を弛まないように一方向に並べたものをプレス成形機(成形温度200℃×圧力0.5MPa×1min)で圧縮成形し、実施例1〜2、ならびに、比較例1〜3の一方向強化材を得た。
なお、各実施例ならびに比較例の物性などを表1に記載する。
上記の結果から炭素繊維に関しては経過した工程が異なるため、引張強度に若干の変化は認められるが、テープ状物においては繊維含有率、空隙率、引張強度、ならびに、引張弾性率に到るまで同等であるにも関わらず、曲げ強度においては実施例1〜4が比較例1より高くなっている。
これは、本発明の実施に当たりテープ状物の製造方法が適正であったので、テープ状物における引張方向の物性は大凡、同等になったと考える。一方、一方向強化材において曲げ試験を行なうと試験片の上側に圧縮、下側に引張が掛かり、その結果、試料内で剪断が発生する。この剪断を支えるためには炭素繊維と樹脂とが連続的に応力を担うことが必要であるが、該繊維と該樹脂の弾性率が大きく異なるため、不連続になり、通常は剪断破壊が生じるが、本発明では炭素繊維についてはこれを緩和する処理剤の層が、樹脂についてはその処理剤と強固に結びつく変性処理が行なわれているため、剪断が緩和されるので物性の向上が認められたと考える。
以上のように課題となる接着性を改善することにより、汎用性に富み、しかも、軽量が期待され、更には、耐衝撃性にも期待が持てる優れた複合材であることが分かる。
Claims (4)
- 炭素繊維と熱可塑性樹脂よりなり、該樹脂の主成分が変性ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする複合材。
- 樹脂が不飽和カルボン酸、その酸無水物またはその誘導体により変性されてなるポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の複合材。
- 炭素繊維表面にジカルボン酸成分の20%以上が芳香族ジカルボン酸であるポリエステル樹脂を含有する処理剤が付着してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材。
- ポリエステル樹脂の数平均分子量が2,500以上であり、軟化点温度が50℃以上であることを特徴とする請求項3に記載の複合材。
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JP2003331296A JP2005097388A (ja) | 2003-09-24 | 2003-09-24 | 複合材 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010150371A (ja) * | 2008-12-25 | 2010-07-08 | Toyobo Co Ltd | 炭素長繊維強化ポリプロピレン系複合材料 |
WO2011064994A1 (ja) | 2009-11-30 | 2011-06-03 | 株式会社カネカ | 炭素繊維強化複合材料 |
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JP2018115396A (ja) * | 2017-01-16 | 2018-07-26 | 永虹先進材料股▲ふん▼有限公司 | 炭素繊維の表面の油剤の交換方法 |
WO2018168554A1 (ja) | 2017-03-16 | 2018-09-20 | 株式会社カネカ | 熱可塑性樹脂系繊維強化複合材料と金属部材との接着複合体及びその製造方法 |
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2003
- 2003-09-24 JP JP2003331296A patent/JP2005097388A/ja active Pending
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