JP2005097231A - ナフトール類の水素化物の製造方法 - Google Patents

ナフトール類の水素化物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005097231A
JP2005097231A JP2003421651A JP2003421651A JP2005097231A JP 2005097231 A JP2005097231 A JP 2005097231A JP 2003421651 A JP2003421651 A JP 2003421651A JP 2003421651 A JP2003421651 A JP 2003421651A JP 2005097231 A JP2005097231 A JP 2005097231A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
naphthol
selectivity
naphthols
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003421651A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4288348B2 (ja
Inventor
Masayuki Shirai
誠之 白井
Takashi Sato
剛史 佐藤
Eiji Hario
栄次 針生
Kazuo Torii
一雄 鳥居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2003421651A priority Critical patent/JP4288348B2/ja
Publication of JP2005097231A publication Critical patent/JP2005097231A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4288348B2 publication Critical patent/JP4288348B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】 工業的に有利にナフトール類を水素化することによって新規のナフトール類の水素化物を製造する方法を提供する。
【解決手段】 二酸化炭素を反応に関与させたナフトールの水素化反応において、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム等の白金族金属を担持した触媒を用いることによって、従来より反応温度を下げることを可能とした環境調和型のナフトール類の水素化物の製造方法。
【効果】 有害な有機溶媒を使用しない環境調和型のナフトール類の水素化物の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナフトール類の水素化方法に関するものであり、更に詳しくは、二酸化炭素と高活性の白金族金属担持触媒を用い、ナフトール類を効率良く水素化する環境調和型プロセスによりナフトール類の水素化物を製造する方法に関するものである。本発明は、ナフトール類の水素化プロセスによるナフトール類の水素化物の製造技術の分野において、従来のプロセスは、有害な有機溶媒や酸を用いる必要があり、環境負荷が高いことや不要な副生成物が生成する等の問題があり、その解決が強く求められていることを踏まえ、超臨界条件下の二酸化炭素と白金族金属担持触媒を用いることで、有害な有機溶媒を用いることなく高効率でナフトール類の水素化物を製造することを可能とする新規製造技術を提供するものである。例えば、ナフトールの水素化によって得られるテトラヒドロナフトールは、医薬及び農薬中間体やジェット機用燃料の安定剤として工業的に重要な物質である。本発明は、このような工業的に重要な物質を有害な有機溶媒等を使用しない環境調和型プロセスで高効率に製造することを可能とする新しいナフトール類の水素化物の製造技術を提供するものとして有用である。
5,6,7,8−テトラヒドロナフトールは、水素化触媒、有機溶媒及び有機酸の存在化でナフトール類を水素化させることによって得られることが知られている(特許文献1)。また、J.Shaoらは、n−トリデカン溶媒と担持パラジウム触媒を用いて、1−ナフトールの水素化反応による1,2,3,4−テトラヒドロナフトールの合成について検討している(非特許文献1)。
上記の特許文献1の水素化方法は、酢酸や鉱酸等の使用によって有害な有機溶媒をpH1〜3に制御して反応させて5,6,7,8−テトラヒドロナフトールを得る方法であるが、この種の方法は、環境負荷が大きく、更にオートクレーブの金属材料腐食が危惧されるなど、プロセス上の欠点を有する。一方、非特許文献1の水素化反応を達成するには、150〜200℃の高温を必要とする。そのため、この種の方法では、副反応の脱水反応が進行し易く、テトラヒドロナフトールの収率が低くなるという欠点を有する。そのため、当技術分野においては、酢酸等の有害な酸を用いず、より低温で、且つ短時間でナフトール類の水素化を行うことが可能な新たな環境調和型プロセスの開発が求められていた。
特開平6−228034号公報 Catalysis Today,65,59−67(2001)
前述したように、従来のナフトールの水素化プロセスは、有害な有機溶媒や酸を用いており、あるいは反応温度を高くする必要があるため、環境負荷が高いことや不要な副生成物が得られる等の欠点があり、そのため、有害な有機溶媒や酸を使用しないで反応温度の低い環境に優しいプロセスの開発が強く要望されていた。このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、これらの問題点を解決すべく長年鋭意検討を重ねた結果、有機溶媒を用いないで超臨界二酸化炭素などの二酸化炭素と白金族金属担持触媒を反応に関与させることによって反応温度を低下させ、且つ効率的にナフトール類の水素化反応が進行することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ナフトール類を効率良く水素化することが可能な環境調和型の新規ナフトール類の水素化物の製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、超臨界条件下の二酸化炭素と白金族金属担持触媒を用いて、有害な有機溶媒を用いることなく高効率でナフトール類の水素化物を製造する方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)二酸化炭素を用いてナフトール類を水素化してその水素化物を製造する方法であって、二酸化炭素を用いて白金族金属担持触媒の存在下でナフトール類と水素を反応させて、ナフトール類を水素化することを特徴とするナフトール類の水素化物の製造方法。
(2)ロジウム、パラジウム、白金あるいはルテニウムから選択された少なくとも1種の白金族金属の担持触媒を用いることを特徴とする前記(1)に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
(3)二酸化炭素として、温度20〜250℃及び圧力0.1〜50MPaの条件下の二酸化炭素を用いることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
(4)温度20〜250℃及び圧力0.1〜50MPaの条件下の水素を用いることを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載のナフトール類の水素化物の製造方法。(5)二酸化炭素として、超臨界条件下の二酸化炭素を用いることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
(6)ナフトール類として、1−ナフトール及び/又は2−ナフトールを用いることを特徴とする前記(1)から(5)のいずれかに記載のナフトール類の水素化物の製造方法。(7)基質原料として、テトラロンを用いることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
(8)白金族金属の担持触媒を加熱処理して用いることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
(9)ナフトール類に対する水素のモル比が、1〜500の範囲である前記(1)に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
(10)1−ナフトールと水素を反応させて、テトラヒドロナフトール及び/又はテトラロンを合成することを特徴とする前記(1)に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の説明を容易にするために、以下、1−ナフトール、水素、二酸化炭素及び活性炭担持ロジウム触媒を、反応温度50℃に設定した内容積50mlの反応容器に導入して1−ナフトールの水素化物を製造する反応を例にとって詳細に説明する。
本発明者らが、種々の実験を経て開発した本発明の水素化物の製造方法は、例えば、50℃の反応温度の反応容器内で二酸化炭素と触媒を用いて1−ナフトールと水素を30分で反応させて、1−ナフトールを水素化して5,6,7,8−テトラヒドロナフトール、1,2,3,4−テトラヒドロナフトール、1−テトラロン等を従来の反応温度より低い温度条件で製造することを特徴とするものである。
従来技術であるチタン担持パラジウム触媒0.05gを用い、n−トリデカン溶媒中で、水素圧3.4MPa、150℃で30分間反応させて、1−ナフトール0.5gを水素化した例では、1−ナフトール転化率97.8%で1,2,3,4−テトラヒドロナフトール11.2%、5,6,7,8−テトラヒドロナフトール34.2%及び1−テトラロン20.5%であり、これらの3種の水素化生成物の合計量は65.9%であった。しかしながら、テトラリンとデカリンの合計が29.4%あり、副反応として脱水反応が起こり易い欠点が認められる(非特許文献1)。
本発明の水素化物の製造方法は、ナフトール類の水素化反応を従来技術における反応温度を低下させて行うことを可能とする新規製造方法を提供するものである。また、反応温度を低下させたり、あるいは二酸化炭素圧を高くすることによって、脱水反応を抑制することができ、ナフトール類の水素化物の製造方法の手段として最も好適な方法であると考えられる。
本発明で基質原料として用いられるナフトール類は、ヒドロキシナフタレンにあたるフェノールで、1−ナフトールと2−ナフトールの二つの異性体がある。1,2,3,4−テトラヒドロナフトールと5,6,7,8−テトラヒドロナフトールや、ナフタレン核を有する2価のビナフトールも本発明に有効に用いることができる。また、本発明では、基質原料のナフトール類として、ナフトールの水素化反応によって得られるテトラロン、デカロン等の中間生成物も本発明の基質原料として用いることができる。
本発明によるナフトール類の水素化物の製造方法の具体例として、例えば、1−ナフトールを水素化して1,2,3,4−テトラヒドロ−1 −ナフトール、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトールや1−テトラロンを合成する反応式を下記の化1及び化2に示す。
Figure 2005097231
本発明によるナフトール類の水素化物の製造方法において、副反応の具体例として、例えば、1−ナフトールの脱水反応の反応式を下記の化2に示す。テトラリンやデカリンは1−ナフトールの脱水反応によって生成したナフタレンの水素化によって生成したものと考えられる。
Figure 2005097231
本発明のナフトールの水素化においては、上記の化1に示されるように、1 個のナフトールのナフタレン核における水酸基側の核に4個の水素原子が付加して部分的水素化反応が進行して1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトールが合成される。水酸基側の核に2個の水素原子が付加すると、1−テトラロンが合成され、更に1−テトラロンのカルボニル基に2個の水素が付加した場合も1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトールが生成する。1個のナフトールのナフタレン核における水酸基と反対側の核に4個の水素原子が付加して部分的水素化反応が進行した場合は、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトールが合成される。これらの化合物に、更に水素化反応を続行させれば、最終的にナフタレン核が完全に水素化され、デカヒドロ−1−ナフトールが生成する。本発明では、部分的水素化反応が選択的に進行し、5,6,7,8−テトラヒドロナフトール、1,2,3,4−テトラヒドロナフトール及び1−テトラロンが合成される傾向が強いことが認められる。
本発明のナフトール類の水素化反応に用いられる触媒としては、白金族金属担持触媒を好適に用いることができる。本発明の触媒中に含有される白金族金属としては、ロジウム、パラジウム、白金及びルテニウムを最も有効に用いることができる。触媒中にロジウム、パラジウム、白金及びルテニウムから選択された少なくとも1種類以上の白金族金属を含有していれば本発明に有効に用いることができる。更に、これらのロジウム、パラジウム、白金及びルテニウムの少なくとも1種類以上の白金族金属を含有する担持触媒に対して、Os、Irの白金族金属、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mn、Pb、Cd、Cr、Ag、Au、Hg、Ga、In、Ge、Sn、Ti、Al、Si等の金属元素、Ca、Mg、Sr、Baの2A族元素、及び、Li、Na、K、Rb、Csのアルカリ金属の中から選択された少なくとも1種以上の金属元素を付加あるいは合金化して作製した触媒を本発明に有効に用いることもできる。本発明では、白金族金属の種類や担持量を変化させることによって、触媒活性や選択性を制御することができる。
ロジウム、パラジウム、白金及びルテニウムから選択された少なくとも1種類以上の白金族金属を含有する本発明の担持触媒の担体としては、好適には、例えば、通常用いられている活性炭、アルミナ、シリカ、マグネシア、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、粘土、カオリン、タルク、ベントナイト、あるいはこれらのゲル、ゾルを用いることができる。これらの適当な担体を混合して触媒に供しても良い。担体は、その表面に金属等の触媒活性点を分散させて高表面積の触媒としたり、触媒の機械的強度を高めたりする目的で用いられる。担体は、反応を阻害したり触媒活性を阻害したりしないものであれば特に制限はなく、反応に対して触媒活性がある程度発現するものでも使用できる。また、本発明では、担体を変えることによって触媒活性や選択性を制御することも可能である。
本発明に用いる触媒は、使用する前に、例えば、水素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、酸素、空気などのガス気流中で加熱処理することにより活性化することが望ましい。その際の処理温度は、通常、50〜700℃の範囲であり、好ましくは80〜600℃の範囲であり、より好ましくは80〜500℃の範囲であり、及び最も好ましくは100〜500℃の範囲である。処理温度が50℃未満では吸着物質の脱着が不十分となるため好ましくない。また、処理温度が700℃を越えると触媒に含まれる担体の構造が壊れやすくなり、表面積が減少する傾向がでてくることや金属粒子の凝集が起こるので好ましくない。活性化処理の時間は、表面吸着物の量や処理温度により左右されるため特に限定されるものではないが、通常、0.1〜100時間である。触媒を加熱処理することによって、本発明の方法における選択率の向上や転化率を制御すること等が可能となる。
次に、本発明の実施態様について述べる。本発明を実施するに際し、その反応方法としては、バッチ式、セミバッチ式又は連続流通式の何れかの方法が使用される。反応形態は、触媒を固体状態として液相、気相、超臨界流体相、固相の何れの形態でも、あるいはこれらの何れの組み合わせの形態でも実施できる。例えば、液−気混合相、固−液−気混合相あるいは超臨界流体相の何れかの形態で実施することもできる。更に、常圧あるいは加圧の何れかの状態で実施することも可能である。反応効率的な観点から、好ましくは超臨界条件下の二酸化炭素を用いることが推奨されるが、本発明は、これに限定されるものでない。
反応温度は20℃以上であれば特に限定はされないが、好ましい反応温度範囲は20〜250℃であり、より好ましい反応温度範囲は30〜200℃であり、更により好ましい反応温度範囲は35〜150℃であり、及び最も好ましい反応温度範囲は35〜100℃である。反応温度があまりに低ければ反応速度は低下して、効率の良い製造方法とはならず、また、極端に高くなれば反応装置コストやランニングコストが増大し、あるいは望ましい生成物の選択率や収率を低下させたりして経済的な方法とはならない。
本発明では、水素と二酸化炭素が反応に用いられる。通常用いられる反応圧力範囲は0.2〜150MPaであり、好ましい反応圧力範囲は0.2〜100MPaであり、より好ましい反応圧力範囲は1.1〜80MPaであり、更により好ましい反応圧力範囲は2〜60MPaであり、及び最も好ましい反応圧力範囲は8.4〜50MPaである。
更に、本発明を実施するにあたり、例えば、バッチ反応を実施する際には、その反応時間は、特に限定されることはないが、好ましくは1分〜20時間であり、より好ましくは0.1〜5時間であり、更により好ましくは0.1〜3時間であり、最も好ましくは0.1〜2時間である。
水素化反応を実施するに際し、原料である水素とナフトール類の仕込み組成は、特に限定はされないが、例えば、ナフトールの水素化反応において高い転化率を達成するには、ナフトールに対する水素のモル比を高くすることが望ましい(部分水素化で得られるテトラヒドロナフトールの理論当量は、フェノールに対し、水素は2当量である)。本発明においては、ナフトール類に対する水素のモル比は、通常、0.1〜1000の範囲で実施されるが、1〜500の範囲で実施されることが好ましく、2〜200の範囲がより好ましく、2〜100の範囲が更により好ましく、及び2〜50の範囲が最も好ましい。勿論、本発明においては、これらの範囲の値のみに限定されるものではない。
本発明の水素化反応に用いられる水素の温度は、20℃以上及び圧力は0.1MPa以上であれば一向に差し支えない。好ましい温度範囲は20〜250℃であり、より好ましい温度範囲は30〜200℃であり、更により好ましい温度範囲は35〜150℃であり、及び最も好ましい温度範囲は35〜100℃である。一方、水素の好ましい圧力範囲は0.1〜50MPaであり、より好ましい圧力範囲は1〜40MPaであり、更により好ましい圧力範囲は1〜30MPaであり、及び最も好ましい圧力範囲は1〜25MPaである。
本発明の水素化反応に関与させる二酸化炭素の温度は、20℃以上、及び圧力は0.1MPa以上であれば一向に差し支えない。二酸化炭素の好ましい温度範囲は20〜250℃であり、より好ましい温度範囲は30〜200℃であり、更により好ましい温度範囲は35〜150℃であり、及び最も好ましい温度範囲は35〜100℃である。一方、二酸化炭素の好ましい圧力範囲は0.1〜50MPaであり、より好ましい圧力範囲は0.1〜40MPaであり、更により好ましい圧力範囲は1〜30MPaであり、及び最も好ましい圧力範囲は7.4〜25MPaである。
本発明においては、ナフトール類及び水素を仕込む際に、二酸化炭素を導入して反応に関与させるが、その際に、特に溶媒を使用する必要はない。しかしながら、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、水等の溶媒を用いてナフトール類を希釈して仕込んでも一向に差し支えない。
本発明において、触媒の使用量は特に限定されないが、例えば、バッチ反応にて実施する場合には、原料であるナフトールに対して重量%で0.01〜200%の範囲の値を用いることができ、好ましくは0.05〜100%の範囲の値を用いることができ、より好ましくは0.05〜70%の範囲の値を用いることができ、更に好ましくは0.1〜50%の範囲の値を用いることができ、及び最も好ましくは0.1〜30%の範囲の値を用いることができる。あまりに触媒使用量が少ない場合には実質的に反応の進行が低下し、また多い場合には接触等の効率を低下させたり、製造コストの増加につながる等のトラブルが生じる恐れがあるためである。
本発明を実施した後、水素及び二酸化炭素を放出した後、得られた混合固体中に生成物は未反応原料や触媒等と共に含有されるが、アセトン等を用いた溶媒抽出によって触媒と分離され、得られた抽出液から通常の蒸留、抽出、晶出、カラム分離等の分離精製方法により目的の化合物を単離精製することができる。例えば、反応終了した後、得られた生成物は、未反応原料と共にアセトンで抽出して、ガスクロマトグラフ−質量分析装置、液体クロマトグラフ測定装置、ガスクロマトグラフ測定装置、NMR測定装置等によって生成物の同定や定量分析が行われ、水素化反応の転化率や選択性のデータを調べることができる。
本発明において、例えば、1−ナフトールの水素化によって1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトールや1−テトラロンが得られる。この反応を例にとって転化率及び選択率に及ぼす操作条件の効果を述べると、反応温度は45〜80℃の間ではナフトールの転化率は反応温度の上昇とともに高くなる。また、反応時間が長くなるにつれ、あるいは水素圧が高くなるに従って、ナフトールの転化率が大きくなる傾向を示す。また、二酸化炭素圧が高くなるに従って副反応である脱水反応を抑制する傾向が強くなることが認められる。従って、反応温度、水素圧、二酸化炭素圧、反応時間、触媒金属の種類や触媒量等を変化させることによって、経済的に最適な反応条件を選択できる。
一方、水素圧を一定にした場合、二酸化炭素圧力の上昇に伴ってのナフトール転化率は高くなり、脱水反応を抑制する傾向を示す。二酸化炭素圧力を一定にして、水素圧を上昇させると、この場合はナフトールの転化率が高くなる傾向を示した。
本発明によれば、(1)二酸化炭素を反応に関与させてナフトールの水素化反応を行い、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム等の白金族金属を担持した触媒を用いることによって、従来技術より反応温度を下げることが可能となる、(2)有害な有機溶媒を使用しない環境調和型のナフトール類の水素化物の製造方法を提供できる、(3)新たな担持金属触媒をナフトール類の水素化物の製造方法に適用して、高効率、且つ経済的に反応させることができる、(4)反応に用いる触媒は固体であり、通常得られる固体生成物を溶媒抽出することによって簡単に分離でき、蒸留やカラム分離などによって精製できる、(5)工業的に重要なナフトールの水素化物の製造を環境調和型プロセスによって効率的に実施できる、という効果が奏される。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかしながら、本実施例は本発明の好適な例を具体的に説明したものであり、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
内容積50mlのステンレス製高圧反応装置に1−ナフトール0.2073gと活性炭担持ロジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品)0.0197gを入れ、圧力3.0MPaの水素及び圧力10MPaの二酸化炭素を導入して、反応温度50℃で15分間水素化反応を行った。反応終了後、水素と二酸化炭素を放出し、得られた生成物をアセトン抽出によって回収し、ガスクロマトグラフ−質量分析装置を用いて分析した。1−ナフトールの転化率は42.6%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール71.1%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール11.8% 及び1−テトラロン7.7%であり、水素化反応の選択率は98.5%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.2%及びデカリン0.3%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.5%であると考えられる。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、反応時間を30分に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2109g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0203g
反応温度:50℃
反応時間:30分
1−ナフトールの転化率は56.1%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール72.2%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール11.9%及び1−テトラロン7.1%であり、水素化反応の選択率は98.4%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.2%及びデカリン0.4%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.6%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、反応時間を120分に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2074g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0202g
反応温度:50℃
反応時間:120分
1−ナフトールの転化率は88.9%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール70.5%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール10.5%及び1−テトラロン6.0%であり、水素化反応の選択率は96.7%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン2.7%及びデカリン0.6%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は3.3%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、二酸化炭素圧力条件を16MPaに及び反応時間を60分に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2016g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:16MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0200g
反応温度:50℃
反応時間:60分
1−ナフトールの転化率は94.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール74.2%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール11.1%及び1−テトラロン4.5%であり、水素化反応の選択率は98.6%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.0%及びデカリン0.4%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.4%であった。
実施例4と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、反応時間を30分に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2072g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:16MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0200g
反応温度:50℃
反応時間:30分
1−ナフトールの転化率は65.3%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール71.9%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール12.6%及び1−テトラロン5.5%であり、水素化反応の選択率は98.9%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.8%及びデカリン0.3%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.1%であった。
実施例5と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、二酸化炭素圧力を14MPaに変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2021g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:14MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品)
0.0200g
反応温度:50℃
反応時間:30分
1−ナフトールの転化率は57.3%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール71.9%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール12.7%及び1−テトラロン5.7%であり、水素化反応の選択率は98.9%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.8%及びデカリン0.3%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.1%であった。
実施例6と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、二酸化炭素圧力を8MPaに変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2018g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:8MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0199g
反応温度:50℃
反応時間:30分
1−ナフトールの転化率は49.7%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール71.7%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール12.3%及び1−テトラロン7.0%であり、水素化反応の選択率は98.5%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.1%及びデカリン0.4%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.5%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、水素圧力を1MPaに、及び反応時間を45分に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2063g
水素圧力:1MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0202g
反応温度:50℃
反応時間:45分
1−ナフトールの転化率は29.8%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール67.2%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール14.4%及び1−テトラロン10.3%であり、水素化反応の選択率は98.7%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.0%及びデカリン0.3%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.3%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、触媒をアルミナ担持5%ロジウム触媒に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2045g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:アルミナ担持ロジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0213g
反応温度:50℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は24.1%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール75.9%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール12.1%及び1−テトラロン6.4%であり、水素化反応の選択率は99.2%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.7%及びデカリン0.1%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は0.8%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、触媒を活性炭担持5%パラジウム触媒に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2075g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持パラジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0757g
反応温度:50℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は11.2%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール56.2%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール7.0%及び1−テトラロン36.1%であり、水素化反応の選択率は99.3%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.5%及びデカリン0.2%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は0.7%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、触媒を活性炭担持5%白金触媒に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2011g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持白金触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0549g
反応温度:50℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は5.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール79.3%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール3.3%及び1−テトラロン10.6%であり、水素化反応の選択率は98.6%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.4%及びデカリン1.0%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.4%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、触媒をアルミナ担持5%ルテニウム触媒に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2069g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:アルミナ担持ルテニウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0081g
反応温度:50℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は0.9%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール53.3%及び1−テトラロン46.7%であり、水素化反応の選択率は100%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、触媒の使用量を変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2123g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0492g
反応温度:50℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は65.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール70.8%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール13.1%及び1−テトラロン6.4%であり、水素化反応の選択率は98.7%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.9%及びデカリン0.4%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.3%であった。
実施例2と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、二酸化炭素圧力を0.1MPaに変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2064g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:0.1MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0202g
反応温度:50℃
反応時間:30分
1−ナフトールの転化率は45.9%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール72.1%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール9.3%及び1−テトラロン7.7%であり、水素化反応の選択率は98.1%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.2%及びデカリン0.7%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.9%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、水素圧力を8.8MPaに変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2060g
水素圧力:8.8MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0200g
反応温度:50℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は62.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール74.8%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール10.0%及び1−テトラロン3.5%であり、水素化反応の選択率は98.5%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.9%及びデカリン0.5%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.5%であった。
実施例2と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、反応温度を65℃に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2097g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0204g
反応温度:65℃
反応時間:30分
1−ナフトールの転化率は92.6%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール69.6%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール12.1%及び1−テトラロン6.1%であり、水素化反応の選択率は97.7%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.7%及びデカリン0.5%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は2.3%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、反応温度を80℃に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2023g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0207g
反応温度:80℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は85.9%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール70.0%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール11.4%及び1−テトラロン8.0%であり、水素化反応の選択率は97.1%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン2.4%及びデカリン0.5%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は2.9%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、触媒としてシリカ担持5%ロジウム触媒を用い、二酸化炭素圧力を16MPa及び反応時間を60分に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2057g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:16MPa
触媒:シリカ担持ロジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品)0.0201g
反応温度:50℃
反応時間:60分
1−ナフトールの転化率は79.0%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール72.7%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール11.8%及び1−テトラロン4.3%であり、水素化反応の選択率は98.2%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.4%及びデカリン0.4%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.8%であった。
実施例10と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、反応温度を80℃に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2046g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持パラジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0757g
反応温度:80℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は56.7%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール37.8%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール10.3%及び1−テトラロン51.3%であり、水素化反応の選択率は99.6%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.4%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は0.4%であった。
実施例11と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、基質原料と触媒の使用量を変更し、反応温度を80℃及び反応時間を60分にして実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.1008g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持白金触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.1004g
反応温度:80℃
反応時間:60分
1−ナフトールの転化率は25.5%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール76.8%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール1.2%及び1−テトラロン17.3%であり、水素化反応の選択率は97.9%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン2.1%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は2.1%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、触媒として活性炭担持ルテニウム触媒を用い、基質原料と触媒の使用量を変更し、及び反応時間を120分にして実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.1059g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ルテニウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0464g
反応温度:50℃
反応時間:120分
1−ナフトールの転化率は60.1%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール68.7%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール9.3%及び1−テトラロン7.9%であり、水素化反応の選択率は98.2%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.4%及びデカリン0.4%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.8%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、予め流速100ml/分の水素気流中で300℃、2時間加熱処理した触媒を用い、及び反応時間を30分にして実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2087g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0206g
反応温度:50℃
反応時間:30分
1−ナフトールの転化率は32.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール76.4%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール10.2%及び1−テトラロン6.3%であり、水素化反応の選択率は98.7%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン1.0%及びデカリン0.3%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は1.3%であった。
実施例22と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、予め流速100ml/分の水素気流中で500℃、2時間加熱処理した触媒を用い、反応時間を15分に変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−ナフトール0.2102g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0207g
反応温度:50℃
反応時間:15分
1−ナフトールの転化率は18.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール80.3%、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール6.8%及び1−テトラロン6.1%であり、水素化反応の選択率は99.4%であった。また
、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.4%及びデカリン0.2%であり、1−ナフトールの脱水反応の選択率は0.6%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、基質原料として2−ナフトールを用い、二酸化炭素圧力を16MPa及び反応時間を30分に変更して実施した。
反応条件
基質原料:2−ナフトール0.2079g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:16MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0203g
反応温度:50℃
反応時間:30分
2−ナフトールの転化率は10.1%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール68.7%、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトール11.5%及び2−テトラロン4.3%であり、水素化反応の選択率は97.7%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン0.8%、デカリン0.5%及びナフタレン1.0%であり、2−ナフトールの脱水反応の選択率は2.3%であった。
実施例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、基質原料として1−テトラロンを用い、基質原料と触媒の使用量を変更して実施した。
反応条件
基質原料:1−テトラロン0.2074g
水素圧力:3MPa
二酸化炭素圧力:10MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0204g
反応温度:50℃
反応時間:15分
1−テトラロンの転化率は34.8%であり、選択率は1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトール83.4%、デカヒドロ−1−ナフトール5.9%及び1−デカロン4.1%であり、水素化反応の選択率は93.4%であった。また、脱水反応生成物の選択率はテトラリン5.9%、及び1−デカリン0.6%であり、1−テトラロンの脱水反応の選択率は6.5%であった。
比較例1
内容積50mlのステンレス製高圧反応装置に2−ナフトール0.2079gと活性炭担持ロジウム触媒(金属担持量5%、Wako Chemicals製品)0.0202gを入れ、次に、メタノール10mlを入れ、圧力3.0MPaの水素を導入して、反応温度50℃で30分間水素化反応を行った。反応終了後、水素を放出し、得られた生成物をアセトン抽出によって回収し、ガスクロマトグラフ−質量分析装置を用いて分析した。2−ナフトールの転化率は0.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール32.7%及び1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトール3.9%であり、水素化反応の選択率は36.6%であった。また、脱水反応生成物の選択率はナフタレン57.6%及びテトラリン5.8%であり、2−ナフトールの脱水反応の選択率は63.4%であると考えられる。
比較例2
比較例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、反応温度を80℃に変更して実施した。
反応条件
有機溶媒:メタノール 10ml
基質原料:2−ナフトール0.2080g
水素圧力:3MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0202g
反応温度:80℃
反応時間:30分
2−ナフトールの転化率は0.5%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール38.6%及び1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトール4.1%であり、水素化反応の選択率は42.7%であった。また、脱水反応生成物の選択率はナフタレン47.4%及びテトラリン9.9%であり、2−ナフトールの脱水反応の選択率は57.3%であると考えられる。
比較例3
比較例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、有機溶媒としてアセトンを用いて実施した。
反応条件
有機溶媒:アセトン 10ml
基質原料:2−ナフトール0.2092g
水素圧力:3MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0205g
反応温度:50℃
反応時間:30分
2−ナフトールの転化率は0.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール25.6%、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトール3.2%、デカヒドロ−2−ナフトール3.8%、デカロン3.7%及びテトラロン3.5%であり、水素化反応の選択率は39.8%であった。また、脱水反応生成物の選択率はナフタレン54.8%及びテトラリン5.4%であり、2−ナフトールの脱水反応の選択率は60.2%であると考えられる。
比較例4
比較例1と同様に反応させて生成物を得た。ただし、次の反応条件で、有機溶媒としてテトラヒドロフランを用いて実施した。
反応条件
有機溶媒:テトラヒドロフラン 10ml
基質原料:2−ナフトール0.2103g
水素圧力:3MPa
触媒:活性炭担持ロジウム触媒( 金属担持量5%、Wako Chemicals製品) 0.0200g
反応温度:50℃
反応時間:30分
2−ナフトールの転化率は0.4%であり、選択率は5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール37.0%及び1,2,3,4−テトラヒドロ−2−ナフトール5.8%であり、水素化反応の選択率は42.8%であった。また、脱水反応生成物の選択率はナフタレン57.2%であり、2−ナフトールの脱水反応の選択率は57.2%であると考えられる。
以上詳述したように、本発明は、ナフトール類の水素化物の製造方法であり、本発明によれば、二酸化炭素を反応に関与させてナフトールの水素化反応を行い、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム等の白金族金属を担持した触媒を用いることによって、従来技術より反応温度を下げることが可能となる。有害な有機溶媒を使用しない環境調和型のナフトール類の水素化物の製造方法を提供できる。新たな担持金属触媒をナフトール類の水素化物の製造方法に適用して、高効率、且つ経済的に反応させることができる。反応に用いる触媒は固体であり、通常得られる固体生成物を溶媒抽出することによって簡単に分離でき、蒸留やカラム分離などによって精製できる。工業的に重要なナフトールの水素化物の製造方法を環境調和型プロセスによって効率的に実施できる。

Claims (10)

  1. 二酸化炭素を用いてナフトール類を水素化してその水素化物を製造する方法であって、二酸化炭素を用いて白金族金属担持触媒の存在下でナフトール類と水素を反応させて、ナフトール類を水素化することを特徴とするナフトール類の水素化物の製造方法。
  2. ロジウム、パラジウム、白金あるいはルテニウムから選択された少なくとも1種の白金族金属の担持触媒を用いることを特徴とする請求項1に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
  3. 二酸化炭素として、温度20〜250℃及び圧力0.1〜50MPaの条件下の二酸化炭素を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
  4. 温度20〜250℃及び圧力0.1〜50MPaの条件下の水素を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
  5. 二酸化炭素として、超臨界条件下の二酸化炭素を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
  6. ナフトール類として、1−ナフトール及び/又は2−ナフトールを用いることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
  7. 基質原料として、テトラロンを用いることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
  8. 白金族金属の担持触媒を加熱処理して用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
  9. ナフトール類に対する水素のモル比が、1〜500の範囲である請求項1に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。
  10. 1−ナフトールと水素を反応させて、テトラヒドロナフトール及び/又はテトラロンを 合成することを特徴とする請求項1に記載のナフトール類の水素化物の製造方法。

JP2003421651A 2003-08-22 2003-12-18 ナフトール類の水素化物の製造方法 Expired - Lifetime JP4288348B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003421651A JP4288348B2 (ja) 2003-08-22 2003-12-18 ナフトール類の水素化物の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003299309 2003-08-22
JP2003421651A JP4288348B2 (ja) 2003-08-22 2003-12-18 ナフトール類の水素化物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005097231A true JP2005097231A (ja) 2005-04-14
JP4288348B2 JP4288348B2 (ja) 2009-07-01

Family

ID=34467091

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003421651A Expired - Lifetime JP4288348B2 (ja) 2003-08-22 2003-12-18 ナフトール類の水素化物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4288348B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112374969A (zh) * 2020-11-30 2021-02-19 沈阳化工研究院有限公司 一种负载型贵金属催化剂在萘的衍生物选择性加氢反应中的应用
CN115322082A (zh) * 2022-08-31 2022-11-11 郑州药领医药科技有限公司 一种四氢萘酮类化合物的制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112374969A (zh) * 2020-11-30 2021-02-19 沈阳化工研究院有限公司 一种负载型贵金属催化剂在萘的衍生物选择性加氢反应中的应用
CN115322082A (zh) * 2022-08-31 2022-11-11 郑州药领医药科技有限公司 一种四氢萘酮类化合物的制备方法
CN115322082B (zh) * 2022-08-31 2024-02-23 郑州药领医药科技有限公司 一种四氢萘酮类化合物的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4288348B2 (ja) 2009-07-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mallat et al. Selectivity enhancement in heterogeneous catalysis induced by reaction modifiers
JPS6346752B2 (ja)
JP4581078B2 (ja) フェノール類の水素化方法
JP6800206B2 (ja) グリセロールのアリルアルコールへの直接脱酸素脱水素反応のためのレニウム含有担持不均一系触媒の使用
EP2791095B1 (en) Hydrogenation of styrene oxide forming 2-phenyl ethanol
JP5441526B2 (ja) 脂環式アルコールの製造方法
JP2009046398A (ja) ナフタレン類水素化触媒
US8574522B2 (en) Process for selective oxidative dehydrogenation of a hydrogen-containing CO mixed gas
US6472575B2 (en) Process for producing adamantane
JP4288348B2 (ja) ナフトール類の水素化物の製造方法
EP1268402B1 (en) Process for preparing 6-aminocaproamide
CN111450836A (zh) 一种用于合成对羟基苯甲醇的方法
CN113508104A (zh) 选择性氧化甘油的方法
US20110071320A1 (en) Allylic Oxidation Method for the Preparation of Fragrances Using Metal-Organic Compounds and Gold Catalysts
JP4512762B2 (ja) 環境調和型ナフタレン類水素化システム
JP4264512B2 (ja) 3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンの製造方法
JP4359679B2 (ja) 3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンの製造法
Mine et al. Partial ring hydrogenation of naphthols over supported metal catalysts in supercritical carbon dioxide solvent
EP1440963B1 (en) Production method of ketone compound
US6939996B2 (en) Process for the hydrogenation of alkylaryl ketones
JP2011231048A (ja) アルキルアリールケトンの水素化法
JPH0330582B2 (ja)
JPH0248541A (ja) テルペンアルコールの製造方法
Xin et al. Regioselective hydrogenation of p-phenylphenol to p-cyclohexylphenol over Pd/C catalyst in THF solvent
JP2012211100A (ja) メタノールの製造方法およびメタノール製造用触媒

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050616

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080804

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20081003

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20081008

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090225

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4288348

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term