JP2005096354A - フィルム熱処理装置及び光学用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 リタデーションが小さくかつフィルム流れ方向にばらつきの少ない、光学的等方性に優れた耐熱性熱可塑性樹脂フィルムを生産するための熱処理装置及びそれを用いた光学用フィルムを提供する。
【解決手段】 少なくともフィルム繰り出し部、エアフローティング式の加熱炉、フィルム巻き取り部を有し、ロール状の耐熱性熱可塑性樹脂フィルムを加熱炉の出入り口にそれぞれに配置された2本のロール間でフィルム加工方向に張力を加えて連続的に熱処理を行う熱処理装置において、フィルム繰り出し部と加熱炉の間に位相差計1を配置し、加熱炉内のフィルム張力を、少なくとも位相差計Aで測定されるリタデーション値から演算により制御することを特徴とするフィルム熱処理装置及びそれを用いた光学用フィルム。
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくともフィルム繰り出し部、エアフローティング式の加熱炉、フィルム巻き取り部を有し、ロール状の耐熱性熱可塑性樹脂フィルムを加熱炉の出入り口にそれぞれに配置された2本のロール間でフィルム加工方向に張力を加えて連続的に熱処理を行う熱処理装置において、フィルム繰り出し部と加熱炉の間に位相差計1を配置し、加熱炉内のフィルム張力を、少なくとも位相差計Aで測定されるリタデーション値から演算により制御することを特徴とするフィルム熱処理装置及びそれを用いた光学用フィルム。
【選択図】 図1
Description
本発明は透明性熱可塑性樹脂フィルムをロールトゥロールで連続的に熱処理を行う装置、および光学用フィルム、さらには該光学用フィルムを用いた表示装置、光学記録媒体関するものである。
従来液晶パネルの基板としはガラスが使用されているが、パネルの軽量化、可撓性や耐衝撃性の向上のため、近年プラスティック基板の検討が盛んに行われておりすでに一部で実用化が進んでいる。
プラスティック基板の材料としては、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリアリレート、エポキシ、ポリカーボネート、シクロポリオレフィン、ポリエステル等の耐熱性樹脂が検討されているが、それらの製法は溶融押出し法、溶液流延法、溶液注型法等が用いられる。これら製法のうち、生産性、コストの面では溶融押出し法がもっとも優れているが、加熱溶融させた樹脂をフィルム化する際に発生する分子配向によりフィルムのリタデーションや屈折率楕円体の光学的主軸の振れといった光学的異方性が欠点として明らかになっている。
プラスティック基板の材料としては、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリアリレート、エポキシ、ポリカーボネート、シクロポリオレフィン、ポリエステル等の耐熱性樹脂が検討されているが、それらの製法は溶融押出し法、溶液流延法、溶液注型法等が用いられる。これら製法のうち、生産性、コストの面では溶融押出し法がもっとも優れているが、加熱溶融させた樹脂をフィルム化する際に発生する分子配向によりフィルムのリタデーションや屈折率楕円体の光学的主軸の振れといった光学的異方性が欠点として明らかになっている。
また、DVD(デジタル他用途ディスク)等の光記憶媒体も記録の高密度化または小型化に伴い、従来のポリカーボネート等の射出成形による製法から、ポリカーボネートやシクロポリオレフィン等のフィルムを使用した構成の検討がなされている。この場合はフィルムの製法としては溶液流延法、溶融押出し法のいずれかになるが、コスト生産性の面からは溶融押出し法が優れている反面、液晶等の表示体用途と同様に光学異方性が問題となる。
溶融押出しフィルムの光学的異方性を改善するため、樹脂のガラス転移点に近い温度で加工方向に張力を加えることにより分子配向を制御して、リタデーションの低減を図る方法が特許文献1にのべられている。この方法によりリタデーションは改善され、モノクロのSTN型等の液晶表示パネルでは実用に耐えうるレベルのフィルムを作製することは可能である。
しかしながら、近年液晶表示パネルのカラー化、高細密化が進みさらに光学的異方性の小さいフィルムが求められている。
しかしながら、近年液晶表示パネルのカラー化、高細密化が進みさらに光学的異方性の小さいフィルムが求められている。
溶融押出し法によりフィルム化を行う場合、溶融樹脂がダイスから押出される際の吐出ムラ、ネックインや冷却ロールに達するまでの雰囲気の温度ムラ、冷却ロールの回転速度ムラ、フィルム流れ方向冷却収縮による応力など様々な要因により、でき上がったフィルムのリタデーションはフィルムの流れ方向で均一ではなく、ばらつきが生じる。
このようなフィルム流れ方向にリタデーションの分布を持つフィルムをガラス転移温度近くで張力を加えて分子配向を制御しようとした場合、一定のフィルム張力を負荷して熱処理を行っても、フィルム製膜時に形成された流れ方向のリタデーションの分布は解消しない。したがって、熱処理後のフィルムはリタデーションの平均値は低減されるが、流れ幅方向に分布を持つため改善が求められている。
特許第3078450号公報
このようなフィルム流れ方向にリタデーションの分布を持つフィルムをガラス転移温度近くで張力を加えて分子配向を制御しようとした場合、一定のフィルム張力を負荷して熱処理を行っても、フィルム製膜時に形成された流れ方向のリタデーションの分布は解消しない。したがって、熱処理後のフィルムはリタデーションの平均値は低減されるが、流れ幅方向に分布を持つため改善が求められている。
液晶パネル等の表示体または光記録媒体に使用される光学用フィルムのリタデーションが流れ方向にばらつきがあるために安定した性能が得られないために、表示体の表示欠陥や光ディスク媒体の記録エラー等の問題点がある。それらを解決するためのフィルム熱処理装置を提供することである。
本発明は、
(1)少なくともフィルム繰り出し部、エアフローティング式の加熱炉、フィルム巻き取り部を有し、ロール状の透明性熱可塑性樹脂フィルムを加熱炉の出入り口にそれぞれに配置された2本のロール間でフィルム流れ方向に張力を加えて連続的に熱処理を行う熱処理装置において、フィルム繰り出し部と加熱炉の間に位相差計Aを配置し、位相差計Aでリタデーション値を測定し、少なくともそのリタデーション値を用いて演算することにより、加熱炉内のフィルム張力を制御することを特徴とするフィルム熱処理装置、
(2)乾燥炉とフィルム巻き取り部の間に位相差計Bを配し、位相差計Bで測定されるリタデーション値をフィードバックして、乾燥炉内のフィルム張力を制御する(1)項記載のフィルム熱処理装置、
(3)透明性熱可塑性樹脂製フィルムを、(1)または(2)項記載の熱処理装置によって処理した光学用フィルム、
(4)透明性熱可塑性樹脂製フィルムが、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンのいずれかの樹脂を含む(3)項記載の光学用フィルム、
(5)(3)または(4)項記載の光学用フィルムを使用した表示装置、
(6)(3)または(4)項記載の光学用フィルムを使用した光学記録媒体、
である。
(1)少なくともフィルム繰り出し部、エアフローティング式の加熱炉、フィルム巻き取り部を有し、ロール状の透明性熱可塑性樹脂フィルムを加熱炉の出入り口にそれぞれに配置された2本のロール間でフィルム流れ方向に張力を加えて連続的に熱処理を行う熱処理装置において、フィルム繰り出し部と加熱炉の間に位相差計Aを配置し、位相差計Aでリタデーション値を測定し、少なくともそのリタデーション値を用いて演算することにより、加熱炉内のフィルム張力を制御することを特徴とするフィルム熱処理装置、
(2)乾燥炉とフィルム巻き取り部の間に位相差計Bを配し、位相差計Bで測定されるリタデーション値をフィードバックして、乾燥炉内のフィルム張力を制御する(1)項記載のフィルム熱処理装置、
(3)透明性熱可塑性樹脂製フィルムを、(1)または(2)項記載の熱処理装置によって処理した光学用フィルム、
(4)透明性熱可塑性樹脂製フィルムが、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンのいずれかの樹脂を含む(3)項記載の光学用フィルム、
(5)(3)または(4)項記載の光学用フィルムを使用した表示装置、
(6)(3)または(4)項記載の光学用フィルムを使用した光学記録媒体、
である。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
液晶パネル等の表示体や光記録媒体に使用する光学用フィルムは、透明性や耐熱性が求められる。本発明による熱処理装置で処理が可能な光学用フィルムとしては、樹脂は溶融押し出しが可能な非晶性の熱可塑性樹脂製であり、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンが好ましい。これら樹脂を単独で用いるが好ましいが、複数をアロイ化や多層化、または特性を損なわない程度に他の樹脂や添加剤、フィラー等を添加しても構わない。
これらの非晶性の熱可塑性樹脂は、Tダイやハンガーコートダイ等の公知の方法を用いて、溶融押出し法によりフィルム化することが可能である。
一方でポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等の結晶性の熱可塑性樹脂は結晶化すると透明性が極端に悪くなり、非晶状態で耐熱性を付与しようとすると延伸して配向される必要がある。延伸フィルムは極度に配向しているためリタデーションが非常に大きく、液晶基板や光学記録媒体には適さない。
液晶パネル等の表示体や光記録媒体に使用する光学用フィルムは、透明性や耐熱性が求められる。本発明による熱処理装置で処理が可能な光学用フィルムとしては、樹脂は溶融押し出しが可能な非晶性の熱可塑性樹脂製であり、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンが好ましい。これら樹脂を単独で用いるが好ましいが、複数をアロイ化や多層化、または特性を損なわない程度に他の樹脂や添加剤、フィラー等を添加しても構わない。
これらの非晶性の熱可塑性樹脂は、Tダイやハンガーコートダイ等の公知の方法を用いて、溶融押出し法によりフィルム化することが可能である。
一方でポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等の結晶性の熱可塑性樹脂は結晶化すると透明性が極端に悪くなり、非晶状態で耐熱性を付与しようとすると延伸して配向される必要がある。延伸フィルムは極度に配向しているためリタデーションが非常に大きく、液晶基板や光学記録媒体には適さない。
本発明による熱処理装置は、ロール状のフィルムを連続的に処理を行うものであり、例えば図1に示すような構造で、少なくともフィルム繰り出し部11、加熱炉15、フィルム巻き取り部19で構成され、繰り出し部11と加熱炉15の間に入口側位相差計13を配置された装置である。フィルム繰り出し部11、入口側位相差計13、加熱炉15、およびフィルム巻き取り部19はそれぞれ独立した張力で制御されていることが好ましく、そのためにはそれぞれの間で張力をカットするニップロール12、14、16を配置することが好ましい。各ニップロールの替わりにサクションロール等のテンションカットが可能なロールを用いても構わない。
また、加熱炉15については、炉内すなわち熱処理区間に搬送用ロールを配さないエアフローティング方式の加熱炉が好ましい。熱処理区間でロール等に接触すると、接触部で応力が生じ、その結果分子配向に乱れ、すなわちリタデーションのばらつきが生じるために好ましくない。
さらには、該熱処理装置にはEPC(エッジポジションコントローラー)、ジョイント装置、ウェブクリーナー、厚み計、非接触フィルム温度計、アキュムレーター、ターレット等の付帯設備を取り付けても構わない。
また、加熱炉15については、炉内すなわち熱処理区間に搬送用ロールを配さないエアフローティング方式の加熱炉が好ましい。熱処理区間でロール等に接触すると、接触部で応力が生じ、その結果分子配向に乱れ、すなわちリタデーションのばらつきが生じるために好ましくない。
さらには、該熱処理装置にはEPC(エッジポジションコントローラー)、ジョイント装置、ウェブクリーナー、厚み計、非接触フィルム温度計、アキュムレーター、ターレット等の付帯設備を取り付けても構わない。
溶融押し出しフィルムは溶融樹脂がダイスから押出される際の吐出ムラ、ネックインや冷却ロールに達するまでの雰囲気の温度ムラ、冷却ロールの回転速度ムラ、フィルム流れ方向冷却収縮による応力の蓄積とその緩和による張力ムラなど様々な要因により、でき上がったフィルムの分子配向にはばらつきが生じ、フィルムのリタデーションは流れ方向に不均一な状態となる。ばらつきは一般的に周期的な変動、経時的な上昇または下降、突発的な変動などの形態をもつ。
このように流れ方向にリタデーションが不均一なフィルムに一定張力を負荷しながら連続的に熱処理した場合、処理後のフィルムについても処理前のリタデーション変動に応じたばらつきが残るため、品質が不十分なフィルムとなる。
このように流れ方向にリタデーションが不均一なフィルムに一定張力を負荷しながら連続的に熱処理した場合、処理後のフィルムについても処理前のリタデーション変動に応じたばらつきが残るため、品質が不十分なフィルムとなる。
透明性熱可塑性樹脂フィルムをガラス転移温度近くまで加熱して張力をかけることによりリタデーションを低減させる処理を施す場合、処理前後のリタデーションの低減効果は、加熱炉の熱風温度、加熱炉内のフィルム張力、およびフィルム搬送速度すなわち加熱炉内での滞留時間が重要な要因となることが判明した。
本発明では、加熱炉入口側の位相差計13で処理前のフィルムのリタデーションを測定し、フィルム流れ方向のリタデーションの変動に応じて張力を微調整して、処理後のフィルムのリタデーション変動が少なくなるように制御することにより、リタデーションのばらつきの小さい透明性可塑性樹脂フィルムが作製可能であることを見出したものである。更には、図2に示すように出口側にも位相差計27を設置し、処理後のフィルムのリタデーションを測定しながら、その測定値をフィードバックして補正しながら加熱炉内の張力を制御することでもリタデーションのばらつきの小さいフィルムが作製可能である。
本発明では、加熱炉入口側の位相差計13で処理前のフィルムのリタデーションを測定し、フィルム流れ方向のリタデーションの変動に応じて張力を微調整して、処理後のフィルムのリタデーション変動が少なくなるように制御することにより、リタデーションのばらつきの小さい透明性可塑性樹脂フィルムが作製可能であることを見出したものである。更には、図2に示すように出口側にも位相差計27を設置し、処理後のフィルムのリタデーションを測定しながら、その測定値をフィードバックして補正しながら加熱炉内の張力を制御することでもリタデーションのばらつきの小さいフィルムが作製可能である。
具体的には、一定の炉内温度およびライン速度条件下では、リタデーションの低減量は加熱炉内のフィルム張力にほぼ比例するため、あらかじめ張力とリタデーション低減量の比例定数を測定しておき、処理前フィルムのリタデーションの値に応じて張力を調節するような制御系にすれば良い。本発明では制御方式は特に限定するものではなく、比例制御、微分積分制御、カスケード制御、ファジー制御等既知の方式を採用すればよい。ただ、上記比例関係は加熱炉内全長にわたって一定張力を負荷して処理した場合に成り立つため、比例定数には補正が必要な場合がある。
また、位相差計13によるフィルム上のある測定点に対して張力の微調節の効果を反映させるためには、処理前のフィルムのリタデーション測定から張力変更までにライン速度に応じたタイムラグを設ける必要がある。すなわち、フィルムの実温は、加熱炉出口手前で分子配向可能な温度領域に達するため、位相差計13のある測定点に対してはその測定点が過熱炉出口付近に到達した段階で、位相差計13による測定値に応じた張力に調節しなければならない。
さらには、一連のロール状のフィルム処理中に、フィルムの厚みの振れや処加熱炉内温度の振れなどがある場合、先述の張力と処理後のリタデーションの比例定数が最適状態からずれが生じ、結果としてリタデーションの平均値が期待通りに低減されない場合がある。したがって、図2のように加熱炉25と巻き取り部29の間に出口側位相差計27を設置し、熱処理後のフィルムのリタデーションを測定して、その測定値が一定管理幅に収まるように測定値を制御系にフィードバックして補正することで処理後フィルムのリタデーションの平均値を小さい値に管理することも可能である。
なお、位相差計13、および23、27は、単独の固定プローブ(測定部)に限ったものではなく、単独のプローブを幅方向にトラバースしながら使用しても良いし、幅方向に複数の固定プローブを設置し、それらの平均値等を利用して制御を行っても良い。また、フィルムのリタデーションを正確に測定するためには位相差計13、および23、27部のフィルム張力はできるだけ小さく、具体的には30g/cmさらには15g/cm以下に設定しておくことが好ましい。測定部の張力が大きいと、張力による分子配向の影響が生じ、真のフィルムのリタデーション値からずれが生じるため好ましくない。
ところで、図2で位相差計23がない状態すなわち、未処理のフィルムのリタデーションを測定せずに、出口側すなわち熱処理後のフィルムのリタデーションのみを測定してその結果が一定管理幅内になるように制御すると、処理前のフィルムのリタデーションが緩やかに上昇または下降傾向が存在するような場合はある程度有効であるが、様々な周期変動が重なっていたり、突発の変動が生じているようなフィルムでは全長にわたり安定したリタデーションは得られないため好ましくない。
また、加熱炉内の張力を制御する替わりに、加熱炉内の熱風温度またはライン速度を制御する方法も考えられるが、前者は熱風の温度変更には時間がかかるため応答速度が遅く、また後者はライン速度を変化させることによって結果として乾燥炉内の張力も変化してしまうため制御が困難であり、好ましくない。
このような熱処理装置により、加工された光学用耐熱熱可塑性樹脂フィルムは、光ディスクや液晶パネルに要求される透明性や耐熱性等の樹脂本来の優れた特性に加え、リタデーションが小さく、なおかつフィルム流れ方向のばらつきの少ない良好なものとなる。
以下、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明する。
実施例および比較例では、住友化学社製のポリエーテルサルフォン樹脂:スミカエクセル4100P(ガラス転移温度223℃)を溶融押出し法により、厚さ0.2mm、幅640mmのロール状に巻き取られたフィルムを作製して用いた。
このようにして作製されたフィルムの幅方向中央でリタデーションを流れ方向に測定した結果の例を図3に示す。
なお、リタデーションの測定は、王子計測機器社製のインライン自動複屈折計(KOBRA−31IT)により測定した。
実施例および比較例では、住友化学社製のポリエーテルサルフォン樹脂:スミカエクセル4100P(ガラス転移温度223℃)を溶融押出し法により、厚さ0.2mm、幅640mmのロール状に巻き取られたフィルムを作製して用いた。
このようにして作製されたフィルムの幅方向中央でリタデーションを流れ方向に測定した結果の例を図3に示す。
なお、リタデーションの測定は、王子計測機器社製のインライン自動複屈折計(KOBRA−31IT)により測定した。
《実施例1》
前述のポリエーテルサルフォンフィルムを図1に示すような装置により熱処理を行った。熱処理炉内のフィルムの張力は、次式で表される関数により制御するようにシーケンサーのプログラムを設定した。
T(t)=0.24R1(t−t0)+8
ただし、t0=4.5/L
R1(t)=40,(t−t0<0)
T(t):時刻tにおける加熱炉内の張力
R(t):時刻tにおける位相差計13の測定値
L:設定ライン速度
処理条件としては、炉内温度220℃、ライン速度2.0m/minである。
このような熱処理をして得られたフィルムの幅方向中央部について、フィルム流れ方向のリタデーションを測定した結果を図4に示す。
前述のポリエーテルサルフォンフィルムを図1に示すような装置により熱処理を行った。熱処理炉内のフィルムの張力は、次式で表される関数により制御するようにシーケンサーのプログラムを設定した。
T(t)=0.24R1(t−t0)+8
ただし、t0=4.5/L
R1(t)=40,(t−t0<0)
T(t):時刻tにおける加熱炉内の張力
R(t):時刻tにおける位相差計13の測定値
L:設定ライン速度
処理条件としては、炉内温度220℃、ライン速度2.0m/minである。
このような熱処理をして得られたフィルムの幅方向中央部について、フィルム流れ方向のリタデーションを測定した結果を図4に示す。
《実施例2》
実施例1と同様にして作成したポリエーテルサルフォンフィルムを図2のような装置を用いて熱処理を行った。
実施例1と同様に入口側位相差計23の測定値による比例制御を行うとともに、位相差計27で計測されるリタデーションの値が5nm以下になるように、位相差計27の値をフィードバックして補正を行いながら炉内の張力の制御して熱処理を行った。
処理条件としては、炉内温度220℃、ライン速度2.0m/minである。
このような熱処理をして得られたフィルムの幅方向中央部について、フィルム流れ方向のリタデーションを測定した結果を図5に示す。
実施例1と同様にして作成したポリエーテルサルフォンフィルムを図2のような装置を用いて熱処理を行った。
実施例1と同様に入口側位相差計23の測定値による比例制御を行うとともに、位相差計27で計測されるリタデーションの値が5nm以下になるように、位相差計27の値をフィードバックして補正を行いながら炉内の張力の制御して熱処理を行った。
処理条件としては、炉内温度220℃、ライン速度2.0m/minである。
このような熱処理をして得られたフィルムの幅方向中央部について、フィルム流れ方向のリタデーションを測定した結果を図5に示す。
《比較例》
実施例と同様にして作成したポリエーテルサルフォンフィルムを図1のような装置を用いて熱処理を行った。
位相差計13は作動させずに、炉内の張力は18kgfで固定したままで処理を行った。その他の処理条件としては実施例と同様に炉内温度220℃、ライン速度20m/minである。
このような熱処理をして得られたフィルムの幅方向中央部について、フィルム流れ方向のリタデーションを測定した結果を図6に示す
実施例と同様にして作成したポリエーテルサルフォンフィルムを図1のような装置を用いて熱処理を行った。
位相差計13は作動させずに、炉内の張力は18kgfで固定したままで処理を行った。その他の処理条件としては実施例と同様に炉内温度220℃、ライン速度20m/minである。
このような熱処理をして得られたフィルムの幅方向中央部について、フィルム流れ方向のリタデーションを測定した結果を図6に示す
実施例1、2および比較例で測定したリタデーションの値を表1にまとめた。
表1および図4〜6から分かるように、実施例1,2による処理は比較例に対して流れ方向にリタデーションの安定したフィルムが得られた。
表1および図4〜6から分かるように、実施例1,2による処理は比較例に対して流れ方向にリタデーションの安定したフィルムが得られた。
本発明による熱処理装置によると、リタデーションが小さく、かつフィルムの流れ方向にばらつき少ない光学用耐熱熱可塑性樹脂フィルムの供給が可能となる。
このフィルムに透明導電層等を付与することにより、低コストで従来のガラス基板に比べ軽量で割れに強い液晶パネルやタッチパネル等の表示部材を作製することがでる。また所定のディスクサイズに打ち抜き記録層や保護層等の必要な層構成に加工することにより、光ディスクを作製することが可能である。
このフィルムに透明導電層等を付与することにより、低コストで従来のガラス基板に比べ軽量で割れに強い液晶パネルやタッチパネル等の表示部材を作製することがでる。また所定のディスクサイズに打ち抜き記録層や保護層等の必要な層構成に加工することにより、光ディスクを作製することが可能である。
11、21 … フィルム繰り出し部
12、14、16、22、24、26、28 … ニップロール
13、23 … 入口側位相差計
15、25 … 加熱炉
27 … 出口側位相差計
19、29 … フィルム巻き取り部
12、14、16、22、24、26、28 … ニップロール
13、23 … 入口側位相差計
15、25 … 加熱炉
27 … 出口側位相差計
19、29 … フィルム巻き取り部
Claims (6)
- 少なくともフィルム繰り出し部、エアフローティング式の加熱炉、フィルム巻き取り部を有し、ロール状の透明性熱可塑性樹脂フィルムを加熱炉の出入り口にそれぞれに配置された2本のロール間でフィルム流れ方向に張力を加えて連続的に熱処理を行う熱処理装置において、フィルム繰り出し部と加熱炉の間に位相差計Aを配置し、その位相差計Aでリタデーション値を測定し、少なくともそのリタデーション値を用いて演算することにより、加熱炉内のフィルム張力を制御することを特徴とするフィルム熱処理装置。
- 乾燥炉とフィルム巻き取り部の間に位相差計Bを配し、位相差計Bで測定されるリタデーション値をフィードバックして、乾燥炉内のフィルム張力を制御する請求項1記載のフィルム熱処理装置。
- 透明性熱可塑性樹脂製フィルムを、請求項1または2記載の熱処理装置によって処理した光学用フィルム。
- 透明性熱可塑性樹脂製フィルムが、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンのいずれかの樹脂を含む請求項3記載の光学用フィルム。
- 請求項3または4記載の光学用フィルムを使用した表示装置。
- 請求項3または4記載の光学用フィルムを使用した光学記録媒体。
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JP2006256064A (ja) * | 2005-03-16 | 2006-09-28 | Konica Minolta Opto Inc | 光学フィルム、及びその製造方法 |
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2003
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JP2006256064A (ja) * | 2005-03-16 | 2006-09-28 | Konica Minolta Opto Inc | 光学フィルム、及びその製造方法 |
JP4742628B2 (ja) * | 2005-03-16 | 2011-08-10 | コニカミノルタオプト株式会社 | 光学フィルム、及びその製造方法 |
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