JP2005095085A - 豆乳由来の加工食品素材、及び当該加工食品素材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
本発明の加工食品素材の製造方法は、豆乳を濃縮後、加熱処理することにより豆乳由来のゲルを作製することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
加熱しぼり豆乳と生しぼり豆乳を、それぞれ、40℃保温下にてロータリーエバポレータを用いて濃縮する。このように調整した濃縮豆乳をケーシングに充填し、100℃10分で加熱処理し、ゲル化させる。濃縮豆乳に、各種添加物を付与したものも同様にゲル化させる。添加物によっては添加物自身の至適温度を踏まえて加熱処理を施す。ゲル物性については、圧縮回復試験測定法を用い、固さ・弾力・もろさを総合的に評価した。
Bx35付近まで濃縮可能である。添加物を付与しない状態でゲル化させると、豆腐に近いが、より固くもろさが少ない物性になる。その微細組織構造は繊維が緩やかに凝集した形態のものであり、少しの力で大きくひずむ性質を持つ。濃縮加熱しぼり豆乳に凝固剤を添加した後に加熱してもゲル化し、特にグルコノデルタラクトン(GDL)は添加量が多いほど固くもろい物性を発現する。濃縮豆乳に大豆微粉末(丸大豆を脱脂微粉末状にしたもの)を添加すると、固さ・もろさ・弾力性のすべてが上昇する。噴霧乾燥豆乳を添加すると、固さ・弾力性が上昇する。凍結乾燥豆乳を添加すると、固さが上昇する。トランスグルミナーゼを添加した場合、固さと弾力性が上昇し、かまぼこに近い物性を発現させることが可能である。脂肪酸・リン脂質の添加はもろさを減少させ、弾力性に影響を及ぼす。
加熱しぼり豆乳・生しぼり豆乳の2種類を用いた。加熱しぼり豆乳とは、丸大豆を一晩水で浸漬した後磨砕して、おからが存在した状態で105℃に加熱、搾ったものを指す。生しぼり豆乳とは、磨砕後加熱処理を加えずに搾ったものを指す。加熱しぼり豆乳は豆腐の材料として使用可能である。これら2種類の豆乳をそれぞれ40℃に保温した状態でロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。
加熱しぼり豆乳の固形分濃度(Bx)は、濃縮前約13であったが、Bx30前後にまで濃縮することが可能であった。外観を比較すると、Bx13では液状であったが、Bx30ではマヨネーズ状に変化した。生しぼり豆乳のBxは、濃縮前約15であったが、濃縮操作により最大Bx76にまで濃縮することが可能であった。外観を比較すると、Bx15では液状であったが、Bx60ではとろみが出現し、Bx70を超えるとさらに粘稠に変化した。
濃縮操作により生じた濃縮豆乳を、ケーシングに充填し、加熱処理することで濃縮豆乳ゲルを作製した。加熱条件は100℃10分間を基本とした。濃縮豆乳ゲルは添加物を与えない無添加ゲルのほかに、各種添加物を含んだ添加物ゲルを作製した。添加物ゲルは、濃縮前・濃縮後のいずれかにおいて添加物を加えた後加熱処理することで作製した。添加物によっては、加熱条件を変えた。
濃縮豆乳ゲルの物性は、圧縮回復試験測定法を用いて評価した。圧縮回復試験から荷重変形曲線を得るとともに、それらの結果を因子分析に供した。因子分析結果から固さ・弾力・もろさを数値化し、サンプルの物性を3次元グラフ上に表示させた4,5)。この3次元グラフ上では、チーズ・カマボコ・魚肉ソーセージなどが食品別に特定の範囲に分布することが認められている6)。本研究では濃縮豆乳をゲル化させることにより、チーズ様物性に近づけることが可能か否か検討を行った。
<無添加ゲル>
濃縮豆乳を何も添加せずに加熱して作製したゲルは、保形性がよく、離水も少なかった。3次元グラフ上では豆腐に似た物性を示すことが認められた。
濃縮豆乳に、にがりを添加し、80℃2分加熱してゲル化させたところ、無添加ゲルに比べ、もろさが上昇した。次にグルコノデルタラクトン(GDL)を添加し70℃60分加熱した場合、固さとともにもろさが上昇した。この傾向はグルコノデルタラクトンの添加量が多いほど顕著であり、固さが不足しているものの弾力・もろさの点ではチーズに近い物性となった。
濃縮豆乳に、TGaseを添加し、55℃1時間反応させた。その後100℃2分間加熱しゲル化させた。3次元グラフ上では無添加ゲルより固く、もろさが少なく、弾力のあるゲルとなった。TGaseの添加量を多くすると固さ・弾力・もろさが上昇し、カマボコに似た物性を示した。
チーズ様物性を作り出せるかどうかということから、チーズに近い油脂含量を設定した。プロセスチーズの場合タンパク質と油脂の比率は約1対1.15であるので、濃縮豆乳中に存在する大豆油含量を算出し、チーズと比較して不足する分の油脂を添加した。濃縮前にブレンダーで油脂を混ぜ込んだゲルは、無添加ゲルに比べもろさが少し上昇する傾向にあった。一方、濃縮後に手作業で油脂を混ぜ込んだゲルは、無添加ゲルに比べもろさが減少した。油脂の種類による大きな差は認められなかった。油脂含量を調整してもチーズ様物性には近づかなかった。
にがり・TGase・油脂を同時に添加したゲルは、単独に添加した場合のほぼ中間的な物性になることが認められた。
濃縮豆乳とチーズの成分の違いには、油脂含量だけではなく固形分濃度の違いが認められる。プロセスチーズは固形分濃度が55であり、加熱しぼり濃縮豆乳ゲルのBx30では固形分が不足している。加熱しぼり豆乳は濃縮操作により速やかに粘度が上昇し、Bxを55にまで上げるのは困難である。そこで、大豆由来の粉末を添加してBxを上げる試みを行った。丸大豆を脱脂微粉末状にしたものを添加すると、固さ・もろさ・弾力すべてが上昇し、にがり・油脂・TGaseでは達成できなかったチーズ様物性に近づいた。しかし、チーズに比べると弾力が大きかった。豆乳を噴霧乾燥して製造された豆乳パウダーは、無添加に比べ固さのみ上昇した。凍結乾燥した生しぼり豆乳の粉末を添加すると、硬さ・弾力が上昇した。凍結乾燥した加熱しぼり豆乳の粉末を添加すると、凍結乾燥生しぼり豆乳粉末添加時よりも大幅に硬さが増した。このように、各種粉末の添加による固形分濃度の調整はゲル物性の多様な変動を生じさせた。
<無添加ゲル>
Bx30から40付近では加熱しぼり濃縮豆乳ゲルとほぼ同じ物性であった。Bxが高くなるほど固さともろさが上昇し、Bx70付近ではチーズに近い物性になることが認められた。Bxが異なっても弾力は殆ど変化しなかった。
油脂の種類による違いは殆ど認められなかった。濃縮前の生しぼり豆乳は泡立ちやすいため、ブレンダーで油脂を添加することはできず、濃縮後手作業で添加した。しかし、ブレンダー処理がなくても油脂添加によりもろさが上昇した。
大豆微粉末を添加した結果、固さ・弾力が上昇した。もろさの変化は小さかった。大豆由来多糖であるソヤファイブ(SSPS)を添加したところ、固さが減少した。大豆油をSSPSでコーティングした粉末化油脂を添加したところ、固さの減少以外に、もろさが増し、油脂・SSPS単独では認められなかった弾力の減少が認められた。凍結乾燥した生しぼり豆乳粉末を添加すると、弾力が上昇し、無添加に比べチーズにより近い物性となった。
加熱しぼり濃縮豆乳を使用する場合、チーズ様物性との根本的な差は固形分濃度に由来していると考えられた。そこで、大豆微粉末・凍結乾燥豆乳粉末を添加することで固形分濃度を上げ、ゲル物性への効果を調べたところ、固さ・もろさの上昇には有効であったが、それに付随して弾力の上昇が起きることが問題であった。なお、弾力を抑えるには生しぼり濃縮ゲルの結果からSSPSでコーティングした油脂が有効であったが、SSPSによる軟化作用によりゲルの固さが減少する可能性が考えられる。実際加熱しぼり濃縮豆乳ゲルにSSPSを加えてゲル化しない場合があった。
濃縮豆乳ゲルの品質安定性を評価するためにPOV測定を行った。加熱しぼり・生しぼりについて、豆乳・濃縮豆乳・濃縮豆乳ゲルそれぞれに魚油を添加し、アゾ化合物と共に37℃で反応させた。その結果、生しぼり豆乳は24時間でPOVがピークに達し、その後低下した。生しぼり濃縮豆乳、生しぼり濃縮豆乳ゲルはいずれもPOVが生しぼり豆乳を下回った。加熱しぼり豆乳では、72時間の反応中POVがゆるやかに上昇し続けた。加熱しぼり濃縮豆乳・加熱しぼり濃縮豆乳ゲルではいずれもPOVが加熱しぼり豆乳を下回った。以上のことから加熱しぼり豆乳は酸化促進因子の失活や、加熱処理による構造変化がおきている可能性が考えられる。加熱しぼり・生しぼりいずれの場合も濃縮操作により酸化抑制効果が認められ、品質安定性を高めることがわかった。
Claims (8)
- 豆乳を濃縮後、加熱処理することにより豆乳由来のゲルを作製することを特徴とする加工食品素材の製造方法。
- 濃縮を固形分濃度(Bx)13〜75の範囲において行なう請求項1記載の方法。
- 濃縮後、添加物を添加して加熱処理する請求項1又は2項に記載の方法。
- 前記添加物が、油脂、粉末、酵素からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3項記載の方法。
- 油脂が、牛脂、ラード、バター、大豆油、ヌカ油、コーン油、オリーブ油、ショートニング、マーガリン、ジアシルグリセロール、粉末化油脂、レシチン、リゾレシチン、各種脂肪酸からなる群から選択される少なくとも1種である請求項4記載の方法。
- 酵素が、トランスグルタミナーゼ、及び/又はタンパク質ジスルフィドイソメラーゼである請求項4記載の方法。
- 粉末が、大豆微粉末、豆乳パウダー、凍結乾燥豆乳、ソヤファイブ、コラーゲン粉末、キチン粉末、セルロース粉末からなる群から選択される少なくとも1種である請求項4記載の方法。
- 豆乳の濃縮を、豆乳作製の段階において加水量を調節することにより、行なう請求項1〜7項のいずれか1項に記載の方法。
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WO2020145160A1 (ja) | 2019-01-07 | 2020-07-16 | 株式会社Wisteria | 植物ミルク由来バター様食品の製造方法及び植物ミルク由来バター様食品 |
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