JP2005089740A - 磁気冷凍材料および蓄冷材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金属間化合物に代わる新たな磁気冷凍材料、特に水素の液化に好都合な低温を発生するのに使用できる磁気冷凍材料を提供する。
【解決手段】 磁気冷凍材料は、組成式:MN(式中、Mは1またはそれ以上の希土類元素を表す)で表される、少なくとも1種の希土類元素の窒化物を含んで成る。好ましい希土類元素は、Nd、Gd、Dy、Ho、TbおよびErから選択される1種またはそれ以上の元素である。具体的な希土類元素窒化物として、組成式:GdDy1−XN(式中、Xは0以上、1以下の数値である)で表されるものを例示できる。これらの窒化物は、磁気熱量効果を示す磁気冷凍材料として磁気冷凍システム、特に液体水素製造プラント用の冷凍システムに使用できる。そのような希土類元素の窒化物は蓄冷材料として使用できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、希土類元素の窒化物、そのような窒化物を含む磁気冷凍材料(または磁気冷凍作業物質)、その磁気転移温度付近の大きな比熱を利用した蓄冷材料、更にそのような材料を用いる冷凍システムおよびそのようなシステムを有する水素液化プラントに関する。
水素は、近未来社会の新エネルギーとして有用であり、その利用に際しては、社会的インフラ設備が必要である。水素を燃料として効率よく貯蔵・運搬するには水素の液化技術が必須である。そこで、液化に必要なエネルギー効率を、現在のアンモニアまたはフロンガスを使用する気体冷媒による冷却より大幅に改善することが望まれている。そのような改善に、磁気冷凍システムを用いることが提案されているが、そのシステムを有効ならしめるために、システムに使用できる最適な磁気冷凍材料を開発することが望まれている。
そのような磁気冷凍システムに使用できる磁気冷凍材料として、希土類元素と遷移金属との金属間化合物が種々提案されている。そのような金属化合物には、例えばDyNi、HoAl、ErCo、DyAl、(Dy,Ho)Al等がある(下記非特許文献1〜4参照)。このような金属間化合物は、水素貯蔵合金にも利用できることから理解できるように、水素との反応性が高く、水素化物となって磁気転移温度等の磁気的性質が変化する。水素を液化する場合、磁気冷凍材料は、その熱効率を上げるため、水素と直接するように使用することが望ましい。しかしながら、直接接触する場合には、上述の反応性のため、磁気冷凍材料を長期にわたって繰り返し安定して所望の温度範囲で作動する磁気冷凍材料として使用することができなくなる。また、ErCo2などの一部の金属間化合物は一次相転移を起こし、磁気転移温度で結晶構造までが変化する。従って、励磁・消磁に伴って磁気転移温度を経る温度変化に反復的にさらされることによって材料が脆化し、磁気冷凍材料としての機能が低下してしまう(下記非特許文献5〜8参照)。
ところで、液体ヘリウム温度のような極低温をエネルギー効率よく実現する装置として、蓄冷機能を有する蓄冷材式冷凍機が提唱され、すでに市販されている。この冷凍機は医療機器のMRIや磁気浮上車両など、強力な磁場を発生させるための超伝導コイルの冷却に用いられる。蓄冷材には大きな比熱が求められるが、一般に20K以下の極低温では、物質の比熱は冷媒として用いられるHeに比べ極めて小さくなる。このため、20K以下でも大きな比熱をもつ材料が調査され、希土類元素を含有する金属間化合物が開発され、現在市販されるに至っている。これらの金属間化合物は極低温で磁気転移し、その転移温度付近で大きな磁気比熱を示す。この大きな磁気比熱を蓄熱に利用している。
一般に磁気比熱は、磁場雰囲気中では、無磁場雰囲気と比べると、著しく減少する傾向がある。従って、磁場が存在する雰囲気において低温を発してそれを維持する場合、磁場雰囲気中において大きい比熱を有する蓄冷材が必要となる。例えば、先にも述べたように、極低温用冷凍機は多くの場合、強磁場を発生する装置の近傍で使用されるので、ある程度の漏洩磁場に晒されるため、そのような蓄冷材が望まれる。尚、希土類窒化物の一部(例えば、ErN、DyN等)の極低温における比熱が評価されている(下記非特許文献9参照)が、磁場の影響については、教示も示唆もされていない。
T. Hashimoto, K. Matusmoto, T. Kurihara, T. Numazawa, A. Tomokiyo, H. Yayama, T. Goto, S. Toda, M. Sahashi, Adv. Cryog. Eng., 32(1986)279. A. Tomokiyo, H. Yayama, H. Wakabayashi, T. Kuzuhara, T. Hashimoto, M. Ssahashi, K. Inomata, Adv. Cryog. Eng., 32(1986)295. H. Wada, S. Tomekawa, M. Shiga, Cryogenics, 39(1999)915. N. H. Duc, D. T. Kim Anh, P. E. Brommer, Physica B, 319(2002)1. R.L. Cohen, K.W. West, F. Oliver, K.H.J. Buschow, Phys. Rev. B21 (1980) 941 F. Pourarian, W.E. Wallace, S.K. Malik, J. Magn. Magn. Mater. 25 (1982) 299 N.V. Mushnikov, T. Goto, V.S. Gaviko, N.K. Zajikov, J. Alloys Comp. 292 (1999) 51 F. Pourarian, Physica B 321 (2002) 18 W. Stutius, Phys. kondens. Materie 10, 152-185 (1969)
従って、本発明が解決しようとする課題は、上述のような金属間化合物に代わる新たな磁気冷凍材料および蓄冷材料、特に水素の液化に好都合な低温を発生するのに使用できる磁気冷凍材料または磁場発生装置を冷却するための冷凍機に好都合な蓄冷材料を提供することである。また、本発明が解決しようとする別の課題は、そのような磁気冷凍材料や蓄冷材料を使用する冷凍システム、更には、そのようなシステムを使用する水素液化プラントを提供することである。
上記課題について鋭意検討した結果、発明者らは、希土類元素の窒化物を製造し、その磁気的特性データを測定し、そのデータを処理することによって、そのような希土類元素の窒化物を磁気冷凍材料として、また磁場雰囲気中でも高い蓄熱特性を示す蓄冷材料として使用できることを見出し、それによって上述の課題を解決できることを見出した。
従って、第1の要旨において、本発明は、少なくとも1種の希土類元素の窒化物を含んで成る磁気冷凍材料または蓄冷材料を提供する。そのような窒化物は、組成式:MN(式中、Mは1またはそれ以上の希土類元素を表す)として表すことができる。尚、磁気冷凍材料とは、周知の磁気冷凍技術において作業物質として用いられる材料であって、磁場の影響下において磁気エントロピーが変化して磁気熱量効果を示す材料である。一般的に、磁気冷凍材料に磁場を印加するとその磁気エントロピーが減少して、その結果、周囲に熱を放出し、逆に、磁気冷凍材料を印加状態から消磁すると、その磁気エントロピーが増加して、その結果、周囲から熱を吸収する。
本発明の磁気冷凍材料あるいは蓄冷材料において、窒化物の形態である希土類元素、即ち、希土類元素窒化物は、NaCl構造を有する。周期律表から明らかなように、希土類元素には17種類の元素が含まれ、本発明の磁気冷凍材料に含まれる窒化物を構成する希土類元素は、そのいずれの1つであってもよく、また、少なくとも2種のいずれの組み合わせであってもよい。尚、本発明の磁気冷凍材料は、磁場Hが一定の時の温度Tに対する磁化Mの変化(∂M/∂T)がある温度で極値となる性質を有する。従って、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、セリウム(Ce)、Yb(イッテルビウム)およびLu(ルテチウム)のような希土類元素単独の窒化物の場合、この性質を有さないので、本発明の磁気冷凍材料から除外される。しかしながら、これらの希土類元素は、この性質を発現できる1またはそれ以上の他の希土類元素と組み合わせた場合、その窒化物は、全体として(∂M/∂T)が極値となる温度が存在する。従って、希土類元素のそのような組み合わせについては、本発明の磁気冷凍材料に含まれる。
本発明の磁気冷凍材料や蓄冷材料の窒化物を構成する希土類元素は、上述のような希土類元素の少なくとも1種であればよく、その数は特に限定されるものではないが、例えば1種類、2種類または3種類である。特に好ましい希土類元素は、Nd(ネオジム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ディスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Tb(テルビウム)およびEr(エルビウム)であり、これらの元素のいずれか1つの窒化物(即ち、一元系窒化物)であっても、複数元素の窒化物(即ち、固溶体)、例えば2つの元素の窒化物(即ち、2元系窒化物)であってもよい。尚、複数の希土類元素の窒化物である場合、窒化物に含まれる希土類元素の組み合わせおよびその割合は、いずれの適当なものであってもよい。これらは、例えば、窒化物の磁気的性質、磁気冷凍材料を用いて得ることを意図する低温、窒化物を製造する原料の入手可能性および製造コスト、等に応じて選択できる。
従って、本発明の磁気冷凍材料または蓄冷材料に含まれる希土類元素窒化物としては、GdN、DyN、HoN、TbNおよびErNを例示できる。また、固溶体としては、GdDy1−XN(0<X<1)を例示できる。このような窒化物を含む磁気冷凍材料は、その使用態様に応じて、いずれの適当な形態であってもよく、例えば粉末形態、バルク形態または塊状、多孔質形態等であってよい。一例では、所定の形状を有する燒結体であってよい。
本発明の磁気冷凍材料または蓄冷材料は、上述の希土類元素窒化物に加えて、不可避的に混入する成分、例えば窒化物の製造に際して使用原料中に共存する不純物に由来する成分を含んでもよい。また、目的とする磁気冷凍効果あるいは蓄冷効果を得ることができる限り、別の目的のために、他の成分を含んでもよい。そのような他の成分としては、例えば、炭素熱還元法による窒化物の合成に際して、希土類元素の酸化物の還元のために加える炭素および除去不可避な酸素、希土類窒化物の相の安定化のために加える成分(例えば硼素、珪素、モリブデン、ナトリウム、カルシウム、タンタル、ジルコニウム、これらの化合物、またはこれらのいずれかの組み合わせ等)、焼結助剤(例えばバナジウム、ビスマス、インジウム、これらの化合物、またはこれらのいずれかの組み合わせ等)等を例示でき、そのような別の目的に必要な量で含んでよい。
また、本発明は、第2の要旨において、上述の第1の要旨の磁気冷凍材料を用いた磁気冷凍システムを提供する。磁気冷凍材料を使用する磁気冷凍システムは、種々しられており、そのような既知の磁気冷凍システムにおいて、使用する磁気冷凍材料として上述の第1の要旨の磁気冷凍材料を使用することができる。また、上記の第1の要旨の蓄冷材料を用いた冷凍システムを提供する。蓄冷材料を使用する冷凍システムは、種々知られており、そのような既知の冷凍システムにおいて、使用する蓄冷材料として上述の第1の要旨の蓄冷材料を使用することができる。
更に、本発明は、第3の要旨において、上述の第2の要旨の磁気冷凍システムを用いる液体水素製造方法および液体水素製造プラントを提供する。気体水素を冷却して液体水素を製造する方法およびその方法を実施するプラントは種々知られている。そのような方法およびプラントにおいて、液化に必要な低温を得るために上述の第2の要旨の磁気冷凍システムを使用することができる。加えて、本発明は上述の第2の要旨の蓄冷式冷凍システムを用いる磁場発生装置を提供する。冷凍システムを用いる磁場発生装置は種々知られている。そのような方法およびシステムにおいて、磁場を発生させるために必要な低温を得るために上述の第2の要旨の冷凍システムを使用することができる。磁場発生装置は、具体的にはMRI装置(核磁気共鳴診断装置)、半導体製造装置用等の高真空ポンプ、電波天文台、半導体検査装置の各種X線、赤外線センサーの冷却、タンパク質分析装置、超電導発電機、超電導蓄電装置、通信用超電導フィルタ等の装置に組み込まれて使用される。従って、本発明は、本発明の希土類窒化物を蓄冷材料として使用するMRI装置、半導体製造装置用等の高真空ポンプ、電波天文台、半導体検査装置の各種X線、赤外線センサーの冷却、タンパク質分析装置、超電導発電機、超電導蓄電装置、通信用超電導フィルタ等も提供する。
尚、発明者らが知る限りでは、単一の希土類元素の窒化物はいずれも既知であるが、少なくとも2種の希土類元素の窒化物は知られていないものが多い。例えば、2元系希土類窒化物で結晶構造パラメータが報告されている既知の物質系には以下のようなものがある:(La,Ce)N,(La,Nd)N、(La,Gd)N、(Ce,Pr)N、(Ce,Nd)N,(Ce,Gd)N、(Ce,Tb)N、(Pr、Gd)N、(Nd,Gd)N、(Eu,Gd)N、(Gd、Yb)N、(Y,Gd)N、(Y,Er)N。これら以外の2元系については全く報告がない。また、単一および複数の希土類元素の窒化物の磁気熱量効果を評価するために、いずれのそのような窒化物についても磁気的性質を測定し、その結果を検討することは行われていない。従って、本発明が提供する少なくとも2種の希土類元素の窒化物であって、上記の物質系以外のものは、それ自体新規である。
従って、本発明は、例えばGdDy1−XN、GdTb1−XN、GdHo1−XN、GdEr1−XN、GdNd1−XN、TbDy1−XN、TbNd1−XN、TbHo1−XN、TbEr1−XN、DyHo1−XN、DyEr1−xN、DyNd1−XN、HoEr1−xN、HoNd1−xN、およびErNd1−xN(いずれも0<X<1)のような希土類元素窒化物自体を提供する。尚、本明細書において、Xは希土類元素の組成であると言える。
本明細書にて説明するように、発明者らは、Gd(ガドリニウム)、Dy(ディスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Tb(テルビウム)およびEr(エルビウム)の窒化物を、製造し、さらに、様々な温度と磁場のもとで、これらの窒化物の磁気的性質を評価した。また、Gd(ガドリニウム)およびDy(ディスプロシウム)の種々の組み合わせの窒化物固溶体を実際に製造し、同様に、これらの窒化物の磁気的性質を評価した。これらの知見から、また、本明細書において例示するように、GdNとDyNは全率固溶し、その格子定数や磁気転移温度は、組成に対してほぼ直線的に変化する。従って、二種類以上の希土類窒化物同士が全率固溶することは容易に類推できる。また、磁気転移温度も、希土類窒化物の組成に応じて変化することは明らかである。なお、磁気転移しない窒化物については、その磁気転移温度が0Kであると考えるのが妥当である。このようにGd−Dy系窒化物固溶体を製造できたことおよびその結晶構造的、または磁気的評価結果に基づけば、他の希土類元素の組み合わせについても同様に固溶体窒化物を製造できることが明らかであり、また、これらの固溶体窒化物は、磁気冷凍材料として使用できることも明らかである。
そのような新規の少なくとも2種の希土類元素の窒化物に含まれる希土類元素は、物質全体として(∂M/∂T)が極値となる温度が存在すれば、上述のいずれの希土類元素の組み合わせであってもよい。例えば、Nd(ネオジム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ディスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Tb(テルビウム)およびEr(エルビウム)から選択される少なくとも1種を含んで成る組み合わせを例示でき、特に、これらの希土類元素のみを含む窒化物であるのが好ましい。
尚、希土類元素が複数含まれている場合の希土類元素の組成は、特に限定されるものではなく、窒化物を使用する目的に応じていずれの組成であってもよい。後述するように、窒化物の製造に際して、これらの希土類元素を含む原料化合物(例えば希土類元素の酸化物)を、意図する組成に応じて、所定量で混合することによって、いずれの組成とすることも可能である。
本発明の磁気冷凍材料に含まれる希土類窒化物は二次相転移する。その結果、先に説明した金属間化合物と比較して、磁気転移温度を経る繰り返しの温度変化に対しても脆化しない。また、水素雰囲気下においても安定である。更に、本発明の磁気冷凍材料における希土類窒化物は、後述するように、大部分が窒素沸点(77K)〜水素の沸点(20K)の範囲において相転移する。従って、水素を液化する場合に必要とする低温を効率的に発生することができ、磁気冷凍材料が水素と直接接触する場合であっても、磁気冷凍材料として安定に機能することができる。
発明を実施するための形態
本発明の希土類元素窒化物の製造は、そのような窒化物を製造する既知のいずれの適当な方法で実施してもよい。例えば、窒素やアンモニア気流下における希土類元素酸化物(例えばGd、Dy等)の炭素熱還元法によって製造することができる。炭素熱還元中の雰囲気は十分反応するだけの窒素量を維持できるのであれば、Ar、He、Ne、Kr等の不活性ガスを混合してもかまわない。また、固相に残留する炭素を除去する目的で、水素ガスを混合してもよい。固溶体の窒化物の場合は、希土類元素の酸化物を少なくとも2種混合して同様に炭素熱還元する。混合した酸化物に含まれる希土類元素の割合が固溶体における希土類元素の割合に実質的に対応する。即ち、目的とする固溶体における希土類元素の組成に、希土類酸化物の混合物中における希土類元素の量が化学量論量的に対応するように、希土類酸化物の混合物を用いる。別法では、高圧(例えば1400気圧)の高純度(例えば純度99.9999%)の窒素ガス雰囲気中で希土類元素単体の金属片を高温(例えば1600℃)にて加熱するHot Isostatic Press(HIP)法でも希土類窒化物を製造できる。2種類以上の希土類元素からなる合金片を高圧(例えば1400気圧)の高温(例えば1600℃)にて加熱するHot Isostatic Press(HIP)法でも希土類元素窒化物を製造できる。合金に含まれる希土類元素の割合が固溶体における希土類元素の割合に実質的に対応する。
窒素雰囲気下での炭素熱還元法は、以下の式で表すことができる:
+3C+N→2MN+3CO
(式中、Mは希土類元素であり、これは1種の元素であっても、複数の元素であってもよい。)
例えば、ガドリニウムの場合は、
Gd+3C+N→2GdN+3CO
となる。
また、ガドリニウムおよびディスプロシウムの2元系窒化物の場合は、
XGd+(1−X)Dy+3C+N→2GdDy1−XN+3CO
となる(但し、0<X<1)。他の窒化物についても同様に反応が進行する。
尚、希土類元素の内、テルビウム(Tb)については、常温常圧ではTbでより安定に存在する。従って、Tbを原料として用いた場合の炭素熱還元法は、以下の式で表すことができる:
Tb+7C+2N→4TbN+7CO
従って、Tbを含む2元系について、炭素熱還元法は、以下の式で表すことができる:
2XLn+(1−X)Tb+(7−X)C+2N
→4LnTb1−XN+(7−X)CO
(但し、LnはTb以外の他の希土類元素を表し、0<X<1である。)
従って、例えばガドリニウムとテルビウムの2元系(GdTb1−XN)については、
2XGd+(1−X)Tb+(7−X)C+2N
→4GdTb1−XN+(7−X)CO
となり、例えばホルミウムとテルビウムの2元系(HoTb1−XN)については、
2XHo+(1−X)Tb+(7−X)C+2N
→4HoTb1−XN+(7−X)CO
となる。
尚、窒素気流下における炭素熱還元法は、周知の技術であり、炭素あるいはフェノール樹脂やクエン酸などの炭素供給材料と希土類元素酸化物を粉末状態で混合してペレット形態とし、これを反応管において窒素気流下、高温(例えば1500℃)に加熱することによって実施できる。反応する炭素は、上記反応式における化学量論量より過剰に、例えば2倍の量を使用するのが好ましい。
本発明の磁気冷凍材料に含まれる希土類元素窒化物の磁気熱量効果の評価に関しては、得られる窒化物について磁化特性データを得、得られたデータを以下のように処理して実施できる。
等温状態で磁場をHからゼロまで消磁することによって生じる磁気エントロピー変化ΔSを算出することによって磁気熱量効果を評価する。このΔSは、磁場Hおよび温度Tを用いて、次式(1)のように表される:
Figure 2005089740
この式(1)に、マックスウェルの関係式:
Figure 2005089740
(尚、式中、Mは磁化を表す)
を代入すると、
Figure 2005089740
となる。
従って、本発明の磁気冷凍材料について、磁化M、温度Tおよび磁場Hにおける磁化Mのデータの組(即ち、M(T,H))を実験的に得、得られたデータを用いて数値計算することによって、エントロピー変化ΔS(T,H)を求めることができる。
(希土類元素窒化物の製造)
所定の量比のGdおよびDyの粉末(購入先:Rare Metallic社、純度:各99.99%)、ならびに無定形炭素を乳鉢で粉砕して遊星式ボールミルによって十分に混合した。尚、炭素は、上記反応式における化学量論量の2倍の量を加え、酸化物の総量を3gとした。
混合した粉末を円筒状を有するペレット(直径7mm、質量約80mg)に成形し、これをアルミナ製反応管に入れて、電気オーブンにて、窒素気流下、1500℃にて15時間加熱し、その後、室温まで冷却した。このようにしてGd単独、Dy単独、およびこれらの固溶体(X=0.1、0.3、0.5、0.7および0.9)について燒結された窒化物を得た。
得られた窒化物の結晶構造を解析するために、窒化物を乳鉢にて粉末にしてX線回折(XRD)パターンを得た。これに際しては、理学電機株式会社のRINT Ultima+を使用し、Cu−Kα線を用いた。
尚、測定条件は、発散スリット:1.00°、スキャンスピード:3.00°/分、サンプリング幅:0.02°、回折角2θ:20〜120°であった。
GdおよびDyに加えて、Er、HoおよびTbの窒化物についてもこれらの酸化物を原料として同様に製造した。GdN、TbN、DyN、HoNおよびErNについてのX線回折パターンの測定結果を図1に示す(尚、縦軸は回折強度(Intensity、任意単位)である)。
更に、次の2元系:Gd−TbおよびHo−Tbの窒化物も組成(X)を変えて同様に製造し、そのX線回折パターンを同様に測定した。Gd−DyN、Gd−TbNおよびHo−TbNの測定結果を同様に図9〜11にそれぞれ示す(尚、XはGdまたはHoの割合、即ち、組成を意味する)。
尚、過剰の炭素を除去するために特別な処理を実施しなかったので、いくらかの炭素が窒化物中に残存していたと考えられる。しかしながら、後述するように、本発明者らが測定したGdNおよびDyNの磁気的データ及び結晶構造のパラメータが、既に報告されているデータ(例えばD.X. Li, Y. Haga, H. Shida, T. Suzuki, T.S. Kwon, G. Kido, J. Phys. Condens. Mater. 9 (1997) 10777; G. Busch, J. Appl. Phys. 38 (1967) 1386;O. Vogt, K. Matternberger, J. Alloys Comp. 223 (1995) 226;およびR.J. Gambino, T.R. McGuire, in: Processing of the 7th Rare Earth Research Conference, Coronado, CA, vol. 1, 1968, p.233参照)と十分に一致しているので、炭窒化物は実質的に生成していないと考えられる。また、GdN0.880.12のキュリー温度が約190Kであると報告されており(R.J. Gambino, T.R. McGuire, in: Processing of the 7th Rare Earth Research Conference, Coronado, CA, vol. 1, 1968, p.233参照)、これは、純粋な窒化物であるGdNのキュリー温度よりはるかに大きい。従って、固相に残留している炭素は磁性的には存在しないと考えられる。但し、得られた窒化物の質量には若干影響があるが、その量は数質量パーセント程度である。
図1からいずれの窒化物にもNaCl型の回折パターンのみが観測されることがわかる。希土類元素の原子番号が大きくなるにつれて、回折ピーク位置が高角度側にシフトしていくが、これは格子定数が小さくなっていることに対応しており、上記の文献の報告とも一致している。更に、図9〜11は、得られた2元系の窒化物(例えばGd0.5Dy0.5N)がNaCl構造を有する、単一相構造を有する一窒化物であることを明らかに示している。従って、希土類元素の窒化物は、1元系であっても、2元系であっても、同様の回折パターンが得られ、同様の構造を有することが解った。
図2および図12に、X線回折パターンから算出した格子定数(Lattice Parameter)を示す。格子定数は、強度の大きいメインピークと呼ばれる回折ピークを抽出し、Cohen法を用いて算出した。2元系の窒化物については、図2から、いずれの希土類元素についても、一方の元素(例えばGd)の割合Xが増加すると、格子定数が線形的に増加する、即ち、Vegardの法則に従っていることが分かる。このことは、本発明の希土類元素窒化物において、希土類元素の2元系窒化物、例えばGdN−DyN、Gd−TbNおよびHo−TbNが固溶体の連続領域を形成していることを意味する。尚、既に報告されているGdN、TbN、HoN、ErNおよびDyNの格子定数(O. Vogt, K. Matternberger, J. Alloys Comp. 223 (1995) 226;およびA. Vendle, J. Nucl. Mater. 79 (1979) 246参照)も図12に示しているが、発明者らが求めた値はこれらとほぼ一致している。
図2に示すような線形性は、Gd−NとDy−Nとの間の相互作用、Gd−GdとDy−DyとDy−Gdとの間の相互作用が非常に類似していることを示し、このことは、希土類元素の双方が非常に類似していること、特に、イオン半径に関して非常に類似していることを意味する。また、GdNとDyNの格子定数の差はわずかに1.5%であり、これらのことは、希土類元素置換によって生じる局所的な内部歪は、本発明の2元系窒化物においては重大な問題ではないことを示す。また、他の2元系についても、格子定数の差も同程度であり(GdNとTbNの格子定数の差は1.0%、TbNとHoNの格子定数の差は1.3%)、同様のことが当て嵌まる。
尚、本発明の希土類元素窒化物の理論的密度を格子定数から算出したところ、GdNは9.18×10kg/mであり、DyNは9.96×10kg/m、TbNは9.58×10kg/m、HoNは10.3×10kg/m、ErNは10.6×10kg/mとなった。それぞれの窒化物の希土類原子密度は、GdNが3.23×1028RE(希土類元素)m−3、DyNが3.40×1028REm−3、TbNが3.34×1028REm−3、HoNが3.47×1028REm−3、ErNが3.52×1028REm−3である。これらの希土類原子密度は、それぞれの希土類金属の希土類原子密度よりかなり大きい。Gd金属の希土類原子密度は3.02×1028REm−3(理論密度7.90×10kg/m)、Dy金属のそれは3.17×1028REm−3(理論密度8.55×10kg/m)、Tb金属では3.12×1028REm−3(理論密度8.23×10kg/m)、Ho金属では3.21×1028REm−3(理論密度8.80×10kg/m)、Er金属では3.26×1028REm−3(理論密度9.07×10kg/m)である。
(希土類元素窒化物の磁化測定)
上記実施例1にて得られた希土類元素窒化物の磁化測定を実施した。得られた窒化物のペレットの酸化を防止するために、Ar雰囲気のグローブボックス(反応系と接続されている)において、ペレットを粉砕して秤取した約9mgの小片を石英管にパラフィンで封入し、大気にさらすことなく、SQUID磁化計(superconducting quantum interference device magnetometer、MPMS(Magnetic Property Measurement System)、Quantum Design社製)を用いて磁化測定を実施した。ヒステリシス測定に際しては、印可磁場−5〜5T(テスラ)、測定温度は5K、磁気熱量効果の評価については印加磁場0〜5T、測定温度5〜200Kで測定した磁化を採用した。尚、SQUID磁化計は、超伝導リングに2個の接合を含み、直流バイアス電流で駆動するdc型のものである。
図13に、単体希土類窒化物について、5Kで測定した磁化(M)と磁場(H)の関係を示す。尚、見易くするために、各窒化物についての測定結果が重ならないように、ずらして結果を示しており、図13において、各窒化物のプロットの中央部を横断する破線が磁化ゼロを示し、破線と隣の破線との間の縦軸の長さが5μに相当する。GdNではほとんどヒステリシスが観測されないが、原子番号がTb、Dyと大きくなるにつれ、ヒステリシスが観測される。原子番号が更に大きくなると、逆にヒステリシスが減少していくことがわかる。また、いずれの窒化物についても5Tで完全ではないもののほぼ磁化が飽和する傾向がみられる。
図3に、一例として、2元系Gd−DyNの種々の組成Xの希土類窒化物について、5Kにて測定した磁化(M)と磁場(H)との関係を示す。尚、図3において、見易くするために、各組成についての測定結果が重ならないように、ずらして結果を示しており、図3において、各組成のプロットの中央部を横断する破線が磁化ゼロを示し、破線と隣の破線との間の縦軸の長さが5μに相当する。図3から分かるように、Gdの割合が大きくなるにつれて、ヒステリシスの幅が小さくなり、GdNではヒステリシスは殆ど消滅している。磁場が大きくなると、いずれの試料についても磁化はほぼ飽和状態となっている。図3の挿入図として、希土類元素1個当たりの磁気モーメントの値を示しているが、値は約7〜8μであり、これは、殆ど全てのモーメントが外部磁場に沿って完全に整列することを意味する。
次に、単体希土類窒化物および2元系希土類元素窒化物(Gd−DyN、Gd−TbNおよびHo−TbN)についてキュリー温度(Curie Temperature)Tcをアロット(Arrott)プロットから求め、その結果を図4および図14に示す。図4では、このキュリー温度を●TC from Arrott plotで示し、横軸は原子番号(Atomic Number)である。図14では、アロットプロットからのキュリー温度を黒塗り記号で示し、横軸は組成Xである。図4および図14では、磁気エントロピー変化のピーク温度(peak temperature of ΔS)もプロットし(図4では■、図14では白抜き記号)、また、図4では文献値も示している。図4および図14から、キュリー温度とピーク温度がよく一致していることが示されている。また、キュリー温度の文献値ともよく一致している。このことは、本発明者が上述のように炭素熱還元法による希土類元素窒化物の製造が適切であることを意味し、また、磁化測定も適切であることを意味する。
尚、文献値は、以下の文献に記載された値である:
O. Vogt, K. Matternberger, J. Alloys Comp. 223 (1995) 226
G. Busch, P. Junod, O. Vogt, Phys. Lett.,6(1963)79.
D.X. Li, Y. Haga, H. Shida, T. Suzuki, T.S. Kwon, G. Kido, J. Phys. Condens. Mater. 9 (1997) 10777
H. R. Child M. K Wilkinson, J. W. Cable, W. C. Koehler, E. O. Wollan, Phs. Rev. 131(1963)922.
更に、図14から明らかなように、二元系希土類元素窒化物に関して、キュリー温度Tcは、単体元素の窒化物同士の間(例えばGdNとDyNとの間)で組成X(希土類元素全モル数に対するGdのモル数の割合)に関してほぼ線形的または連続的にに変化している。これは、適切な組成を選択することで、適切な温度にてΔSが最大となる希土類元素窒化物を設計できることを意味し、そのような窒化物を磁気冷凍材料として使用する磁気冷凍システムを設計する上で自由度が高くなることを意味する。
尚、発明者らが求めたGdNのキュリー温度61KおよびDyNのキュリー温度21Kは、既に報告されているそれぞれのキュリー温度58−75Kおよび18K(D.X. Li, Y. Haga, H. Shida, T. Suzuki, T.S. Kwon, G. Kido, J. Phys. Condens. Mater. 9 (1997) 10777; G. Busch, J. Appl. Phys. 38 (1967) 1386;R.J. Gambino, T.R. McGuire, in: Processing of the 7th Rare Earth Research Conference, Coronado, CA, vol. 1, 1968, p.233; T.R. McGuire, R.J. Gambino, S.J. Pickart, J. Appl. Phys. 41 (1970) 933;およびP. Junod, F. Vevy, Phys. Lett. 23 (1966) 624参照)と合理的な範囲内で一致している。そのような一致も、発明者らが実施した希土類元素窒化物の製造、窒化物に関するデータの測定およびデータ処理が信頼性があることを意味する。
図5(a)に、DyNの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M),Magnetization vs 温度(T),Temperatureの関係を示す(但し、Dy原子について正規化している)。ここでは、試料をある測定温度で一定に保ち、磁場を0Tから5Tまで断続的に上げていき、その時の磁化を測定している。また、一旦印可磁場を0Tにした後に、試料の温度を次の測定温度に上げた。測定温度範囲は5〜100Kである。尚、19K以上の温度では、残留磁気も保磁力も認められなかった。
図5(a)のデータから上記式(3)を用いて数値計算を実施して磁気エントロピー変化(ΔS),Magnetic entropy changeを算出した。その結果を、図5(b)に示す。消磁する前に印加していた磁場の大きさに関係なく、磁気エントロピー変化(ΔS)vs温度(T)曲線は21〜23K付近にてピークを示す。即ち、そのような温度範囲において磁気エントロピー変化が最大となる。そのような温度をピーク温度と呼ぶ。
他の単体希土類金属元素の窒化物についても同様の測定を実施し、磁気エントロピー変化を算出した。その結果を、図5と同様に、図15〜図18に示す。尚、ピーク温度は、GdNでは53〜59K、TbNでは33〜36K、HoNでは13〜16K、ErNでは6〜7Kである。
いずれの結果からも磁場によってピーク温度はほとんど変化しないことがわかる。また、磁場が強いほどピークの半値幅が広がっていることが示されている。このことは、磁気冷凍材料として、より高い磁場を消磁した場合に、より広い温度範囲で高い磁気熱量効果が得られることを表している。
図5より、DyNは、2T未満の磁場を消磁する場合10〜33K、好ましくは15〜30K、より好ましくは18〜27Kの温度範囲で、2T以上3T未満の磁場を消磁する場合には10〜39K、好ましくは12〜33K,より好ましくは18〜28Kの温度範囲で、3T以上4T未満の磁場から消磁する場合には10〜56K、好ましくは10〜42K、より好ましくは14〜38Kの温度範囲で、4T以上5T未満の磁場を消磁した場合は10〜64K、好ましくは10〜52K、より好ましくは13〜42Kの温度範囲で、5T以上の磁場を消磁する場合は10〜80K、好ましくは10〜64K、より好ましくは13〜52Kの温度範囲で磁気冷凍物質として効率的に作動することがわかる。
図15より、GdNは、2T未満の磁場を消磁する場合32〜71K、好ましくは38〜68K、より好ましくは42〜64Kの温度範囲で、2T以上3T未満の磁場を消磁する場合には29〜84K、好ましくは32〜70K、より好ましくは42〜64Kの温度範囲で、3T以上4T未満の磁場から消磁する場合には29〜84K、好ましくは32〜70K、より好ましくは42〜64Kの温度範囲で、4T以上5T未満の磁場を消磁した場合も29〜84K、好ましくは32〜70K、より好ましくは42〜64Kの温度範囲で、5T以上の磁場を消磁する場合でも29〜84K、好ましくは32〜70K、より好ましくは42〜64Kの温度範囲で磁気冷凍物質として効率的に作動することがわかる。
図16より、TbNは、2T未満の磁場を消磁する場合20〜43K、好ましくは22〜41K、より好ましくは28〜35Kの温度範囲で、2T以上3T未満の磁場を消磁する場合には18〜52K、好ましくは20〜49K、より好ましくは28〜40Kの温度範囲で、3T以上4T未満の磁場から消磁する場合には18〜56K、好ましくは20〜52K,より好ましくは24〜45Kの温度範囲で、4T以上5T未満の磁場を消磁した場合は18〜67K、好ましくは20〜62K、より好ましくは24〜51Kの温度範囲で、5T以上の磁場を消磁する場合では18〜75K、好ましくは20〜68K、より好ましくは22〜61Kの温度範囲で磁気冷凍物質として効率的に作動することがわかる。
図17より、HoNは、2T未満の磁場を消磁する場合6〜28K、好ましくは6〜22K、より好ましくは10〜18Kの温度範囲で、2T以上3T未満の磁場を消磁する場合には6〜37K、好ましくは6〜24K、より好ましくは10〜21Kの温度範囲で、3T以上4T未満の磁場から消磁する場合には6〜52K、好ましくは6〜30K、より好ましくは8〜27Kの温度範囲で、4T以上5T未満の磁場を消磁した場合は6〜57K、好ましくは6〜42K、より好ましくは6〜35Kの温度範囲で、5T以上の磁場を消磁する場合では6〜65K、好ましくは6〜51K,より好ましくは6〜42Kの温度範囲で磁気冷凍物質として効率的に作動することがわかる。
図18より、ErNは、2T未満の磁場を消磁する場合2〜15K、好ましくは2〜12K、より好ましくは2〜10Kの温度範囲で、2T以上3T未満の磁場を消磁する場合には2〜28K、好ましくは2〜20K,より好ましくは2〜15Kの温度範囲で、3T以上4T未満の磁場から消磁する場合には2〜34K、好ましくは2〜25K、より好ましくは2〜18Kの温度範囲で、4T以上5T未満の磁場を消磁した場合は2〜42K、好ましくは2〜32K、より好ましくは2〜20Kの温度範囲で、5T以上の磁場を消磁する場合では2〜48K、好ましくは2〜35K、より好ましくは2〜22Kの温度範囲で磁気冷凍物質として効率的に作動することがわかる。
同様の処理を実施して、種々のXの希土類元素窒化物Gd−DyNについて図5と同様のグラフを得た。その中から、X=0.5(Gd0.5Dy0.5N)の場合についての結果を、例として図6に示す(但し、希土類元素について正規化している)。この場合、図5の場合と非常に類似しているが、磁気エントロピー変化(ΔS)vs温度(T)曲線は約40K付近にピークを有する。
図6より、Gd0.5Dy0.5Nは、2T未満の磁場を消磁する場合22〜58K、好ましくは26〜52K、より好ましくは27〜45Kの温度範囲で、2T以上3T未満の磁場を消磁する場合には20〜60K、好ましくは25〜56K,より好ましくは29〜51Kの温度範囲で、3T以上4T未満の磁場から消磁する場合には16〜68K、好ましくは20〜41K、より好ましくは27〜55Kの温度範囲で、4T以上5T未満の磁場を消磁した場合は10〜71K、好ましくは18〜64K、より好ましくは22〜58Kの温度範囲で、5T以上の磁場を消磁する場合では8〜74K、好ましくは17〜64K、より好ましくは20〜60Kの温度範囲で磁気冷凍物質として効率的に作動することがわかる。
他の二元系(Gd−TbNおよびHo−TbN、X=0.5)の窒化物についての同様の測定および算出の結果を、図19および図20に示す。図19では、磁気エントロピー変化(ΔS)vs温度(T)曲線は約44〜46K付近にピークを有し、図20では、磁気エントロピー変化(ΔS)vs温度(T)曲線は約23〜26K付近にピークを有する。
図19より、Gd0.5Tb0.5Nは、2T未満の磁場を消磁する場合22〜62K、好ましくは28〜58K、より好ましくは35〜54Kの温度範囲で、2T以上3T未満の磁場を消磁する場合には18〜72K、好ましくは23〜65K、より好ましくは30〜60Kの温度範囲で、3T以上4T未満の磁場から消磁する場合には16〜77K、好ましくは20〜70K,より好ましくは27〜65Kの温度範囲で、4T以上5T未満の磁場を消磁した場合は12〜82K、好ましくは19〜73K、より好ましくは24〜68Kの温度範囲で、5T以上の磁場を消磁する場合では10〜84K、好ましくは18〜80K,より好ましくは25〜70Kの温度範囲で磁気冷凍物質として効率的に作動することがわかる。
図20より、Ho0.5Tb0.5Nは、2T未満の磁場を消磁する場合7〜38K、好ましくは7〜33K、より好ましくは12〜28Kの温度範囲で、2T以上3T未満の磁場を消磁する場合には7〜48K、好ましくは7〜42K、より好ましくは10〜33Kの温度範囲で、3T以上4T未満の磁場から消磁する場合には7〜52K、好ましくは7〜46K,より好ましくは7〜40Kの温度範囲で、4T以上5T未満の磁場を消磁した場合は7〜60K、好ましくは7〜52K,より好ましくは7〜43Kの温度範囲で、5T以上の磁場を消磁する場合では7〜66K、好ましくは7〜56K、より好ましくは7〜48Kの温度範囲で磁気冷凍物質として効率的に作動することがわかる。
組成Xを変えた全ての試料について、5Tから消磁したときの2元系希土類元素窒化物(GdDy1−XN、GdTb1−XN、HoTb1−XN)の磁気エントロピー変化(ΔS)を算出し、これを温度の関数とし図7、図21および図22に示す。組成Xが変化するにつれて、温度に対するΔSの曲線がスムーズに変化していることがわかる。これは、いずれの窒化物についても組成Xを変えることによって、ΔSのピーク温度をコントロールすることができることを意味する。また、いずれの組成でもピーク付近のΔSの値は大きく、磁気冷凍材料として適していることがわかる。
この結果から、GdDy1−XN(0≦X≦1)は、約20K〜約80Kの温度範囲において、相転移温度を有し、また、相転移温度付近におけるエントロピー変化ΔSは約100〜約150kJK−1−3と相当大きく、従って、約20K〜約80Kの低温を得るための磁気冷凍材料と使用できることが理解できる。また、GdTb1−XN(0≦X≦1)は、約25K〜約80Kの温度範囲において、相転移温度を有し、また、相転移温度付近におけるエントロピー変化ΔSは約100〜約200kJK−1−3と相当大きく、従って、約25K〜約80Kの低温を得るための磁気冷凍材料と使用できることが理解できる。更に、HoTb1−XN(0≦X≦1)は、約10K〜約50Kの温度範囲において、相転移温度を有し、また、相転移温度付近におけるエントロピー変化ΔSは約150〜約300kJK−1−3と相当大きく、従って、約10K〜約50Kの低温を得るための磁気冷凍材料と使用できることが理解できる。
また、図7は、GdDy1−XNにおいて、温度Tが29K以下ではX≦0.1の組成が、29K≦T≦42Kでは好ましい組成として0.1≦X≦0.3が、37K≦T≦49Kでは好ましい組成として0.3≦X≦0.5が、43K≦T≦48Kでは好ましい組成として0.5≦X≦0.7が、48K≦Tでは0.5≦Xが磁気冷凍材料として適していることを示している。
更に、図21よりGdTb1−XNにおいて、温度Tが43K以下ではX≦0.25の組成が、43K≦X≦50Kでは好ましい組成として0.25≦X≦0.5、50K≦T≦62Kでは好ましい組成として0.5≦X≦0.75、62K≦Tにおいては0.75≦Xが磁気冷凍材料として優れていることがわかる。
加えて、図22からHoTb1−XNにおいて、温度Tが26K以下であれば、X≦0.25の組成が、T=29±2Kの範囲では特に0.25≦X≦0.75の組成が、それ以上の温度では0.75≦Xの組成が磁気冷凍材料として適していることがわかる。
尚、図7、図21および図22のピーク温度は、図14のグラフにおいても白抜き記号(◇、△または□)で示している。図14から明らかなように、ピーク温度とキュリー温度とは十分に一致している。このことは、組成Xを変えることによって、ピーク温度を変えることができる、従って、複数の希土類元素の窒化物の場合、希土類元素の組成を変えることによって、種々の温度特性(特に、最も大きいΔSを示す温度、即ち、ピーク温度)を有する希土類元素窒化物を得ることができることを意味する。
これは、組成Xを変えるだけで、異なるピーク温度を有する磁気冷凍材料を得ることができる、即ち、ピーク温度を組成Xによってコントロールできる利点があることを意味する。ピーク温度付近においては、磁気エントロピー変化ΔSの絶対値が大きく、従って、磁気エントロピー変化によって磁気冷凍材料が吸収する熱量および放出する熱量が大きいので、そのような温度付近において磁気冷凍材料を作動させるのが最も効率的である。よって、窒化物における希土類元素の組成Xを適切に選択することによって所望のピーク温度を有する希土類元素窒化物を得ることができ、その結果、種々の異なる組成で希土類元素を含む窒化物を用いて種々の低温を効率的に得ることができる。
磁場を5Tから0Tに変化させる場合、本発明の希土類元素窒化物の磁気エントロピー変化ΔSの最も大きい値、即ち、ピーク温度におけるΔSは、図5から分かるように、DyNの場合で3.0JK−1mol−1である。下記の表1に、この値を、20〜70Kの範囲に転移温度を有する既知の物質のΔSと共に示している。尚、既知の物質の値は、レポートされているΔS対T曲線(T. Hashimoto, K. Matsumoto, T. Kurihara, T. Numazawa, A. Tomokiyo, H. Hayama, T. Goto, S. Todo, M. Sahashi, Adv. Cryog. Eng. 32 (1986) 279; A. Tomokiyo, H. Yayama, H. Wakabayashi, T. Kuzuhara, T. Hashimoto, M. Sahashi, I. Inomata, Adv. Cryog. Eng.32 (1986) 295;およびH. Wada, S. Tomekawa, M. Shiga, Cryogenics 39 (1999) 915参照)から発明者らが求めた。ΔSについて3種の単位で示すが、この換算はそれぞれの物質の格子定数に基づく。GdN、TbN, HoN,ErN,Gd-DyN系、Gd-TbN系、Ho-TbN系についても、表1に示す。
表1から分かるように、本発明の希土類元素窒化物は、単位JK−1mol−1の場合では、他の物質より大きくないが、単位JK−1−3の場合では、いくらかの他の物質とは同等またはそれ以上である。これは、先に述べたように、本発明の希土類元素窒化物が大きい密度を有することによるものである。従って、安定である窒化物であることを考慮すると、本発明の希土類元素窒化物は、既知の磁気冷凍材料より有用なものであり、特に、水素を液化する場合については、水素脆化の問題もないことから、非常に有用な磁気冷凍材料として使用できる。
図8に、単体希土類元素窒化物の磁気エントロピー変化(ΔS)対温度(T)の関係をまとめて示す。図8では、磁場を5Tから0Tに変化させた場合の結果を示している。
図8から明らかなように、希土類元素の窒化物のピーク温度における磁気エントロピー変化は、いずれも大きく、特に、HoN、TbNおよびErNのピーク温度における磁気エントロピー変化はGdNまたはDyNの磁気エントロピー変化よりも相当大きい。また、二元系希土類窒化物の磁気エントロピー変化も相当大きく、特に、Gd−TbNおよびHo−TbNについては、かなり大きい。
Figure 2005089740
また、先に説明したGdとDyとの類似性、および他の希土類元素窒化物のエントロピー変化ΔSがGdNおよびDyNよりはるかに大きいことを考慮すると、これらの別の希土類元素についても、その固溶体が、それを構成する単一の元素の窒化物のピーク温度の間の温度において磁気冷凍材料として使用できる程度のエントロピー変化を有することがこのことからも理解できる。
従って、上述のGdおよびDyについての類似性、GdN、DyNおよびGdDy1−XNの磁気測定データ、そのデータから求めた磁気エントロピー変化およびピーク温度、他の希土類元素の窒化物の磁気エントロピー変化およびピーク温度を考慮すると、いずれの1種または複数の希土類元素の窒化物についても、有用な磁気冷凍材料として使用できることが分かり、このことは、GdN、TbNおよびGdTb1−XNの磁気測定データ、ならびにHoN、TbNおよびHoTb1−XNの磁気測定データ、そして、これらのデータを用いて評価した磁気エントロピー変化およびピーク温度等によっても裏付けられるものである。
(比熱の測定)
(1)TbN、DyN、HoN、ErNの試料の製造
Tb、Dy、HoおよびErの金属片(純度:各99.9%;寸法:約1mm×1mm×0.1mm)を140MPaの高純度窒素ガス雰囲気中(純度99.9999%)で1600℃にて加熱(加熱時間:2時間)するHot Isostatic press(HIP)法によりTbN、DyN、HoN、ErNの試料片を製造した。HIP法には神戸製鋼所製の加熱装置O2―Dr.HIPを使用した。
得られた各窒化物試料のX線回折パターンの測定結果を、図1と同様に図23に示す。図1と比較するとわかるように、得られた各窒化物試料の回折パターンは、炭素熱還元法で得られた窒化物の回折パターンと同等である。これは、HIP法によって単相の窒化物が合成できたことを意味すると共に、炭素熱還元法でも余剰の炭素の影響を実質的に受けずに希土類窒化物が合成できていることを裏付けるとも言える。
(2)窒化物試料の比熱測定
HIP法で得た各試料の比熱を、Oxford Instruments社のHeat Capacity Systemを用いて、無磁場雰囲気中および5Tの磁場雰囲気中で測定した。測定温度範囲は、TbNについては2〜70K、DyNについては2〜43K、HoNについては2〜40K、ErNについては2〜25Kとした。最初に、無磁場雰囲気中で高温側から始めて2Kまで各温度にて比熱を測定し、再度温度を上げた後、5Tの磁場をかけて2Kまで、各温度にて比熱を測定した。それぞれの比熱測定の結果を図24〜図27に示す。これらの図面において、縦軸は比熱C(Specific heat)であり、横軸は温度である。
これらの測定結果を、ヘリウムおよび現在蓄冷材料として使用されているPb、ErNiの比熱と共に図28にまとめて示す。図28から明らかなように、これらの希土類金属窒化物の比熱が非常に大きく、現在使用されている蓄冷材料として使用されている材料と同等またはそれ以上の蓄冷能力を有することが分かる。従って、このような窒化物は、非常に蓄冷能力が大きい蓄冷材料として使用することができる。尚、蓄冷材料とは、低温発生装置(例えば冷凍機)の内部で作動流体(例えばヘリウムガス)と十分な熱交換を行い一時的に熱を蓄えておく役割を担っている材料で、低温を保持するための熱シンクであり、大きい体積比熱と高い熱伝導率を有することが求められる。特に20K以下の極低温領域では、蓄冷材料の性能が冷凍機の冷凍効率に著しい影響をもたらす。この機能を有する材料は蓄冷材とも呼ばれ、これらの事項は周知である。
(3)絶対エントロピーの算出
温度に対する比熱の値がわかっている場合、
Figure 2005089740
(式中、Sは磁場Hでの絶対エントロピーを、Cは温度Tを変数とした磁場Hでの比熱を表す。)
に基づいて絶対エントロピーを算出できる。そこで、図24〜図27に示す比熱(C)vs温度(T)データを用いて積分すると、H=0TおよびH=5Tの場合の絶対エントロピーを算出できる。そのように算出した絶対エントロピーを図29〜図32黒塗り記号で示す(図面中、縦軸は絶対エントロピー(Entropy S)であり、横軸は絶対温度(Temperature)である)。尚、測定した最低温度2K以下の比熱は、デバイの比熱則に従うとして、Tに比例すると仮定して算出している。
ところで、無磁場中の絶対エントロピーSとある磁場Hでの絶対エントロピーSとの差から磁気エントロピー変化ΔSを次式によって算出することができる:
Figure 2005089740
他方、先に式(1)〜(3)を参照して説明したように、ΔSは磁化測定からも算出できる。従って、比熱測定によってS(T)がわかれば、磁化測定から求めたΔSを用いて、各磁場Hでの絶対エントロピーSを求めることができる
Figure 2005089740
その結果を、図29〜図32に白抜き記号で示す。そして、各磁場でのSが求まれば、式(4)を温度Tで微分することによって、ある磁場Hでの比熱C(T)を以下のように求めることができる:
Figure 2005089740
このようにして、他の磁場雰囲気中における比熱を求め、その結果を図33〜図36に示す。この結果から、希土類元素窒化物は、磁場による影響を受ける場合であっても、比熱の低下はそれほど大きくない。従って、このような窒化物を磁場雰囲気中で使用しても、蓄冷材としての機能を十分に果たすことが分かる。
図37に、先に説明した比熱の測定結果から式(5)に基づいて算出した希土類窒化物の磁気エントロピー変化を示す。尚、これは、磁場を5Tから消磁した時の値である。絶対値については多少の誤差があるものの、ピーク温度については、図8に示す、磁化測定から評価した、希土類窒化物を5Tから消磁した時に生じる磁気エントロピー変化の温度依存性と非常によく一致している。
先に説明したように、磁気エントロピー変化と比熱のデータから、任意の磁場中での比熱を再現できることに鑑みて、2元系窒化物の磁気エントロピー変化が連続的に変化する事実に基づけが、二元系希土類窒化物の比熱も二元系と組成に対応して連続的に変化すると考えられる。従って、単体希土類窒化物のみならず、二元系希土類窒化物も有効な蓄冷材として使用できる。
従って、本発明は、MN
組成式:MN(式中、Mは1またはそれ以上の希土類元素を表す)
で表される、少なくとも1種の希土類元素の窒化物を含んで成る蓄冷材料を提供する。
特に好ましい希土類窒化物は、DyN、ErN、HoNおよびTbNならびに2種の希土類元素の窒化物固溶体(例えばDy−HoN、Dy−TbN、Tb−ErN、Dy−ErN、Ho−ErNおよびHo−TbN)である。これらの蓄冷材料は、磁場雰囲気中、好ましくは5T以下の磁場雰囲気中、より好ましくは1T以下の磁場雰囲気中で蓄冷材料として使用するのに好適である。また、蓄冷材料として使用するに際して、2〜40K、好ましくは4〜30K、より好ましくは4〜20Kの低温において蓄冷材料として使用することを指摘できる。
上述の測定結果に基づけば、DyNは12〜42Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。また、ErNは2〜20Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。HoNは8〜26Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。TbNは20〜60Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。
更に、二元系窒化物については、HoEr1−XN(0<X<1)は、2〜26Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。DyEr1−XN(0<X<1)は、2〜42Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。TbEr1−XN(0<X<1)は、2〜60Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。DyHo1−XN(0<X<1)は、12〜26Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。TbHo1−XN(0<X<1)は、8〜60Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。TbDy1−XN(0<X<1)は、12〜60Kの温度にて5T以下の磁場雰囲気中において好適な蓄熱材料として機能できる。尚、本明細書において、磁場雰囲気は、無磁場雰囲気を含まない。
本発明の希土類元素窒化物は、安定な磁気冷凍材料として使用することができる。また、その磁気エントロピー変化が最も大きいピーク温度を考慮すると、10〜80Kの領域の低温を得ることが可能となり、水素の液化に際して必要な低温を本発明の希土類元素窒化物によって提供することが可能となる。
従って、本発明の磁気冷凍材料は、それを用いる磁気冷凍システムを構成することができ、また、そのようなシステムは、水素液化プラントに好都合に適用することができる。
また、本発明の希土類元素窒化物は、低温にて比熱が大きいため、蓄冷材料として有効に機能できる。従って、本発明の磁気冷凍材料は、低温をもたらすだけでなく、もたらした低温を有効に保持することができる。加えて、本発明の希土類元素窒化物は、磁場雰囲気中において比熱が減少する場合であっても、それほど大きく減少しない場合が多いので、磁場影響下にある雰囲気中において蓄冷が必要とされる場合に特に有効である。従って、本発明は、磁場雰囲気中において蓄冷する方法を提供し、その方法は、上述の希土類窒化物を蓄冷材料として使用することを特徴とする。よって、本発明は、低温発生装置が生み出した低温を保持するために、蓄冷材料として本発明の希土類窒化物を使用する冷凍システム、好ましくは磁場雰囲気中において蓄冷材料として本発明の希土類窒化物を使用する冷凍システムを提供し、更に、そのような冷凍システムを有する低温利用装置(例えばMRI装置等)も提供する。
よって、本発明は、上述のような希土類窒化物を磁気冷凍材料として使用して、低温を発生する方法、低温を発生する装置、ならびにそのような装置を含む低温発生装置、更に、上述のような希土類窒化物を蓄冷材料として使用して、低温を蓄冷または保持する方法、低温を蓄冷または保持する装置、ならびにそのような装置を含む低温発生装置をも提供する。
図1は、炭素熱還元法により合成した本発明の希土類元素窒化物の一例であるGdN、TbN、DyN、HoNおよびErNのX線回折パターンを示すグラフである。 本発明の希土類元素窒化物の一例であるGdDy1−XN(0≦X≦1)、GdTb1−XN(0≦X≦1)およびHoTb1−XN(0≦X≦1)のX線回折パターンから算出した格子定数を示すグラフである。 本発明の希土類元素窒化物の一例であるGdDy1−XN(0≦X≦1)について、5Kにて測定した磁化(M)と磁場(H)との関係を示すグラフである。 本発明の希土類元素窒化物の一例であるGdN、TbN、DyN、HoNおよびErNについて、Arrottプロットから求めたキュリー温度Tcを文献値と共に示すグラフである。 図5(a)は、DyNの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M)vs温度(T)の関係を示すグラフであり、図5(b)は、図5(a)のデータから式(3)に基づく数値計算により算出した各磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化ΔSを示すグラフである。 図6(a)は、Gd0.5Dy0.5Nの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M)vs温度(T)の関係を示すグラフであり、図6(b)は、図5(a)のデータから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化(ΔS)を示すグラフである。 GdDy1−XN(0≦X≦1)についての外部磁場5Tを消磁した場合に得られる磁気エントロピー変化と温度の関係を示すグラフである。 GdN、TbN、DyN、HoNおよびErNについて5Tから消磁したときに得られる磁気エントロピー変化と温度の関係を示すグラフである。 本発明の希土類元素窒化物の一例であるGdDy1−XN(0≦X≦1)のX線回折パターンを示すグラフである。 本発明の希土類元素窒化物の一例であるGdTb1−XN(0≦X≦1)のX線回折パターンを示すグラフである。 本発明の希土類元素窒化物の一例であるHoTb1−XN(0≦X≦1)のX線回折パターンを示すグラフである。 図1に示したX線回折パターンより算出したGdN、TbN、DyN、HoNおよびErNの格子定数を文献値と共に示した図である。 GdN、TbN、DyN、HoNおよびErNについて、5Kにて測定した磁化(M)と磁場(H)との関係を示すグラフである。 本発明の希土類元素窒化物の一例であるGdDy1−XN(0≦X≦1)、GdTb1−XN(0≦X≦1)およびHoTb1−XN(0≦X≦1)について、Arrottプロットから求めたキュリー温度Tcと、磁化測定から算出した磁気エントロピー変化のピーク温度を共に示すグラフである。 図15(a)は、GdNの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M)vs温度(T)の関係を示すグラフであり、図15(b)は、図15(a)のデータから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化(ΔS)を示すグラフである。 図16(a)は、TbNの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M)vs温度(T)の関係を示すグラフであり、図16(b)は、図16(a)のデータから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化(ΔS)を示すグラフである。 図17(a)は、HoNの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M)vs温度(T)の関係を示すグラフであり、図17(b)は、図17(a)のデータから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化(ΔS)を示すグラフである。 図18(a)は、ErNの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M)vs温度(T)の関係を示すグラフであり、図18(b)は、図18(a)のデータから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化(ΔS)を示すグラフである。 図19(a)は、Gd0.5Tb0.5Nの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M)vs温度(T)の関係を示すグラフであり、図19(b)は、図19(a)のデータから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化(ΔS)を示すグラフである。 図20(a)は、Ho0.5Tb0.5Nの試料に関して、5Tまでの磁場を印加した場合の磁化(M)vs温度(T)の関係を示すグラフであり、図20(b)は、図20(a)のデータから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化(ΔS)を示すグラフである。 GdTb1−XN(0≦X≦1)についての外部磁場5Tを消磁した場合に得られる磁気エントロピー変化と温度の関係を示すグラフである。 HoTb1−XN(0≦X≦1)についての外部磁場5Tを消磁した場合に得られる磁気エントロピー変化と温度の関係を示すグラフである。 HIP法により合成したTbN、DyN、HoNおよびErNのX線回折パターンを示すグラフである。 無磁場中および5Tの磁場中で測定したErNの比熱Cの温度依存性を示すグラフである。 無磁場中および5Tの磁場中で測定したHoNの比熱Cの温度依存性を示すグラフである。 無磁場中および5Tの磁場中で測定したDyNの比熱Cの温度依存性を示すグラフである。 無磁場中および5Tの磁場中で測定したTbNの比熱Cの温度依存性を示すグラフである。 図28は希土類窒化物の5Tの磁場中および無磁場中での比熱の温度変化をまとめて示したグラフであり、ヘリウムおよび現在蓄冷材として使用されているPb、ErNiの比熱の温度変化も併せて示している。 磁化測定データから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化ΔSと、無磁場中の比熱Cの測定データから式(4)に基づく数値計算により算出した絶対エントロピーから、式(6)を用いて算出したErNの各磁場での絶対エントロピーSの温度変化を示したグラフである。 磁化測定データから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化ΔSと、無磁場中の比熱Cの測定データから式(4)に基づく数値計算により算出した絶対エントロピーから、式(6)を用いて算出したHoNの各磁場での絶対エントロピーSの温度変化を示したグラフである。 磁化測定データから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化ΔSと、無磁場中の比熱Cの測定データから式(4)に基づく数値計算により算出した絶対エントロピーから、式(6)を用いて算出したDyNの各磁場での絶対エントロピーSの温度変化を示したグラフである。 磁化測定データから式(3)に基づく数値計算により算出した外部磁場を消磁した場合の磁気エントロピー変化ΔSと、無磁場中の比熱Cの測定データから式(4)に基づく数値計算により算出した絶対エントロピーから、式(6)を用いて算出したTbNの各磁場での絶対エントロピーSの温度変化を示したグラフである。 図33は、図29のデータと式(7)に基づく数値計算より算出したErNの各磁場における比熱の温度依存性のプロットを示している。 図33は、図29のデータと式(7)に基づく数値計算より算出したHoNの各磁場における比熱の温度依存性のプロットを示している。 図33は、図29のデータと式(7)に基づく数値計算より算出したDyNの各磁場における比熱の温度依存性のプロットを示している。 図33は、図29のデータと式(7)に基づく数値計算より算出したTbNの各磁場における比熱の温度依存性のプロットを示している。 図37は、比熱測定のデータから式(4)および(5)に基づく数値計算より算出した希土類窒化物の磁気エントロピー変化ΔSの温度依存性のグラフである。印加磁場を5Tより消磁した場合の値を示している。

Claims (18)

  1. 組成式:MN(式中、Mは1またはそれ以上の希土類元素を表す)
    で表される、少なくとも1種の希土類元素の窒化物を含んで成る磁気冷凍材料。
  2. NaCl構造を有する請求項1に記載の磁気冷凍材料。
  3. 希土類元素は、Nd(ネオジム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ディスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Tb(テルビウム)およびEr(エルビウム)から選択される1種またはそれ以上の元素である請求項1または2に記載の磁気冷凍材料。
  4. 少なくとも2種の希土類元素の窒化物を含んで成る請求項1〜3のいずれかに記載の磁気冷凍材料。
  5. 窒化物は、組成式:GdDy1−XN、GdTb1−XNおよびHoTb1−XN(いずれの式においても、Xは0以上、1以下の数値である)のいずれかで表される窒化物の少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の磁気冷凍材料。
  6. 磁気熱量効果を示す磁気冷凍材料として請求項1〜5のいずれかに記載の磁気冷凍材料を使用する磁気冷凍システム。
  7. 水素を液化する際に必要とする低温を請求項6に記載の磁気冷凍システムにより得る液体水素製造プラント。
  8. 組成式:MN(式中、Mは1またはそれ以上の希土類元素を表す)
    で表される、少なくとも1種の希土類元素の窒化物を含んで成る蓄冷材料。
  9. NaCl構造を有する請求項8に記載の蓄冷材料。
  10. 希土類元素は、Nd(ネオジム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ディスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Tb(テルビウム)およびEr(エルビウム)から選択される1種またはそれ以上の元素である請求項8または9に記載の蓄冷材料。
  11. 少なくとも2種の希土類元素の窒化物を含んで成る請求項8〜10のいずれかに記載の蓄冷材料。
  12. 窒化物は、組成式:GdDy1−XN、GdTb1−XNおよびHoTb1−XN(いずれの式においても、Xは0以上、1以下の数値である)のいずれかで表される窒化物の少なくとも1種である請求項8〜11のいずれかに記載の蓄冷材料。
  13. 請求項8〜12のいずれかに記載の蓄冷材料を有する冷凍システム。
  14. 水素を液化する際に必要とする低温を請求項13に記載の冷凍システムにより得る液体水素製造プラント。
  15. 組成式:MN(式中、Mは1またはそれ以上の希土類元素を表す)
    で表される、少なくとも1種の希土類元素の窒化物を磁場雰囲気中において蓄冷材として使用する方法。
  16. 組成式:MN(式中、Mは1またはそれ以上の希土類元素を表す)
    で表される、少なくとも1種の希土類元素の窒化物を蓄冷材として有する、磁場雰囲気中において低温を使用する装置。
  17. 装置は、MRI装置である請求項16に記載の装置。
  18. 組成式:MN(式中、Mは1またはそれ以上の希土類元素を表す)
    で表される、少なくとも1種の希土類元素の窒化物を蓄冷材として有する、磁場雰囲気中において低温を発生する装置。
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