JP2005088454A - 平版印刷版の印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 印刷機上で湿し水により現像を行う平版印刷版において、再印刷スタート時の湿し水の量が不十分で地汚れが起き、画質不良印刷物(ヤレ紙)が大量に排出されるという問題の解決策を提供する。
【解決手段】 印刷機上で湿し水により現像を行う平版印刷版を印刷する方法において、印刷を一旦停止した後、印刷を再開する際に、イ)版胴を回転させながら該平版印刷版に水付けローラーを接触させて湿し水を供給する工程、ロ)次いでインキローラーを接触させてインキを供給する工程、を印刷再開準備工程として設け、前記イ)の工程における水付けローラーは版に接触した状態で3回転以上回転した後、ロ)の工程に移ることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、印刷機上で湿し水により現像を行う平版印刷版において、印刷再スタート時の印刷機から版面上への給水に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた赤外線レーザビーム走査露光による画像記録が可能であり、画像記録したものを従来のような現像工程を経ることなしに、そのまま印刷機に装着し印刷機上で現像し印刷することが可能な熱溶融性微粒子を含む平版印刷版を印刷し、何らかの原因により印刷機を停止した後、印刷を再開する方法に関する。
近年の平版印刷版の作製工程には、コンピューターの普及に伴い、フィルム原稿を介さず画像データに基づいて平版印刷版材料に直接露光する、コンピューター・トゥー・プレートの技術(CTP)が普及しつつある。これによりフィルム作製の必要がなくなりコストの削減、ワークフローの簡略化が可能となった。
CTP用の平版印刷版材料(CTP版材)の技術としては銀塩拡散法を利用したもの、光重合を利用したもの、ノボラック樹脂の会合破壊を利用したものが主流であるが、これらはいずれも画像形成の為に露光後に水系アルカリ現像液処理が必要である。CTPの普及と同期して印刷環境もオフィス化が進み、環境適性の面から現像液を必要としないCTP版材が望まれるようになってきた。
現像処理を必要としない平版印刷版材料の技術は、例えば支持体上の疎水性熱可塑性粒子を赤外線レーザーの熱により溶融させて画像とする方法が特開平9−171250号公報に記載されている。また、上層の親水性層に赤外線レーザーを照射して親水性層をアブレーションにより除去して親油化する方法がWO94/18005号明細書に記載されており、また、親水性層/親油層界面でアブレーションさせることで親水性層の接着力を低下させ印刷機上で親水性層を剥離し親油層を露出する方法が特開2001−219666号公報に記載されている。これらの技術によれば、感熱性印刷版をレーザー光源で画像露光した後、現像処理を施さないまま印刷機の版胴に取り付け、インク、湿し水を用いて現像処理をすることにより、特に自動現像機を使用することなく実質上現像工程が不要の印刷が可能である(特許文献1参照)。
一方、印刷においては、印刷初期には見当合わせや色合わせのために、頻繁に印刷機を停止させるのが通常である。印刷再開時には画質不良印刷物の量を少なくするために、できるだけ早く完全な印刷物が出てくることが求められている。しかし、湿し水で現像を行う平版印刷版はこの際に地汚れしたりして、ヤレ紙の量が多いという問題があった。
しかしながら、印刷機を何らかの理由により一旦停止させた後、印刷再開時にどの様な措置や条件を設定すればよいかについては、未だ検討されていないのが実情である。
特開2000−52634号公報
本発明は、印刷機上で湿し水により現像を行う平版印刷版において、再印刷スタート時の湿し水の量が不十分で地汚れが起き、画質不良印刷物(ヤレ紙)が大量に排出されるという問題の解決策を提供するためになされた。
本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、本発明の目的は下記構成のいずれかを採ることにより達成されることがわかった。
(請求項1)
印刷機上で湿し水により現像を行う平版印刷版を印刷する方法において、印刷を一旦停止した後、印刷を再開する際に、イ)版胴を回転させながら該平版印刷版に水付けローラーを接触させて湿し水を供給する工程、ロ)次いでインキローラーを接触させてインキを供給する工程、を印刷再開準備工程として設け、前記イ)の工程における水付けローラーは版に接触した状態で3回転以上回転した後、ロ)の工程に移ることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
(請求項2)
前記イ)の工程における水付けローラーは版に接触した状態で5回転以上回転させた後、ロ)の工程に移ることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版の印刷方法。
(請求項3)
請求項1記載の平版印刷版の印刷方法に用いる湿し水により現像を行う平版印刷版が、ポリエチレンテレフタレート支持体上に熱溶融性微粒子を含む感熱層を有していることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
本発明により、印刷機上で湿し水により現像を行う平版印刷版において、再印刷スタート時の湿し水の量が不十分で地汚れが起き、画質不良印刷物(ヤレ紙)が大量に排出されるという問題の解決策を提供することが出来る。
〔印刷機上で湿し水により現像を行う現像方法〕
本発明に係わる印刷機上で湿し水により現像を行う現像方法について、下記の例をもって説明する。
本発明に利用可能な印刷機としては、プレダンプニング工程において湿し水供給量が調整可能でかつ、シリンダー回転数が調整できるものであれば、公知のものが利用できる。特に、制御盤によって、湿し水供給量、シリンダー回転数を変更できるものが、操作のし易さの点で好ましい。ここでは図1の印刷機概略図をもって印刷機の制御方法を説明する。
図1は本発明に用いられる印刷機の一例の概略図である。印刷版を取り付けるシリンダー(版胴)105の周辺にはインクローラー103、水付けローラー111が配置されている。
インクローラー103は、インキ壺114から供給され複数のインク練りローラー104によりせん断によって柔らかくされたインクをシリンダー105に設置された平版印刷版に供給する為のローラーで、印刷時またはプレダンプニング時、CPUに直結した制御盤で設定することによりシリンダー105とニップする。その回転速度はシリンダーの回転速度に同期している。
水付けローラー111は、湿し水槽108に蓄えられ、水元ローラー109、水渡しローラー110を介して伝わってきた湿し水をシリンダー105に設置された平版印刷版に供給する為のローラーで、印刷時またはプレダンプニング時、CPUに直結した制御盤で設定することによりシリンダー105とニップする。水付けローラー111はシリンダー105の回転速度に同期している。湿し水の供給量を上げるためには水元ローラー109の回転数を上げ、水渡しローラー110に伝わる湿し水量を増加させる。
印刷時においてはシリンダー105上の平版印刷版上に湿し水およびインクを供給し、平版印刷版上にインク画像を形成させ、該画像をブランケット胴106に転写させて後、圧胴107により印刷用紙へと転写され印刷物となり一連の印刷工程が完了する。なお、多色刷りの場合には、これらの工程をいくつか連ねた装置を用いてもよいことはいうまでもない。
〔印刷機上で湿し水により現像を行うことが出来る平版印刷版〕
支持体上に、親水性層、親油性画像形成層をこの順に形成している例で説明する。
なお、本発明において、支持体上への画像形成層、親水性層の積層順は、特に限定はなく、画像形成層が支持体に近く塗設されその上に親水性層を設けても、その逆の積層順であってもよい。
〈親油性画像形成層〉
親油性画像形成層は下記材料からなる。層の厚さとしては通常0.01〜5g/m2ものもが用いられ、好ましくは0.1〜3g/m2がよい。
(熱溶融粒子)
材質として鯨ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ミツロウ、モンタンワックス、ラノリン等の天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エステルワックス、酸化ワックス、低分子量ポリエチレンワックス、塩化パラフィン等の合成ワックス、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロメン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、ステアリルアルコール、ベヘニンアルコール等の脂肪酸アルコール類、ショ糖の脂肪酸エステル、スルビタンの脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ステアリンアミド、オレインアミド等のアミド類、ラクトン類、ラクタム類、芳香族アルコール類、エーテル類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル等のビニル系樹脂、塩化ビニル−ポリ酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の共重合体、エチルセルロース、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等の熱可塑性樹脂、合成ゴム、塩化ゴム、天然ゴム、その他、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエチレン系ワックス、モンタン系ワックス、フィッシャトロプシュワックス、油類系ワックス等からなる微粒子で、粒径は1〜0.001μmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.002μmである。また、微粒子の材質は上記の単独でも混合物出会っても良い。好ましいのは、カルナウバワックス、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリル共重合体である。
〈親水性層〉
本発明に使用される親水性層は、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択された少なくとも一つの元素のコロイド粒子状酸化物または水酸化物、および芳香族性水酸基を有する樹脂を含有する。
これらの元素のコロイド粒子状の酸化物または水酸化物は、上記元素のハロゲン化物やアルコキシ化合物の加水分解あるいは水酸化物の縮合など種々の公知の方法によってコロイド分散液の分散相、すなわち、コロイド粒子として作られる。コロイド粒子状酸化物または水酸化物を親水性層塗布液に添加する場合は、コロイド分散液の状態で添加できる。これらの元素の酸化物または水酸化物のうち、特に好ましいものは、アルミニウム、珪素、チタンおよびジルコニウムから選択された少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物である。これらの元素のコロイド粒子状酸化物または水酸化物は、コロイドの粒径として、シリカの場合5〜100nmの球形のものが好適である。10〜50nmの球状粒子が、50〜400nmの長さに連なったパールネックレス状のものも用いることができる。アルミニウムの酸化物または水酸化物のコロイドのように100nm×10nmのような羽毛状のものも有効である。これらのコロイドの分散液は、日産化学工業社製などの市販品を購入することもできる。これらのコロイド粒子状酸化物または水酸化物の分散媒としては、水のほか、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒も有用である。また、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂等のバインダーを含んでいても良い。好ましい親水性層としては上記材料を使って多孔質構造を有する親水性層を形成しているものである。多孔質層とは層の内部および表面に多数の空隙をもつ層構造を有するもので、この空隙は親水性の観点から多孔質層内部において外部に通ずる、いわゆる貫通孔であるものが特に好ましい。
(親水性樹脂)
親水性の天然高分子及び合成高分子から選ばれる。本発明に好ましく用いられる水溶性重合体の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、カードラン、キトサン、アルギン酸、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(好ましくは鹸化度70モル%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、マレイン酸/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩等を挙げることができる。これらの中で好ましいのは、合成高分子であり、更に好ましいのはポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸である。また、目的に応じて、これらを二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(多孔質構造を有する親水性層)
多孔質親水性層はコロイダルシリカ、水分散性ポリマー、または両者の混合物を特定の範囲で混合したものを、支持体上に塗布、乾燥することによって得られる。水分散性ポリマーとしては各種ポリマーの水分散体を用いることが出来、具体例としては、アクリル系ポリマー、エステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、アミド系ポリマー、およびこれらの変成物、共重合体などの分散物を用いることが出来る。本発明においては造膜強度、親水性の観点からコロイダルシリカの方が特に好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。コロイダルシリカとしては、例えば球状のコロイダルシリカが数珠状に連結した長鎖の構造を有するもの、および連結したシリカが枝分かれしたものを用いた場合に表面にうねり構造を有する多孔質膜を得ることが出来る。上記コロイダルシリカは球状シリカの一時粒子を2価以上の金属イオンを介在させ粒子・粒子間を結合させたもので、少なくとも3個以上、好ましくは5個以上、更に好ましくは7個以上連結したものをいい、更には数珠状に連結した粒子が分岐したものを含包する。またコロイダルシリカと他の無機粒子、例えばアルミナ、セリア、チタニアなどと複合或いは混合粒子であっても良く、これらを介在させて連結したものでも良い。介在させる金属イオンとしては2価以上の金属イオンが好ましく、例えばCa2+、ZN2+、Mg2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などである。とくにCa2+とした場合には、数珠状に連結及び分岐したコロイダルシリカを作製するのに好適である。またコロイダルシリカの一時粒子は0.005μm以上1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.005μm以上0.1μm以下、更には0.005μm以上0.05μm以下である場合、孔形成性の点で好ましい。数珠状に連結および/または分岐したコロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、親水性層マトリクスの多孔質化材として好ましく使用できる。これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。本発明の親水性層には本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加物、例えば、無機や有機の微粒子、可塑剤、滑剤、界面活性剤、帯電防止剤、架橋材、架橋触媒、耐熱材、耐候剤、などが添加されていても良い。親水性に添加出来る代表的な素材を下記に示す。
(多孔質シリカ多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子)
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法または、乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば、特開平10−71764号公報に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。また、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
粒子の多孔性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。
(ゼオライト粒子)
ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
(M1、(M20.5m(AlmSin2(m+n)・xH2
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4+(TMA)、Et4+(TEA)、Pr4+(TPA)、C7152+、C816+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8182 2+等である。また、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
本発明で使用するゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si1248)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで、親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。また、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
また、親水性層を構成する親水性層マトリクス構造は、層状粘土鉱物粒子を含有することができる。該層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。
特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。また、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
また、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。また、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
親水性層を構成する親水性層マトリクスにはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
また、本発明では、水溶性樹脂を含有してもよい。水溶性樹脂としては、例えば、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
(粒径が1μm以上の無機粒子もしくは無機素材で被覆された粒子)
本発明で用いることのできる無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができるが、塗布液中での沈降を抑制するために、多孔質な金属酸化物粒子を用いることが好ましい。多孔質な金属酸化物粒子としては、前述の多孔質シリカ粒子や多孔質アルミノシリケート粒子を好ましく用いることができる。また、無機素材で被覆された粒子としては、例えば、ポリメチルメタアクリレートやポリスチレンといった有機粒子を芯材とし、芯材粒子よりも粒径の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の粒径としては、芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。また、有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。粒径は、1〜10μmが好ましく、更に好ましくは、1.5〜8μmであり、特に好ましくは、2〜6μmである。本発明では、粒径が1μm以上の粒子の添加量としては、親水性層全体の0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましい。親水性層全体としては、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
本発明の親水性層は公知の塗布方法により形成することが出来る。例えばグラビアコート、バーコート、リバースコート、キスコート、ダイコート、ディップコートなどの任意の方法を用いることが出来る。塗布の付量は通常0.001g/m2以上1g/m2以下、好ましくは0.005g/m2以上0.5g/m2以下、さらに好ましくは0.01g/m2以上0.3g/m2以下である。
上記画像形成層や親水性層の両方あるいはいずれかにレーザー光を熱に変換するための光熱変換剤が含まれるのが好ましい。
〔光熱変換剤〕
赤外線吸収剤としては下記のような素材を使用することができる。
(赤外吸収色素)
特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号の各公報等に記載のシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(顔料)
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては、特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
(グラファイト)
グラファイトとしては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
(金属)
金属としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
(金属酸化物)
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄(Fe3O4)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。後者とては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられ、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は、平均一次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均一次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均一次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
これらの赤外吸収剤の添加量としては、各層に対して0.1〜50質量%であり、1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましい。0.1質量%未満では十分な熱量を発することが出来ず、50%質量%を越えると熱過剰となり画像形成層がアブレーション破壊されてしまう。
〔画像形成層、親水性層に含まれていてもよいその他の添加剤〕
塗布性を改良するための、各種界面活性剤、膜物性を改良するための可塑剤、着色するための色素、色素を変色せしめる熱酸発生剤、光酸発生剤などが含まれていても良い。
〔支持体〕
特開2002−211151号公報のp7〜8に記載の支持体が好ましい。
好ましいものとして具体的にはポリエチレンテレフタレートやコロナ処理、親水樹脂の塗設により易接化されたポリエチレンテレフタレート、電解研磨あるいは機械研磨により粗面化され、陽極酸化処理されたアルミニウムである。アルミニウムは陽極酸化処理された後に特開2002−211151号公報に記載された方法で後処理された方が好ましい。後処理で好ましいのはケイ酸Na、P`VPA、クエン酸処理である。また、これらの支持体の裏面は、マット加工されていたり、樹脂層などが塗設されていても良い。特に好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレートやコロナ処理、親水樹脂の塗設により易接化されたポリエチレンテレフタレートである。
〔画像形成層、親水性層を塗布するための溶剤〕
水のほか、アルコール類(メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロピラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ガンマーブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等)、アミド類(ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等)等を用いることができる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用される。
〔画像形成層、親水性層塗布液の固形分濃度〕
塗布液中の成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
〔塗布する方法〕
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
本発明の構成と効果を実施例という形で実施態様に基づき説明するが、無論、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
1.感熱性平版印刷板の作製
〔ポリエチレンテレフタレート支持体1の作製〕
2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ175μm)の両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、180℃、4分間乾燥させた。
ついで塗布液aを塗設した面にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また、反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗布し180℃、4分間乾燥させた。後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。
下引き面B側の表面の表面粗さを測定したところRa値で0.8μmであった。ついで、各々の下引き層表面に下記プラズマ処理条件でプラズマ処理を施した。
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 92.0%
《下引き塗布液b》;
ゼラチン 1%
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05%
硬膜剤H−1 0.02%
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02%
防黴剤F−1 0.01%
水 98.9%
Figure 2005088454
《下引き塗布液c》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 0.4%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス 7.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 91.9%
《下引き塗布液d》
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物 6.4%
硬膜剤H−2 0.7%
アニオン系界面活性剤S−1 0.07%
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03%
水 93.4%
成分d−1;スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
Figure 2005088454
《プラズマ処理条件》
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学社製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比をそれぞれ90%及び5%で、プラズマ処理を行った。
作製したポリエチレンテレフタレート支持体1に下記組成の親水性層塗布液をワイヤーバーにて塗設後の乾燥質量が2.0g/m2となりように塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
《親水性層塗布液》
下記組成の親水性層塗布液をホモジナイザで十分に撹拌混合した後、濾過して固形分濃度20%の親水性層の塗布液Aを作製した。
コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−S(日産化学社製、固形分30質量%) 15.87質量部
ネックレス状コロイダルシリカ(アルカリ系):スノーテックス−PSM(日産化学社製、固形分20質量%) 35.70質量部
赤外線吸収剤(Cu−Fe−Mn系金属酸化物黒色顔料:TM−3550ブラック粉体(大日精化工業社製、粒径0.1μm程度)の固形分40質量%水分散物)
5.00質量部
層状鉱物粒子;モンモリロナイト:ミネラルコロイドMO(Southern Clay Products社製、平均粒径0.1μm程度)をホモジナイザで強撹拌して5質量%の水膨潤ゲルとしたもの 8.00質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学社製試薬)の4質量%の水溶液
5.00質量部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学社製試薬)の10質量%の水溶液
1.00質量部
多孔質金属酸化物粒子 シルトンAMT08(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径0.6μm) 2.40質量部
多孔質金属酸化物粒子 シルトンJC−30(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径3μm) 3.00質量部
光熱変換剤(1) 1.00質量部
純水 24.03質量部
ついで、下記組成の画像層塗布液を塗設後の乾燥質量が0.5g/m2となるようにワイヤーバーで塗布し、70℃で2分間乾燥させ、感熱性平版印刷版を作製した。
《親油性画像形成層塗布液》
下記組成のワックスエマルション分散液を調製し、画像層塗布液とした。
カルナウバワックスエマルジョンA118 65質量部
(岐阜セラック社製、平均粒子径0.3μm、固形分40質量%)を固形分5質量%に純水で希釈した分散液
トレハオース(林原商事社製)の水溶液(固形分5質量%) 25質量部
DL522(日本触媒社製ポリアクリル酸Naの5%水溶液) 10質量部
2.画像露光
上記1で作製した印刷機上で湿し水により現像を行う平版印刷版材料を730mm×600mmのサイズに断裁し、波長808nmの半導体レーザーが搭載されたプレートセッターで、版面のエネルギー強度300mJ/cm2となるようにプレートセッターのレーザーパワー及びドラム回転数を調整して、画像露光を行い平版印刷版を作製した。
3.印刷
上記2で作製した平版印刷版を所定のパンチ穴空け、折り曲げ加工を行った後、三菱重工社製のDAIYA 1F型印刷機に取り付け、次の手順にて印刷を行い、印刷再開時のヤレ枚数を評価した。なお、印刷機の回転速度は全ての過程で7000枚/時とし、
1.水元ローラーを最大回転数にし、水付けローラーを印刷版に接触させ5回転回して印刷版表面に湿し水を供給した。
2.水元ローラーを通常の印刷時の回転数(32%)にした後、インキローラーを印刷版に接触させインキを印刷版表面に供給した。
3.通紙して印刷を開始し、30枚の印刷を行った。
4.印刷を60分間停止
5.印刷を下表1に示す条件A〜Gにて再開し、完全な印刷物(所定濃度に達しており、印刷紙面上の非画線部に地汚等が無い状態)が得られるまでの枚数をカウントした。
下記表1に記載した如く、水付けローラーを印刷版に接触させて印刷版表面に湿し水を供給した後インキローラーを印刷版に接触させて印刷版にインキを供給し、通紙した。
Figure 2005088454
各条件にて印刷を再開した時、所定濃度に達しており、印刷紙面上の非画線部に地汚等が無い状態が得られるまでに要したヤレ紙の枚数を表3に示す。
Figure 2005088454
表2より明らかな如く、本発明内の実施例は印刷を再開した当初から、鮮明な印刷が得られるが、本発明外の比較例は、印刷再開当所にはかなりの画質不良印刷(ヤレ紙)が出ることがわかる。
印刷機概略図である。
符号の説明
101 インク元ローラー
102 インク渡しローラー
103 インクローラー
104 インク練りローラー
105 シリンダー
106 ブランケット胴
107 圧胴
108 湿し水槽
109 水元しローラー
110 水渡しローラー
111 水付けローラー
114 インキ壺

Claims (3)

  1. 印刷機上で湿し水により現像を行う平版印刷版を印刷する方法において、印刷を一旦停止した後、印刷を再開する際に、イ)版胴を回転させながら該平版印刷版に水付けローラーを接触させて湿し水を供給する工程、ロ)次いでインキローラーを接触させてインキを供給する工程、を印刷再開準備工程として設け、前記イ)の工程における水付けローラーは版に接触した状態で3回転以上回転した後、ロ)の工程に移ることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
  2. 前記イ)の工程における水付けローラーは版に接触した状態で5回転以上回転させた後、ロ)の工程に移ることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版の印刷方法。
  3. 請求項1記載の平版印刷版の印刷方法に用いる湿し水により現像を行う平版印刷版が、ポリエチレンテレフタレート支持体上に熱溶融性微粒子を含む感熱層を有していることを特徴とする平版印刷版の印刷方法。
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