JP2005087934A - 医療廃液の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 医療廃液処理において、廃液中に含有される感染性細菌類などの健康懸念要因とTN(全窒素量)、BOD及びCODなどの環境汚染要因のいずれをも完全無害化可能レベルまで低減させる医療廃液処理方法を提供すること。
【解決手段】 導電性ダイヤモンド電極を陽極として用い、かつ医療廃液に塩素イオンを含有させて電解処理を施すことを特徴とする医療廃液処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感染性廃棄液などの医療廃液の無害化処理に関し、具体的には、医療廃液を電解処理して無害化する方法に関する。
医療廃液は、細菌・ウイルスの付着危険、高いTOC(全有機炭素量)、高い全窒素量を有する液を含んでいてさらに不溶化蛋白質を含むために洗浄も困難であるのが一般的である。
従来、病院等で発生する医療廃棄物は外部の専門業者に任せて処理していた。
しかし、医療廃棄物中には感染性のものが含まれているので、法規の改正により、発生源での処理が必要となっている。
医療廃棄物を焼却処理するには燃焼温度800℃以上に保ち、排煙、排水を完全に無公害化しなければならない。また、例えば廃棄物の発生量が多い医療施設では、上記の条件を満足する処理施設は広い処理スペースが必要となり、病院等の医療施設を単位とする施設としては少なからぬ負担となる。医療廃液の焼却は、大量の水を大気に放出することになり、設備の大型化、設備管理や環境管理の負担の増大、エネルギー消費の増大などの問題を抱えている。
特許文献1には、限られた設置面積で操業できるコンパクトな焼却、集塵機、ガス洗浄捕集装置及び水処理装置のシステムが提案されている。しかしながら、この装置を用いて医療廃液比率の多い医療廃棄物を処理するには、上記した問題がある。
特許文献2には、電解質存在下での電解処理によって殺菌消毒する医療廃液の無害化方法が開示されている。しかしながら、該文献には具体的記載はないが、本発明者の経験によれば、この種の電解酸化方法ではCOD寄与成分を目標レベルまで低減することができて、しかも電極材料の腐食溶出が起こらないような電極材料及び/又は電解条件を選択することができないという問題を有している。例えばこの電解酸化に鉛又は鉛合金から成る電極を使用すると、鉛は安価であるが廃液の電解処理中に鉛イオンの溶出が著しく、リン酸鉛を含む鉛化合物が蓄積してしまう。白金電極は高価でかつ被毒されやすく、グラファイトカーボン電極では電極の消耗が甚だしい、など問題がある。
この出願の発明に関連する前記の先行技術には、次の文献がある。
特開平7―313584号公報 特開平6−296969号公報
本発明は、上記背景、すなわち従来開示されているいずれの医療廃液処理手段も、また医療廃液処理手段同士を組み合わせた複合処理手段も、完全な解決とはなっていない状況に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、医療廃液処理において、廃液中に含有される感染性細菌類などの健康懸念要因とTN(全窒素量)、BOD及びCODなどの環境汚染要因のいずれをも少なくとも汎用2次処理によって完全無害化可能レベルまで低減させる医療廃液処理方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的の解決方法を見出すために、医療廃液中の感染性細菌類などの健康懸念要因除去とTN、BOD及びCODなどの環境汚染要因除去の両立手段を検討した結果、塩素イオンの存在下での導電性ダイヤモンド電極による電解処理が有効であることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)医療廃液に塩素イオンを含有させて、導電性ダイヤモンド電極を陽極として電解処理を施すことを特徴とする医療廃液の処理方法。
(2)電解中の一定期間をpH4以下に保持して電解することを特徴とする上記(1)に記載の医療廃液の処理方法。
(3)医療廃液が固形医療廃棄物及び含水医療廃棄物から脱水して得られる廃液及び/又は該廃棄物を加熱し、その蒸気を凝縮した凝縮水を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の医療廃液処理方法。
(4)電解処理を施した廃水にオンサイトで、必要によって濃縮減容したのち、焼却処理を施すことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の医療廃液処理方法。
本発明の医療廃液処理方法の特徴は、塩素イオンを医療廃液に含有させたこと、及び、該医療廃液の電解酸化処理に導電性のダイヤモンド電極を使用したことにある。
導電性のダイヤモンド電極を用いると電極材料が消耗することなく印加電圧を高くできるのでその分だけ高い酸化力が得られて、感染性細菌類などの殺菌消毒と難分解性のCOD寄与物質の分解のいずれも効果的に進行する。塩素イオンを医療廃液に含有させたことによって、陽極酸化によって次亞塩素酸イオンが発生し、一層酸化力が高められる。また、低pH領域では次亞塩素酸イオン/塩素比が塩素側によるので殺菌能力も一段と強化される。特に、pHを4以下に保つことが遊離塩素濃度を高め殺菌力を高めるために好ましい。さらにこの条件では蛋白質や繊維片など生体由来、医療処置由来の浮遊物も分解、可溶化して無害な形に酸化される。また、アンモニアの発生もなく、逆に窒素化合物が酸化されて硝酸イオンが生成するため、陰極還元によって(さらにアンモニアや亜硝酸イオンも関与して)脱膣されるためか、TNが低減し、排水規制対応の面からは、CODのみでなくTNも低減される。
陽極用として汎用されている電極では、このような次亞塩素酸イオン/塩素平衡が介在する強力な酸化性雰囲気のもとでは、電極の消耗と重金属電極(例えば鉛、酸化鉛)からの金属溶出が甚だしく、金属電極やグラファイト電極の使用は実際的ではなかったが、導電性ダイヤモンド電極では高い電位を印加しても酸化溶出がなく安定に電解処理を施すことが可能となった。しかも白金などの貴金属電極に起こりがちな被毒現象も見られない。
ダイヤモンド電極を用いれば、公知の酸化鉛、酸化錫、白金等の重金属電極で見られた陽極金属溶出による被処理液の汚染はなく、かつ、より高い電解効率を得ることが可能である。
塩素イオン存在下で導電性のダイヤモンド電極を用いる本発明の医療廃液処理方法によって、医療廃液中に含有される感染性細菌類などの健康懸念要因とTN(全窒素量)、BOD及びCODなどの環境汚染要因のいずれをも少なくとも完全無害化可能レベルまで低減させることが可能となる。また、電解後の廃液を更に自家処理用の生物処理施設(浄化槽等)による浄化や、電解後の残存物を濃縮、焼却等の汎用2次処理を、作業時の感染性廃液との接触の危険を伴わずに実施することが可能である。
以下、本発明をさらに具体的に詳述する。
[医療廃液]
本明細書において、医療廃液とは、医療処置の結果発生し、法規によって分別して特定の処分を行なう必要がある医療廃棄物のうち液状のものを指しており、固形医療廃棄物や含湿医療廃棄物からの浸出水なども含んでおり、また感染性の廃液をも包含している。
医療廃液は、細菌・ウイルスの付着危険、高いTOC(全有機炭素量)、高い全窒素量を有する液を含んでいてさらに不溶性、懸濁性蛋白質を含み、加熱すると固化して器壁に固着するものもあるために洗浄も困難であるのが一般的である。
[電解酸化処理]
<電解酸化処理工程の概要>
この発明の構成を実施例として示した図面を参照して説明する。 HYPERLINK "http://www6.ipdl.jpo.go.jp/Tokujitu/tjitemdrw.ipdl?N0000=231&N0500=1E#N/;?9=69696///&N0001=725&N0552=9&N0553=000005" \t "tjitemdrw" 図1は、本発明を限定するものではないが、本発明の医療廃液処理方法の典型的態様を示す工程概念図である。図1によって装置の構成と工程の流れとを併せて説明する。また、医療処置に由来する各種の医療廃液は、医療廃液貯留槽1に蓄えられたのち、送液管6を経て医療廃液調整槽7に送られる。また、加熱処理槽2は、固形医療廃棄物や含湿医療廃棄物を貯留する貯槽を兼ねており、貯留された固形医療廃棄物や含湿医療廃棄物を加熱することによって、含有する湿分が蒸発し、送気ダクト3を経て凝集器4によって凝縮して医療廃液の1つとして送液管5により医療廃液調整槽7に送られる。医療廃液調整槽7では、塩素イオン源(本実施では10%食塩水)が塩素イオン源貯槽8から配管9によって供給されて、さらに必要あればpHの調整も行なわれる。塩素イオンを含有した医療廃液10はポンプPにより電解槽4に送液され、電解槽4において、導電性ダイヤモンド陽極12と陰極(本実施では導電性ダイヤモンド陰極)11との間で電圧が印加されて電解が行なわれる。
電解が充分に行なわれて廃液の感染性生物や生物排出物が消毒され、目標COD(及び目標TN)レベルに到達したことを確認したのち、又は経験的に設定された目標時間に到達したのち、電解槽4では電解を終了させて残留塩素を常法によって除去し、処理済み廃液管16を経て汎用2次処理施設17に送液される。汎用2次処理施設17は通常公共下水道であるが、当該地域の下水道条例に塩濃度上乗せ基準が厳しい場合など、地域事情などによって排出しないことを選択する場合は、汎用2次処理施設17として自家処理用生物処理設備を用いる。自家処理用生物処理設備を用いれば、排出される浄化水は公共下水道に排水することができる。また、水質に関しては、当該地域の環境基準を満たして直接河川放流も可能とすることもできる。
別の態様としては、浄化水をさらに減圧濃縮した後、加熱処理槽2で加熱脱湿して減容された固形医療廃棄物や含湿医療廃棄物とともに自家焼却設備で焼却処理することもできる。この場合は、医療廃棄物及び医療廃液の完全なオンサイトのクローズド処理が達成されることになる。
加熱処理槽2は、バンドヒーターによる加熱、医療施設から供給される蒸気加熱などで加熱蒸発が行なわれる以外に、減圧蒸発や減圧・加熱蒸発などを選択してもよい。
医療廃液調整槽7では、塩素イオン源貯槽8からの食塩水の供給を受けてもなお電解槽14内の極間電動度が低いときには、硫酸ナトリウムなどを添加して電導度を高めることによって残留塩素の除去負荷を課題にすることを避けてもよい。
また、電解操作は循環パイプ15を用いて医療廃液調整槽7と電解槽14との間で廃液を循環させながら電解を促進することも出来る。
別の態様としては、循環パイプ15、医療廃液調整槽7と電解槽14との間で廃液を循環させてその滞留液の一部を処理済み廃液管16に排出させながら連続電解処理を行なうこともできる。
電源13は直流電流を電解槽14に供給して電気分解する。陽極12に於ける強力な酸化作用により活性酸素が感染性廃棄液中に生成する。この工程に於いて陽極酸化反応により生成する活性酸素の酸化作用によって感染性廃棄液中の病原微生物は十分に不活化されるとともに、有機物等の被酸化物質は短時間で二酸化炭素、窒素、水に酸化分解する。感染性廃棄液中の臭いの成分もこの工程で殆ど分解してしまう。一方、本発明の方法によれば、全窒素量も低減できるが、その作用は、陽極酸化によってアンモニア性窒素から、生じた亜硝酸性窒素、硝酸性窒素が、陰極で還元されて脱窒するものと考えられる。
<電解質>
本発明は、医療廃液中に電解質として、塩素イオンを含有させることを特徴の一つとしている。塩素イオン源には、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛等の水に易溶性の金属塩化物が用いられるが、塩化ナトリウム及び塩化カリウムが特に好ましい。添加量は、塩素イオン濃度として0.1g/L〜500g/Lが好ましく、1g/L〜50g/Lが特に好ましい。医療廃液を電解する場合の廃液のpHはアルカリ性〜酸性に亘る広い領域を選択できるが、電解酸化を行うことにより、該塩素イオンは陽極において次亜塩素酸に酸化され、多少の塩素ガスの発生が許容される環境であれば、酸性領域とするのが酸化力の強化の点で好ましい。
<陽極>
本発明では、導電性ダイヤモンドを陽極用電極材料として使用することも特徴としており、電位窓の広いこの電極により、塩素イオンが効率よく酸化されて次亜塩素酸イオンを発生させることができるため、廃液中の難分解性物質の電気分解と感染性細菌の殺菌を効率よく行うことが出来る。本発明において"導電性ダイヤモンド電極”とは1MΩcm未満の電気抵抗率を有するダイヤモンド電極を意味するが、誤解の恐れのない限り“導電性”を省略して記すこともある。
本発明の電極物質であるダイヤモンドは、粉末ダイヤモンドを基体であるチタン、ニオブ、タンタル、シリコン、カーボン、ニッケル、タングステンカーバイド等の板、打抜き板、金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体等の表面に後述の方法により被覆して構成してもよく、また板状のダイヤモンドをそのまま電極として使用しても良いが、コスト面から前者を採用することが望ましい。前者におけるダイヤモンド被覆層を本明細書では、ダイヤモンド層と記す。又密着性の確保と基体の保護とを目的として基体とダイヤモンド層の間に中間層を設けることが好ましい。中間層の材質としては基体を構成する金属の炭化物や酸化物が使用できる。基体表面は密着性と反応面積増大に寄与するため研磨しても良いし、逆に粗にしてもよい。又電極物質としてダイヤモンド以外に少量の他の電極物質を含有していても良い。基体はダイヤモンドの集電体としても機能し、ダイヤモンド板を使用する場合には、別に集電体を用意してダイヤモンド電極への給電を行う必要がある。
ダイヤモンド層の基体表面への形成方法としては、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、プラズマアークジェット法、PVD法などが開発されている。次に代表的な熱フィラメントCVD法について説明する。炭素源となるアルコールなどの有機化合物を水素ガス中等の還元雰囲気に保ち、炭素ラジカルが生成する温度1800〜2400℃に維持する。このとき電極基体を、ダイヤモンドが析出する別の温度(750 〜950 ℃)領域に設置する。水素に対する好ましい有機化合物ガス濃度は0.1 〜10容量%、供給速度は反応容器の寸法にも依るが0.01〜10リットル/分、圧力は15〜760 mmHgである。ダイヤモンド微細粒子は通常0.01〜5μm程度の粒径を有し、本発明では前記条件により前記基体上にダイヤモンド粉末を蒸着させて、厚さ0.1 〜50μm好ましくは1〜10μmの厚さのダイヤモンド層とする。この厚さは基体への電解液の浸入を防ぐために好適な厚さである。生成するダイヤモンド層に良好な導電性を付与するためには原子価の異なる元素を微量添加(ドーピング)することが必要で、例えばリンや硼素を1〜100000ppm 、好ましくは100 〜10000 ppm 程度含有させる。この添加物の原料化合物としては毒性の少ない酸化硼素や五酸化二リンなどが好ましい。
十分な電導性を付与するためのドーピングには、プラズマ増強CVD(PECVD)ダイヤモンド蒸着法を利用することが好ましい。ドーピングされた電極の製作方法の詳細は、例えば、Ramesham, Thin Solid Films 、229巻 (1993) 44〜50頁に記載されている。PECVDダイヤモンド層は、マイクロ波プラズマにより活性化したメタン及び水素ガスの混合物から製造したホウ素ドーピング化多結晶質ダイヤモンドである。この方法によるダイヤモンド層の蒸着は当業者によく理解されている(例えば、Klages, Appl.Phys. A56巻 (1993) 、513〜526頁を参照)。
熱フィラメントCVD(HFCVD)法(Klages, Appl.Phys. A56巻 (1993) 513〜526頁 を参照)により製造したダイヤモンド層は、 Advanced Technology Materials.Inc., 7 Commerce Drive, Danbury,CT 06810、米国から市販されている。
ダイヤモンド電極の製法としては、特開平8-225395号公報段落0007に記載されている真空チャンバー内での化学蒸着法も好ましい。
導電性ダイヤモンド電極材料の最も重要な性質の1つは電気伝導性である。十分な電導性がなければ、目的とする電解を進めるのに必要な電圧が過度となり、経済的に実行不可能になる。ドーピングを施さないダイヤモンド電極は、ドーピング剤不純物が存在しないために大きなバンドギャップ(5.5eV) を有し、むしろ絶縁体に近い。陽極の説明において前記したように、ドーピング剤不純物、例えば、ホウ素を適切なレベルで取り込むことにより、合成ダイヤモンド粒子及びダイヤモンド層の電導性を調整することができる。ダイヤモンドに電導性を付与するために用いられるドーピング剤の種類は、前記のホウ素に限らず、例えば、米国特許第5,162,886号に記載されているような他の元素、例えば、リチウム、ベリリウム、窒素、リン、イオウ、塩素、ヒ素及びセレンを含むことができる。中でも、ホウ素のドーピングは、20mΩcm未満の抵抗率を作り出すために好ましい。ドーピング化ダイヤモンドにおける、一般的に好ましいホウ素濃度は、100ppm〜10000ppmである。
好ましい電極は、100Ωcm未満の抵抗率、及び100mA/cm2 の電流密度条件下における電圧降下が1V未満となる厚さのダイヤモンド層を有する電極である。このような電極であれば、適当な電流密度で、抵抗加熱から生じる電力損が僅かな状態で機能する。最も好ましい電極は、0.1Ωcm未満の抵抗率を有し、電流密度1A/cm2 で、電極での電圧降下が0.1V未満となるような厚さを有する電極である。
<陰極>
陰極としては、電解の休止期間中に腐食を起こさないよう十分の耐蝕性と通電性を持つものならいずれの材料でもよいが、好ましいのは回収される金属と同種金属の電極、及びステンレスの板又は棒が特に適している。前者は金属精錬に直接つなげることができ、後者は、安価及び良好な耐蝕性と電着金属の回収が容易であるという利点を有している。しかし、他の電極、例えば炭素電極や種々の金属電極も使用できる。陰極・陽極を対にした形、陰極を両側から陽極が挟むサンドイッチ構造の形、あるいは陰極と陽極とを交互に配した多数枚配列構造などの適切な形が選択される。陰極の形状は、線状、棒状、板状などのいずれであってもよい。
また、本発明の一態様として、陰極にも導電性ダイヤモンド電極を用いることができる。また、両極に導電性ダイヤモンド電極を用いる場合には、極性を反転させながら電解を行うことも電極を正常な状態に維持するために好ましい。
<電解槽の構造>
本発明においては、電解槽の構造は公知の各種の構成で用いることができる。すなわち、単一室セルであってもよく、又は陽極と陰極が膜で仕切られた分割セルであってもよい。最も簡単な実施態様は、単一室セルである。単一室セルでは、陽極と陰極を隔てるバリヤーがなく、したがって溶質は陽極と陰極間を移動するのに制限を受けない。
2室セルにおいては、イオン交換膜、ミクロろ過膜、半透膜、多孔性膜、などの通電性隔膜を陽極と陰極の間に挿入し、この隔膜はあるタイプのイオン種のみを陽極液から陰極液へ又はその逆方向へ通過させることができる。膜の機能は、陽極液と陰極液が混合することなく電気的中性を保持することである。また、適当な膜を用いれば、その膜を通過して移動するイオンの性質を制御することができる。
しかしながら、2室セルにおいては、膜の耐久性が限られているので、ファウリングを生じないように適切に交換するなどの管理が必要である。
単一室セル及び2室セルの使用についての先の記載が与えられた場合、簡易という立場からは、単一室セルの使用が好ましい。しかしながら、隔膜の適切な管理とプロセス管理が可能ならば、より好ましい形態は2室セルである。
本発明における電解酸化は、バッチ方式、再循環方式、連続方式のいずれの方式を用いても良いが、廃液処理の規模や処理の程度を鑑みると、再循環方式が最も良好である。
好ましい電極間間隙は、0.1mm〜50mmの範囲内であり、最も好ましい状態は電極間間隙が0.5mm〜20mmの範囲内にある。
本発明における医療廃液の電解酸化は、電流密度が1mA/cm2〜10A/cm2、流速/セル体積比が0.001〜1000であり、電極表面積が顕微鏡により測定した幾何学的電極表面と等しいか、又はそれより大きく、とくに幾何学的電極表面の1〜5倍の表面積であることが好ましい。しかしながら、さらに好ましい状態は、電流密度が20mA/cm2〜2A/cm2 の範囲であり、流速/セル体積比が0.01〜50であり、本発明の最良形態は、電流密度が50mA/cm2 〜800mA/cm2 であり、流速/セル体積比が1〜20の範囲であり、電極表面積が、顕微鏡で測定した幾何学的電極面積の少なくとも2倍の場合である。
本発明の医療廃液の電解酸化時における温度は、0℃〜90℃に保たれていることが好ましく、10〜50℃に保たれていることがより好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
[実施例1]
実施例1では、次亜塩素酸イオンの発生量の比較を行う。
試料溶液には、1.0質量%NaCl水溶液を使用した。
<電解処理装置>
電解槽として三井物産プラント(株)より購入した陽極に導電性ダイヤモンド電極を装備した「ダイアセル」(商品名)を使用した。電極面積は、陰陽両極ともに70cm2であり、電極間距離は10mm、電解槽容積は70ccである。
また、「ダイアセル」の陽極ダイヤモンド電極を同一面積の、二酸化鉛電極、白金メッキチタン電極、及びステンレス電極の各電極に交換して、電解反応を行った。陰極にはステンレス電極を用いた。陰極と陽極を対向させ、電流密度を0.05A/cm2とし、容積1Lの廃液タンクと電解槽の内部の被電解液をポンプで2L/minで循環させた。
電解液に、1%NaCl水溶液を用い、電解時間30分における被電解液試料の残留塩素濃度を求めた。測定は、o−トリジン比色法(工業排水試験方法、JIS K0102の33.1項)によった。下記の表における残留塩素濃度は、ClO-イオン基準で示してある。
<結果>
陽極 次亜塩素酸濃度 pH
導電性ダイヤモンド 2300 mg/L 4.5
二酸化鉛 1600 mg/L 5.2
白金メッキチタン 700 mg/L 6.5
ステンレス 200 mg/L 6.8
導電性ダイヤモンドを用いると次亜塩素酸イオンの発生効率が極めて優れていることが示された。
[実施例2]
実施例2では、医療廃液1LにNaClを10g/Lになるように添加し、上記実施例1で用いた電解槽と廃液タンクを使用し、陽極及び陰極も実施例1と同じ組み合わせで電流密度を0.05A/cm2とし、電解槽と廃液タンクとの間を、被電解液をポンプで2L/minで循環させて電解を行なった。
電解時間6時間における各試料の水質環境特性値を求めた。測定は、工業排水試験方法(JIS K0102)記載の方法によった。
Figure 2005087934
表1より、導電性ダイヤモンド電極を用いた本発明例では、浮遊物質量、COD,全窒素量及び一般細菌数のいずれも顕著に減少しており、排水基準の充足に関する限りでは、そのまま下水放流可能となった。それに対して他の電極を使用した比較例は、いずれも排水基準を満たすほどの低減効果が得られないか(白金チタン電極とステンレス電極)、電極材料の溶出が生じた(二酸化鉛電極)。
本発明の医療廃液処理方法の典型的態様を示す工程概念図である。
符号の説明
1.加熱処理槽
2.医療廃液貯留槽
3.送気ダクト
4.凝集器
5.送液管
6.送液管
7.医療廃液調整槽
8.塩素イオン源貯槽
9.配管
10.塩素イオンを含有した医療廃液
11.陰極
12.導電性ダイヤモンド陽極
13.電源
14.電解槽
15.循環パイプ
16.処理済み廃液管
17.汎用2次処理施設

Claims (4)

  1. 医療廃液に塩素イオンを含有させて、導電性ダイヤモンド電極を陽極として電解処理を施すことを特徴とする医療廃液の処理方法。
  2. 電解中の一定期間をpH4以下に保持して電解することを特徴とする請求項1に記載の医療廃液の処理方法。
  3. 医療廃液が固形医療廃棄物及び含水医療廃棄物から脱水して得られる廃液及び/又は該廃棄物を加熱し、その蒸気を凝縮した凝縮水を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療廃液処理方法。
  4. 電解処理を施した廃水にオンサイトで、必要によって濃縮減容したのち、焼却処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療廃液処理方法。


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