以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
A.遠隔会議システムの構成
図1には、本発明の一実施形態に係る遠隔会議システム1の構成を模式的に示している。同図に示すように、遠隔会議システム1は、2つの拠点システム10及び20が、共有ワークスペース・サーバ30によって相互接続された構成となっている。同図に示す例では、共有ワークスペース・サーバ30は、図面の簡素化のため、2つの拠点(すなわち会議システム)を接続するように描かれているが、1対1接続に限定されるものではなく、3地点以上の拠点を相互接続することができるものであると理解されたい。
共有ワークスペース・サーバ30は、システム間を電話回線などの回線交換系の通信路を用いてスター型結合の中心として位置付けられる多地点接続装置とは異なる。後述するように、共有ワークスペース・サーバ30は、会議システム間の接続を管理するセッション、会議中に使用したり会議の記録として生成されたりするファイル、会議に関連するリソースへのリファレンス情報、会議の参加者によって行なわれるファイルなどへのアクセスの履歴情報を管理するように構成されている。
拠点システム10及び20は、それぞれ独立して動作する会議システムに相当し、各拠点毎に会議が運営されている。これら拠点システムは従来のテレビ会議システムをベースにして構成することができる。例えば、映像・音声サーバ11及び21が装備され、カメラ、マイクロフォン、モニタ、スピーカなどの画像や音声の入出力を行ない、画像及び音声の符号化及び復号化して他の拠点システムとの間で送受信して、参加者の動作・振る舞いなどを各拠点で共有する。
また、双方に電子黒板12及び22を用意して、それぞれの拠点において書き込みを行なったりする。また、各拠点システム間でアプリケーションを共有して操作したりする。本実施形態では、電子黒板12及び22上に、共有ワークスペースによって提供されるグラフィカルなユーザ・インターフェース(GUI)が提示され、会議の参加者はこれを操作することによって、マルチメディア通信会議システムへの接続を行なったり、会議に関連するファイルなどの情報にアクセスしたりすることができる(後述)。
各拠点における会議の参加者が、本遠隔会議システム1のユーザとなる。会議の参加者は、共有ワークスペースによって提供されるグラフィカルなユーザ・インターフェースを操作することによって、個々のマルチメディア通信会議システムの呼び出しアドレスを意識することなくマルチメディア通信会議システムの接続を行ない、会議に関連するファイルなどの情報に会議システムから容易にアクセスすることができる。
また、各拠点システム10及び20には、会議の参加者を認証するための認証装置が装備されている。本実施形態では、各参加者は、個人認証媒体としてのICカードを携行しており、拠点システム10及び20は、ICカードにアクセスするカード読取装置13及び23を装備して、認証処理や権限の確認などを行なうことができる。
図1に示すような共有ワークスペース型の遠隔会議システム1においては、以下の事柄を実現して、遠隔地間の協働作業を支援することができる。
(1)協業の相手とすぐに接続する。
(2)協業に必要なドキュメントをすぐに取り出す。
(3)協業の結果をすぐに次の工程につなげる。
本実施形態に係る遠隔会議システム1では、各拠点に対して協働作業に必要なモダリティとモダリティのコンビネーションを提供する。例えば、音声、プレゼンテーション資料などのファイル、電子黒板、顔の映像の配信と遠隔協働編集をパッケージ化して利用を可能にする。
また、遠隔会議システム1では、協働作業に関連するドキュメントの提示や協働作業に参加するメンバーへの自動接続を行なうことにより、協働作業を行なう空間を個々のグループワーク(拠点)へ個別適応させる。
また、遠隔会議システム1では、リアルタイム協業と非リアルタイム協業の連携を行なう。すなわち、リアルタイム協業を記録(例えば、電子黒板や使用したプレゼンテーション資料を保存)して非リアルタイム協業に連携させたり、ドキュメントをリアルタイム協業に関連付けて非リアルタイム協業を連携させたりする。
本実施形態に係る共有ワークスペース型の遠隔会議システム1の概略的な動作手順を以下に示しておく。
(1)ユーザは、会議システムを利用するときに、共有ワークスペースを選択する(ワークスペースへのログイン又は認識付きアクセス)。
例えば、共有ワークスペースに1対1に対応したICカードを使ってシステムにIDを入力する。あるいは、個人でログインしてワークスペースをGUI操作により選択する。
(2)共有ワークスペースをオープンすることで、現在誰がワークスペースを共有しているか、誰が会議システムで通信中であるかを認識する。
(3)共有ワークスペース内で「会議」を選択すると、その拠点から遠隔会議に参加することができる(全体会議と個人を特定した会議など複数の会議が共有ワークスペースで開かれていてもよい)。
(4)共有ワークスペースにはドキュメントも置くことができ、会議中に文書を参照したり会議の電子黒板上のイメージを保存したりする。
(5)共有ワークスペースは階層化されており、相互のリンクはハイパーリンクによって行なわれる。
(6)共有ワークスペースに参加しつつサブ・ワークスペースを参照することができる。
(7)サブ・ワークスペースを操作して共有ワークスペースに情報を開示する(個人ワークスペースからのドラッグ・アンド・ドロップ)。
ユーザは、自分の所在する拠点システム10に対し、ICカードをかざすことによって所定の認証処理を経てシステムにログインすることができる。ログイン後、拠点システム10では当該ユーザに関連する(権限のある)ワークスペースの一覧が提示される。ここで言うワークスペースは、1つの会議に相当するまた、同じ拠点システム10に対し、続けて他のユーザがICカードをかざしてログインを要求すると、同様の認証処理を経てログインが許可されると、先にログインしているユーザと共通するワークスペースの一覧が提示される。ここで、特定のワークスペースが選択されると、このワークスペースに紐付けされている共有ドキュメント(ファイル)の一覧が提示される。一方、遠隔の拠点システムにおいて同じワークスペースが選択されると、これら拠点システム間でワークスペースのコネクションが確立し、ローカル拠点システムと同様の動作が行なわれる。そして、ワークスペース内での共有ドキュメントに対するファイル・オープン、編集などの操作の履歴が保持され、検索キーとして後に利用される。ワークスペース内での活動にローカル又はリモートの区別はない。
図2には、拠点システム10における会議(テレビ会議など)を運営するための拠点サーバ100の機能構成を模式的に示している。なお、図示しないが、他の拠点システム20における拠点サーバ200も同様の構成であると理解されたい。
拠点サーバ100は、拠点において認証のステップの一部を実行する認証モジュールと、拠点に設置された電子黒板や映像・音声サーバなどの拠点システムを構成するサブシステムのネットワーク・アドレスなどを管理するサブシステム管理モジュール及びこれらを管理する拠点サーバ・マネージャを備えている。
拠点サーバ100は、接続されたカード読取装置13を用いて、会議の参加者が持つICカードから読み出される認証情報や権限情報に基づいて、共有ワークスペース・サーバ30と通信を行ない、ワークスペースの利用を実現する。
各ワークスペースでは、拠点すなわち会議システム間の接続を管理するセッション、会議中に使用したり会議の記録として生成されたりするファイル、会議に関連するリソースへのリファレンス情報、会議の参加者によって行なわれるファイルやリソースなどへのアクセスの履歴情報が管理される。
拠点システム10内ではグラフィカルなユーザ・インターフェースが提供されており、会議の参加者はユーザ・インターフェースを用いてワークスペースに設けられた同一のセッションを指定することで、協業の予備設定と情報の共有を行なうことができる。また、会議に関連するリソースは、例えば当該拠点システム10内に存在していてもよいし、拠点内の他の保管場所、又は拠点外のサーバに保管されていてもよく、例えばURL(Uniform Resource Locator:資源識別子)形式で記述される。また、アクセス履歴は、アクセスが発生した場所、アクセスしたユーザ(人)、アクセスした時刻などの情報で構成される。
ワークスペース内のそれぞれのセッション、ファイル、リファレンス情報、アクセス履歴情報にはアクセス制御リスト(ACL)が割り当てられている。したがって、ワークスペース・マネージャ31は、ワークスペース単位で利用を管理又は制限することができる他、ワークスペース内のセッション単位、ファイル単位、リファレンス情報単位、あるいはアクセス履歴情報単位という、細かい粒度でアクセス制御を行なうことができる。
拠点サーバ100は、例えば、ネットワーク接続されるパーソナル・コンピュータ(PC)やワークステーション(WS)などの一般的な計算機システム上で所定のサーバ・アプリケーションを起動するという形態で実現される。
図42には、拠点システム10の実装例を示している。図示の拠点システム10は、会議参加者などのユーザが情報端末のユーザ・インターフェース(図示しない)経由でアクセスするためのWebインターフェース1001と、個人データを管理するディレクトリ・サービス1002と、ユーザのログインや共有ドキュメント配布時などの認証処理を行なうICカード認証部1003と、当該拠点内での共有ドキュメントを保管するドキュメント・アーカイブ1004と、共有ドキュメントに対するアクセス履歴やログイン中のユーザが拠点内で行なったその他の行動履歴をメタデータとして取得し管理するメタデータ・マネージャ1005と、プレゼンテーション・コントローラ1006で構成される。
Webインターフェース1001は、会議参加者などのユーザが情報端末のユーザ・インターフェース(図示しない)経由でアクセスするためのエントリを提供する。
ディレクトリ・サービス1002は、当該拠点内におけるユーザ(会議参加者)についての個人データを管理する。
ICカード認証部1003は、ICカードによる超近距離通信技術と耐タンパ性の認証技術(周知)を利用して、ユーザのログインや共有ドキュメント配布時などの認証処理を行なう。
ドキュメント・アーカイブ1004は、会議で使用するプレゼンテーションファイルなど、当該拠点内での共有ドキュメントを保管する。
メタデータ・マネージャ1005は、共有ドキュメントに対するアクセス履歴やログイン中のユーザが拠点内で行なったその他の行動履歴、さらには共有ドキュメントの配布(持ち帰り)などの情報を、ワークスペースのバックグラウンドで取得し、メタデータとして管理する。
プレゼンテーション・コントローラ1006は、会議などのワークスペース上において、ユーザ(すなわち会議参加者)同士でコラボレーションを実現するためのインターフェースを提供する。プレゼンテーション・コントローラ1006の構成方法はさまざまである。例えば、ディスプレイとキーボードやマウス、タブレットなどの一般的なコンピュータのユーザ・インターフェースをそのまま会議室に設置してもよい。あるいは、プロジェクタによる壁への投影画面と、この投影画面に対するユーザ操作を捕捉するカメラ、ホワイトボードの組み合わせでユーザ・インターフェースを構成する。また、壁面に、共有ドキュメントの印刷、表示、一覧表示などのアプリケーション操作用ボタンを配設する(図43を参照のこと)。勿論、会議室内にユーザの無意識のうちにユーザ・コマンドを検出するプローブを配設するようにしてもよい。
プレゼンテーション・コントローラ1006の構成次第で、情報へのアクセスに際し、PCやPDAなどのコンピュータの機器を所持するかは特に問われなくなる。図44には、本発明の一実施形態に係る会議室の概観を示している。図示の作業空間では、会議室と渾然一体となってコンピュータが導入され、情報の収集・管理、情報解析やその他の演算処理、情報表示、情報配布といった計算機能力が、ユーザの無意識のうちに提供されている。すなわち、コンピュータ・ファイルなどの形式化された情報はもとより、個々の暗黙的な知識までもすなわち、作業空間のフレキシビリティが高まり、オフィス、企業、国籍といった枠組みを超えたコラボレーションが実現し、ビジネスの可能性が拡大する。
図1を参照しながら既に説明したように、拠点システム10及び20間は、共有ワークスペース・サーバ30によって相互接続されている。図3には、共有ワークスペース・サーバ30の機能構成を模式的に示している。
共有ワークスペース・サーバ30は、協業の単位となるタスクを管理したり利用したりするためのオフジェクトであるワークスペースを各拠点間において共有するために配設される。
ワークスペース・マネージャ31は、当該遠隔会議システム1内の各拠点において生成されたワークスペースの管理を行なう。
ワークスペース毎にアクセス制御リスト(ACL)が設けられており、ワークスペース・マネージャ31は、会議の参加者が持つICカードから読み出される認証情報や権限情報に基づいて、複数の拠点にまたがるワークスペースの利用を管理又は制限する。
各ワークスペースでは、拠点すなわち会議システム間の接続を管理するセッション、会議中に使用したり会議の記録として生成されたりするファイル、会議に関連するリソースへのリファレンス情報、会議の参加者によって行なわれるファイルやリソースなどへのアクセスの履歴情報が管理される。
ワークスペース内のそれぞれのセッション、ファイル、リファレンス情報、アクセス履歴情報にはアクセス制御リスト(ACL)が割り当てられている。したがって、ワークスペース・マネージャ31は、ワークスペース単位で利用を管理又は制限することができる他、ワークスペース内のセッション単位、ファイル単位、リファレンス情報単位、あるいはアクセス履歴情報単位という、細かい粒度で拠点をまたいだアクセス制御を行なうことができる。
共有ワークスペース・サーバ30は、例えば、ネットワーク接続されるパーソナル・コンピュータ(PC)やワークステーション(WS)などの一般的な計算機システム上で所定のサーバ・アプリケーションを起動するという形態で実現される。
B.遠隔会議システム上での動作
前項Aでは本実施形態に係る遠隔会議システムの構成について説明したので、本項では、遠隔会議システム上での動作例について詳解する。
B−1.動作例1
(1)ユーザは、拠点システム10内で用意されているカード読取装置にICカードをかざして、拠点サーバ100に接続し、認証を行なう。
(2)ICカードには、ユーザが使用する共有ワークスペース・サーバ30へのリファレンスが保持されている。拠点サーバ11は、このリファレンスを基に、共有ワークスペース・サーバ30への接続を行なう。あるいは、ICカードにはユーザ名のみを保持しておき、グローバルなディレクトリ・サーバ(図示しない)を設置して、ディレクトリ・サーバで各ユーザに関する情報の管理を行なう。ディレクトリ・サーバにおいてユーザに対応するユーザ共有ワークスペース・サーバのリファレンスを保持してもよい。
(3)拠点サーバ100は、共有ワークスペース・サーバ30に対してICカードを用いて認証を行ない、ログインする。認証の方式として、ICカードに記録されている情報を読み出して共有ワークスペース・サーバ30に対する認証を行なってもよいし、共有ワークスペース・サーバ30に対して行なう公開鍵暗号系に基づく認証プロトコルのメッセージの一部分をICカードが計算するようにしてもよい。
(4)共有ワークスペース・サーバ30は、認証されたユーザ情報に基づき、所期の共有ワークスペースをレスポンスとして返す。共有ワークスペース・サーバ30は、指定された共有ワークスペースの情報を基に、共有ワークスペースのGUIを構成するために必要な情報を抽出し、拠点システム10に転送する。このとき、共有ワークスペース・サーバ30は、ユーザ情報の他に、ユーザにとって適した初期の共有ワークスペースを選択するために、以下に示す情報の一部あるいはすべてを利用して優先順位付けを行なってもよい。
●拠点サーバ100のネットワーク・アドレスやホスト名などのネットワーク情報
●拠点サーバ100がどこに設置されているかという位置情報
●拠点サーバ100から受信した共有ワークスペース名、ファイル名、URLなどの情報
●ユーザのスケジュール情報と現在時刻
●どのユーザと一緒にいるか
●過去にどのような共有ワークスペースを利用したか
図4には、複数の共有ワークスペースがハイパーリンクにより結合されている様子を模式的に示している。
共有ワークスペース・サーバ30は、初期の共有ワークスペースを選択する際にこれらすべての共有ワークスペースに対して優先順位付けを行なってもよいし、ユーザがブックマークなどであらかじめ指定した共有ワークスペースの部分集合に対してのみ優先順位付けを行なうようにしてもよい。
また、複数の共有ワークスペースを提示してそのうちの1つをユーザに選択させる場合に、以下に示すいずれかの方式あるいはその一部又はすべてを使ってもよい。
●通常のハイパーテキストにおけるナビゲーションのスタイルを用いる
●メニューを用いる
●共有ワークスペースによって構成されるグラフ構造の一部又は全部を表示する
(5)ユーザは、共有ワークスペース・サーバ30が提供する複数のワークスペースによって構成されるグラフ構造に沿って、必要に応じてノードを選択することにより移動し、所望の共有ワークスペースを選択する。このとき、複数のワークスペースの表示する際に、前述したような優先順位付けに応じて、色、大きさ、形、位置あるいはその組み合わせを変えることにより、ユーザが選択する際の手助けをしてもよい。また、デフォルトの共有ワークスペースがユーザの所望する共有ワークスペースである場合は、この選択ステップを省略しても良い。
(6)拠点システム10の電子黒板12に、共有ワークスペース1のGUIが表示される。
(7)ここで、拠点システム10のユーザ1は、表示された共有ワークスペース内にある複数のセッションのうちセッション1を選択する。勿論、共有ワークスペース内に存在するセッションは1つでも良い。このステップにより、拠点システム10に関する情報がセッション1に登録される。
(8)上記と同様の操作を、拠点システム2のユーザ2が行なう。このステップにより、拠点システム20に関する情報がセッション1に登録される。
(9)共有ワークスペース・サーバ30は、同一のセッションを指定する拠点システムが追加されたことを検知すると、登録されているすべての拠点システムに対して他の拠点システムと接続するように、リクエストを発行する。この結果、協業の相手とすぐに接続することができる。この場合、複数の拠点システム間の接続形態は以下のいずれを用いてもよい。
●ハブ型
●完全グラフ型
●スパニング・ツリー型
(10)ユーザ2がユーザ1と同じセッション1を選択したことにより、それぞれの拠点システム10及び20における電子黒板12及び22の画面共有が開始される。ユーザ1及びユーザ2は、それぞれ電子黒板12及び22を介して、プレゼンテーション資料など会議に必要なファイルにアクセスすることができる。すなわち、協業に必要なドキュメントをすぐに取り出すことができる。
(11)画面共有は、アプリケーションに対する入出力をフックすることにより行なわれる。
(12)画面共有を行なう場合に、複数のサイトからの入力要求に対して、どのサイトからの入力かによって文字や線の色を変える機構を備えても良い。
(13)画面共有により駆動されたアプリケーションが生成するファイルやリソースのリファレンスの履歴は、共有ワークスペース1に保存される(図3を参照のこと)。
上述したように、ユーザは、ユーザIDやその他の認証情報を格納したICカードを会議室に雪駄されたICカード認識装置1003に接続することで、システムにログインすることができる。
ユーザがログインしてきたとき、プレゼンテーション・コントローラ1006は、ICカード経由で提示されたユーザID情報をユーザの属性が格納されたディレクトリ・サービス1002に送信し、ユーザの情報群を保持するオブジェクトのロケーション情報(サーバのIDと情報群オブジェクトのIDの組)を取得する。
また、メタデータ・マネージャ1005は、プレゼンテーション・コントローラ1006から送信される端末情報を用いて、端末ID、ユーザID、利用開始時刻を対応付けて記録する。
そして、プレゼンテーション・コントローラ1006は、サーバIDを基にネットワーク経由でサーバに対してリクエストを送信し、ユーザと対応付けられた情報群(ハイパーテキスト)を要求する。そして、返信された情報群のハイパーテキストを基に、情報群の表示を行なう。
ユーザは、情報群からファイルを選択することで、対応するアプリケーションを起動し、画面表示を行なう。
本実施形態に係る遠隔会議システムでは、電子黒板を介したファイルの生成や参照、リソースへのリファレンスなど、セッション内でのユーザのアクティビティの履歴を登録しておくことにより、後に履歴を参照して、協業の結果をすぐに次の工程につなげることができる。すなわち、リアルタイム協業と非リアルタイム協業の連携を行なうことができる。
ファイルやリソースへのリファレンスの履歴の登録過程並びに参照過程を以下に説明しておく。
履歴をRecently Usedに登録する過程:
●ネットワーク上で複数のワークスペースを提供するコンピュータがある。
●各ユーザは、電子黒板又はその他のクライアント端末上で(複数の)ワークスペースを選択する。
●各ユーザは、ファイルのオープンやWeb(又はその他の広域情報検索システム)上での情報検索・閲覧を行なう。
●オープンしたファイルや情報閲覧したWebページに関するリファレンス(URL)を、ユーザのクライアント端末に記憶する。
●ユーザのクライアント端末上に記憶されたリファレンスのうち、ワークスペースに登録すべきものを選択する。
●選択されたリファレンスをすべてのワークスペース(又は選択されたワークスペース)に転送する。ワークスペースは受信したリファレンスを登録する。
Recently Usedを参照する過程:
●各ユーザは、電子黒板又はクライアント端末上で(複数の)ワークスペースを選択する。
●各ユーザは、電子黒板又はクライアント端末上で、ワークスペースのヒストリ(履歴)を見る操作を行なう。
●電子黒板又はクライン案と端末の画面上には、「日付順」、「リファレンス・カウント順」、又は「重要度順」などでソートされたワークスペースのリストが提示される。
●このとき、複数のワークスペースの履歴を「個別」、「ユニオン」、又は「インターセクション」の形式で表示する。
●各ユーザは、リスト中からリファレンスを選択することにより、ファイルのオープンやWebの閲覧を行なうことができる。
B−2.動作例2
以下で説明する動作例2では、単一の拠点においてユーザが所持するICカードにより認証を行ない、関連する共有ワークスペースのリスト表示を行ない、ICカードによりログアウトを行なう。
(1)拠点システム10及び拠点システム20では、電子黒板12及び22(あるいはユーザのクライアント端末)上の初期画面として、ICカードを用いたログインを促す画面を表示する(図5を参照のこと)。
(2)拠点システム10にいるユーザは、拠点サーバ100に接続されているカード読取装置13にICカードを接続し、認証を開始する。
(3)ICカードにはユーザが使用する共有ワークスペース・サーバ30へのリファレンスが保持されている。拠点サーバ100は、このリファレンスを基に共有ワークスペース・サーバ30への接続を行なう。あるいは、ICカードにはユーザ名のみを保持しておき、グローバルなディレクトリ・サーバ(図示しない)を設置して、ディレクトリ・サーバで各ユーザに関する情報の管理を行なうようにしてもよい。この場合、ディレクトリ・サーバにおいて、ユーザに対応するユーザ共有ワークスペース・サーバのリファレンスを保持する。
(4)拠点サーバ10は、ICカードによって指定されている共有ワークスペース・サーバ30に対して、ICカードを用いて認証を行ない、ワークスペースへログインする。認証の方式として、カードに記録されている情報を読み出して共有ワークスペース・サーバ30に対する認証を行なっても良いし、共有ワークスペース・サーバ30に対して行なう公開鍵暗号系に基づく認証プロトコルのメッセージの一部分をICカードが計算するようにしても良い。
(5)共有ワークスペース・サーバ30は、ICカードを用いて認証されたユーザ情報に基づいて、当該ユーザと関連する共有ワークスペースの集合を検索する。そして、その検索結果のリストを拠点サーバ10に送信する。
(6)拠点サーバ10は、共有ワークスペース・サーバ30から送信されたワークスペースの集合(画面中ではワークスペースはプロジェクトと表記)を表示する。図6には、共有ワークスペース・サーバ30から送信されたワークスペースの集合をリスト表示した例を示している。同図に示す例では、ユーザの一人である渡辺さんがICカードを用いて認証した結果得られる複数のプロジェクト(ワークスペース)が一覧表示されている。
(7)ユーザは本システムの利用を終了するために、電子黒板又はクライアント端末上で用意されているGUIを用いて終了を指示することができる。あるいは、ICカードを拠点システムに接続して終了を指示することができる。図7には、ICカードを拠点サーバに接続することにより利用の終了を指示する例を示している。
B−3.動作例3
次に、同一の拠点システムに複数のICカードを接続し、複数のユーザに関連する共有ワークスペースを表示し、共有ワークスペース内に保持されたファイル又はファイルへのリファレンスを指定してアプリケーションを起動する場合の動作例について説明する。
(1)拠点システム10及び拠点システム20では、電子黒板12及び22(又はユーザのクライアント端末)上の初期画面として、ICカードを用いたログインを促す画面を表示する(図5を参照のこと)。
(2)ユーザは、拠点システム10の拠点サーバ100にICカード2を接続し、認証を開始する。
(3)ICカード2にはユーザが使用する共有ワークスペース・サーバ30へのリファレンスが保持されており、拠点サーバ10はこのリファレンスを基に共有ワークスペース・サーバ30への接続を行なう。あるいは、ICカード2にはユーザ名のみを保持しておき、グローバルなディレクトリ・サーバ(図示しない)を設置して、ディレクトリ・サーバで各ユーザに関する情報の管理を行なうようにしてもよい。ディレクトリ・サーバにおいてユーザに対応するユーザ共有ワークスペース・サーバのリファレンスを保持する。
(4)拠点サーバ100は、共有ワークスペース・サーバ30に対してICカード2を用いて認証を行ない、ワークスペースにログインする。認証の方式として、カードに記録されている情報を読み出して共有ワークスペース・サーバ30に対する認証を行なっても良いし、共有ワークスペース・サーバ30に対して行なう公開鍵暗号系に基づく認証プロトコルのメッセージの一部分をICカード上で計算するようにしても良い。
(5)共有ワークスペース・サーバ30は、認証されたユーザ情報に基づいて、ユーザと関連する共有ワークスペースの集合を検索し、その検索結果のリストを拠点サーバ10に送信する。
(6)拠点サーバ100は、共有ワークスペース・サーバ30から送信されたワークスペースの集合を、電子黒板12(又はユーザのクライアント端末)上に表示する。図8には、ユーザの一人である堀切さんがICカードを用いて認証した結果得られる複数のプロジェクト(ワークスペース)が一覧表示されている。
(7)また、他のユーザは、拠点システム10の拠点サーバ100にICカード1を接続し、認証を開始する。
(8)ICカード1にはユーザが使用する共有ワークスペース・サーバ30へのリファレンスが保持されており、拠点サーバ100はこのリファレンスを基に共有ワークスペース・サーバ30への接続を行なう。あるいは、ICカード1にはユーザ名のみを保持しておき、グローバルなディレクトリ・サーバを設置して(図示しない)、ディレクトリ・サーバで各ユーザに関する情報の管理を行なうようにしてもよい(同上)。
(9)拠点サーバ100は、共有ワークスペース・サーバ30に対してICカード1を用いて認証を行ないログインする。
(10)共有ワークスペース・サーバ30は、認証されたユーザ情報に基づいて、ユーザと関連する共有ワークスペースの集合を検索し、現在、拠点サーバ100に対して保持している集合との演算を行なう。この演算には和集合、積集合、差集合、補集合とこれらの任意の組み合わせを含んでよい。本実施形態では、積集合による例として、ICカード1によって認証されるユーザが関連する共有ワークスペースの以下の集合
●プロジェクトA
●プロジェクトY
●プロジェクトZ
●プロジェクトB
と、ICカード2によって認証されるユーザが関連する共有ワークスペースの集合、
●プロジェクトX
●プロジェクトY
●プロジェクトZ
●プロジェクトW
の積集合が検索され、ワークスペースの集合の情報が共有ワークスペース・サーバ30から送信される。
●プロジェクトY
●プロジェクトZ
そして、拠点サーバ100は、受信したワークスペースの集合の情報を、電子黒板12又はユーザのクライアント端末上にリスト表示する。図9には、2人のユーザに関連する共有ワークスペースの集合をリスト表示した画面例を示している。同図に示す例では、渡辺さんと堀切さんのそれぞれに関連する共有ワークスペースの積集合によって得られるワークスペースの集合が表示されている。
(11)ユーザが拠点サーバ100によって表示されたリスト中から所望の共有ワークスペースを選択する。これに応答して、拠点サーバ100は、選択された共有ワークスペース1の情報を共有ワークスペース・サーバ30に送信するようメッセージを送る。
(12)共有ワークスペース・サーバ30は、共有ワークスペース1の情報を送信する。ここでは、共有ワークスペースに保持されているファイルのリファレンスのリストを送信する例について説明するが、共有ワークスペースにはファイル又はファイルのリファレンス以外にも、セッションや他の共有ワークスペースのリファレンスなどを保持しても良い(図3を参照のこと)。
(13)拠点サーバ100は、共有ワークスペース・サーバ30から共有ワークスペース1の情報としてファイルのリファレンスのリストを受信すると、このリストを画面表示する。図10には、共有ワークスペース(プロジェクトY)に保持されているファイルへのリファレンスのリスト(K〜N)の画面表示例を示している。
(14)ユーザは、電子黒板12又は自身のクライアント端末上に表示されているファイルのリファレンスのリストを介して、所望のファイルを選択することができる。ここで、ユーザがファイルKを選択したとすると、拠点サーバ100は、ユーザがファイルKを選択したことを示すメッセージを、共有ワークスペース・サーバ30に対して送信する。
(15)共有ワークスペース・サーバ30は、拠点サーバ100から送信されたファイルKに対するリファレンスを含むメッセージを受信すると、ファイルKに関連付けられたアプリケーション・プログラムを起動する。
(16)共有ワークスペース・サーバ30は、起動したアプリケーションが行なう、グラフィックなどの出力を捕捉し、これをメッセージとして拠点サーバ100に送信する。拠点サーバ100は、自身が管理する電子黒板12上でグラフィック出力を行なうことで、拠点システム10におけるアプリケーションの共有を実現する。図11には、拠点において選択されたファイルに関連付けられたアプリケーションが起動され、拠点の電子黒板上にファイルが表示されている例を示している。同図に示す例では、A会議室において選択されたファイルKの画面が表示されている。
(17)ユーザは、電子黒板12(又はクライアント端末)上で、ポインティング・デバイスやキーボードなどのユーザ入力装置(あるいは会議室などの作業空間上で拡張されたユーザ・インターフェース)を用いて画面入力を行なうことができる。ユーザが行なった入力は、入力メッセージとして、拠点サーバ100から共有ワークスペース・サーバ30に送信され、共有ワークスペース・サーバ30で動作するアプリケーションに対する入力として渡される。図12には、ユーザが電子黒板12(又はクライアント端末)上で、ポインティング・デバイスやキーボードなどのユーザ入力装置を用いて画面入力を行なう様子を示している。同図に示す例では、A会議室において、ファイルKの表示画面上でアノテーションが付加されている。
(18)また、ユーザは、電子黒板12(又はクライアント端末)上で、上記のユーザ入力装置を用いて、共有ワークスペース・サーバ30上で動作するアプリケーションに対する終了指示を行なうことができる。この終了指示に応答して、共有ワークスペース・サーバ30で動作するアプリケーションの動作が終了する。図13には、ユーザの指示によりアプリケーションの動作が終了した結果の電子黒板12の表示例を示している。同図に示す例では、A会議室において、ファイルKに関連するアプリケーションの終了指示を行なった結果、共有ワークスペース(プロジェクトY)に保持されているファイルのリファレンスのリストを表示した画面に復帰している。
(19)さらに、ユーザは、本遠隔会議システムの利用を終了するために、電子黒板12(又はクライアント端末)上で用意されているGUIを用いて終了を指示しても良いし、あるいは、ICカードを拠点システムに接続することによって終了を指示するようにしても良い。図14には、ユーザがICカードを拠点サーバ100に接続することにより、当該システムの利用を終了したときの電子黒板12の画面表示例を示している。
なお、上記では、拠点システム10に相当するA会議室から共有ワークスペースを利用する場合について説明してきたが、勿論、他の拠点からでも同様に共有ワークスペースにアクセスすることができる。図15には、拠点システム20に相当するB会議室において、ユーザがICカードを拠点サーバ200に接続して認証処理を経て、関連する共有ワークスペース(プロジェクト)の一覧が電子黒板22に表示されている例を示している。また、図16には、ユーザがB会議室の電子黒板22上でプロジェクトYを選択した結果、当該プロジェクトに含まれるファイルのリファレンスの一覧が表示されている例を示している。また、図17には、ユーザがB会議室の電子黒板22上でファイルKを選択した結果、共有ワークスペース・サーバ30上で関連するアプリケーションが起動して、そのグラフィック出力が電子黒板22上で行なわれている例を示している。また、図18には、ユーザがB会議室の電子黒板22上でアプリケーションの終了を指示した結果、プロジェクトに含まれるファイルのリファレンスのリスト表示に復帰した例を示している。また、図19には、ユーザがB会議室でICカードを接続してワークスペースの利用を終了したときの様子を示している。
B−4.動作例4
次に、拠点システム10と拠点システム20で同一の共有ワークスペースを指定することで、各拠点システムを構成する電子黒板12及び22が接続され、各拠点システムを構成する映像・音声サーバ11及び21が接続されるという動作例について説明する。
この動作例では、各共有ワークスペースにはセッションが1つだけ管理されており、複数の拠点システムが同一の共有ワークスペースを選択することにより、拠点システム間が接続されセッションが開始される。
なお、以下では動作ステップの詳細を説明しないが、同一の共有ワークスペースを選択すると同時に拠点システム間が接続されセッションが開始されるのではなく、同一の共有ワークスペースを選択した上でセッションの開始を指示することにより拠点システム間が接続されセッションを開始する方式を用いても良い。
(1)拠点システム10の拠点サーバ100にICカード1を接続することで、ユーザが関連する共有ワークスペースのリストが、拠点システム10の表示装置(電子黒板12)に表示される(図20を参照のこと)。
(2)ここで、ユーザは、電子黒板12に表示された複数の共有ワークスペースのうち「プロジェクトX」という名前が付けられた共有ワークスペース1を選択するものとする。
(3)拠点システム10は、ユーザによって選択された共有ワークスペース1のリファレンスを、共有ワークスペース・サーバ30に送信する。
(4)共有ワークスペース・サーバ30は、共有ワークスペース1が保持するファイルのリファレンスのリストを拠点サーバ100に送信する。また、共有ワークスペース・サーバ30は、共有ワークスペース1のプロジェクトXを選択した拠点サーバ間での接続を可能とするため、拠点サーバ100のネットワーク・アドレスを保持する。
(5)拠点サーバ100は送信されたファイルのリファレンスのリストを電子黒板12上に表示する(図21を参照のこと)。
(6)また、他のユーザが、B会議室に相当する拠点システム20の拠点サーバ200にICカード2を接続することで、このユーザが関連する共有ワークスペースのリストが拠点システム20の表示装置(電子黒板22)に表示される(図22を参照のこと)。
(7)ここで、B会議室のユーザが、電子黒板22に表示された複数の共有ワークスペースのうち「プロジェクトX」という名前が付けられた共有ワークスペース2を選択する。
(8)この選択操作に応答して、共有ワークスペース・サーバ30は、共有ワークスペース1が保持するファイルのリファレンスのリストを拠点サーバ200に送信する。また、共有ワークスペース・サーバ30は、共有ワークスペース1のプロジェクトXを選択した拠点サーバ間での接続を可能とするため、拠点サーバ200のネットワーク・アドレスを保持する。
(9)上述した手順により、同一の共有ワークスペースを選択した拠点サーバが2つ以上になった。このため、共有ワークスペース・サーバ30は、登録されているすべての拠点サーバに対して、他の拠点サーバと接続するようにリクエストを発行する。より具体的には、拠点サーバ100に対しては拠点サーバ200に接続するリクエストを、拠点サーバ200に対しては拠点サーバ100に対して接続するリクエストをそれぞれ発行する。
(10)拠点サーバ100と拠点サーバ200は、双方を構成するサーバi6において、相互の映像音声サーバを接続するリクエストを発行するとともに、電子黒板12及び22を共有ワークスペース・サーバ30に接続し、アプリケーションに対する入出力の共有を開始する。
(11)本実施形態では、拠点システム100及び拠点システム200はそれぞれ、映像・音声サーバ11及び21を保持している。拠点サーバ100は、映像音声サーバ11に対して、映像音声サーバ21から映像と音声を受信するようリクエストを送信する。同様に、拠点サーバ200は、映像音声サーバ21に対して、映像音声サーバ11から映像と音声を受信するようリクエストを送信する。
(12)映像・音声サーバ11は映像・音声サーバ21からの映像と音声の受信を開始し、映像・音声サーバ21は映像・音声サーバ11からの映像と音声の受信を開始する。図23には、各拠点に電子黒板12及び22において、他方の拠点の映像・音声サーバから受信した映像及び音声データを出力する様子を示している。
(13)ここで、拠点システム10の電子黒板12に提示されているグラフィカルなユーザ・インターフェースを介して、ユーザがファイルPを選択したとする。これに応答して、共有ワークスペース・サーバ30において、ファイルと関連付けられたアプリケーションが起動される。
(14)共有ワークスペース・サーバ30は、アプリケーションが行なう画面表示を、各拠点システム10及び20における電子黒板12及び22に転送する。
(15)電子黒板12及び22はともに、共有ワークスペース・サーバ30から送信された画面表示の情報に基づいて、アプリケーション画面の表示を行なう。図24には、各拠点の電子黒板12及び22において、共有ワークスペース・サーバ30から受信した画面表示の情報を表示出力している様子を示している。
(16)拠点システム100及び拠点システム200のユーザは、それぞれ電子黒板12及び22上でキーボードやポインティング・デバイスなどのユーザ入力装置を用いた入力と映像・音声サーバ11及び22を用いて情報を交換し会議を進める。
図25〜図28には、各拠点のユーザが電子黒板を介した入力や映像・音声サーバを用いたマルチメディア情報の交換を行ない、会議を進める様子を示している。
図25では、各拠点のユーザは、電子黒板に表示出力されるアプリケーションの起動画面とカメラ映像を利用して、同じ会議環境を共有している。
図26では、A会議室のユーザが電子黒板上のアプリケーション画面を介してファイルの特定の内容を指示するとともに、音声でB会議室のユーザに問い合わせている。
図27では、A会議室のユーザがB会議室のユーザからの返答を音声ベースで受け取っている。
図28では、A会議室のユーザが、電子黒板に出力されているアプリケーション画面上で、グラフィカルなユーザ・インターフェースを利用して、ファイルの内容を修正している。この修正内容は、B会議室の拠点サーバ200に通知されて電子黒板22上の画面表示に反映されるとともに、共有ワークスペース・サーバ30において履歴が登録される。
(17)電子黒板12を操作するユーザがアプリケーションの終了を指示すると(図29を参照のこと)、アプリケーションで使用したファイルを共有ワークスペース1又は共有ワークスペース1上のリファレンスが指示するファイルサーバ上に格納する。
(18)拠点サーバ200では、ユーザがICカード2を接続することで、拠点サーバ200からのログアウト及び利用の終了を指示する。また、これにより拠点サーバ200はセッションを終了する(図30を参照のこと)。
(19)拠点サーバ100では、ユーザがICカード1を接続することで拠点サーバ100からのログアウト及びシステムの利用の終了を指示する(図31を参照のこと)。
B−5.動作例5
以下で説明する動作例5では、発表者としてのユーザがプレゼンテーション資料としての共有ドキュメントを会議参加者としての他のユーザに配布する。
本実施形態に係る会議室では、例えば投影スクリーンなどの拡張されたユーザ・インターフェースが用意されている。図45には、このユーザ・インターフェース画面の構成例を示している。図示の画面上には、会議に参加している(ログイン中の)ユーザ毎にアイコンが表示されている。例えば、現在の発表者のアイコンはハイライト表示されている。また、この画面上には、プレゼンテーションで使用している共有ドキュメントを「選択して配布」、「全員に配布」するためのボタンが用意されている。以下では、「選択して配布」が選択された場合の動作手順について説明する。
(1)発表者からの情報の電子配布を希望する参加者は、会議室に設置されているICカード認識部1003に自分のICカードをかざして、ICカード経由で接続することにより、配布を受ける意思を表示する。図46には、テーブル上に設置されたICカード認識部1003の読み取り面に2人のユーザが自分のICカードをかざしている様子を示している。
(2)メタデータ・マネージャ1005には、会議室の参加メンバーを管理するオブジェクトが管理されており、参加者がICカードをかざすことで、会議室のメンバーリストにユーザIDが追加される。
(3)また、各ユーザが所有するファイル・ディレクトリに対して追加を行なう権利が与えられる。
(4)発表者は、資料の配布を指示することで、現在参加者として登録されているユーザを画面上で確認することができる(図45を参照のこと)。
(5)発表者が資料配布の実行を支持することで、登録されているユーザの情報を取得し、ユーザ情報からユーザの情報群を保持するオブジェクトのサーバIDとオブジェクトIDに対してファイルのアップロードが行なわれる。
(6)また、メタデータ・マネージャ1005は、ファイルのID、送信者、受信者のリスト、時刻をデータベースに記録する。
図47には、一人のユーザが複数のファイル表示を行なった場合にファイルの配布処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、ファイルの一覧を取得すると(ステップS101)、配布ファイルの集合を基にファイルの選択表示を行なう(ステップS102)。そして、配布の開始を行なう(ステップS103)。
ここで、会議参加者の集合から参加者リストを取得する(ステップS104)。参加者の集合は、ユーザ登録すなわちICカードをICカード認識部1003の読み取り面にかざすという作業によって(ステップS107)、逐次追加登録されていく(ステップS108)。
そして、参加者リストから配布先を選択し(ステップS105)、ファイルの配布を行なう(ステップS106)。
また、図48には、複数のユーザが複数のファイル表示を行なった場合にファイルの配布処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、ファイルの一覧を取得すると(ステップS111)、配布ファイルの集合を基にファイルの選択表示を行なう(ステップS112)。そして、ファイルの配布を行なうかどうかを決定する(ステップS113)。
ファイルの配布を行なう場合には、ファイルの配布を開始する(ステップS114)。
ここで、会議参加者の集合から参加者リストを取得する(ステップS115)。参加者の集合は、ユーザ登録すなわちICカードをICカード認識部1003の読み取り面にかざすという作業によって(ステップS118)、逐次追加登録されていく(ステップS119)。
そして、参加者リストから配布先を選択し(ステップS116)、ファイルの配布を行なう(ステップS117)。
一方、ファイルの配布を開始しないと決定した場合には(ステップS113)、会議を継続するかどうかをさらに判別する(ステップS120)。会議を継続する場合には、配布ファイルを決定して(ステップS121)、ログアウトする。
図47並びに図48に示すようにファイルの配布処理を行なうことにより、会議の各過程で参照情報として必要となる文書ファイルを格納する機器を各ユーザが所持することなく、会議中に各参加者に対して文書を提示することができる。同様に、文書の開示を受けた参加者も文書ファイルを格納する機器を所持することなく文書を持ち帰ることができる。さらに、文書の受け渡しの事実をサーバが記録することにより、会議の状況やコンテキストをキーとした情報検索を行なうことができる。
C.共有ワークスペース・サーバの動作
本実施形態に係る遠隔会議システム1では、複数の拠点で会議システムが運営されており、共有ワークスペース・サーバがこれら拠点間を相互接続するよう構成されている。
共有ワークスペース・サーバ30は、協業の単位となるタスクを管理したり利用したりするためのオフジェクトであるワークスペースを各拠点間において共有するために配設され、会議システム間の接続を管理するセッション、会議中に使用したり会議の記録として生成されたりするファイル、会議に関連するリソースへのリファレンス情報、会議の参加者によって行なわれるファイルなどへのアクセスの履歴情報を管理する。
そして、会議の参加者は、共有ワークスペースによって提供されるグラフィカルなユーザ・インターフェースを操作することによって、個々のマルチメディア通信会議システムの呼び出しアドレスを意識することなくマルチメディア通信会議システムの接続を行ない、会議に関連するファイルなどの情報に会議システムから容易にアクセスすることができる。
以下では、共有ワークスペース・サーバ30の介在により実現される共有ワークスペース・フローについて説明する。
図32には、共有ワークスペース・フロー全体を概略的に示している。
ワークスペースを開始するとき、まず、ワークスペースの候補が拠点システム内の電子黒板に表示される(ステップS1)。
このワークスペース候補表示を介して、ユーザは、所望のワークスペースを選択する(ステップS2)。
この選択動作に応答して、共有ワークスペース・サーバ30は、ワークスペースをオープンし(ステップS3)、アクティブ・ワークスペースを追加して(ステップS4)、ワークスペースの利用を行なう(ステップS5)。
図33には、ワークスペースの利用を行なうための処理手順をフローチャートの形式で示している。
ユーザによって選択されたワークスペースがオープンされ、これに含まれるファイルやHTTPオブジェクトの参照が電子黒板を介して行なわれる(ステップS11)。
ファイルやオブジェクトの参照が行なわれると、これに付随して、オブジェクトのリファレンスの登録処理が行なわれる(ステップS12)。
会議の進行に伴って、新規ファイルの作成、ファイルの変更、オブジェクト(外部リソースなど)へのリファレンスが行なわれ、このような会議のアクティビティの履歴が逐次保存されていく。後に保存された履歴を参照することにより、協業の結果を次の工程にすぐに活用することができる。
その後、ワークスペースの利用終了が指示されると、ワークスペースの終了処理が行なわれる(ステップS13)。
また、別のワークスペースへの切り替えが指示されると、ワークスペースの切替処理が行なわれる(ステップS14)。
また、別のワークスペースの開始が指示されると、サブ・ワークスペースが開始される(ステップS15)。
図34には、図33に示したフローチャート中のワークスペースの終了処理の手順をより詳細に示している。
まず、未登録履歴の保存処理を行なう(ステップS21)。
次いで、アクティブ・ワークスペースから利用中のワークスペースを削除し(ステップS22)、ワークスペースのクローズ処理を行なう(ステップS23)。
図35には、図33に示したフローチャート中のオブジェクトのリファレンスを登録するための処理手順をより詳細に示している。
まず、アクティブ・ワークスペースの集合から、ワークスペースを1つだけ取り出す(ステップS31)。このとき、ワークスペースが空であれば、本処理ルーチン全体を終了する。
一方、ワークスペースが存在する場合には、リファレンスを追加するかどうかを判別する(ステップS32)。
追加するリファレンスがない場合には、ステップS31に戻り、アクティブ・ワークスペースの集合で次のワークスペースについて処理する。
また、追加するリファレンスがある場合には、ワークスペースに参照先リファレンスを追加してから(ステップS33)、ステップS31に戻り、アクティブ・ワークスペースの集合で次のワークスペースについて処理する。
図36には、図33に示したフローチャート中のステップS15におけるサブ・ワークスペースを開始するための処理手順をより詳細に示している。
まず、ワークスペースの同時利用であるかどうかを判別する(ステップS41)。
排他的利用を行なう場合には、ワークスペースの休止処理を行なってから(ステップS42)、ワークスペースの開始処理を行なう(ステップS43)。
また、同時利用を行なう場合には、そのまま、ワークスペースの開始処理を行なう(ステップS43)。
図37には、図36に示したフローチャート中のステップS42におけるワークスペースの休止処理の手順をより詳細に示している。
この場合、ワークスペースをアクティブ・ワークスペースから休止ワークスペースに変更してから(ステップS51)、当該ワークスペースを休止する。
図38には、図33に示したフローチャート中のステップS14におけるワークスペースを切り換えるための処理手順をより詳細に示している。
まず、元のワークスペースの休止を行なう(ステップS61)。ワークスペースの休止処理は、図37に示した手順に従う。
次いで、電子黒板あるいはその他の表示装置上にワークスペースの候補を表示し(ステップS62)、ユーザが、表示画面上でグラフィカルなユーザ・インターフェースを利用して切替先となるワークスペースを選択する(ステップS63)。
その後、元のワークスペースへ復帰する(ステップS64)。
図39には、図34に示したフローチャート中のステップS21における未登録履歴を保存するための処理手順をより詳細に示している。
まず、未登録履歴からオブジェクトを1つ取り出す(ステップS71)。このとき履歴が空であれば(ステップS72)、本処理ルーチン全体を終了する。
一方、未登録の履歴が存在する場合には(ステップS72)、オブジェクトを追加するかどうかを判別する(ステップS73)。オブジェクトを追加しない場合には、ステップS71に戻り、次の未登録履歴の処理に進む。
オブジェクトを追加する場合には、ワークスペースに参照先リファレンスを追加する(ステップS74)。その後、ステップS71に戻り、次の未登録履歴の処理に進む。
図40には、ワークスペースを参照するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、複数のワークスペースの参照形態を指定する(ステップS81)。
そして、指定された参照形態に応じて、すべてのアクティブ・ワークスペースに共通のオブジェクトを表示するか(ステップS82)、又はすべてのアクティブ・ワークスペースのオブジェクトを表示する(ステップS83)。
図41には、セッションを開始するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、指定されたセッションを既に開始しているクライアントを抽出する(ステップS91)。
そして、既にセッションを開始しているすべてのクライアントに芯くらい円と戸の接続を指示するメッセージを送信する(ステップS92)。
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。