JP2005081503A - 微小立体構造バイオナノツールの製造方法及びその微小立体構造バイオナノツール - Google Patents

微小立体構造バイオナノツールの製造方法及びその微小立体構造バイオナノツール Download PDF

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Abstract

【課題】 インジェクション時の操作容易性を向上させ、しかも細胞への損傷を最小に抑え、細胞の生存率を高めることができる、微小立体構造バイオナノツールの製造方法及びその微小立体構造バイオナノツールを提供する。
【解決手段】微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、電子計算機を利用して設計した微小立体構造物の三次元モデルデータに基づき、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビームによりガラスキャピラリーの先端部の切断加工を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、微小立体構造インジェクター(注入器)やピンセット等の微小立体構造バイオナノツールの製造方法及びその微小立体構造バイオナノツールに係り、特にガラスキャピラリー先端や操作部材に、外形の大きさがμmからnmオーダの微小立体構造物を任意の寸法、形状、表面粗さに成形する、集束イオンビーム(FIB)エッチング及びCVDによる微小立体構造インジェクターやピンセットの製造方法及びそれによって製造される微小立体構造インジェクターやピンセットに関するものである。
一般的に、マイクロインジェクション等を行うための医療、生体実験などで用いられるマイクロインジェクターを作製する場合、従来は、マイクロピペットプーラーによってガラスキャピラリーの先端を引き伸ばすことにより、先端の径を約1μmに加工するようにしている。
かかるマイクロインジェクターを用いたマイクロマニピュレーション装置としては、例えば、下記特許文献1に開示されるようなものがあった。
図19は従来のマイクロマニピュレーション装置の操作例を示す図である。
ここで、従来のマイクロマニピュレーション装置の操作について説明すると、まず、図19(a)に示すように、吸着孔を有する保持ピペット111で細胞112を保持する。次に、図19(b)に示すように、細胞112の透明帯113にマイクロピペット116の先端を押し当てて透明帯113を貫通させる。次に、図19(c)に示すように、マイクロピペット116で卵細胞膜115を貫通させて、その先端を卵細胞質114へ刺し入れて、薬液の注入が行われる。しかし、ここで、透明帯113に厚さがあり、かつマイクロピペット116の先端径が大きいために、マイクロピペット116が透明帯113を貫通する際に卵細胞質114を圧迫する〔図19(b)〕ので、卵細胞質114にダメージを与えることは避けられない。
特開平8−290377号公報
上記したように、従来の製造方法によるマイクロインジェクターでは、細胞等に遺伝子注入等を行う場合、先端径が1μm程度と大きいために、インジェクション時に細胞を傷つけ、細胞の生存率が低い等の問題点があった。
しかしながら、現在、医療、生体実験など幅広い分野で用いられているマイクロインジェクターは、サイズや形状に限界があり、ガラスキャピラリーの先端を熱で引き伸ばすだけの従来の方法では、この問題を改善することは非常に困難である。
本発明は、上記状況に鑑みて、ガラスマイクロインジェクターの先端形状及び先端径を、FIB加工によって任意かつ微細に加工することにより、インジェクション時の操作容易性を向上させ、しかも細胞への損傷を最小に抑え、細胞の生存率を高めることができる、微小立体構造バイオナノツールの製造方法及びその微小立体構造バイオナノツールを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、電子計算機を利用して設計した微小立体構造物の三次元モデルデータに基づき、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビームによりガラスキャピラリーの先端部の切断加工を行うことを特徴とする。
〔2〕微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、電子計算機を利用して設計した微小立体構造物の三次元モデルデータに基づき、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビームCVDによりガラスキャピラリー基体の先端面にこのガラスキャピラリー基体の先端の径より小さい微小ガラスキャピラリー先端部を順次接ぎ足して超微細先端部を生成することを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、前記ガラスキャピラリーが超微細先端部を有するピペットであることを特徴とする。
〔4〕上記〔3〕記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、前記ピペットがバイオ流体を注入する微小立体構造インジェクターであることを特徴とする。
〔5〕微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、電子計算機を利用して設計した微小立体構造物の三次元モデルデータに基づき、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビームによりガラス操作部材をエッチングして、超微細先端部を生成することを特徴とする。
〔6〕上記〔5〕記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、前記微小ガラス操作部材がピンセットであることを特徴とする。
〔7〕上記〔1〕又は〔2〕記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法を用いて製造されるガラスキャピラリーが超微細先端部を有するピペットである微小立体構造バイオナノツール。
〔8〕上記〔7〕記載の微小立体構造バイオナノツールにおいて、前記超微細先端部を有するピペットが微小立体構造インジェクターであることを特徴とする。
〔9〕上記〔5〕記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法を用いて製造される超微細先端部を有する操作部材がピンセットであることを特徴とする。
(1)従来のように、マイクロピペットプーラーによってガラスキャピラリーの先端を引き伸ばすことにより、先端の径を約1μm程度にしたガラスマイクロインジェクターの先端に対して、本発明は、更にFIB加工(FIBCVD又はエッチング)により先端径および先端形状を任意かつ微細に加工することにより、操作が容易で、かつメカニカルストレスを軽減させ、実験効率を向上させることが可能なバイオナノツールを得ることができる。
(2)FIB加工によって先端径及び先端形状を任意かつ微細に加工することにより、細胞への損傷を最小に抑え、細胞の生存率を高めることができる。
(3)FIB加工によって先端形状を任意かつ微細に加工することにより、微小立体構造バイオナノツールとしてのピンセットを容易に作製することができる。
本発明によれば、FIBによる三次元構造造形技術を用いて、従来のインジェクターの先端上に新たな超微細先端部を作製したり、ナノスケールの加工を施すことにより、用途等に合わせた任意のサイズ、形状の先端を有するバイオナノインジェクター(注入器)、吸引器やピンセットなどの微小立体構造バイオナノツールを容易に作製することができる。
用途等に合わせて先端のサイズ・形状を選べることによる利点としては、(1)細胞内の細胞小器官等へ、直接、バイオ流体(溶液)などを正確かつ容易に注入できる、(2)吸引器として用いた場合、細胞から細胞小器官を選択的に取り出すことができる、(3)インジェクターの先端の形状を細胞小器官等の持つ固有の形状、性質に合わせることにより、実験の際にその細胞小器官等へかかるメカニカルストレスを軽減させたり、実験効率を向上させたりすることができる、(4)FIB−CVDにおいてタングステンガスを用いれば、電極を容易に作製できるので、細胞、細胞小器官そして膜に存在するイオンチャンネル等のきわめて部分的な電位を測定できるという利点がある。
なお、本発明の実施例においては、加速電圧30kVでガリウムイオンをイオン源とする集束イオンビーム装置(SMI9200:Seiko Instrument Inc製)を用いて、場合によっては、外部波形発生装置により、ガリウムイオンビームをコントロールすることにより、CVD及びエッチングを行い、ガラスキャピラリーの先端部の作製、加工を行った。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1を示すガラスキャピラリー先端部の加工システムの構成図である。
この図において、1はガラスキャピラリー、2はガラスキャピラリー先端部、3はGa+ FIB照射源、4はGa+ FIB(集束イオンビーム)、5は制御装置であり、この制御装置5は、CPU(中央処理装置)6、微小立体構造物を作製するための微小立体構造物の三次元モデルデータメモリ7、入出力インターフェース8、表示装置9、データ入力装置10とを備えている。また、11はガラスキャピラリー1を固定するためのテーブル、12はテーブル11上に設けられるガラスキャピラリー1の保持具である。
図2はガラスキャピラリー先端部をガラスキャピラリーに対して直角方向から輪切りに加工する例を示す要部構成図、図3はその加工結果であるガラスキャピラリー先端部を示すSIM(Scanning Ion Microscope)画像である。
まず、ガラスキャピラリー1は、芯入りのものを使用し、従来のようにマイクロピペットプーラーによりガラスキャピラリー1の先端を引き伸ばす。その引き伸ばされたガラスキャピラリー1の先端部2に、図2に示すように、Ga+ FIB照射源3からGa+ FIB4を照射して、図3に示すように、その先端2の径を、微細先端形状に加工することができる。
このように、水平に保持したガラスキャピラリー1の先端部2を、ガラスキャピラリー1に対して垂直方向にエッチングすれば、図3に示すような、先端部2の表面が非常に平坦なインジェクターを得ることができる。なお、図4は加工前のガラスキャピラリー先端部を示すSIM画像であり、そのガラスキャピラリー先端部の表面が荒れていることがわかる。
この実施例の加工に要した時間は、約120pAの電流量のビームで30秒である。加工後の先端面の形状(図3)は加工前(図4)に比べると明確にきれいなものとなっていることがわかる。
図5はガラスキャピラリー先端部を斜め方向から加工する例を示す要部構成図、図6はその加工結果によるガラスキャピラリー先端部を示すSIM画像である。
図5に示すように、Ga+ FIB照射源23からGa+ FIB24をガラスキャピラリー21の先端部22に対して斜め方向から当てることにより、先端部22を任意の傾斜θをつけてエッチングすることもできる。その加工例を図6に示す。それぞれの先端の傾斜θ(ガラスキャピラリー21に対してGa+ FIB24のなす角)は図6(a)が15°、図6(b)が30°、図6(c)が45°となっている。
それぞれの加工に要した時間は約130pAの電流量のビームで、図6(a)が8分、図6(b)が5分、図6(c)が3分である。これらの場合も、図3に示したガラスキャピラリー1の先端部を垂直にエッチングしたときと同様、非常にきれいな表面を有する先端面をもつバイオナノインジェクター22A,22B,22Cに加工することができた。
このようにして、FIBエッチングによりガラスキャピラリー先端部の傾斜を15°に加工した、バイオナノインジェクター22Aを用いて、実際にカタユウレイボヤ(Ciona Intestinalis)の受精卵の卵母細胞にインジェクションを行った。
図7はそのインジェクションの様子を示す光学顕微鏡写真である。この時インジェクションにより注入した溶液は、色素、モルフォリノ(特定の遺伝子の働きをなくす化合物)に水を混合したバイオ流体である。この一連の実験により、FIBエッチングにより加工したバイオナノインジェクター22Aが従来のインジェクターに比べて先端形状が微小で槍状になっているため、細胞操作におけるインジェクションにおいて操作性に優れ、かつ細胞への損傷が少ないことが確認され、実用性の高いものであることが実証できた。
図8は本発明の実施例2を示すFIB−CVDによるインジェクターの超微細先端部の作製システムを示す模式図、図9はかかるFIB−CVDによるインジェクターの超微細先端部の製造工程図である。
図8に示すように、ここでは、電子計算機を利用して設計した微小立体構造物の三次元モデルデータをガラスキャピラリーの先端の径方向と高さ方向に分割して、その断面形状を算出して得られた積層構造の離散的な描画データに基づいて、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビームを制御する。そのために、制御装置41は、CPU(中央処理装置)42、微小立体構造物を作製するための微小立体構造物の三次元モデルデータメモリ43、データ入力装置44、入出力インターフェース45、表示装置46とを備えている。
また、これらの図において、31はガラスキャピラリー基体、32はそのガラスキャピラリー基体31の先端面、33はその先端面32に形成される超微細先端部、33−1はガラスキャピラリー基体31の先端面32に接ぎ足される第1層の堆積物、33−2は第2層の堆積物であり、順次堆積させ、予定の層数まで堆積する。34はGa+ FIB照射源、35はその照射装置34から照射されるGa+ FIB、36はガスノズルであり、このガスノズル36からCVDのソースガスとしてフェナントレン(C1410)ガス37が噴射される。
そこで、まず、実施例1(図2)で示した先端面の加工により形成された、きれいな表面を有する直径約1μmのガラスキャピラリー基体31を用意し、そのガラスキャピラリー基体31の先端面32に、その径が次第に小さくなるようにFIB−CVDによる堆積により先端部を順次接ぎ足し、超微細先端部33を生成する。
すなわち、ガスノズル36からCVDのソースガスとしてフェナントレン(C1410)ガス37を噴射する。フェナントレンガス37は約85℃に加熱してガス圧1.0×10-4Paで噴射し、そのガス雰囲気中でビーム照射電流約7pA程度のGa+ FIB35を照射することでCVDによる堆積を行う。
つまり、Ga+ FIB35によるCVDは、フェナントレンガス37雰囲気中でガラスキャピラリー基体の先端面32にGa+ FIB35を照射することにより、その先端面32に吸着しているフェナントレン分子をビーム励起表面反応により分解し、カーボンを析出させ堆積させることでダイヤモンドライクカーボン(DLC)を成長させていくものであり、Ga+ FIB35を任意方向にスキャンさせることにより、微小立体構造ガラスキャピラリー先端部を順次接ぎ足し、超微細先端部を生成する。
以下、図9を用いてその工程を詳細に説明する。
(1)まず、図9(a)に示すように、ガラスキャピラリー基体31の加工を行った。ガラスキャピラリー基体31は、芯入りのものを使用し、マイクロピペットプーラーによって先端を引き伸ばし、その先端面を実施例1(図2)に示した方法で加工して、きれいな表面を有する直径約1μmのガラスキャピラリー基体31を作製した。
(2)次に、図9(b)に示すように、ガラスキャピラリー基体31の先端面32にFIB−CVDにより、ガラスキャピラリー基体31の先端の径より小さい第1層の堆積物33−1を接ぎ足す。
(3)次に、図9(c)に示すように、その第1層の堆積物33−1上に、更に径の小さい第2層の堆積物33−2を接ぎ足す。
(4)このようにして、順次堆積物を接ぎ足して、図9(d)に示すように、予定層まで堆積物を接ぎ足した後に熱処理を行ない、超微細先端部33を生成する。
図10に本実施例によるガラスキャピラリーの超微細先端部のSIM画像を示す。作製に要した時間は電流量約6〜8pAのビームで600秒である。
図10(a)は、マイクロピペットプーラーによりガラスキャピラリー31を引き伸ばした後、FIBエッチングによりガラスキャピラリー31に対して垂直方向からカットした先端部のSIM画像である。この加工はCVDを行う前にその土台となるガラスキャピラリー31の先端面32を平坦にしておく必要があったために行った。 そして、図10(b)がFIB−CVDによってガラスキャピラリーの先端面上に超微細先端部33を造形(生成)した際のバイオナノインジェクターを示すSIM画像である。
更に、図10(c)にその断面を示す。この断面のSIM画像から、FIB−CVDを用いて作製したバイオナノインジェクターの内部は、非常にきれいな空洞となっており、さらに作製した先端面32とガラスキャピラリー31の連続した境界を観察することができた。そのことから、FIB−CVDを用いて作製したバイオナノインジェクターは、インジェクターとして十分使用できる構造を持つことが実証できた。
上述したFIB−CVDにより、あるいはそれにFIBエッチング(スポット、または切断)を組み合わせることにより、さまざまな形状、サイズの先端面を作製することができる。
FIBエッチング(スポット)により真上からビームを1点照射することで、ガラスキャピラリーの先端に150nmほどの穴33Aをあけることにより作製した超微細先端部33のSIM画像を図11として、さらにFIB−CVDにより先端部の形状を作製した後、FIBエッチング(切断)を用いて斜めに先端部をカットし作製した斜面33Bを有する超微細先端部33のSIM画像を図12として示す。
これらの実験結果より、FIBにおけるCVDとエッチングを組み合わせることで、CVDのみ、またはエッチングのみでは作製することが非常に困難な先端の構造も容易に作製できることを実証できた。
上記したように、FIB−CVDにより作製したバイオナノインジェクター51を用いて、保持ピペット52に保持された実際にカタユウレイボヤ(Ciona Intestinalis)の受精卵53の卵母細胞にインジェクションを行った。図13にその時の様子を光学顕微鏡の写真で示す。この時インジェクションにより注入した溶液は、色素、モルフォリノ(特定の遺伝子の働きをなくす化合物)に水を混合したバイオ流体である。
この一連の実験により、FIB−CVDにより作製したバイオナノインジェクターが、細胞操作におけるインジェクションにおいて実用性のあるものであると実証できた。
次に、FIBエッチングにより作製したナノピンセットについて説明する。
ガラスキャピラリーをナノスケールのピンセットの形状に形成すれば、幅広い分野で使用できる。そのため、図14に示すように、FIBを用いて汎用性が高く、作製が容易なナノ部品の組み込みや細胞操作を行うことができるガラスキャピラリーを利用したナノピンセット63を作製した。
上記したFIBエッチングにより、ガラスキャピラリー先端部を加工することでナノピンセットを作製した。加工手順を以下に示す。
図15はそのナノピンセットの製造工程図である。
(1)マイクロピペットプーラーを用いて、ある程度の細さ(実験においては先端部の外径が1μmになるようにした)までガラスキャピラリー61を引き伸ばす〔図15(a)〕。
(2)電極として用いるためにガラスキャピラリー61の外表面(外壁)を金62でコーティングする〔図15(b)〕。
(3)図1に示したFIBエッチングによるガラスキャピラリーの加工システムを用いて、ガラスキャピラリー61の先端部をピンセット63の形状になるように加工する〔図15(c)〕。
このFIBによるナノピンセットの加工プロセスは、従来の半導体製造プロセスと比べると非常にシンプルであり、FIBエッチングを用いているためピンセット形状の設計にあたって自由度の高いものであるといえる。
このようにして、実際に作製したナノピンセット63のSIM画像を図16として示す。この作製したナノピンセット63は、電極として利用するために金62をコーティングしている以外はガラスであるため、非常にクリーンなツールであるといえる。
次に、このナノピンセットの動作原理について述べる。
図17はそのナノピンセットの動作原理の説明図である。
作製したナノピンセット63は、一種の静電アクチュエーターであり、電圧をかけることにより動作させることができる。すなわち、スイッチ65を直流電源66に接続して、ナノピンセット63に電圧をかけることにより正の電荷をナノピンセット先端部64に蓄積させ、その正電荷の反発力によりナノピンセット63の先端を開かせることができる。つまり、マニピュレーションを行う対象物を掴む際には電圧をかけて先端を開き、スイッチ65で電圧をオフにすることで先端を閉じ、対象物をしっかり掴むことができる。逆に、掴んだ対象物をリリースする際には、ナノピンセット63にスイッチ65を介して電圧をかけることでナノピンセット63の先端を開き、対象物を放すことができる。
図18はその作製したナノピンセットの動作状態を示す図である。
図18(a)が電圧をかける前、図18(b)が1kVの電圧をかけた後の写真である。この形状のピンセットでは、100Vから1300Vの範囲で電圧による先端の開き幅の制御が可能であることが確認された。また、ピンセットの形状の設計次第では、さらに低電圧でも動作が可能であるといえる。この動作確認により、さまざまな分野で使用、応用できるピンセットを、FIBエッチングを用いたシンプルなプロセスで作製できることを実証できた。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の微小立体構造バイオナノツールの製造方法及びその微小立体構造バイオナノツールは、特に、遺伝子注入装置のインジェクターやナノピンセットとして好適である。
本発明の実施例1を示すガラスキャピラリー先端部の加工システムの構成図である。 本発明の実施例1を示すガラスキャピラリー先端部をガラスキャピラリーに対して直角方向から輪切りに加工する例を示す要部構成図である。 図2の加工結果であるガラスキャピラリー先端部を示すSIM画像である。 図2の加工前のガラスキャピラリー先端部を示すSIM画像である。 本発明の実施例1を示すガラスキャピラリー先端部を斜め方向から加工する例を示す要部構成図である。 図5の加工結果によるガラスキャピラリー先端部を示すSIM画像である。 図5のガラスキャピラリーを用いたインジェクションの様子を示す光学顕微鏡写真である。 本発明の実施例2を示すFIB−CVDによるインジェクターの超微細先端部の作製システムを示す模式図である。 本発明の実施例2を示すFIB−CVDによるインジェクターの超微細先端部の製造工程図である。 本発明の実施例2を示すFIB−CVDによるガラスキャピラリーの超微細先端部のSIM画像である。 先端に穴をあけることにより作製した超微細先端部のSIM画像である。 先端部を斜めにカットすることにより作製した斜面を有する超微細先端部のSIM画像である。 FIB−CVDにより作製したバイオナノインジェクターを用いたインジェクションの例を示す光学顕微鏡写真である。 ナノ部品の組み込みや細胞操作を行うことができるガラスキャピラリーを利用したナノピンセットを示す模式図である。 本発明の実施例3を示すナノピンセットの製造工程図である。 本発明の実施例3を示す実際に作製したナノピンセットのSIM画像である。 本発明の実施例3を示すナノピンセットの動作原理の説明図である。 本発明の実施例3を示す作製したナノピンセットの動作状態を示す図である。 従来のマイクロマニピュレーション装置の操作例を示す図である。
符号の説明
1,21,61 ガラスキャピラリー
2,22 ガラスキャピラリー先端部
3,23,34 Ga+ FIB照射源
4,24,35 Ga+ FIB
5,41 制御装置
6,42 CPU(中央処理装置)
7,43 微小立体構造物の三次元モデルデータメモリ
8,45 入出力インターフェース
9,46 表示装置
10,44 データ入力装置
11 ガラスキャピラリーを固定するためのテーブル
12 ガラスキャピラリーの保持具
22A,22B,22C,51 バイオナノインジェクター
31 ガラスキャピラリー基体
32 ガラスキャピラリー基体の先端面
33 超微細先端部
33−1 第1層の堆積物
33−2 第2層の堆積物
33A 穴
33B 斜面
36 ガスノズル
37 フェナントレン(C1410)ガス
52 保持ピペット
53 受精卵
62 金
63 ナノピンセット
64 ナノピンセット先端部
65 スイッチ
66 直流電源

Claims (9)

  1. 電子計算機を利用して設計した微小立体構造物の三次元モデルデータに基づき、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビームによりガラスキャピラリーの先端部の切断加工を行うことを特徴とする微小立体構造バイオナノツールの製造方法。
  2. 電子計算機を利用して設計した微小立体構造物の三次元モデルデータに基づき、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビームCVDによりガラスキャピラリー基体の先端面に該ガラスキャピラリー基体の先端の径より小さい微小ガラスキャピラリー先端部を順次接ぎ足して超微細先端部を生成することを特徴とする微小立体構造バイオナノツールの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、前記ガラスキャピラリーが超微細先端部を有するピペットであることを特徴とする微小立体構造バイオナノツールの製造方法。
  4. 請求項3記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、前記ピペットがバイオ流体を注入する微小立体構造インジェクターであることを特徴とする微小立体構造バイオナノツールの製造方法。
  5. 電子計算機を利用して設計した微小立体構造物の三次元モデルデータに基づき、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビームによりガラス操作部材をエッチングして、超微細先端部を生成することを特徴とする微小立体構造バイオナノツールの製造方法。
  6. 請求項5記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法において、前記微小ガラス操作部材がピンセットであることを特徴とする微小立体構造バイオナノツールの製造方法。
  7. 請求項1又は2記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法を用いて製造されるガラスキャピラリーが超微細先端部を有するピペットである微小立体構造バイオナノツール。
  8. 請求項7記載の微小立体構造バイオナノツールにおいて、前記超微細先端部を有するピペットが微小立体構造インジェクターであることを特徴とする微小立体構造バイオナノツール。
  9. 請求項5記載の微小立体構造バイオナノツールの製造方法を用いて製造される超微細先端部を有する操作部材がピンセットであることを特徴とする微小立体構造バイオナノツール。
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